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Un bon petit diable 善良な小悪魔

フランス映画 (1983)

ポール・クルトゥワ(Paul Courtois)が主役を演じる19世紀中葉の物語。原作者はセギュール伯爵夫人(1799-1874)だが、内容は、両親を亡くし、金の亡者にして超ケチな伯母に預けられた主人公シャルルが、持ち前の悪戯を武器に逞しく生き抜いていく話。貴族の女性作家が書いたとは思えない内容だ。小説の時代設定は1842年なので、1848年を舞台にした『Amintiri din copilărie(少年時代の想い出)』が時代的に近い。しかし、そこで出てくる学校はまともだった。この映画の中で登場する最悪の学校は、どことなく『オリバー・ツイスト』(1838)の最初に登場する救貧院や、『デイヴィッド・コパフィールド』(1850)の全寮制学校を思わせる。国は違っても、英仏海峡を挟んだ2つの国は、似ているということか〔原作の舞台がスコットランドだから?〕。原題を見ると「小悪魔」とあるので、悪ガキを想像するが、その前に付いている「善良な」の方が正しい。シャルルが「小悪魔」になるのは、遺産を横領してひどい暮らしをさせている伯母と、伯母に無理やり行かされる虐待的な学校の校長に対してだけで、それも、自分を「悪魔」と思わせるという、一種のトリック。体が小さいので「小悪魔」というわけだ。今回は原作との対比はしないが、映画化の内容は、原作の少年時代の内容をほぼ踏襲している。原作の出版は1865年、ディケンズの名作『デイヴィッド・コパフィールド』(1850)の15年後だ。原作は、この名作の影響を受けている可能性が指摘されているが、ディケンズ・ファンの私は、観た瞬間、両者の類似性に着目した。デイヴィッドが義父とその姉から虐められ、最悪の全寮制学校に行かされる点だけでなく、シャルルを守る女中のベティが、デイヴィッドを守る女中のペゴティの力強く明るい性格とそっくりなのだ。しかも、ベティはペゴティ同様、馬方と結婚する。

12歳のシャルルは、両親から莫大な遺産を残されながら、少年には法律上 遺産の管理権がないことから、強欲な伯母にいわば乗っ取られる形で、きわめて貧しい生活を強いられている。その中には、ひどい食事、粗末な服、教育の剥奪、鞭打ちなどが含まれ、今日的に言えば児童虐待そのものだ。最初の頃、シャルルは、伯母に引き取られて救われたと思い、あきらめとともに、惨めな生活に甘んじてきたが、ふとしたことから、自分には養育費として5万フランのお金が伯母に預けられていることを知り、自分に同情してくれる女中のベティと組み、伯母の悪魔恐怖症を逆手にとって、待遇の改善を要求する。しかし、この奇策は、少年院のように厳しい全寮制学区への無期限の移籍という形で跳ね返る。シャルルは、一緒に追放されたベティと組んで学校でも悪魔騒ぎを起こし、虐げられていた生徒全員の解放に成功する。シャルルの信託財産が正しく使われていないことに懸念を抱いていた判事は、この学校騒ぎを契機に、伯母を問い詰め、信託財産を没収し、シャルルが成人するまで自分で預かることにする。自分の行く末に絶望した伯母は、自殺未遂を自作自演し、そのまま衰弱して死に至る。シャルルに5万スランの存在を教えてくれた女性代書人には、シャルルより2歳年上の盲目の美少女ジュリエットがいたが、映画の最後で、2人の仲は将来の結婚を考えるまでになる。勧善懲悪。めでたし めでたしだ。

ポール・クルトゥワは、ごく普通の巻毛の男の子。映画出演はこれ1本のみ、演技もそれほど上手とは思えない。


あらすじ

時代は1842年。原作は、「スコットランドの小さな村、Combatsという小さな通りに、50年輩の未亡人マクミッシュ夫人が住んでいた。彼女は厳格で冷淡な女性で、誰とも会おうとしなかった。ひどく強欲で、出費を極端に嫌ったから。彼女の家は古く、汚く、陰気だった。彼女は貧弱な家具しかない1階で1日中編み物をしていた。そして、時々窓から顔を覗かせては、姿を見つけると、いらいらしながら叫ぶのだった。『嫌な子だね。また遅れて! いまいましいったらありゃしない! あたしが叩き直してやらなきゃ、お前は、いつか首吊られて終わりさ』」で始まる。映画では、12歳のシャルルが、丘の牧場で牛乳を1缶分買い、海辺の家まで運んで行く場面から始まる。シャルルは、海の崖沿いの快適な小道を歩きながら、山羊に遭うと「君たち、元気?」と声をかける。小さなせせらぎまで来た時、白い鳥が死んでいるのに気付くと、帽子を取って死体をそっと抱き上げ(1枚目の写真)、近くのくぼみに入れ、上から石を載せてやる。心優しい少年だ。家に着くと裏庭では大騒ぎ。伯母の命令で、3人の農夫が木の棒であちこちを突いている。「何、やってるの?」と訊くと、「リス、追い払ってんだ」という返事(2枚目の写真)。シャルルは勝手口から中に入る。そこでは、女中のベティが待っていて、「遅かったわね」と声をかける。「途中で、いろいろ…」。ベティが缶を覗くと中は空っぽ。「まあ、中味は?」(3枚目の写真)。なお、場所はスコットランドでも〔配役名が原作と同じ英語名〕、会話はフランス語、人名もフランス語読みだ〔チャールズ→シャルル〕。
  
  
  

マクミッシュ夫人は、シャルルの伯母。両親が亡くなった時、シャルルの養育に5万フランを託されたくせに、全部自分のものにして、シャルルにひどい暮らしを強いてきた強欲婆だ。1842年の5万フランは、現在の日本円にして、換算方法により違いはあるが、1~2億円くらいの価値に相当する相当な財産だ。それなのにシャルルはひどい服を着せられ、食事は最悪、学校にも行かせてもらえない。この伯母の唯一の弱点は「悪魔」が怖いこと。1842年なので、そのような人物がいてもおかしくはない。先ほど裏庭でリスを退治していたのも、食べ物が知らぬ間に消え、それを悪魔に呪われたと信じたからだ。伯母は、台所に来てシャルルを見つける。「ここにいたの? この役立たず!」。そして、空の缶を見つける。「空じゃないの! 勝手に、飲んだのね!」(1枚目の写真)。「許して、転んだんです」。「ひっぱたくよ、この嘘付き! この小悪魔! 悪ガキめ!」と棒を持ってシャルルを追いかける。途中で、シャルルを叩こうとして、テーブルの上の果物鉢を叩き割ってしまい(2枚目の写真)、それもシャルルのせいにする。「大事な果物鉢を、壊したね! 痛い目に遭わせてやる、覚悟なさい!」。必死に逃げ、部屋の隅に隠れていたのが見つかり、「思い切り、鞭で叩いてやる! この、宿なし!」と引き出される。「やめて、伯母さん。何もしてないよ」(3枚目の写真)。「お立ち! さあさあ、歩いて。これからが、お楽しみ」。「お願い、助けて」。「往生際が悪いね」。そして、罰として戸棚の中に押しこめられる。
  
  
  

ベティは、虐待されているシャルルに同情する優しい女中。伯母が立ち去ると、すぐにシャルルを出してくれる。「出ていいの?」(1枚目の写真)。「見つからないように」。シャルルは、勝手口から裏庭に出て、大好きなウサギを檻から出し、「にんじん、食べる?」と訊く(2枚目の写真)。「要らない? 満腹? 伯母さんと違って優しいから大好き」と撫でてやり、「中に、戻すからね」と檻に入れ、「じゃあ、また」。
  
  

夕食の時間。2人は同じ大テーブルの両端で夕食をとっている。伯母の前には豪華な食べ物が並び(1枚目の写真)、お気に入りの猫にも相伴させている。一方のシャルルの前には、スープと干からびたパンがあるだけ。シャルルが羨ましいそうに「猫、よく食べるね」と言うと、「食事中は黙って! 食べるのに専念なさい。ごちそうが台なし。勝手は許しませんよ。居候のくせに。貧しい蓄えを食いつぶして。お前の両親が死んだ時、引き取ってやったのに」。「お腹空いた。猫は肥ってるのに」。「お黙り! デブは怠け者の証拠」。そして、シャルルが古いパンを必死で噛んでいる最中に(2枚目の写真)、ベティを呼に、「片付けなさい!」と命じる。「まだ食べてるよ」。「食べずに、屁理屈こねて、時間を無駄にしてたからでしょ」「全部、片付けなさい」。夜、お腹が空いたシャルルは、ベティのベッドを訪れる。「起きてる?」。「食べ残しを取っておいたんだけど…」。「『けど』?」。「樽の底に隠したのを見つかっちゃって… 髪の毛を掴んで泥棒呼ばわりよ」。ベティのベッドで一緒に寝るシャルル(3枚目の写真)。
  
  
  

我慢できなくなったシャルルは、夜、伯母の部屋に行き、「伯母さん、よく見てて」と、マッチを擦る。火を伯母に見せながら、「今夜は風が強い。だから、炎が揺れるんだ」と意味あり気に言う。「おやめ!」。「燃やそうかな…」。「シャルル。この恩知らず」。「黙れ!」。「口答えなんかして!」。「約束しろ、この年寄りバッタめ!」。「おやめ!」。「やる!」。そして、カーテンに火を点ける(1枚目の写真)。「いいわ、約束する」。「約束って、何を?」。「可愛いシャルルが望むことなら、何でも」。「約束だよ。火を消すから」。伯母は、「仲直りしましょ。ね? キスして」と言いながら、シャルルに近付くと、「こいつめ」と体をがっちり掴み、「年寄りバッタだと? 思い知らせてやる!」と凄む(2枚目の写真)。「約束したじゃない」。「悪人との約束は、反故にできるのさ。このワル!」。「許して」。「一晩中 地下室に閉じ込めてやる。思い知るがいい」。シャルルが地下室行きになった後で、ベティは、伯母を怖がらせてやろうと、「顔色が、すごく お悪いですね。でも、意気揚々とされて」と声をかける。「蒼白なのは、死と直面したから。軒昂してるのは、悪魔を負かしたから。家を焼こうとしたのよ」。「別に、驚きませんよ」。「何だって? 知ってたの? なぜ、言わない?」。「怖くて、名前を口に出せないんです。凶運が…」(3枚目の写真)。「ほんとかい?」。「村中が知ってます。取り憑いた悪魔は、暗い所で力を増します」。「あたしは、絶対 近付きませんよ」。これで、シャルルを地下室から救出してやれる。
  
  
  

シャルルが村の通りを歩いていると、馬車に乗った判事と出会う。判事はシャルルの遺産のことをよく知っていて、マクミッシュ夫人の行動に危惧の念を抱いている。そこで、「上がっておいで」とシャルルを馬車に乗せ、「何で、こんなに遠くまで?」。「あの、おばあさんに、お早う を言うためです」(1枚目の写真)。「誰だい?」。「名前は、知らないんです」。あちこちの人に、挨拶して歩くのがシャルルの日課なのだ。判事は、「君のことが心配でならんのだ。マクミッシュ伯母さんに虐待されとると、もっぱらの噂じゃが?」。本当のことなのに、何故かシャルルは否定する。「まさか」。そしてお尻をまくって、「どう、青アザある?」と訊く(2枚目の写真)。慌てた判事。「おやめ。確かに、どこも悪くない。ああ、ああ、見た、見た、十分だ。早く しまって」。シャルルの悪戯っぽい笑顔が可愛い(3枚目の写真)。「もう、やるな。風が冷たいから 風邪ひくぞ」。
  
  
  

その足で、シャルルは、馬具職人を訪れる。職人:「ごめんよ、伯母さんに頼まれ、責め道具を作っちまって。俺も、気が重い」。「お願いが あるんだけど。掛売りして もらえる?」。「ああ、いいとも」。「実は、ムチ防具が欲しいの」。「ムチ防具?」。「ムチで打たれても、痛くないようにするもの」。「一体、どうしたらいい?」。「パンツに厚い裏地を付けたら?」。腰を曲げてお尻を見せるシャルル(1枚目の写真)。「なるほど、そりゃぁいい! 巧くいくだろ。天才的だ」。それを聞き、自慢げなシャルル(2枚目の写真)。その夜、伯母の家の窓からは、お尻を鞭で打たれるシャルルの姿が、影絵のように見えた(3枚目の写真)。「この悪魔憑きめ。ぶちのめしてやる。思い知るがいい! この悪鬼!」。シャルルの悲鳴が響く。
  
  
  

鞭打ちが終わり、ベティの部屋を訪れるシャルル。ベティが変なものを作っている。「それ、今夜の食事なの?」。「これは、特別な薬で、クルミ油とクモの巣とアヒルの糞を混ぜたもの。打身と打撲に効くの。さあシャルル、お尻を出して」(1枚目の写真)。「要らないよ」。「でも、鞭打ち、痛かったでしょ?」。「ムチなんか、へっちゃらさ。ほら、見て!」とお尻を振って何ともないとアピール。「お尻、痛くないの?」。「平気、平気」。ベティは、伯母に聞かれないかと心配し、「静かに」と言った後で、「判事さんも心配されてたけど、鞭で30回も打たれたのよ! 数えてたから」。「300回だって平気さ」。そして、ベティにお尻を触らせる(2枚目の写真)。「これ何なの?」。「ムチ防具さ」。一方、伯母は、つまみ食いをした容疑で、真夜中にシャルルの部屋にこっそり侵入する。そして、「ムチ防具」を見つけてしまう。「これは、これは… これなら、痛くない。妙に、じっとしてた訳ね」と言うと、ぐっすり寝ているシャルルの毛布を剥がし、うつ伏せにすると、お尻を平手で叩き始める(3枚目の写真)。『ペレ』の時もそうだったが、この時代には、下着は付けずにシャツ1枚で寝ていたようだ。その後、シャルルはそのままの薄着で豚小屋まで連れて行かれ、「ここで 一晩、寝るんだ! 24時間、顔を洗うことも許さないからね」と放置される。まさに、残酷物語。
  
  
  

場面は一転し、海沿いの崖を、シャルルとジュリエットが手をつないで登っている。ジュリエットは14歳の盲目の美少女だ。ジュリエットは、5年前に両親を亡くしてから、姉で代書人のマリアンヌと二人暮らしをしていて、裁縫で家計を助けている。「どこまで行くの?」。「秘密だよ」。そして、シャルルは見晴らしのいい高みへとジュリエットを誘う。ジュリエットは、「きれいなヘアバンドでしょ?」と話しかけ(1枚目の写真)、「もっと、近付いたら?」と言うが、シャルルは「ダメ」と断る。「ダメ?」。「近寄りたいんだけど、近寄らない方がいいんだ」。「意地悪ね」。「僕、豚みたいに臭いから。自分でも、たまらない。悪臭が消えてくれない」。「ちゃんと洗わないからよ」。崖っぷちに仲良く座る2人。「君、可愛いね」。「あなた、元気ないわね」。「不幸だから。誰も助けてくれない」。「どうかしたの?」。「伯母さんは ひどい仕打ち。判事さんは知らんぷり」。「姉の話では いい人だって〔判事のこと〕。でも、面倒は避けたいのかも。慎重な人だから。でも、いつかは助け船を…」。2人を見おろす撮影が美しい(2枚目の写真)。「神様にお祈りするわ。判事さんが いつか気付きますように、って」。思わず、頬にキスするシャルル(3枚目のシャルル)。ジュリエットの笑顔からすると、恋心は、豚の臭いを消し去ったようだ。
  
  
  

別な日、マリアンヌの元に、漁師が お悔やみ状の代書を頼みに来ている。そこに、シャルルが、「お早う、ジュリエット」「お早う、マリアンヌ」と入って来る。代書が終ってからジュリエットと戻ってくると、姉から意外な話を聞かされる。「5万フランよ! 金貨で5万フラン。すごい額でしょ!」(1枚目の写真)。「それ、僕のもの?」(2枚目の写真)。「ご両親が亡くなった時、伯母さんに5万フラン遺したの。あなたの教育費、食費、衣服費として」。ジュリエットが、「お姉さん、それ本当?」と尋ねると、マリアンヌは「そうよ。代書人は、何でも知ってるの」。今度は、シャルルがジュリエットに訊く。「ねぇ、ジュリエット、5万フランって多いの?」(3枚目の写真)。「大金よ。想像も付かないわ」。
  
  
  

この話を受けて、シャルルはベティと打ち合わせ、ベティが名案を思いつく。伯母の悪魔恐怖症にヒントを得た作戦だ。両手を黒くしたベティが、「さあ、準備できたわ」と言う。シャルルは後ろを向いてお尻を剥き出しにする。そこに、ベティが 黒い手の跡を2個付ける(1枚目の写真)。「悪魔の印よ。無事を祈るわ」。第2段階。シャルルが、伯母に向かって「僕、学校に行きたい」と言い出す。「学校なんか行かせたら、買わされちまうだろ、本やインクやペンを」。「5万フランあれば、何でも買えるよ」。これは、伯母にとっては衝撃的な発言だった。「何で… お前が… 知ってる…」。さっそく体制を立て直し、「5万フランて、何よ? 誰が、そんな大金を?」としらばくれる。「僕だろ!」。「5万フランって、何なの?」。「僕の両親が、伯母さんに託した お金」。「でたらめよ!」。「マリアンヌが 教えてくれた。でたらめじゃない」(2枚目の写真)。「5万フランを 見たとでも?」。「証拠があるって」。「て、ことは、村中で、このバカ話を触れまわってるのね?」。「違うね。知ってるのは僕と伯母さん」。「この、へらず口め!」。「嘘付き!」。「二度と口にしないよう罰してやる」と杖を取り出したところで、シャルルはお尻をまくり上げて、黒い手印を見せる。「ああ、神様、悪魔だわ! 中に潜んでる!」と逃げ出す伯母(3枚目の写真)。ベティは、「サタンの悪魔の印だわ! 地獄に落されます!」と調子を合わせる。その間にシャルルは逃げ出す。「化け物は、どこ?」。「きっと、この家に潜む悪魔の元へ。奥様を、さらに苦しませるために!」。「残された途は一つね」。「対抗なさるので? それは、間違いです。悪魔に 復讐されますわ」。しかし、時は遅し。事態は思わぬ方向へと進んで行く。
  
  
  

伯母は、さっそく、厳しいことで知られた全寮制の学校〔実態は、少年院に近い〕を訪れる。2人の校長〔兄弟〕に、「甥ごさんの、ことですな?」「では、私どもに幼児を預けられて、青年になるまで面倒を見ろと?」と念を押され、「おっしゃる通り」と返事をする。悪魔に憑かれたシャルルを追い払いたい一心だ。「四半期ごとに600フランです」。先の計算だと120~240万円という法外な金額だ。伯母は、小柄な幼児だからと450まで負けさせ(1枚目の写真)、さらに、女中のベティもおまけで付けるからと375まで値切るが、契約が成立したと思い、うっかり、「シャルルには、驚かれるかも… あの子の、交友関係に。かなり異常な関係で、相手は魔法の精霊、恐らくは、悪魔です」と言ったものだから、ベティ付きで600フランになってしまった。その夜、伯母の寝室に強引に入って行ったシャルル。「伯母さん、僕に何か 隠してない?」と訊く(2枚目の写真)。「隠し事なんか、ないね!」。近付こうとするので、「動くんじゃない! こら、近寄るな!」と必死だ(3枚目の写真)。伯母の胸元にある黒い箱は、5万フランの金貨の入った金庫。シャルルが入ってくるまで、守銭奴らしく、こっそり金貨を見て楽しんでいたのだ。その時、床に落ちていた金貨を見つけたシャルルが、「金貨が落ちてるよ、伯母さん」と振って見せる。必死で取り返す伯母。「触るな、盗っ人め! これ全部、私のだよ! 出てくんだ、出てけ、この盗っ人! 悪党め、消えろ! 出てけ! さっさと、ドア閉めて! お閉めったら!」。
  
  
  

明くる日、馬車が呼ばれ、シャルルを医者に連れて行くという口実で、ベティも一緒に馬車に乗せられる(1枚目の写真)。「もし僕が病気なら、食事が足りないからだ」。「静かにおし。旅が不愉快になる」。丘を随分と登ったので、馬方が「馬を休めねぇと」と言い出す。伯母は、「ここから歩くわよ。近いから」と2人を降ろす。ベティは、シャルルに「医者なんて、いないと思うわ」と言い、シャルルも、「僕も、そう思うよ」と答える。シャルルが伯母に、「行きたくない、って言ったら?」と訊くと(2枚目の写真)、「私は、お前の保護者だから、命令できるのよ」。ベティの「奥様、私は?」という質問には、「もし、拒んだら、野宿でもするんだね」。伯母の魂胆が分かったので、2人は道の突き当たりの建物目がけて歩いて行く(3枚目の写真)。
  
  
  

門の中に入ると、2人はすぐにバラバラにされた。シャルルは、乱暴に2階に連れて行かれ、「早く眠らんと時間がないぞ。起床は朝5時半だ。鐘が鳴ったら起きるんだ。遅れるな。厳罰だぞ」と言われる。ちょうど その時、1人の子がベッドから起きて窓を閉めに走る。「貴様、何のつもりだ!」。「寒くて、眠れないんです」。「寒いのか? なら、暖めてやる」。そして、お尻をまくり上げると、何度も叩く。「痛いよ! 許して!」。「どうだ、暖かくなったか?」。その後も、お尻叩きは延々と続く。シャルルには、自分がどんな所に来させられたのか、これではっきりと分かった。翌朝、真っ暗な中 鐘が鳴り、全員が一列になって階段を降りて行く。寒いのに、薄いシャツとズボンだけだ(1枚目の写真)。生徒たちは、狭い中庭のような所で列になって洗顔を待つ。床の石畳の上には一面に氷が張り、生徒たちは素足のままだ(2枚目の写真)。顔を洗う桶の水にも氷が張っている。シャルルも、覚悟を決めて(3枚目の写真)、氷水で顔を洗う。思わず、「わぁ、冷たい!」。その先には食堂があり、さっそくベティも駆り出されている。シャルルに「台所は虫だらけ。スープは汚れた水」と打ち明ける。「飲むの、よすよ」。そして、「何とか、逃げ出さなきゃ」。「でも、どうやって?」。「策略さ。僕、悪魔だろ」。
  
  
  

シャルルに、「何とかしなきゃ」の決意を固めさせたのが体罰。シャルル自身が対象になったわけではないが、「悪いことをした奴は、どうなるか、見ておけ」と言って、シャルルの目の前で教師にお尻を鞭打たれる5人の生徒たち(1枚目の写真)。シャルルの頬を涙が伝う(2枚目の写真)。
  
  

放課後、シャルルを待ち受けていたのは、生徒たちによる新入生の「洗礼」。「新入生だぞ!」「縛り付けろ!」「しごいてやれ!」。口々にそう言って、シャルルを柱の前に取り囲む(1枚目の写真)。「縛られるのは、ごめんだ」。「逃れることはできない。例外はない、それが掟だ!」。ここで、シャルルが先手を取る。「僕を 知らないだろ。シャルル・ランスだ。悪魔と、契約してる」(2枚目の写真)。この言葉に、生徒たちは一斉に身を引く。「悪魔とだって? じゃあ、話を聞こう」。「いいか、君たち、証拠を見せてやる。明日は起きなくていい。鐘は鳴らないからな」(3枚目の写真)。そう言って、壁の鐘を不敵に見上げる。
  
  
  

悪魔など いるはずないので、皆が寝静まってから、シャルル自身が鐘を細工する。高い壁の上にある鐘の下の窓を開け、必死の覚悟で窓枠に立つと、手を思いきり伸ばして振り子を外す(1枚目の写真。矢印の先が外した振り子。写真の左端には振り子の大きな影も映っている)。これで、紐を引いても鐘は鳴らない。問題は、紐を引く男が、鐘が鳴らないことに気付いたら終わり。しかし、鐘引き男は耳がほとんど聴こえないことに、シャルルは気付いていた。だから、翌朝、鐘引き男は 鳴ったと思って寝てしまい、明るくなるまで誰も気付かなかった。生徒たちの大部屋では、約束通り鐘が鳴らなかったことから、「やったね、シャルル、すごいぞ!」と賞賛される(2枚目の写真)。すぐにそれは、部屋中の全員が枕から羽を取り出して撒き散らす大騒動に発展する(3枚目の写真)。
  
  
  

かなり遅めの朝食。生徒たちの前に置かれたひな壇上では、2人の校長と2人の使用人(教師と雑用係)が、たっぷりの朝食を取り、朝からワインも飲んでいる(1枚目の写真)。その前のテーブルに4列に別れて座らされた生徒たちは、今までなら黙っていたのであろうが、悪魔が一緒とあって勇気百倍、スプーンでテーブルを叩きながら「お腹空いた! お腹空いた!」の大合唱(2枚目の写真)。「寝とったから、腹なんか空かんはずだ!」と怒鳴っても、抗議運動は続く。「少し待て。スープを用意させとるから」の言葉にも、テーブル叩きは続く。「すぐ用意する と言っとるのが、聞こえんのか!」。
  
  

ここで、ベティが「大変です」と駈け込んで来る。「先生方なら、どうすればいいか ご存知かと」。そして、「台所でスープを作っていると、恐ろしいことが… 神様! 聖母マリアに 祈りました。聖ペテロ、聖パウロ、聖アンデレにも」。「どうなっとる? 何を、大げさな!」。ベティは校長2人の後ろで、指で悪魔の角(つの)の形を模しながら、「悪魔です!」と叫ぶ(1枚目の写真)。「悪魔が、いたんです! あなた方の持ち物が、勝手にごそごそ動いてました。スープに、何か塊が入っています。何か、有害で邪悪で空恐ろしいものが」。人を怖がらせる ベティの得意技だ。校長A:「何と、おぞましい話だ!」。同B:「わしらに構わんで欲しい」。「真相を突き止める!」。「やめよう。そっと しとこう」。2人の校長の姿勢は分かれている。目の前に持ってこられた大きなスープの容器を前に、「開けるぞ」。「開けない方が、いいと思う」。「お前が、開けろ」。「わしが?」。「お前の方が、若い。なぜやらん?」。「そんなこと、わしの役目か?」。結局、弟(B)が蓋を取ることに。柄杓を動かすと、何か大きなものに触る。恐々持ち上げてみると、それは兄(A)のシルクハットだった(2枚目の写真)。それを見て、生徒たちは大笑い。一番笑ったのはシャルルだったかも(3枚目の写真)。
  
  
  

ベティと2人だけになったシャルル。「ベティ、いよいよ開戦だね」。「学校には、悪霊が棲でるって、信じてるわ」。「手を貸して」。「何でも、言ってちょうだい」。「今日のお昼に決行だ」。そして、その日の昼食。ひな壇に並んでいる食事は、朝より豪華だ。だが、意図的にワインは少量しか置いてない。「ワインを」。容器は空だ。校長Aが、「ボクセール君」と、唯一の教師に声をかける。彼は、当然 行きたくないので、一番格下の耳の遠い雑用係(鐘引き男)に声をかける。「あっしが、取ってくるんで?」。「もちろん。さあ行け」。「お待ちを」と校長に言って席を立つ(1枚目の写真)。雑用係が地下の貯蔵庫にワインを取りに部屋を出て行くと、さっそくシャルルが席を立ち、「ボクセール先生、お腹が痛いんです。休んできて いいですか? ああ、痛い…」と懇願する(2枚目の写真)。許可が下りると、直行したのは地下の貯蔵庫。扉のところで様子を伺い(3枚目の写真)、こっそり中に降りて行く。そして、雑用係が天井から吊り下げされたハムの塊を切っているところを、後ろからポカリ。
  
  
  

ひな壇では、待っていても雑用係が帰って来ない。「ボクセール君、どうなってるか、見て来てくれんか? 時間が かかり過ぎる。奴は飲兵衛だから、一杯やってるに違いない」。「すぐに戻ります」と席を立つボクセール(1枚目の写真)。彼も、頭をポカリと叩かれて昏倒。校長A:「何か変だ。行けよ」。同B:「なぜ、いつも わしなんだ? 不公平だ。2人とも戻って来ない。1人じゃ危ない」。「お前なら、大丈夫だ」。「人任せは、怖いからだろ?」。「分かった、行こう」。「待った。気を付けんと。2人で行くのが確実だ」。かくして、2人は、生徒たちにA:「おとなしく してろよ」、B:「騒ぐな」と注意して調査に向かう(2枚目の写真。赤がA、黄がB)。2人がいなくなると同時に、食堂は大騒ぎに。そして、地下貯蔵庫では、2人とも仲良くポカリと殴られる。事が済んだシャルルは、食堂に戻って来ると、「みんな、静かに。落ち着いて。危険は なくなった。悪霊が やってくれた」と宣言する(3枚目の写真)。あくまで、悪魔のせいにするところが作戦の重要なポイントだ。
  
  
  

地下貯蔵庫では、4人とも昏倒から目が覚めるが、真っ暗で、状況は不明、おまけに出口に鍵がかかっている。「この不快な穴蔵に閉じ込められた! さあ、扉を破るぞ」と息巻く。扉までやって来たシャルルたちは、「やあ、優しい先生」「閉じ込められちゃったね」「学校で、火事発生!」と、てんでなことを言う(1枚目の写真)。中では、「火事だと?! どうしよう !」と大騒ぎ。シャルルは「鍵、持ってないだろ!」と嘲り、生徒たちには、「悪霊が、取り上げたんだ」と自慢げに話す。それを聞いた中の4人は、「悪霊のことなど話すな」「でも、怖いものは怖い」。シャルルは、「解放してあげる。待ってもらうけど」と言い残して去って行く。中の4人は、悪魔が絡んでいるので、待っているしかない。学校の中は大騒ぎ。全員が、こんな嫌な所とは永遠におさらばと、荷物を持って、階段を降りる。鍵束を持ったシャルルもいる(2枚目の写真、矢印は鍵束)。この鍵で、牢獄のような学校の扉を開け、生徒全員が逃げ出して行った(3枚目の写真)。シャルルもベティと一緒に村へと向かう。
  
  
  

一方、村では、判事が思い切った行動に出ていた。自ら伯母の家を訪ねたのだ。「マクミッシュさん、いい知らせですぞ。甥のシャルルが帰ってきます。ベティと一緒に」と嫌味たっぷりに言う。「まさか、そんな…」。「あんたは、シャルルが帰れないよう仕組んだ。あの学校は、全寮制学校というより少年院に近い」(1枚目の写真)。「四半期600フランも払ったんですよ」。「5万フランも持っとるのにかね? しかも、5万フランはシャルルの金だ。その金を、即刻渡すよう勧告する」。「持ってませんよ」。「何ですと?」。「誘惑されないよう、隠したのです。そしたら、判事さん、隠した場所を忘れてしまって…」。「そういうことなら、一緒に探しましょう。万一、見つからなかったら、石工を呼びますぞ。石を1つずつ外していくんじゃ。お金が見つかるまで。無論、費用はあんたが払うのですぞ」。お陰で、箱はあっという間に出てきた。伯母は、渋々 金庫を判事に渡す(2枚目の写真)。「これが5万フラン?」。「ええ、判事さん。あの恩知らずを養うのに少し使いました。私が母親代りでしたから」。「なら、ほとんど減ってないでしょうな」。伯母は、シャルルのためにほとんど何もしなかったので、これはきつい嫌味だ。
  
  

自分のお金が剥奪されたように感じた強欲伯母は、最後のパフォーマンスに出る。2階正面の窓を開け、村の面々に愚痴を並べたのだ。「皆の衆。人でなしども。非道な輩め。私の死に、心 咎めるがよい」。村人の反応はいろいろ。心配する人もいれば、「どうせ、口だけよ」という人も。結局、伯母は、体を受け止める大きな布が用意されてから飛び降りたので(1枚目の写真)、死ぬ気はなかったことは確実。実際に軽傷だった。医者が様子を見て、シャルルに「無事だよ」と伝える(2枚目の写真)。しかし、その医者も、伯母から聞こえないよう、「つらの皮が厚いからね」と付け加えることは忘れない。
  
  

外に出て来たベティに、先日、途中まで馬車に乗せて行った馬方が寄ってきて、口説き始める。「馬の世話は巧い。君の世話も巧いぞ」。「老いぼれの馬と一緒にしないでよ。で、この馬に幾ら払ったの?」。「大枚 はたいた。25フラン〔5~10万円〕」。「25? 20フランでも高すぎるわね。いいこと、もし結婚したら財布を握るのは私よ」。それでも、「結婚してくれねぇか?」という男に、ベティはキスする(1枚目の写真)。それを、横で隠れて見ていたシャルル。ジュリエットと一緒に歩きながら「あの2人、よくやるね」と言うと、ジュリエットは「あれが恋よ」と答える。「君と僕も、恋してる。だよね?」。「私たち子供よ。でも、いつの日か…」。「あの2人みたいにキスしようか? ここに」と言って、ジュリエットの唇に指を置く(2枚目の写真)。シャルルの服装は、もう格段に上等になっている。次が、先ほどの、ベティと馬方の恋の続き。2人の婚約の件で、判事が書類を作ろうと2人と話そうとしている。ここでもベティは主導権を握る。「ドナール〔馬方〕の所持品は、がたがたの古い馬車と、安い雌馬だけ。価値はほぼゼロ」と言った後、「ヴァル・ボッシュに農場があるのよ。シャルルが5万フランの中から1万2千フラン〔2400~4800万円〕くれたから、そのお金で農場を買ったの。30羽の鶏と6頭の乳牛もね」。「農婦になりたいのか?」。「まさか、農夫は あんたよ。私は会計係。牛乳や卵、仔牛を売って稼ぐわ。手伝ってくれるわね?」。将来、というか、結婚前から尻に敷かれている感じ。「状況は明快。私には財産、彼は無産。だから、書類なんか 要らないわ。じゃあ、ガミガミ〔シャルルの伯母のこと〕を起こしてきます」。これでは判事も出番がない(3枚目の写真)。
  
  
  

伯母の容態が悪化し 神父が駈け付ける。最初は、「懺悔することなど、何も。誰も傷付けたことのない 貧しく善良な老人です」と白々しく言っていたが、「産まれたばかりの子羊にも、罪はあるのじゃ。ミルクを貪欲に飲むという」と諭され、「白状します。唇をつけました、一滴のワインに」「それから、つまみ食いを。甘い物を少し」。それを隣の部屋で聞いていたシャルルが侍者の少年に「偽善者! 嘘つき! 僕を、あれだけ 虐めて慰み物にしたくせに!」と罵る。「ああ、神父様、もっと悪いことを」。「それは、何かな?」。「生きた命を奪いました。無垢な、生き物の」。「殺したのかね?」。「そうです。台所の包丁です」。これまでいい加減に聞いていた神父の顔が厳しくなる(1枚目の写真)。それを聞いたシャルル。「あいつ、僕を、ひどくぶったけど、何かを殺したんだ!」。「君は、殺し屋と住んでたんだね。心から、同情するよ」(2枚目の写真)。夫人が殺したものは、シャルルが可愛がっていたウサギだった。鍋に入った皮を剥がれた無残なウサギの姿に、うな垂れるシャルル。あまり可哀想なので、ベティがシャルルにキスをして慰める(3枚目の写真)。
  
  
  

かくして、極悪非道の伯母は息を引き取る。「亡くなったよ」と言って、シャルルをなぐさめる神父(1枚目の写真)。あれほど虐められたのに、シャルルは悲しそうだ。それに比べると、サバサバしたベティは、死体のそばに点けてあった5本のロウソクを、「言われた通り倹約するわね」と言って、全部吹き消す。食卓で、ベティは侍者の少年に、バターを一杯塗ったパンを食べさせ、神父にはワインを出す。伯母の死が気になるシャルルは、呑気にワインなど飲んでいる神父に、「鐘を、鳴らさないんですか?」と尋ねる(2枚目の写真)。「祝宴が台なしじゃ」。「でも、死んだんですよ」。「人は死ぬ」。埒が明かないと思ったシャルルは、1人で教会に行き、鐘を鳴らそうとするが、ほとんど音が出ない(3枚目の写真)。それに気付いた大人たちが、代わりに鐘を鳴らしてやる。これで、死人が出たことが村中に伝わった。
  
  
  

葬式は、めちゃめちゃというか、ユーモラス。埋葬の直後にベティと馬方の結婚式があるので、伯母の棺桶を乗せた馬方の馬車には、結婚式のための花飾りが施してある(1枚目の写真)。墓地に上がって行く神父に、黒い服を着た葬儀用の侍者と、赤い服を着た結婚式用の侍者が後に続き、おまけに、その後を、純白のウェディングドレスを着たベティが追っている(2枚目の写真。赤服の侍者と、ベティの間に、青い服を着たシャルルがいる)。葬儀が終ると、村中が集まって、盛大に結婚式が行われる(3枚目の写真)。
  
  
  

歌と演奏に合わせ、2人で仲良く体を左右に振るシャルルとジュリエット(1枚目の写真)。しかし、みんなが踊り始めてもジュリエットは踊らない。シャルル:「ダンスしないの?」。「一人でいるわ。慣れてるから」。「僕は、覚えたいな。自分の結婚式では、一番上手に踊りたいもの」。「遥か先の話でしょ」。「そんな、すぐだよ」。「相手は、決まってるの?」。「さあね。料理が上手な人がいい。皿を洗ってる間、僕は、庭でパイプをふかしてるんだ」。「手伝わないの?」。「まさか」。「最低ね。結婚しようと思ってたけど、とても無理みたい」(2枚目の写真)。シャルルは、「機嫌直してよ」と言い、ベティの花輪と白いベールをジュリエットの頭に被せ、頬にキスをする(3枚目の写真)。原作でも、シャルルとジュリエットは、マリアンヌと判事が結婚した直後に結婚する。
  
  
  

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