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Zoomerne ズームレンズ

デンマーク映画 (2009)

最近何かと話題の監視カメラを、時代に先駆けでテーマにした作品。それが、大人向きのスパイ映画ではなく、12歳の2人の少年が、①試験問題を盗み出し、②彼女との初デート、といった極めて “子供的” な目的のために駆使するところが とても面白い。登場人物は、勉強熱心なため成績はいいが、その他の面では 何もかもダサいとみなされているチムと、勉強に全く無関心で成績はドン尻だが、頭は冴え、なすことすべてカッコいいので女の子にモテモテのアレキサンダー。アレキサンダーは、市の教育委員長の父の手前、一度くらいトップになりたいと思う。チムは、おかっぱ頭がバカにされ、女の子からは見向きもされないが、ティアという女の子が好きになり、声がかけられなくて悩む。チムの母は、防犯・監視カメラの専門店スパイマンの店員として働いていたが、ヨーロッパのどこかの都市で開催される見本市に出かける店主のボスと一緒に、1週間留守にすることになる。母は、シングルマザーのため、チムは、友達のアレキサンダーの家に預けられる。コトの発端は、チムがアレキサンダーの部屋で泊まった最初の夜の会話。アレキサンダーはチムの母の店に興味を抱き、「行こう。面白そうだ」と言い出す。そして、店の中に入って各種のカメラを見ると、それを学校の各所に付け、全員をスパイし、テスト問題を盗むことを思いつく。アレキサンダーが仲良くしてくれることで仲間外れにされずに済んできたチムは、断りきれずにOKする。ここから、映画の本筋がスタートする。このアレキサンダーの言葉からエンディグまでの71分という短い時間の中で、上に書いたような2つのテーマが上手く絡み合いながら同時進行し、何度もハラハラさせる場面を上手にちりばめている。それも、ハリウッド的な意味不明で唐突なエピソードの羅列ではなく、一つ一つが連続性を保ちながら、予想外の変化を見せてくれる。監視カメラそのものの性能には非現実的な面もあるが、それ以外は、非常によく練られた脚本で、子供向け映画とは思えないほどの出来栄えだ。

チムは、何かとドジで、オカッパ頭が “ダサさ” のシンボルになっている。だから、リサを筆頭に女の子から疎んじられる。そんなチムにも、片思いだが、好きな女の子が1人いた。別のクラスのティアだ。チムは、只一人、自分にカマってくれるアレキサンダーにいつもくっついている。そのアレキサンダーは、教員委員長の息子。頭は切れてカッコいいのに、勉強する気がなく父を失望させている。2人は、家の方向が同じなので、帰宅時には仲良く自転車を並べて走り、“Fist Bump(拳と拳を合わせるあいさつ)” を交わして別れる。チムの母は、働いている防犯・監視カメラの専門店スパイマンのボスと一緒に1週間の出張にでかけることになり、シングルマザーのため、アレキサンダーの家に預けられる。①深夜、アレキサンダーがスパイ機材に興味を持ち、スパイマンに侵入、試験で一番になりたいと思い、学校をスパイすることにし、機材を持ち帰る。②翌早朝、2人は学校内に大量のカメラを設置、屋根裏部屋をモニター室にする。監視カメラを通し、意地悪担任のイナに、『Don25』という匿名の愛人がいると分かる。また、アレキサンダーから、「好きな子 いるのか?」と聞かれたチムは、ティアのことを打ち明ける。アレキサンダーは、お礼の代わりにティアと仲良くさせてやろうと約束。③ティアのバッグに超小型のカメラを取り付ける。モニター室に戻り、ティアの好きなことを知り、アレキサンダーは、チムの髪形や身なりを整える。そして、チムに眼鏡型カメラをはめさせ、イヤホンで指示し、帰宅途中のティアに話しかけさせる。そして、初デートの約束を取り付けることに成功。その夜、アレキサンダーは父のパソコンから校舎の間取り図を盗み出す。④翌早朝、2人は、モニター室で事前準備。チムがレゴで作ったロボットを校長室に侵入させ、ペン型カメラを金庫の視界内に置く。そして、校長が金庫を開けた時、番号を読み取る。昼食時に、秘書が食堂に行き、校長がトイレに行く時を狙い、アレキサンダーが校長と入れ替わりに部屋に侵入、テスト問題の入った封筒を、金庫から取り出して、コピー。窓から脱出する。⑤テストの日。アレキサンダーは、チムの解いた答えを腕に書いて試験に臨む。試験が終わった後は、チムの初デート。⑥アレキサンダーがテストで最高点を取り、教育委員長(父)から表彰される。チムは、監視カメラで、『Don25』がアレキサンダーの父だと知ってしまう。アレキサンダーはイナ達教師にカンニングを疑われるが、「証拠 あるのか?」と突っぱねる。⑦学校での夜のダンス・パーティ。ティアと踊っていたチムが、「外に 行かない?」と誘ったことで、ティアは、かつてアレキサンダーに連れ込まれた屋根裏部屋に行こうとし、チムは必死で止める。しかし、結局見つかってしまい、チムは変態と思われ、すべてはオジャンに。⑧アレキサンダーの父のパーティ会場の準備の際、アレキサンダーとティアの昔の関係を知らされて怒ったチムは、『Don25』の正体を匂わす。アレキサンダーは、父の携帯の「名前なし」にかけ、相手がイナだと分かると、悔し涙に暮れる。チムはスパイ機材をスパイマンに返しに行き、アレキサンダーから頼まれ、『Don25』とイナのキスシーンのビデオクリップを送り、ティアのバッグの超小型カメラの返却忘れを指摘される。⑨パーティの席で、アレキサンダーのことを激賞した父のスピーチの後、アレキサンダーは、恨みを込めて、テスト問題の盗みを白状する。控室に呼ばれ、激怒した父に対し、イナとの関係をすっぱ抜く。⑩チムは、ティアに超小型カメラの返却を頼みに行き、すげなく追い返されるが、そこに母からの電話で、もうすぐボスが店に着くと知らされ、全速で店に戻り、機材を棚に戻す。その時、ティアが超小型カメラを持ってきてくれる。⑪翌日、チムは、アレキサンダーと仲良く分かれ、ティアとも仲良くなれた。

チム役はFrederik Ludvig Mansa。1996年5月7日生まれ。アレキサンダー役はSophus Emil Løkkegaard。1996年8月14日生まれ。撮影は2008年の11月に行われたので、2人とも撮影時は12歳。2人とも映画出演はこれが初めてで、その後、映画界には関与していない。地味で演技がややぎこちなかった “チム” は、現在ラッパーとして活躍していることがFacebookから分かる(映画出演時の写真で本人と掲載できた)。一方、派手で溌剌とした演技で楽しませてくれた “アレキサンダー” は、“dansk film database” によれば、コペンハーゲン・ビジネス・スクールを卒業。この学校は、“TOPUNIVERSITIES” の「Business & Management Studies」の2020年のランキングで15位にランクされている(スカンジナビアでNo.1)/オックスフォード大学が11位/東京大学は51-100位)。人は見かけによらないものだ。

あらすじ

体育のクラスが終わり、教師が 「シャワーを浴びろ」と命じる声がする。なのに、アレキサンダーは、子分的存在のチムを連れて女子の更衣室の方に建物外から回り込む。「チム、こっち 来い」。「シャワー、行かないと」。「すぐ行くって」。「バレないかな?」。アレキサンダーの後ろにぴったりくっついて付いてきたチムは、足元を見ていなかったので、まだ生々しい犬の糞を踏んでしまう。2人の関係と、チムの要領の悪さが凝縮された一コマ。2人は、木の台のようなものを窓に立てかけ、アレキサンダーがさっそく昇り、「やった! チム、すごいぞ!」と言う(1枚目の写真、映画の画像だと “高い所” ということが分からないので、撮影中の画像を使用した)。「先生に見つかるよ」。「分かるもんか。みんな、裸だ! リサがいるぞ。裸だ!」。アレキサンダーが そう言った瞬間、背後からリサの声がする。「今日は」(2枚目の写真、リサは左端)〔さっきの発言は、失敗を取り繕うため〕。アレキサンダーは、すぐに飛び降り、3人連れの女の子に、「よお、みんな」と平然と答える。「何してるの?」。「ストレッチ。運動の後、大事なんだ」。リサは、「アレキサンダー、エミリーが…」と言い、リサは、隣にいたエミリーをプッシュし、エミリーはラブレターをアレキサンダーに渡す。アレキサンダーは 「どうも」と言って受け取ると、チムに 「シャワー、行くぞ」と声をかけ、3人に 「じゃあ」と言って逃げ出す(3枚目の写真)。

男子用の更衣室に行ったチムが、アレキサンダー宛のラブレターを代わりに読んでいると、いつもチムに意地悪なニルスが、「チムの、運動音痴。女子チームに入れ」と、嫌がらせを言う。そこに、アレキサンダーが来て、「何て、書いてあった?」と訊く。「ラブラブ」。そう答えると、「ステディになる つもり?」と訊く(1枚目の写真)。「たぶん」。「ステディって、ナターシャじゃ?」。「何人いても、いい」(2枚目の写真)〔アレキサンダーは、成績は最低でもカッコよくてモテモテ。余裕たっぷりだ〕。「そんな、できるの?」。「黙ってりゃ、分かんないだろ」。すると、さっきのニルスが、もう一度絡む。「お前 臭いぞ、どうした チム?」(3枚目の写真)「漏らしたのか?」。チムは、「アホクサ」と相手にしない。アレキサンダーは、「これ、つけてみな」とヘア・クリームを渡し、チムは前髪の一部につけてみる。

午後の算数の授業。意地悪教師のイナが、「3/4を、2/3で割ると…」と言いながら黒板に書き、アレキサンダーがチムと話しているのを見て、さっそく当てる。「ここに 来なさい。分数を分数で割る。やってみて」(1枚目の写真)。アレキサンダーには、さっぱり分からない。「分子と分母を、どうしたらいい?」。「そうだな、足したら?」。イナが文句を言い始めると、携帯が鳴り出す。「授業中、携帯は禁止でしょ?」。チムは、イナのバッグを指して、「先生、そこから音が」と指摘し、イナが慌てて消しに行った時、「教えろよ」と態度で示したアレキサンダーに(2枚目の写真)、「分子と分母を、掛けて」と 小声で教える(3枚目の写真)。イナが、「失礼」と言って授業に復帰すると、アレキサンダーは 「分子と分母を かけるんだ」と、教えられた通りに答える。「そう。なら、分子は 幾つになる?」。アレキサンダーはチムをチラと見、チムは指を9本立てる。「9」。「正解」。ここで、終業のベルが鳴る。

チムは、額の部分が立った髪形のまま、廊下に出ると、そこに、別のクラスの女の子ティアがやって来たのを見て、思わずニッコリする(1枚目の写真)。ティアは、チムとほぼ同時に教室を出てきたリサに、笑顔で近寄る。リサが「図書館 行かない?」とティアを誘った時、後ろで、アレキサンダーが 「来いよ、チム」と呼ぶ。ティアを、魅せられたようにボーッと見ているチムを見たリサは、「ダサい警報」と他の2人に注意喚起(2枚目の写真)。チムは、学業が良くできるので、がり勉と勘違いされ、おかっぱの髪と合わせ、“ダサい” と疎んじられている。「来いよ。一緒に帰るぞ」。2人は仲良く自転車を並べて走る。アレキサンダーが、ボサボサ風のナチュラルヘアなのに対し、チムはおかっぱを乱さないようにヘルメットで押さえている。ここでタイトルが表示され、その後のオープニング・クレジットの場面で、アレキサンダーが、「じゃ 今夜。寝袋 忘れるな」と声をかけ、2人は握り拳をポン、ポンとぶつけ合わせ(3枚目の写真)、その拳を自分の口に持って行く。これが、2人流の挨拶だ。

チムが帰宅すると、母は出かける用意をして待っている。「やあ、ママ」。「ハイ、時間通りね」。そして、「チム、全部詰めた? 歯ブラシも? 清潔な下着も…」。そこまで言うと、「チム坊や〔Timsebasse〕。1週間、平気?」と心配する〔シングルマザーの母は、1週間出張。その間、アレキサンダーの家に泊めてもらう〕。「平気だって。アレキサンダーの前じゃ、チムだからね」(1枚目の写真)。「なぜ?」。「恥ずかしい」。「バカ言って。ママの、ちっちゃなチム坊やでしょ?」。かくして、母は、チムを連れてアレキサンダーの家に行く。「ほんとに、ご親切に。見本市、とても重要なの」。「気にしないで」。母は、アレキサンダーの両親の前で、「友達付き合いは、積極的にね。女の子とだって」と言い、恥ずかしいチムは、「早く行かないと」と催促する。母を送りに外に出たチムは、「女の子の話なんか、やめてよ」と釘を刺す。母は、万一のためにボスの名刺とデビットカードを渡し、ボスの車に乗り込む。「着いたら電話するから、必ず取って。友達 呼んだら、レモネードか紅茶 出すのよ。クッキーは3つ目の棚。ドアの鍵は2回廻すのよ」。心配は尽きない。夕食の席上、アレキサンダーの父が、次のテストで、「最高点を取った生徒が、ゴーカート・レースに出る」と発表し〔父は教育委員会の会長職を兼務〕、それを聞いたアレキサンダーが 「勝てるかな」と言うと、それを聞いた父は、「『勝てるかな』だと? 『勝ちたい』と言えんのか? チムみたいにもっと勉強して」と叱る。チムは、「才能は、人 サマザマです」とアレキサンダーを庇う(3枚目の写真)。アレキサンダーが、改めて、「大丈夫、勝つから」と言うと、父は 「何とでも言える」と突き放す。

夕食後、2人はアレキサンダーの部屋に行く。チムは、「君のパパ、テストが心配なんだ」と慰める。「何、心配してるか 分かるか? 僕が、ドベだと 思ってる」。そして、話題を変えようと、「ママ、どこ行ったんだ?」と訊く。「新しい仕事で、見本市へ」。さっき もらったボスの名刺が床に落ちる。それを拾ったアレキサンダーは、「スパイマン〔Spyman〕。ママ、スパイなのか?」と、さらに追及する(1枚目の写真)。「違う。防犯グッズの店だ」。「防犯グッズって?」。「監視カメラ。侵入や盗難をモニターで監視する」。「いいな。店に入れるのか?」。「警報器があるけど、ママの暗証はチョロイ」。「マジか? 行こう。面白そうだ」。「やめた方がいい」。「スパイ用品、見てみたい」。「スパイじゃない。会社用だ。それに、鍵 持ってない」。「家には、あるのか?」。「たぶん」。「行こう。ケチるなよ。さあ」(2枚目の写真)。「慎重に 行動する?」(3枚目の写真)。チムは、アレキサンダーのたっての頼みなので、すぐ一緒に出かけることにする。

2人は、頭から毛糸の帽子を被ってスパイマンの店に忍び寄る(1枚目の写真)。チムは、家に行って取ってきた鍵でシャッターを開ける。そこをくぐると、2つ目の格子状シャッターのロックを解除するユーザー入力。そこに、「DORTHE1972」と入力する〔母の名と生まれた年〕。次がパスワード。チムは、「パスワード知らないけど、きっと、同じさ」と安易に言い、ユーザーと同じものを入力〔実にバカげている〕。当然、間違っている。普通のパソコン入力と違うのは、ミスが許されないこと。警報作動まで25秒と表示される。「僕の名前で 試そう」。「TIM」と入力するが、受け付けない。アレキサンダーが、「僕に、やらせろ」と言い、「JULEMANDEN(サンタクロース)」と入力するが、もちろんダメ。「くそ! あだ名 ないのか?」。「時々、『チム坊や』って呼ぶけど」。「『チム坊や』 だって?」と笑う。「早く、入れろ!」。「TIMSEBASSE」。残り1秒で認証され、警報は解除された。格子状シャッターが自動的に上がり、アレキサンダーが、「入ろうか、『チム坊や』」と、再度冷やかす。店内に入ったアレキサンダーが、真っ先に目を留めたのは、ペン型カメラ。チムは、「戻せよ」と言うが、アレキサンダーは興味津々。「すごいモン、あるな」「おい、あれ何だ?」。チムが、「戻すんだ」「なあ、触るなよ」と頼んでも無視。「煙感知器が、カメラだ」「すごい眼鏡だ。何だろ?」。それは、交信用の眼鏡だった。ここで、アレキサンダーが思いつく。「学校に付けたら、全員スパイできる」「テスト問題 盗んだら、一番になれるよな」(2枚目の写真)。「ママ、クビになっちゃう」。「1日だけだ。頼む、チム。『一番は、アレキサンダー! すごいよな? 天才だ』。なあ、チム、頼む…」。「分かった」。「やった 」。「条件がある。明日、返すんだ。いい?」。「ああ」。「カメラは1つ」。「いいさ、やろう」。

翌朝、学校の始業時間のかなり前に、アレキサンダーとチムは “スパイ” 機材をカートに積んで引いて行く(1枚目の写真)。昨夜の、「カメラは1つ」とは大違いで、きっとアレキサンダーに押し切られたのだろう。2人は、いろいろな場所に “煙感知器” 型のカメラを取り付けたらしいが、映画に映るのは、図書室と場所不明の部屋の天井のみ(2枚目の写真)。3枚目は、特典映像にあった “教室内” での設置シーン〔残念だが、実際には、こうした行為は実行不可能。2008年の撮影時どころか、現在でもこの種の装置の解説書を見ると、例えば、「天井に小さな穴を開けてUSBケーブルを通し、天井裏にある電源コンセントに繋ぐだけ」とか、「装置の変換コネクタを同軸ケーブルに接続して使用(5CFBケーブルで380mまで使用可能)」のように書いてあり、天井に ただポンと付ける訳にはいかない。2人は、最終的に使われていない屋根裏部屋をモニター室にするのだが、カメラ(図書室、教員室、教室、女子更衣室、トイレなど)と、モニターとを直結する必要がある/無線・電池式の物もあるが大型。小型ならSDカード録画のみ〕

放課後、アレキサンダーは、「いい場所がある。誰にも内緒だぞ」と言って、生徒が普段入らない廊下を辿り、物置代わりの部屋にチムを連れて行く。その片隅に置いてあった骸骨の実物大模型の顎骨を下げて鍵を取り出すと、その横にあるドアのロックを外し、長い屋根裏のような場所に入る(1枚目の写真)。「どうやって、見つけたの?」。「ある日、偶然」。「他に 知ってる子は?」。「ごく少数。ナターシャ… 他に何人か」。「誰?」。「君の知らない奴さ」。2人は簡単なテーブルを置き、使われなくなって放置されていたモニターを背後の棚に並べ、テーブルの上にスパイマンから持ってきたコントロール装置を置く。チムが、「いよいよ、始動だ」と言い、装置からアンテナが伸びると6つのモニターすべての電源がオンになり、ライブ映像が一斉に映る(2枚目の写真)。

アレキサンダーが、最初に見たのは、トイレの全景。「先公たちだ! 怪しい」「切り替えるぞ」。カメラが個室の中に切り替わる。狭い空間に3人の男性教師が立ってタバコを吸っている。チム:「だから、見回りしてないんだ」。もう1つの個室では、校長が座っている。「校長は、いつも クソしてる」〔トイレだけで3基も取り付けたことになる〕。チムは手元のスイッチで自分が見ているモニターのカメラを切り替える。そこにはティアが映っている〔斜め下からの映像なので、台の上にでも設置?〕。教室の天井からの映像を見たアレキサンダーは、「面白いぞ、チム… ニルスだ。盗んだキャンディ、隠してるな」と言うが、画面からニルスがいなくなる。「奴、どこ行った?」。チムが、階段の壁からの映像に切り替える。アレキサンダー:「いたぞ」。「ゲ… 指で、鼻 ほじってる」。「あいつ」。「うぇー、食べてる! 気持ちワルー」〔これほど多様な角度の映像を捉えるには、数限りなく盗撮カメラが必要〕。職員室の天井映像を見たアレキサンダーは、「イナがいる。きっとテストだ」と 真剣な顔つきに(1枚目の写真)。「拡大しろ。何でも、情報 欲しい」〔ズーム機能などはない〕。イナの声が聞こえる〔音声マイク内蔵型のものもある〕。「教室に、掛けてこないで」(2枚目の写真)「何、考えてるの? 『Don25』 と話してたことバレたら、何て言われるか」。それを聞いたチムは、相手が男性だと知る、「ムカつくー」と呆れる(3枚目の写真)。「家にも、電話しないで」。チム:「イナ、結婚してた?」。「まさか」。「切るわね。キス、キス」。「携帯、べちょべちょだ」。なかなか電話を切らない教師を見て2人は大喜びではやし立てる。

次は、図書室の天井カメラ。「エミリーだ。モニターに出せよ」。すると、エミリーがリサに不満を漏らしている。「ラブレターに、返事もくれない」(1枚目の写真)。それを聞いたアレキサンダーは、「忘れてた」。チム:「書いてないの?」。「ナターシャを捨てないと」。リサ:「ニルスにしたら?」。エミリー:「アレキサンダーがイイの」。アレキサンダー本人:「よせよせ」。エミリー:「家に来て欲しい。ママの お気に入りなの」。アレキサンダー:「ワルが 好きなのさ」。「いつも、チムと一緒なんだから」。リサが割り込む。「チム、冴えないわね。あのオカッパ、パーティーに呼ぶの?」。陰で こういう言い方をされ、チムは嬉しくない(2枚目の写真)。エミリー:「アレキサンダーに、来て欲しいから」。リサ:「本気なのね?」。アレキサンダーは、「あいつらの話なんか、気にすんな」と慰める(3枚目の写真)。リサは、さらに追い打ちをかける。「昨日のオカッパ、息が臭かったわ。想像してみて… オカッパが…」。リサは、エミリーにキスを迫る振りをする。「もっと、キスして」。そして、最後に意地悪な一言。「アレキサンダーが付き合ってるの、カンニングのためよね」。キムは、ますます気分が悪くなる。

その夜、アレキサンダーの部屋で。チムは、アレキサンダーのベッドの脇に、マットレスを敷いて寝ている。「アレキサンダー?」。「ん?」。「僕の息、臭い?」。「いいや」。「でも、あの子たち…」。「忘れろって。ただの、悪口さ」。「あの子たち、正しい」。「何が?」。「僕は、『おぇっ』なんだ」。アレキサンダーは、話題を逸らす。「好きな子 いるのか?」。「まあね」(1枚目の写真)。「手伝ってやる」。「どうやって?」「名前 教えろ。そしたら、その子をスパイして、好みを聞き出す」(2枚目の写真)。「やれるかな?」。「鞄に、カメラを付ける。そしたら、イヤピースからアドバイスしてやる」。「ほんと?」。「テスト問題の件の、お礼さ」。「乗った」。「承知」。2人は握りこぶしをぶつける。これで協定ができたので、アレキサンダーは、「誰なんだ?」と訊く。チムが迷っていると、「言わなきゃ、助けられない」と催促。ようやく、チムが、「別のクラスの、ティアって子」と白状する。後で分かるが、ティアは昔アレキサンダーが手をつけた女の子だった。そこで、「ティア?」と困ったように言う。「リサは? 可愛いだろ」と再考を促すが、さっき、あれほど罵られたので、「でも…」としか言えない。「ソニアの方が、似合いだ」。「ティアだよ。いいね?」。「あいつ、好みじゃないんだ」(3枚目の写真)。

翌朝、2人は、誰もいなくなった後のティアの教室に忍び込む。アレキサンダー:「どのバッグだ?」。チム:「これ」。「確かか?」。「絶対」。そう断言すると、チムは、ティアのバッグの外に付いている「帽子を被った熊の人形」の脇に超小型のカメラを付ける(1枚目の写真、矢印)。そして、カメラの前で手を動かし、小型の受像機で、ちゃんと映ることを確認する(2枚目の写真)。そして、すぐに教室から逃げ出す。

2人はさっそくモニター室へ。3人の女の子は、また図書室にいる。テーブルの上には、ファッション雑誌が置かれている。リサ:「カッコいい。この髪型、好き?」。ティア:「スパイキー・ヘアがいい。でも、パーカーは素敵」。「そうなんだ。色に好みは?」。「青がベストね」。アレキサンダーは、横にある黒板の最上部に、「THEA(ティア)」と書くと、その下に、「スパイキー・ヘア、青のパーカー」と、ティアが好きだと言った物を書く。そして、「さあ変身だ、ニュー・チムに。『おぇっ』って言われた奴は、オールド・チムだ」と、行動方針を示す(1枚目の写真)。「分かった」(2枚目の写真)。「ニュー・チムは、クールで くどき上手。明日は、ティアにアタックだ」。「僕が?」。「ダサいままがいいなら、やめろ」。「でも、話題が…」。その時、モニターに映った子が、「きのう食べた ギズモのアイス、サイコー」と言い、ティアも 「私も、大好き」と言う。アレキサンダーは 「これで、話題できたな」と言うと、「9年の女子の着替えだ! 変えるぞ」と言い出す。モニターには、女子の更衣室の映像が出る。バスタオルを巻いた数人が映っている。「裸、見れるかな?」。「ムリだろ」(3枚目の写真)。その後、1人がバスタオルを下げ、2人とも口をパックリ開ける。

しばらく時間が経ち、ティアが帰宅の途についている。「ティア、何してる?」。「小道を 歩いてる」(1枚目の写真)。ティアは、公園の中の小道を抜けて、通りに面したバス停の前のベンチに座る。アレキサンダーは、“プロ” の目で見てチャンスだと思う。「いいぞ。一人で、バス 待ってる」(2枚目の写真)「そこに、誰が?」。チムは 「ニュー・チム?」と応じる。「そうだ」。ティアは携帯で母に電話をかける。「ねぇ、ママ。小遣い、先払いしてよ。オレゴンズの 新譜 買いたいの」(3枚目の写真)。新しい情報が加わる。「上々だな。後は、金だ」。「ママの デビットカードがある」。

2人は、近くのショッピング・モールに行き、美容室に。鏡の前に座ったチムを、美容師とアレキサンダーが見る(1枚目の写真)。2人で、チムの髪型を変えては何度もチェック。結局、2枚目の写真でOK。その後は、ダサい運動靴の代わりに、アレキサンダー好みのスニーカーを購入。髪形に次ぐ難点だった “手編みのセーター” に代わりに、ティア好みの青のパーカーも購入。かくして、ニュー・チムは、アレキサンダーと一緒にモール内を闊歩する(3枚目の写真)。

チムはティアのバス停に行き〔ティアが、そんなに長い間、ベンチに座っているのも可笑しいのだが…〕、アレキサンダーは、チムに指示を出すため、モニター室に。アレキサンダー:「眼鏡、かけてろよ〔眼鏡型カメラ。ブリッジの部分に超小型カメラが内蔵されている〕。気の弱いチムは、長いベンチの一番遠い端に座る(1枚目の写真、矢印)。そして、「やあ」と声をかける。ティアは、相手が誰か分からないので、よく見てから「ハイ」と返事する。「近寄れ。立て、チム」。チムが立ち、次のベンチで座ろうとすると、「もっと、近づけ。真っ直ぐだぞ」と指示。ある程度、近づくと、「さあ、MP3だ」。チムは、「いい歌、聴かない?」と、ティアに声をかける。ティアは、チムのイヤホンの片方を耳に当てる(2枚目の写真、矢印はアレキサンダーが指示を与えている黒いイヤホン)。「これ、オレゴンズの新曲ね?」。「うん」。「クールね」。「ファースト・アルバムもいい。2003年の『オーガスト・ディマンズ』なんかサイコーだな。2005年の『フログ・スナパーズ』も、いいし…」。チムは必死に覚えたのだが、あまりに見え見えなので、アレキサンダーが注意する。「もう十分だ。ほめろ」。「いい、髪型だね」。「心が こもってない」。「僕の、好みなんだ」。「ただの、ポニーテールよ」。「そこが、いいんだ」。「どうも。君、ヘアカットした?」。「流行にね。オカッパみたいだったから」。「で、サングラスも新調?」。「パーカーを見せろ」。チムは、ジャンパーの下の青のパーカーを見せる。「第二段階。アイス・バーだ」。「バーに、行かないかい?」。「バー?」。「アイス・バーだ」。「アイス・バー、ギズモの。どう?」。「ムリなの」。それを聞いたチムは、嫌われたと思い、後ろを向きかける。「おい、どこ行く?」。「水曜は、どう?」。「いいぞ。手打ちだ」。「いいよ。3時は?」。「もっと、近づけ。行け行け、どんどん。そこで、キスだ。キスしろ!」。急に近づいたチムに、ティアは変な顔をする(3枚目の写真)。チムにもそんな勇気はない。「行かないと」と言い去って行く。あまりの突然の去り方に、ティアは、「じゃあ、水曜ね」と確認の声がけする。

2人は、居間のTVでサッカーを観ている。チムは、「キスできないよ」と言い出す(1枚目の写真)。「ニュー・チムだろ」(2枚目の写真)。「キスなんて、したことないよ」。「手で、練習しろ」。「どう?」。アレキサンダーは、右手の甲を唇に当ててキスする。チムは、握り拳を口に当ててもぐもぐさせると、「キャンディじゃないぞ。手の甲、使え」と笑う。今度は、手の甲にチュッチュ。唾が垂れたのを気持ちわるげに見ながら、「ツバが垂れてるぞ」と指摘(3枚目の写真、矢印は唾)。

そこに、アレキサンダーの父が来ると、「勉強しないのか?」と訊く。「あと5分で、終わるから」。「行くんだ」。「たったの5分だ」。「消しなさい。チムに教えてもらえ」。アレキサンダーは、リモコンでTVを消す。「スポーツ・バカに なるな」。2人がいなくなると、父はさっそくサッカーを観る〔嫌な性格〕。自室に行ったアレキサンダーはパソコンをつけ、「手に入れる方法、考えないと」とチムに話しかける。「宿題せずに?」。「モチ。ネット情報だと、テスト問題は、教育省から学校に直接届けられる」。「校長に?」。「たぶん」。「金庫、あったっけ?」。「ああ、机の うしろだ」。「カメラ 置かないと」。「けど、どうやる?」。「考えがある」。ここからが、賢いチムの見せどころ。チムは、自分の家に戻ると、大好きなレゴの箱と、電気ポットを取って戻る。アレキサンダーの家では、学校改築計画の推進者である父親のパソコンから校舎の間取り図を探して、プリントアウト。糊、エア・スプレーを入れて、用意完了。翌朝、早くに学校に行った2人。チムは、教師用トイレの個室にある “カバーの付いたトイレット・ペーパー入れ” から中身を取り出し、先端の紙だけ残す(1枚目の写真、矢印は先端の紙、抱えているのが中身)。次に、モニター室に行と、アレキサンダーが、エア・スプレーで床の埃を吹き飛ばし、その上に、校長室の間取りを描く。その間に、チムはレゴ・ロボットを組み立てる。2枚目に、チムの攻略案を示す。「ドア」は、2間続きの校長室への唯一のドア。「机」は校長の机。「金庫は、壁際に置かれた小型の金庫。ここに、統一テストの問題が入っている。チムの案では、床近くの給気口からレゴ・ロボットを送り込み、金庫の正面にある×印の棚と棚の隙間からロボットを登らせ、金庫の正面の棚の上にペン型カメラを置くというもの。完成したレゴ・ロボットを給気用のダクトに入れる(3枚目の写真)。

時間になり、ロボット始動。ロボットは、床近くの給気口から校長室に侵入〔どうやって、外したのだろう?〕。そして、2つの棚の隙間に入り、90度向きを変える(2枚目の写真)。ここからが、ロボコン並みの優れたアイディアなのだが、そのまま右に前進し、ぶつかって、反時計回りに回転し、アームが左の棚にぶつかって折れ込むと、2枚目の写真の矢印の車輪が、そのまま棚に当たり、垂直に上昇を開始する(3枚目の写真)。そのまま、棚の最上部まで行くと、アームを反時計回りに回転させ、先端に付いていたペン型カメラ(3枚目の写真の矢印)を左の棚の上に投げる(4枚目の写真、矢印は飛んでいくペン型カメラ)。ペン型カメラは奇跡的に正しい向きと角度に落ち、金庫が見える(5枚目の写真、矢印はイスの背で半分邪魔された金庫)〔実際には、こんな精巧なロボットを短時間で作ることなど不可能だが、そこは、子供向きの映画なので 楽しければいい〕

校長が思ったより早く廊下に現れたので、急いでロボットを下げ、ダストボックスを倒して中に隠す。一緒に入って来た秘書が、「算数の本の注文用紙が、欲しいそうよ」と言い、校長は、「分かった。すぐ出そう」と言い、金庫を開ける。ここでも、棚から金庫までは遠いので、ダイヤルの数字を読み取るにはズームが欠かせない〔ペン型カメラにズーム機能はない〕。数字は、「14-12-72」だった。チム:「いいぞ。第二段階。カレンは20分 昼食に行く。校長は、昼食の前に 部屋を出てトイレに。君の出番だ」。秘書のカレンも昼食に出かけ、アレキサンダーは校長室の手前に張り付く。それをモニターで確認したチムは、イヤホン付きマイクを通じて、「聞こえたら、手を振って」と指示する。アレキサンダーが天井のカメラに向かって手を振る。なかなか校長が出てこないので、アレキサンダーが 「まだか?」と訊く。チムは、ロボットのカメラで見ながら、「今、出るトコ」と伝える。校長室のドアが開き、校長がトイレに向かって歩き始める。「今だ!」。アレキサンダーがドアに向かって走る。校長が立ち止まる。「ストップ!!」。「何だ?」。「新聞、忘れたんだ」。アレキサンダーは急いで戻り、校長も部屋のロックを外し 新聞を取りに行く。そして、再びドアから出てトイレに向かう。「今だ! 急げ!」(1枚目の写真)〔ドアは自動ロックなので、開いているうちにドアまで行かないと、中には入れない〕。アレキサンダーは、ぎりぎり間に合って校長室に入り込む。校長の机のところまで行くと、最初にしたことは電気ポットをセットし、中に500ccの水を入れること。そして、金庫のダイヤルを回す(2枚目の写真、矢印は電気ポット)。教員食堂では、カレンが 「ここ、空いてる?」とテーブルにつく。トイレの個室には、校長が座る。金庫の扉が開く。アレキサンダーは、電気ポットの湯気で封筒の糊を剥がす。そして、「やったぞ!」と、問題冊子をペン型カメラに向かってガッツ・ポーズ。その時、イヤホン付きマイクに変な音が混線し、雑音がうるさいと思ったアレキサンダーは、イヤホン付きマイクを外してしまう(3枚目の写真、矢印はイヤホン付きマイク、手に持っているのは問題冊子)。チムは、「外しちゃ、ダメだ!!」と叫ぶが、後の祭り。これで、適切な指示が出せなくなる。

一方、トイレの個室では、用の済んだ校長が紙を引き出そうとすると、出てきたのは、先端に付いていた小片のみ(1枚目の写真、矢印)。「何だ、これは?」。その声を聞き、チムが思わず笑う。校長は “カバーの付いたトイレット・ペーパー入れ” を見て、中が空だと悟ると、「カレン」と呼ぶが、彼女は食堂なので聞こえない。その食堂では、イナがカレンに、「担任、変更してあるかしら? 今日、休みのはずなの」と訊きにくる。カレンは、予定表を見ようと鞄の中を見て、「机に置いてきた」と言う。チムは、心配そうにその会話を聞いている(2枚目の写真)。カレンは、代わりに校長室の鍵をイナに渡す。イナが校長室に行くと分かったので、「アレキサンダー、ヘッドフォンつけろ!」と叫ぶが、アレキサンダーは問題冊子のコピー中。イナは階段を降りて校長室に向かう。アレキサンダーは、問題冊子を封筒に戻し、持参したスティック糊で封をする。そして、問題冊子のコピーをバッグに入れ、封筒を金庫に戻す(3枚目の写真)。イナは廊下に。「お願い、早く付けて」。イナが、校長室のドアの鍵穴にキーを差し込む。切羽詰まったチムは、イナの携帯に電話する。そして、イナが出ると、「今すぐ駐車場で会いたい」と言って切る。

その時、ようやくアレキサンダーが、イヤホン付きマイクを装着する(1枚目の写真)。チムは、すかさず、「イナが来る、急げ!!」と指示(2枚目の写真)。アレキサンダーは、急いで電気ポットをつかみ取ると、中の水を植木鉢の植物に開ける。イナが、鍵を開ける。アレキサンダーは、校長室の窓から外に出る(3枚目の写真)。イナの入ったのは秘書の部屋で、校長室の中がそのまま見えるわけではないので、アレキサンダーは見つからずに済んだ〔ペン型カメラとロボットは置いてきた〕。因みに、校長は、持って入った新聞を裂いてトイレット・ペーパーの代用にした。

翌朝、学校に向かう自転車での2人の会話。チム:「答え、覚えた?」。アレキサンダー:「できっこない。心配ない。『プリズン・ブレイク』 のワザがある」。そして、試験用の部屋。カンニング出来ないよう、“ソーシャルディスタンス” が十分に取られている。校長が、「生徒諸君、理解度を調べる実力テストだ」と言い、鉛筆をかざし、「使えるのは鉛筆1本」(1枚目の写真)「60分だ。カンニングは許さん」と注意する。教師が1人巡回するが、アレキサンダーは目を盗んで腕に書いた答えを丸写し(2枚目の写真)。チムは昨夜解いているので、すらすら書ける。しかし、壁に貼ってある、「一番の生徒は、ゴーカート・レース!」との掲示を見ると、アレキサンダーに一番を譲ってやろうと、ワザと間違え、満足して解答用紙を閉じる(3枚目の写真)。

試験が終わってモニター室に行ったアレキサンダーは、腕の答えを拭き消してから、「次は 女の子だ」と言う(1枚目の写真)。「ちゃんと助けろよ」。モニターには、帰宅したティアが映る。「着いたぞ」。ティアと母親との会話の中で、彼女が自転車で学校に来ないのは、パンクしているからだと分かる。母親:「修理キット、あるわよ」。ティア:「自転車屋に、持ってくわ」。「パンク、直せるでしょ?」。「パパじゃないと。助けに来られないの?」。「いいえ」。この話を聞いていたチムが、「パパ、どうしたんだろ?」と アレキサンダーに話しかける。「たぶん、入院だ」。母親:「今夜、会いに行きましょ」。「それじゃ、自転車は直らないわ」。「行けば、励みになるのよ」。「私は、パンク直したいだけ!」。母との不毛な会話に業を煮やしたティアは、自分の部屋に行くと、ベッドに座って涙を流す。その様子を、人形に付けたカメラから見ていたチムは、初デートの「水曜の3時」が近づいているので、気が気でない。「デートが消えちゃった」。「何で? 行けよ」。「あんなで? 15分しかない」。アレキサンダーは、「来るさ」と言うと、チムの襟をつかむ。「さあ、チム、座ってないで」(3枚目の写真)。「ほら、バッグ。眼鏡 はめて。家族の話、するなよ。楽しんで来い」。

ギズモのアイス・バーで、2人分の飲み物を前に、チムは、アレキサンダーに電話をかけ、「やっぱ、来ない」と文句を言う。すると、背後からティアの明るい声が聞こえる。「ハイ」。「シェークで、よかった?」。「バナナ・シェーク、大好き。何で、知ってるの?」。「僕の、好物なんだ」(1枚目の写真)。アレキサンダーが、チム宛にメールを送る。「テストのこと、聞け」(2枚目の写真)。「テスト どうだった?」。「難しかった。君は? 算数 得意でしょ?」。「僕、ガリ勉じゃない」。「算数 得意なのが、悪いこと?」。「みんなは、ダサいって」。これを聞いたアレキサンダーは、「モチ」とニヤニヤ(3枚目の写真)。ティアがニコニコしているのに疑問を持ったチムは、「ちょっと、トイレに」と席を立ち、トイレに行くと眼鏡をかけてアレキサンダーと話し合う。「絶対、変だよ」。「ニュー・チムが、何、オタオタしてる?」。「彼女、泣いてたのに、ニコニコしてる」。「それが、女の子。2分もすりゃ、けろっとしてる」。「そのこと、訊いてみる」。「やめろ、全部パーだ」。しかし、チムは眼鏡を外し、席に戻る。アレキサンダーは、「バカなマネ、すんなよ」と、ブツブツ。チムは、さっそく、「君の両親、何やってるの?」と訊く。ティアは、「なぜ、聞くの?」と、嫌な顔をする。「別に」。「ママはヘルパー、パパは会計士。そっちは?」。「ママは防犯ショップ、パパはアメリカの研究者。離婚したけど」。その時、アレキサンダーが、再度チム宛にメールを送る。「サーフィン、ロングビーチ、ロス」。「サーフィンやるんだ」。「君が?」。「ロスでやったけど、すごいビーチだった」。ティアは、「私も 行ったわ!」と驚く。「ロングビーチ?」。「そう。すっごい、偶然」。「巧いんだ。風の王様かな」。それを聞いたアレキサンダーは、「何だ? やり過ぎるな」とブツブツ。嘘を付いた報いはすぐにやってくる。ティアが、「すごい。写真ある?」と訊く。これには、チムも困り、「ん… あるよ」と、適当に受け流すが、ティアは、「見せて」と迫る。「他のこと しようよ」。「家、遠いの?」。「あんまり」。「じゃ、行こ」。ティアが席を立ったので、チムも行かざるを得なくなる。それを聞いたアレキサンダーは、「崖っぷち」と笑う。

チムの部屋に行ったティアは、さっそく、写真が見たいと言い、チムは 持っていた唯一のサーフィンの写真を見せる。それを一目見たティアは、「これ、ロングビーチじゃない」と指摘する(1枚目の写真)。チムは、「もっと、南の方なんだ」と、嘘の上塗りをするが、サーフィンに詳しいティアは、「デンマーク北部」と訂正する。チムは、「僕、間違ってたかも」と言う以外にない。チムが、ティアの横顔をうっとり見ていると、そこにアレキサンダーからのメールが入り、「キスしろ!」と催促される。それを見たチムは、これ以上 アレキサンダーに映像を見られないよう、足でボールを動かして、人形のカメラの前に置いて視界を遮る(3枚目の写真)。アレキサンダーは、「こんなの、あるか。ひきょう者」と怒る。ただ、声は聞こえる。「なぜ、君が 写ってないの?」。「カメラ係だったから」。そこに、ティアの母親から携帯に電話が入り、ティアは、「行かないと」と、立ち上がる。チムは危機を救われた。ティアは、次に 学校のパーティで会うと約束してくれる。因みに、チムの部屋には 日本語がデザインされた布が多用されている。1枚目の写真の枕2個と、3枚目の写真のベッドの台に、「鮮」「明」「そ」「の」の4つの文字がデザインとして用いられている。

その夜、アレキサンダーの部屋で。チムは、「彼女の髪、いい匂いだった」と感激して話す(1枚目の写真)。アレキサンダーは、「シャンプーだ」とすげない。「彼女と僕、カップル?」。「大ヘマしたから、カップルなんか、先の先」。「僕をハグしたよ」。「めまいでも したんだろ。寝るぞ」。「カップルって何するの?」。「いろいろさ。もう、寝るんだ」。「ナターシャとは、何やったの?」。「お茶した。手、握ろうとしたが拒絶」(2枚目の写真)。「他には?」。「買い物。下らん! 服 選びに連れ回され、意見は無視」。「屋根裏部屋〔モニター室〕では?」。「何も」。「キスしたんだろ?」。「覚えてない。寝ろよ」。「キスしたこと あるの?」。「僕はワルなんだぞ。寝ろ」。「相手は?」。「いっぱい。OK?」。「話せよ」。「山ほどだ。消すぞ」。「言えよ!」。「寝ろ」。急に熱心になったチムと、もうどうでもよくなったアレキサンダーの立場がよく分かる。

そして、全校生徒が講堂に集められ、校長がテスト結果の発表をする。「お早う、わが 生徒諸君。今朝の集会は、特別だ。教育委員会が、テストの最優秀者を表彰される」〔よく分からないのは、チムとアレキサンダーがいるのは「フォルケスコーレ」と呼ばれるデンマークの義務教育機関で、1年生から9年生までが在籍している。先に、テストを受けていたのは24名。これが1つの学年だろうか? この講堂に集まっている生徒に1~4年生らしき幼少時児はいない。いったいどうなっているのだろうか?〕。校長の話はさらに続く。「テストでは、一人の生徒がずば抜けた点を取った。さっそく、壇上に 上がってもらおう。アレキサンダー・サンドホルム」。それを聞いたアレキサンダーは、「やった!」と、立ち上がって両手を上げる(1枚目の写真)。それを聞いた担任のイナは開いた口が塞がらない。最劣等生が最高点を取ったからだ。それを初めて知らされた教育委員長でアレキサンダーの父も、大喜び。壇上に上がった息子を抱きしめる(2枚目の写真)。校長:「栄誉を称え、賞品の授与を お願いします」。渡された板には、ゴーカート・レースへの招待が書かれている。アレキサンダーは、その板を掲げて生徒たちに見せる(3枚目の写真)。

その頃、チムはモニター室で、アレキサンダーの華やかな “勝利” を見ていた(1枚目の写真)。すると、イナが階段の踊り場にいると、そこに、アレキサンダーの父が近づいて行くのが見えたので、モニターを切り替えて注目する。イナは、父に対し、「ヤコブ」と親しげに呼びかけるので、チムは不審な顔つきになる。そして、2人はディープキス(2枚目の写真)。それを見たチムは、驚きに目をみはる(3枚目の写真)。「愛してるのに、こんな風にしか 会えない」。「すまない」。すると、アレキサンダーが階段を上がってモニター室に近づいてくるのが分かる。チムは、慌ててカメラを切り替える。現れたアレキサンダーは、「チム、僕の評判は?」って訊く。チムは、ドキマギしながら、「『すごい』ってさ」って答えるが、親友の父の不倫の現場を見てしまったので気が重い。「どこか悪いか? 汗かいてるぞ」。「カッコよかった」と誤魔化す。「答え作ったのに、何で間違えた?」。チムは肩をすくめる。その動作を見たアレキサンダーに 「マズいことか?」と訊かれ、「ううん」と答えるが、顔は暗いまま。

2人が、モニターを終え、階段を降りて来ると、イナとばったり出会う。「アレキサンダー、探してたのよ」。「何か、くれるの?」。「一緒に来なさい。さあ」。心配になったチムは、急いでモニター室に戻る。アレキサンダーは、校長室に連れて行かれる。「やあ、アレキサンダー。そこに 座って」。アレキサンダーが机の前のイスに座ると、校長は、「先生方は、テストで不正が行われたと」と 話を切り出し(1枚目の写真)、窓辺に立っていた教師が、「認めろ。カンニングしたろ」と、強く言う。そこは、百戦錬磨のアレキサンダー。「僕が?」と 心外そうにとぼける。イナは、「君の解答は、チムとそっくり」と、畳みかける(2枚目の写真)。「まさか」〔アレキサンダーはチムの前の席なので、チムの答案用紙を見ることはできない〕。「極めて似てた」。「一番は俺だ。なら、チムが見たのかも。でも、友達は疑えないな」。「我々をバカにする気か? 誰だって、君が2+2もできないと知ってる」。「なら、どうやって僕が全問正解できた?」(3枚目の写真)「証拠 あるのか?」。教師は何も言えない。「なければ、退散するか」。堂々としたものだ。

校舎から出てきたアレキサンダーは、自転車置き場で待っていたチムに、「奴ら、怪しんでる」と報告する。モニターを見て知っていたチムは、「機材を片付けよう」と提案する。「ジョークじゃ済まない。ママも、じき帰るし」。「イナは、毎回 俺を当てる気だ。そうなりゃ、バレバレ」。「それで?」。「『Don25』 を探し出して イナを脅したら、ワルは お目こぼし… だろ?」(2枚目の写真)。イナの相手を知っているチムは、「勉強してみたら?」と言ってみる。「マジなのか?」。「ムリだよね」。「チム、僕ら 同じ舟に乗ってる。だろ?」。「つまり?」。「もし、ティアに バレたら…? 片付けは、パーティの後だ」。ティアが係っているので、チムもOKせざるを得ない。この後、アレキサンダーは、チムを誘って、プレゼントのゴーカート・レースに行く。

モニター室で2人が教員食堂での会話の様子を見ている。すると、イナが、「ニルスのお母さんが、学校で虐められてないか、心配されて… おねしょするから」と報告する(1枚目の写真)。それを聞いたアレキサンダーは、「先公の お気に入りが、おねしょ?」と笑う(2枚目の写真)。「生徒たちは知らないって、電話しておかないと」。イナは、そう言って席を立つが、勘の鋭いアレキサンダーは、電話の相手はニルスの母でなく、『Don25』だとピンとくる。「『Don25』にかけるぞ」。チムは、「知らない方がいいかも。もし、知りたくないことだったら?」と、予防線を張る。「たとえば?」。「たぶん… 君、『Don25』を知ってる」(3枚目の写真)。「僕が、イナの愛人を知ってる?」。イナは、生徒達がいなくなった教室に行くと、携帯を手に持ったまま座る。「ゾクゾクするな」。イナが打ち込んだ番号が映る。「283480」。ここで、チムが足の先でコンセントを抜いたので画面が消える。チムは、「14」だったと嘘を付き、アレキサンダーは、すぐにそこに電話をかける。それは、車のディーラーだった。空振りにアレキサンダーはがっかりする。

アレキサンダーは、モニターをティアに切り替える。そこでは、性悪のリサがティアに話かけている。「オカッパと出かけたの?」。「チムのこと?」。「そう、オカッパ」。頭にきたチムは 「消そう」と言い出し、アレキサンダーが 「君のコト 話してんだぞ」と、止める(1枚目の写真)。「デートしたのね?」。「そうよ」。「レゴで遊んだの?」。「やめてよ。チムは、いい子で スマートだわ」。ティアの擁護発言に、チムはびっくりする(2枚目の写真)。「パーティで、キスする?」。「たぶん」。「フレンチ・キス?」。「そうね」。チムは驚愕し、アレキサンダーに面白くない顔をする(3枚目の写真)。

そして、学校でのパーティの日。自転車置き場で、チムは 「機材は、今夜 降ろす」と宣言する。「で、ニュー・チムは?」。「ちゃんとやる」。「じゃ、外そう。だけど、サポートできんぞ」。「平気さ」。チムの変な自信に、アレキサンダーは、「女の子は、相手を好きになると、少し変でも気にしない」と、ズバり言う。「変って?」。「君、舌足らずなトコ あるだろ」。「やっぱり、そう?」。「そうさ、昔から。自分流で、完勝だ。安心しろ 『チム坊や』。いいか、殺し文句使えよ」。この、どちらかといえば無責任なアドバイスの後、2人は校舎内に入る。入ったところに、ニルスがいて、「チム、よく くどけたな?」と、さっそく意地悪を言う。「魔法でも使ったか?」。これに対し、チムは 「アホくさ」と取り合わないが、ニリスは 「ティアは、怒らせると怖いぞ。一杯やって元気出せ」と言うが早いか、持っていたコーラ缶のプルタブをチムの顔の前で開ける。中身がチムの顔に吹きかかる(1枚目の写真)。「こりゃ悪かった。手編みのセーターに着替えて来い」。しかし、今のチムは負けていない。ニルスの秘密をつかんでいるからだ。「どしゃ降りか?」。「そうだな」。「違う、君のジーンズの斑点だ。おねしょの跡だろ。ションベン臭い」(2枚目の写真)。ニルスは 「バカ言ってやがる」と強がる。「バカはどっちだ、しょんべん垂れ」。自分の秘密がバレと思ったニルスは逃げて行く。そこに、悪いことなら何でも好きなリサが、「どうしたの?」と寄ってくる。「あいつ、ベッドで おねしょしてる」。一緒にいた女の子:「『おねしょニルス』 ね」。エイサ:「もしかして、ウンチしてるかも」。

ダンス会場で、チムはティアより少し遅れて会う。「待った?」。「少し。そのシャツ、どうしたの?」。「ニルスに やられた」。「彼、入口で怒鳴ってたわね」。「誰かにイジメられたのさ」。「イジメ嫌いよ」。その言葉に、チムは自分の行為を反省する。「ヒキョウだよね」。そして、2人はダンスを始める。一方、アレキサンダーは、あちこちに取り付けたカメラを撤去している〔吸盤・電池式の監視カメラはSDカード録画のみ〕。そこに、リサが現れ 「エミリーが、ダンスしたいって」と声をかける。「悪いけど 忙しい。チムに頼めよ」。リサ:「ティアとダンスしてる。ダンスか床掃除か 分らないけど」。モニター室に行ったアレキサンダーは、ダンスの様子をモニターで見ている〔なぜ、床からの映像なのだろう? ダンス会場なので、ティアのバッグなど置けないと思うし…〕。チムは、突然、「外に 行かない?」と誘う。「外は 雨よ」。「ここ、空気 悪いから」。「いいトコ、知ってるわ。来て」。チムは、会場を出て、モニター室への階段を上がっている。危機感を覚えたチムは、「ドコ 行くの?」と尋ねる。「秘密の場所」。「古い屋根裏かい?」。「何だ、君、知ってたの」。ティアの接近をモニターで見たアレキサンダーは、物陰に隠れる。骸骨に向かって歩いていくティアに、チムは必死になって 「教室に行こうよ」と呼びかける(2枚目の写真)。それでも、ティアは入ろうとするので、チムは 「ママに、電話するの忘れてた」と嘘を付き、何とか入室を阻止する。

チムは、ティアを置いて部屋を飛び出すと、トイレに行き、「なぜ、あの部屋 知ってたんだ?」と考える。答えは簡単。「アレキサンダーだ」。一方、ティアは、チムの姿が消えたので、ダンス会場まで探しに来る。そして、リサに、「チム、見なかった?」と訊く。「どうしたの?」。「分かんない」。他の子が、「上に行くの見たわ」と教える。「ここ数分?」。「ええ」。一方、モニター室では、アレキサンダーが、「どうして、地下に行かなかった? このドジ」とチムを責める(1枚目の写真)。「チムの、バカ」。チムにはうなだれるしかない(2枚目の写真)。「全部、片付けるぞ」。元気なく作業しているチムの背後のモニターには、ティアが再び階段を上がってくる姿が映っているが、チムは気付かない(3枚目の写真、矢印)。

そして、ティアは、モニター室に入って来る。そして、モニターに映像が映り、黒板に自分の名が書いてあるのを見て、「いったい、何してるの? これ、何なの?!」と質(ただ)す。特に、嫌がったのが、変な書き込みのある自分の写真(2枚目の写真、右の吹き出しには 「あ~、チム」と書いてある)。チムは、「誤解しないで」と言うが、ティアは、身を翻すと、「変態!」と言い残し、走って出て行ってしまう。チムは、すぐに後を追う。そして、ティアに追いつくと、ティアは 「『いい歌、聞かない?』」と、チムの言葉を復唱する。「許して」。「『ギズモ、どう?』。全部 知ってたの?!」。「全部じゃない…」。「ホント?」。ティアは、涙を流しているので、チムのことが好きになっている。「病院にいる、君のパパも…」(3枚目の写真)。これは最悪の言葉。「病院? スパイした上、誤解までして」。「ホント、ごめん」。「二度と、話したくない!」。

チムは、アレキサンダーの父のパーティ会場の設営準備の手伝いに行き、アレキサンダーに訊く。「知りたいんだ。なぜ、ティアが、部屋のこと 知ってたのか」(1枚目の写真)。「何が言いたい?」(2枚目の写真)。「君って、いい友達?」。「ティアとキスしたの、たぶん1回だ」。「そんな話、初めてだぞ」。「かったるい女だった。訊かなかったろ」。「君なんかとキスするの、イヤだったんだ」。「助けたのに、何て奴だ」。「失敗した!」。「女が避けるワケ、知ってるか? オカッパ… そんなダサい奴、マッピラなのさ」。「僕は、ガリ勉じゃない」。「レゴで遊んでる。イジメられないのは 僕のお陰だ。気づいてないだろ。ボケ」(3枚目の写真)。「なら、パパに 『Don25』 のこと、訊いてみろよ」。1人になったチムが、ティアの人形のカメラ映像を見てみると、ティアが父親と会っている。その会話の中で、父親が服役中だと分かる。

パーティが近づき、アレキサンダーの父が現われる。そこで、さっそく、「パパ? 教育委員会の会合には みんな来るの?」と訊く。「何が言いたい?」。「担任のイナ先生、よく、知ってる?」。「下らん質問はやめて、働くんだ」。父がワインの瓶を1ダース載せたカートを引いて会場に出て行くと、さっき使っていた携帯が残っている。アレキサンダーは、すぐに携帯を取り上げ、会話記録の中で、「名前なし〔Ikke-navngivet〕」と表示された箇所に電話をかけてみる(2枚目の写真)。すると、いきなりイナの声がする。「ヤコブ、家に電話しないでと、言ったでしょ」。アレキサンダーはあまりに辛い現実に、声も出ない。「もしもし? あなたなの?」(3枚目の写真)。

チムは、防犯機器を入れた鞄を2つと、カメラ類の入ったリュックを背負ってスパイマンの店に行く(1枚目の写真)。そして、中に侵入し、荷物3点を床に置いたところで携帯に着信。アレキサンダーからだった。「何?」(2枚目の写真)。「パパについて言ったこと、証明できるか?」。「ビデオクリップ、送るよ」。「機材は?」。「戻すトコ」。「ティアのカメラ、忘れるな」。チムは、機材はそのままにして、至急ティアに頼みに行く。

アレキサンダーの父が招集したパーティが開催される。父が自慢げに挨拶する。「ようこそ、皆さん。カシオペア・ホテルへ。そして、新しい宴会場のオープンに。こんなにも多くの方々… 議会と組合、それに、教育委員会も。私は、息子の功績も称えたいと思います。彼は、一番の成績でした。学校でなく、全国で一番だったのです」(1枚目の写真)。その間、アレキサンダーは、父を睨み続けている〔チムから送られてきたイナとのキスシーンを見たため〕。「そう… 『この父にして、この子あり』です。私のビジネスにも後継者ができました。安心していられます。ありがとうアレキサンダー、よくやった。では、皆さんの健康を祝して、乾杯!」。拍手が起きる。父が座ると、アレキサンダーが、ナイフでグラスをトントンと叩き、高い音が響く。そして、アレキサンダーが立ち上がる。「父は、後継者ができたと 言いました。でも、想像しなかったでしょう… 父をマネたとは。僕は、利口じゃなく…」(3枚目の写真)「アホウです。2+2も出来ません。学校のテストでは満点でしたが、それは ズルしたから。問題を盗んで、解いておいたんです」。出席者の1人から、「父親に似て、悪賢い子だ」との声が上がる。アレキサンダーは、衝撃的な告白を、「じゃあ、よい食事を」の言葉で終える。そして、席についた後も、父を睨み続ける。父は、指で、外に出るよう指示する。

父は、アレキサンダーを隣の作業室に連れ込むと、「さあ、謝れ。この噓付き!」と叱り付ける。アレキサンダーは、「やめろ、このトンチキ」と言い返す(1枚目の写真)。その強い言葉に父はタジタジとなる。「これで、お互いサマだ。ズルは遺伝かもな。あちこち、カメラを付けたから、あんたがイナとキスするのを見た」(2枚目の写真)。「ママに、言えよ」。父の怒りは消え、事態収拾に躍起になる。「もう 知ってるよ。それでも、許してくれてる」。そう言って、「おいで」と抱こうとするが、アレキサンダーは、「失せろ」と言って、赦しを受け入れない。今までは、アレキサンダーに対し高圧的だった父も、二度とそうした態度は取れなくなった。アレキサンダーが会場に戻ると、イナが寄って来て、「お聞き、このクソガキ。これから、毎日 当ててやる」と、強い調子で言う。アレキサンダーは、携帯を取り出し、キスのビデオを見せ、「これ 動画サイトに流して欲しいか?」と脅す(3枚目の写真)。何も言えなくなったイナに、「イナ、これから、月曜は遅刻するからな」と捨て台詞。アレキサンダーが、一番カッコいい場面。

一方、チムは、ティアが戻るのを木の陰に隠れて待っている。チムを見つけたティアは、まだまとわりついているので、「何してるのよ?」と文句を言いに行く。「話していい?」。「もう、スパイやめたら?」。「お願い5分だけ」。ティアは、「うんざり」と言って拒否する。チムは、去って行くティアを自転車で追いかけ、進行方向の前に割り込んでストップさせる。「謝らせて」(1枚目の写真)。「関心ない」。「スパイして、ホントに悪かった」。「ダマされて喜んだのが、悔しいわ」。「ごめんね」。「アメリカ、行ったこと ないんでしょ?」。「ないよ」。「どこで、あんな機材を?」。「ママが、スパイマンで働いてる。いない間に侵入した」。「で、私を撮った?」。「他の人も いっぱい」。「頭、どうかしてる」。「バス停では、アレキサンダーが指示を」。「バカやってると、思わなかった?」。「ううん」。ここで、チムが、「ティア、訊きたいことが」と言い出す。今までの言葉は厳しかったが、ティアの顔には笑顔が浮かぶ。チムのことが好きになりかけたていたので、話によっては許そうと思ったのかも。そこで、「いいわ」と聞く耳を持つ。ところが、チムの言ったことは、「ティアが好きだからやったんだ」、ではなく、「カメラが1つ残ってる。一番小さいのが」だった。ティアの期待は外れる。「それで?」。「君のバッグに付いてる。それがないと、ママ、クビになっちゃう」。「それが、訊きたかったこと?」。「そう」。ティアは、何も言わずに家に入ろうとする。「ごめん、ティア。でも、要るんだ」。「お気の毒」。そして、玄関のドアはバタンと閉める。そこに母から電話が入る。その内容は、母は、明日の午後3時には着くというものだったが、その後が最悪だった。「ボスは、今日 店に行くわ」。「今日?」。「もう、着陸してる」(3枚目の写真)。

店には機材が置きっ放しになっている。ボスに見つかれば、母のクビは確実だ。そこで、チムは自転車に乗ると、スパイマンに向かって漕ぎ始める。その姿を、玄関のガラス越しにティアが見ている姿が映る。そのあとは、チムのメチャメチャな走行ぶりが面白い。公園の生垣を飛び越えて通りに出ると、ぶつかりそうになった自動車のボンネットに上がって越えて行き(1枚目の写真)、ショッピング・モールの中に自転車を乗り入れる。無謀な行為を止めようと、ガードマンが追いかける。パソコンショップから携帯で電話をしながら、1人の男が出て来る。「やあ、買ったよ。買い物保険、断ったがね。その前にチムが現れ、男の手からモニターが落ちる(2枚目の写真、矢印)。そして、そのまま、ドアが閉まる寸前のエレベータに逃げ込む(3枚目の写真)。屋上の駐車場に出たチムは、ゲートの脇をすり抜けて外に(4枚目の写真)。

スパイマンに入ると、カメラを必死になって棚に戻す。全部片付け終わった頃(1枚目の写真)、後ろで咳払いがする。驚いたチムが振り返ると、そこにいたのは何とティア。「これ、要るんでしょ?」と人形を見せる。「うん!」(2枚目の写真)「ありがとう、ティア」。「誰か来る」。「大変、ボスだ」。チムは大至急、シャッターを降ろす。2人が売り場から逃げ出したのと、ボスが店に入ってきたのは、ほぼ同時だった〔2人が外に出た時の場面から、ティアがスケボーに乗ってきたことが分かる。この映画で、一番疑問の多い場所だ。①そもそも、なぜ、ティアは人形に付いたカメラを返すつもりになったのか? ②チムの母がスパイマンに勤めていることはさっき知ったばかりなのに、行き先がどうして分かったのだろう? ③チムがあれほど無茶な走行をしてやっと辿り着いたのに、スケボーでどうやってこんなに早く着くことができたのだろう?〕

その夜。チムにとって、アレキサンダーの部屋での最後の夜。アレキサンダーは、「機材、戻したか?」と尋ねる。「うん」。今度は、チムが、「君のパパの件…」と言い出す。「ケリは つけた。黙ってて くれよ」(1枚目の写真)。「もちろん」(2枚目の写真)。

翌日の午後、チムの母が迎えにくる。チムは、アレキサンダーに、「学校で、会おう」と声をかけ、アレキサンダーは、「だな」と答える。そして、チムが母と一緒に出て行こうとすると、「おい、チム」と呼び止め、握り拳を差し出す。そして、2人で何度も拳を合わせてから、それぞれ口に当てる(1・2枚目の写真)。2人が、固い友情に結ばれていることを確認する仕草だ。

最後のシーン。翌日の学校の帰り。チムが自転車置き場で、ヘルメットを被り、自転車のロックを外していると、後ろから 「いい歌、聞かない?」と声がかかる。チムは、喜んでティアのイヤホンを耳に当てる(1枚目の写真)。ティアは、「ママ、気付いた?」と訊く。「ううん」。そして、音楽については、「嫌い?」と訊く。チムは、正直に 「変わってるね」と答える。「君の好み、知らないから」。「帰りながら、聴いてこうよ」。「自転車、またパンクなの」。チムは、自分の自転車のタイヤの空気を抜く。「僕のもだ」。チムは、歩きながら 「ティア、訊いていい?」と言う。「いいわ」。「ボーイフレンドいる?」(2枚目の写真)。「ううん、1人も。君は?」。「いないよ、ゼロ」。「なぜ、ヘルメット被ってるの?」。「オカッパになる」。「やっぱ、変」。

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