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Il giustiziere sfida la città 死刑執行人ランボー

イタリア映画 (1975)

アレッサドロ・コッコ(Alessandro Cocco)が脇役で出演した犯罪バイオレンス映画。アレッサドロは、この映画の前年に主演した『La bellissima estate(愛のほほえみ)』(1974)で、日本でも知られるようになったが、現在では本国イタリアでも VHSすら存在せず、その映像を鮮明な状態で観ることは不可能になっている。この時代のイタリア映画は「お涙頂戴」路線を突っ走っていて、『L'ultima neve di primavera(メリーゴーランド)』(1973)、『L'albero dalle foglie rosa(幸せの咲く樹)』(1974)、『Il venditore di palloncini(虹をわたる風船)』(1974)、『Bianchi cavalli d'Agosto(星空の神話)』(1975)、『Questo si che è amore(ラスト・クリスマス)』(1978)などが作られた〔死因は、おもちゃの車の衝突、白血病、麻薬、過労、転落、血液抗体欠落症〕。このうち、『メリーゴーランド』『幸せの咲く樹』『虹をわたる風船』『星空の神話』の4作は何れもレナート・チェスティエ(Renato Cestiè)の主演だが、すべて現在入手不可能の状態。最後のスヴェン・ヴァルセッキの『ラスト・クリスマス』は、このサイトで紹介済み。このような作品群は、観客を悲しませるためだけの作為的な筋書きが時代に即さないとしてDVD化されなかったため、VHSが作られていたとしても画質が経年劣化し観るに耐えなくなってしまっている。そんな中、この犯罪映画は、アメリカで『Syndicate Sadists』と標題を変え、英語に吹き替えられ、ブルーレイまで販売されている。お陰で、誘拐される少年という脇役でも、アレッサドロの姿がはっきりと見ることができる。まお、参考までに、下に、日本で公開された4つの映画のアレッサドロとレナートを、年代順にまとめたものを示す。レナートとスヴェンは売れっ子の子役だったが、2人ともイタリア人には珍しく きれいな金髪の持ち主だった。アレッサドロが一番可愛いと思うのだが、2作で終わってしまったのは茶髪だったからだろうか?
   

映画の最初の10分。久し振りに故郷のミラノに帰ってきたランボーが兄ピーノのアパートを訪れる。兄は警官をやめ、Mondialpolという総合警備会社に勤めていた〔1927年に設立された実在する大手の警備会社〕。そして、10分52秒から約30秒、ジャン=ピエロの誘拐シーンがいきなり挿入される。この誘拐を一面に載せた新聞の見出しは、「Rapito il figlio del costruttore Marsili(開発業者マルシーリの息子、誘拐さる)」。身代金は何と20億リラ〔当時の約9億円=現在の18億円に相当〕。ピーノは、この誘拐が、ミラノを牛耳るシンジケートのボス、コンティの仕業だと考え、ランボーの「危険だから警察に任せておけ」という助言を無視して内偵を始め、殺し屋に撲殺される。復讐を誓ったランボーは、兄を殺した男を厳しく問い詰めてジャン=ピエロが囚われている場所を訊き出す。そして、コンティに敵対するもう1つのシンジケートのボス、パテルノを訪れ、10%の報奨金で、ジャン=ピエロの隠し場所を教えると提案する。パテルノが少年を奪取すれば、コンティが困り、ひいてはパテルノの得になるというストーリーだ〔この時にもらう札束は結構薄い。最高額紙幣は50万リラ札なので、20億の10%だと400枚になるのでもっと分厚いはず〕。しかし、パテルノの息子で 組織を牛耳っているチッチョは、ランボーの提案に不満で、手下にこの報奨金を奪い返そうとさせる。ランボーは、そんな手下など簡単に片付ける。次に、ランボーはジャン=ピエロが囚われている工場を、「ボスに会いたい」と言って訪れる。普通なら会うはずはないのだが、ランボーの堂々・飄々とした態度に、何か裏があるかもしれないと思った手下は、ボスに会わせる。ランボーがボスに工場の警備について のらりくらり話していると、ランボーの予想通り、パテルノ一家が大挙して工場を襲う〔何といっても、20億リラは魅力〕。混乱に乗じてランボーはジャン=ピエロが閉じ込められた部屋を見つける。映画が始まって約44分。ジャン=ピエロはランボーによって一旦は救出されるが、すぐにコンティに見つかり、危うい所でランボーは逃げ、ジャン=ピエロは再び囚われの身となる(約2分間のシーン)。コンティとパテルノは、ランボーに騙されたことで結託し、ランボーをおびき寄せて銃弾を浴びせるが、一見死んだかのように見えたランボーは防弾チョッキのお陰で無事だった。ここからがランボーの見せ場。コンティを襲い、銃を突きつけ、マルシーリの家から18キロの道路際にジャン=ピエロを連れて来るよう、電話で部下に命令させる。ランボーが18キロ地点にいるジャン=ピエロを確保するのは1時間10分50秒。そこから映画のラストまでの約17分はジャン=ピエロ役のアレッサドロが最も多く見られる箇所。ランボーの活躍も最も冴え渡る。最後は、ジャン=ピエロを無事家に帰し、自分が関与したことは誰にも言うなと誓わせて、格好良く去って行く。なお、ランボーは、シルヴェスター・スタローンのランボー・シリーズが計5作(5作目は2019年公開予定)作られているが、その第1作が公開されたのは1982年。この映画の方が7年先行している。ただし、シルヴェスター・スタローンの第1作は、1972年のディヴィッド・マレルの同名原作『First Blood』が元になっている。この映画の筋書きは『First Blood』と無関係だが、主役のランボーの名は、『First Blood』から拝借している。


あらすじ(該当部分のみ)

白のBMW1500に4人が乗って道端で待機している。その脇を黒のフィアット132が通り過ぎていく(1枚目の写真)。白のBMW1500は急発進して黒のフィアット132を追う。黒のフィアット132が本通りから逸れ、門の前に乗り付け、運転手が門を開けに下りると、白のBMW1500が突入してきて、4つのドアが一斉に開き、顔の下半分を布で覆い拳銃を手にした4人が飛び出してくる。それを見て驚くジャン=ピエロ(2枚目の写真)。運転手は殴られて倒れ、ジャン=ピエロは「パパ、助けて〔Aiuto, papa〕!」と叫びながら、連れ去られる(3枚目の写真)。叫び声を聞いた父は、窓を開けてその瞬間を目撃し、すぐに警察に電話をかける。その時、自分のことを「L’ingegner Marsili」と言っている。技術者という意味だが、後で出てくる新聞記事では「costruttore」となっている。開発業者が技術者でもいいのだが、20億リラもの身代金を払えそうな職業とは思えない。家はイタリア貴族のヴィッラのように立派なので、職業ではなくマルシーリ家が代々金持ちなのであろう。
  
  
  

ランボーの「喧嘩両成敗作戦」で、パテルノ一家がジャン=ピエロを奪おうと工場を襲い、工場内には機関銃の音が鳴り響く。ジャン=ピエロが目隠しをされて監禁されている部屋では、見張りが何事かと不安になり(1枚目の写真)、ドアを開けて様子を見る。見張りは、その時ちょうど近くまで来ていたランボーにより射殺される。ランボーはドアを開けて中に誘拐された少年が拘束されているのを発見すると(2枚目の写真)、ドアを閉めて駆け寄り、目隠しを外しながら、「怖がるんじゃないぞ、ジャン=ピエロ。君は知らんだろうが、俺の名前はランボー。君を助けに来た」と話しかける(3枚目の写真)。「家に連れてってやる。すぐママやパパに会えるぞ」。ランボーが、ジャン=ピエロの手を縛っていたロープをほどいた時…
  
  
  

ドアの外に見張りが死んでいるのを見つけた仲間がドアを開け、棒を振り上げて襲いかかってくる。ランボーは簡単に受け止め(1枚目の写真)、2発の強烈なパンチと1発の蹴りで敵を昏倒させる(2枚目の写真)。「さあ、行くぞ」。ランボーは金属製のフレームを見つけてガラス窓を壊し(3枚目の写真)、そこから脱出しようとするが…
  
  
  

そこに、人質が心配になったコンティがやってきて(1枚目の写真)、銃を向け、「そこを動くな」と命令する。「ガキから離れろ。5秒やる。でないと、ガキを撃ち殺す」と脅す(2枚目の写真)。「ジャン=ピエロ、こっちに歩いて来い」「早く来んか」。それでも、ジャン=ピエロはランボーから離れない。コンティ:「そうか。最初はガキだぞ」〔射殺するという脅し〕。ランボーは、「言われた通りにしろ。俺はまた戻ってくる。心配するな」とジャン=ピエロに囁く。「ランボー、行きたくないよ」。「行くんだ」。ジャン=ピエロがコンティに向かってゆっくり歩き出した時、パテルノの部下が入ってきてコンティに撃ち殺される(3枚目の写真)。この一瞬の隙を利用して、ランボーは壊した窓から無事に逃げ出す。ジャン=ピエロは再び囚われの身となった。
  
  
  

殺されたピーノのアパートを訪れていたランボーを襲ったコンティは、ランボーを射殺したと思い安心する。マルシーリに、ジャン=ピエロの声の入ったテープを送りつける。「僕は大丈夫だよ。どこもケガしていない。だけど、すごく怖いんだ。ずっと閉じ込められてる。お願い、家に帰りたいよ。助けて、パパ」。そして、身代金は25億リラに引き上げられる。ランボーは、コンティの後をつけ、妾のマンションのベランダから侵入し、ベッドで横になっているコンティの前に現れる。殺したはずのランボーを見て呆然とするコンティに、ランボーは、銃を向け、「今すぐあの子を解放したい。手下に電話しろ」と命令する。拒否するコンティに対し、ランボーは、「人生とは穴みたいなもんだ。穴から生まれ、穴から食べ、穴からクソをし、穴ん中で朽ち果てる。この銃身は、貴様を最後の穴に送り込む」と静かに告げる。そして、「弾倉にはダムダム弾〔貫通しないで中で破裂する弾〕が入れてある。こいつを貴様の脳に撃ち込んだら、壁を塗り直さんとな」と言って、撃鉄を起こす。少し前に「殺した」男が淡々と言う言葉には凄みがある〔言う通りにしなければ必ず殺される〕。「電話しろ」。コンティは仕方なく電話機を手に取る。「ガキをどうしろと?」(1枚目の写真)。「チェルヌスコの手前18キロだ」。ランボーは、電話機にイヤホンを挿し込み、会話内容を確認する。これで小細工はできなくなる。コンティ:「俺だ。金は受け取った。ガキを、チェルヌスコから18キロの場所に行かせろ。今から30分だ。いいな?」。計画とは違うので相手は何か言った違いない。コンティは、「分かってる。だが、計画変更だ。言われた通りにしろ」と言って電話を切る。その直後、ランボーはコンティの腕に手錠をかける。そして、トイレに妾と一緒に連れて行き、トイレ・タンク〔当時は、天井近くに取り付けられていた〕のパイプに手錠を引っ掛けさせ、片方の手錠を妾の腕にかける。これで2人は動けなくなる。ランボーは便器に小便をし、手錠の鍵を放り込む。ランボーはマンションの入口から堂々と出て行くと、ボスを待っていた手下2人にワザと姿を見せる。手下は慌てて妾の部屋に上がって行き、ボスを助ける。コンティは、パテルノの息子でチッチョに電話をかけて状況を知らせた後で、ランボーを追って18キロ地点へと向かう。一足先に18キロ地点に達したランボーは、「18キロ」の里程標の脇にオートバイを停める。草むらの中から呻く声が聞こえる。そこには、口にテープを貼られたジャン=ピエロが転がされていた(2・3枚目の写真)。
  
  
  

ランボーは、「今、口ヒゲを取ってやるぞ」と言ってテープを剥がす。「戻ってくるって言ったけど、やったんだね!」。「いいか、聞くんだ。まだ、家には連れて行ってやれん。ゲーム終わっちゃいない。敵が追って来てるからな。奴らを待ち伏せしないと。だが心配するな。明日には家に連れてってやる」。そう言うと、ランボーはジャン=ピエロをオートバイに連れて行き、自分の前に座らせる(1枚目の写真)。「しっかりつかまってろ。怖がるなよ」。「怖くなんかないよ。あなたがいるんだもん」。その頃には、コンティを乗せた車が追いついていた。オートバイを見つけたコンティは、「何かやるには車が多すぎる。一定距離を保て」と命じる。そこに、チッチョの乗った車が加わる。後ろを見たジャン=ピエロが、「1台じゃなく、2台の車がついてくるよ」と教える(2枚目の写真、2つの矢印)。「まっすぐ向いてろ。これでいいんだ」。オートバイは脇道に入り、一軒家に向かって突っ込んでいく(3枚目の写真、矢印)。
  
  
  

家の中に入ったジャン=ピエロは、ランボーに、「これからどうするの?」と尋ねる。「最後の決戦だ」。「どうしてここに来たの?」。「ここなら、ちゃんと戦えるからだ」。「すごいや。僕も何か役に立ちたいな」(1枚目の写真)。「いいとも。だが、危険だってこと忘れるな。奴らは大勢、俺たちは2人きりだ」。2人は2階に上がる。「ここに来たことあるの?」。「何度もあるぞジャン=ピエロ。俺の家の一つなんだ」。窓の外を見たランボーは、暖炉の中から隠してあった銃を取り出し(2枚目の写真)、「君は 疲れているから休みたいだろうが、簡単なことを一つだけ助けてくれないか」と頼む。「疲れてなんかない。何でもやるよ」。ランボーは、「いい子だ」と言って、頬をポンと叩く(3枚目の写真)。
  
  
  

ランボーは、ジャン=ピエロを2階に残し、自分は1階の床の蓋を開けて、地下に降り始める。「今だ」。それを合図に、ジャン=ピエロは、「1、2、3」と指を拡げながら数え始める(1枚目の写真、中指まで拡げているので「3」の状態)。ランボーは、その間に地下道を通り、家とは離れた場所にある出口から地上に出て、家の周りにいる敵を撃つのに適した場所に到達する(2枚目の写真。赤い矢印はランボー、黄色の矢印はジャン=ピエロが待機している窓)。2階の窓の脇ではジャン=ピエロが70までカウントし、信号拳銃を空に向けて構える(3枚目の写真)。照明弾が打ち上げられると、周囲は真昼のように明るくなり、暗闇に任せて忍び寄って来ていた2人がランボーの銃弾に斃れる(4枚目の写真)。しかし、3人目を撃ち殺したところで照明弾が消え、コンティとチッチョは闇の中に。身動きがとれなくなった3人の膠着状態は、夜が明けるまで続く。
  
  
  
  

最初に動き出したのは、チッチョ。朝の5時。家に突入すると、ジャン=ピエロを捕まえ(1枚目の写真)、抱えて連れ出す(2枚目の写真)。動きが早く、体が接近しているので、ランボーでも撃てない。その直後、ランボーとコンティの銃撃戦が始まる。チッチョは、残っていた手下1人に運転させて逃げ去る。ランボーはコンティを仕留めると、オートバイでチッチョの後を追う(3枚目の写真)。
  
  
  

チッチョは、暴れるジャン=ピエロを抑えながら、運転する手下に、「ガキを安全な場所に隠さんといかん。ウチに向え!」と命令する(1枚目の写真)。ランボーは全速で後を追うが、相手はかなり先行している。遮断機の下りた踏切で列車の直前を渡り、他の車とぶつかりそうになりながらランボーは追う。チッチョは途中で脇道に逸れるが、橋の上かららランボーはそれを確認する(2枚目の写真、矢印はチッチョの車)。ランボーはチッチョが自分のヴィッラに戻ろうとしていることを知り、追いつこうと、最短距離で野道を爆走する(3枚目の写真)。
  
  
  

ランボーは、チッチョらがヴィッラに入る前に何とか間に合い、まず運転手を射殺(1枚目の写真、矢印はジャン=ピエロ)。一番の手下だったので、チッチョは動揺する。その隙にジャン=ピエロは少しでも体を離し、ランボーはチッチョも撃ち殺す(2枚目の写真)。感極まったジャン=ピエロは、ランボーに抱き付く(3枚目の写真)。
  
  
  

ランボーはジャン=ピエロを、父のヴィッラまで連れて行く。門のところに報道陣がいたので、背を低くして脇に廻る(1枚目の写真)。「ジャン=ピエロ、約束を忘れるな。一言もダメだぞ」。「ランボー、お願い、母様だけには話させて。あなたのこと」(2枚目の写真)。ランボーは首を横に振る。「ママにもダメだ。2人だけの秘密にしておきたい。それでも何一つ困らないだろ?」。「大きくなったら、あなたみたいになりたいな」。「自分らしくしろ。そうすべきだし、それが一番いいんだ。別の人間になろうなんて考えるんじゃない。いいな?」。「はい、絶対に〔Si, certo〕」。ランボーは、ジャン=ピエロを抱き上げ、生垣の中に入れてやる。ジャン=ピエロは、ドアから出てきた母に、「ママ!」と駆け寄って抱き付く。振り返ってランボーの方を見る時の顔が一番いい(3枚目の写真)。ランボーの姿はもうどこにもない。4枚目の写真は、アレッサドロ・コッコの主演作『愛のほほえみ』で、死の床にあるルーカを 死んだ父が迎えに来た時、振り返って母がいなくて寂しそうな顔をする一コマ。シチュエーション、表情ともに、3枚目の写真と似ているので添付した。
  
  
  

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