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Technicolour Daydream ショートムービー作るぞ

アメリカ映画 (2018)

大好きだった父を癌で亡くし、父から映画作成の楽しさを教えてもらっていた12歳のクラークが、母が働き口を求めて故郷から引っ越ししようとするのをやめさせようと、ショートムービーのコンテストに応募する、他に例のないストーリー。できの良くない2人の近所友達と一緒に、夏休みの1ヶ月で何とか作ろうと頑張るのだが、その焦りが、友達との間に軋轢を生み、祖父から聞いた実話を基にした映画作りには失敗。そこで、父が好んだ楽しい作品に変更してぎりぎり締め切りに間に合うが、賞金は獲得できず、結局、家を売って遠くに引っ越さざるを得なくなる。ハッピーエンドを期待できると思って見始めるとがっかりするが、他に例がないという意味で、紹介することにした。

クラーク役はニコ・フォード(Nico Ford)。詳しいことは何も分からないが、2022年(9月)に大学入学と書いてあったので、2022年に18歳なら、2017年(映画の最初の公開が2018年2月25日なので、撮影は恐らく2017年の夏)には12-13歳。映画の設定とほぼ同じ。本格的な映画出演はこの映画のみ。2019年から20年にかけて4本のショートムービーの監督・脚本をしているところは、映画のクラークが大人になったら、如何にもやりそうなこと。そういう意味では、映画そっくり。

あらすじ

映画の冒頭3分弱は、断片的で非常に分かりにくい。それは、2つの過去のシーンが混在して同時並行して描かれているため。それらのうち、一番過去の部分は、主人公の12歳のクラークが、鏡を見ながら上唇の少し上に 道化のような髭の線を描き終わった時、父がすぐ横に現れたため、びっくりして振り向いた場面(1枚目の写真)。父は、「何してる?」と訊き、クラークは、「父さんのカメラ使っていい?」と訊き返す。次のシーンでは、クラークが一眼レフのキヤノンEOS Kiss X5〔2011年発売、ボディとレンズで発売時19万円ほど〕〔メーカー名が見えないように撮影されているので、特定するのに苦労した〕を手に取り、髭を描いた時の映像を、白いYシャツを着て悲げ気に見ている “数ヶ月後” のシーンに変わり、その時の映像が拡大表示される。髭のクラークが、「今日は、僕らのショーに、ゲストとしてアーロック博士をお迎えしています。博士、よくいらっしゃいました」と言うと、そこに、父の腕が入った人形が登場し、「今日は。呼んでくれてありがとう。かなり緊張してるから、おならをしたら失礼」と、笑わせる(2枚目の写真)。次の録画映像は、クラークの誕生日を祝っているシーン。カメラはテーブルの上に置かれ、父と姉、バースデーケーキを持って入って来た母の一家4人が映っている(3枚目の写真)。
  
  
  

クラークがその動画を見ていると、喪服を着た母が、「クラ-ク、時間よ。ちゃんと着なさい」と声をかけ、悲しみに沈んだクラークはカメラのスイッチを切る(1枚目の写真)。このことから、1つ前の写真で、父の頭が無毛だったのは、抗癌剤による脱毛の可能性を示唆していたことが分かる。そこに、姉が、「ママ、運転手さんが来たわよ」と告げる。そして、Yシャツのボタンもかけてないクラークをみて、「何してるの? 遅れちゃうわ」と指摘する(2枚目の写真)。クラークは、そのままの格好で家から飛び出して行く。そして、家の前の道路の真ん中をしばらく走ると、道路脇の森の中に入り、悲しみのあまり頭を抱える(3枚目の写真)。
  
  
  

そして、タイトルのみが表示され、森の中で、クラークが両手で長方形を作り、どのように映るかをチェックしている(1枚目の写真)〔父の葬儀のあと、また数ヶ月が経過した?〕。彼は 「これでいくぞ」と言うと、後ろを振り向き 「みんな、こっちだ」と呼ぶ。最初に姿を見せたのは、やる気のなさそうな表情で、三脚を手にした小柄な少年。「ホントに? 僕は、尾根に戻った方がいいと思うけど」と不満そうに言う。しかし、クラークは 「ここは完璧だ」と言うと、少年に 「君がやるのは、森の中を逃げて 茂みの陰で屈み、そこに着いたら木の陰に隠れて 怖そうな顔をするんだ」と、演技を指示する。少年が不満なのは、何度も同じことをさせられているから。そのことは、クラークが 「これが最後だ、約束する。頑張れよ」と言うので分かる。クラークが、HDビデオカメラのキャノンiVIS HG10〔2007年発売、発売時14万円ほど〕を三脚にセットしていると、斧を持った黒衣の骸骨姿の少年が、「何か違うことをする必要ある?」と訊き、クラークは 「ううん」とだけ答える。ビデオカメラを構えたクラークは、「よーい、アクション」と声をかける(2枚目の写真)。画面に映るのは、逃げて来た最初の少年が木の陰に隠れると、斧を持った骸骨がやって来て、怖い顔をする前に つまずいて前のめりに転んでしまう姿(3枚目の写真、矢印の方向に転倒)。「カット、カット」。クラークは 「デレク大丈夫?」と駆け寄り、骸骨の仮面を外すと、太った顔が現われる。これで、もう一度撮影をやり直すことに。
  
  
  

家に戻ったクラークは、姉のノートパソコンを借りて撮影した映像をつなぎ合わせる(1・2枚目の写真)〔1枚目の写真には、クラークが大事にしている父とのツーショットの写真を入れた写真立てが映っている〕。クラークは出来上がったショートムービーをUSBに入れると、家から出て行こうとする。すると、母が 「クラーク、あなたに話しておかなくてはならないことがあるの」と呼び止めるが、クラークは 「僕、行かないと。サージお祖父ちゃんのために作ったんだ。その後は、ジェイミー〔さっきの小柄な少年〕の家で泊ってくるから」と断る。「ほんの一瞬よ」。クラークは、大切な話を聞くことなく 出て行ってしまう。祖父の家に行ったクラークは、USBの映像を祖父のノートパソコンに入れる(3枚目の写真)。
  
  
  

そして、2人で、パソコンの画面に映し出された作品を観る。内容は、ジェイミーが森の中でサンドイッチを食べていると、斧を持った黒衣の骸骨が近づいて来たので森の中を逃げ、それを骸骨が追い、ジェイミーが木の陰に隠れると、今度は、つまずかずに骸骨が近付いて来て、ジェイミーが下手な役者顔負けのびっくり顔をする。すると、夢から覚めたジェイミーの目の前で、教師の格好をしたデレクが大きな物差しを持って 「ジェイミー、授業中にまた居眠りしたら、殺してやる」と脅す。そして、エンドマーク(3枚目の写真)〔“CLARK” は監督の名前だからいいとして、短剣が2本なのに、なぜ単数形の “DAGGER” なのだろう?〕。クラークから、「どうだった?」と訊かれた祖父の返事は、「そうだな、まあまあだ」というもの〔顔は、全然満足していない〕。祖父の反応を見たクラークは、がっかりして、「気にいらなかったんだ」とソファに沈み込む。「理解できなかったからだろう」。「これは、一種の風刺なんだ」(3枚目の写真)。「何に対する?」。「さあ。みんな、アクションが好きだから。きっと、いろんな意見が出てくると思うよ」。
  
  
  

これに対し、祖父は、「かもしれんが、次の作品では、もっとお前さんを見てみたい」と意見する(1枚目の写真)。「僕を?」。「そうだ。これはアクション満載なんだが、お前さんの考えが見えて来ない。そのことを考えつつ、これを見てみるがいい」。そう言って祖父が渡した紙には、「ショートムービー・コンテスト/1位・グランプリ15000ドル/2位 贈り物/映画の長さは15分以下/参加申し込み期限は8月30日午後5時」と書かれてあった(2枚目の写真)。祖父は、「お前さんが映画作りに本気で取り組んでいるんなら、興味があるんじゃないかと思ってね」と付け加える。その日の夜は、ジェイミーの家の庭のトランポリンの下で3人がポーカーで遊ぶ(3枚目の写真)。ゲームはデレクがジェイミーに大勝して終わり。そのあと、3人は星空を見上げて たわいのない話を続ける。
  
  
  

翌朝、自転車で家の前まで戻ったクラークは、芝生の上に立てられた 「売り家」 の看板にびっくりして、家の中に走って行く(1枚目の写真)。母は、看板を立てた不動産業者の女性と応接間で話し中だったが、そんなことにはお構いなく、クラークは、「ママ!」と声をかける。「ママ、どうなってるの?」。母は、業者の女性に、「少しお時間頂けますか?」と頼み、彼女が外に出ている間に、昨日言おうとして言えなかったことを打ち明ける。「ごめんなさい。私たちには、もう余裕がないの。仕事のある所に行かないと」(2枚目の写真)。「この町で働いてるじゃない」。「人員が削減されたの。このままでは、やっていけないわ」。「どこに行くの?」。「リビー伯母さんの住んでる近くで、面接を受けるの」。「リビー伯母さん? ここから4時間も離れてるよ」。「私たち、生活しないといけないのよ、クラーク」。「そんな、行けないよ。ここはパパの家だ」。「クラーク、ごめんね、仕方がないの」。悲しくなったクラークは、自分の部屋に閉じ籠る。夕食の時間になり、母が部屋をノックし、ドアを開けてくれるよう頼む。ドアを開けたクラークを 母は抱きしめるが、それでクラークが納得したわけではない(3枚目の写真)。
  
  
  

次の日、祖父がクラークと彼の姉をハイキングに誘いに来る。そして、娘〔母のこと〕には、「リラックスして、いい時間を過ごすといい。子供たちはわしと一緒だ。安心しなさい」と声をかける。それを傍で聞いているクラークの顔は、あまり嬉しそうには見えない(1枚目の写真)。きっと、姉も不承不承だったに違いないが、それでも4人〔祖父の後妻も一緒〕は森を通って展望台に向かう(2枚目の写真)。展望台からは、広大でかなり平坦な土地が数十キロさきまで見渡せる。それを見ながら、クラークは、「ここに住む前のことは何も覚えてない」と、悔しさを新たにする(3枚目の写真)。そして、「僕は、ここから動かないよ」とも。
  
  
  

その日は、森の中で1泊キャンプ。焚火の周りに4人が集まって、各々が枝の先に食べ物〔短い円筒形だが何かは分からない〕を刺して、それを火で焼いて食べる。そして、祖父は、2人の孫たちにまだ話したことがない話題として、自分の父の第二次大戦での経験を語り始める。「1945 年、わしの親爺は 第82 空挺に属し、ナチの支配地で戦っていた精鋭部隊の兵士だった。親爺の分隊は、フランスのドイツ国境付近の木々の茂みに沿って進み、前線をくぐり抜け、ナチの奴らに奇襲をかけようとしていた。親爺は兵士の何人かを安全な場所に連れて行き、塹壕を掘ろうとした。親爺自身は、全員が安全になるまで身を隠そうとはせず、そんな時、親爺の横で砲弾が炸裂した(後述する古い白黒映像A)。親爺は気を失った。目を覚ますと、親爺は天使の目を見つめていた。彼女の名はマリー、フランスの女性だった(古い白黒映像B)。彼女は親爺の傷ついた脚に包帯を巻き、安全な場所に運んだ。それから数週間、彼女は彼の世話をし、食事を与え、怪我の手当てをし、いつしか親爺は彼女に支えられて歩けるようになった(古い白黒映像C)。そして、親爺の体力が回復すると、一緒に田舎を自転車で走り回った(古い白黒映像D)。昼も夜も、二人は一緒にいた(古い白黒映像E)。お互いが、相手にとって最高の伴侶だった。だが、アメリカは、親爺を兵士として必要としていた。だから、二人は別れ(古い白黒映像F)、親爺は前線に戻った」。クラークが 「それからどうなったの?」と訊く。「戦争は終わり、親爺はマリーを探しに戻ったが、見つからなかった」。そして、「それから 2 年も経たないうちに、親爺はもっと天使のような女性、わしのお袋と出会い、一生添い遂げた」と締めくくる。クラークは、テントの中で祖父の話について考え(2枚目の写真)、懐中電灯を取ると、ノートを広げ、「新しいショートムービーのアイディア」と書く(3枚目の写真)。
  
  
  

家に戻ったクラークは、“ショートムービー・コンテスト” の紙を持つと、対戦型のTVゲームをして遊んでいるデレデレクとジェイミーのところに行き、「これ見ろよ、コンテストだ」と言って、デレクに紙を渡す。単純思考型のデレクは、ゲームの方が大事なので、紙を投げ捨てる。一方、それを拾ったジェイミーが、紙を読んで 「賞金15000ドルだぞ」と言うと、デレクはゲームを止めて2人の前に座り、クラークに 「話せよ」と急に乗り気になる。クラークは、「これに勝てば、僕はきっとここに居られる」と話す(1枚目の写真)。何事にも疎いデレクは、「待てよ、それどういうこと?」と訊く。一方、よく気が付くけど、文句が多いジェイミーは 「『売り家』の看板、見なかったの?」とデレクに言い、クラークは 「2人とも、僕と一緒にいろよ。これに勝てば、僕は、ここを離れなくて済む」と言う。ジェイミー:「それ確か?」。「ああ、1.5万だ。それだけあれば、ママには、ここで仕事を見つける時間が稼げる」。「だけど、僕たちのビデオで勝てるの?」。「絶対さ。すごくいいアイディアが浮かんだんだ」。考えなしで、強欲なデレクは、「そりゃ最高だ。で、そのお金は半部ずつ分けるんだよな?」。3人いるのに半分ずつというバカなことを口にしたデレクに、ジェイミーは 「半部ずつ? 僕ら3人だぞ」と呆れる。「分かってるさ、ジェイミー」。強欲な2人の誤解を解くため、クラークは、「お金は、僕たちのものじゃない。ママに全部渡す。それが必要だから。もし、手に入らなかったら、これが、一緒にいられる最後の夏になる」と、心の内を真剣に話す。それでもデレクが 「僕らにはゼロ?」と訊くと、ジェイミーが 「黙れ、デレク」とたしなめる。3人は、それで了解し、参加の申し込み所に出かける。しかし、受付け嬢に、名前と年齢を訊かれ、クラークが、「クラーク・ロウマン、12」と答えると(2枚目の写真)、16歳以上じゃないとダメと断られる。そこで、クラークは、ここまで母の車で送ってくれた姉にサインを頼み、何とか危機を回避。受付け嬢からは、「提出期限は30日。5時までに。遅れたら失格」と言われる〔しばらくして、カレンダーが映るが、クラークは30日(木曜)のところに赤い丸を付けている。右下に翌月は8月とあるので、7月30日が木曜なのは2015年〕。そのあと、3人はジェイミーの家に行く。そこには、ジェイミーの姉レインがいて、ショートムービーのことが話題となり、彼女も映画作りに参加することになる。そして、映画に出演してくれる協力者を募集するポスターを4人で作成する(3枚目の写真)。
  
  
  

完成したポスターには、「注目!/オーディション/男優と女優を募集中/男優:18-30歳、女優:18-30歳/オーディションはトンプソン公立図書館で行われます/自分で台詞を持参して下さい」と書かれている〔素人の映画製作のオーディションで、無料奉仕の配役とはどこにも書かれていない〕。4人は手分けしてポスターをあちこちに貼るとともに(1枚目の写真)、順番が逆だと思うが、トンプソン公立図書館に行き、部屋を借りる。そして、長細いテーブルを1つ倉庫から運んでくると、その後ろに椅子を4脚並べ、座って応募者がやって来るのを待つ。最初に、規定の上限の30歳を優に超えたおばさんが入って来て、レインが「今日は」と笑顔で声をかける(2枚目の写真)。彼女は、並んでいるのが子供ばかりなので、それと察して出て行く。それでも、10名近くが集まったがロクな人がいない。そして、それ以後は誰も来なくなる。がっかりして引き揚げかけた時、ドアが開き、子供達がショートムービーを作っているのを承知で、手伝いにきてくれた男女2名が入ってくる(3枚目の写真)。2人は真面目に台詞を読んでくれたので、唯一の候補者として採用が決まる。
  
  
  

映画の最初のシーンは、クラークの家の芝生で撮ろうとするが、母は、この映画作りが “引っ越し防止対策” のためだとは知らされていないので、最初は強く反対する。しかし、クラークが、「うちの庭は撮影にぴったりなんだ。何も傷つけないから。お願い」と必死で頼み、ようやくOKする〔観ていて、母の態度に腹が立つ〕。クラーク達3人は、ガレージに置いてあるオレンジ色の玩具の銃を、スプレーで黒く塗る。音声収録用のショットガンマイクは、パイプの先にボイスレコーダーを粘着テープでくくり付けて作る。そして、荷物を持ってガレージから出てくると、レインが間に合って合流する(1枚目の写真)。そして、前庭まで行くと、クラークが、「みんな、これに賛成してくれてありがとう。楽しくやろう。今日は、やることが一杯ある。ダメでも気にしない」と、挨拶する。そこに、主役の2人が車でやって来る。クラークは、「カメラのバッテリーを忘れちゃったから、撮影の準備をしてて、すぐ戻る」と言って家に走って行く。自分の部屋に行ったクラークは、バッテリーを探さず、窓から外の様子を窺うと、壁にもたれてじっと考える。そして、いつも使っているビデオカメラではなく、父との思い出の一眼レフカメラを使うことにして、鞄の中からカメラを取り出し(2枚目の写真)〔先に書いたように、この写真からメーカーと機種を特定するのは大変だった〕、久し振りにカメラを手にしたことで、何となく力が沸いてくる(3枚目の写真)。
  
  
  

クラークは、ジェイミーにカメラを見せ 「このカメラを使いたい」と言って渡す。「いつものじゃダメなの?」。「これは特別なんだ」〔それまでのシーンではクラークがビデオカメラを使い、ジェイミーとデレクは “俳優” だったが、ここから先は、クラークが “監督”、ジェイミーが “撮影担当”、デレクが “録音担当” になる〕。“祖父の父” 役の男性は軍服を持っていなかったので、“フランスの女性” 役の親切な女性が リサイクルショップで見つけた軍服を着ている。女性は、さらに 「彼の顔に泥でも塗りましょうか?」と訊くので、クラークは 「ひどい目に遭ったような感じに」と頼む〔とても協力的な女性〕。そこに、祖父が食べ物とお菓子を持ってやって来る。この場面で変なのは、完成までに時間が限られているので、きっと朝から準備を始めたに違いないのに、祖父がいる間に7月だというのにもう暗くなりかけ、それに対応するためデレクがどこかから大量のケーブルを持って来て、実際に撮影を始める頃には照明を点けないと撮影ができなくなるほど真っ暗になったこと〔時間的経過が不自然〕。俳優2人は巧く演じたものの、クラークがカメラの使い方をジェイミーにちゃんと教えてなかったため、録画されていなかった。そこで、2度目の撮影を開始する(1枚目の写真)。その瞬間、チッチンで母が電子レンジのボタンを押し、ブレーカーが落ちて辺りは真っ暗に。それの復旧に手間取り、2回目の撮影は真夜中を過ぎてから(2枚目の写真)。この場面は、先に祖父が話した「古い白黒映像B」に該当する(3枚目の写真)。撮影が終わったのは、午前2時半近くだった〔なぜ、そんなに手間取ったのか、さっぱり分からない〕
  
  
  

翌朝、4人は自転車でジェイミーの家に行き、家のベランダで2人がコーヒーを飲むシーンを撮った後、近くの森に行き、ふざけ合いながら撮影をこなす〔何を撮ったのかは不明〕。そのあと、先に述べたカレンダーが登場し、7月30日まで、なぜか残り僅か8日しかないことが分かる。映画では、もう少し後のシーンになるが、祖父の話の順に並べると、杖をつきながら歩けるようになったシーンもちゃんと収録する(1枚目の写真)。これは、祖父が話した「古い白黒映像C」に該当する(2枚目の写真)。そして、カレンダーの直後の場面は、2人が普通に歩けるようになってからのシーン(3枚目の写真)〔撮影の様子がよく分かる〕
  
  
  

次には、順不同だが、1枚目が先の森の中でデレクとレインと女優がふざけているシーン。2目目が、杖をつきながら歩けるようになったシーンの直前にある、デレクが踊っているシーン。3枚目が、その少し後で、デレクが湖に飛び込むシーン。これらは、祖父の父とフランス女性との愛には無関係だが、後になって重要となるシーン。
  
  
  

ここからは、祖父の物語に沿った順不同の2つのシーン。2人が自転車乗に乗るシーンの撮影(1枚目の写真、左端はクラークの祖父のピックアップトラックの最後尾に座った録音担当のデレク)と「古い白黒映像D」(2枚目の写真)。2人が楽しくピクニックに出かけるシーンの撮影(3枚目の写真)と、「古い白黒映像E」(4枚目の写真)。
  
  
  
  

ここからは、各シーンが長いので、映画の順に紹介する。最初は、祖父の父の横で砲弾が炸裂し、気を失う場面の準備風景(1枚目の写真)。祖父は、森の中の地面に浅い穴を掘り、その上に真ん中で切れた2枚の板を置く。祖父によれば、男優がその上に乗ると、「てこの原理で、爆発したように土が空中に飛び散る」という発想だ。その時、クラークの母から姉にメールが入り、週末は客に家を解放するので撮影に使うなという意地悪な命令〔息子がこんなに頑張っているのに、「子の心親知らず」の嫌な母だ〕〔クラークも なぜ母にコンテストのことを話さないのだろう?〕。その話を聞いていた男優は、女優のアパートを使うことを提案する。その場所を聞いたクラークの姉は、それに大賛成する〔ボーイフレンドのパーティが同じアパートで開催されることが後で分かる〕。そして、いよいよアクション。男優が切れた板の上に乗ると、砂が高く舞い上がる(2枚目の写真、矢印)。「古い白黒映像A」(3枚目の写真)では、顔目がけて砂粒がかかり、その後すぐに吹き飛ばされるので、状況はかなり違っている。クラークは撮り直そうとするが、祖父の健康状態が急に悪くなる。
  
  
  

翌日は、女優のアパートでの撮影。クラークの姉は、おしゃれして同行し、アパートに着くと、すぐにいなくなる〔ボーイフレンドのパーティに参加〕。この時点で、締め切りの2日前。2階からは、騒がしい音楽が聞こえてくる。撮影の場面は、二人が別れる重要なシーン(1枚目の写真)。これは、「古い白黒映像F」に該当する(2枚目の写真)。しかし、音がうるさくてまともに台詞を録音することもできない。そこで、女優は2階に行って音を消してくれるように頼みに行き、クラークとデレクも同行する。女優は、1階で撮影しているので音を小さくするよう頼むが、出て来た部屋の借り主のバカ男は、「やってみるよ」と言って(3枚目の写真)ドアを閉めるが音は一向に小さくならない。そこで、今度はデレクがドアを叩き、ドアを開けたバカ男に 「おい、ホットな音、小さくしろよ」と怒鳴るが、言い終わる前にドアを閉められる。
  
  
  

怒ったクラークは勝手にドアを開けて中に入って行くと、ミニステレオのボタンを押して音を止める。すると、バカ男が、「おい、何するんだ」と文句を言う。クラークは、「下で映画を作ってるから、静かにして欲しいんだ!」と怒鳴るように言う(1枚目の写真)。バカ男は、クラークの前まで来ると、「ステレオからどけよ」と言うが、クラークは、「さっきは丁寧に頼んだのに、もう我慢できない」と反論。バカ男は、「おおこわ。ほら、どけよ」とクラークの胸を押す。クラークが押し返すと、今度はクラークを押し倒す(2枚目の写真)。そこに、トイレから姉が出てきて弟が床に倒れているのをみて、「ここで何してるの?」と訊く。クラークも、姉がこのアパートに来たがった下心を知らなかったので、「ここで何してるの?」と訊き返す。バカ男は、自分が倒した少年が、自分のガールフレンドと親しく口を聞いているので、「君、この子知ってるの?」と姉に訊く。「私の弟よ、このバカ。弟に何したのよ?!」。「このガキ、クレイジーだ。ここに来て怒鳴り始めた」。「だから押し倒したの?」。そう言うと、姉はクラークを連れて部屋から出て行こうとする。バカ男が 「ベビー、待って」と止めると、姉は 「邪魔すると、何か壊すわよ」と警告し、それでもバカ男が言い訳しようとすると、置いてあったバットを持つと、ミニステレオを叩き壊す(3枚目の写真、矢印はバット)。これで、2人の仲は終わったが、バカ男にはいい制裁だ。姉は、外に出ると、「ごめんね」とクラークに謝る。そして、撮影が再開される。
  
  
  

最大の問題は、締め切りの1日前に起きる。一行は森の中に入って行く。斜面で転びそうになったレインに、クラークが 「大丈夫?」と声をかけたのを、弟のジェイミーが嫌な顔をして見る。これがすべての発端。森の中の小さな木の橋の上での2人のシーンを撮ることに決めたクラークは、ジェイミーが最初にセットしたカメラを、橋の方に向けるよう指示する。しかし、ジェイミーは、「いや、もうセットしてあるから、この撮影を先にやるよ」と反対する〔クラークが、彼に、そのセットを指示した場面は、映画にはない〕。それに対し、クラークは、「時間がないんだ。急げよ」と言い、ジェイミーは、ふてくされた顔でカメラを別の場所にセットし直す。ここからのジェイミーは、いつもの彼とは違い、意図的に反抗する。クラークがカメラの動かし方を指示しても、分かってないのに「分かってる」と強く言い、監督のクラークがかけるべき 「アクション」を勝手に口にし、2人が橋に向かって歩き出すと、ワザと2人の全身を入れずに森ばかり入れる。それに気付いたクラークが2人にやり直しをお願いする(1枚目の写真)。しかし、二度目も、ジェイミーは森ばかり撮る(2枚目の写真)。「カット」。「間違えたんだ。大丈夫」。「早く完成させないと」。「なんでもかんでも、そんな嫌な顔しなくてもいいだろ」。「僕が? 嫌な奴は君の方だろ」。「これは、楽しいハズだった」。「楽しくないのは悪いけど、ちゃんと作らないと、引っ越さなきゃいけないだろ」。「引っ越しゃいいだろ。ずっとボスずらしやがって。姉さんと一緒にいたいからなんだろ」。この意外で当て外れの誹謗に対し、レインはもちろん否定し、クラークも完全否定するが、愚かなジェイミーの勝手な思い込みによる反発は、遂に、2人の喧嘩にまで発展し、取っ組み合うジェイミーの足が三脚を蹴り、大事な思い出のカメラが地面にぶつかって壊れてしまう(3枚目の写真)。これで撮影の続行は不可能となり、絶望したクラークは、ジェイミーの謝罪を無視し、その場から立ち去る〔観ていてジェイミーの愚かさには腹が立つ〕
  
  
  

その日の夜、ほとんど森しか映っていない映像をパソコンで見ながら、クラークは顔を腕に埋める(1枚目の写真、矢印は俳優の2人)。そのあと、クラークがベッドでうつ伏せになって悲しんでいると、そこに母が入ってくる。クラークは映画作りが失敗しただけでなく、カメラが壊れてしまったことも打ち明ける。「誕生日にあげたカメラをなぜ使わなかったの?」。「僕たち〔父とクラーク〕のカメラだったから。特別なものだった。でも、ダメになっちゃった。何もかも。父さんのものを全部失いたくない」(2枚目の写真)。「お父さんは、私たちがどこにいようと、いつも一緒よ」。母が部屋から出て行き、再び一人になって考えるクラーク。机の上の父とのツーショット写真を手に取ると、面白いアイディアが浮かび、パソコンを見上げる(3枚目の写真、矢印は写真)。
  
  
  

クラークは、写真を机に戻すと、以前、撮影した “祖父の物語” 以外の映像を1つ見てみる。そして、時計を見ると、9時51分。締め切りまでに7時間ちょっとしか残ってない(1枚目の写真)。クラークは、必死になって映像をつなぎ合わせ、午後4時36分に完成する。クラークは姉の部屋に飛んで行き、「お願い助けて。コンテストの締め切り。20分でダウンタウンに行かないと」と頼み込む。姉は、母の車のヘッドライトを少し前にぶつけてしまったので、運転禁止の処分を受けていたが、クラークが、何度も 「お願い」と必死で頼むと(2枚目の写真)、快く協力して車を運転してダウンタウンに向かう。クラークは、ノートパソコンを車に持ち込み、出来上がったショートムービーをUSBに転送する。転送が終わり、16時58分になったので、信号待ち中の車から飛び出したクラークは、全力で走って受付けに向かう。そして、ドアを開けて中に走り込むが、17時を回って受付け嬢は片付けを始めている。クラークが、USBを差し出すと、時計を見た受付け嬢は 「悪いわね」と断りかけるが、クラークが 「お願い」と頼むと、数分の遅れなので受け取ってもらえる。
  
  
  
  

クラークは、3人と仲直りし、コンテストの映写+結果発表会への入場券を渡す。そして、いよいよ発表会の日、クラークが編集し直したショートムービーも映写される。そのおおまかな内容を、以下の5枚の写真で示す。1~3枚目は、以前紹介した、撮影中のおふざけ映像。4枚目は主役の俳優の映像だが、祖父の物語ではなく休憩中の映像、5枚目はラストの静止画像で、父が生きて時の一家4人の記念写真〔これでは、積極的に協力してくれた主役の2人に悪い気もする。カメラが壊れた時の木の橋のシーンは、祖父の物語の際の白黒映像にはなかったものなので、これまで撮りためたものだけで祖父の物語は映像化できると思うのだが、なぜか、がらりと内容が変わってしまった。5枚の中には入れなかったが、何と、ビデオカメラで撮影した “斧を持った黒衣の骸骨” の映像まで入っている〕
  
  
  
  
  

結果は、“どうしてこれが?” と思わせる2位(1枚目の写真)。ただ、15000ドルは1位の青年に取られ、唯の “贈り物” では、母の引っ越しをやめさせるまでには至らないので、クラークの顔は寂し気だ。結局、引っ越しの前日、クラークは、ダンボールの中に、大切な写真を仕舞う(2枚目の写真)。そして、デレクとジェイミーには、ショートムービーのDVDをプレゼントする(3枚目の写真、矢印)。ジェイミーは、「明日の朝、経つの?」と訊き、クラークは、「うん、早朝」と答える。「僕たち、行くよ」。
  
  
  

そして、翌朝、運送業者が荷物をトラックに積み込み、クラークは、2人が来るのを待っていたが(1枚目の写真)、ちっとも来ないので、催促され、がっかりして母の車に乗り込む。しかし、車が動き始めてすぐ、助手席に座った姉が後ろを見て、デレクとジェイミーとレインの3人が自転車でやって来るのに気付く。クラークは、母にスピードを落とすよう頼み〔結局、停車する〕、3人がクラーク座っている後部座席の横に乗りつける。クラークが窓を開けると、ジェイミーが 「遅れてごめん」と謝り、レインは 「エスコートしに来たの」と言い、デレクは 「車から出なくていいから、楽しんで」と声をかける。そして、車がゆっくりと動き出すと、自転車はその横に並んで一緒に走る(2枚目の写真)。クラークは、映画が始まって初めて、真に幸せそうな顔を見せる(3枚目の写真)。住宅街の終点まで来ると、3人は自転車を停め、スピードを上げた車が去って行くのを見送る。クラークは、ノートを取り出すと、「次のショートムービーのアイディア/1. 許されざる恋」と書く(4枚目の写真)。
  
  
  
  

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