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Pete's Dragon ピートと秘密の友達

アメリカ映画 (2016)

オークズ・フェグリー(Oakes Fegley)が主役のピートを、リーヴァイ・アレクサンダー(Levi Alexander)が、短いながらその幼年期を演じるファンタジー・アドべンチャー。1977年の同名映画(原題は同じ、邦題は『ピートとドラゴン』)のリメイクだが、同じ原作にもかかわらず内容は全く違っている。不思議に思い、この原作について調べてみると、20世紀の前半に書かれた未発表の短編を、ディズニーが1957年にTVでのシリーズ化を念頭に著作権を買い取ったもので、内容は、現実の世界から逃避しようとしたピートが空想の世界でドラゴンと友達になるという設定だったようだ。お蔵入りになったTVシリーズの代わりに、1977年にミュージカル映画化したのが1977年の『Pete’s Dragon』で、「原作」を自由に変えている。そして、2016年版の『Pete’s Dragon』では、主人公のピートとドラゴンのエリオットの関係をよりリアル(育ての親)にし、これまた「原作」を自由に変えて、同じディズニーの『ジャングル・ブック』に似た設定に変えている。育ての親がドラゴンか狼かは別として、野生の中で育てられた少年という発想。もちろん出発点は似ていても、その後の展開は全く異なる。しかし、同じ2016年に、どうして同じ「野生の少年」なのだろう? 野生で育ったという点では、実話の映画化である『Entrelobos(エントレロボス/狼とともに)』(2010)は実に感動的、かつ、重い映画だった。エンターテイメントの王者であるディズニーの作品には、このような真摯な感動と重さはどこにもない。『ジャングル・ブック』では虎のシア・カーンが悪役になり、『Pete’s Dragon』(1977)ではゴーガン一家とドクター・ターミヌスが悪役になり、『Pete’s Dragon』(2016)ではギャビンが悪役になり、その「悪」との戦いが映画の主題となっている。良くも悪くもそれがアメリカの一面なのだろう。

両親と一緒に森の中の道路をドライブ旅行していた5歳のピートは、幸せの頂点で、一瞬の事故で両親を失い、夕闇迫る森の中に一人で取り残されてしまう。狼の群れからピートを救い、住む「家」を与えてくれたのは、1匹の大きなドラゴンだった。ピートは両親との唯一の接点である1冊の絵本の主人公の名前をとって、ドラゴンにエリオットという名前を付ける。それから、6年後、11歳になったピートは森の中でドラゴンと一緒に楽しく走ったり、乗せてもらって飛び回ったりする日々を送っていた。その素敵な暮らしは、1人の森林警備隊員グレースが森に入って来たことで転機を迎える。グレースの次にやって来た自分と同年代の少女ナタリーに惹かれたピートは、彼女をドラゴンと自分の住む洞窟の隣にある大木まで誘導し、一緒に木に登り始める。そして、ナタリーが木から落ちそうになって叫び声を上げたことで、大人が駆けつけ、「発見」されてしまう。その際、たまたま頭を打って気を失ったピートが目を覚ますと、そこは病院だった。ピートはすぐに逃げ出すが、派手な脱出行のあと、グレースに捕まり、家に連れて行かれる。そこで、暖かい家庭の雰囲気を味わうピート。エリオットの絵を描いて、自分の友だちだと教える。その頃、ドラゴンの洞窟では、事件が起きていた。ピートに気を失わせた張本人であるギャビンが、未発見の巨大な怪物の存在に気付き、洞窟の周辺で捕獲作戦を始めたのだ。翌日、グレースがピートを連れて洞窟に着いた時に、ちょうど捕獲作戦が始まり、動転するピートの目の前で大切な友達が麻酔銃に撃たれ、鎖で縛られ、製材所まで連れて行かれてしまう。嘆き悲しむピートだったが、ナタリーの助けもあって、ドラゴンの救出に成功。しかし、ギャビンの妨害に遭い、深い渓谷に架かる橋の所で、ドラゴンの怒りが爆発する…

オークズ・フェグリーは、正直言って、それほど可愛くない普通の男の子。役柄の上から、台詞も非常に少ない。しかし、ドラゴンとの絡みは相性が良く、見ていて微笑ましい。


あらすじ

ピートは、幸せな5歳の少年。両親と一緒に車に乗って森の中を走っている。ピートは、両親にもらった絵本を、つかえながら読んでいる。「これは、子犬の物語です。子犬の名前は、エリ…」。母が、「エリオット」と教えてくれる。「子犬の名前は、エリオットです」。「そうよ、偉いわ」。「これから、子犬は出かけるのです… ぼうけん?」。「冒険よ」。「それ、何?」。今度は父が相手する。「冒険を知らないのかい? 私たちは、ちょうど今、そこにいるんだよ。一歩出れば、野生の森。何百マイルも人っ子一人いない。導いてくれるのは星だけなんだ」。「それって、怖いこと?」(1枚目の写真)。「そうだな、それも冒険の一面だ。勇敢じゃなくちゃな。勇敢かい?」。母は、「もちろん勇敢よ。あなたは、これまで会った中で、一番勇敢な子よ」。その言葉に微笑むピート。長々と全セリフを紹介してきたのは、後の展開に密接に結びついているからだ。その時、森から1匹の鹿が急に飛び出してくる。避けようと右に急ハンドルを切った父。車は横転し、飛ばされる荷物が固定されたピートの視点の周りで回転する。面白いアングルだ(2枚目の写真)。ステーションワゴンはルーフを下にして森の中に落ち、両親は死に、車から抜け出したピートは、自分の小さなバックパックに絵本を大切にしまう。辺りはもう暗い。大破した車を見るピートの目からは涙がこぼれている(3枚目の写真)。
  
  
  

その時、仲間を呼ぶ狼の遠吠えが聞こえる。ピートには、それが何かは分からなかったが、唸る声が怖いのは自然の本能だ。唸り声から後退して、森の中に駆け込む。高い木に囲まれた森の中、周辺を取り囲む狼たち。絶体絶命の状況だ。その時、森の奥からメリメリと木を倒しながら、ズシンズシンと何かが近付いてくる。狼たちは逃げていく。そして、森の中から黒い大きなシルエットが現れた(1枚目の写真)。巨大なその怪獣は、犬のような顔を持ち、長い尾を持っていた。そして、ゆっくりと近付くと、長い首をピートの方に伸ばす(2枚目の写真)。ピートは、「ボクを食べちゃうの?」と怖そうに訊く(3枚目の写真)。その言葉が理解できたかどうかは分からないが、怪獣は、ピートが思わず落としたバックパックを頭でピートの方に押して寄越す。これで害意のないことに安心したピートが、怪獣の前脚に触れると、全身の毛が鮮やかな緑色に変わった。怪獣は周辺の色と完全に同化して透明になったりもできるが、緑色は嬉しい時のカラーだ。ピートは、自分が来た道路の方を一度寂しげに見やると、怪獣が差し出した前脚に乗る(4枚目の写真)。勇敢に、冒険の一歩を踏み出したのだ。怪獣はピートを護るように抱くと、大きな翼を広げ、夜空へと飛び立って行った。怪獣はドラゴンだった。
  
  
  
  

ここで、タイトルが表示され、次いで、「6年後」と説明が入る。ピートは11歳だ。最初に登場するのは80歳近いロバート・レッドフォード。この町で唯一、一度だけドラゴンに遭ったことのある人間で、誰もその話を信じないが、子供たちには人気がある。そこに、娘で森林警備隊員のグレースが姿を見せ、「クマやボブキャットやいろんな鳥は見たけど、ドラゴンなんか見たことないわよ」と子供達に話す。シーンは森の中へと移行し、ピートがウサギを捕まえ、そこに背後からクマが迫る。クマが立ち上がって脅すように吠えると、ピートも向き合って吠える。クマは逃げ出すが、それはピートの背後からドラゴンが顔を見せたため。ピートは、それが自分の力のせいだと思っている。後ろから近付く音に気づき、振り返ってドラゴンを見つけると、「やあ、エリオット」と呼びかける。絵本の犬の名前をドラゴンに付けたのだ。その後、ピートとドラゴンが戯れるシーンが始まる。一番CGでよく出来ているのは、渓流を横切って走るピートの後をドラゴンが追いかける場面(1・2枚目の写真)。躍動感があり、何よりも、楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
  
  

ピートとドラゴンは森に入り、ドラゴンは姿を消してピートを困らせる。ドラゴンの居場所を見つけて嬉しそうな顔のピート(1枚目の写真)。この後、ピートは崖から飛び降り、それを追ったドラゴンが背中に乗せて宙を飛ぶ(2枚目の写真)。まさに『アバター』や『ヒックとドラゴン』の世界だ。渓流に沿って飛ぶドラゴンを上空から捉えるアングル(3枚目の写真)もなかなかいい。
  
  
  

飛行の終着点は、1本の巨木。ドラゴンの洞穴のすぐ近くにあり、ピートにとってはツリー・ハウスのような存在だ。だから、木をさっと登っていき(1枚目の写真)、てっぺんまでいって雄叫びを上げる。その声に合わせてドラゴンも叫ぶ。暗くなると、ドラゴンは丘の草原に横になり北極星を見ている。「何を見てるの?」。ピートは、あの明るい星が、昔聞いた「導きの星」かなと考える。それで両親のことを思い出し、寂しくなってドラゴンに身を寄せる(2枚目の写真)。
  
  

ある日、ドラゴンと一緒に森の外れに来たピートは、森林警備隊員のグレースが森に入ってくるのを見つける。このあたりずっと台詞が全くなく、視聴覚障がい者向けの音声解説でも言及されないので、ピートにとってこれが6年ぶりの人間との再会かどうかは分からない。ピートは見えないように後を追いかけ、興味深げに行動を見守っている(1枚目の写真)。その時、グレースは地図と照合するためコンパスを取り出した。それは、ピートにとっては見たこともない宝物だった。そこで、グレースが木に塗られた伐採用の赤の目印を、青いスプレーで消している間に、地面に置かれたバッグからコンパスを盗んでしまう。そのコンパスをドラゴンに見せると、くんくん嗅いでくしゃみをする。その勢いで吹き飛ばされたピートが、体中についた鼻汁に触りながら「エリオット」と言って笑う(2枚目の写真)。ここで怒らないところがいい。ピートは地面に落ちてしまったコンパスを拾い上げ、蓋を開けると中に1枚の写真が入っていた(3枚目の写真)。
  
  
  

夜になり、ドラゴンの洞窟に戻ったピート。焚き火のそばに座ると、絵本を取り出して、日課のように拡げる(1枚目の写真)。そして、コンパスを開けて、「あの女の人、どこから来たのかな」と呟く(2枚目の写真)。ドラゴンが何か言うと、ピートはドラゴンに身を寄せ、「心配しなくていいよ。君に手出しはさせないから」。そして、欠伸をし合って仲良く眠る。ここまでが、ピートとドラゴンだけの暖かい友情の世界を描いた場面
  
  

翌朝、ドラゴンより先に目覚めたピートは、昨日、くしゃみで吹き飛ばされた場所まで行ってみる。昨日そこは誰もいない空き地だったが、今日は、作業員がいっぱいいて、機械が唸り声を上げている。ピートは、それを木の陰に隠れて見ている(1枚目の写真)。そこで画面に映るのが、この映画一番の悪役ギャビン。自分のことしか考えない木材伐採の作業員で、グレースの恋人で、製材所の工場長を務めるジャックの弟でもある〔森林警備隊員と伐採業者が恋人になるというのは変な設定だ〕。このジャックの娘がナタリー〔ということは、ジャックは一度離婚したことになる〕。ピートは、そのナタリーが空き地にいるのを見つける(2枚目の写真)。自分と同じ子供なので興味を惹かれて じっと見ていると、逆にナタリーに見つかってしまう。慌てて逃げるピート。ナタリーは、他の人には黙って、ピートの跡をつける。
  
  

ピートは、ワザとナタリーが付いて来やすいように音を立て、自分のツリー・ハウスまで誘導する。木の上から自分を見ている少年(1枚目の写真)に気付いたナタリーは、果敢に登っていく。大木の半分ほどまで登ったところで、枝に足をかけようとして滑ってしまい、悲鳴を上げる。ピートは上から飛び降りてくると、ナタリーを持ち上げようとするが(2枚目の写真)、枝が折れてしまい、2人とも落下。途中で、何度もぶつかり、ナタリーは足をケガしただけで済んだ。ピートはもちろん何ともない。心配そうに、ナタリーを見るピート(3枚目の写真)。ナタリーは、「あなた いくつ?」と訊く。ピートは、昔の年齢しか知らないので「5つ?」と答える。「5歳よりは、ずっと大きいわ」。そして、「名前は?」とさらに訊く。「ピート」。「そっちは正しそうね。私はナタリー」。
  
  
  

しかし、さっきの悲鳴は、かなり遠いにもかかわらず、空き地まで届いていた。そして、心配した父のジャックや、恋人のグレース、弟のギャビン他の作業員が駆けつける〔1回の遠い悲鳴だけで、ここまで迷わずに来られるとは信じられないが…〕。「木から落ちたの」。「なんで登ったんだ?」。ナタリーは、「あの子についてったの」と、ピートを指差す(1枚目の写真)。「ピートって子よ」。木のそばで小さくうずくまっていたピート(2枚目の写真)に、グレースは笑みを浮かべながら近寄っていく。「ピート? あなたピートなの?」。ピートが逃げようとすると、「待って」と押しとどめ、「どこから来たの?」と訊く。「ご両親はどこにいるの? 家族は?」とも。ピートは何も答えない(3枚目の写真)。その時、グレースは、ピートの首にかけられた自分のコンパスに気付く。慌てて逃げ出すピート。木に登りかけたところをギャビンに引っ張られ、枝から落ちて木を失う。その時、洞窟では ようやくドラゴンが目を覚ます。ピートがいないのに気付き、外に出ると先程まで多くの人間がいたので大木のそばに臭いが残っている。ドラゴンは、心配して鳴き声を上げてピートを呼ぶ。その声に気付いたギャビンは、森に何かがいると気付く。
  
  
  

気を失っていたピートが気付くと、そこは病院だった。もちろん、病室に入ったことはないので、今までとは全く別の変な世界に来てしまったという認識しかない(1枚目の写真)。全身きれいに洗浄され、子供用の病院着も見につけている。ドアに付けられたガラス窓から見て、廊下は人で一杯で逃げられそうにないので、ピートは窓まで行き、何とか開けられないかと試みる(2枚目の写真)。幸い、ノブに気付き、窓を開けることができた。病室は3階くらいのように見えるが、その程度ならピートは平気で外に出ることができる。
  
  

病院を逃げ出したピートは、素足のまま道路を走り、交差点に来て走ってくる自動車に驚いて止まる。それから また走り出し、小さな町のメインスリートの歩道を駆け抜け、犬に吠えられると 唸り声で逆に脅し、停まった車の上を歩いて越え、パトカーが先回りして停まったので、通りがかったスクール・バスのリア・ウインドウにつかまって逃げる(1枚目の写真)。そして、バスの屋根に上がる(2枚目の写真)。パトカーが後ろから付けて来たのに気付くと、反対側から来た車の屋根にジャンプ(3枚目の写真)。それを見たスクール・バスの子供達は大興奮。その車から飛び降りて路地に走りこんだら、そこは突き当たりだった。
  
  
  

出口をパトカーで塞がれ、グレースが駆け寄る。「大丈夫よ。何もしないから。約束する」。それでも、恐怖心で一杯のピートは、グレースの脇をすり抜けようとして捕まり、何とか逃れようと暴れる(1枚目の写真)。一方、森に調査に入ったギャビン達は、ドラゴンが付けた大きな足跡を見つけてしまう。グレースは、ピートを病院ではなく、自分の家に連れて行くことにして車に乗せる。グレースとナタリーが車に乗り込むと、ピートは、何をされるかと、座席の片隅で恐怖で縮こまる。グレースは、「心配しないで。もう病院には戻らないから」と優しく話しかけ、ナタリーは「私の家に行くのよ」と笑顔で話す。ここで分からないのは、グレースが先程、保安官に「今夜は、家に泊めるわ」と話し、今またナタリーが「私の家」と言ったこと。前に書いたように、グレースはジャックの恋人。ナタリーはジャックの娘。家は1軒しかないが、3人はどういう関係にあるのだろう? 車は脇道に入り 大きな家の前で停まる。ドアの開け方が分からないようなのでナタリーがドアを開けると、ピートは一目散に走って逃げ出す。それを全速で追ったグレースが捕まえ、「さあ、中に入りましょ」と言うと、ピートは首を振る。そして、悲しそうに「家に帰りたい」と言う。家とは、ドラゴンの洞窟のことだ。グレースは、「おウチはどこ? 話してくれる?」と訊く。ピートは捜すようにあちこち見るが、この時の顔が一番りりしい(2枚目の写真)。グレースは、明日、一緒に森に行き、おウチを捜しましょと約束する。そして、自分は子供の頃から森が好きだったこと、だから大きくなって森を守る仕事に就いたとも話す。「守る中には、あなたも入るのよ」。それを聞いたピートが、「エリオットも?」。「エリオットって誰?」。ピートが、答える前に邪魔が入ってしまった。
  
  

次のシーン。ピートは食卓につき、食パンのサンドイッチを前に戸惑っている。何か分からないので、人差し指で何度もパンの真ん中を突いてみる(1枚目の写真)。それを見たナタリーが、食べ方を動作で教え、ピートもかぶり付く(2枚目の写真)。
  
  

その頃、森では、ギャビンが大木の脇にある洞窟に気付き、中に入って行く。ドラゴンも少し離れてそれを見ている。ギャビンは、ピートの大切な絵本を見つけ、それを手に持って洞窟の外に出てくる(1本目の写真)。それが友達の宝物だと知っているドラゴンは、渡すものかとギャビンに襲いかかる。必死で逃げるギャビンと仲間の2人。ドラゴンは木を倒しながら、それを追跡する。2人がトラックに辿り着き、ギャビンが荷台に飛び込んでライフルを向けると、ギャビンを放り投げ、地面に叩き付ける。ライフルはぐにゃりと曲がり使い物にならない(2枚目の写真)。そのギャビンの前にドラゴンが初めて全身像を見せる(3枚目の写真)〔相手がドラゴンだと分かる〕。ドラゴンのくしゃみで鼻水まみれになったギャビンは、必死の思いでトラックに乗って逃げ出す。
  
  
  

一方、ナタリーは、ピートにレコードをかけて見せている。ピートは回転するレコード盤に触れ、音の調子が変わるのを不思議そうに見ている(1枚目の写真)。その後で、飾ってある写真をピートに見せる。「これが私で、これがパパ。こっちがパパの弟で、これがグレース。家族よ」。なぜ母の写真がないのか? なぜ恋人なのにグレースの写真があり、「家族」なのか? 最初にこの映画をざっと観た時、私はジャックとグレースは夫婦だと思った。しかし、解説を見ると、ジャックとグレースは恋人で、後になって結婚し、ピートを養子にする、と書いてある。どこか変だ。次が、歯磨きのシーン。グレースとナタリーに挟まれ、ピートが困ったように歯ブラシを持っている(2枚目の写真)。ジャックは、居間で、自分の宝物と同じ絵本を見つけ、さっそく開いてみる。そこに近付いてきたグレースが、子犬を指して「これが、エリオットなの?」と訊く。首を振るピート。「エリオットは人間?」。「ううん」。「じゃあ、何なの?」。ここで、保安官からグレースに電話が入る。ピートの両親の事故の新聞記事を見つけたので、明朝、福祉局の人間が引き取りに来るという内容だ。
  
  
  

ナタリーが、「エリオットは、あなたの空想の友だちなの?」と訊く。「“くうそう” って何?」。「誰かを頭の中で作り出して、その人に向かって話したりするの。寂しくならないように」。「楽しいの?」。「もちろん」。「飛べる?」。「望むことなら何でも。空想なんだもの」。「君は、ぼくの “くうそう” の友だち?」。「私は本物よ」。「エリオットもそうだよ」。そして、「彼のところに戻らなくちゃ」と言う。「ボクがいなくなると心配するんだ」。ナタリーは、エリオットの描いていた絵を見て、「これって ドラゴンみたい」と話す。「“どらごん” って?」(1枚目の写真)。「これよ」(2枚目の写真)。そう言うと、父親から聞いた「ドラゴンの歌」を口ずさむ。北の果て、深い森の中に、ドラゴンがいるという歌だ。それを聞いて、微笑むピート(3枚目の写真)。「“きた” って何?」と訊く。「方角よ」。「どうやったら行けるの?」。「北極星に向かって行くの」。
  
  
  

そこに、グレースが入って来て、ピートと2人で話したいと言う。グレースは、「森に入った時のこと 覚えてる?」と尋ねる。「ずっと昔のことなんでしょ?」。しばらく考えたピートは、「ボクたち、“ぼうけん” してた」と答える(1枚目の写真)。「私は、あなたよりちょっと大きくなってから、母を亡くしたの。だから辛さが分かる。だから、知ってて欲しいの、あなたは一人じゃないわ」。「知ってる。エリオットがいるもん」。「エリオットのこと、話してくれない? どんな人?」。ピートは、さっき描いた絵を持って来てグレースに見せる。「ボクの友だちだよ」。「これがエリオットなの?」(2枚目の写真)。「きっと、特別なお友達でしょうね」。「彼は人間が嫌いなんだけど、あなたのことは好きになるよ」。「そう?」。「明日、会えるよ。おウチに戻った時に。一緒に来るんでしょ?」。明朝、福祉局の人間に引き渡すことになっているので、複雑な気持ちで「もちろん」と答えるグレース。それを聞いてピートが微笑んだのを見て、「あなたはとっても勇敢よ。知ってた? あなたは、これまで会った中で、一番勇敢な子よ」。以前、母に言われた言葉と全く同じだ。それを聞いたピートはニッコリ笑ってグレースに抱き付く。グレースもしっかり抱きとめる。多分、この時、グレースは決心したのであろう。明日は、福祉局に引き渡すまいと。グレースは、その夜遅く、父の家に入って行くと、父も耳ざとく起きてくる。そして、少年のことを尋ねる。「何年、森にいたって?」。「6年よ」。「6年? 森では 誰も6年は生きていけん。1人ではな」。そこで、グレースは持ってきた絵を見せる。それを見た父は、かつて自分が森で遭ったドラゴンの絵を見せる。「私が幾つの時、描いたの?」。「たぶん、5歳か6歳。お前の母さんが亡くなる少し前だ」。そして、その時のことをグレースに話し始める(3枚目の写真)。グレースの父は、ピートがドラゴンと一緒だったことを固く信じたし、以前は父の話を信じていなかったグレースも信じるようになった。
  
  
  

翌朝、グレースは、ピートを優しく起こす(1枚目の写真)。グレースは、真っ直ぐ保安官の事務所に向かう(2枚目の写真)。事務所の前には福祉局の車が停まっている。しばらくそれを見ていたグレースだったが、ナタリーの「どうかしたの?」の言葉に、「別に、ちょっと考えてただけ」と車を発進させ、一路森へと向かう。車内で、グレースは自分の父が一緒に来てもいいかと訊く。その頃、工場内の事務所に着いたジャックは、弟のギャビンが何人かを連れて森に狩猟に言ったと告げられる。そして、部屋に入ると、机の上に「これからドラゴンを捕獲に行く」と書いた弟のメモが載っている。勝手な行動に、ジャックは調査しようと 森に向かう。一方、一足先に「空き地」に着いたグレース達は、ギャビンが待ち構えているとも知らず、ピートを先頭にドラゴンの洞窟へと向かう。大木まで辿り着くと、先日と違い、木には縄梯子が何本も付いている。木の上にギャビンの仲間が登るために付けたものだが、如何にも唐突だ。なぜ誰も(特に、ピートが)それに気付かないのか分からない。一番、不明朗な部分だ。ピートは洞窟に入り、ドラゴンを連れて来る。真っ先に進み出たのはナタリーで、ドラゴンの鼻に触る(3枚目の写真)。
  
  
  

ここから、この映画の「気にくわない部分」が始まる。いきなりドラゴンに向かって麻酔弾が撃ち込まれる。ギャビンが撃ったのだ。怒ったドラゴンがギャビンに向かって吼える(1枚目の写真)。グレースやグレースの父が止めるが、ギャビンは「子供達を ここから連れ出せ!」と怒鳴ると、さらに麻酔弾を撃ち込み、仲間が木からロープで降りて来てドラゴンを縛ろうとする(2枚目の写真)。3発目を受けたドラゴンは、大木をジャンプしながら登り、空に向かって飛び立ったが、麻酔が効いて木の上から落ち、大切な大木も倒れてしまう(3枚目の写真)。ドラゴンの顔に、自分の顔を押し付けて悲しむピート。そこに、ようやくジャックが到着。弟に、「何の積りだ?」と問い質すと、「これが、例のドラゴンだ。俺が捕まえた」と答える。その後、このドラゴンを どうやって「空き地」まで運んだかのは七不思議だが〔仲間は3人しかいない〕、そこから大型のトレーラーに載せられて製材所に向かう。しかし、所長でもある兄のジャックがいて、なぜ部下でもある弟の暴挙を止めなかったのか? ドラゴンがピートの友達だというのに、「捕まえたから自分の獲物」という発想がどうして出てくるのか? グレースは森林警備隊員なのに、野生動物の捕獲をなぜ黙認したのか? ドラゴン信者のグレースの父は何をしていたのか? 『キンギコング』の時代ならいざ知らず、野生動物の保護がこれほど叫ばれている現代に、こんな野蛮な行為を描く脚本は不愉快千万だが、山積する疑問に一切答えていないという点で欠陥だらけである。結果ありきの強引さだ。この手の映画は、ハートウォーミングであるべきで、何でもスーパーマンやバットマンのような展開にすべきものではない。それにもかかわらず、Rotten Tomatoesが86%を付けているのは、アメリカの評論家達の暴力に対する麻痺した感覚を明確に示している。
  
  
  

ドラゴンを載せたトレーラーは製材所の大きな倉庫に向かう(1枚目の写真)。そして、騒ぎを聞きつけて集まってきた作業員が入れないように、入口の扉を閉ざす。ピートは、涙を流し(2枚目の写真)、こうしたことの一切が、自分にドラゴンを連れ出させたグレースの策謀ではないかと疑っている。ナタリーは、そうした疑いを晴らすため、積極的にドラゴンを救い出すことに協力。空中パイプラインを伝ってドラゴンが監禁されている倉庫内に2人で侵入する(3枚目の写真)。その時、下では、ジャックが呼んだパトカーが到着し、保安官らが中に入ろうとするが、ギャビンが、「最初に言っておく。俺がこいつを正々堂々と(fair and square)捕まえた。だから、誰が何と言おうと、こいつは俺の物だ」と攻撃的に話す。この人間には、ドラゴンがピートの大切な友達だという認識が欠けているのか、意図的に無視しているのか? このシーンの前に、倉庫内で、ギャビンが兄のジャックに対し、「あんたは工場を持ってる。ドラゴンは俺の物だ」という台詞があるので、後者なのかもしれない。この倉庫内には、グレースも、彼女の父親もいたのに、「ドラゴンがピートを生かしてくれた恩人」だと言って兄弟を諌めないのも、非常に不可解だ。
  
  
  

倉庫内に忍び込んだ2人。ナタリーは、真っ先に、扉の内側からかんぬきをかけ、ギャビンや警察が入って来られないようにする。その間に、ピートは、ドラゴンを鎖で固定している装置を全部外し、ドラゴンを自由にしてやる。倉庫の天井には大きな開口部があるので、ピートはドラゴンに「飛べる?」と訊くが、麻酔から覚めたばかりなので、ドラゴンにはその力はない(1枚目の写真)。そこに、ドアを押し破ったギャビン達がなだれ込む。しかし、ドラゴンの姿はどこにもない(2枚目の写真)。ドラゴンが姿を消せることを知らないギャビンは、天井の開口部から逃げたと思い、見つけ出そうと一斉に倉庫から駆け出す。1人残ったグレースは、ドラゴンがまだいることに気付き、扉を閉めて出て行く。倉庫の中には、グレースの父親が隠れて残っており、彼の運転でドラゴンを載せたトレーラーは、倉庫の壁を破って脱出する(3枚目の写真)。
  
  
  

グレースとジャックのトラック、パトカー、一足遅れて〔グレースが車のキーを捨てた〕ギャビンのトラックが、トレーラーの跡を追う。狭い道なので、ギャビンは道路脇の草地を無理矢理走り抜けて先頭に出ると、トレーラーの前に出ようとする(1枚目の写真)。追い抜きざま、「停めろ!」と叫び、グレースの父が「断る(Not a chance)」と言うと、「そいつは、俺のドラゴンだ!」と怒鳴る。そして、そのまま加速して追い抜くと、ずっと先の渓谷に架かる橋の手前まで行き、車を横にして停め、その前に立ち塞がる(2枚目の写真)。グレースの父はトレーラーを停めようとするが、ドラゴンが何とか飛び立とうと暴れた際に、ブレーキのホースが抜けていた。だから、ブレーキペダルを踏んでも全く効かない。トレーラーは真っ直ぐトラックに突っ込んで行き、その巨大さからトラックをふっ飛ばし、橋を渡り終えてしばらく走ってからエンジントラブルで停止した。
  
  

ようやく動けるようなドラゴンは、今までの怒りをぶつけるべく橋に向かって駆けて行くと、運悪く先頭を走ってきたグレースとジャックの乗ったトラック目がけて炎を吹きかける(1枚目の写真)。ピートは、ドラゴンが駆け出すとすぐに跡を追い、橋の骨組みを登ってドラゴンに近付くと、「エリオット、止めろ!」と叫ぶ(2枚目の写真)。「傷つけないで。大事な人なんだ!」。その声を聞いて、ドラゴンは攻撃を止める。しかし、炎で橋の鋼材が融けてしまい、トラックが陥没し始める。ピートの叫び声を聞いて、ドランゴは一転してトラックの転落を救おうとするが(3枚目の写真)、橋全体が崩壊してしまい、ドラゴンもトラックも深い谷に落ちて行く。数百メートルはあろうかという深い渓谷だ。
  
  
  

ピート、ナタリー、グレースの父が崖っぷちに駆け寄る。心配する相手は三者三様だ。幸いに谷底を覆う霧の中から、グレースとジャックを乗せたドラゴンが力強く羽ばたいて上昇、道路の少し先に着地した。ピートはまっしぐらにドラゴンに駆け寄り(1枚目の写真)、エリオットはそのピートを胸に抱きしめる(2枚目の写真)。そこにヘリコプターが1機飛んで来るのが見える。ピートは「分かってるよ」とドラゴンに声をかけると、グレースが止めるのを無視して、そのまま一緒に飛び去った。夕陽に向かって飛ぶドラゴンの姿が美しい(3枚目の写真)。
  
  
  

ドラゴンは、元の洞窟まで戻った。折れてしまった大木を悲しそうに見るピートとドラゴン。ピートは、「もう ここにはいられない」と言い、木に近付いて行く(1枚目の写真)。「君がここにいるって分かっちゃった。きっと、また捜しにくる」(2枚目の写真)。ドラゴンは姿を消してみせるが、ピートは「でも、ボクは姿を消せないよ」と、その方法では逃げられないと話す。ドラゴンは、ピートに絵本を渡す。そして、ピートが絵本をめくり(3枚目の写真)、焚き火の脇に、父母と男の子と子犬が描いてあるページまでくると、ドラゴンは、絵の子供の上に大きな指を置く。このことは、ピートが自分とではなく、グレースたちと一緒の方がいいと ほのめかすものだった。ピートはそれを悟ってドラゴンの鼻をかいてやると、じっと顔を見ながら「でも、別れたくないよ」と悲しそうに言う(4枚目の写真)。そして、思い切りドラゴンに抱き付く。ピートとドラゴンの悲しい別れのシーンだ。
  
  
  
  

グレースと、ジャックとナタリーの父娘が家に着き、抱き合うように家に入ろうとする。その時、グレースは、少し離れて立っているピートの存在に気付く。グレースは満面の笑みを浮かべると、ピートに向かって走り出し、ピートも走り寄る。抱き合う2人(1枚目の写真)。とても感動的で、途中の下らないシーンなんか なければと思う。しばらく抱いていて、ピートの顔を離し、じっと見つめてキスするグレース。そして再び抱擁。その時、ドラゴンの羽ばたく音が聞こえる。きっと、ピートが暖かく受け入れられたのを確認して、去って行ったのだ。ドラゴンを見上げて微笑むピート(2枚目の写真)。ドラゴンは雲の中へと消えて行った(3枚目の写真)。
  
  
  

以後、誰もドラゴンを見ることはなかった。そして数年後。グレースはピートを養子に迎え、ジャックと結婚している。ナタリーを加えた4人は、車で一路アルプスへと向かう。4人は丘に登って行く(1枚目の写真)。一足先に丘の上に着いたピートが見回していると、聞き慣れた鳴声がして目の前にドラゴンが現れる。ピートは、友達と一緒に草原を走る(2枚目の写真)。そして丘の端の断崖まで来ると、そこに姿を見せたのは、3匹の子供を連れたドラゴンの一家だった(3枚目の写真)。
  
  
  

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