トップページに戻る
  少年リスト   映画リスト(邦題順)   映画リスト(国別・原題)  映画リスト(年代順)

Handel's Last Chance (TV) ヘンデルのラスト・チャンス

カナダ映画 (1996)

この映画は、バロック音楽の巨匠ヘンデルが、最高傑作『メサイア』を上演するにあたり、ダブリンを選んだ歴史的経緯を踏まえながら、10歳の少年を準主役にアレンジした上映時間わずか51分の家族向けTV作品。題名の『ヘンデルのラスト・チャンス』は、ヘンデルを、モーツアルトより一世代古い通い過去の有名な音楽家だとしか考えない私達にとって、なぜ「ラスト・チャンス」なのかと、不思議に思わせる題名だ。しかし、ドイツ生まれでイギリスに帰化したヘンデルは、最初こそ、イタリア風のオペラの作曲家として大成功を収めるが、ブームが下火になるにつれ、債務で首が回らなくなる。その間の事情は映画の中でも、本人の口から語られる。以下の文章を書くにあたり、参考にしたのは、「IRELANDS HISTORY MAZAGINE」の第23巻(2015年)にある、「否定と名誉回復: なぜヘンデルのメサイアはダブリンで初演されたか」という記事。そこでは、1737年(52歳)のヘンデルが、働き過ぎで倒れ、口もきけない状態で寝込んでしまい、「こえで彼のキャリアは終わった」と思われても仕方の状態になったと書かれている。何とか体力は回復したが、負債を抱え、ロンドンの新聞の批判にうんざりしたヘンデルは、ダブリンから声がかかると、喜んで出向く。1741年(56歳)の時だ。ヘンデルにとっては、「メサイア」が成功して、オラトリオ(聖譚曲)という新しいジャンルで栄光をつかめるか、失敗したオペラの作曲家として忘れ去られるか、音楽家としての命運を左右する賭けでもあった。だから、「ラスト・チャンス」という題名は、極めて当を得ている。なお、メサイアの台本作者は、鉄鉱業で財をなしたイギリスの一族のチャールズ・ジェネンズ(Charles Jennens)だったが、ヘンデルは彼の意向など聞こうともせずにダブリンに行き、ジェネンズを怒らせた〔メサイアに込められたキリスト教に対するジェネンズの思いを作曲に十分反映させなかったとされる〕。ダブリンでヘンデルをサポートしたのは、あの有名なジョナサン・スウィフト(Jonathan Swift)。『ガリバー旅行記』(1726)の作者だ。ヘンデル訪問の際には、スウィフトは、1191年創設のアイルランド最大の教会・聖パトリック大聖堂の首席司祭だった。映画の中では、「聖パトリック学校」の校長として登場する。このスウィフトは、2つの教会の合唱団を合同させるという思い切った手段を取るが、それも、映画に反映されている。「メサイア」の初演は、1742年4月13日。600の席は満席となった。聴衆が最も注目したのはソリストのスザンナ・マリア・シバー(Susannah Maria Cibber)という歌手だったが、映画では、それが10歳のジェイミー・オフラハーティに置き代わっている。歴史的事実と、創作上のジェイミーとが、巧く絡み合っている。製作はカナダで、撮影はスロバキアで行われた。アイルランドは話の中で登場するだけ。

ジェイミーは、小さい頃に製粉工場で労働者として働いていた父を過労のために亡くし、以後、洗濯婦として僅かなお金を得ている母によって育てられてきた。満足に食べさせてもらえないので、街角で自慢の美声のパフォーマンスでお金を稼いでいるが、唯一の友達、年下のヒューがスリやこそ泥をするので、つい引き込まれてしまう。そして、ちょうどヘンデルがダブリンに着いた日、ヒューが盗んだ鶏をジェイミーに投げたところを警官に捕まって牢屋に入れられる。ヘンデルは、聖パトリック大聖堂の首席司祭スウィフト(併設学校の校長を兼務)に聖歌隊を紹介されるが、あまりの低レベルに口を極めて罵る。スウィフトは、それに応えて、ダブリンにある もう1つの大聖堂の聖歌隊と合同で歌うことを提案するが、それでもヘンデルは満足しない。その真剣な話し合いの場に、学校の洗濯係を勤めるジェイミーの母がやってきて、ジェイミーを救ってくれとスウィフトに頼み込む。スウィフトは半分ボケていて、以前に母と交した約束を忘れているようなので、母は、ヘンデルに泣き落としで迫る。うんざりしたヘンデルは、スウィフトに、ジェイミーを牢屋から出し、かつての約束通り、ジェイミーを学校に入れさせるよう説得する。ジェイミーは牢屋から出されて学校に連れて来られたが、そこは、金持ちの子弟が入る私立学校で、字も満足に読めないジェイミーは笑い者にされる。おまけに、生徒兼雑役夫としての入学なので、生徒代表のトビー・ビントンという生徒は、立場を利用し、ジェイミーを辱めて喜ぶ。怒ったジェイミーが、トビーに飛び掛ると、すぐに退学させようと校長のところに連れて行かれる。しかし、そこにいたのはヘンデルで、一度、ジェイミーが床拭きをしながら歌っているのを聞いたことがあるので、チェンバロの前で歌わせる。すると、その歌声は、ダブリン中のどの聖歌隊の声より素晴らしかった。ヘンデルは、学校に残るのを嫌がるジェイミーに、自分が如何に苦労し貧しかったかを心を割って話し、信頼を獲得する。ヘンデルが守っているので、トビーは手出しができなくなる。しかし、コンサートが近づいたある日、母は、借家の家賃を盗まれ、債務者の監獄に入れられてしまう。ジェイミーは、母の名誉のために、そのことを口に出さず、母がやっていた洗濯を、夜中に、ヒューと一緒にこなす。お陰で、疲労がたまり、いつも眠っているようになる。ジェイミーが毎晩出かけることを知ったトビーは、後をつけ、洗濯場で、ジェイミーがヘンデルの金の懐中時計を見つけたのを見て、悪巧みを思いつく。トビーは、ジェイミーが早朝戻って眠ると、“ヘンデルに返そうとポケットに入れてあった” 時計を盗み、“母を釈放させようと貯めていた洗濯の手間賃” の中に自分の金の指輪を入れる。そして、警官を呼び、ジェイミーが生徒たちからお金を盗んだと訴え、その証拠が自分の指輪だと主張する。そして、ヘンデルの時計は泥棒市で売ったのを見た、と嘘の上塗りをする。ジェイミーは逮捕・投獄される。公演が迫る中、ジェイミーの無実を信じるヘンデルは、ヒューから真実を聞き出し、トビーの嘘を暴き、ジェイミーを救い出す。ジェイミーの加わったメサイアの初演は、大成功に終わる。

ジェイミー役は、モントリオール出身のトッド・フェネル(Tod Fennell)。1984年10月18日生まれ。出演時は恐らく11歳。トッドは、今でも現役で活躍するTV俳優。映画への出演は子役時代のみ。その中で、主演しているのは、この映画と『Kayla (ケイラ)』(1997年)。後者は、日本でDVDも発売されている。ジェイミーは、映画の中で、美声を披露するが、残念ながらそれは吹替え。実際に歌っているのは、クリストファー・ベル(Christopher Bell)。もう一つ残念なことは、映画の最後の演奏会では、クリストファー・ベルが歌っておらず、大人の合唱しか聞こえない。なぜ、こんなことをしたのだろう? せっかくのラスト・シーンが台無しだ。


あらすじ

辺鄙な田舎道を、ヘンデルを乗せた4頭立ての馬車が走る。ダブリンまで3マイルの石標を通り過ぎる〔ダブリンは、18世紀の初めからアイルランド随一の港湾都市として発達してきた。ヘンデルがアイルランドに行ったのは1741年なので、なぜヘンデルが他所から馬車でダブリンに向かっているのかが分からない。ロンドン港から帆船で直接ダブリン港に向かうはずだ〕。馬車は何度も穴ぼこに入って大きく揺れ、ヘンデルは御者に怒鳴るが、それは、イギリスではターパイクが整備されていて穴ぼこに慣れていなかったからかも。一方、10歳のジェイミーは教会の尖塔近くの街角に樽を置き、その上に立ってきれいな声で歌っている。歌声に感心した通りがかった紳士が、ジェイミーのトリコーン(三角帽子)に小銭を入れ(1枚目の写真、矢印は逆様にした帽子)、巧いぞとばかりにトンと肩を叩いてくれる。ジェイミーの前に立って、ずっと歌を聞いていた紳士も、ポケットから財布を出してお金を入れる。それだけで、十分 小遣い稼ぎにはなるのに、ジェイミーの小さな仲間のヒューは、金を入れてくれた紳士のポケットから財布を抜き取ろうとする(2枚目の写真、矢印)。それを警官が見つけ、「こら、お前、何してる?」と怒鳴ったので、ヒューは、ジェイミーに、「ジェイミー、逃げろ!」と余分なことを叫んで、逃げ出す〔なぜ、ジェイミーに叫んだのだろう? 自分1人で逃げれば、ジェイミーを巻き込まずに済んだのに?〕。ジェイミーは、「ショーは終わりです」と言って(2枚目の写真)、樽から飛び降り、リンゴを1個かっぱらって逃げる。2人は、壁の陰に隠れて警官をやり過す。
  
  
  

2人は壁から出ると、すぐ横で商売をしていた鶏屋の前に行く。ジェイミーは、「おいらの母さんが、スープ用に、すごくおいしいチキンを買って来いって言ったんだ」と話しかけ、ヒューが、「『チキンを選んどいで〔Pick a chicken〕、ジェイミー』 って言ったんだよ」〔pickには、“盗む” という意味もある〕と付け加える。鶏屋は、「まさにぴったりの場所に来たな」と言う。「どうやって、スープ用のチキンを見分けるの?」(1枚目の写真)。鶏屋は、鶏の説明をしながら(2枚目の写真)、近くの籠に行くが、その隙に、ヒューが、置いてあった鶏をつかみ取る。「おい、何をする! 寄こせ!」。ヒューは、すぐに鶏をジェイミーに投げる〔ここでも、ジェイミーのせいにする〕。受け取ったジェイミーは全速で逃げ出す(3枚目の写真)。気付いた警官も鶏屋と一緒に追いかける。
  
  
  

その時、ヘンデルを乗せた馬車が通りに入って来る。ジェイミーは、後ろに気を取られ、馬に衝突しそうになる。馬車は急停止し、外に出て来た巨漢のヘンデルに、ジェイミーは正面からぶつかって跳ね返され、路面に倒れる(1枚目の写真、矢印は盗んだ鶏)。ジェイミーが体を起こして見上ると(2枚目の写真)、ヘンデルが怖い顔で見ている。ジェイミーは、すぐに、鶏屋と警官に捕まる。「放せよ。何もしちゃいない」。鶏屋は、帽子を取ると、ヘンデルに向かい、「大したもんですね、旦那。お陰で現行犯で捕まえました。お怪我は?」と尋ねる(3枚目の写真)。「ありがとう。若い頃は良かったよ」。ジェイミーは、「盗んじゃいない! 手に飛び込んできたんだ。ほんとだよ」というが、そのまま警察に連れて行かれる。ヘンデルは、路面に落ちていた鶏を拾うと、馬車に放り込む。
  
  
  

ジェイミーの母は警察に駆けつけ〔ヒューが知らせた?〕、他の罪人と一緒に鎖につながれた息子を前に、担当者に、「寛大な措置はないのですか? まだ子供なのよ」と訴え(1枚目の写真)〔相手にされない〕、息子には、「どうしたのよ、ジェイミー。考えてもごらん。オフラハーティ家の者が牢屋行きだなんて」と言う。「お腹が空いたから盗んだんだよ」。「父さんだって、いつもお腹空かしてたじゃないの。息子のためにと昼も夜も頑張ったのよ」。「でも、貧乏人のまま死んじゃった。母さんも、うんと働いてるのに、おいらのお腹はペコペコ」。「正直に生きてるからよ」。「必要なら、何度だって盗むよ」。「神様、お許し下さい」。「おいらのことなんか忘れてるさ」。そして、牢屋の扉は閉められる。その頃、ヘンデルは、スウィフトによって案内された聖パトリック大聖堂と聖歌隊に、いたく不満足。スウィフトは、「ウェストミンスターには敵いませんが、ダブリン最高の教会です」と自慢するが、ヘンデルは、「煉瓦とモルタルには感心しませんし、そこでニャーニャー泣いている野良猫たち〔聖歌隊のこと〕にはがっかりしました」と厳しい。スウィフトが、「ヘンデルさん、私には素晴らしい歌に聞こえますぞ。無論、私は片耳しか聞こえませんが」と弁解すると、「私は、両耳とも完璧に機能しています。牛のモーモーや、ロバのいななきや、雌鶏の甲高い鳴き声は聞こえますが、聖歌隊など聞こえませんな」と、さらに厳しく言う。「どこかに隠れているのですかな? なら、それを連れて来て下さい。私は、新しいオラトリオをちゃんと歌って欲しいのです」。その時、スウィフトにまとわりついていたジェイミーの母が、必死に息子のことを頼もうとするが、「後で」と追い払われる。ヘンデルはスウィフトに、さらに文句を言い続ける。「私は、魔術師ではありません。オラトリオは、下手くそなチューチューやガーガーでは務まりません。ちゃんとした声が必要です。それも、とても たくさんの声が」。スウィフトは、ダブリンにあるクライストチャーチ大聖堂の首席司祭を説得して2つの教会の聖歌隊を合同させたら素晴らしいと提案し、ヘンデルもその提案に満足する。暗くなり、ヒューが牢屋の明かり取り窓から、口笛を吹くと、鎖に繋がれてワラの上に座っていたジェイミーは、ヒューだと気付く(2枚目の写真)。立ち上がって覗くと、窓の向こうに小さくヒューの姿が見えた(3枚目の写真)〔ヒューは街路にいるので、牢屋が地下にあることが分かる〕
  
  
  

ヘンデルが、聖パトリック大聖堂でチェンバロを弾いていると、横では、ジェイミーの母がすすり泣いている。しかも、チェンバロは調律がされていない。ヘンデルは、「なんで、私はここにいる? 神は私を見放したのか」とチェンバロに文句を言い、次いで、大声で、「マダム、泣きじゃくるのはやめて欲しい」と母に文句。「ごめんなさい。息子のことなんです」。「私に、あんたの息子のことまで心配させる気かね? 私のモットーは、『子供を育てるより、鶏を飼え』ですぞ。鶏なら育てば食べられるが、小さな怪物は面倒を起こすだけですからな」。母は、聖パトリックの首席司祭、兼、教会の学校長のスウィフトが、約束を忘れてしまったと訴え、「あなたは、親切そうな方に見えます」と好意にすがろうとする。ヘンデルは、「私は、親切なんかではない。意地悪で鬼のようで、それを楽しんでいる」と否定する(1枚目の写真)。しかし、それを聞いた母が泣き出すと、「もし、スウィフト校長にあんたの何とやら〔whatshisname〕君を助けるよう進言すれば、立ち去ってくれるかね?」と訊く。母は、感謝の言葉を述べた後で、「お礼の代わりに、あなた様の服をタダで洗濯致します」と言い出す。「服を?」。「タダで」。「洗濯用の糊なしで?」。「一滴たりとも」。「真っ白に?」。「百合のように白く」。ヘンデルは、「何でこんな? 私は手一杯なんだ。ダメダメダメ。他のことができん。無理だ」と喚いた後に、「1人と言ったね?」と訊く。「まだ10歳です」。「私の首を絞めないと誓うか?」。「どうか、息子にチャンスを与えて下さい。今まで、一度も与えられてきませんでした」。この言葉で、遂に、ヘンデルは折れる。母は、「あなた様に神のお恵みがありますように。ありがとうございました」と感激する(2枚目の写真)。そして、牢屋から釈放されたジェイミーは、母と一緒に教会学校に行く(3枚目の写真)。自分の意志には反するので、嬉しそうな顔ではない。
  
  
  

母は、通りがかったスウィフト校長を呼び止める。そして、「ジェイミーについて、以前ここでおっしゃったことを覚えておられますか?」と訊く。校長は、完全に忘れていたが、それでも何とか思い出す。そして、横にいた小太りの威張った感じの少年に、「トビー、ジェイミー・オフラハーティに会って欲しい」と声をかける。そして、ジェイミーには、「彼は、トビー・ビントン、生徒代表だ」と言う。母は、「ビントン一族、まさか!」と驚く。トビーには、「ジェイミーの父さんは、あなたの父上の製粉上場で働いていましたのよ」と敬うように言い、息子には、「すごいじゃない、ジェイミー。あのビントン一族と同じ学校なのよ」と鼓舞するように言う。ジェイミーは白けた顔をしている。母は息子を突き、「お坊ちゃまに挨拶なさい」と言う。ジェイミーは、渋々、「今日は」と言っただけ。その後の校長の発言が非常に気にかかる。「トビーは、君の監督生だ。トビーが、規則を全部教える。授業には出てもらうが、働いてもらわねばならん。トビーが割り当てをすべて指示する」。ここは、紳士の子供しか入れないような学校なので、無料で入れてもらう代わりに働けという訳だ。ジェイミーは100% トビーの支配下におかれる。彼が、意地悪な生徒なら、ジェイミーの学校生活は惨めなものとなる〔トビーは、単なる意地悪ではなく、悪魔だった〕。始業の鐘が鳴り、校長は、「お母さんと別れなさい」とジェイミーに言う。ジェイミーは、「こんなところにいたくない。おいら、いい子になるよ。おいらだと分からないくらい」と逃げようとするが、母は、「あなたは、私にとって、すべてなの。この機会を生かして。お願いだから、頑張って。母さんのために」と言う。授業が始まるので、トビーは、「行くよ、ジェイミー君、授業に遅れてしまう」と、丁寧に声をかける(1枚目の写真)。しかし、校長と母親に声が聞こえない所まで来ると、「お前みたいな奴は、ここの生徒になれるもんか」と、さっそく牙を剥く。授業が始まっている教室に2人で入って行くと、トビーは、「済みません、先生、新しい子です。スウィフト校長に連れて行くよう言われました」と言い、ジェイミーを教壇に向かって突き飛ばす。教師は、名前を訊き、ジェイミーは、「ジェイミー・オフラハーティです」と答える(2枚目の写真)。「君の知識を知りたい。ウィリアム・シェイクスピアは知っているな?」と質問する。「いいえ。知りません、先生。この町に住んでる人ですか?」〔125年前に死んでいる〕。生徒達が笑う。教師は、間違いを指摘した上で、教壇の本の20ページを開かせ、読むように言う。「その… ゆぅ… めぇ…」。「“ゆぅ・めぇ” じゃない、“夢”。“夢” だ」(3枚目の写真)。「その夢、夢」。「二度じゃない、一回だ、“夢”」。「その夢というのが、の… こころ…」〔その夢というのが、野心にあたるでしょう/『ハムレット』第二幕 第二場〕。またしても、生徒達は大笑い。
  
  
  

通りで、ジェイミーの母に会ったヒューは、おねだりして、学校の洗濯に一緒に付いて行く。学校では、ジェイミーが階段を雑巾で洗いながら、歌っている(1枚目の写真)。その声を聞いたヘンデルが、幸せそうな顔をして脇を抜けて階段を上がって行く。代わりにやって来たのが、トビーと手下の3名。トビーは、「まだ終わってないのか、雑用係? しっかり働け、のろま」と叱る。その時、ジェイミーの母が階段を降りてくる。トビーは、ジェイミーに、「誰が来るか見てみろ、のろま。年取った洗濯女だぞ」と小さな声で言う。母親には、「今日は、オフラハーティさん。今、ジェイミーに、『君のお母さんは何てきれいなんだ』 と話していたところです」と、出まかせを言う(2枚目の写真)。トビーは、ジェイミーが、階段を磨くのに手間取っていると言った上で、「そうだ、あなたは、こうしたことの専門家ですよね。手本を見せてやっていただけませんか?」と母に床みがきをさせる。ジェイミーにとっては屈辱でしかない。トビーは、「芸術ですね」とうそぶき、母親が、「面倒を見てやって下さいね」と言って去ると、「面倒を見てやるとも」と言い、ジェイミーが作業に使っていた桶を蹴り、中の汚水をぶちまける(3枚目の写真)。「なんだ これは、のろま。初めから やり直せ」。
  
  
  

頭に来たジェイミーは、トビーの胸ぐらをつかむと、壁に押し付けるが(1枚目の写真)、すぐ3人に引き剥がされ、逆に壁際に押し付けられる。トビーは、「お前は、終わりだ。オフラハーティ」と言うと、ジェイミーをつかみ、退学を宣告してもらおうと校長のところに連れて行く。教会では、ソプラノのソリストが、自分が目立とうと曲の雰囲気を無視して “がなる” ように歌い、ヘンデルは烈火のごとく罵る。スウィフトは、「これは、些細で遺憾な芸術上の見解の相違です」と とりなすが、ヘンデルは、「些細ですと! 巨大、いや、超巨大ですぞ!」と喰ってかかる。「もっと歌手を。スウィフト、約束したじゃないか。もっとアルトを、もっとソプラノを。何もかも足りん!」。そこに、トビーがジェイミーを連れてやって来る。「誰なんだ? あんたが約束した歌手なのか?」と、笑うが、ヘンデルはジェイミーの顔を思い出す。「君… そこの顔の汚れた子… 階段をごしごし洗ってなかったか?」。「はい」(2枚目の写真)。「歌ってたな」。校長:「彼が? 歌えませんよ」。ジェイミー:「歌えるよ」。トビー:「黙ってろ」。ヘンデル:「こっちにきて、歌ってみてくれ」。そして、チェンバロで短いメロディーを弾く。ジェイミーは、初見で、伴奏なしで、美しい声で歌う【⇒歌】(3枚目の写真)。それを聞いているヘンデルの顔が変わり、喜びに満ち溢れる。「ほんとうに歌える」。校長は、「洗濯女の息子で、鶏を盗んだんですぞ」と笑いながら言い、「ヘンデルさん、ずるいですぞ。このことを承知でこの子を牢屋から出させたんですな」と言うが、そんなことは、真の歌い手を見出して喜びに震えるヘンデルの耳には入らない。「遂に、歌い手が手に入った」。
  
  
  

その日の夜、ジェイミーが、自分のベッドの前に置いてある大きな鉢に、洗顔用の水を注いでいると(1枚面の写真、左側列の端っこがジェイミーのベッド)、生徒たちが口ずさみながら行進しているのが聞こえてくる。「のろまを黙らせろ!」。危機感を覚えたジェイミーは、策略を考える。トビーを先頭に、寝室中の生徒達がジェイミーのベッドの前までやってくる。ジェイミーの毛布は、中に彼が入っているように膨らんでいる。トビーは、「あいつを、引きずり出せ」と命令する。しかし、毛布をはぐと、中にあったのは丸めたシーツだけ(2枚目の写真、矢印)。その時、反対側上方から、「おいらを捜してる?」と声がし、ジェイミーがシーツを掲げ(3枚目の写真)、それをトビー達の上に投げつける。
  
  
  

ジェイミーは、テーブルから飛び降りると、ベッドの下を転がって、部屋を逃げ出す。無勢に多勢だが、そこは手慣れたジェイミーの方が上。トビーは、戸棚に隠れていると思い、開けてみるが中にいなかったので、「くそ! どこにいるんだ、のろま! 出てきて顔を見せろ!」と怒鳴る。その声は、ヘンデルの部屋まで届く。ジェイミーは、カーテンの下からわざと靴2足を出す。それを見つけた生徒がトビーに教え、トビーがこっそり前まで行ってカーテンを開けると、それを待っていたジェイミーが、トビーの頭目がけて羽根枕を叩きつけ(1枚目の写真)、2発目で床に倒す。ジェイミーは、すぐ逃げ出すが、他の生徒が体当たりし、一群に囲まれて、ピンチに(2枚目の写真)。立ち上がったトビーが、ジェイミーの肩をつかみ、「のろま、お前が来たゴミの山に戻れ」と言い、ジェイミーが「やれるもんなら、やってみろ」と強がった時、ヘンデルの声が響き渡る。「お前たち、やめんか!」。校長より偉い人なので、トビーも引き下がらざるを得ない。ジェイミーは、ヘンデルの前に行くと、「ケガぐらい平気だよ」と言うが、ヘンデルは、「ケガのことなど心配していない。だが、顎をやられたら、私は最高の歌い手を失う」と言い、生徒達を睨むと(3枚目の写真)、ジェイミーを自分の部屋に連れて行く。これで、ジェイミーに面と向かって手を出すことはできなくなった。
  
  
  

ジェイミーは、そのまま学校の門を出て、逃げ出そうとする。ヘンデルは、止めようとするが、ジェイミーは、「行かせてよ。こんなとこ戻るもんか」と反撥する。「君は、泥棒かもしれんが、情熱がある。素晴らしい声を持っている。私には、それが必要だ」(1枚目の写真)。「おいらのことなんか、どうだったいいんだ。みんなそうだ」(2枚目の写真)。「どう思おうが勝手だ。私はやめさせん。来るんだ」。ジェイミーは、圧倒的に大きなヘンデルに部屋まで連れて行かれる。ヘンデルは、カツラを脱いでラフな感じになると、ジェイミーに食事をさせる。ジェイミーは、自分のことを話す。「父さんは、ビントンの製粉工場で働いてた。夜になると、一かどの人間になろうと、読み方を勉強してた。それでどうなった?」。ここで、ヘンデルは、ジェイミーにもっと食べろと言い、女中にホットチョコレートを持って来させる(3枚目の写真)。「母さんの話だと、父さんはへとへとになって、どんどん弱っていったんだ〔burnt the candle at both ends〕。おいらが小さい頃、死んじゃった。だから、おいらとヒューは、街に出てくしかなかったんだ」。「それで牢屋行きになった」。「おいらは、もう、学校には戻らない。最初の定期船に潜り込んでロンドンに行くんだ」。「お母さんは? 胸が張り裂けるぞ」。
  
  
  

ここから、ヘンデルの長い話が始まる。重要なので、そのまま訳そう。「ジェイミー、君の歌い声は素晴らしい。しかし、声はそれだけじゃない。心の声がある。何が正しくて、何が間違ってるかを教える声だ。真実を言ってくれる声。君は、それを見つけねばならん。そして、その声にじっと耳を傾けるんだ。サギ師や泥棒になって、一生を牢屋で終わらせるな。心の奥底の声を信じて、将来を任せるんだ」。「貧乏人には、将来なんかない」。「貧しさは、無関係だ。私は、君が思ってるような金持ちじゃない。少し前まで、債務者の監獄に怯えていた」。「あなたが?」。「そうだ。私がだ。私は、債権者に返済しようと ぼろぼろになるまで働いた。体も壊した。どん底まで落ちた〔I hit rock bottom〕。私は、長い間、心の声を無視してきた。心の底にある音楽をだ。自分ではなく、聴衆を喜ばせようとして、酷い目に遭った〔I paid dearly for it〕。批評家は、容赦なかった。債権者は、門前の狼のようだった。そして、出し抜けに〔out of the blue〕、ダブリンから新しい曲の依頼があった。これは、私にとっての ラスト・チャンスだろう。時として、事は容易ではない。怖いかもしれんが、心の声には耳を傾けないといかん」。「あなたが、怖いの?」。「死ぬほど怖い。だが、私は、新しい曲で、勇気と信念を試すことになる。『メサイア』だ」。「でも、もし、結局は、その声が間違っていたら? 新しい曲が良くなくて、みんなに嫌われたら?」。「いかなる場合にも、チャンスはある」。「でも、もし…」。「『でも、もし』など、どうでもいい。君は、地の果てまで逃げたっていいし、極貧にだって、あるいは、王者のようにもなれる。だが、もし、君が、自分を信じていなかったら、幸福に手が届くことは絶対にない」(1枚目の写真)。最後に、ヘンデルは、「君は、そうと決心すれば、朝一番で定期船に乗ってもいい。私は止めん」と言う。そして、チェンバロの前に座ると、曲を弾き出す。すると、その曲に合わせてジェイミーが口笛を吹く。「メロディーが頭に入ってるな」。ジェイミーは、横に置いてある楽譜を見て、「これは何?」と訊く。「音符だ。これで、音楽を他の人も読める」。「ヘンデルさん、もし、おいらが学校に残れば、楽譜のこと教えてくれます?」。「いいとも。もし、君が聖歌隊に残り、私を “自分が歌手だと思って吠えるハイエナども” から救ってくれるならな」。この冗談に、ジェイミーも思わず吹き出す。「私が要求することは容易(たやす)いことじゃないぞ。だが、やってくれるなら、私は君を守ってやる。それでいいか〔Is it a bargain〕?」。「いいです」。2人は握手する(2枚目の写真)。次のシーンでは、2つの大聖堂の聖歌隊の中央に陣取ったヘンデルの横に立ったジェイミーが、美しい声を聖堂内に響かせる【⇒歌】(3枚目の写真)。
  
  
  

街のじゃがいも売りの前で、字の読める主人が新聞を客に読み聞かせている。「『メサイア』と呼ばれるオラトリオの新作を発表するヘンデル氏の才能には疑いが持たれている」。これを聞いたジェイミーの母は、「嫉妬した能無し〔good-for-nothing〕の輩(やから)よ! ヘンデルさんは、本気になれば、何でもできるのよ」と、助けてもらったお礼をぶつける。しかし、その後が、悪かった。息子が活躍するのでルンルン気分の母は、脇が甘く、滞納した家賃を返そうと思って持っていたお金を、辻強盗に狙われて全額盗まれてしまう。ジェイミーが母に会いに家〔借家だった〕まで行くと、ドアは材木で塞がれ、そこに、「貸家」と書かれている。「どうなってるの? ここ、おいらの家だよ」(1枚目の写真)。「もう違う。お前の母親は、家賃を払おうとしなかった。今は、債務者の監獄だ」。ジェイミーは、すぐに監獄に行き、門番に、「母さんはお金持ってた。盗まれたんだ。母さんの責任じゃない。会わせてよ」と頼む(2枚目の写真)。しかし、門前払い。その後、街に貼られたメサイアの予告の紙に、「完売」と手書きされているのが映る。学校の階段のところでジェイミーを見かけたスウィフト校長は、「君のお母さんに、私のフリル付きのシャツのことで訊いてくれ。昨日届けられるはずだった」と話しかける。「はい、訊いてみます」。その夜、ジェイミーは、生徒達がベッドに入ると、こっそりと抜け出す。隣で寝ていたトビーがそれに気付く。ジェイミーは、地下にある巨大な洗濯場に行くと、溜まっていた洗濯物を巨大な桶にいれて洗う(3枚目の写真)。1人で作業をしていると、ようやくヒューが現れる。「遅いぞ」。「ずっと走って来たけど、真っ暗な中で柵を登るの簡単じゃなかった」と言い、さらに悪いことに、手伝うどころか、置いてあった下着をはいて遊ぶ。ジェイミーは、「ヒュー、やめろ。それは、ヘンデルさんの下着だ」と言うが、ヒューは無視して笛を吹いて踊り出す。それにつられてジェイミーも踊ってしまい、アイロンをかけていたことを忘れ、ヘンデルの大事な式服を焦がしてしまう〔映画の最初から、ヒューはロクなことをしてこない〕
  
  
  

一晩中作業したジェイミーがくたびれてベッドに戻ってきて、いざ眠ろうとすると、すぐに朝を知らせる鐘が鳴る。ジェイミーは一睡もできないまま体を起こすと、両手で顔を覆い、眠くてたまらない目をこする(1枚目の写真)。次のシーンでは、ヘンデルが、真ん中に穴の開いた式服を渡され、ジェイミーに、「これは何だ?!」と文句を言う。「ジョージ・フリードリック・ヘンデルは、『メサイア』の初演に日に、穴の開いた式服を着なければならんほど落ちぶれてしまった」。「母さんは、二度としませんと言って、心から謝っていました。それと、ここに来られないのに、お支払いいただけるか、心配していました」(2枚目の写真)。校長は、「穴を開けておいて支払えだと?」と呆れるが、ヘンデルが、何も言わないので、コインを3枚渡し、「お母さんに言うんだな。仕事が、前より、雑になってるぞ」。校長は、さらに文句を続けるが、ジェイミーは、新たな洗濯物を詰めた籠を持つと、さっさと階段を降りて行く。それを見た校長は、「彼、元気がないな」と心配するが、ヘンデルは、楽譜に専念していて気付かない。夜になると、ジェイミーは、洗濯で稼いだお金を袋に入れ、それを小さな木箱に入れてベッドの下に置く。そして、また、洗濯場に向かう。その様子をトビーが見ている。そして、大聖堂内でのメサイアの練習。2つの大聖堂のソリストが、敵意を剥き出しにし、曲を無視して互いに大声をはりあげて競って歌う。そして、お互いに罵り合う。「彼女の方が私より音符が多いわ。観客を独り占めする気よ〔She's hogging the limelight〕!」。「貪欲なのは〔calling a hog〕そっちでしょ!」。ヘンデルは、「2人とも、音符の数は同じですぞ! 口論をやめないなら、お2人のパートをジェイミーに割り振りますぞ!」と怒り、ジェイミーの方を見ると、よりによって気持ちよく眠っている(3枚目の写真)。そこで、ヘンデルは、怒って、「ジェイミー・オフラハーティ!」と叫び、ジェイミーは飛び起きる。
  
  
  

次の夜も、ジェイミーは洗濯場に出かける。今度は、トビーが後をつけてくる。ヒューは、床に落ちていた懐中時計を見つけ、「ねえ、これ見て。金だよ! 質に入れりゃ大儲けだ!」と言う。ジェイミーは、「忘れろ、ヒュー。それは、ヘンデルさんの金時計だ」と断る。ヒューは、「そりゃ気の毒に。見つけた人がもらう人。なくした人は泣きをみる〔Finders keepers, losers weepers〕」と、未練タラタラ。ジェイミーは、「忘れろ、って言ったろ。ちゃんと返すんだ」と言い、ヒューから時計を取り上げると 自分のポケットにしまう。それをトビーが物陰から見ている(1枚目の写真)。早めに洗濯を終えたジェイミーが、ベッドに戻ってぐっすり眠っていると、①トビーは、ジェイミーの服のポケットからヘンデルの金の懐中時計を取り出し、それを自分のポケットに入れる(2枚目の写真、矢印)。②ベッドの下から箱を取り出し、お金の袋の中に、自分の指から抜いた金の指輪を入れる。朝の練習の時間になってもジェイミーが現れないので、ヘンデルは、「あの子はどこだ?!」と怒り心頭。すぐに、ジェイミーの大部屋に向かう。そこでは、校長と警官が来て、大事になっていた。トビーが、「はい、その通りです。こいつは、毎晩こっそり抜け出しては、他の生徒からお金を盗んでいました」。「そんなの嘘だ!」(3枚目の写真)。「こいつは泥棒です。ここに来たのが間違いなんです。こいつ、ヘンデルさんの金の時計を、泥棒市で売ったんです。この目で見ました」。いたたまれなくなったジェイミーは、ヘンデルの前に行くと、「ヘンデルさん、あんなの嘘です。おいら持ってます。返そうと思ったんです。ほら見て」と言ってポケットを探るが時計など入っていない。「昨夜はあったんです」。どうみても、こちらの方が嘘に聞こえるので、警官は、「嘘は聞き飽きた、オフラハーティ。逮捕する」と言い、ジェイミーを連行する。ヘンデルは、「信じられん。信頼していたのに。私から盗むなんて」と半信半疑。
  
  
  

ヘンデルは、相談しようと、すぐに、ジェイミーの母の家に駆けつける。ヘンデルには、木の板も、「貸家」の文字も目に入らない。ドアを叩き、「オフラハーティさん、開けて!」と叫ぶ。すると、背後で、「もう、そこにはいないよ」と声がする。そこにいたのは、ヒュー。「どういうことだ? いない? じゃあ、どこにいる? 話があるんだ」。「債権者の監獄だよ」。「なぜ、ジェイミーは、私に言わない?」(1枚目の写真)。「知らないよ、ヘンデルさん」。「彼が、母親のことで嘘を付いていたのなら、他のも全部嘘だったのかも。違う。違う。違う。違う。違う。違う。時計だ。トビー・ビントンが言ったのが嘘で、お金を盗んでいないとしたら、私の時計はどこだ?」。「知らないよ、ヘンデルさん」。「じゃあ、何を、知ってる? ジェイミーは、泥棒市で私の時計を売ったのか?」。「違うよ。昨日の晩、おいらたち洗濯場にいたら、時計が床に落ちてたんだ」(2枚目の写真)。「君達2人は、真夜中に洗濯場で何してたんだ?」。「洗濯とアイロンがけ。オフラハーティさんを監獄から出すのに、お金を稼いでたんだ」。「だから、あんなに疲れてたのか」。「おいら、時計を見つけた時、言ったんだ。ジェイミー、金だよ。質に入れようって。でも、だめだって。あなたのものだから。質に入れるなって」。「じゃあ、トビーの指輪は?」。ヘンデルは、からくりに気付く。そして、ヒューを連れて学校まで走る。大声で、「ビントン!」と怒鳴る。「どこにいる、ビントン! この嘘付きの…」。トビーは、ジェイミーの箱の中にあったトランプで、仲間と遊んでいる最中だった。「僕たち、ジェイミーの持ち物の中から、カードを見つけたんです」。「それもベッドの下か、ビントン? 警官に全部渡したんじゃなかったのか?」。トビーはしどろもどろ。「ちゃんと答えろ、ビントン!」。「嘘なんか言ってません。嘘付きはジェイミーです。あいつは時計を盗んで質に入れたんです」。「泥棒市で売ったんじゃかなったのか? どっちなんだ、ビントン?!!」。トビーは、ヘンデルに突きかかり、逃げ出す。ヘンデルは、トビーに追いつくが、トビーは証拠を消そうと、ポケットに入れていた時計を投げ捨てる(3枚目の写真)。ヒューが、その時計をキャッチ。「現行犯だね、ヘンデルさん」。これで、すべてがトビー・ビントンの計略だったとバレる〔この後、映画にトビーは登場しないが、どんな処分が下ったのだろう? こういう心の捩れた少年は、放校処分しかないと思うのだが…〕
  
  
  

ヘンデルは、ヒューを肩に乗せてジェイミーの牢屋に凱旋する(1枚目の写真)〔後ろにいるのは、学校の関係者ではないので、一体誰なのだろう?〕。鎖でつながれていたジェイミーは、にぎやかな音に気付く(2枚目の写真)。牢屋の明かり取り窓からは、ヘンデルが「ジェイミー」と優しく声をかける。彼が、即刻、釈放されたことは間違いない。
  
  
  

メサイアの初演の日、ジェイミーは、1人ヘンデルの横に立ち、美声でオラトリオをリードする(1・2枚目の写真)〔解説で指摘したように、ジェイミーの声が全く聞こえない。これには、腹立ちしか覚えない〕。演奏が終わり、ジェイミーはヘンデルに抱きしめられる〔公演は1回だけではないので、2人はずっと一緒だったと思われるが、その後はどうなったのであろう?〕
  
  
  

    の先頭に戻る                 の先頭に戻る
   カナダ の先頭に戻る            1990年代後半 の先頭に戻る

ページの先頭へ