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Forever Young フォーエヴァー・ヤング/時を越えた告白

アメリカ映画 (1992)

『The Rest of Daniel(ダニエルの残された部分)』という原作を、あの有名なJ・J・エイブラムスが、駆け出しの頃に脚本化した作品。脚本家としてのJ・J・エイブラムスは、1991年に『心の旅』で記憶喪失の弁護士を、1998年には『アルマゲドン』を仕上げ、SF的シチュエーションに巻き込まれた人間の苦悩を、ごく初期から扱っている。この映画で中心となる人体の冷凍保存は未だに実現の可能性すらなく、それが1939年という時代に可能であったとする前提には、確かに多大な無理がある。しかし、一旦その矛盾を乗り越えてしまい、空想の世界に入り込めば、これは半世紀という貴重な人生を犠牲にした、陸軍航空隊大尉ダニエルの 信じられないほど貴い恋の物語である。それを、半世紀後の世界で、全力で助けようとする看護婦の息子ナット、その母クレアの姿は、観る者の共感を呼ぶ。惜しむらくは、ダニエルの心境が、J・J・エイブラムスの前作『心の旅』のように、もう少し吐露されていたら、評論家の高い評価を得ていたかもしれないが、逆にナットを交えての “恋の旅” にしたことで女性観客には非常に受けた。

陸軍航空隊大尉のダニエルは、のちにB-25として知られる機体のプロトタイプの試験飛行に忙しい。彼には、無二の親友で軍の科学者のハリーと、愛する恋人ヘレンがいる。しかし、ダニエルが本心を打ち明ける前に、彼女は交通事故で意識不明になってしまう。そのまま半年が経ち、心にぽっかりと開いた穴は埋まらない。そこに、ハリーの冷凍人間の実験の被験者が不始末を起こして軍を除隊させられたという情報が入り、ダニエルは実験台となることを志願する。それは、1年後、もしくは、ヘレンの意識が戻れば覚醒してもらい、その間の苦悩から逃げるためだった。しかし、冷凍後に機械の不具合があり、その際の火災でハリーは死亡。実験自体も極秘だったため、中に入っているダニエルともども忘れ去られ、軍の不要物倉庫で半世紀も放置される。そんなダニエルを蘇らせたのは、悪戯で倉庫に侵入した10歳のナットと友達のフィリックスだった。潜水艦ごっこをしていて、解凍のハンドルを回してしまい、冷凍状態のダニエルにジャケットをつかまれる〔実は、このシーンが一番 “あり得ない”。百歩譲って冷凍人間が可能となっても、冷凍状態で腕が動き、しかも、ジャケットをつかんで離さないようなことは起こり得ない〕。恐怖に駆られた2人は逃げて帰るが、誰に話しても信じてもらえない。ダニエルは、真夜中までに解凍し〔このシーンも2番目にあり得ない。冷凍人間が可能となっても、解凍には特殊なプロセスが必要で、冷蔵庫内での冷凍チキンの自然解凍とは訳が違う→チキンを例に上げたのは、ハリーが最初に成功したのがチキンだったから〕、近くで見つけたパンクなシャツを着て、軍の基地を訪れ事情を説明するがバカにされただけ。そこで、ダニエルは、ジャケットにあった住所と名前を見て、ナットに会いに行く。そこで起きる大騒ぎ。それでも、ダニエルは何とか2人を宥め、ハリー捜しに協力させる〔ハリーだけが、自分を助けてくれると信じている〕。その中で、ダニエルとナットの間には、いろいろな出来事があり、映画の主役が 一時ダニエルからナットに移る。しかし、ハリーも生前悟っていたように、冷凍中の老化は止められなかった。そこで、ダニエルを 数度にわたって “急激な老化ショック” が襲う。それを見たナット、母のクレアは、ダニエルの正体をつかんで拘束に動き出した軍部を相手に、何とかダニエルを助けようとする。

20世紀末を代表する子役イライジャ・ウッド(Elijah Wood)の重要な6作品『ラジオ・フライヤー』、本作、『ハックフィンの大冒険』、『危険な遊び』、『ノース ちいさな旅人』、『8月のメモワール』は、それぞれ、1990.10.3~1991.2.22、1992.2.11~5.8、1992.8.26~10.23、1992.11.19~1993.3.25、1993.5.4~8.11、199.8.19~1994.3.1に撮影されている。この映画以降、ほとんど休みがなくなったことが分かる。それは、大人向けの映画にメル・ギブソンに次ぐNo.2の大役で出演し、映画はヒットし、名子役として認められたからだ。

あらすじ

映画の最初の23分は、イライジャ・ウッドとは無関係。しかし、映画の筋立て理解する上で重要なので、ごく簡単に要約する。最初のシーンの時代は 恐らく1938年。ダニエル・マコーミックという1907年生まれの陸軍航空隊の大尉(テスト・パイロット)が、プロトタイプの双発爆撃機NA-40〔後のB-25〕の極度に不安定な試験飛行で命を落としそうになる。その際、ダニエルの第一の親友である科学者ハリー・フィンリーも登場する。ハリーは、ダニエルに会いに来たのは、試験飛行を見るためではなく、彼が極秘裏に行っている実験が成功したことを言いに来たため。2人は抱き合って喜ぶ。その夜遅く、ダニエルのガールフレンド、ヘレンは、取材旅行から戻った足でダニエルの家を訪れる。ダニエルは、誰にも言わないと誓わせた後で、ハリーが冷凍した鶏の蘇生に成功したと話す。ハリーが友人を招いた野外での懇親会で、妻が妊娠したと公表する〔映画の終盤近くに娘のスーザンが登場する〕。1939年になり、市電カフェでヘレンと待ち合わせたダニエルは、「結婚しよう」と言おうとするが、どうしてもその勇気が出て来ない(1枚目の写真)。急ぎの用事でカフェから足早に立ち去ったヘレンは、店の前で交通事故に遭い(2枚目の写真)、意識不明になる。ヘレンの意識不明が半年続き、放心状態になったダニエルは、「僕らは、子供の頃、いつも灯台のそばで遊んでた。彼女は、道のすぐ先にあるあの家で、一緒に年を取りましょう、って言ったんだ」と ハリーに話す。ハリーは、実験まであと6日なのに、被験者がクビになったと話す。冷凍人間の実験の期間は1年。それを聞いたダニエルは、ヘレンが良くなったら起こすよう頼み、実験台になると志願する。そして、実験が始まる(3枚目の写真)。
  
  
  

場面は、いきなり基地のあった何もない場所の周辺に整備された住宅地の中を自転車で走る2人の少年に変わる。2人は家の狭い裏庭にあるツリーハウスに登って行き、お菓子を食べる。そのシーンはすぐに終わり、夕食のシーンに変わる。ジェイミー・リー・カーティス演じる母が出した黒焦げステーキに奮闘している男性と、その前に座った先ほどの少年の1人が映る。母が、「おいしい?」と訊くと、イライジャ・ウッド演じる少年ナットは、「うん」と答えるが、その顔は「No」と言っている。そして、カメラの角度が変わり、堅くて食べられない焦げた肉を必死にナイフで切ろうとしている男性を、ナットが見つめている(1枚目の写真、矢印は焦げた肉)。食事の場面はそれだけ。次の場面は、食事を終えた男性が玄関から出て行く。母は 「夕食、ごめんなさい。すぐ、焦がしちゃうの」と謝るが、男性は 「焦げてなんかいない、よく焼けてるんだよ。著しく、劇的にね」と言って笑う(2枚目の写真)。「また、一緒に食べよう」。「いつでも。いいレストラン 知ってるわ」。「じゃあ病院で」。母は、ベッドで寝ているナットのところに行くと、「週末、航空ショーに行くわよ」と話す。ナットは、「ママがいいなら、ジョンを誘ったら?」と、母の交際相手に好意を示す(3枚目の写真)〔2人は母子家庭。母はジョンが医師として勤務する病院の看護婦〕。「わかった。多分ね。やってみる」。因みに、日本語の字幕は、「黒焦げ料理なら いつでも」→誤訳。
  
  
  

ナットが、昨日自転車で一緒だったフィリックスと一緒に、彼の兄のダッジ・チャージャーRTに乗っている。車歴20年を超え、塗装も前と後ろで色が違っている。兵卒姿の兄は、軍の倉庫のような場所に車を停める。フィリックス:「ねえ、ここ、何さ?」。「駐車場だ」。「家まで真っ直ぐ行くんじゃなかったの?」。「いちいちうるさいな。届ける物があるんだ」「お前と違って、俺には責任ってモンがある」。「でも、ママは、真っ直ぐ家まで連れて帰るって…」。「そりゃいい話だな。だが、ママとパパはラスベガスで、ここにいるのは俺だ」。そう言って弟を黙らせると、兄は 車を下り、「車から一歩でも出たら、神かけて、お前のベッドに毒蛇を入れてやる」と脅す。「まさか」(1枚目の写真)。ナットがニコニコしながらフリックスを見ていると、フィリックスの兄に 「お前もだ」と頭を叩かれる。下っ端の兵卒が延々と待たされている間に、2人は倉庫の中に忍び込む。中には大きなラックが並び、いろいろなものが整然と置かれている(2枚目の写真)。2人は、誰もいない巨大な空間で競争をしたり、爆発ごっこをして遊ぶ。火が燃え移って苦しむフリをするナットに、フィリックスは “ひもスプレー” を吹きかける。床でのたうち回っていたナットは、正面にある不思議な装置を見て驚く(3枚目の写真)。因みに、日本語の字幕は、「仕事の邪魔するな」、「ママとパパはラスヴェガス。今は、俺が家長だ」。
  
  
  

それは、かつてダニエルが凍結された装置だが、今では、“使われなくなったゴミ” として、倉庫の中に放置されていた(1枚目の写真)。2人の悪戯っ子は、この装置を “一種の潜水艇” だとみなし、あちこちについている回転ハンドルを回して遊ぶ。すると、いきなり白い蒸気が、第1節の3枚目の写真のように吹き出す。2人は、装置がまだ稼働中であることにびっくりする。すると 今度は、フィリックスが跨っていた円形のフタがスライドし、フィリックスは慌てて飛び降りる(2枚目の写真)。中に入っていた袋に触るとすごく冷たい。その袋にはチャックがついていたので、2人がかりで開けてみる。すると、中から現れたのは、男性〔ダニエル〕で、上を向いたまま目を閉じている(3枚目の写真)。フィリックスが額に触ってみると、コチコチに凍っている。ナットが 「死んでるのかな?」と言った瞬間、男の右手が反射的に動き、ナットのジャケットをつかむ(4枚目の写真、矢印)。恐怖でパニックになった2人は、ジャケットを残して逃げ去る。
  
  
  
  

兄より先に車に戻った2人。兄が戻ってくると、フィリックスは 「スティーヴン、僕ら中に入ったら、でっかい金属があって、中に死んだ奴がいたんだ!」と叫ぶ。「黙れ!」。今度は、ナットが、「スティーヴン、ホントだよ。すごく冷たくって、僕のジャケット取り上げたんだ!」と叫ぶ。兄は、「俺が寒かったら、やっぱりお前のジャケット取り上げただろうな」と、てんでバカにして信じない。それでも、フィリックスがわめき始めると、「いいか、俺は この車のボスだ。ボスが黙れと言ったんだ!」(1枚目の写真)と命じる。一方、家に帰ったナットは、母に、同じ話をするが、母は 「ジャケットを失くした言い訳に、よくもまあ、そんなこと考えられたわね?」と呆れる。「ママ、ホントだよ。凍った奴がいたんだ!」(2枚目の写真)。フィリックスも、「クーパーさん、僕もそこにいて、見たんですよ」と必死にサポート。母は、冷凍人間の存在自体は否定せず、「その人が、そこにいたのには、理由があるのよ」と軽くいなす。因みに、日本語の字幕は、「そいつ、凍ってて寒かったのさ」、「ジャケットを失くした言い訳に、そんな話を?」。「とても面白い話ね」。
  
  

その夜、倉庫の中では、解凍して目覚めたダニエルが、何とか装置から起き上がり、ナットのジャケットを腰に巻き、フラフラと庫内を歩き始める(1枚目の写真、矢印)。そして、窓から外に出て、どこかの家で夜干ししてあった半ズボンとアロハシャツを着る。そして、公衆電話でフィンリーに電話しようとするが、交換の女性に、電話場号は7桁だと言われる。その時、空に異様な音がして、ヘリコプターが真上を飛んで行き、その先の道路には、「1992年」という年号の入った幕が張ってある(2枚目の写真)。ダニエルは、何かの手違いで1939年から1992年まで半世紀以上 冷凍保存されていたことに気付く。そこで、翌朝になると、ダニエルはさっそく基地を訪れ、一歩も入れまいとする守衛を、大尉という肩書と、認識番号と、脅しで突破し、中佐に会って事情を話す。中佐は、真面目に応対しているように見えたが(3枚目の写真)、①冷凍人間という概念自体ばからしい、②しかも、それが極秘裏に行われていた、ことからダニエルの話を全く信用しない。そのことがダニエルに分かったのは、ヒヤリングしているハズのノートに、下らない落書きしか書かれていないことが分かった瞬間。ダニエルは、見込なしと判断し 基地を出て行く。
  
  
  

ナットがTVゲームをしていると(1枚目の写真)、玄関のチャイムが鳴る。ナットがゲーム機をフィリックスに渡して玄関まで行き、ドアを開けると、そこには、変な服装の男が立っていた(2枚目の写真、矢印はナットのジャケット)。男は、ジャケットの名札を見て、「君は、ナット・クーパーか?」と訊く〔そこには、住所も、1740 Oxley St. San Marcos, CAと印刷された布が貼ってある〕〔因みに、撮影場所は1724 Oxley St, South Pasadena, CA。番地と町は違うが通り名は同じ〕。ナットは、男が昨日の冷凍人間だと分かって仰天(3枚目の写真)。「死んでた奴だ!!」と叫んで逃げる。
  
  
  

2人は、ツリーハウスに逃げ込み、上がってこようとするダニエルを棒で叩いて防ごうとするが、ダニエルは上半身を中に入れると、「殺すつもりはない。いいな!?」と、2人を落ち着かせる(1枚目の写真)。ダニエルは 「俺は、なぜこのジャケットを持ってるか、知りたいだけだ」と言い、ジャケットの持ち主に話させる。ナットは 「僕ら、フィリックスの兄さんのスティーヴンと倉庫に行ったんだ。入っちゃダメと言われたけど、中で遊んでた。そしたら、大きな金属製の物があった。潜水艦だと思った。何とか開けたら、あなたが中にいた」と話す(2枚目の写真)。「警備員はいなかった? 医者も、誰も?」。「いません。がらくたの山だけ」。ナットの家の中で ダニエルは電話機を借り、フィンリーという姓の番号に順にかけ、「ハリー・フィンリーという男性を探しています」と尋ねる(3枚目の写真)。ある番号にかけたら、留守録だった。ダニエルは 「ご用件をどうぞ、と訊いただけで、ピーと音がした」と言う。ピンときたナットは、すぐ受話器を取ると、「やあ、ナットです。ハリー・フィンリーという男を探してます。知ってたら、電話して下さい。555-2368です。ありがとう」と言って切る。そして、「これ、ただの録音機だよ」と説明する。「機械? 俺は機械と話してのか? 50年で一体何が起きたんだ?」。因みに、日本語の字幕は、「騒ぐな、何もしないよ」。「“伝言を” と言って切った」→切りはしない。
  
  
  

ナットは、ダニエルを図書館に連れて行き、マイクロフィルム・リーダーの前に座らせる(1枚目の写真)〔DVDの登場は1996年〕。ナットが選んだマイクロフィルムは、『Air Corps Newsletter』の「アメリカ宣戦布告」というもの。ナットは、「ダニエル、どんな仕事してたの?」と訊く。「テスト・パイロット」。それを聞いたナットは、一歩下がると、「フィリックス、うそだろ! パイロットなんだ!」と 大喜び(2枚目の写真)。そこに、ナットが憧れているアリスが本棚を見に来る。それをフィリックスから教えられたナットは、「土曜に図書館だなんて、僕、オタク〔geek〕だって思われる」〔日本語字幕は「イモ」になっているが、“geek” にはそんな意味はない。“nerd” なら「イモ」でもいいが〕。「ナット、彼女も 来てるんだぞ」。そう言って、声をかけろと唆す。ナットは、アリスに 「やあ」と声をかける。「アリス、いいドレスだね」。「どうも」。「壁紙みたいだ」(3枚目の写真)。アリスが変な顔をしたので、「上等の壁紙だよ」と繕うが、失言は さらに続く。「カッコいいマニキュアだね。血みたい」。あまりいい顔はされない。「夏休みはどう?」。「まあまあ」。「僕、読書に来たんだ。『若草物語』、面白いよ」。これも、ほとんど関心を誘わない。最後に、自転車で転んだ時の傷を見せ、気持ち悪がられただけ。ダニエルは、図書館の女性に、ハリー・フィンリーのことで質問する。そして、軍に事務的に問い合わせても 返事が来るのに6週間かかると言われたので、「生きるか死ぬかの問題〔matter of life and death〕」だからと すがるように頼み、特別なルートで問い合わせてもらえることになる。なお、このシーンで、ダニエルは青いシャツを着ている。1つ前の節で、ダニエルが電話を掛けている時、フィリックスが 「パパの服 いくつか盗んでこようか?」と声をかけるシーンがあるので、恐らくフィリックスの父のシャツとズボンであろう〔ナットの家は母子家庭〕
  
  
  

その日の夜は、泊まる場所のないダニエルを、ツリーハウスに泊めることにする(1枚目の写真)。ナットは、家から持ち出したピーナッツ・バター・サンドとドリンクとデザートをダニエルに渡す。そして、『アメリカ年代記』という分厚い本を見せ、半世紀の歴史を勉強するよう勧める(2枚目の写真)。そして、ダニエルが、紙パック入りのジュースの飲み方が分からないで噛みついていると、ストローを差し込んで飲めるようにする(3枚目の写真、矢印はストロー)。ここで、母から声がかかり、2人は出て行く〔フィリックスの家に行く〕
  
  
  

2人がいなくなってから、ダニエルが『アメリカ年代記』を見ていると〔①硫黄島の勝利の星条旗、②ブーヘンヴァルトとダッハウの強制収容所、③広島と長崎の原爆〕、家の前に車が停まる音がして、チンピラ風の男が家に入って行き、ナットの母にキスを迫り、争いとなる。それを見たダニエルは、家に入って行くと、暴行男をボクシングで徹底的に叩きのめす(1枚目の写真)。とても敵わないと思った相手は 退散するが、ダニエルも 右手の中指を切ってしまう。ダニエルは 「前を歩いていたら、あなたの悲鳴が聞こえたので」と、勝手に入って来た理由を説明する。ナットの母は、ダニエルの傷を見ると、看護婦としての使命感ですぐに手当てをする。「フレッドはヨッパライ。でも、そんなのは大した問題じゃないの。あいつ、ガッツもタシナミもない チンピラなの。会ってすぐに分かったわ。なら、どうしてって思ってるわよね? 私、2年かそれ以上前に 付き合うの止めたの〔ロクデナシだと “すぐに分かった” のなら、そもそもなぜ 付き合ったのか?〕。それでも、日本の台風みたいに 時々やって来るの。知ってるでしょ、町を破壊するすごい暴風のこと。それがフレッドなの」。これだけ言い訳をした後で、彼女は、「あなたは、家庭内の問題を探して近所をパトロールする他に、何をしてるの?」と尋ねる〔失礼にあたるくらい、非常に奇妙な質問の仕方〕。「航空隊のテスト・パイロットだ」。そこに、ナットとフィリックスが帰ってきて、玄関ドアを開ける。母とダニエルが一緒に座っているのを見たナットとフィリックスは仰天。フィリックスは持っていた懐中電灯を落としてしまう(2枚目の写真、矢印)。「紹介するわ。息子のナットとお友だちのフィリックス」「こちらは、ダニエル」。2人は、初めて会ったみたいにダニエルに挨拶する。母は、ダニエルがジャケットを着ているのを見て、「ジャケット、見つけたのね。まだ、冷凍人間を見たと思ってる?」と訊く。「ううん」。そこに電話がかかってきて、母が席を立つ。ダニエルは、さっそく、「ここで、何してるの? 何が起きたの?」と訊く(3枚目の写真)。「最低の男が現われから、追い払ったんだ。心配するな。出て行く」。「待ってよ、ソファ すごく快適だよ」。「君のママは、見知らぬ他人を泊めたりはしない」。「賭ける?」。
  
  
  

母は、ナットの予想通り、ダニエルを喜んでソファに寝かせることにする。「泊めてくれるなんて親切だね」。「私を殺したいなら、フレッドを止めなかったでしょ」〔発言内容が、いつもズレていて、かつ、オーバー〕「それに、笑顔が正直だから」。ダニエルは1人になると、カラーTVをつけて珍しそうに見入る〔TVコマーシャルのthighmasterという太もものトレーニング機器の女性を見ている訳ではない〕。そこに、ナットが入ってきて、じっとダニエルを見つめる(1枚目の写真、TVは、thighmaster)。そして、「テレビジョンって言うんだよ」と教える。「知ってる。39年の万博〔ニューヨーク万国博覧会〕で見た」〔RCA(アメリカ・ラジオ会社)のパビリオンで、TV映像を来場者に見せた〕。翌朝、ナットは、ソファで眠ってなかなか起きないダニエルに、「起きて、返事があった。ハリー・フィンリーを知ってるって。ここから1時間くらいのトコに住んでる」と言い、名前と住所を書いた紙を見せる(2枚目の写真、矢印)。ダニエルは 慌てて飛び起きると、「行かないと。何時だ?」と訊きながら、ズボンをはく。「7時30分だよ」。「待って。行っちゃう前に航空ショーに行こうよ。おじさんの友だちが住んでたそばで やってるんだ」と頼む。しかし、自分のことが心配でたまらないダニエルは、ナットの母にはお礼を言うが、そもそもの端緒となったナットは無視し(3枚目の写真)、朝食も断り、大急ぎで家を出て行く。
  
  
  

しかし、ヒッチハイクで乗せていってもらった先で出てきた人物は、同姓同名の別人〔ダニエルは、1時間もかかる所まで行く前に、電話して確かめるべきだった〕。がっかりしたダニエルは、飛行機が見たくなり、航空ショーの会場に行く。入口で切符を要求されたダニエルは、お金を持っていないので、会場のフェンスを飛び越えて侵入する(1枚目の写真)。そこには、自分が開発に協力したB-25も展示してあり、懐かしい気分にさせてくれる。そして、操縦席に乗り込み、完成した飛行機に乗る喜びを味わう。そのあと、昨日、頼み込んだ図書館の女性に電話をかけてみるが、まだ返答がないと言われてがっかり。会場内で考え込んでいると、ダニエルに気付いたナットの母に、「後をつけるの止めて」と、冗談を言われてしまう。しかし、寂しそうなダニエルの顔を見ると、「私って、聞き上手って言われるのよ」と、相談に乗ろうとする。ダニエルは、「私の親友は、目が覚めた時には、ここにいるハズだった。彼は、ずっとここに住んでいたんだが、見つからない。極端に聞こえると思うが、私を救えるのは彼しかいないんだ」と “心細さ” を正直に話す(2枚目の写真)。そこに、先日夕食に呼んだ医者が現われる。同情した彼女は、医者に、「ダニエルは、友だちが見つかるまで数日ウチに泊まるの」と紹介する。その夜、再度図書館に電話したダニエルは、相手の留守録にナットの家の電話番号を言い、分かり次第の連絡を頼む。
  
  

翌日、ナットがラグビーボールを持って外から帰ってくると、ダニエルが料理の準備をしている。「夕食、作ってるの?」。「ああ、何かしないと」。ナットは、「ねえ、聞いて。明日なんだけど、もし友だちが見つからなかったら、飛ばし方、教えてもらえない?」と頼む(1枚目の写真)。ダニエルにとっては、「見つからない」という前提自体 気に入らないので、「そりゃ、難しいな」と否定する。「どうして?」。「まず第一に、飛行服がない。次に、飛行機がない」。これを聞いたナットは、「僕の父さんは、1歳の時 いなくなったんだ。知りたいと思って」。「私に関係あるとは、どう見ても思えないな」。「出て行ってから、何も連絡をくれない」。「そうか」。「手伝おうか?」。ダニエルは、タマネギを1個投げて、刻むよう指示する。切り方は、一度もやったことがないくらい下手。ここで、場面が変わり、軍の倉庫の前を車で通りかかった中佐が、倉庫の外に放り出された奇怪な機械〔冷凍装置〕に気付き、車をバックさせて機械に見入る(2枚目の写真)。この場面はすぐに終わり、夕食の席で、母の看護婦としての気持ち悪い経験談を、ナット、ダニエル、フィリックスの3人が聞かされている。すると、そこに、医者のジョンが入ってくる。今夜は、外のレストランで 夕食デートの約束だったのだ(3枚目の写真)。デートのことをすっかり忘れてダニエルの料理を食べていた母は、ジョンの顔を見て、「デートよね。今夜」と、“しまった” を隠し、笑顔で訊く。「早過ぎたかな?」。「いいえ。今、ダニエルの料理を味見してただけ。よく出来てたわ」。そう言うと、立ち上がって、服を替えに行く。因みに、日本語の字幕は、「明日、暇があったら 飛行機の操縦を教えて」。「僕が1つの時に出てった」。
  
  
  

すると、クローゼットから母の叫び声が聞こえる。何事かと全員が駆け付けると、クローゼットの中が雨漏りで水浸し(1枚目の写真、矢印は 流れ落ちる雨水)。この種のことに慣れているダニエルは、「屋根に穴が開いただけだ。明日、金物屋に行って材料を買えば、すぐに直せる」と言う。ジョンは 「日を変えようか?」とデートの延期を申し出るが、ダニエルは 「2人とも食事に行けよ」と追い出す。その頃、中佐は、上官と電話で話し、自分の処置が間違っていたことを謝罪し、報道合戦を心配する上官に、「そんなことにはなりません。全力を尽くします」と保証する。その次が、屋根の上のシーン。ダニエルが瓦を剥がしていると、梯子を上ってきたナットが、そのまま急勾配の屋根を登り、てっぺんまで行って座る(2枚目の写真)。「ちょっと訊いてもいい?」。「訊けよ〔Shoot〕」。「図書館にいた女の子、覚えてる? いけてるだろ?」(3枚目の写真)「可愛いし」。「それで、質問は何だ?」。「フィリックスは、やきもちを焼かせろと言うんだ。彼の兄さんがそうしてるから」。ダニエルの時代、子供はもっと純真だった。そこで、「そんなこと、少し早過ぎると思わないか? もっと他のことを考えたらどうだ」と言う。「僕、10歳だ。彼女がすごく好きなんだ」(4枚目の写真)。「私が君だったら、彼女のことは 頭から払いのけるな」。その時、体に変調をきたしたダニエルが倒れ、屋根の上を滑り、危うく落下しそうになり、樋で止まる。因みに、日本語の字幕は、「その ご心配は無用です。彼を捜し出します」。
  
  
  
  

その場は何とか納まる。夜になり、ナットの母は、誕生日のお祝いに病院の看護婦たちから贈られたCDプレイヤーに、ビリー・ホリデイ〔名前からすると男のようだが、有名な女性シンガー〕の『The Very Thought Of You』(1934)をかける。ネット上に、歌詞らしくない珍訳が氾濫しているので、歌に合わせて短く訳すと。「♪あなたは私のすべて。忘れてしまうの。細かなことなんか。しなくちゃいけないのに。♪私は白昼夢の中に生きてる。女王様のように幸せ。ばかげてるとは思うけど。それがすべてなの。♪あなたのことしか考えられない。あなたに思い焦がれる。時の歩みがなんと遅いことか。あなたに会えるまで。♪どの花にも、あなたの顔が見える。空の星々は あなたの目。想うのは あなただけ。あなたは私のすべて、愛しい人」。なぜ、訳を示したかと言うと、これがダニエルの気持ちを100%変えたから。“愛” することの大切さと、それをヘレンに打ち明けられなかった情けない自分に思い至ったダニエルは、ナットの部屋に行き、眠っているナットを起こす。「何なの?」。「私が間違ってた。アリスのことだ。忘れろって言ったろ。大間違いだ」。「なら、どうするの?」。「どうしたらいいか、知りたいんだろ? ナット、君は、頑張って言うんだ」。「何を?」。「今度彼女に会って、心臓がドキドキし始め、緊張しまくったら…」(1枚目の写真)「言ってること、分るよな?」。「うん」。「解き放て」。「それって、どういう意味?」。「彼女に、すべて話せ。君がどう想ってるかを。大変なことだが、君ならできる。やるんだ」。「どうやって?」。「私に言ったこと覚えてるだろ? それを彼女に言うんだ。心を開いて歌うんだ」。「歌うの?」。「ああ、心の丈(たけ)を すべて。早ければ早い方がいい。なぜかというと、そんな機会は 二度と来ないかもしれないからだ」。ダニエルが出て行くと、ナットはすぐにアリスの家に行き、アリスの部屋(2階)の前の木に登る。そして、窓と同じ高さにまで来ると、窓に小石をぶつけてアリスを起こす。アリスが窓を開けると、『You Are My Sunshine』を歌い始める(2枚目の写真)。「♪君は僕の太陽、たったひとつの太陽。曇り空でも 君がいれば幸せさ。君は知らない、僕がどれだけ君を愛してるか。僕の太陽を奪わないで」。すると、騒ぎを聞きつけたアリスの父が窓に現れる。「何かの悪ふざけか?」。「違います。すごく真面目です」(3枚目の写真)「起こしてしまって済みません。僕は、ナット・クーパーです。あなたのお嬢さんを愛してます。教室で見ていて、すごく好きになったんです。本心です」。アリスは、父の手前、恥ずかしくなって顔を伏せる。父は、「ナット、家に帰りなさい」と言って 窓を閉め、シェードも下げて中が見えないようにする。ナットはがっかりして木を降りるが、振り返って見ると、シェードを上げたアリスが嬉しそうにほほ笑みかけてくれる(4枚目の写真)。
  
  
  
  

翌朝、買い物から帰ってくると、ダニエルがホワイトボードに 「ナット+クレア〔母の名〕へ」と書いた紙を留めている。それを見たナットは 「行っちゃうの?」と悲しそうに訊く(1枚目の写真)。「ああ」。ナットは 「これ、あなたに」と言って、買ってきた紙袋を渡す。中に入っていたのは陸軍航空隊のマークの入った飛行服(2枚目の写真)。昨夜の “的確なアドバイス” に対するお礼だ。
  
  

今度は、ダニエルが、お礼として、ナットのツリーハウスに即席の操縦席を作り、“飛ばし方” を教える。ナットの前に置かれた箱の中には、「マグネトー(点火)」、「プライマー(燃料)」、「エンジン・スターター(ES)」、「プロペラ」と書かれた紙(ES以外は複数)と、それに対応したスイッチや突起物が並んでいる。箱の上に立てかけられたメッシュ板には、計器を模した円形の蓋が付いていて、重要なものには、「水平」、「油圧」と紙が貼ってある。ナットの両手は⚲型をした操縦桿を握り、右手の前にはスロットルレバー(エンジンの出力制御)の棒、右足の前にはブレーキもある。副操縦士のダニエルの前にも、同じようなものがあるが、間に合わせの材料で作られているので形はまるで違う。ここからが “飛ばし方” の指導。 まずは、離陸の準備。マグネトーでエンジンに点火、プライマーで燃料を供給。ダニエルは 「そしたら、ブレーキを踏む」と教える。それに対し、ナットは足で踏んだフリをして「了解〔right〕」と言う。すると、ダニエルは、「『了解』じゃない。『チェック』と言うんだ」と指導〔理由は、“right” には色々な意味があり、混乱する恐れがあるから〕。ナットは 「チェック」と言い直す(1枚目の写真、⚲型の操縦桿の下にある “しゃもじ” がスロットルレバー、右足の左に並んでいる4本の短い木の棒については後述)。ダニエルは、エンジン・スターターをONにさせ、油圧計が上がるのを見て、スロットルを少し開かせる。次に、フラップを離陸の状態に。ナットの右手が右足の横の木の棒に伸びる。4本の棒には、左から、「フラップ(揚力装置)」、「ギア(車輪)」、「キャブレター・ヒート(気化器の凍結防止)」、「ミクスチャー(空気とガソリンの比率を調整)」と書かれている。「準備はいいか?」。ナットはダニエルを見て、ゴーサイン(2枚目の写真)。いよいよ、離陸体制に入る。スロットルを全開にし、操縦桿を引いて機首を上げる。飛行機が上昇を始めると、車輪とフラップを上げる。水平飛行に入ると、すぐに着陸へ。ゆっくりと旋回させるが、その時、外で雷鳴が轟いたので、ダニエルは、「右エンジン落下」と、非常事態に移行。「どうしたら?」。「プロペラをフェザリングして、燃料を遮断しろ」〔前半の意味がナットに理解できたとは思えない〕。そして、不時着する場所を、斜め前方の野原にする。「落ち着け。燃料を徐々に入れ、フラップを1段階下げろ。1段階だけだ」。そして、「車輪を出せ」「時速135マイル〔217キロ〕」「フル・フラップ」「水平に気を付けろ」「真っ直ぐ」「やり過ぎるな」「機首が上がってるぞ」「水平を保て」「木に注意しろ」。雷が光る(3枚目の写真)。そして、ブレーキをかけて不時着成功。ツリーハウスの中のシーンの割に臨場感があり、のちの緊迫したシーンの “前座” として非常に意味がある。
  
  
  

トレーニングが終わると同時にダニエルの様子が激変し、我慢しきれずにツリーハウスから転落する。豪雨の中でのたうつように苦しむダニエルに、ナットは 「どうしたの? 何が起きたの?」と訊くが(1枚目の写真)、ダニエルは返事すらできない。ナットは、表の道路に飛び出して行き、必死になって車を停める。次のシーンでは、病院の廊下をストレッチャーに乗せられたダニエルが運ばれて行く。その時、病院のファックスに、FBIから1通の文書が送られてくる。そこには、「すべての地域の病院と医療センターへ/ダニエル・マコーミックを尋問のため捜査中です。彼は、貴院の付近にいるかもしれません/特徴: 30代半ば、茶髪、碧眼、中肉中背/彼は、幻覚的な挙動に加え、協調運動障害を起こしているかもしれません。この人物に何らかの心当たりがある場合は、上記の電話場号からコーウィン捜査官に連絡をお願いします」と書かれ、ダニエルの昔の軍のIDカードの画像も添付されている。ダニエルはERに運び込まれるが、そこでジョンと対面する。ダニエルについて病院まで行ったナットは、母にすべてを打ち明ける。「ママ、作り話じゃない」(2枚目の写真)。息子の話を信じた母は、至急病室に向かう。一方、ジョンがダニエルのことを病院長(?)に報告に行くと、「FBIだ。こいつは、何かやらかした」と言うが、ジョンは、「これらの数値を見てくれ。彼の血液はいったいどうなってるんだ」と、医学的な異常さを強調する。ナットの母クレアは、緊急処置が終わり、ベッドで横になって静かにしているダニエルの横に行き、手に触る(3枚目の写真)。ダニエルは、茶髪に白髪が混じり、顔も少し老けて見える。目を覚ましたダニエルに、クレアは、「後をつけるの止めて」と、元気付けようと、前にも言った冗談をくり返す。ダニエルは、自分がまだ半世紀先にいると再確認し、「まだ、ここにいるのか?」とがっかりする。「あなた、ひどい顔ね」。「だが、年の割には悪くないだろ?」。クレアは、さっきナットから聞いた話を思い出し、体を震わせながら、「そんな あり得ない」と言う。「クレア、私は1907年に生まれたんだ」「ハリーから打ち明けられた時、私も 同じように思った」。「ハリー・フィンリー? 昨日、女の人から電話があって、留守録に入ってたんだけど、てっきり間違い電話かと。でも、伝言はまだ残ってるわ」。因みに、日本語の字幕は、「まだ生きてる」、「年って?」、「ハリーの発明で こんな事に」。
  
  
  

クレアがジョンに会いに行くと、「よく分からないが、何らかの放射線に曝されたのかも」「早老症の変異型のように見えるが、こんなの見たことがない。クレア、彼は老化してるんだ」と、早口で説明する。「生きてられるの?」。「分からない」。「彼を、ここから出さないと」。「FBIがやってくる。何かが起きてる」。「分かってるわ」「奴らを引き留めて」。「何だって?」。「お願い」。ジョンは、愛するクレアのために、助けることにする。クレアとナットは、弱っているダニエルをベッドから出し(1枚目の写真)、車椅子に乗せる。そのまま出口に行こうとすると、何台もの車両が着いたのが見える。そこで、急いで病院内を別の方角に。すると、ジョンが7名の一行の前に飛び出し、「マコーミックは移動させました」と言い、東病棟の144号室だと嘘を付く。それを3人は、物陰から見ている(2枚目の写真)。一行の姿が消えると、クレアは車椅子を押して自分の車に向かう。映画の場面にはないが、留守録の伝言を聞くために一度家に戻り、それから 教えてもらった住所まで行く。ダニエルは、もう歩けるようになっていて、彼のノックに答えて1人の50代の女性が出てくる。ダニエルが、「ハリー・フィンリーという男を捜しています」と言うと(3枚目の写真)、彼女は、ハリーの娘だった。因みに、日本語の字幕は、「信じられない事だが、彼は急速に年を取っている」、「FBIに追われてるんだぞ」、「助けて」。
  
  
  

ダニエルが、「今、家にいますか?」と訊くと、「ごめんなさい。父は もう死にました。私が生まれる前に」という、残酷とも言える返事。がっかりしたダニエルが、「私は、彼の一番の親友でした」と言うと、生まれる前に死んだ父親の交友関係を母から知らされたのか、「ダニエルなの?」と訊く。その頃、病院では、あの “役立たず中佐” が、フィンリーの娘の住所を、この問題に一番興味を抱いている科学者に渡す。そして、「マコーミックが志願した2ヶ月後に事故が発生、フィンレーは友達を救おうとして火傷して死亡しました」と状況を説明する。一方、フィンレーの娘はダニエルのために 父が残していった資料を捜してくれる。ダニエルが一番心を奪われたのは、ヘレンの写真を見つけた時。思わず じっと見入る。そのうちに、フィンレーの実験ノートが発見される。1939年のノートを渡されたダニエルは、一番最後の11月のノートをつぶさに見ていく(1枚目の写真)。「予期しない副作用!」という文字のあったページの一番下に書かれた2文字は、「老化回避不能!!!」という衝撃的な内容だった(2枚目の写真)。ダニエルは絶望し、ナットは慰めたくても、「ダニエル…」としか言えない。その後、玄関から外に出たダニエルは、ヘレンの写真をもう一度じっと眺める(3枚目の写真)。玄関から出てきたクレアは、「病院に戻った方がいいわ」と言うが、ナットは写真に見入り、母もそれにつられて見る(4枚目の写真、矢印)。そこに映っている小さな女の子を見て、クレアは 「あなたの子?」と訊く。「いいや。私たちは結婚しなかった」。その写真を見たフィンレーの娘は、「写真の子供は私よ。2歳だった」と言う。それを耳にしたダニエルは、「そんなことあり得ない。彼女は、あなたが生まれる前に死んだんだ」と言う。それに対し、「ダニエル、ヘレンは生きてるわ」と娘は言い、その言葉にダニエルは唯一の希望を見いだし、何としても会いたいと思う。
  
  
  
  

病院にいた車列が こっちに向かって走って来るのを見つけたナットは、急いでダニエルを母の車に乗せる。クレアは、対向する4台の車の間を縫うように進む(1枚目の写真、矢印)。当然、4台も進行方向を180度変え、追跡に入る。ヘレンの住んでいる場所まで連れて行こうと、クレアは一旦フリーウエイに入るが、4対1では逃げ切れないと判断したダニエルは、「車では無理だ、飛行機が要る」と言う。クレアは、フリーウエイのインターでない場所から鉄条網を突き破って航空ショーの会場に向かう。その運転ぶりをみて、ダニエルは 「嘘だろ! 私みたいな運転だ」と驚く。ショーの会場へは柵を吹っ飛ばして侵入。車を停めると、母はナットに、「ここにいなさい」と命じる。ダニエルは いろいろと世話になったので、後部座席のナットの頬を触るが(2枚目の写真)、リア・ウインドウに追っ手の車が見えたのでウィンクをすると、すぐ車から出る。1人残されたナットの表情は寂しげだ。クレアにB-25まで連れて行かれたダニエルは、クレアに 「車輪止めを外してくれ。これが最後のお願いだ」と頼み、頬にキスし、操縦席に乗り込む。クレアはすぐに車輪止めを外し、ダニエルはプロペラをフル回転させる(3枚目の写真、矢印)。それに気付いた係員や、追っ手も迫るが、ダニエルは無事離陸する。因みに、日本語の字幕は、「驚いたな。僕より乱暴だ」。
  
  
  

飛行機が順調に飛んでいると、座席と後部とを仕切る幕が開き、中からナットが姿を見せる。「ここでいったい何してるんだ?」。「飛行服を忘れたよ」(1枚目の写真)。ダニエルは、それが口実だとすぐに気づくが、今さら 「降りろ」 とは言えない。そこで、「ベルトをつけろ」と 安全性を優先する。ナットは、ツリーハウスではない 本物の飛行機に乗ってニコニコ顔になる。飛行機は、ヘレンの家の近くにある灯台の上空を通過し、家が見えてくる。しかし、ツリーハウスの時と同じように、ダニエルの体調が急激に悪化する。一旦は停止した急速な老化がまた始まったのだ。ダニエルは苦しくて操縦どころではない(2枚目の写真)。ダニエルは、ナットの左手をつかむと、副操縦士が使う操縦桿を握らせる。「機首を上げろ」。「チェック。機首上げるよ」。「右旋回」「車輪を降ろせ」。「降りたよ」。「こいつを 一緒に着陸させよう」。「OK!」。
  
  
  

飛行機は着陸態勢に入る。「時速120マイル」「フル・フラップ」。「チェック! フル・フラップ!」(1枚目の写真)。「水平に気を付けろ」。「水平に気を付ける」。そこで、ダニエルの苦しみが激しくなり、ナットは 「ダニエル!!」と叫ぶ。飛行機はヘレンの家目がけて真っ直ぐに突き進む(2枚目の写真)。「機首そのまま」。飛行機は何とか着陸するが止まらない。「スロットルを戻せ」「ブレーキ」。子供用に作られていないので、なかなか踏み込めない。ナット:「止まって!!」(3枚目の写真)。飛行機は、家にぶつかる手前でかろうじて停止する(4枚目の写真)。ダニエルは 「自慢していいぞ」と褒め、ナットは満面の笑顔に(5枚目の写真)。このシーンは、ツリーハウスでの練習がそのまま生かされている。だから、“子供が操縦する” という絵空事に それなりの現実感を与え、なかなか迫力がある。因みに、日本語の字幕は、「スロットルを引け」〔ツリーハウスでの練習時、離陸時にも日本語字幕は「スロットルを引け」だった。離陸時も着陸時も同じ操作というのは明らかな矛盾〕
  
  
  
  
  

2人は家の玄関まで行き、ダニエルがノックするが応答がない(1枚目の写真、因みにこの場面でのダニエルは 1907年生まれだから85歳になっているハズだが、まだそこまでは行っていない。もう一段の老化があるのかも)。一度はがっかりしたダニエルだが、天啓のようなものを感じ、家の横の野原に目をやる。すると、そこには、摘んだ花を籠に入れて持っているヘレンがいた。ダニエルが一歩一歩ヘレンの方に近づいていくと、それが誰かを悟ったヘレンは、手に持っていた籠のことなど忘れて 落としてしまう(2枚目の写真、矢印)。そして、半世紀ぶりに2人は抱き合う。それを、ナットが嬉しそうに見ている。
  
  
  

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