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Wonder ワンダー/君は太陽

アメリカ映画 (2017)

稀な先天性の顔面異常、トリーチャー・コリンズ症候群〔映画の中で 病名は出てこない〕という重荷を持って生まれ、27回の手術を受けた10歳のオギーの一家の物語。この病気については、http://tocana.jp/ という日本語のサイトに、アメリカ人の女性ケイティについて、分かりやすい説明がある。そこには、「学校生活は、いじめによって苦難の連続だった」「彼女はいじめをする子どもたちを勉強で打ち負かすことで、自分には知性があるということを知らしめた」と書かれているが、それこそまさに、オギーがしたことだった。そして、彼女以上に幸せだったことは、オギーにはいい友達がいた。この映画の主人公オギーを演じているのは、ジェイコブ・トレンブレイ。このサイトでは、日本公開の20日前に『ルーム』を紹介し、その将来性に期待していた。しかし、この映画を紹介するにあたり、ジェイコブ・トレンブレイは完全に排除し、主要な脇役であるノア・ジュープに焦点を当てることにした。それは、ジェイコブが嫌いな訳でも、奇形の顔面に対する差別などでも毛頭ない。問題は、顔を完全にマスクで覆い、本人の顔が全く見えないという状況。これは、子役を紹介する本サイトの主旨にそぐわない。ただ、この映画には、私が高く評価しているノア・ジュープが、その最大の魅力である笑顔を振りまいているので、どうしても紹介したい。そこで、異例ではあるが、主役のオギーではなく、オギーの一番の友達となるジャック・ウィルに的を絞った紹介を行う。この映画は、31の賞にノミネートされたが受賞は4つのマイナーな賞にとどまった。最大の理由は、①姉の恋愛や演劇クラブでの活躍まで描いて テーマが分散したことと、②ラストの唐突で過度なハッピーエンドにあるのではないか。オギーが入学したのは、Beecher Preparatoryという私立中学(5~8年生)。5年生なのに、8年生の卒業式に参列し、最高の賞を受ける。その理由は、「多くの人の心が動かされるほどの強い魅力の持ち主」だから。しかし、映画で描かれているのは、ジャック・ウィルが外見に囚われずにオギーを好きになり、クラスの10人ほどがオギーの友達になる姿〔そのうち、3人は卒業式直前のキャンプで初めて心を開く〕。「多くの人」と言うにはあまりも少なく、「可哀想な障害者だから称えよう」式の安易なハッピーエンドにしか思えない。これでは、障害者にかえって失礼だ。それが原作だから仕方ないと言えば終わりだが、映画化に当たって見直して欲しかった。

ノア・ジュープ(Noah Jupe)は、2005年2月25日生まれなので、撮影時11歳半。私が、最初にノアに着目したのは、この映画での演技。まさに、百面相で、どんな表現もできる。笑顔がこれほど似合う子役は他にいないのではないか。あらすじの写真では、一連のシーンの中での表情の多様性を数ヶ所で紹介している。

あらすじ(ノア・ジュープ版)

オギーは、母の 「この先ずっと自宅学習なんて無理。先送りにすれば、年ごとに始めるのが難しくなる。今年は、どの子にとっても中学の1年生にあたるから、1人だけの新入りにはならずに済むわ」という主張により、Beecher Preparatory私立中学校の新入生になるのだが、新学期が始まる前に、校長室に行き、その後、3人の生徒(ジュリアン、シャーロット、ジャック・ウィル)に学校を案内してもらう。この時、オギーは、この学校の “5th grade” になる。日本流に言えば5年生だが、アメリカでは、小、中、高ごとに1年生から始まらず、大多数の州の公立校では、小学校が1年生から5年生、中学校が6年生から8年生、高校生が9年生から12年生に該当する。しかし、ニューヨークの私立校の多くは、小学校が1年生から4年生、中学校は5年生から8年生で、オギーが通うBeecher Preparatoryも、新入生は5年生から。ただし、3人の生徒は学校を案内できるほど慣れている。私学の中には、小学校から高校まで一貫して設置しているところもあるので、1年生から在籍していれば事情に通じているだろうが、映画に出てくる建物には、「私立中学校」の銘板が埋め込まれている。どうしてジュリアンは、夏休みの休業中に 「これがカフェテリア。学校の食堂としちゃ悪くない」なんて説明できるのだろう? 上に書いたように、普通は5年生は小学校の最高学年なので、オギーはこれから編入し、それまで4年生だったジュリアンが、勝手知ったる学校を案内していると勘違いしてしまう。
 オギーは、校長室を出ると、3人の生徒に紹介される。右から順に 「Hi」「Hi」「Hey」と挨拶するが、一番左のジャック・ウィルだけが、笑顔を見せる(1枚目の写真)。オギーの独白が入る。「子供に会うのは、大人より難しい。みんな、最初は同じ顔をする」。ここで、ジャック・ウィルのアップが映るが、「同じ顔」の意味が分からない。「だけど、〔変なものを見ているという感情を〕うまく隠せないから、僕は下を向くことにしてる。靴を見れば いろんなことが分かる」。ジュリアンの革靴が映る。「金持ちの〔trust fund〕」。ジャック・ウィルの運動靴。「お下がりの服を着る〔hand-me-down〕」。シャーロットの花柄のパンプスを見て、「まともじゃない子」。言い得ている。4人は、30分の案内ツアーに出かける。シャーロットは 自分のことをペラペラとしゃべり、ジュリアンは 先頭に立って威張って歩き、場所の紹介をする。ジャック・ウィルは、いつも一番後ろにいて、控えめにして何も言わない(3枚目の写真) 。

理科の教室に入った時、シャーロットが、「これって、『ロー&オーダー』〔1990年から2009年まで続いた人気TVドラマ〕にあった場面みたい」と歓声を上げる(1枚目の写真)。ジュリアンは、どこから情報を入手したのか、「選択科目の理科は、ホントに難しいみたいだsupposably。だから、ここは “針のむしろ” になるぞ。だって、お前、学校来たの初めてだろ」と脅す。ここで、ジャック・ウィルが、「彼、自宅学習してきたんだぞ」と擁護。「そうか、言いたかったのは、理科はホントに難しいみたいだsupposably、ってこと」。ジュリアンは、ジャック・ウィルに、「そうか、お前も理科取るのか? なら、お前ら2人とも落第だな」と言う。怒ったジャック・ウィルは、「どいてくれないか。彼が見れないだろ」と言う。理科の教室の中で、ジュリアンは、幾つかの器具の名前を教えた後、オギーがずっと黙っていることを問題視する。ジャック・ウィルは、「おい、何か言った方がいいぞ」と 囁くようにアドバイスする(3枚目の写真)。オギーは、「君の名前、ジャック、それともジャックウィル?」と訊く。「みんな、僕の名と姓をつなげて呼ぶんだ。なぜかな」。

ジュリアンは、「その顔、どうしたんだ?」と訊いてはいけないことを訊く。ジャック・ウィル:「おい!」(1枚目の写真)。「自動車事故とか?」。シャーロット:「ジュリアン!」。「何だよ? 校長は 好きなこと訊けって言ったろ」。「失礼な質問はダメよ。生まれつきだって校長先生言ってたじゃない」。「分かってるって。ただ、火事とかなんかのせいかなって思ったんだ」。「ジュリアン、黙れ」。「お前こそ!」。「みんな黙りましょ」。オギーは 「火事じゃないよ」と言い出す(2枚目の写真)。「それに、"supposedly(たぶん)だよ。君、『理科は、ホントに難しい "supposably"(みたいだ)』って言ったよ。2回も。"supposedly"(たぶん)って言わなくちゃ。君にも、僕のママの自宅学習がいるんじゃないかな」。それを聞いたジャック・ウィルは、ザマミロとばかり にやりとする(3枚目の写真)。ところで、この会話が私には理解できない。“supposably” という単語は、英語字幕だけでなく、公開されている映画の脚本でも使われている。そして、この単語は立派に存在する。しかも、“supposedly” と似た意味で。Oxford Dictionaries Onlineでは、「As may be supposed; imaginably; presumably; supposedly」という意味だとされ、中に、“supposedly” も入っている。そして、この単語の起源は、18世紀中葉にさかのぼる〔最近の造語ではない〕。要は、ジュリアンの言葉は、英語として完璧で間違いはどこにもない。逆に、オギーの指摘の方が間違っている。これでは、話が合わない。ところが、日本語の字幕では、「選択だよ」「君は “理科のだく” って言った」と、ジュリアンは間違っている。フランス語の字幕でも、「C'est "réputée"(有名な)」「Tu as dit que les sciences étaient "répudiées"(放棄する)difficiles」と、ジュリアンは間違っている。もし、英語の台詞が、このフランス語字幕のように、「science is "renowned" to be really hard(理科はホントに難しいことで有名)」が正解で、"renowned"(有名な)の代わりにジュリアン間違って “renounced”(放棄された)を使っていれば、単語も似ていて、意味が全く違うので、主旨に合っていたと思うのだが…

学校が始まり、最初の日の1時限目。ジャック・ウィルが教室に入って来る(1枚目の写真)。この表情は、彼でしか見たことのないもの。後でも出てくるが、口を堅くぎゅっと結んだ時の顔。英語の教師は、開口一番 「よかった、幸い、何人かは見慣れた顔だな。新顔も何人かいる。初めまして」と挨拶。これも、冒頭の疑問と関係している。これは、中学校の1年生の最初の授業。教師と生徒の半分が顔見知りということは、この私立中学には小学校があり、3人はそこに通っていたという仮定を補強する。逆に言えば、これが小学校の最高学年(5年生)のクラスで、編入生が何人かいたと思っていても、そのまま違和感なく耳に入る台詞でもある〔言いたいことは、オギーのシチュエーションが分かりにくい〕。教師は、全員に 「みんなに自分のことを分かってもらえる言葉を2つ思い付く」よう求め(2枚目の写真)、まずは自分から、①長いことウォール街で働いていた、②夢を叶えようと教師になった、と話す。これは、非常に分かりやすい例だったが、2番目に当てられたオギーは、①ヴィアという姉がいる、②デイジーという犬がいる、③スターウォーズが好きと言う。③には意味があるが、①と②が「自分のことを分かってもらえる言葉」とは思えない。先ほどの “supposedly” と合わせ、どうも冴えない。

何日後かは不明。クラスで集合写真を撮る。そこに、英語の教師が入ることから、彼が担任らしいことが分かる。写真屋が生徒達を並べようとしても話し合っていて協力しないので、教師が、「Ladies and Gentlemen」と声をかける(1枚目の写真)。オギーの前に来た写真屋が、「君の名前は?」と訊いた時、教師が代わって「オギー。いいブーツ〔写真屋の靴〕だ」と言ったので、写真屋は、オギーを見て、「そりゃ、ありがとう」と おどけ、ジャック・ウィルは吹き出しそうになる(2枚目の写真)。そして、全員が「チーズ!」と言い、パチリ(3枚目の写真)。ジャック・ウィルとオギーの仲良しコンビは、この時から予告されている。

理科の授業。オギーは、2人用のテーブルに1人で座り、その横のテーブルにジャック・ウィルが座っている。女性教師は、教壇の上で、水による光線の屈折の実験を生徒に見せる。この実験のポイントが屈折にあることを指摘できたのは、オギー1人。それを聞いたジャック・ウィルは、何も分からない自分がなさけなくなる(1枚目の写真)。教師は、抜き打ちで小テストを宣言。ジャック・ウィルは、まるで歯が立たない。早くも書き終わったオギーは、ジャック・ウィルが困っているのを見て、鉛筆で腕を叩き、「見せてあげる」と動作で示す(2枚目の写真)。ジャック・ウィルは、すごく嬉しそうな顔になり、こっそり書き写す(3枚目の写真)。

カフェテリアでのお昼。ジャック・ウィルは、ボス的存在のジュリアンに。「おい、ここに座れよ」と呼ばれるが、大きなテーブルに一人寂しく座っているオギーを見て、「今すぐ」と言って断ると、オギーの前に行き、「今日は、助けてくれてありがとう」と礼を言う。「いいんだ」。「心配しないで。先生にバレないよう、少し間違えといたから」。「心配なんかしてない。最悪、退学になるだけさ」。その言葉で、ジャック・ウィルは、「君も学校面白くないの?」と、嬉しそうにオギーの前に座る。「素敵だよ」。その “反語” 的な言い方に、ジャック・ウィルは思わず笑いをこらえる(1枚目の写真)。ジャック・ウィル:「僕、Wayne中学〔実在〕に入りたかった。スポーツ校だよ」。「なぜ、ここに来たの?」。「奨学金をくれた」(2枚目の写真)〔Noah Jupe独特の顔〕。「理科で助けが要るなら、放課後、僕の家においでよ。よければだけどね」。「すごいや、ありがとう」。オギーが、持参したランチのフタも開けてないので、「どうしたの?」と尋ねる。「みんなの前で食べたくない」。「どういうこと?」(3枚目の写真)〔コンビニの野菜スティックそっくり〕

「話せば長いけど、食べる時、先史時代の沼の亀みたいに食べるんだ」。「まさか! 僕もだ!」。そう言うや否や、ジャック・ウィルは皿の食パンに顔をつける(1枚目の写真)。そして、手を使わず、口だけで食パンを噛みちぎる。「顔にツナが付いてるよ」。「そうさ、ツナ男だ」(2枚目の写真)。オギーは、「そんなじゃダメだ。どうやるか見せてあげる」と言い、タッパーのフタを開け、口を突っ込む。それを見たジャック・ウィルは、「すごくキモいな」と降参する(3枚目の写真)。オギーの心が、喜びで溢れかえる象徴的な映像に変わる。

その日、学校が終わると、オギーとジャック・ウィルは仲良く話しながら外に向かう。ジャック・ウィル:「僕は、ハロウィンが好きだけど、何といってもクリスマスがベストだな」(1枚目の写真)。オギー:「まさか、ハロウィンがベストだよ」〔当たり前のように 顔を仮面で隠せるから〕。「枕カバー一杯のキャンディー、対、2週間の休みだ」〔「The Best Halloween Candy Bag Is a Pillowcase」というサイトがある〕。オギーの母が、犬を連れて迎えに来ている。犬が吠えると、ジャック・ウィルは、「見たか? 犬だって賛成してる」と嬉しそうに言う。母は、オギーが他の子と一緒に出てきたことに驚き、当惑する。「ねえ、ママ、ジャック、ウチに来ていい?」。母の当惑は幸せ喜びに変わる。その笑顔を見たジャック・ウィルは、「ありがとう、Mrs.P」と言う(2枚目の写真)〔この “Mrs.P” とは何だろう? オギーの家族名はPullmanなので、そのPかもしれないが、子供向け番組の “MrsP.com” の主人公の優しい “Mrs.P” かもしれない〕。オギーの家に行ったジャック・ウィルは、2人で玩具のライトセーバーで戦う(3枚目の写真)。

あくる日のカフェテリア、ジャック・ウィルは、「形成手術のこと考えたことないの?」と尋ねる。オギーは、「ううん、一度もないよ。どうして?」と言った後で、「おい、これ形成手術後の顔なんだぞ! 何回もやったから、こんなに見栄えがよくなった」と、タブーにも平気で答える。オギーがジャック・ウィルに心を許していることは、この直後の “オギーの心の中での喜び” を表象するシーンに現れている(2枚目の写真)〔オギーは学校に通い始めてからヘルメットを脱いだので、現実の世界ではない〕。その後で紹介されるカフェテリアでの2人のふざけ合いは、服が4回変わるので、少なくとも4日分だ。そして、週末。ジャック・ウィルは、オギーとその父に挟まれてTVゲームに熱中する(3枚目の写真)。

そして、オギーの大好きなハロウィンの日(10月31日)。オギーは、血だらけのゴーストフェイス〔『スクリーム』シリーズに登場する架空の殺人鬼〕のマスクを被ってルンルン気分で学校に行く。仮装した上級生と廊下でハイタッチした後、独白が入る。「彼には、僕が誰かなんて分からない。サイコー」。オギーが教室の入口まで行くと、そこにはオギーを毛嫌いするジュリアンと3人の少年がいた。ジュリアンは、ブギーマンのマスクを見ながら、「あいつみたいだな。あいつを見てると、干し首〔アマゾンのヒバロ族〕を思い出すんだ」と言う。仲間が、「それとも、オークだ」と口調を合わせる。ジュリアン:「僕があんなだったら、毎日フード被ってるな」(1枚目の写真)。オギーに背を向けて座っているミイラの少年が、もっとひどいことを言う。「僕があんなだったら、自殺すると思うな」。「なら、なぜいつも一緒なんだ、ジャック?」。その言葉にオギーは衝撃を受ける。「さあ…」と言ってミイラが振り返ると、確かにジャック・ウィルだ(2枚目の写真)。ジャック・ウィル:「校長に仲良くって頼まれたろ。今や、どこへ行くにもべったりなんだ」。ジュリアン:「どうしようもないな」。その後に映るのは、打ち砕かれたオギーのマスク姿(3枚目の写真)〔ジャック・ウィルは、オギーがいるとは気付いていない〕

ハロウィンが終わり、学校のロッカーでオギーを見たジャック・ウィルは、「やあ、オギー、気分良くなった?」と訊く(1枚目の写真)〔学校の場面はいきなりなので、教室で口を利かなかったのだろうか?〕。オギーは 無視して何も言わない。「大丈夫かい?」(2枚目の写真)。「ああ」。「そう? 何だか様子がおかしいよ」。「僕なら大丈夫さ」。そう言って さっさと去って行く。ジャック・ウィルは、オギーがいつもと違うので 不安になる(3枚目の写真)。

この映画には、3人の視点からのバージョンが入っているが、ここからジャック・ウィルのバージョンが始まる。時計の針が5年生の始業前に戻る。場所はジャック・ウィルの家。キッチン・テーブルに座ったジャック・ウィルは、母に、「何をさせられるって?」と訊き返す。「学校の案内をしてあげるの」。「でも、ママ、いま夏休みだよ」(1枚目の写真)。「分かってる。でも、校長先生はあなたが “良い子”〔good egg〕 だって」。「“悪い子”〔bad egg〕 だよ」(2枚目の写真)。「あなたが、そう思われてるなんて鼻が高いわ」。「責任を押し付けないでよ」(3枚目の写真)。「奨学金、もらうんでしょ?」。ジャック・ウィルは降参する。

「他は、誰?」。「シャーロットとジュリアン」。「ひどい」。「何が?」。「シャーロットは、いつも ブロードウェイ〔ミュージカル〕の話ばかり」(1枚目の写真)。「そして、ジュリアンは世界最大のうぬぼれ屋だ」(2枚目の写真)。「だから、悪いけど、イヤ」(3枚目の写真)。

「ジャック、あの子のためよ」。「誰?」。「アイスクリーム店にいた子」〔そのシーンは映画にはない〕。ジャック・ウィルは、相手が誰か分かり(1枚目の写真)、覚悟を決める(2枚目の写真)。「あなたの弟みたいな子が、一目見て泣き出したでしょ。中学で どうなると思う?」。根は優しいジャック・ウィルは 「分かった」とOK。「ありがとう」と言われ、嬉しそうな顔になる(3枚目の写真)。

ここから、あらすじの冒頭のシーンに移行する。ジャック・ウィルの独白が入る。「オギー・プルマンについて 4つ学んだ。まず第一に、顔には慣れてしまう」(1枚目の写真)。次が、理科の授業中。「二つ目。すごく頭がいい。どの科目も僕より上。理科では学校中で一番だ」(2枚目の写真)。「三つ目。すごく面白い」(3枚目の写真)。「四つ目。知れば知るほど、オギーと友だちでいたいと思うようになった」。

最初は… 認めちゃうけど… ママが優しくって言ったから友だちになってたけど…」(1枚目の写真)、「今は、ずっと一緒にいたい」(2枚目の写真)。「5年生全員が一列に壁に並んでて、誰か一人好きな子を選んでいいんなら、僕はオギーを選ぶ」(3枚目の写真)。

ここで、フィードバックは終わり、現時点に戻る。カフェテリアを、ランチトレイを持ったジャック・ウィルが一人きりのオギーの前に立つ。さっき すげなくされたので、「おい、どうかしたんか?」と声をかける(1枚目の写真)。「あっちに行け」。この あからさまな忌避にジャック・ウィルは驚く。その時、後ろから、ジュリアンが、「おい、ジャック、こっちに座れ」と声がかかる(2枚目の写真)。ジャック・ウィルは、仕方なくオギーから去る。5年生の女子ばかりが集まって座っていたテーブルでは、それを見た一人の子が、「きっと ジャックがオギーに触り、すぐ手を洗わなかったから、ペストがうつったのよ」と意地悪なことを言う。それを聞いたサマーは、愛想が尽きて席を離れ、オギーの前に座る。「私、サマー」。「知ってる。同じ担任だ。こんなこと しなくていい」。「こんなこと?」。「僕と 友だちになれって。校長先生に頼まれたんだろ?」。「何 言ってるの?」。「学校が始まる前に、校長先生が何人かに頼んだんだ」。「私は違うわ」。なぜここに来たのか訊かれたサマーは、「友だちを替えたくて」と答え、これはオギーの気持ちにも合致したので、2人は握手する(3枚目の写真)。

それから2ヶ月弱が経ち、クリスマスも終わってしまう。新年を迎える前のある日、ジャック・ウィルが雪で埋もれた公園に行くと、オギーとサマーがいるのに気付き、手を振る(1枚目の写真、円形のスノースライダーを持っている)。サマーは手を振り返すが、オギーは「あっちで滑ろう」とジャック・ウィルを避ける。サマーは、「ジャックをずっと避け続ける気?」と訊くが、「来いよ、行くぞ」と聞く耳を持たない。ジャック・ウィルは、悲しそうに見送る(2枚目の写真)。そして、振り返ると、ゴミ箱に古い木のソリが捨ててあるのに気付く(3枚目の写真)。ジャック・ウィルは、ありがたく頂戴する。

新年が過ぎ、学校が再び始まる。ジュリアンは、廊下を歩きながら、仲間に、クリスマスを過ごした雪山のことを自慢する。「ジャックは?」と訊かれたジャック・ウィルは、「Skeleton Hillに行った。最高だった」と言う(1枚目の写真)。彼の前を歩いていた3人は、順に、「あそこ、嫌いだ」。「あんなトコ、Garbage(ゴミ) Hillだ」。「この前あそこに行った時、古いソリを捨ててきたんだ。ボロボロになった奴だよ。次の日戻ったら、誰かが持って行っちゃってた」と話す(2枚目の写真)。ジュリアンは 「ホームレスの奴が滑りたがったのさ」と言う。その言葉は、ジャック・ウィルの心にズシンと響く(3枚目の写真)。

授業が始まり、英語の教師が、古代エジプトの墓に刻まれた 「汝の行いは汝の記念碑だ〔Your deeds are your monuments〕」という言葉の意味を 生徒に問う。当てられたサマーは、「『私たちが何をするかが一番大切なこと』だと思います」と答えて褒められる。その言葉は、ジャック・ウィルの心に深く入って行く(1枚目の写真)。オギーが自分を嫌う〔汝の記念碑〕のは、自分が何かしたから〔汝の行い〕に違いない。そこで、授業が終わると、サマーを呼び止め、「バカげて聞こえると思うけど… 君、なぜオギーが僕を嫌いになったか、知らない?」と質問する(2枚目の写真)。「本人に訊きなさいよ」。「だろうけど、ハロウィン以来、口きいてくれない。つまりね… 何か知ってるかなって… 気にしないで、ごめん」。この言葉を受けて、サマーは、「ゴーストフェイス」と一言。「待ってよ、何だって?」(3枚目の写真)。サマーは、「私には、それしか言えない」と言うと、足早に去って行く。

それから、ジャック・ウィルは必死に考える。理科の教師は、理科の研究発表会のことを言い始めるが、ジャック・ウィルの耳には入らない。そして、突然、思い当たる(1枚目の写真)。自分が、ジュリアンに調子を合わせ、心にもないことを言ってしまった瞬間のことを(2枚目の写真)。あそこには、ゴーストフェイスのマスクの子がいた! ジャック・ウィルは、思わず、隣に座っているオギーを見る(3枚目の写真)。

教師の声が意識に戻ってくる。「発表は、2人でチームになります。同じテーブルの人同士ですよ」(1枚目の写真)。すると、後ろのテーブルのジュリアンが、ジャック・ウィルを入れた3人で、もうテーマを決めてあると嘘を言い、オギーと引き離そうとする。ジャック・ウィルは、「決められた人と一緒にやります」と教師に申し出る(2枚目の写真)。「オギーと一緒にやります」(3枚目の写真)。

授業が終わると、廊下でジュリアンがくってかかる。「おい、なんであんなことやった?」。「変更したくなかっただけだ」。「なんで? お前、本気であの奇形と一緒にやりいたいのか?」(1枚目の写真)。この言葉に怒ったジャック・ウィルは、ジュリアンの顔を殴る(2枚目の写真)。そして、その後は、取っ組み合いの喧嘩に(3枚目の写真)。ジュリアンは2日間の停学になるが、理解のある校長は、奨学金を継続してくれる。

それから、さほど経ってないある日、ジャック・ウィルがコンピュータ上でレゴの城を作っていると、“オギー・ドッグ” から、「君のマップ座標が知りたい」というメッセージが入る。ジャック・ウィルが教えると、“オギー・ドッグ” が城の中庭に現れる。「やあ、すごい場所だね!」というコメントが表示される。「君が全部作ったの?」。そして、ロボットの形をした “オギー・ドッグ” が、「どこにいるの?」と訊く。「船の上」。すると、城の隣に浮かんでいる帆船のメインマストのヤードの上に “ジャッカロープ45”〔ジャックの名と、ジャッカロープ=ツノウサギを兼ねている〕 が現われる。“オギー・ドッグ” は同じヤードの先端に移る(1枚目の写真)。“ジャッカロープ45” は、「あんなこと言って、ごめんね」と謝る。しばらく返事がなかったが、次に表示された “オギー・ドッグ” の言葉は、「本気で… 僕みたいだったら、自殺する?」だった(2枚目の写真)。ジャック・ウィルは、すぐに、「ううん。でも、ジュリアンみたいだったら、絶対する」と打ち込む。「理科の研究発表会で、僕らの作品をあいつが見のるが待てないよ」。「じゃあ、僕たちまた友だちになれる?」。「OK」(3枚目の写真)。

そして、研究発表会。ジャック・ウィルが考えたのは、ダンボールで作った「カメラ・オブスクラ」。いろいろ探して “内容” が一番分かり易かったのは、National Geographicの作った動画(→https://www.youtube.com/)。真っ暗な箱の壁に小さな穴を開けると、外の景色が上下逆さまになって箱の中に映るというもの。発表会で一番の人気となり、ジャック・ウィルが、「みんな一列になって」と声をかけるほど(1枚目の写真)。そして、中に数人が入ると、カウントダウンして穴を開く(2枚目の写真)。理科の教師からは、1等のリボンを付けてもらえる。2人は、嬉しくてロータッチ(3枚目の写真)。一方のジュリアン組は惨憺たる結果。

カフェテリアでは、オギーの周りが一番賑やか(1枚目の写真)。ジャック・ウィルは変な声を出し(2枚目の写真)、それを見たシャーロットが大笑いする(3枚目の写真)。それに比べ、我が物顔だったジュリアンのテーブルは、ひっそりとしている。この後、嫉妬したジュリアンが、オギーに対し陰湿な虐め〔精神的な〕をくり返し、校長室に両親と共に呼ばれるシーンがある。ここで明らかになるのは、史上最悪の母親〔多額の寄付金の納付者〕。ジュリアンがオギーを虐めたことを正当化するため、「誰も他人の心を傷つけてはいけないとおっしゃるの?」と反論し、こんな学校には入れておけないと転校を宣言する〔2020年6月4日の警官による黒人殺害に対するデモに対する某大統領に抗弁にも似ている〕

5年生の全学期が終わり、全員が恒例のサマー・キャンプに向かう〔架空のBroarwood自然保護区にある〕。バスから降りたジャック・ウィルは、オギーに「すごいことになってる。競争だ」と声をかける。2人は、大混雑する受付けを済ますと(2枚目の写真)、その後は、湖で遊んだり、綱引きをしたりして(3枚目の写真)、キャンプ気分を満喫する。ただし、全体でも このシーンは僅か50秒。

オギーの両親のシーンの後、再びキャンプに戻る。そこでは、夕方になり、土曜の映画会が催される。上映されるのが『オズの魔法使い』だと聞いた2人は顔を見合わせ、ジャック・ウィルが「外に行こう」と誘う(1枚目の写真)。「こんなのいつでも観られる」。2人は森に入っていくが、そのうち、ジャック・ウィルが、「おしっこ、しないと」と言い出す。「戻る?」。「そこでいいよ」。「地下鉄の中みたいに?〔Urban Dictionaryによれば、subwayには、“a place where you can urinate” という意味もあるそうだが、それを受けての台詞かどうかは不明〕 マズいよ」。「違う、マズいのはこっちだ」と言うと、ジャック・ウィルは ゲーっと吐く真似をしてみせる。2人は背を向けて排尿するが(2枚目の写真)、そこに違う学校の上級生4人がやって来ると、「でき損ないが2人で悪臭をばらまいてるぞ」と言い、慌ててオギーが振り返ると、「何だよ あの顔!」と驚く(3枚目の写真)。

ジャック・ウィルは、「行こう」とオギーと一緒に無視して去ろうとすると、「お前に話してるんだ、ゴラム。一つのマスクは全てを統べるのか?」と、指輪物語の「一つの指輪は全てを統べる」を もじって引用し、さらに、「いとしいしと」と、ゴラムの一つの指輪に対する執着の言葉を、真似してみせる。ジャック・ウィルは、「おい、何か文句あるのか?」と突っかかり、生意気だと思われ、両手で突き倒され(1枚目の写真)、「お前の彼氏に文句があるんだ」と捨て台詞を言われる。怒ったオギーが、「ジャックに構うな」と 立ちはだかるが、左手1本で押し倒される。そこに現れたのが、今まで2人に距離を置いてきたジュリアンの仲間3人(2枚目の写真)〔ジュリアンはいない〕。3対2〔上級生の1人は女生徒〕で互角に戦っている間に、ジャック・ウィルとオギーは逃げ出す。2人が湖畔まで辿り着くと、後から敵をまいて逃げてきた3人が合流する。「なぜ助けがいると分かった?」。「あいつらが付けて行ったの 見たんだ」。「きっと7年生だ。でかかった」。2人は3人に感謝する。5人が湖畔に並ぶ姿は、オギーがクラスに受け入れられたことを象徴している(3枚目の写真)。

そして、卒業式のシーン。卒業式と言っても、オギーやジャック・ウィルが卒業するわけでない。この学校は5-8年生用なので、彼らは一番下の学年だ。講堂には400人ほどの父兄と生徒が集まっている。4割ほどが父兄なので、生徒数は約240人。4つの学年があるので、1学年だけなら60人。オギーやジャック・ウィルのクラスは20人、だから、1学年3クラスになる。校長は、式の最後に、この学校の創立者であるHenry Ward Beecherの名前を冠した最高の賞を、オギーに授与すると発表する〔解説にも書いたように、あまりにも唐突。5年生の中でも、3つあるクラスの中で、4人の男の子と、4人の女の子と親しくなっただけ。6-8年生と交流があったとは思えない。それなのに、卒業生を差し置いて、なぜ、オギーに? せめて、彼が8年生になるまで待てなかったのか?〕。校長の発表を聞き、ジャック・ウィルは大喜び(1・2枚目の写真)。オギーが立ち上がると、ジャック・ウィルは、「君は最高だ」と讃える(3枚目の写真)。

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