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2012 2012

アメリカ映画 (2009)

リアム・ジェームズ(Liam James)が、主人公のジャクソン(ジョン・キューザック)の息子を演じるディザスター映画。監督のローランド・エメリッヒが『デイ・アフター・トゥモロー』に次いで放った究極の人類破滅映画。病原菌やゾンビ、地球外生命体、核戦争による破滅を除けば、この種の映画は意外と少ない。CGを使った現実味のある破滅シーンが作成可能になった1990年代の後半以降に作られた代表作は、他には『ディープ・インパクト』『アルマゲドン』(1998)、『ノウイング』(2009)しかない〔『ザ・コア』は、『センター・オブ・ジ・アース』的なので除外〕。しかも、これらは、破壊に至るプロセスがメインで、実際に「破壊」が見られるのは限定的でしかない。『合衆国壊滅 M10.5』(2004)は、破壊がメインではあるが、TV映画なので特撮は見るに耐えない。その点、『2012』は、ロサンゼルス(ラスベガス、ワシントン、ローマ)、イエローストーン、ヒマラヤでの、それぞれ異なる「破壊」が、最高レベルのCGで描かれ、この種のもののベストと言える。だから逆に、子役映画と思って観る人はほとんどいない。しかし、不思議なことに、『ディープ・インパクト』ではイライジャ・ウッド、『デイ・アフター・トゥモロー』ではジェイク・ギレンホール、『ノウイング』ではチャンドラー・カンタベリーと、一流の子役が出演している。このような傾向は、病原菌やゾンビ、地球外生命体、核戦争の場合、あまり見られない。それは、例えば、核戦争ものの『テスタメント』(1983)のルーカス・ハースのように、ただ悲惨なだけに終わってしまうからであろう。天災ならば、「両親が子供を救う」というテーマは現実的で、それが映画を盛り上げる。地球規模ではないが、スマトラ島沖地震により史上最大の死者を出した津波を個人的な視点から映画化した『インポッシブル』(2012)でも、3人の子供の存在は大きかった。前置きが長かったが、『2012』におけるノア(Liam James)とリリー(Morgan Lily)の兄妹の存在も、この映画にとって欠くべからざる存在だ。ノアは、災害は起きる前の「生意気な存在」から、「怖がるだけの存在」へと変わり、両親は何とか彼を救おうと躍起になり、最後の局面では、父を助ける「サブ・ヒーロー」にまで成長する。下の「あらすじ」は、ノアの登場場面に特化して紹介する。それでも15節になった。長尺(158分)ということもあるが、いざ書こうとしたら、思ったより出番が多かったというのが正直な感想。

映画のメイン・ストリームは2つ。1つは、①太陽フレームによる地殻の異常高温化とそれに伴う大規模な地殻変動という現象を事前に察知、②結果として予想される「絶滅」から人類を救うための「ノアの箱舟」計画を始動、③最終的にヒマラヤ山中に大規模な基地が造られるまでの話。ここでの主役はエイドリアン博士、大統領首席補佐官アンハイザー、大統領の娘ローラ、それに、大統領だ。上から目線のパートと言える。そして、もう1つが、ロスに住む冴えない作家のジャクソン。出版した本は全然売れず、妻からは愛想をつかされて離婚され、今は、アルバイトで元プロボクサーで大富豪ユーリのリムジンの運転手をしている。ジャクソンには、ノアとリリーの2人の子供はあるが、今は、母の恋人ゴードン医師と一緒に住んでいる。この5人が大災害に直面した時、如何に逃げ、最後には「閉ざされた箱舟」にどうやって潜入して生き残り得るか? まさに、下から目線のパートだ。両者は、最後の部分を除き、ほとんど完全に分離しているので、この解説も、あらすじも後者についてのみ記述する。このパートは、ジャクソンが2人の子供と週末キャンプに出かけるところから始まる。ノアはゴードンに好意的で、ジャクソンをバカにして嫌っている。だから、キャンプになんか行きたくない。3人が向かったのはイエローストーン国立公園。しかし、そこには人気はなく、立入禁止の柵が張り巡らされていた。平気で中に入って行くジャクソン。すぐに軍隊が駈けつけ追い出される。その様子を窺っていたのはチャーリー。個人でラジオ放送を発信し、世界の週末を警告している奇人。ジャクソンはチャーリーから、終末の到来と政府の欺瞞、「逃げるための船」の存在について聴かされるが、その時点では出任せと思い聞き流す。2人の子供を送り返した後、ラスベガスにいた雇い主のユーリから緊急連絡があり、息子2人を急いで飛行場まで送ることになる〔ユーリは1人10億ユーロの搭乗券を3人分獲得していた〕。そこで、自家用機に乗り込む息子から、「僕らは大きな船の切符があるから生き残れるが、お前は死ぬんだ」と言われ、頻発する地震と合わせ、チャーリーの言葉を思い出す。これは危ないと確信したジャクソンは、用済みのリムジンでゴードン邸に急行。事前の電話では馬鹿にしていた元妻も、車が着いた時に起きた激しい地震に恐れをなして家族でリムジンに乗り込む。そこに襲いかかる さらに激しく壊滅的な揺れ。道路は波打って大きな亀裂が入り、高速道路やビルが崩壊する。ジャクソンは巧みに車を操り、先ほどの飛行場に。そして借りておいたセスナ(340A)に飛び乗り、ゴードンの操縦でかろうじて離陸する。その後の、ロス中心部は、どんな映画にも描かれたことのない究極の災害に襲われ、海に沈んでいった。ジャクソンが指示した飛行先はイエローストーン。そこで、「大きな船」の在り処を聞き出すためだ。何とか地図は手に入れたものの、近くでマグマが噴き出し、セスナは間一髪で離陸。しかし、せっかく手に入れた地図によれは、「大きな船」の在り処はヒマラヤ。セスナではとても辿り着けない。セスナが降り立ったのはラスベガス。なぜかは分からない。幸い、そこにはヒマラヤに行こうとして足止めを食っていたユーリたちがいた。ユーリは離陸を差し止められていたアントノフ機をちゃっかり拝借し、副操縦士が必要だったことからゴードンを含むジャクソンたちも一緒に搭乗を許された。アントノフは、ハワイで給油しようとするが、島全体が溶解していて近づけない。ラスベガスからホノルルまでは4400キロ余、そこからヒマラヤまでは約11200キロ。ラスベガスからの総距離は15600キロ。アントノフの航続距離15400キロで、最大搭載量は250トン、乗っている荷物は高級車ばかりで多目に見て20トン。これなら、何とか到着できそうだが、実際には南シナ海までしか行けないという。満タンではなかったのだろう。一度は海面への不時着も覚悟したが、地殻の大変動でヒマラヤ山脈が、2500キロ東に寄っていたため、大事に至らずに済んだ。アントノフは雪原の上を滑走し、ベントレーに乗った9人は貨物室後部の扉を開けて脱出する。そこに中国軍が迎えに来るが、連れて行ってもらえたのは、グリーンのパスを持っていたユーリと2人の子供のみ。ジェンソンらは雪原に取り残された。幸い、家族を救うために「裏口入学」しようとしていた中国人労働者に救われ、アメリカ専用船の最後尾から潜入する。しかし、運悪く、ゲートを開閉する巨大な歯車が動き始め、それに巻き込まれてゴードンは死亡、おまけに、歯車にケーブルが噛み込んで、閉まらなくなる。ゲートが密閉できないと、そこから浸水するだけでなく、「船」のエンジンもかからない。それにもかかわらず、エベレストを飲み込みほどの巨大な津波が襲いかかってくる。ジャクソンはケーブルを外そうと懸命の努力をするが、その傍らには、かつては彼を「パパ」とも呼ばなかったノアが一緒にいた。

リアム・ジェームズは、出演時、誕生日をはさんで11歳から12歳。『2012』は6本目の映画。ほとんどは端役だが、『2012』の1本前、撮影時10歳の時の『ホースメン』(2009)は脇役。顔の表情はそっくりだ(下の写真)。子役の旬は短くて、TVをはさんで次に脇役で出た『プールサイド・デイズ』(2013)では、出演時15歳の終わりだが、急に大人っぽくなっている(2枚目の写真)。水中と縁のあるのは『2012』とそっくりだ。『2012』のラストの水中シーンは、実際に潜っているので、結構大変だったと思う。
  
  


あらすじ

ジャクソンが子供たちをキャンプに連れて行くため、美容整形医ゴードンの家の前に車をつける。自分の車はエンストで動かなかったため、大富豪ユーリのリムジンを拝借してきたのだ〔アルバイトで運転手をやっているので、いつでも迎えに行けるよう、自宅の前に停車してある〕。寝過ごして大幅に遅刻したため、クラクションの合図で、リリーとノアが飛び出してくる。リリーは行きたくてたまらない派、ノアは嫌々付いて行く派だ。ノアは、予想外のリムジンを見て、「ジャクソン、これ何?」と訊く(1枚目の写真)。「そんな呼び方するな。パパなんだぞ」。ノアは、現在同居中のゴードンの方が好き。しかし、父親ではないので「ゴードン」と呼んでいる。だから、嫌いな方も名前で呼んだのだ。そこに元妻が現れ、「リムジンでキャンプに連れてくの? すごいわね〔great〕」と話しかける。ゴードンも、「いい車だな」と言い、ノアには「楽しんでこいよ。熊には気をつけろ」と声をかける。ロスからイエローストーンまでは概算で1600キロもある。映画では、あっという間に着いている感じだが、とても1日では行けない距離だ〔東京から鹿児島まで1400キロ弱〕。車の中で、父と娘は歌い、ノアは白けた顔をしている。イエローストーン公園に入ると、それまで聴いていたラジオが入りにくくなり、周波数を変えるとおかしな声が入ってきた。「西海岸じゃ、地面は亀裂だらけだ。だから、俺は自分に言ったんだ。チャーリー、お前 尻上げてイエローストーンに行った方がいいぞってな。最後のお楽しみを見逃すって手はないからな。ひとつ教えとこう。朝っぱらから、政府の奴らのヘリが飛び回ってるが、どう見ても嬉しそうじゃなかった」。その時、リムジンの上を3台のヘリが飛んで行く(2枚目の写真)。ジャクソン:「ラジオで言ってた通りだ。なんて偶然なんだ」。キャンプ場に車を置き、3人は森の中を歩いている。リリー:「パパ、これからどこ行くの?」。「すっごく特別な場所だ。昔、ママと何度も一緒に行ったんだ」。ノアが憎まれ口を叩く。「あんたとママがセックスした場所なんて、知りたくない。そんな気分じゃないね、ジャクソン」。「その呼び方はやめるんだ。ムカつく。なんで『パパ』と呼ばん。このブツクサ坊主」。行く手に、金網のフェンスが現れる。フェンスには、「警告」「立入禁止区域/この先 侵入禁止」と2枚の警告板が掲げてある。ジャクソンは、「前は なかったな」と言うと、リリーの帽子を投げ込み、「帽子を取りにいくぞ」と言って、躊躇することなくフェンスをよじ登る。リリーもすぐ後に続くが、ノアは、「標識、見えないの?」と文句。それでも、嫌々付いて行くと、眼下には干からびたような地形が。ジャクソン:「ここは、湖だった」。リリー:「湖なんかに見えない」。「ああ、消えちまった」。ノアは、どうしようもない、といった顔でリリーを振り返る(3枚目の写真)。ジャクソンは、「調べてみよう」と降りて行く。ノア:「最高〔Great〕〔こちらの “great” は皮肉〕
  
  
  

3人が入って行った湖の跡には、そこかしこに測量器具が置かれている。そして、いきなり、丘の上から軍用ジープとヘリが現れ、兵士が、「あなた方は、立入禁止区域にいます。同行願います」(1枚目の写真)と強制連行される。その光景を森に隠れて監視している人物がいた。先ほどラジオでしゃべっていたチャーリーだ。3人が連れて行かれた場所には、掘削用の巨大な鉄塔が建っている。そして、大深度での異常な高温を確認するため、エイドリアン博士が来ていた。ジャクソンたちが拘束されたことを知った博士は対応に当たり、周辺一体が不安定化しているので退去するよう促す。その時、ジャクソンの免許証を見た博士は、彼が、今読んでいる『さらば、アトランティス』の著者だと知って喜ぶ。そして、「自分達の命がかかっていると分かってて、あれほど無私無欲になれると信じていますか?」と問う。この設問は、映画の最後で大きな意味を持つ重要な言葉だ。3人は、ジープでキャンプ場まで送られる。すると、3人の前にチャーリーが現れ、「政府の奴ら、何て言ってた?」と訊く。ジャクソンが「不安定」という言葉を使うと、チャーリーは「奴ら、『不安定』って言ったのか?」と言ってゲラゲラ笑う。ノアは、その姿を気味悪げに見ている(2枚目の写真)。ジャクソンは2人を連れて早々に車に戻る。3人は2つのテントで一夜を過ごす。ノアが携帯を見ているのに気付いたジャクソンは、「誰にもらったんだ? ママか?」と尋ねる。「ううん、ゴードンが誕生日にくれた」。ジャクソンは、携帯を預かり、「携帯については、ちゃんと議論しないとな。家族として」と言うが、大事なものを取り上げられたノアは、「どの家族?」と反撥。「お前が そういうこと言う度にパパは傷付くんだ」。「うるさいな」。ノアの最後のメールは、「やあ、ゴードン。キャンプ、最悪」だった。ジャクソンは、すぐ近くのキャンピングカーから、車の中で聞いたラジオの声が聞こえてきたので、興味を持って近付いて行く。「チャーリーは、イエローストーン国立公園からライブ放送中だ。ここは、じきに世界最大の活火山になるんだ。ちょい休憩もうらぞ」。ジャクソンが話しかけると、チャーリーは、「黙示録、終末の日、最後の審判の日、世界の終わり」と、恐ろしい言葉を並べる。そして、すべて極秘なのだ、とも。ジャクソンは、「そんな凄い秘密、誰だって隠し通せない。誰か告発する奴が現れる」と言うが、チャーリーは全員殺された、と新聞記事を一面に貼った紙を見せる。その中に、ジャクソンの知っている人物がいた。チャーリーは、その人物について、「全部 探り出してくれた。政府がやってることのすべて。場所や理由まで。地図まで送ってくれた」と話す。「何の地図?」。チャーリーの答えは、「奴ら、宇宙船を造ってんだぞ」。この非現実的な答で、ジャクソンの関心は急速に薄れた〔この時に聞いた「地図」の話が、その後のジャクソンの行動を決める〕。翌朝、3人が買い物に行くと、TVでは、ノアたちがいつも行くスーパーが地盤の亀裂で真っ二つに裂けた映像が流れている。そして、ノアの携帯に母から電話が入る(3枚目の写真)。すぐ帰って来るようにとの要求だった。
  
  
  

ジャクソンの運転するリムジンは夜になってロスに到着。イエローストーンから1600キロ。時速80キロで走り続けても20時間はかかる。従って、着いたのは翌日の夜であろう。リリーは母に抱き付く。ノアは、「ゴードン!」と叫んで駈けていき、「よお、相棒」と抱かれる。「楽しかったか? 寂しかったぞ」。「僕も」。2人とも、ジャクソンには、ありがとうも、さよならもなし。元妻だけは、「急いで連れ帰ってくれてありがとう」と筋を通す。翌朝、ユーリからジャクソンに電話が入り、ベガスから自家用ジェットを飛ばすので、自宅から2人の息子を空港まで連れて行けと命じられる。口の悪い双子を空港まで送って行ったジャクソンは、別れ際に、「僕らは大きな船の切符があるから生き残れるが、お前は死ぬんだ」と、蔑むように声をかけられる。ジャクソンは、その、「船」という言葉に引っかかる。そして、チャーリーの番組を聞いていると、飛行場のアスファルトにも亀裂が入り始める。真相を悟ったジャクソンは、近くにいたセスナのオーナーに飛行機を借りる予約をした上で、子供たちの家に急行する。TVでは、災害の発生を否定する知事の会見が中継され、ゴードンたちはのんびり朝食をとっている。そこに、ジャクソンの緊急電話が入るが、誰も真面目に取り合わない。知事が、「最悪の状態は終わったようです」と言った直後、突然の衝撃が家を襲う。慌ててテーブルの下に隠れる4人。その時、リムジンが家の前に急停車。街路も含めて震度7の揺れだ。ジャクソンは家の中に突入、4人に「出ろ!」と叫ぶ。元妻:「ここの方が安全よ」。「今すぐ、車に乗るんだ!!」。ノアが真っ先に乗り込み(1枚目の写真)、全員乗り込んだ時には家が倒壊。ゴードンの車は、地面に開いた大きな亀裂に押されて落ちた。亀裂の進む道路を驀進するリムジン。強烈な地盤のうねりは、ジャクソンの車を追いかけるように迫り、次々と家を飲み込んでいく。この「地震」のシーンのCGは凄まじい(2枚目の写真)。高速道路は崩壊し、倒壊するパーキング・ビルから車が降ってくる(3枚目の写真、矢印はリムジン)。4枚目の写真は、特典映像にあるメイキング・シーンだが、落下する車や、転がってくる車(赤の矢印2つ)は実写だ。黄色の矢印はリムジン。高速道路や倒壊するビルはCGだが、リムジンに近付く車はすべて本物。ローランド・エメリッヒが2億ドルの制作費をかけただけのことはある。
  
  
  
  
  
リムジンは半壊状態になったが、それでも何とかサンタ・モニカ空港に到着する。セスナは壊れずに残っていたが、パイロットでも機のオーナーは死んでいた。ゴードンは、ジャクソンには、「単発機で数回レッスンを受けただけ」と拒絶するが〔セスナは双発機〕、子供たちが乗り込んだので 渋々操縦席に座る。空港にも大きな亀裂が突き進んでくる。解説書を読んで、気温と気圧をチェックしているゴードンに、ジャクソンは「行け」と急かすが、元妻は、「気を散らさないで。経験ないんだから」と擁護。しかし、背後から巨大な地割れが迫っているのを自分の目で見ると、「ゴードン、飛んで!」と叫ぶ。彼女は、元夫のことは信用せず、事態が切迫して初めて騒ぎ立てる。ジャクソンは、規定の離陸速度になるまで悠長に滑走するゴードンを無理矢理 離陸させ、ギリギリで間に合う(1枚目の写真)。直後に飛行場は深い亀裂の中に崩落していった。だから、速度が足りなくて「かつて地面だった所」より下降しても、下に大きな空間があるため、失速せずに立て直すことができた。この辺りで、ゴードンにもようやく事態の深刻さが飲み込めてきた。セスナが分解していくロス市街の中を飛ぶシーンは、リムジンでの避難時以上に阿鼻叫喚、空前絶後だが、CGは、地面と接触していない分 作りやすかったとか。セスナがようやく高度を確保して崩壊する市街地から抜け出す場面が2枚目の写真(矢印はセスナ)。数百メートルの深さの亀裂が、これまで映画では見られなかった「壊滅的な破壊」をもたらしている。ノアとリリーは、あまりの恐ろしさに 後部座席で抱き合って泣いている。元妻:「こんなことになるって、どうして知ってたの?」。ジャクソン:「カリフォリニアだけじゃない。世界中がダメになるんだ」(3枚目の写真)「イエローストーンの奴、おかしな奴だったが、これまで起きたことは、全部 奴の言う通りだった」「奴は、政府が宇宙船を造ってるって言ってた。よく分からんが、何かそんなものだそうだ」。ゴードン:「船?」。「ああ、安全にいられる場所だ。奴は、場所を知ってる。地図、持ってるんだ」。そして、「ケイト、これだけは信じてくれ」と頼む。
  
  
  

セスナはイエローストーン空港〔滑走路が1本あるだけ〕に着陸。ジャクソンは機体の停止前に飛び出し、一緒に行くと言ったリリーを連れてチャーリーのキャンピング・カーに行くが〔なぜ、近くにあったのか?〕、本人は別の場所でラジオ中継をしている。ジャクソンは、キャンピング・カーを運転してチャーリーのいる丘のてっぺんまで行き、地図の置いてある場所を訊き出す。その時、10数キロ離れた地点で地面が膨らみ始める。大噴火の前兆だ。ジャクソンは、空港に向かって全速でキャンピング・カーを走らせる。背後では、巨大な爆発が起こり、火山岩塊が雨のように降り注ぐ(1枚目の写真)。都会のシーンとは全く違うCGだが、火、煙、粉塵、砂埃などの動きが力学的に計算された リアルな出来栄えだ。セスナで心配してリリーを待つ母の目にも、疾走してくるキャンピング・カーの姿が見える。母はもちろん大喜びだが、ノアも初めて嬉しそうな顔を見せる(2枚目の写真)。彼の場合は、リリーだけでなく、父に対する喜びも入っている。それは、車が何とか滑走路の端に到着し、元妻がリリーを確保した後、ジャクソンが地図を捜すのに手間取り、亀裂に飲み込まれたように見えた時、「No!」と叫んだことからも分かる。生還の望みがないと思ったゴードンは、「ケイト、行かないと」と言うが、ノアは「僕ら、どこにもいかないぞ!」。「ベルトを締めろ。離陸するぞ」。「僕のパパだ! 待つんだ!」(3枚目の写真)。ノアが初めて「パパ」と言った瞬間だ。それでもゴードンは操縦桿を前方に倒す。ノアが泣きながら「ダメだ!」と言う。その時、地面の割れ目からジャクソンの手が現れる。ケイトの 「待って、ゴードン、何か見える」にもゴードンはスピードを緩めず、「ジャクソン 走れ!」と叫ぶだけ。エゴの塊だ。ジャクソンは懸命に走り、元妻の手で引っ張り上げられる。
  
  
  

セスナはぎりぎりで離陸し、襲ってきた火砕サージにも巻き込まれずに済んだ(1枚目の写真)。思わず親指を上げるノア(2枚目の写真)。元妻は 「地図が手に入ったけど、どこに向かうの?」と訊く。ジャクソンが地図を広げると、それは中国の地図だった。彼は、「もっと大きな飛行機がないと」とがっかりする。セスナは、なぜかベガス空港に着陸する。全体に突拍子もない映画だが、この部分が一番納得できない。イエローストーンからなら、シアトルはベガスと同距離だし、西海岸が怖いのならデンバーもある。ロスへのルート上なら、ソルトレイクシティはベガスへの中間点にある。映画の設定では、ユーリがベガスからヒマラヤに飛ぼうとしているので、ベガスに行くのは必須なのだが、理由が全くない。ベガス空港に着陸したゴードンは、「僕の両親のいるロッキーに行くべきだ」と言う(3枚目の写真)〔ロッキーは南北に伸びていて場所は定かではないが、何れにせよ、デンバーやソルトレイクシティの方がロッキーには近いので、それを見越してベガスを選んだ訳でもない〕。ゴードンは、さらに、「これは君のバカげた小説じゃないんだ。どうやって中国なんかに行ける?」と誹謗する。ノアは、「ゴードン、ジャクソンがいなかったら、カリフォルニアから出られなかったんだよ」とサポートするが、「ノア、やめるんだ」と叱られる。
  
  
  

一旦、空港ターミナルに避難した5人。ジャクソンは、そこでユーリを見つけ、「知ったたんですね。前からずっと。ここから抜け出す方法あるんでしょ? 飛行機が? 僕の家族も連れてって下さい。お願いだ」と頼む(1枚目の写真)。拒否の返事の前に、ユーリのパイロットがやってきて、「ボス、我々用の飛行機を見つけました。アントノフです。離陸しようとしたが、管制塔が許可しなかったんです」と知らせる。ユーリ:「お前なら飛ばせるんだな?」。「はい、ボス。でも、副操縦士が要ります」〔ユーリは、自家用ジェットで行く予定だったのに、なぜアントノフを「盗む」ことにしたのか、説明は一切ない。小型自家用ジェットの航続距離はアントノフの2/3ほどなので、ハワイで給油できないと映画が成り立たなくなるためであろう。それに、小型ジェットの場合、ユーリ一行4に加え、プラス5人は乗れない〕。その時、リリーが、「ゴードンはパイロットよ」と嬉しそうに言う。ゴードンは「違う、僕はそうじゃない」と言うが、ジャクソンは「彼、すごいパイロットなんです。行きましょう」と言ってユーリたちとターミナルを出る。滑走路に出た一行の前に、巨大なアントノフ機が立ち塞がる。世界に1機しかない巨体だ。間近で見たノアは「わあ、でかい飛行機」と驚く(2枚目の写真)。貨物室には4台×2列のスーパーカーが固定されている。ベガスで開催されたオートショー用という設定だ。アントノフは、管制塔の警告を完全に無視して滑走路に向かう。祈るように天を見上げるノア。親指を組んで十字架を作っている(3枚目の写真)。
  
  
  

ベガス空港の離陸も、滑走路の先端が崩壊していたので(1枚目の写真)、アントノフは一旦、地面の裂けた空洞に落ち込んでから、高度を上げていく。その際に、ビルにぶつかりそうになるが、これはロスの場面の二番煎じ。ユーリの双子の息子が、貨物室にあるベントレーを見て、「僕らのお父さん、1台注文したんだ。来年届くはずだった。でも、それから、船のためにキャンセルした」とノアに話す。このことから、今まで100%確かではなかったが、このアントノフが確実にユーリとは無関係なことが分かる〔くどくど書くのは、ウィキペディアの『2012』の日本語版に、ユーリのことを、「An-225を個人所有し、商品の高級車を搭載している」と、間違った情報が書かれているため〕。アントノフは、ホノルル上空まで来たが、全島が噴火した溶岩に覆われ、給油は不可能だった。そのため、「南シナ海のどこかに不時着しないといけない」ということになる。ベガス~ホノルル間の倍の距離を飛んだ辺りで、燃料不足のため6基あるエンジンのうち2基が停止。燃料の残量から着水が15分後となる。寝ている子供たちを起こしに行ったジャクソンは、ノアから、「どうしてゴードンが嫌いなの?」と訊かれる。「なに言うんだ? 嫌ってないぞ」。「好きでもないよね」。「彼のこと、よく知らないからだろ」〔知りたくもない、というのが本音だろう〕。「でも、僕は知ってる。知り合えば彼は いい人だ」(2枚目の写真)「もっと話してみた方がいい。2人で、うまくやってけるよ」。「彼のことが好きなんだな?」。「うん」。「頑張ってみるよ。約束する」。そして、「お前のことを誇りに思うぞ」と言ってノアを抱きしめる。ジャクソンは救命胴衣を取り出す。「パパ、どうかしたの?」。「もうすぐ着陸するんだが、少し ガタガタ揺れて 濡れるかもな」。救命胴衣を着せられた2人は、すごく不安になる。「中国に行くんだと思ってた」(3枚目の写真)。「いいや、ここで着陸する。だから、みんな一緒にいるんだ」。「違うよ、死んじゃうんだ」。母:「死なないわよ」。リリー:「約束する?」。「約束する。ずっと一緒だ。何が起ころうとも」。
  
  
  

その時、ゴードンがユーリとジャクソンを呼びにくる。パイロットによれば、大陸が1578マイル〔2540キロ、日本語版の字幕ではなぜか2292キロ〕ずれて、目的地のすぐそばに来ているとのこと。その時、エンジンがすべて停止し、アントノフは目前の雪原に着陸することになる〔ベガス空港を離陸する時に、舗装の亀裂で着陸装置がもぎ取られたので、胴体着陸となる〕。パイロットは、機体が破損せずに停止できるかどうか分からないので、貨物室にある車に乗って、着地寸前に飛び出すよう進言する。一番先頭に停めてあるベントレーに全員乗り込み〔パイロット以外〕、ジャクソンの運転で貨物室から空中に飛び出す(1枚目の写真)。直後に着地したアントノフからは、衝撃であおられた残りの車が転がりながら飛び出してくる。ジャクソンは、無事に停車させる。アントノフは崖っぷちで何とか停止したが、機体前部の重みで転落してしまった。その直後、真夜中の闇を切り裂いて多くのヘリが上空を飛んで行く。ヘリが運んでいるのはゾウやキリンなどの大型動物、まさに、「ノアの箱舟」だ。ベントレーのヘッドライトで照らされた人影を、並走する軍隊のヘリが発見、「船」の乗客だと思って着陸する。降りて来た兵士は、「パスの色は?」と訊く。グリーンのパスを持っていたユーリと2人の息子は通してもらえたが、後は置いてきぼりとなる。ユーリの最後の言葉は、「悪いな諸君。幸運を祈る」だった。ジャクソンたちは、どうやってかは分からないが、アントノフが転落した数百メートルはありそうな崖を降り、その下の岩だらけの荒地を歩いている。すると、1台のトラックがすぐそばを通っていった。全員が道路まで走り出て、大声で叫ぶと、トラックは停まってくれる。そこには、中国人の一家が乗っていた。現場で作業員をしている兄がこの先で待っていて、「密航」を手引きしてくれることになっている。ジャクソンたちは荷台に乗せてもらえた。その頃、エイドリアン博士の乗ったアメリカ専用船では、最新の計測結果から、大津波の襲来まで28分08秒という計算値が表示されていた。ジャクソンは白み始めた空の下、まだトラックに乗っていた〔着陸時は真っ暗〕。ノアはゴードンに抱かれて寝ている。その姿を見て、ジャクソンは、「この子は、あんたが大好きだ〔He thinks the world of you〕、知ってたか?」と訊く(2枚目の写真)。「すごく いい子だよ」。そして、「僕は、ずっと自分の家族が持ちたかった。あんたは幸せ者だ。そのことを忘れるなよ」と静かに話す。トラックが作業車用の東17番ゲートに着くと、そこには兄が待っていて、鎖を切ってくれた。しかし、よそ者が乗っているのを見て、中に入れるのを拒否する。しかし、「子供達だけでいい。私達はいいから、お願い」という母の必死の願い(3枚目の写真)に心を打たれた中国人の母親の強い説得で、兄も折れた。
  
  
  

ジャクソンたちは、基地の入口の間近まで到達。「船」が外に出るための大きな開口部が並んでいる。画面は、短い別エピソードを挟み、ジャクソンたちが開口部に行く作業用の階段を登っている様子が映される。そして、ノアは 開口部の底部に到着(1枚目の写真)。背後に映っているのは、「船」を造船所から出して、津波が襲って来た時に対処できるよう、前方に迫り出させて固定するため架台だ〔何万トンあるか分からないような巨大な「船」を、レールなしでどうやって架台まで移動させるのだろう? 「船」の全長は1キロ近くあるはずなので、2つの架台間の距離は500メートル近い。中間の支えがなければ移動は不可能だ〕。ノアの目線は真上にある巨大な「船」の先端部を向いている。「どうして錨があるの?」(2枚目の写真)。「宇宙船じゃないんだ。箱舟なのさ」。「船」は刻々と動いている。そして、次のシーンでは、「船」全体が造船所から出ている〔架台の上に載っている〕。従って、ジャクソンたちの目の前にあるのは、先ほどと違い、「船」の最後部。そこが、中国人の兄の考え出した侵入口だった。「船」の移動は完了し、先端、中央、船尾の左右6ヶ所で固定される(この時点で、衝突まで12分30秒)。ジャクソンたちは、作業用の入口から開閉式のゲート内部に侵入する(3枚目の写真)。中国人の兄は、それまで建造作業に加わっていたため、内部構造に詳しい。ゲートを開閉する油圧チャンバーのボルトを外して作業用通路から中に入ろうとする。
  
  
  

あらすじの目的はノアに焦点を当てることなので言及してこなかったが、ユーリのように1人10億ユーロを払った人たち専用の3号船は、地殻が移動した際の地震で屋根の部分が損傷を受け、使えない状態になっていた。それらの人々は、残りの各政府専用船の最後部のゲートに殺到して、大騒ぎが起きている。それを見たエイドリアン博士は、他の政府首脳に呼びかけてそれらの人々も乗船させようと大演説をする〔博士がジャクソンに会った時に投げかけた設問を反映した内容〕。結局、受け入れることになるのだが、その前に、それに猛反対したアメリカ政府代表のアンハイザーが使った言葉は、「彼らは神の手に委ねられている」。これを聞いて、『Der kommer en dag(いつかきっと来る日)』で、院長が、自らの暴力で昏睡状態にしたエリックを前に、入院させるべきという孤児院の医師の判断を拒否し、「それが神のご意志なのだ。我々のせいではない」と言ったのを思い出した。責任を神に転嫁するというやり方は、人非人に共通のものらしい。残り時間は14分40秒。演説を受けて、3つの「船」のゲートが開放される。それのとばっちりを受けたのは、ジャクソンたち。作業用通路から全員が中に入らないうちに、ゲートを開閉する歯車が動きはじめ、兄が使っていた大型の電動ドライバーが、電力ケーブルごと落下、さらに、兄とゴードンも転落する。既に船内に入っていたノアは、「ママ、何か あったんだ」と心配する(1枚目の写真)。実際には、ゴードンは落ちて歯車に挟まれて死亡、兄は足を挟まれて大ケガを負っていた。ゲートが開き、待たされていた人々が雪崩れ込む。10万人はいるはずなので、1船あたり3.3万人。1ヶ所から短時間で乗り込めるとは思えないが、残り時間3分57秒でゲートは閉まり始める。ところが、4号船だけは閉まりきらない。電力ケーブルが歯車に絡まり、動かなくなったのだ。船内カメラで違法侵入者の存在が分かり、それがジャクソンだと知ったエイドリアンは何とかしようと現場に向かう〔博士のいた船首から船尾までは1キロ。短時間では到達不可能だが…〕。その時、残り時間は14秒。大洪水がヒマラヤに達し、「船」に向かってくる(2枚目の写真)。水のCGもよく出来ている。凄まじい津波が「船」を襲うが、衝撃には持ちこたえる。しかし、船尾のゲートの隙間から浸水、1区画ずつ自動閉鎖されていく。リリーは、閉鎖間際に無事押し出されたが、後は、半ば水没した部屋に閉じ込められる。一方、「船」の方は、流されてきたエアホースワンがぶつかり、固定装置が破損し漂流を始める。しかし、ゲートが開いているのでエンジンはかからない〔危機感を煽るための設定〕。船尾では、エイドリアンがリリーを確保する。壁の連絡装置で通話が可能になり、ジャクソンはリリーの確保を知らされる。リリー:「ノアはどこ?」。ノア:「ここだよ、リリー」(3枚目の写真)。「船」は、エベレストに向かって流されていく。
  
  
  

エイドリアンから、「君達は閉鎖された。こちらからは接近できない」「油圧装置を何かが邪魔している。君がそれを外せなければ、我々は終わりだ」と言われたジャクソンは、歯車は水没していて自殺行為だと分かっていても、「どこか分かってるから、試してみる」と言い、中に入って行くことを決断する。「パパ、待って、僕も一緒に行く」。母は、「ダメよ、ノア」と止めるが、「パパ、力になりたいんだ」とついて行こうとする。父は、「リリーが怖がってるから、ここにいてくれ」と説得する(1枚目の写真)。「次には、手伝ってもらうからな」。そして、元妻には、「ケイト、僕らのせいでこうなった。直してこないと」と説明し、キスを交わす。ケイト:「愛してるわ」。ノアは、出かける父を心配そうに見ている(2枚目の写真)。そして、父が潜って歯車の部屋に向かうと、母の目を盗んで、こっそり後を追う(3枚目の写真)。今まで受身一方だったノアの見せ場だ。
  
  
  

ジャクソンは、歯車の間に電動ドライバーがあるのを見つける。一方、母は、ノアがいないくなったことを知り、不安にかられている。その時点で、「船」がエベレストに衝突するまで1850メートル。ジャクソンが電動ドライバーを抜こうとして引っ張っていると、ライトが見える。それがノアだと分かると、僅かに残る水面まで浮上し、「何してる! ママのとこにいろと言ったろ!」と叱る。「手伝いたんだ」。「分かった。じゃあ、ライトを持ってろ。だが、ここから動くな。空気のある場所にいろ」(1枚目の写真)。父は、「無茶な奴だ」と言って潜っていった。「船」の底が地面と接触し、その衝撃で歯車が少し動くが、泡が一杯出て父の姿が見えなくなる。心配したノアが水中に入り、「パパ!」と叫ぶ(2枚目の写真、口から泡が一杯出ている)。泡は消え、父の姿は確認できたが、ノアは、歯車が停まってしまった本当の原因を発見する。電力ケーブルが軸に絡み付いていたのだ。ノアはライトを振って、そのことを父に知らせる(3枚目の写真)。呼吸のため浮上した父は、「偉いぞ」と褒め、「ライトで行く手を照らせ、ケーブルを何とかする」と指示する。「OK」。衝突するまで400メートル。船首の底が岩に当たった衝撃で歯車が動き始め、電動ドライバーも撤去でき、ゲートが完全に閉まる。
  
  
  

エンジンがかかり、船長は「全速後進」と命じる(1枚目の写真)〔日本語版では「後退」となっているが、これでは海上公試のテストに落第する〕。幸い、間に合い、「船」は全面衝突を免れた。ノアは一足先に通路を通って母のいる場所に戻る(2枚目の写真)。ここも、水位は天井近くに達している。「僕たち やったよ、やったんだ!」。抱き合う2人。「パパはどこ?」。「僕のすぐ後にいたよ」。ジャクソンは、「船」の先端がぶつかった時、一時的に気を失っていた。帰ってこないジャクソンを、2人は泣いて心配する。ようやくライトが見え、通路からジャクソンが生還、ケイトとノアはしがみついて喜ぶ(3枚目の写真)。もう、元通りの「分かち難い」家族だ。
  
  
  

画面には、「0001年1月27日」と表示される。世界の終末から27日目だ。船内放送が流れる。「皆さん、こちら船長です。数分で、全デッキを開けるよう指令を出します。昨夜23時45分、我々の姉妹船2隻が合流しました。この旅に出て初めて空が晴れ、空気も、かなり澄んでいます。ご存知のように、乗客数は定員を超えていますので、デッキに外に出る時は、十分に注意して下さい。そして、新鮮な空気をお楽しみ下さい」。デッキを封鎖していた扉が上がり、ノアの顔にも太陽の光が当たる(1枚目の写真)。「船」の三方に付けられたデッキからは、人々が一斉に出てくる(2枚目の写真)。リリーが、「パパ、いつ家に戻れるの?」と訪ねる。「それについては、もう話したろ。どこかで、新しい家をみつけるんだ。僕たちが一緒にいれば、そこが家なんだ。だろ?」(3枚目の写真)。3隻が向かう先は 喜望峰だ。
  
  
  

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