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A Boy Called Christmas クリスマスとよばれた男の子

イギリス映画 (2021)

現代のサンタクロースの起源は、4世紀の東ローマ帝国の都市ミュラの司教・聖ニコラウスではなく、1300年頃のオランダで、娼婦〔3つの財布を3人の貧しい少女に匿名で投げ渡して売春から救った〕の守護聖人となったシンタークラース(Sinterklaas)。フラ・アンジェリコが描いた「バリの聖ニコラウスの物語」(1437年)の右端の部分が、その場面(右上の絵)。聖ニコラウスの命日が12月6日(AD340年)とされていたので、12月5日がシンタークラースの夜となり、饗宴や子供達への玩具の配布が行われた。ヤン・ステーンが描いた「聖ニコラスの饗宴」(1665-68年)で、その楽しい雰囲気が分かる(右の絵)。一方、アメリカでは19世紀に入り、クレメント・ムーア(Clement C. Moore)が新聞に投稿した詩『A Visit from St. Nicholas』が、1857年に出版された時、その挿絵で、現在のサンタクロースの原形が描かれた(右下の絵)。聖ニコラウスの命日の前日から、キリストの生誕を祝う日に変更されたからしかし、この時点ではまだ聖ニコラス。それがサンタクロースになるのは、20世紀初頭にオランダ人の移民によってもたらされたシンタークラースの饗宴が、英語風に訛ってサンタクロースとなった。12月5日が25日になったのは、〔創始期のキリスト教徒がローマ歴の冬至「Sol Invictus」を引き継いだ〕。このサンタクロースの故郷は、当初北極とされていたが、1927年にフィンランド国営放送局はラップランド東部にあるコルヴァトゥントゥリ(Korvatunturi)という標高486mの山(下の写真)がサンタクロースの正式な住居であると宣言し、それが現在まで引き継がれている。
ところで、なぜ、こう映画に無関係なことを書いてきたのか? それは、この映画に見られる、最近の映画の傾向としての、「人種の多様性」が、奇妙な世界を作り上げてしまったことを強調したかったから。この映画の舞台は、当然、ラップランド(フィンランドのロシア国境に面した最東部)で、時代は、中世。この映画はサンタクロースが誕生するまでを描いているので、映画ではエルフとして紹介されている小人の妖精「トントゥ」を含め、住民はすべてサーミ人のはず。ところが、世界各国に映画を配給した時に、観客の “参加意識” を与えようと、「人種の多様性」を前面に出した結果、“人間” の中にはアフリカ系の人もいるし、“エルフ” の中にはアジア系とアフリカ系の人も存在する。しかし、人的交流の全くなかった時代の ヨーロッパ最北の地で、こうした人々がいるのは根本的におかしい。いくら 「人種の多様性」が重要だからといって、そうしたことは、マーベル・コミックの世界で考慮すればいいことであって、過去の特殊な世界で再現すべきではない。観ていて強い違和感を覚える。映画そのものは、従来のサンタ物とは大きく違い、サンタの原点を新たな視点で作り上げた点が評価できるだけに残念だ。もう1つ欠点を上げるとすれば、それは脚本上の問題。エルフの統治者として、非常に専制的かつ暴力的な女性ヴォドルが登場する。平和的なエルフ/トントゥなのに、異常とも言える展開に、ここでも強い違和感を覚えた。ごく自然なネズミとトナカイのCGには感心したが、トロールは『ハリポタ』そっくりの安っぽさにがっかりした。

内容は、貧しい樵の息子ニコラス、通称クリマススが、王の要請を受けて仲間と一緒に “希望を与えてくれるもの” を探しに出かける。その間、ニコラス面倒を見るために父が呼んだ、独身で誰からも相手にされない姉が、ニコラスを小屋には寝せず、ロクに食べ物も与えず、生涯で一度だけもらった母の想い出の “カブの人形” を煮物にして食べさせられる。これに怒ったニコラスは父を探しに家出する決心をする。その際の “道案内” となったのは、母が父に残し、父が出発前にニコラスに託した “今流に言えば、赤いサンタ帽子”。ニコラスは、帽子の一部が伯母の意地悪で燃えた時、その裏側に、“母が少女だった頃、偶然辿り着いて冬を幸せに過ごしたエルフの村へのルートを描いた絵地図” を発見していた。ニコラスは、父が出かける前から親しくなった子ネズミのミイカと一緒に、大した食料も持たず、伯母には内緒で、見通しの立たない旅に出る。そして、その中で、それまで ただ遊びとしてミイカに教えていた単語をミイカがマスターし、話せるようになったのが分かり、いい話し相手になる。そして、そのすぐ後に、もう一人の友達が加わる。矢で傷付いたトナカイを助けたことで、それまでの雪中の徒歩の辛い旅が、トナカイに乗っての高速の旅に変わる。そして、母の絵地図にあった目印をすべてクリヤーし、エルフの村があるべき地点までやって来たが、そこは何もない雪原だった。絶望し、それまでの疲労が一気に押し寄せて昏睡状態(凍死?)になったニコラス。そこに偶然通りかかったエルフの賢人トポが呪文をかけてニコラスに特殊な力を与える。そして、“信じれば見える” と教え、ニコラスにもエルフ村エルフヘルムが見えるようになる。しかし、エルフの村は、母から聞いていたのと全く違い、父達の仲間が、エルフの子供を拉致したことで一変し、ヴォドルという専制的な統治者が村を支配していた。ニコアスは、ヴォドルに見つかって監禁されるが、妖精の助けを借りて脱出し、人間の信頼を回復させるべく、拉致されたエルフの子供を捜す。そして、父達の仲間たちが捕えているのを発見する。ニコラスは一度見つかって拘束されるが、父が助けて一緒に逃げる時、ニコラスを助けるため、自らの命を犠牲にする。母だけでなく父なでも亡くしたニコラスは悲嘆にくれるが、拉致されたエルフの子供を返すという自らに課した使命を全うし、それに感謝した両親がお礼として玩具を差し出したことで、ニコラスは王が言っていた “希望を与えてくれるもの” とは、これだと気付く。そして、エルフ達にもっとたくさん、いろいろな玩具を作ってくれるよう依頼し、エルフ達もそれに応える。そして、大きな袋に一杯玩具を詰めたニコラスは、トポの呪文で飛行できるようになっていたトナカイに乗り、王の国の子供達に玩具を配り始める。これに参加した王は、そこに “真の幸せ” を見い出し、ニコラスに年に1回同じことをしてくれるよう依頼する。

初代サンタ役のヘンリー・ローフル(Henry Lawfull)は2006年生まれ。撮影は2019.4.1~7.5の間なので、12-13歳。公開の2021年には別人のように大きくなっていた。イメージに見合って主役に選ばれたとあり、確かに12-13歳当時は、サンタ1号にぴったりだった。

あらすじ

マクゴナガル先生のマギー・スミス演じるルース伯母が、イギリス式長屋一軒に向かう。周囲の家はすべてクリスマス・イルミで輝いているが、1軒だけ何もしてない家がある(1枚目の写真、矢印)。それを見たルース伯母はがっかりする。その家では、白人と黒人とのハーフのシングルファザーが、クリスマス・イヴだというのに、3人の子供〔亡くなった母は黒人〕を家に残して仕事に行こうとしている。その時、玄関のブザーが鳴り、ドアがノックされる。父がドアを開けると、立っていたのが伯母。伯母は、「ひどい顔ね」と言うが、私にとってショックだったのは、86歳のマギー・スミスの老けてしまった顔。20年前のパリポタ第1作の時は、まだ元気一杯だったのに… 因みに、白人とのハーフの伯母が白人ということは、この男の父もしくは母が白人で、その姉がルース伯母ということになる。伯母は、家の中に、ツリーすら置いてないことに愕然とする。伯母は子供部屋に行くと、そこで3人に「お話し」を聞かせる(2枚目の写真)。

伯母の話は、「あなたたち、信じられないと思うでしょうけど、ずっと昔は、誰もクリスマスなんか知らなかったの」から始まる〔これは、解説で書いたように正しい〕。「そんな時代、フィンランドの森の真ん中にニコラスという ごく普通の少年が、お父さんと一緒に暮らしていた」〔ここは、1927年のフィンランド国営放送局の提案〕。森の中にいた2人の前に突然大きなヒグマが現われる(1枚目の写真)。父は、「森になれ」と、森と一体化して気付かれないようにじっとしてろと言うが、ヒグマの方が人間の臭いを嗅ぎつけてしまい、2人は全速で逃げ始める。ヒグマの走る速度の方が早いが、そこに1本の矢が飛んで来て、ヒグマの前の木の幹に刺さり(2前の写真、矢印)、ヒグマは追跡をやめる〔この矢は、後になって、狩人が2人を助けようと放ったとが分かるが、この時点では何の説明もない〕。2人は丸太小屋まで無事に戻る。その後、2人が食べているシーンが映るが(3枚目の写真)、伯母が、「2人は 何とかギリギリ食べていけたの」と話すので、食事の質・量ともに限界レベルだった。

ニコラスは、寝る前に、父から、“2年前に亡くなった母” の話を聞くのが好きだった(1枚目の写真)。それは、父と結婚する前の 少女時代のルミの話だった。ある日、森の中でドングリを拾っていたルミは、道に迷い、家を探すうちにどんどん離れ、川を渡り、夜を過ごし、尖った山を越え、眠る巨人達の過ぎ、天空を歩き、雪が雲のように柔らかい場所に着いた。そこにあったのは、謎の村、エルフヘルム〔『指輪物語』では、ローハンの軍団長(人間)〕〔フィンランド語の字幕では “Tonttuvaara”。このうち、前半の “Tonttu” は解説で述べた小人の妖精「トントゥ」のこと。“vaara” は危険を意味する言葉だが、なぜ?〕。このエルフヘルムについて、父は、「世界で最も幸せなエルフの人たちが住む、魔法に満ちた場所」と語り、その影絵が部屋の壁に映る(2枚目の写真、風車があるのは、シンタークラース発祥の地のオランダを象徴している?)。ルナは、雪がなくなるまでそこに滞在し、結局、南にある家まで帰ることができた。ポケットにチョコレートを一杯詰めて。そこまで父が話した時、ニコラスは、棚から “母のペンダント” を取ると(3枚目の写真)、父に エルフや魔法を信じているかと訊く。父は、「母さんは信じてた。彼女には、信じることは、知っているのと同じだった」と話すが、この言い方では、あまり信じているとは思えない。ここで、小屋の中にネズミがいることが分かり、父は斧を振りかざして追い詰めるが、ニコラスは助命を嘆願する。

次のシーンは、丸太小屋の外で、ニコラスとミイカ(子ネズミ)の交流のCG(1~3枚目の写真)。ミイカは、CGとしては最も簡単な部類に属するが、ニコラスとの交流の画面は、アニメーターの手腕と、そこにいると思い込んで演技する子役の息がぴったり合い、素晴らしい絵になっている。

伯母の話はさらに、次の段階に進み、ある日、王様からの招集通知が届き、ニコラスはミイカを連れて 父と一緒に城に行く(1枚目の写真)。ニコラスの左には、この時代、この地方にいるハズのない人種が映っている。山の上の城は中世の城というよりは、16世紀頃の城、特にオーストリアのホッホオスターヴィッツ城を彷彿とさせる。フィンランドにこのような山城はない。それに、そもそもラップランドは、13-17世紀の間、ノブゴロド公国(ロシア)、スウェーデン王国、ノルウェー王国からの徴税を受ける地域で、この地域のサーミ人を統括する王など存在しない。王は、森に住む貧しい人々を広間に集め、その前に進み出て(2枚目の写真、矢印 )、「この前、いつ笑ったか覚えておらぬほど辛い時代じゃ」と言った後で、「わしら皆に足りないものは、希望じゃ」と自論を述べ、「王国の隅々まで行き、もう一度希望を与えてくれるものを持ち帰るのじゃ」と命じる。この話の間に、ミイカが勝手にいなくなってしまい、ニコラスが参集者の足元を這って追いかけているうち、捕まえたとおもったら、そこは王様の足元だった(3枚目の写真)。父が謝り、ニコラスはコインを1枚もらったが、それはネズミの食料1週間分にしかならない金額だった〔ドケチ〕

恐らくその日か翌日の夜、父の丸太小屋に狩人が訪れ、ニコラスに内緒の話をするため父を外に連れ出す〔小屋の中には “部屋” などない〕。翌日になり、樵の父が切り倒した大木を 2人してノコギリで切っている時、父が何の話だったか打ち明ける。父は仲間達と一緒に、王が言っていた旅に出かけ、その期間は2-3ヶ月にもなるというもの。ニコラスは、父が、2人だけの貧しくとも親密な生活よりも、「希望」をもたらした時のお金を重視した姿勢に腹を立てる。その夜、ニコラスは一緒に行きたいと言い出すが、父は、「Seipäjärviの北は、氷原と凍った湖、一面の雪の平原だ」と言うが、ここで初めて地名が出て来る。解説で述べたKorvatunturiは、この場所の170キロも北東にある。エルフヘルムがどこにあるか知らない一行にとっては厳しい旅となる。だから、父は許さない。その先の話の中で、父は、ニコラスのことを「クリスマス」と呼ぶ。理由は、亡くなった母が、ニコラスのことをそう呼んでいたから。父は、なぜそう呼んだから、その言葉の意味も知らない。そして、翌朝、父の姉、独身の意地悪カルロッタが、ニコラスの面倒を見るためにやってくる(1枚目の写真)。仲間の橇が すぐに父を迎えに来る(2枚目の写真)。父は、お別れにと、それまで被っていた “ニコラスの母が作った赤い帽子”〔現代のサンタクロースが被っているのとそっくりな帽子〕を息子に託す(3枚目の写真)。

カルロッタはニコラスと2人だけになると、すぐに本性を現わす。第一に、「プライバシーがないと眠れない」という理由で、ニコラスを小屋の外で眠るよう命じる。ニコラスは、寝具と、カルロッタの嫌いなネズミと、母からもらった人形代わりの干からびたカブと一緒に追い払われる(1枚目の写真、矢印はカブの人形)。ニコラスの小屋の近くに木の枝で組んだ囲いの中に、毛布を敷いて横になる。第二に、食事をほとんど与えてもらえず、お腹が空腹で鳴ると、「その気持ち悪い音は何?」と訊かれ、「僕のぽんぽん」と答えると(2枚目の写真)、自分の方が空腹だと文句を言われただけ。ある日、カルロッタは親切にもニコラスにスープを作って食べさせる。そころが、その中に入っていたものは、ニコラスが大事にしていたカブの人形だった(3枚目の写真)。ニコラスが怒って抗議しても、カルロッタは、母の悪口、父の悪口を言い、エルフもエルフヘルムも存在しないと、ニコラスの信じるすべてを否定する。

その時、スープの入った鍋の取っ手が熱いので、ニコラスの “赤い帽子” を勝手に使って、そのまま暖炉に置いておいたら、帽子に火が移って燃え始める(1枚目の写真、矢印)。ニコラスは、帽子をひったくると、外に走って行き、雪の中に突っ込んで火を消す。しかし、赤い布の天辺には焼けて数個の穴が開いてしまった。しかし、その穴から、中に黄色い布があることが分かり、ニコラスは帽子を裏返し、裏布を破くと、帽子の裏に隠されていた “エルフヘルムへの地図” が出て来る(2枚目の写真)〔下の緑の部分が、今住んでいる森と小屋、その上に、高い山、そして画面には映っていないが、その先にエルフヘルムの町が描かれている〕。それを見たニコラスは、カルロッタなんかと一緒にいても事態は悪化するだけなので、その夜、母のペンダントを小屋から持ち出すと、エルフヘルムを探しに ミイカと一緒に旅立つ(3枚目の写真、矢印はミイカ)。

ニコラスは、木がまばらに生えるだけの雪で覆われたなだらかな丘陵地帯をひたすら歩く。ルース伯母の言葉。「寒くて、空腹」。そういえば、元々食べる物もなかったし、お金もないし、あったとして場所もない。寒さは何とかなるとしても、空腹をどうやって凌いだのだろう? そして、吹雪のように雪の舞う森の中。ニコラスは岩が林立するフィンランドには決してない不思議な地形の中を進む。そのメリットは、岩の中に洞穴を見つけたこと。集めてきた僅かばかりの枯れ枝に、火打ち石で火を点けて暖を取る。でも、食べ物なんかは どう見てもありそうにない。ニコラスは、ミイカに向かって、いつも通り、独り言をぶつける〔それまで、いろいろな単語も教えてきた〕。「魔法を信じるかい、ミイカ?」(1枚目の写真)「僕は、もう信じられなくちゃったから」。そして、母のペンダントを取り出すと、ペンダントに向かって、「魔法が本当にあって、素晴らしいものだって証明してくれるんだったら、今しかないよ」と語りかける〔その先には、ミイカもいる〕。すると、今までタダの子ネズミだと思っていたミイカが、いきなり、「男の子」と言い(2枚目の写真)、それを聞いたニコラスは、仰天する(3枚目の写真)。ミイカは、さらに、単語を連ねる。「ネズミ、木、玉、スプーン」。なぜ今まで黙っていたのか というニコラスの質問に、ミイカは、それまで黙っていたのは、単語だけで、文法が完全には理解できていなかったからと答える。

翌日、ニコラスが林の中を歩いていると、お尻に矢が刺さって怒りっぽくなったトナカイが襲ってくる。ニコラスは、木に登って枝にしがみつくが(1・2枚目の写真、矢印は刺さった矢)、トナカイが木を角で突くので落ちそうになる。このシーン、Netflixによって公開されているメイキングでは、ニコラス役のヘンリー・ローフルが 安全のため2本のロープで吊られて木に登るシーンは映っているが、トナカイのシーンはない。その次に、一瞬だが、トナカイの頭部の簡単な模型を腹部に装着した男性スタッフとヘンリー・ローフルが対峙する画面が入る〔トナカイはすべてCG〕。枝の上から、トナカイに矢が刺さっていることに気付いたニコラスは、可哀想になって枝から飛び降りる。そして、徐々にトナカイに近づくが、目と目が合い、ニコラスに悪意がないことがトナカイにも分かる(3枚目の写真)。そして、トナカイを宥めながら矢に近づき、その矢が、父と一緒に出掛けた狩人の矢だと確認すると、雪を一握りすくい取り、傷口に当てて 一気に矢を抜き取る(4枚目の写真)。そして、トナカイの目の前で、抜き取った矢を2つに折る。

痛みが無くなったことで、トナカイはニコラスに恩義を感じ、ずっと後を追って行く。深い雪の中を、膝の半ばまで埋まりながら歩くので速度は遅い。そして、遂に森の端に達し、目の前に一面の雪原が拡がる。雪原に踏み出したニコラスに続き、トナカイも雪原に入って行く(1枚目の写真、矢印)。それに気付いたニコラスは、「一緒に来なくていいんだよ。先はまだ長いんだ」と言うが、トナカイはニコラスに追いつき、お乗りとばかりに背を下げる。ニコラスは 「僕に 背中に乗れって言ってるの?」と トナカイに訊く(2枚目の写真)。ミイカが襟から顔を出し、「どうしたんだい?」とニコラスに尋ねる。「これって、トナカイの『イエス』かな?」(3枚目の写真)。「『ノー』だと思うよ」。しかし、トナカイがお腹を雪に付けて乗るように指示したので、ニコラスはトナカイに跨る。トナカイはニコラスを乗せたまま疾走し、ニコラスの進行速度は格段に速くなった。

そして、雪原の先に先端が尖った高い山が見えてくる(1枚目の写真)。解説のところで写真を示したKorvatunturiとは全く違っている。因みに、フィンランドにこのような急峻な高山はない。トナカイは山の急斜面を登り、巨人の顔をした2つの岩まで到達する(2枚目の写真)。ここで、ニコラスは、赤い帽子の裏の地図と対比。その地図には2つの巨人の岩が描かれ、その間を通った先に尖った高い山があり、さらにその向こうに側にエルフヘルムがある(3枚目の写真)。

しかし、山の反対側には雪しかなかった。そして、その平坦な雪の盆地の真ん中に、何かが刺さっている。ニコラスがトナカイを駆ってその “何か” を引き抜くと、それは父のナイフだった。それを見たニコラスは、天を仰ぎ、もう どうしていいか分からなくなった(1枚目の写真)。その絶望感と、満足な食事もしていない体力不足から、ニコラスはその場に仰向けに倒れ、そのまま気を失う(2枚目の写真)。恐らく凍死したニコラスの足の向こうから、2つの奇妙な黒い物が近づいて来る(3枚目の写真)。

それは、エルフのトポと、その玄孫のノーシュだった。慈悲深いトポは、「困った者は、助けねばならん。たとい人間であろうとも」と言うと、左手をニコラスの胸に当てる(1枚目の写真)〔このトポ役のトビー・ジョーンズは、身長163cmと小柄なのでエルフにぴったり〕。トポの呪文でニコラスは生き返るが、自分が死んでいたことを知らないニコラスは、2人の異様な姿に驚いて後ずさる。「あなたたち、誰?」(2枚目の写真)。「リトル・ノーシュよ」。「ファーザー・トポ、ノーシュのひいひいおじいさんじゃ」。ニコラスは、“ドリムウィック” という呪文をかけられたと教えられる。「何 それ?」。「希望の呪文じゃ。わしは、お前さんが、強く、暖かく、常に安全であるよう願った」。ニコラスは感謝するどころか、「『常に安全』? そんなの不可能だよ」と言ってしまい、トポから、「そんな言葉は二度と言っちゃいかん。お前さんが、可能だと理解しとらんだけなんじゃ」と 強くたしなめられる。そして、エルフヘルツから直ちに去るよう命じる。その言葉は、逆にニコラスを奮い立たせる。エルフヘルツの存在を疑い始めていたのに、その名前が口にされたからだ。「エルフヘルツ? エルフの村? 僕、着いてさえいないよ」。ノーシュ:「バカじゃないの。私たち、エルフヘルツで一番長い第7カーヴス通りの一番端に立ってるのよ」。「どこにも何もないじゃないか。雪ばっか」。トポは、見方を知らないと答える。ニコラスは、大変な思いをしてここまで来たので、一度だけでも見てみたいと訴える。トポは、エルフヘルツがここに存在すると、本気になって、強く信じることが必要だと教える(3枚目の写真)。

ニコラスは、必死になって見回すが、なかなか見えてこない。しかし、次第に建物の影が霧の中から浮かび出て、それに鮮やかな色彩がつき、エルフヘルツが出現する(1枚目の写真)。カメラは空中でぐるりと180度回り、村の入口の門に架かる 跳ね上げ橋の所にさしかかった3人を映す。カメラは3人に近づいて行き、門をくぐったニコラスが 嬉しそうに村の中を見回す姿のクローズアップで止まる(2枚目の写真)。ニコラスは人間なので身長が高く、耳がエルフのように尖っていないので、すぐに識別されてしまう。そこで、トポは、「もう見たから、トナカイとネズミを連れて出て行ってくれないか」と頼むが、ニコラスは、「父さんを探しに来た」と譲らない。そこに、専横的な命令が聞こえ、衛兵が2人やって来るのが見えたので、トポはニコラスを路地に入れて隠す。ニコラスが、ふと下を見ると、そこには、木の板に刷った『The Daily Snow』という新聞が置いてあり、一面の見出しは、「Little Kip Still Missing(リトル・キップ依然不明)」。ニコラスが、キップのことを尋ねても、トポは口を濁し、エルフ目をはばかるように村の奥へと入って行く。ニコラスは、ここは世界で一番幸せな村だと思っていたので、トポの不安な様子に驚く。そして、自らのことをレジスタンスと表現する。トポは、“村の公会堂の手前にある枯れた木の幹” の前に立っているエルフに合図して、隠れ蓑の橇をどけてもらい、幹の穴の中にニコラスを入れる(3枚目の写真)。最初、ニコラスには、どうしてトポとノーシュが見えて、その他大勢のエルフは見えなかったのだろう? 恐らく、トポとノーシュは門の外にいて、他のエルフたちは門の中にいて、それがバリアとなって、人間の目からは見えなかったのかもしれない。

中に入り、複雑な通路を通ると、床から公会堂の中に入ることができる。中では、レジスタンスの村人達が、メリー・クリスマスと言いながら踊っていた。ミイカは、テーブルの上に置いてあった巨大なお菓子の村の中に飛び込み、甘い物をいっぱい食べて大喜び。ニコラスは、みんなが「クリスマス」と言っている理由をトポに訊く。トポは、「これは、クリスマス・パーティなんだ」と答える。ニコラスは、「クリスマスって何? それって、母さんが僕を呼び時に使った名前だよ」と話す(1枚目の写真)。トポは、「クリスマスは、1年中で最も偉大で、もっとも優しい日だ」と答える。その楽しい場に、急きょ、「手入れよ!!」という叫び声が響き渡る。2人の衛兵が槍で極彩色のテントを支えていたロープを切ると、エルフ達は床に伏せる。公会堂の正門が開き、魔女のような杖を持ったヴォドルが現われる(2枚目の写真)。彼女は、中に入って来ると、お菓子の町のテーブルを魔力で転倒させ、エルフがエルフらしく楽しんでいたのを強く非難する。このヴォドルは、数ヶ月前にキップが誘拐されてから行われた選挙で村の統治者となり、厳格な規則を村人に押し付け、あらゆる楽しみを奪ってしまった強権の主。こんな選択肢を、エルフが選ぶとはとても信じられないと、この映画の最大の欠点だと解説で述べた。ヴォドルは、すぐにニコラスを見つけ、「人間、なぜここに来た?」と詰問する。「父さんを探しに」。「父親?」。「うん。エルフヘルムで何か魔法の物を見つけようとしてた」。「ひょっとして、他の男たちと一緒じゃなかったか?」。「そう。あなた、彼を見た? ここに辿り着いたの?」。ここからが、よく分からない部分。ヴォドルは、「来たとも。奴らの1人としてな」。「父さんに何をした?」。「信用した。われら皆がな。なぜか? かつて、1人の人間がここを訪れた。彼女は、われらに喜びをもたらした。以来、何年もの間、われらは エルフヘルムへの道を見つけた他の人間を歓迎すべく待っておった」。疑問は、エルフヘルムを必死に探していたニコラスですら、トポに指摘されるまで、エルフヘルムを見ることができなかったのに、なぜ父の一行には見えたのだろう、というもの。ニコラスの父は、かつて、ニコラスに、エルフヘルムのことを、「もし、存在すれば」と表現していた。他の、気性の荒い狩人たちが、ニコラスの父以上に “夢” を信じるタイプとは思えない。そんな粗暴な連中に、エルフヘルムが見えるとは思えない。キップの事件の後、人間には見えないようバリアを張ったのだろうか? しかし、トポの最初の説明は、「本気になって、強く信じることが必要」というもので、見える見えないは “信じる心の問題” だった。ならば、父の一行に見えるハズはなく、この映画のストーリー全体が崩壊する。ヴォドルは、キップが父の一行に拉致されたことをニコラスに分からせるため、キップの両親をわざわざ連れて来させ、証言させる(3枚目の写真)。解説で書いたように、この時代、この辺境に、インド系のエルフ種がいるのはナンセンス。間違った「人種の多様性」の解釈は、映画を破壊する。この、エルフらしさの全くないヴォドルは、この事件を機に、村の中での “楽しい行事” の一切を禁じたとニコラスに激しい言葉で告げ、そのまま衛兵に塔へと連行させる。。

ニコラスは、クリスマス・パーティが密かに行われていた公会堂〔サーモン・ピンクの建物〕の右にある高い塔に連れて行かれる(1枚目の写真、矢印)。その中にいたのが、自らザ・トゥルース・ピクシー〔真実しか言わない妖精〕と名乗る羽のある女の子(2枚目の写真)〔ピクシーの耳はエルフと同じ〕『クリスマスとよばれた男の子』の原作絵本を2015年に出版したマット・ヘイグ(Matt Haig)は、2018年に、この妖精を主役にした『The Truth Pixie』を出版している。この映画の中でもこの妖精は活躍しているが、“立ち位置” が全くつかめない。つまり、エルフ達が彼女の存在を可としているのか否としているのかすら、観ていてよく分からない。そもそも、なぜこの妖精が、エルフの村にいるのかも分からない。ニコラスを救うには、こうした突飛な存在が不可欠なので、便宜上登場させたとしか思えない。3枚目の写真は、2人が会う場面のメイキング映像。黄色の縦の点線は、映画の中での妖精の身長。CGで体を縮めていることが分かる。この自ら 「真実しか言わない」と主張する妖精は、「魔法を使うことができて、人にいたずらすることが好きな想像上の生き物」と定義されているピクシーらしく、さっそくトロールを呼び出す。このトロールは、ニコラスを捕まえると、逆立ちにつかんで頭から飲み込もうとする(3枚目の写真)。ニコラスの懇願に負けた妖精は、魔法の葉を渡し、それをトロールの口の中に入れさせる。すると、トロールが爆発し、手をつないだ2人は塔の天辺から空に向かって打ち上げられる。

尖った山と同じ高さまで舞い上がった2人、妖精には羽根があるので浮かんでいられるが、手をつないでいるとはいえ、ニコラスも宙に浮かんでいる。それが、トポがかけたドリムウィックの呪文のお陰だった〔『常に安全』〕。しかし、妖精が、ドリムウィックは何か楽しいことを考える時だけ働くと言い、自らそれに反することを口走ったため、2人は落下し、雪の屋根を滑走して軒から落ちる寸前に止まる。このシーンは、メイキング映像の撮影場面で代行しよう(2枚目の写真)。かなり大掛かりな撮影が、冬に行われていた様子がよく分かる。矢印はニコラスと妖精。そのあと、2人は屋根を伝って小学校のクラスに逃げ込み、そこから、なぜかループスライダーで1階に降りる。そして、ノーシュが連れてきたトナカイに2人で跨って逃げる。ここも、メイキング映像。トナカイはCGなので木の台。撮影は夏(3枚目の写真)。そして、映画の場面では、逃げる2人に向かって、ヴォドルが魔法の杖から強力な光線を発射する(4枚目の写真、矢印は2人の乗ったトナカイ)。一旦は門の所で衛兵に囲まれて立ち往生するが、妖精が門の跳ね橋を上げる歯車に爆薬を仕掛け、ニコラスは無事に逃げ出すことができた(5枚目の写真)。

ニコラスは、キップを助けようと、父を含めた拉致犯達を捜す。しかし、数ヶ月前に拉致されたのなら、相当進んでいたハズで、なかなか見つからない。それでも、ニコラスの強い願いが叶い、ある夕方、行く手の森の中に、焚き火の煙を見つける(1枚目の写真、黄色の矢印はニコラスとトナカイ、白い矢印は煙)。ニコラスは、森の中にポツンと置かれた木の檻を見つける(2枚目の写真)。その中には毛布を被っただけのキップが座っていた〔数ヶ月も、真冬に、こんな状態で拘束しておくとは、人非人としか言いようがない。ニコラスの父も反対くらいできたハズだ〕。ニコラスは、キップが指差した方に歩いて行くと、男達が焚火を囲んで楽しそうに話し合っている。その時、ニコラスに気付いた狩人が背中から弓を突き付ける。他の男達も寄って来るが、中に父がいて、2人は抱き合う。しかし、ニコラスがエルフを誘拐したことを責め、「エルツヘルムに戻そう。みんな喜ぶよ」と言ったことで(3枚目の写真)、狩人は再びニコラスに矢を向け、父は、ニコラスを助けるため、「じゃあ、この子も縛ろう」と言い出す。ニコラスは、自分を木に縛り付けながら、「最善を尽くしてる」と言う父に絶望する(4枚目の写真)。

しかし、真夜中になると事態は一変。父は、予め決意していたように、息子を救いに来る。父は縄をナイフで切ると、キップの檻に行き、鍵をこじ開けながら、「お前がここに来て、逃がそうとしたのは最悪の発想だが、お前は俺の息子だから、何があろうとお前の味方だ」と話したので、ニコラスは笑顔になる(1枚目の写真)。キップを檻から出し、「エルフヘルムまで トナカイでキップを連れていってやれ」と言いながら、トナカイを縛ったロープを切った途端、矢が飛んで来て幹に当たる。ニコラスはすぐトナカイに跨り、父がキップを後ろに乗せる。父が危ないと思ったニコラスはロープを投げ、父は橇に飛び乗る。そして、3人はそのまま森の中へと逃走する(2枚目の写真)。追っ手は走るだけなので、橇を牽いたトナカイよりは遅いが、敵は犬を放つ。犬だけなら早いので、追い付かれそうになる。ニコラスは トナカイの背中に左手を当て、自分の授けられたドリムウィックの呪文の力をトナカイにも分け与える。すると、トナカイが空に舞い上がろうとするが、橇が邪魔になって上がることができない。父は、その先に断崖があったことを知っているので、ニコラスにそのまま突き進むよう命じる。そして、崖が近づくと、トナカイと橇とをつなぐロープをナイフで切断しようとする。それを見たニコラスは、「父さん、止めて!」と叫ぶが、父は、「愛してるぞ、ニコラス」と言って切り離す。トナカイは崩れかけた雪庇に達し(3枚目の写真、右の矢印は橇)、トナカイは空を飛ぶが、父の乗った橇は崩れた雪庇と一緒に転落。それを見たニコラスは、「父さん!!」と絶叫する(4枚目の写真)。

ここで、ルース伯母の言葉が入る。「悲しみとは愛のために払う対価〔Grief is the price we pay for love〕。100万倍の価値があるの」と言う。この英語で示した前半部分は、911テロの時、エリザベス女王がアメリカに向けて送ったメッセージの中にある言葉。ミイカは、「気の毒に」と慰める(1枚目の写真)。トナカイは、エルフヘルムに向かって真っすぐ降りて行く(2枚目の写真)。そして、門の前でキップを下ろすと、「聞いて。僕の父さんは悪い人間だと思ってるだろうけど、いい人なんだ。人間は複雑だから」と話しかける。そして、そのまま手をついないで門をくぐって村の中に入って行くが、通りには誰もいない。レジスタンスの村人達が公民館に集められ、ヴォドルが、「全員追放する!!」と怒鳴っている。あまりにも不自然な言葉。専制君主でも、こんなバカげたことは言わない。「我らが安全を脅かし、暮らしを混乱させるわけにはいかぬ! 可哀想な小さなキップの教訓を忘れたのか?」。この言葉に合わせたかのように、ドアがバンと開き、ニコラスがキップを連れて入ってくると、「なぜ、彼に訊かないんだ?」と強く言う。その声に、全員が振り返る。ニコラスは、そのまま中央通路を歩いてヴォドルが立っている壇上まで行くと、キップの手を放す。ニコラスがキップに頷くと、キップは、「僕は、演説なんかしない」と小さな声で言っただけ。レジスタンスのボス的存在のトポは、「キップが生きているなら、希望も生きておる」と笑顔で言い、拍手が起きる。もう、誰もがヴォドルの存在など忘れてしまっている。

キップは男のエルフ4人に担がれて、凱旋するように公会堂を出て行く(1枚目の写真)。そして、キップの家の前に全員が集まると、トポがドアをノックする。そして、出てきた両親と感激の再会。妖精は、ニコラスに、「お父さんと会えたんでしょ?」と訊く。ニコラスの悲しそうな顔を見た妖精は、「人生で唯一つ、単純明快なものは、真実よ。でも、痛みを伴うこともあるの」と慰める。「痛みはいつか消える?」。「いいえ。でも、痛みと共に生きることを学べば、強くなれるのよ。それが、真実」。その真実の言葉に ニコラスは頷く(2枚目の写真)。一方、キップの両親の店の中は、レジスタンスのエルフで溢れている。両親は、ニコラスに、「あなたは、息子を救って下さった」と言い、カラフルな “木製のうなりごま〔wooden humming spinning top〕” が幾つか入った木の皿を差し出す(3枚目の写真)。誠意を疑うのは、すべてのコマが埃だらけなこと。プレゼントとして渡すなら、せめてきれいに拭かないのだろうか?

それは、ニコラスにとって生まれて2つ目の玩具だった〔1個目はカブの人形〕。その惨めさを考えているうち、ニコラスは自分みたいな悲しい子に、2つ目の玩具を渡してやろうと思いつく。そして、「もっと作ってもらえません? うんとたくさん。何でもいいから。ぴかぴかしたり、積み重ねたり、くるくる回したり」。そう言いながら、窓に吊るしてあったカーテンももらう。それから、エルフ達は、いろいろな作業場で、自分の得意な物を作り始める(1枚目の写真)。その光景を見ながら、ニコラスは、母のペンダントに向かって、「母さんにも、これが見えたらな。母さんが望んでた通りなんだ」と嬉しそうに話しかける(2枚目の写真、矢印)。トポは、「あと5分だぞ」とみんなに言い、ニコラスには、「トナカイが待っとるぞ」と、出発の用意を促す(3枚目の写真)。

レジスタンスの全員が村の広場に集まり、ニコラスの出発を見送る。トポは、自分が着ていた服を縛る紐を外すと、その紐でニコラスの青いコートを縛る。まだサンタクロースの赤いコートにはなっていないが、定番のサンタ・ベルトらしきものが装着された。そして、「さあ、お行き。エルフヘルムは、もう君の家だ。ここから赴き、わしらを誇らしい気持ちにさせてくれ」と、村の代表のように扱う。そして、すべてが終わったら、また戻ってくるようにとの意味を込めて。ニコラスがトナカイに跨り、玩具の詰まった大きな袋を肩に背負ったところで、お邪魔虫のヴォドル登場。魔法の杖を振り回し、ニコラスをトナカイから吹っ飛ばすと、「その人間が、エルフヘルムを離れることは許さん」と言う。そのあとの、聞くに堪えないような妄言は、ここではすべてカット。その直後、ヴォドルが ニコライが首からかけているペンダントを見て、それが、“昔、この村に迷い込んだ少女、愚かなヴォドルとも友達になった素晴らしい少女” の物だと気付き、その少女の息子がニコラスだと分かると(1枚目の写真、矢印はペンダント)、ニコラスの中に昔の友達の面影を見い出して懐かしむ(2枚目の写真)。そして、ニコラスが、母が、「エルフヘルムは世界中で 最も希望に溢れた幸せな場所だと言っていた」と話し、さらに、「特に、クリスマスには、そうじゃなきゃ。母さんが僕をそう呼んだから」と言うと、ヴォドルは心から改心し、トポと共にニコラスの門出を祝福する(3枚目の写真)。後半だけを巧くまとめればよかったにと思う。

ニコラスが真っ直ぐ向かった先は、王の城。空から接近できるので、王の寝室の窓から中に入る(1枚目の写真)。大きな袋を部屋に入れた時の音で目が覚めた王が寄ってきて、「袋の中身は何じゃ?」と訊くと、ニコラスは、「希望、魔法、それと、驚きだよ」と答える。王は、かつて、森に住む貧しい人々を集め、「わしら皆に足りないものは、希望じゃ」「王国の隅々まで行き、もう一度希望を与えてくれるものを持ち帰るのじゃ」と言ったくせに、いきなり、「衛兵!」と叫ぶ。この王の愚かさも不適切。ニコラスは、「待ってよ。これは、あなたが求めてたもの、きらめきを与えてくれるものだよ」と言い、渋る王に袋の中身を見せる。ニコラスが取り出したものは、自分が最初に見せられてピンときた “木製のうなりごま”(2枚目の写真)。鈍い王は、ピンと来なかったが、空を飛ぶトナカイに一緒に乗せられると、態度は一変する(3枚目の写真)。

ニコラスは、最初の家で、ドアが開かなかったので、煙突から入る(1枚目の写真)。そして、エルフが作った玩具を子供達の横に置く(2枚目の写真)。何軒も回るうち、王も一緒に手伝ってプレゼントを配る。そして、プレゼントに気付いた子供たちが幸せそうに遊んでいるのを、窓の外から眺めて幸せな気分に浸る(3枚目の写真)。王は、「ありがとう」と礼を言う。ニコラスは、「みんなに幸せを」と言ってエルフヘルムに戻ろうとすると、王は、「どこに行くんだ?」と訊く。「もう、すべきことは終わった。アイディアを出して、やり方も教えた」。王は、「じゃあ、誰か、できる者を任命しなくては」と言う。「いいね」。「いつ始める?」。結局、最適任者はニコラスしかいないので、1年に1度の、やってくれるよう頼む。そして、その日を クリスマスと呼ぶことにする。でも、こうすると、ニコラスが王の命を受けてクリスマスを実施することになってしまう。クリスマスの主体は、王なのか、エルフヘルムなのか、曖昧なまま、ニコラスの場面は終了する

ルース伯母のお話が終わり、父が仕事から帰ってくると、そえまで何もなかった居間には、立派なクリスマスツリーが飾られ、その下にはプレゼントが子供達の人数の何倍も置いてある(1枚目の写真)。そして、伯母が出て行く時、一瞬、伯母の耳が映り、彼女がエルフだと分かる(2枚目の写真)。

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