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Little Red Wagon リトル・レッド・ワゴン

アメリカ映画 (2012)

この映画は、1997年11月17日に、フロリダ州で生まれたザック・ボナー(Zach Bonner)少年が実際に取った行動(実話)に基づいて作られている。2004年8月13日にカヨ・コスタ〔ザックの家があったタンパの南約140キロ〕に上陸する直前にカテゴリー4に急速に発達したハリケーン・チャーリー(Hurricane Charley)は、総被害額140億ドルの災害を与えた(下の写真参照)〔アメリカ合衆国商務省アメリカ海洋大気庁の2006年の報告書〕。TVで被害の様子を知ったザックは、ピックアップトラック27台分の食料・水・衣服・毛布などを、ハリケーンの被害に遭って避難した人々に届けた。ザックは、翌2005年に、ホームレスとなった子供達のために、非営利の民間財団〔501(c)(3)規定〕の「リトル・レッド・ワゴン財団」を立ち上げる。そして、寄付金調達のため、2007年にタンパから州都タラハシーまで280マイル〔451キロ〕を母と一緒に歩き、2008年にはタラハシーからアトランタまで250マイル〔402キロ〕、2009年にはアトランタからワシントンDCまで668マイル〔1075キロ〕、2010年にはタンパからロサンゼルスまで2,448マイル〔3940キロ〕を歩く。映画では、このうち、2004~2007年の部分が描かれている。こんな少年を巧く映画化すれば、賞の1つも取れて当然だが、受賞歴はゼロ。IMDbも、内容から期待できる数値より低く6.4。この映画は、いわば 完全な失敗作。その責任は誰にあるのか? 監督のDavid Anspaughは、TVやTV映画がほとんどで、これが6年ぶりの監督で、しかも最後の作品。脚本のPatrick Sheane Duncanも、TVやTV映画がほとんどで、これが7年ぶりの脚本家で、しかも、最後の作品。中心的な製作者のMichael Guillenは、これ一作のみ。ダメ人間の集団が、せっかくの映画をクズに変えてしまった。最悪なのは、脚本。①ザックの姉ケリーは、“ザックだけが目立ち、自分が犠牲になること” に何度も同じパターンで文句を言い、そちらの方が映画のメインになってしまい、主演であるはずのザックが霞んでいる。②マーガレットとジムという、ホームレスの母子を、①と交互に登場させ、いったいどちらを描いているのか分からないほど、②に重点が移ってしまっている〔ザックと一緒の最初の場面を除き、計11場面、18分48秒〕、の2点は、破滅的と言っていい。映画の紹介にあたっては、②の部分をほぼすべてカットした。

フロリダ半島のタンパに住むザックは、2004年8月13日に半島南部に上陸して甚大な被害を与えたハリケーンを近くで体験し、多くの被災者が家を失って避難所生活をしているのを見て、何とか助けようと決意する。最初にしたことは、近所に支援物資の提供を依頼するチラシを配り、自分の持っている小さな赤いワゴンに積んで回収し、母の車で集積場まで運ぶこと。小さな子供が率先してそのようなことをしていることに感心した地元のTV局がザックにインタビューする。ザックの物資の回収地域は広がり、それが何週間にもわたって続く。問題は、自分の意に反して、その手伝いをさせられた姉ケリーの怒り。注目を浴びるのはザック1人で、同じように汗を流して手伝っている自分には、誰も見向きもしない。ケリーはボーイフレンドと付き合っていたいのに、母はザックの手伝いを強要する。そのうち、ザックは、ホームレスになってしまった子供達に、いろいろな物の詰まったバックパックをプレゼントすることを思い立つ。そして、訪れた玩具屋の主人から、免税非営利公益法人のことを教えられ、リトル・レッド・ワゴン財団を立ち上げる。そして、集めた寄付金を使い、免税価格で購入したプレゼントをホームレスの子供達にプレゼントする。次にザックが思い付いたのは、クリスマス・プレゼント。賛同してくれた玩具メーカーが贈ってくれたテディ・ベアを、地元にあるLazydaysという “社会奉仕に熱心な会社” の年次クリスマスパーティの会場で、招かれたホームレスの子供達に配布する。ここまでは、ハリケーンの被災者が対象だったが、ある日、TVで、30年近くにわたって “平和の巡礼” を続けていた女性の存在を知り、自分も、全米のホームレスの子供達を助けるために、首都ワシントンまで歩いて、みんなに訴えかけようと決意する。その時の家族内での合意形成のやり方が独走気味だったため、家庭内で反撥を受ける。しかし、Lazydaysの総会で、途中の宿泊に用いるRVの提供を認められたため、母は賛成に回り、反対は姉のケリーだけとなる。しかし3人揃わないと、実行できないのでザックはケリーにお願いし、何とかOKを取る。そして、ワシントンまでの第一段階として、タンパから州都タラハシーまでの280マイルの徒歩巡礼が開始される。母はザックと一緒に歩き、ケリーは、途中、場所を移動しながら待機して、補給物質を与えるという役回りだ。ここでも、陽の当たるのはザックで、裏方のケリーは見向きもされない。そして、目的地が近づいた夜、些細なことで母からこっぴどく責められたケリーの怒りが爆発する。ザックと母は、2人だけでタラハシーに向かうが、到着地の手前で待っていたケリーと和解する。

ザック役のチャンドラー・カンタベリー(Chandler Canterbury)は、1998年12月15日生まれ。2012年10月公開なので、その年の撮影なら13歳、前年なら12歳。いずれにせよ、7~10歳のザックを演じるには 少し大き過ぎるような気もするが、今残っているザックの写真は10歳の時のものなので、下の写真で対比するように、それほど違和感はない。チャンドラーは茶髪だが、ザックの金髪のspiky-hair〔ハリネズミの針のように、髪をディップローションなどで逆立てたようなヘアスタイル〕に合わせているので、いつものチャンドラーらしさがどこにもない。チャンドラーの紹介は、「Knowing(ノウイング)」「After.Life(アフターライフ)」(2009)、「A Bag of Hammers(人生の軛)」(2011)、「Standing Up(森に消える道/<ヤギ>ゲーム)」「The Host(ザ・ホスト/美しき侵略者)」(2013)に次いで6作目。

あらすじ

1~3枚目の写真は、あまり意味のない映像。1枚目では、ハリケーン・チャーリーがザックの住むフロリダ州タンパの街を襲った日が示されている。2枚目では、出演者のトップにチャンドラー・カンタベリーの名前が表示されている〔背後では、雨戸のないアメリカの住宅に、大きな板が当てられている(ガレージの2階の窓も危ない)〕。3枚目では、この時点で12・13歳のチャンドラーが、共同製作者になっていることが分かる。背後に映っている “お向かいさん” の同年の子が、ザックに、「僕んち、伯父さんが住んでるハンツビル〔アラバマ州、タンパの北北西850キロ〕に避難するんだ」と話したのに対し、ザックは、「ウチはどこにもいかない」と答える。それを聞いた その子の父親が、「避難しないんですか?」とザックの母に声をかけると、母は、「何百万人もの人たちと一緒に高速道路で立ち往生するより、安全な部屋の中にいた方がいいですから」と答える。こうしたシーンの最中も、TV各局のアナウンサーがハリケーン関連の緊急情報を流している。そういう意味では、緊迫感の溢れるオープニングだ。

そのあと、ハリケーンに襲われた “最中〔32秒〕” と “翌日〔13秒〕“ のニュース映像が流れてから〔あまりに不十分で、映像も不適切〕、そのTV映像を見ているザックに切り替わる。アナウンサーは、「ハリケーン・チャーリーは最後の数分で、タンパ湾の南70マイルを右に逸れました〔人口約35万のタンパは、奇跡的に直撃をまぬがれた〕。しかし、プンタ・ゴーダとポート・シャーロット周辺のコミュニティは、最悪の事態に直面しました」。この様子は、ハリケーンの動きを示した1枚目の写真(写真上をマウスでクリックすれば動画に切り替わる)でよく分かる。ハリケーンは、確かに、まっすぐタンパに向かっていたが、途中で右に逸れて行く〔なぜ、急に逸れたのかは原因不明〕。プンタ・ゴーダとポート・シャーロットは、1枚目の写真・動画の、“Cope Coral” のすぐ北の湾に面していて、“ハリケーンの目” が真上を通過している。ポート・シャーロットで観測された風速は145mph〔64m/秒→日本では “猛烈な” の最高度に分類〕。ハリケーンの暴風域は、カテゴリー4の割に小さかったため、タンパは被災を免れた。翌朝、ザックはTVの前のソファに横になって、ハリケーン被害のニュースを聴いている。プンタ・ゴーダの映像とともに、アナウンサーが、「少なくとも3000棟の家屋と9000のモービル・ホームが破壊されました。少なくとも2万人がホームレスとなり、何千人もの人々が 猛暑の中で食料と水を求めています」と話す。TV画面は、避難所の内部に変わり(3枚目の写真)、「ある救援隊員は、私に、組織化された混沌だと言いました。人々は、今、多くの物を求めていますが、忍耐と供給の双方が大幅に欠けています」。
  上の画像をクリックすると、ハリケーンの北上の様子が動画で見られます

アナウンサーは、最後に こう付け加える。「これらの人々が必死に求めているのは、氷ときれいな水です。赤十字や各種災害救助機関は、州全域に収集ポイントを設置しています。支援なさりたい方は、画面の下にスクロール表示されている場所で、寄付を受け付けています」。これを聞いたザックは、母に、「僕たち、水を送ってあげないと」と声をかける(1枚目の写真)。「いいわね」。「近所の人たちも、いっぱい水 持ってると思うよ。非常用の品も山ほど。これから行って、寄付したいかどうか、訊いてこないと」。母は、賛成するが具体的な方法までは言わない。それを提案したのは姉ケリーで、“チラシ” を配布し、「不在なら、ポーチ〔屋根付きの玄関〕に置いておくよう頼むの」と勧める。ザックも、「ウチにある防災用品のリストを書いておけば、何を置いておいたらいいか分かるよ」と進言する(2枚目の写真)。その結果、ザックとケリーは、家にあった「防災用品」のリストを書いたチラシを、近所の家のポストに入れていく(3枚目の写真)。

それから どのくらい時間が経ったのかは分からない。回収の指定日になると、ザックは 赤いワゴンを牽いてガレージを出発。母は仕事で手伝えないので、友達とモールに行く予定だったケリーをザックに同行させる。何軒目かのポーチに、ダンボール箱に入った援助物資を見つけたザックは大喜びでワゴンまで運ぶ。ケリーも別の家で大きな紙袋を見つける。こうして、1回目の改修品がガレージの前に運ばれる(1枚目の写真、矢印は赤いワゴン)。2枚目の写真は、数回分の回収が終わった後。題名のリトル・レッド・ワゴンが映るのは この場面しかないので、2枚並べた。丸1日が過ぎ、母が仕事から帰ってくる。そして、ガレージの前の物資の小山を見て、「良かったわね。ここは、随分暑いから、太陽に当てて置かない方がいいわ。さっそくバンに積んで、収集センターに持って行きましょう」と言う。それを聞いたザックは、「これだけじゃないよ」と言い、母にリモコンでガレージの扉を上げさせる。すると、ガレージの中は援助物資が山積みになっている(3枚目の写真)。「1回じゃ、とても無理ね」。

収集センターで、ザックがトラックに物資を運び込んでいると、そこに大量の物資を持ち込んでいる一家のことを聞き込んだ地元のTV局がやって来て、「これはこれは、頑張ってる子がいるな。たくさんの棚を空にしてきたんだって?」と ザックに声をかける(1枚目の写真)。「何回、満杯にしたんだい」と訊かれたザックは(2枚目の写真)、「3回。でも、ママとおねえちゃんが助けてくれた」と答える。個人的な質問に心配した母に、女性のレポーターが、「失礼しました。チャンネル5です。あなたが お母さんですか?」と対応する。「ええ」。「あなたと、そのご家族がなさっている とても良いことについて、インタビューさせていただければと思いまして」。TVに出るのが恥ずかしい母は、「ザックのアイディアなんです。だから、この子と話して下さい」と、ある意味 “逃げ”、ある意味 “当然の功労者” にバトンを渡す。TVでは、ザックへのインタビューが放映される(3枚目の写真)。

ザックは、ケリーと一緒のソファに座ってそれを見ていたが(1枚目の写真)、見終わると、「見てらんない。バカな子みたいだった」と、恥ずかしそうに言う。母は、それを否定した上で、「みんながTVを見てるから、もっと寄付が集まるかも」と言うが、ケリーは 「そうは思わないわ。ご近所の人たち、いっぱい出してくれたもん」と ある意味 “正しく”、ある意味 “余分な” ことを言う。それを聞いたザックは、一旦は 「そうだね」と がっかりするが(2枚目の写真)、すぐに もっと前向きなことを言い出す。「もっと他の近所に声掛けすればいい。チラシを作りに行こうよ」。それを聞いたケリーは、母に 「私ね、あの子の後を フロリダ中 ほっつき歩く暇なんてないの」(3枚目の写真)「私にも、人生があるの!」と言って居間から出て行く。

次のシーンは、冒頭の解説で述べたマーガレットとジムの出てくる最初の場面。ザックと母も絡むので、この部分のみ紹介する。地方銀行の支店に勤めるマーガレットと息子のジムは、引っ越しの整理の真最中。彼女はジムに、引っ越し先のアパートは狭いので、持って行く物を半分に絞るよう命じる。そこに、ザックと母〔恐らく休日なので/ケリーは嫌がって来ない〕が、赤いワゴンを牽いて前を通る。マーガレットは2人を呼び止め、持って行けなくて、救援品になりそうなものを渡す。ジムは、「被災した子の中には、ロックバンドが好きな子が絶対いるよ」と言いながら、ミニエレキギターの入ったダンボールをザックに渡す(1・2枚目の写真)。その後の母親同士の会話の中で(3枚目の写真)、①時期不明だが、恐らくかなり前に、ザックの父はオートバイ事故で亡くなっている〔どのサイトにも、詳細は書かれていない〕、②ザックの母は、不動産業者および投資家なのでシングルマザーになっても 安定した暮らしを続けられている、③ジムの父は半年前に癌で亡くなった、④突然の発病と死だったので、恐らく預金が底をつき、持ち家 あるいは ローンのある持ち家を所持できなくなった、ことが分かる。省略したシーンについてだが、このあと、マーガレットは勤めていた銀行が閉鎖されて職を失い、アパートの家賃が払えなくなって追い出され、車で一夜を過ごそうとスーパーの駐車場で寝ていたら、パトカーがやってきて私有地だから出て行けと言われ、ホームレスのための “ベッド” に行き、そこで 寝ているうちに全財産を盗まれる。食べるものがなくなった2人は、ゴミ箱を漁っているうちにジムが腕の骨を折り、慈善病院で6時間半待たされてようやく治療。その後、スーパーで息子の食べ物を盗んだりもするが、最後は より安全なホームレスのための宿泊施設に行き、そこで、ザックが後になって考案した “ホームレスの子供たちのためのバックパック” を1個もらって大喜び。最後は、仕事を見つけることができたというストーリーだが、ザックの物語とは全く無関係で宙に浮いている。

ザックが 違う地区の収集センターで、トラックに物資を積み込んでいると、女性スタッフが寄って来て、「そんなことしてちゃダメじゃない。車の中で待ってなさい」と注意する(1枚目の写真、矢印は運んできた紙袋2個)。ザックは、そんなことを言われたのは初めてなので 戸惑う。女性は、さらに、「未成年者は積み込み場所に入ることは許されないの」と、堅苦しい口調で続ける。ザックは、ちょうど荷物を運んできた母に、「ママ」と救いを求める。母は、「どうなってるんです?」と 女性スタッフに尋ねる。「子供は、積み込み場に入れません」。それを聞いたケリーが、「だけど、ザックは、ずっと手伝ってたわ」と反論すると、堅物女は、「知ったことじゃないわ」と すごく感じの悪い返答をする。母は、「この子は、これまで27回物資を運んできて、26回積み込んだのよ」と、自分たちの貢献度の高さを含めて抗議する(2枚目の写真)。「規則を作ったのは私じゃありません。私はただそれを守らせてるだけです」。それを聞いた母は、「それって、何でバカげた…」と言いかけ(3枚目の写真)、堅物女の顔が強張ったのを見て、ザックに、「規則は規則。バンで待ってなさい」と指示する〔わざわざ入れる必要があるシーンなのだろうか? 何だか黒人蔑視のような気がして 観ていて感心しない〕

帰りの車の中で、ケリーは、「あの、神経質で肛門性格〔精神医学の用語で、意地悪さ、頑固さ、よそよそしさが特徴の個性〕の小役人〔anal-retentive bureaucrat〕が!」と 怒りを爆発させる。母も、後部座席で肩を落としたままのザックに、「官僚的形式主義な傲慢女〔Princess Red Tape〕なんかに、一日を台無しにされないで。あなたは、いいことをしたのよ」と慰める。それでもザックが何も言わないので、母は別の意味で、ザックを鼓舞する。「そんなにがっかりしてるのは、また、TVに出られなかったから? TVに出たいから、こんなことしてるの?」(1枚目の写真)。それだけ言うと、母は、これから寄り道をすると言い出す。ケリーはデートがあるので さっそく反対し、母は ケリーを家に送ってから、ザックと一緒に行くことにする。2人が向かった先は、ハリケーン被災者の避難所。母は、ザックに、「あなたが集めた物が送られた場所を見ておくべきだと思ったの」と、連れて来た理由を説明する(2枚目の写真)。大変な思いをしている人々を見たことで、ザックの使命感は高まる(3枚目の写真、矢印は2人)。

その日の夜、ザックは、避難所で一人の女の子がやっていたように、ダンボールで芝生の上に “家” を作り、そこで横になって被災者になった気分を体験する(1・2枚目の写真)。家の中では、デートから早く帰って来たことを母に自慢し、「“あっぱれ〔attagirl〕” って褒めてよ」と自慢する。そして、外にいるザックを見て、「小鬼〔gnome〕は、何してるの?」と訊く。母は、避難所を実際に見て、感銘を受けたと話す。その後の、デート相手に関する会話は、冗長でストーリーには無関係。朝になり、母が電話でビジネスの話をしていると、そこに、庭で一夜を過ごしたザックが入ってくる。そして、「何をすればいいか分かった」と言う。「何なの?」。「ホームレスになった子供たちを助けるんだ」(3枚目の写真)。

実話では、先ほどのシーンと、次のシーンの間には 相当の日数が経過している。ある日、ザックと母が向かったのは玩具屋。並んでいる商品を見ながら、「どれも高いね」と、困ったようにザックが言う。母は、「玩具をどうしても入れたいのなら、他のものをいくつか外さないと」と言うが(1枚目の写真)、ザックは 「そんなのダメだよ」と反対する。「なら、玩具は止めなさい。大したことじゃないでしょ〔it's not a big deal〕」。「ダメ。何もかも失くしてしまったら、おもちゃはすごく大事なんだ」。そう言うと、ザックは店主の所に行き、少し恥ずかしそうに、「済みません。安いおもちゃありますか?」と尋ねる(2枚目の写真)。「どのくらい、安く?」。母が、「できるだけ、安く」と後ろから言う。店主:「誰か、嫌いな子の誕生日パーティに使うのかい?」。「ううん、いい おもちゃじゃないと。だけど、たくさん要るんだ。数百個。お金、あんまりないから」。店主はヨーヨーを勧める。1個3.49ドル〔2004-5年のレートで約380円〕。まだ予算オーバーなので、ザックは迷う。ここで、母が、「私たち、ホームレスの子供たちのための救援小包を作ろうとしているんです。食べ物、衛生キット、下着、それに、キャンディーや読み物、もし可能なら 玩具も入れたような」と説明し、ザックが、母に 「おもちゃは必需品だよ」とコメントする(3枚目の写真)。

店主は、兄〔もしくは弟〕が精神分裂症で、時々ふらっと出て行ってはホームレスになることから、ザックの考え方に全面的に賛同する。そして、ヨーヨーを卸価格で売ってあげることができると話す〔3.49ドルが 1ドル安くなる〕。ザックは、背負っていたバッグパックから財布を出そうとして、ホームレスの子供達へのプレゼントは、このバッグパックに入れるのが最高だと思いつく(1枚目の写真、矢印)。その話を聞いた店主は、アメリカ合衆国の内国歳入法典第501条C項3号の規定〔501(c)(3)〕のことを口にする〔連邦法人所得税免税や寄付税制上の優遇措置などの対象となる免税非営利公益法人〕(2枚目の写真)。ザック:「それって、何?」。「君が、自分の行為をチャリティと呼びたいのなら、それが必要だ。法人税を免除するためには、私もそれを確認しないといけない」と教える。「分かった。そうするよ」(3枚目の写真)。「それを取得してここに戻って来たら、一緒に中身を揃えてあげよう」。

母は、何とか申請書を書こうと、いろいろとやってみたが、完全に失敗し、申請書を提出する役所を訪れる。アジア系の女性係官は、「指導を受けましたか?」と訊く。「はい」(1枚目の写真)「結果は完全な挫折でした」。「800番にかけて相談されましたか?」。「はい。800番にかけ、長く待たされ、最後につながりましたが、担当者は私同様 混乱しただけです」。「なら、私には何もできません。もし、あなたが非課税をお望みなら、他の方と同様の手続きに従っていただかないといけません」(2枚目の写真)。「この申請書の書き方で、どなたか助けて下さる方はおられませんか?」。「ここは、そのような部署とは違います。800番にかけて指導を受けて下さい」〔完全な “お役所仕事”〕。母が諦めて帰ろうとすると、それまで黙っていたザックが口を出す。「待って。おばさん。子供、いるでしょ?」。「もちろん。3人の孫がいるわ」。「僕は 子供たちを助けようとしてるんだ。家のない子供たちをね」(3枚目の写真)。「あなたが? 子供たちを助けるの?」。「うん、この501(c)(3)とかで」。ここで、母が説明に乗り出す。「ザックは、この1年間、ハリケーンの犠牲者に対して寄付金を集めて来ました。今度は、ホームレスの子供たちに同じことをしたいと望んでいるのです」。それを聞いた女性係官は、「一緒にランチでも食べませんか?」と 2人を誘う〔先の、トラックでのぶしつけな黒人女性とは違って、アジア系には良い役割を与えている〕

501(c)(3)の許可が下り、ザックと母は リトル・レッド・ワゴン財団を立ち上げるが、映画では一言もそのことに触れない〔極めて不親切〕。免税非営利の財団ができたことで、ザックと母とケリーは、玩具屋の協力を得て安く入手した各種の物資を、1人分ずつにまとめ(1枚目の写真)、バックパックに詰めて行く。そして、それをホームレスの子供達に配布する場所に運んで行き、子供達に順次配布されていくのを(2枚目の写真)、片隅で見ている。どの子も、渡されたバックパックの中身に喜んでいるのを見て、ザックと母とケリーの顔に笑顔が浮かぶ。すべてが終わり、辺りが暗くなった頃、3人は、会場の責任者の女性と一緒に外に出る。女性は、ザックの母に、「ボナーさん、お礼の申し上げようがありませんわ」と感謝するが、母は 「全部、ザックがしたことですわ」と答える〔なぜ、「ザックの発案で、ケリーと私は手伝っただけですわ」とでも言わないのか?〕。女性は、「ザック、ありがとう。あなた、すばらしいことをしたわね」と褒め(3枚目の写真)、最後に、母とザックに握手し、ケリーは無視して戻って行く。3人だけになると、さっそくケリーが、「全部、ザックがやったの? ママ、私は何なの? 雇われた手伝い〔hired help〕?」と不満をぶつける」。「私は、ザックの発案だと言っただけよ」〔なら、そう言うべきだった〕「なんでそう、怒りっぽいの? あなたには彼氏が、ザックにはこれよ」。「同じにしないで。全然、違うでしょ。それに、彼氏だなんて。名前があるのよ、イアンって名が」。このあと、不適切な母の応対と、身勝手なケリーの間で口論が始まる〔本当にこのような状況だったのか、脚本で勝手にでっち上げたのかは、どこにも情報がないので判断のしようがないが、その後の展開を見ていると、意図的にケリーを “悪者” にしようとしているように感じられる〕

翌朝、ケリーと母は平和なムード。ケリーは、成績が振るわないから大学には行かない、と言い出す(1枚目の写真)。母は、夏に幾つか講座を受けてみて、将来を決めたらいいとアドバイスする。「お金、かからない?」。「大学に行くより安いわ」。ケリーの顔が笑顔になった時、玄関のチャイムが鳴る。それは運送屋で、届け先はザック。自分の名前が出て来たので、ザックも母が受け取りサインをするのを見に来る(2枚目の写真)。そのまま運送屋が車に向かったので、母は、「荷物はどこです?」と呼び止める。「1つじゃありません。500個です」。「500個の何です?」。「Build-A-Bear〔会社名〕のテディ・ベアです」。それを聞いたザックは、ガッツポーズで喜ぶ。何も知らされていない母が、「どうなってるの?」と訊くと、「100通のメールを大きな会社に出して、寄付を頼んだんだ。1つが応えてくれた」(3枚目の写真)。

母とケリーとザックが テディ・ベアを持ち込んだのは、Lazydaysという実在する会社がクリスマスに行っているチャリティ・イベント会場。そこでは、招待されたホームレスの子供たちにクリスマス・ディナーが振る舞われ、母は料理をよそう係(1枚目の写真、矢印)、ケリーはLazydaysが用意したプレゼントを渡す係(2枚目の写真、矢印)、ザックはサンタの後ろに立って、テディ・ベアをサンタに渡す係(3枚目の写真、矢印)として、働いている。

そこに 闖入したのが CNNを引き連れた 慈善家のナナ〔架空の人物〕(1枚目の写真、矢印)。スタッフは、勝手にクリスマスツリーの脇にナナを立たせ、CNNのレポーターが、「伝説のナナ・ガロウェイさんが、タンパに立ち寄られました」とTVカメラに向かって話す。そのあとでナナは、インタビューを受けながら、スタッフが用意したプレゼントを少数の子供たちにパフォーマンスとして渡す。活動の場を奪われた形の3人は、後ろに固まって 批判的にそれを見ている(2枚目の写真)。そこに、Lazydays社の企画担当の女性が寄って来て、「あなたの息子さんの成功に、ガロウェイが便乗してうまくやってるのを見てて、はらわたが煮えくり返りません?」と訊く。そして、3人をガロウェイの前に連れて行くと、「ガロウェイさん、ザック・ボナー君です。彼の財団が、このイベントの実現に貢献したんです。あなたは、ボナー家と一緒に写真に入るべきですわ」と、ずばずばと割り込む。母は遠慮し、ケリーを写真に入るよう押しやる。しかし、ナナのスタッフが、勝手にケリーを写真から外させる。ナナは、カメラに向かって満面の笑顔を見せながら、ザックに対しては、「自分の財団を持つには若過ぎない?」と嫌味。ザックが、「僕たちを助けることができますよ。サイン入りの写真をeBayで売れば資金になります」と言うと、「残念ね。ナナは100万ドル以下の資金集めには関わらないの。アドバイスしていい、ジャック?」と、名前まで間違える。「ザックです」。「どっちだっていいわ。子供らしくするの。できるだけ長くね」(3枚目の写真)。そう、投げつけるように言うと、この自己顕示欲しかない老婆は、次の会場で自分を見せびらかすべく、去って行く。

ザックは、大人の心の醜さを見てしまい愕然とする(1枚目の写真)。パーティが終わり、2人は建物の外に出て行く。最初に口を開いたのは、ケリー。「私が、はね除けられた〔get ganked〕の見た? あの嫌な男〔d-bag〕が、私を写真から外したのよ!」(2枚目の写真)。ケリーの不満の爆発が終わると、ザックが、母に 「ナナ・ガロウェイは、ホントに100万ドル集められると思う?」と訊く。「そう思うわ。有名だから。でも、あなただって メディアの注目を集めてるから、何だってできるわよ」。ケリーが、「“世間の注目〔publicity〕” の力ね」と言うと、ザックは 「それは分かるけど、どうやったら得られるの?」とケリーに訊く。「パリス・ヒルトン〔実在のメディアパーソナリティ〕のようになればいい」。それを聞いた母は、「変なアイディア、吹き込まないで」と注意する。「そんなつもりじゃ…」(3枚目の写真)。「いいから、車に乗りなさい」。

ある日の夜、TVで、「1953年から1981年まで、自らをピース・ピルグリム〔平和の巡礼〕と名乗った銀髪の女性は、平和を祈願した巡礼で25000マイル〔40234キロ〕以上歩きました…」という映像が流れている(1枚目の写真)。このMildred Lisette Norman(1908-81)という女性は、1953年1月1日、「PEACE PILGRIM」と白字で書かれた青いチュニックを着て、長い巡礼の旅の第一歩を踏み出した。詳しくは、彼女の死後に設立されたボランティア組織 “Friends of Peace Pilgrim” のホームページ(https://www.peacepilgrim.org/)を参照されたい〔死亡時72歳とは思えないほど老けて見えるのは、4万キロ(地球一周とほぼ同じ)歩いたからか?〕。それを見たザックは、隣で別の話をしていた母とケリーに、「ねえ、これ見てよ。僕たち、これならやれるよ」と声をかける。母:「何するの?」。「ホームレスの子供たちへの意識を高めるため、アメリカを歩いて横断するんだ」(2枚目の写真)。母:「アメリカ横断? できっこないわ」。「じゃあ、ワシントンDCまで。ぜったい世間の注目を集めるよ。ホームレスの子供たちに、もっと関心が集まる」。「いい考えだけど、どのくらい遠いか知ってるの? 何ヶ月もかかるわ」。「じゃあ、もっと近くまで。州都のアトランタとか」。ここで、ケリーが、「州都はタラハシーよ」と笑う。「違うよ、州都から州都へだ。タラハシーまでは誰でも歩いて行ける」。母:「もっと大きくなったらね」(3枚目の写真)。「どのくらい?」。「12」〔最初のタンパ~タラハシーの旅は、2007年11月3日~26日なので、この時点では9歳〕

恐らく数日後、母が電話で話していると、玄関のチャイムが鳴る。ドアを開けると、そこにいたのは、3年前にザックの取材をしたチャンネル5のペアだった〔映画を観ていても、ザックの顔が同じなので 3年の時差は全く感じさせないが、実話では1回目が2004年8月(6歳)、今回は2007年10月(9歳)なので、この年代で3歳の差は大きい〕。そして、女性キャスターは、「ザックから Eメールをもらったので、今日は、タラハシーまで歩いていく企画についてのインタビューに来ました」と言う(1枚目の写真)。ザックの勝手な行動に、母は、怒りを込めた大声で、「ザック!」と呼ぶ。母を怒らせてしまったので、インタビューを受けるザックの顔は暗い(2枚目の写真)。「地図はチェックしたの? タラハシーまで どのくらい遠いか知ってるの?」。「ううん、あんまり」。「誰と、一緒に行くの?」。「ママと姉さん」。それを横で聞いている母は、困ってしまう。「なぜ、こんなことをする気になったの?」。「ホームレスの子供たちを助けられたら、嬉しいなって」(3枚目の写真)。ザックに好意的な男性スタッフは、①途中、モールに寄ると、TV局がある、②GPSトラッカーを付けていけば、ネット上でザックの場所が分かる、とアドバイス。

TVクルーが帰ると、母は、「ダメと言ったのに、陰でこそこそやってたなんて信じられない!」と責める(1枚目の写真)「こんなこと、できっこないじゃないの」。「でも、もう発表しちゃった」(2枚目の写真)。「そっちの問題でしょ。電話をかけて、気が変わったって言えば済むでしょ」。「何だって? でも、僕、行きたいんだ!」。「どれだけ遠いか知ってるの? その間、この家は誰がケアするの? 必要経費のことは考えた? そんなお金 どこにあるの? それに、私の仕事はどうなるの?」。「歩くだけだよ。歩くのにお金なんか要らない」。「何考えてるの? ホテル代はどうなるの? 食費は?」。「レストランから寄付してもらえるよ。ホテルの方は、Lazydaysのクリスティ〔クリスマス・パーティの時の女性〕に電話して、ホテルに泊らなくて済むよう、RV車を借りられないかって訊いたんだ。燃料代もきっと払ってくれる」。「ダメと言ったのに、そんなことまで頼んだの?」。「ううん。リサーチだよ。クリスティには、“もし” って聴いたんだ。向こうは、助ける “かも” って答えたんだ」(3枚目の写真)。「“かも” と “はい” との間には、大きな隔たりがあるのよ」。「もし、RVが借りられて、十分なお金も用意できて、家のことを何とかできれば、行ってもいいの?」〔母の仕事のことが入っていない〕。こうなってしまっては、距離がいくら遠くても、2人には それぞれ予定があっても〔実話と違い、11月ではなく、夏休み中に歩くという設定になっている〕、ノーと言うのは難しくなってしまった。

ザックは、Lazydays社の定例総会のような場に招待され、最後にスピーチをする。最初は、紙を見て、具体的な数値を読み上げる(1枚目の写真)。その中には、アメリカには推定130万人のホームレスの子供達がいること。それは、アメリカの子供達の総数の2%にあたることなどが含まれている。読み上げを離れ、フリーなスピーチになると、俄然ザックらしさが発揮される。①そんなに大勢いるのなら、とても助けることなどできないと思うかもしれないが、②部屋の片づけと同じで地道に少しずつやっていれば いつかきれいになる、③だから、ザックも小さな一歩として州都タラハシーまで歩いて行き、その途中で、ホームレスの子供たちへの注意喚起を行いたい、という内容(2枚目の写真)。スピーチが終わると、スタンディングオベーション(3枚目の写真)〔最初、ケリーだけ座っている〕

拍手の最中、一番偉そうな白髪の老人が、マイクを取って 「ザック君のウォークに対し、わが基金から RVを与え、1000ドルを寄付してはどうだろう」と述べ、それを受けて司会の女性が、「動議を支持される方〔second to that motion〕?」と訊き、再び拍手。1人の若い男性が、「1000ドルじゃ足りませんよ」と言い、自分のポケットマネーを持って進み出る(1枚目の写真、矢印)。他の出席者も、決して多額ではないが、次々とお金をザックに渡していく(2枚目の写真)。それを見た母は、ケリーに、「あの子に、こんなことができるなんて思った?」と、笑顔で話しかけるが、ケリーは、憮然とした表情のままだ(3枚目の写真)。

その夜、母は パソコンの画面を前に、悩んでいる。「どうやって やり遂げたらいいのか、まだ解決できないの」〔何を “解決” するのか分からない。“徒歩旅行中の仕事”?〕。ザックは、「でも、やれるんでしょ?」と訊く(1枚目の写真)。「ベストは尽すわ。それしか言えない」。ザックが歯を磨きに行かされると、そこにケリーがやってきて、外出しようとする。「どこに行くの?」。「ここ以外のどこか」。「まだ、ダメよ。16歳でしょ」。「1ヶ月で17歳よ」。「今は、16歳。警察に電話したら、すぐここに連れ戻されるわ」。「そんなことしない」。「試させたいの?」。2人は いつもこんな調子だ。そのあと、ケリーは、夏休みの計画が潰れてしまったことへの怒りを母にぶつける。母は、「それは予定。予定は変わるものよ。人生とはそういうもの。私にだって予定はあった。いっぱいね」とケリーに言う。それを、歯磨きから戻って来たザックが耳に挟む(2枚目の写真)〔ザックは立派な少年かもしれないが、小さな子なので、行動に大きな制約があり、何をするにも家族が犠牲になる。そのことを理解しているようには思えない〕。ケリーの怒りは、母の言葉で火が点く。「ママの人生は最悪? 私の人生は最悪なのよ!!」(3枚目の写真)。そこで、ザックが 「ママ」と声をかける。母は、ザックにやりとりを聞かせたくないので、寝室に追いやる。その後で、母は、ケリーに 「じゃあ、あなたの人生 最悪なのね?」と言った後、お説教が続く。曰く、①これまでケリーの望むようにやってきたし、気まぐれにも付き合ってきた、②過保護な生活に溺れていず、少しは母のことを考えろ、③母は一家の唯一の稼ぎ手として、子供たちのために粉骨砕身してきた。それを聞いたケリーは、「だから、ママは、私の人生をめちゃくちゃにするの?!」と再反論。母は、「今度のミッション〔徒歩旅行〕は、ザックに夢を与えている。私にもよ。あなたも、一度くらい、自分のことだけ考えるのをやめて、協力してみたら?」と、さらに説教するが、ケリーは、「いいこと。あいつの夢なんか、どうだっていいの!! 私の人生、悪夢だわ!!」と怒鳴り、2人は決裂〔ケリーは、本当にこんなことを言ったのだろうか? もし、過激に描いているのなら、ケリーにとって失礼ではないのか?〕

怒ったケリーは、怒った母により、寝室に行かされる。母は、追い打ちをかけるように、寝室のドアの外から3度目の説教〔いくらなんでも、くどい〕。それを聞いていたザックは、少しは、“自分勝手” で “ケリーの迷惑など考えもしなかった” 行為を反省したのだろうか? ザックは しばらくしてケリーの部屋に入って行く。そして、「僕のこと 怒ってる?」と訊く。「どう思うの?」。「ホントに、行かないんだね?」。「バカンスの荷造りは してないわ」。「でも、行って欲しくない。僕らチームなんだ。ダイナミックなトリオ。それで、世界に立ち向かう」。「あんた、まだ小さいのよ。ママを含めて、他のみんなにやってるような、“おねだり犬ザック” の真似だけは、私に対して しないでちょうだい」(1枚目の写真)。「ごめん。でも きっと楽しいよ。姉さんだって、え~と、何だっけ… “世間の注目” が嫌いじゃないだろ?」(2枚目の写真)「歩いてると、新聞や、ラジオや、TVの人たちが集まってくるよ。料理してるよりは、気に入ると思うんだけど」〔結局、ザックも、これが好きなのか?〕。「ほっといてよ。あんたは、時々、自己中なチビになるの。私は、みんなに上を歩かれるドア・マットみたいなものよ」。ザックは、あきらめて出て行く。しかし、翌朝、ケリーがザックの部屋に、朝食だと呼びに来た時、ケリーは、なぜか、「考えたんだけど、あんたの “え~と、何だっけ… 世間の注目” に加わることにしたわ」と言い、喜んだザックはケリーに抱き着く(3枚目の写真)。

そして、いよいよ出発式。式辞を述べているのが、誰かは分からない(1枚目の写真)。州知事なのか、タンパ市長なのか、あるいは、Lazydaysの社長なのか? 式辞の中で、「彼は、恐らく、非営利組織の最年少の創設者でしょう」と言った時、ザックは緊張してそれを聞いていた(2枚目の写真)。しかし、母が、「大勢の人を見てご覧なさい。あなたが 小さな赤のレッドワゴンで始めたことが、こんな素晴らしいことに結びついたのよ」と称賛すると、顔が綻ぶ(3枚目の写真)。式が終わる前に、母は ケリーに、最初のランデブーポイントまで車を廻しておくよう命じるが、ケリーは、「テープ・カットまで待てないの?」と不満をぶつける(①最初くらい一緒に歩きたい、②母が車で行き、自分が歩いた方が目立つ)。母は、ケリーが譲歩してまで参加したのに、ケリーにはあくまで裏方をさせる〔若い女性を長時間歩かせるのは可哀想だと思った?〕。あるWEBサイトのインタビューで、ザックは、当時のことを、「1日11-13時間歩きました。ケリーは通常、数マイル先まで車を運転し、歩いたのは母と私だったが、時々2人は交代しました。ずっと歩いたのは僕だけです」と語っているので、映画と違い、ケリーもちゃんと歩いている。

ザックがテープを手でちぎってスタート(1枚目の写真)。2枚目の写真は、この会場のどこかに置かれたシンボルの旗(タラハシーまで280マイル)に、みんながサインしたもの。最初は、全員が一斉に歩き始めたが、最初に抜けたのは式辞を述べた男性、次がLazydaysの関係者で、バスで退散、最後はザックと母が2人きりで歩く(3枚目の写真)。ザックが歩いているルートは、どの地点も、把握することはできなかった。そもそも、1枚目のようなLazydaysの建物はタンパにはない。それに、タンパはかなり大きな都市なのだが、3枚目の写真の地点は、「タラハシーまで275マイル」の表示が後で出るので、タンパから5マイル〔8キロ〕しか離れていないが、そんな地点でこんな辺ぴな場所は見つからなかったし、歩いている道路はただの一般道。州道は、片側2車線の高速道路。

この275マイル地点には店屋があり、その前でケリーが車で待っていた(1枚目の写真)。ザックたち2人は、Lazydaysから提供されたRV(Class A motor home)〔キッチン、居間、寝室、浴室付き〕で夜を眠り、主としてケリーが運転する車で、途中の水分や食事の補給を行うという方式〔誰がRV車を運転したかについては、どこにも書いてなかった。451キロを22泊なので、1回につき20キロ強。宿泊予定地まで着いた段階で、母とケリーが車で、前泊地のRVまで20分ほどで戻り、母がRVを、ケリーが車を運転して、その日の宿泊地まで戻ったのだろうか? この場合、ケリーがいないと実行不可能〕。母は、ザックに、水分補給と日焼け止めを塗ることを指示する。ケリーは、氷で浸したペットボトルを渡す(2枚目の写真)。そして、母が、タンパの新聞のことをケリーに訊いた時、ケリーは 強い不満を漏らす。「信じられる? 私の名前のスペル、間違えたのよ」。母:「大したことじゃないわ」〔なぜ、この母親は、わざわざケリーの神経を逆なでするようなことを言うのだろう?〕。「大したことよ! 私の名前なのよ!」(3枚目の写真)。

その日の夕方。ケリーが夕食を用意して待っていると、ザックと母が中に入ってくる。母:「体中の骨が痛いわ」。ケリーは、ザックには:「食事はテーブルに置いてあるわよ」と言い(1枚目の写真)、母には エプソムソルト入りの湯をフットバスバケツに入れて渡す。母は、「あなたって天使ね」と言い、ザックは、「これまで姉さんに言った、意地悪なこと全部取り消すよ」と言いながら、肉ダンゴの串刺しにかぶりつく(2枚目の写真)。しかし、母が、長距離を歩くのが如何に大変かケリーに話していて、ふとザックの方を見ると ザックが頭をテーブルにつけて寝ている。ケリーは、優しくザックの頭を 横の枕の上に寝かせてやる(3枚目の写真)。

ここからは、映画の重点はマーガレットとジムの話に移り、3人の行動が、ほとんど台詞ゼロで紹介され、タラハシーまでの距離数が表示されるだけになる(1~3枚目の写真)。

次の場面では、ザックが途中で気分が悪くなって吐く(1枚目の写真、矢印)。近くにいたケリーもやって来て、3人一緒にベンチに座る。母は、「今日は、これで終わりにしましょ」と言うが、ザックは、「怠けてなんていられない。ホームレスには休日はないんだ」と言い、歩き続けることを主張する(2枚目の写真)。会話は これだけ。あとは、道路に戻る2人に合わせて、少し減った距離数が表示される(3枚目の写真)〔全歩行距離の26%まで到達〕

次に、途中で寄ったラジオ局でのインタビューの台詞なしの一コマ(1枚目の写真)。そして、いくつかのワンカットのシーンのあと、距離が一気に148マイルまで縮まる(2枚目の写真)〔全歩行距離の47%〕。2人が、Brooksvilleと書かれたお揃いの赤いスポーツウェアを着た女性のグループが、ザックの身に着けたGPSトラッカーで居場所を追いかけ、到来を待ち受けていた。そして、一緒に歩きたいと声を掛けてくる(3枚目の写真)〔このブルックスビルは、タンパの北約37マイルのところにある町なので、148マイル以上進んでいるザックにとっては矛盾している。①編集ミスなのか、②100マイル以上離れた町の女性達がわざわざここまで来て待っていたのか(あり得ない)、③別の町の “チーム” だとしたら、なぜ他の町のロゴをチーム名にしているのか?〕 次に距離が表示されるのは、野原の真ん中の道路を歩いている際に表示される108マイル〔全歩行距離の61%〕

次の場面では、ザックが、どこかの学校のクラブでスピーチしている。「僕たちはホームレスで、何も持っていません。僕たちが 当たり前だと思ってるささいなもの、本、きれいな下着、簡単なおもちゃでも、ホームレスの子供たちに、幸せを与えることができます。一瞬かもしれませんが。でも、時として、ほんの小さな親切が、一人の人生を変えることだってあるんです」(1・2枚目の写真)。そして、雨の日、道路際の果物販売所のおばさんは、ザックが買ったオレンジのお金を受け取らず、「さよなら、頑張って」と手を振ってくれる(3枚目の写真)。

あまり意味のないワンカットのシーンのあと、76マイルと表示される(1枚目の写真)〔全歩行距離の73%〕。この辺りは、車も通らないような土道。一体どういうルート選定をしているのだろう? そして、マーガレットとジムのラスト直前シーンを挟んで、いきなり残り33マイルとなる(2枚目の写真)〔全歩行距離の88%〕。そのあとが、マーガレットとジムのラストシーン〔この辺り、ザックの映画なのか、マーガレットとジムの映画なのか、どちらと訊かれれば、完全に後者になっている〕。そして、夜になり、母がRVの巨体をバックさせていると、ケリーの誘導が下手なのか、母が鈍感だったのか、RVのテールランプが、突き出た木の幹にぶつかって割れる(3枚目の写真、矢印)。母は、猛列に怒ってバスから降り、ケリーを罵ったことで、最後で最大の大喧嘩が始まる〔同じパターンの喧嘩に、いい加減辟易とさせられる〕

最初に火を付けたのは母。RVの事故とは無関係な口撃だ。「あなた、知ってる? 一番の問題は、他人のことなんかどうだっていいというあなたの態度。考えてるのは、自分のことだけ」。もちろん、ケリーは、それ以上に激しく反論する。「ママが心配してるのは、ザックのことだけじゃない! ママも、他の人もみんな! 誰も私の写真なんか撮らない。私の名前のスペルだって、直そうともしない。雑用を全部やってきた。夜明け前〔ass-crack of dawn〕から起きて、一生懸命に働いてるのに〔work my tail off〕。すぐに怒鳴られるだけ! もう、うんざり! こんなトコ、出てってやる!!」(1枚目の写真)。それに対し、怒鳴り返すことしかしない母を見て、ザックは、「ママ、姉さんをつれ戻さないと」、と冷静に心配する。それを聞いた母は、「戻って来なさい。これを終わらせないと」と言うが、言い方がきつ過ぎる。だから、ケリーは、「メイドでも雇ったら?!」と怒鳴ると、さっさと去って行く。ザックは、焦ってケリーを追って行こうとするが、母は、「しばらく、ここに一人でいなさい」と命じると(2枚目の写真)、車に乗って、ケリーの後を追う。母は謝り、「家族は 私にとってすべてなの。どうか戻ってちょうだい。お願い」と懇願するが、ケリーは、「できない」と断る。「なぜ?」。「ママには、ザックの方が私より大事だから」(3枚目の写真)。それでも、母は説得しようとするが、ケリーは聞く耳を持たない。母は説得を諦め、若い女性が夜一人で歩くのは危険なので、乗って来た車を娘に譲り、ザックの元に帰る。

次のシーンでは、いきなり、残り8マイル〔全歩行距離の97%〕となり、パトカーに先導されたザックと母が映る(1枚目の写真)〔前回の距離表示は33マイルだった。1日平均12.7マイルなので、表示の後6マイル歩いてRVの破損→ケリーの離脱だとすれば、残り33-8-6=19マイル。どうみても途中で1泊が必要になる。その間、母1人、RV1台で、途中のこまめな補給とRVの移動はどう工面したのだろう?〕。最初は、2人と後続のグループは 舗道を歩いていたが(2枚目の写真)、後に続く人々が増えると街路一杯に拡がって歩く(3枚目の写真)。

そして、5チャンネルのバンの前をパトカーが左折すると、その先に待っていのが、車を脇に停めたケリーだった(1枚目の写真)。それを見つけたザックは足を止め、ケリーが駆け寄ってザックを抱き締める(2枚目の写真)。そのあとは、3人が手をつないで行進を始める(3枚目の写真)。

映画は、ある意味 途中半端な状況… 目的地のタラハシーに着く前の、警察に先導された40人ほどのグループを後方上部から映し(1枚目の写真)、最後に先頭を歩くザックの横顔の静止画像(2枚目の写真)で終わる。そして、エンドクレジットに入る直前に、本物のザックの顔が何枚も表示されて終わる(3枚目の写真は、その1枚目)。

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