ドイツ映画 (2020)
よくできたファミリー映画。子供の探偵団は、少年映画の中で一定の比率を占めているが、少年と老人グループとの探偵団という発想は、高齢化社会の現代らしい斬新な発想と言える。ただし、この映画の創造物ではなく、『Max und die wilde 7〔マックスとワイルド・セブン〕』シリーズの第1巻となる「Das schwarze Ass〔黒のエース〕」(2014)の映画化。因みに、第2巻は「Die Geister-Oma〔幽霊おばあちゃん〕」、第3巻は「Die Drachen-Bande〔ドラゴンギャング〕」。第1巻だけあって、少年1人と老人3人の探偵団の活躍ではなく、最初は、お互いに反撥し、それが次第に仲良しになっていく設定が、とても面白い。老人ホームで孤立している高齢者と、少年少女との暖かい結び付きを描いているという点が、最も気に入ったところ。少年マックス役は、どんどん大きくなってしまうので、2022年公開予定で、第2巻の映画化が進められているが、画像は一切出回っておらず、唯一手に入ったのは、右のポスターのみ。この映画の紹介で一番苦労したのは、ドイツ語字幕しか存在しないこと。一語一語辞書でチェックしたので、かなり時間がかかった。日本で発売されているDVDの日本語字幕とどう違うのか? 例えば、最後の方で、警部と4人とのやり取り。警部:「彼はみつけたんだ」。マックス:「鍵のリストをね」。警部:「写真を撮って戻したが…」。ホルスト:「その前に車の塗装を手伝った」。マックス:「だから指紋が」。ドイツ語字幕(その通りにしゃべっている)では、警部:「彼は鍵のリストを見つけて…」。マックス:「手でつかんだ」。警部:「携帯で写真を撮った。だが…」。ホルスト:「その前にヨハンを手伝って塗装した」。マックス:「だから指跡が」。ここで一番の問題点は、鍵のリストを見つけたのではなく、鍵のリストを見つけて、それを手でつかんだこと。だから、そこに、車の塗装のペンキが付いた。そこが正しく訳されておらず、「鍵のリスト」の話し手も違う。なお、訳にあたって、映画では 犯人のことを「泥棒」「強盗」「黒のエース」と混在していたが、混乱を避けてすべて「泥棒」で統一した。
映画は、9歳のマックスが、夏休み前の最後の登校日に、初めての小学校に老人ホームの専用バスに乗って向かうところから始まる。老人達からは、①お陰で回り道になる、②汚い自転車が一緒(なら、自転車で行けばいい)などの批判が浴びせられ、マックスは、老人が嫌いになる。こんなことになったのは、母がお城を改造した高級老人ホームの住み込み看護婦になったから。学校では良い事と悪い事があった。後者は、老人ホームのバスから降りたマックスを見ていた虐めっ子のオーレにからかわれ、ファックサインをしたら逆恨みされたこと。後者は、それに同情した可愛くて親切なラウラの隣に座れたこと。学校が終わり、マックスは、オーレたち4人組に自転車で追われ、袋叩きにされそうになるが、城でアルバイトをしているラファエルに救われる。そして、城への急坂をゆっくり登って行くマックスに楽々と追いついた電動自転車の老女ヴィエラがマックスに話しかけ、彼をうんざりさせる。2人は城に着くと、大問題が起きていた。ラウラの祖母の部屋に泥棒が入り、宝石が盗まれたのだ。翌日、飼っていたマックスの猫が逃げ出し、追いかけたマックスがあちこちで問題を引き起こす。最大の問題は、ワイルド・セブンと呼ばれる3人の老人グループの夕食テーブルに猫が飛び乗り、捕まえようとしたマックスがワイングラスを倒して怖い老人キリアンのズボンを汚したこと。翌朝、謝りに行かされたマックスは、3人のうちの1人にヴィエラがいたことで救われるが、偶然、そのヴィエラの部屋に泥棒が入っていることを窓から見てしまう。もともと、将来探偵になりたいと思っていたマックスは、さっそく3人と一緒に犯行現場に行くが、無能な警部によって追い払われる。しかし、良かったことは、最初は嫌いだった3人がいい人達で、マックスの友達になったこと。4人は翌日犯行現場の真下に行き、泥棒がどうやって侵入したかの正解を見つける。そして、その証拠を見つけようと看護婦長の部屋に、ヴィエラとマックスが侵入し、部屋の鍵のリストが、ペンキの付いた手で触られたことを発見する。前日、ペンキを使っていたのは、バスの運転手だったので、4人は運転手が泥棒だと確信する。しかし、ここで、問題が起きる。盗難にあった部屋の担当が、たまたまマックスの母だったので、病院の全員が母を犯人の共犯者だと断定し、クビになってしまったこと。今後の整理のため、あと数日しか城にいられない。そこで、4人は泥棒を誘き出す策を考え、相手もそれに引っ掛かり、マックスの機転で泥棒を拘束するのに成功する。マックスは英雄となり、ワイルド・セブンの4人目のメンバーに迎えられる。
9歳のマックス役は、ヨナ・アイゼンブラッター(Jona Eisenblätter)。2008年1月7日生まれ。映画の撮影は2019年の夏なので、撮影時11歳。彼がTVドラマに端役として出たのは2015年(6歳)。以後、4本のTV映画と6つのTVドラマを経て、この映画に出演。もうベテランと言って良い。確かに、彼が作る表情は、演技の簡単な “オーバーな表情” は少なく、他の子役に真似のできない “ちょっとした表情” に面白いものが多い。最新作の『Zwischen uns』(2022)では、準主役を演じているが、2年の差は、少年には大きい(右の写真)。『Max und die wilde 7』の第3作は、とても無理だろう。
あらすじ
母が老人ホームの看護士の職に就いたことで、学期の最終日なのに、主人公のマックスが学校に慣れるために、老人ホームのバスに乗って登校する。帰りに乗るための自転車も積んでいるので、何のためにバスを利用したのかは分からない〔場所が分からなかったから?〕。マックスが乗ったことで、バスは寄り道をすることになり、老人達から一斉に文句が浴びせられる。A:「自転車で行けなかったの? あんたのせいで、美容院に遅れちゃうわ」。B:「私はフットケアに」。A:「口がきけないの?」。C:「何て強情なんだ」。D:「自転車くらいきれいにしたらどうだ。汚いぞ」(1枚目の写真)。さらに、攻撃は続く。C:「わしは、自転車を買う金なんかなかった。いつも歩きだ。雪が降ろうと」。A:「お母さんに送ってもらえないの? こんな遠回りなんかさせて」。B:「ホントにそうだわ。お母さんに送ってもらうべきよ」。ここで、マックスの思っていることが、口には出さないが、語られる(青字)。「ママは、あんたたちの入れ歯を掃除するのに忙しいんだ。だから、放っておいてくれよ。この しわくちゃのミイラども!」。バスは、学校の門の前に着き、マックスが自転車を乱暴に降ろしたので、運転手から睨まれる。そして、自転車を引いて学校に向かって歩き出すが、それを、マックスが入ることになるクラスの虐めっ子(オーレ)が見ている(2枚目の写真、矢印)。教室に入り、2人掛けの机に座っていると、女の子(ラウラ)が 「そこ、私の机よ」と言う。マックスは、「ごめん」と言って立つが、初めて見る顔なので、ラウラは、「新しい子? 何て名?」と訊く。「マックス」。「どうして夏休みの前の最後の登校日に来たの?」。「君たちのこと知っておいた方がいいって。ママが言ってた。先週、引っ越してきたんだ」。そこに、さっきのオーレが、手下2名を従えて部屋に入ってくると、マックスを見つけて、「お前、何で老人ホームのバスで来た?」と訊く。「そこに住んでるから」(3枚目の写真)。「そうか、じいちゃん。お前も 入れ歯なのか? それとも杖が要るとか?」。それを聞いたラウラは、「やめなさいよ、オーレ!」と批判し、マックスを自分の隣に座らせる。
ラウラは、「すごく気持悪い〔ätzend〕でしょうね」とマックスに訊く。「何が?」。「老人ホームに住むこと」。「ママが働いてるから」(1枚目の写真)。「一日中、おじいちゃんと おばあちゃんしかいない。鼻から毛が生えてる」。「耳からも」。そして、マックスは、「君のおばあちゃんも お城に?」と訊く〔お城を改造した高級老人ホーム〕。「なぜ、そう思うの?」。マックスは、「鉛筆だよ」と言って、ラウラの鉛筆を手に取ると、「これ、タダでもらえるんだ。おばあちゃんはペン、おじいちゃんはマッチ」〔喫煙は危険なのでは?〕。「ヒルデ・ボッツって名前なの。知ってる?」。その時、オーレが、木のパチンコでラウラの頭を狙い撃ちする(2枚目の写真)〔本当に悪質〕。そして、「ラウラ、気をつけないと、お前までシワシワ臭くなるぞ」と言い、それに対し、オーレは中指を立てて、“このクソ野郎” と態度で示す(3枚目の写真)。自分の方が悪いのに、それを見たオーレは立ち上がると、「文句あるのか?」と詰め寄るが、そこに教師が入って来たので、「後で泣きを見るぞ」と言って席に戻る。
学期末最後の授業が終わると、生徒達は “夏休みだ!” とばかりに飛び出して行くが、オーレの報復を恐れたマックスは、誰もいなくなるまで待ってから、そっと玄関を出て自転車置き場に向かう。誰もいないので安心して走り始めると、急に後ろから4人が追って来たので、全力で自転車をこぐ(1枚目の写真)。左右を挟まれたマックスは急ブレーキをかけ、右側にいた1台が、前を見ていなかったので、停めてあったバンの中に突っ込む。そこで、オーレは、遅い2人に、自分はショートカットして先回りするから、お前達は後を追えと指示する。だから、マックスが坂を降りてT字路まで来ると、正面にはオーレ、後ろには2人がいるという最悪の状況(2枚目の写真。矢印はオーレ)。そこに、4輪バギーに乗った青年(ラファエル)がやってきて、オーレに 「どうした?」と訊く。「ヤバいぞ、援軍が来た」。「あいつ、城で老人どもと一緒に住んでやがる。一発食らわせるんだ」。ラファエルは、「こっちに来い」とオーレに命じ、オーレが近寄ると、頬を引っ叩く(3枚目の写真、矢印)。「なんでだよ?」。「失せろ、このバカ」。当然、他の2人も逃げて行く。ラファエルはマックスの所まで来ると、バギーを下り、ヘルメットを取ると、自己紹介し、伯父が老人ホームの「Chef」だと言う。ドイツ語のChefは施設長という意味だが、管理を任されている雇用者なのか、施設の所有者なのかは、これだけでは分からない〔映画の最後まで分からない〕。ラファエルは、マックスの名前を訊いた後で、「あいつらバカだ。俺たち老人ホーム族は団結しようぜ」と言うと、手を掲げ、マックスは、その手に自分の手をパチンと合わせる。「あなたも、あそこに住んでるの?」。「俺が? お前、アホか? 時々働いてるんだ。あれ(バギー)は金がかかるからな」。
そして、老人ホームのある城が映る(1枚目の写真)〔ヘッセン州にあるブラウンフェルス城(Schloss Braunfels)。老人ホームではない〕。お城は山のてっぺんにあるので、自転車で急な坂道を登るのは、マックスにとっても大変で、スピードは遅い。ところが、そこに、老夫人の自転車が高速で追いついて来て、「あなた、みすぼらしいお婆さんに追い抜かれるの?」と言う。「何が言いたいんだ?」。「心配しないで。これは電動自転車よ。電気モーター。分かる?」(2枚目の写真)「100歳以上の長寿者は、みんなそうやって山に登るの。でも、私が100歳だなんて思わないでね。私はヴィエラ。私も城に住んでる。私のこと、聞いたことあるでしょ?」。マックスは首を横に振る。「知らないの? 女優だったのよ」。彼女は、マックスのことを知っていた。「あなたは、マックス。新しい看護婦の息子さんでしょ?」。マックスは頷く。「老人ばっかりでイライラしない?」。「僕の心が読めるんだ」。「私もそうなのよ。でも、ここにいるのは好きなの。料理も掃除もしなくていい。それに、本物の騎士の城に住めるんだから」。こうして、マックスは延々とヴィエラに付き合わされて城門をくぐる。2人が中庭に入ると、そこにはパトカーが停まり、多くの老人が話し合っていた。ヴィエラは、小走りに走り、空色のジャンパーの太った老人に、「ホルスト、どうなってるの?」と訊く。「泥棒だ」(3枚目の写真)。「被害者は?」。「ボッツさん。宝石が全部盗まれた」。「ラウラのおばあちゃんだ。泥棒め 捕まえてやるぞ!」。「警察は、泥棒を捕まえたの?」。「まだだ。手掛かりもない」。そこで、マックスが口を出す。「ボッツさんが、泥棒に気付いたのはいつなの?」(4枚目の写真)。それを聞いた白髪の老人が、「子供は黙ってろ」と言い、ヴィエラが 「キリアン」と批判的な声で割り込む。「何だ?」。ヴィエラは、マックスの肩を抱くと、「この子はマックス。私の新しい友だちよ」と庇う。気難しいキリアンは、そんなことには構わず、ひとくさり侮辱した後で、「幾つだ?」と訊く。「9」。「聞いたか? 9歳だ。もう耄碌(もうろく)しとる」〔中庭の撮影も、ブラウンフェルス城〕。
夕方遅くに、マックスの母が、「ごめんね、坊や、遅くなっちゃって」と謝りながら、部屋に入って来る。そして、ベッドで横になっていたマックスの横に割り込むように座ると、「ここに来て数日なのに、ベンツさんが専属看護婦になって欲しいって」と自慢する(1枚目の写真)。マックスは 「すごいね、ママ」と言うと、さらに、「泥棒を見た人は 誰もいないの?」と訊く(2枚目の写真)「おばあちゃんたちから、何か聞いてない?」。「誰も 見てないって。学校はどうだった? 新しいお友だちはできた?」。「オーレと数人の子が、途中まで一緒だった」。
翌日、自転車でプールサイドを通りがかったマックスは、オーレたちがプールで遊んでいるのを見て、柵越しに停めてあるオーレの自転車に目を留める。そして、仕返ししてやろうと、タイヤの空気を抜く(1枚目の写真、矢印)。すると、柵の向こうにラウラが現われたので、慌ててバルブナットを閉める。ラウラは、「オーレに殺されちゃうわ」と心配したあと、なぜか笑顔を見せる(2枚目の写真)。それを見て、マックスも笑顔になる。2人は、ラウラの先導で、自転車で彼女の “隠れ家” に向かう。そこは、元温室だった廃墟。ラウラは、「オーレはロクデナシよ。気にしないで。誰かを虐めずにはいられないのよ」と言いながら、イスの置いてある場所まで連れて行く。「ここ、君の秘密の隠れ家?」。「そうよ。クールでしょ」〔会って2日目で秘密の場所まで連れて来られたことの方がクール〕。マックスは、持って来たお菓子を分けると、「おばあちゃんは 大丈夫?」と、心配そうに尋ねる(3枚目の写真)。「打ちのめされてるわ。宝石が全部なくなったんだもん」。「前もって、何か気付いてことある? つけられてたとか?」。「どうして、そんな変なこと訊くの? 探偵か何かになりたいの?」。ここでも、マックスの熱意は疎んじられてしまい、彼は話題を、飼い猫のモツコフに変える。すると、動物保護施設からもらってきたのと訊かれたので、5歳の誕生日に父からもらったと答える。「お父さんも、お城で働いてるの?」。否定。「じゃあ、どこ?」。「どうだっていいだろ?」。事情を察したラウラは、もっとお菓子をと言い、2人は笑顔に戻る。
マックスが城に戻り、部屋のドアを鍵で開けたのと同時に、モツコフが部屋から抜け出してしまう。これはマズいと思ったマックスは必死になって後を追うが、猫の方が圧倒的に速い。マックスが正面階段から下りたところで あちこち探すと、発見できたのだが(1枚目の写真)、それは遠く離れた階段の手すりの上を駆け上がっていく姿(2枚目の写真、矢印はマックス)。3枚目の写真は、この城の写真をネットで探していたら、このシーンとあまりにもそっくりな角度の写真を見つけたので、参考までに紹介する。これほどの偶然は滅多にないので〔違うのは、夏ではなくて冬なので壁のツタが枯れ、クリスマスツリーが置いてあり、映画撮影から階段を保護するための赤い敷物がないことぐらい〕。マックスは、猫を追って遠くに見えた階段を上がり、中世の甲冑が展示してある部屋に入ってみるが、どこを探しても猫はいない(4枚目の写真)〔ブラウンフェルス城にも甲冑の展示室はあるが、もっとずっと広くて天井も高いので、スタジオ撮影かも〕。マックスは、そこから螺旋階段で階下に向かい、別の古びた木の扉を開け、地下室まで下りて行く。すると、そこには 怖いキリアンがいて脅かされ、逃げるように階段を駆け上がる。
マックスは、老人ホームのある建物に行き、図書室兼休憩室になっている部屋に入って行く。そして、くるくると見回しているうちに、背後からきた電動車椅子の老女の上に、転がるように乗ってしまう(1枚目の写真)。老女は、「襲撃よ、助けて!」と叫び、目茶目茶に操縦したので、テーブルにぶつかって、その上に置いてあった上等そうな花瓶が落下して割れてしまう。騒ぎを聞きつけた婦長が飛んできて、「マックス・ベルグマン。君がここに来た時、私は何と言いましたか?」と叱り始める(2枚目の写真)。「ここには、規則がある。規則ですよ!」。「僕はただ… そんなつもりじゃ…」。「規則その3。ふざけ回ることは厳禁」。「はい、コルドゥラ婦長さん」。「自分のしたことを見て見なさい」。マックスは、走って逃げ出す。その後を、怒った声が追う。「規則その33。走らない!」。
猫が見つからないまま、夕食の時間になったので、マックスは食堂に行く。知り合って数日の食堂係の男性が、「やあ、マックス、今日は早いな」と、親しげに声をかける。「どうした?」。「猫が逃げちゃって」。「何だと? 城の中でか? なら、コルドゥラ婦長に見つかる前に探し出さないとな」。マックスが頷くと、来る時に見掛けた 変わった老婦人のヴィエラと、太ったホルストと、怖いキリアンの3人が座っているテーブルの方を見る(1枚目の写真)。「知ってるのか? あれが、ワイルド・セブンだ」。「ワイルド・セブンって?」。「いつも7番テーブルに座ってて、かなりイカれてるからさ」。そう言うと、3人のことを教えてくれる。ヴィエラは、とても有名な女優だった。部屋にはデスマスクがあり、夜になるとそれを死神のように拝む。ホルストは、サッカー・ブンデスリーガの監督だった。関わりたくない男で、一度、審判の鼻に頭突きしたことがある。キリアンは、頭のおかしい教授。昆虫採集にジャングルによく行き、巨大なクモを食べるとか。だから、関わらない方がいい。そして、すごく健康にいい料理の皿を渡してくれる。マックスが、端にある小さなテーブルで食べていると(2枚目の写真)、泥棒についての話題が聞こえてくる。内容は、①泥棒は外壁を登って窓から入った、②枕の上にトランプのカード(♣のエース)が置いてあった、というもの。その時、マックスは、最悪なことに、猫のモツコフが食堂に入ってくるのを見てしまう。おまけに、猫は7番テーブルに向かう。ヤバいと思ったマックスは、7番テーブルの上に乗った猫に突進して行き捕まえるが、その際、赤ワインの入ったクラスを倒してしまい(3枚目の写真、矢印)、それが、キリアンの服にかかる。さらに悪いことに、そこに婦長が入って来て、規則その13、動物の放し飼い禁止を宣告し、「これでどいうなるか、覚悟なさい」と言われてしまう。
部屋に戻ったマックスは、猫のモツコフに不満をぶつけるが、あまり効いたとは思えない〔これ以後、猫の登場画面はなくなる〕。マックスは、ベッドの下に隠してあったバッグを取り出し、中から思い出の品を取り出す。猫の簡単な絵を描いた紙の裏には、「誕生日おめでとう。5歳だな! 相棒! 新しい友だちを可愛がれよ! パパより。追伸。チビにはまだ名前がないぞ」と書かれている(1枚目の写真)。マックスが次に取り出したのは、パパに抱かれて嬉しそうな小さな頃の写真。その時、入口のドアが開く音がしたので、マックスは急いでそれらをバッグに入れてベッドに下に隠す。間に合って、ベッドの上に乗ったところで、母が部屋に入って来る。母は、婦長に叱られたに違いないが、マックスが 「モツコフ、手放さないとダメ?」と訊くと、「ううん、このままでいいわ」と優しく答える。マックスは、「これから、もっと気をつけるよ。約束する」と言い、2人は拳と拳を突き合せる〔ハイタッチと同じ〕。そのあと、母の言葉は厳しくなる。「そうしないと、また引っ越さなきゃならなくなる。分かった?」(2枚目の写真)「分かってるでしょ。ここでなら、あなたのそばで働いていられるの。だから、フォン=ホーンブルク教授には、謝らないと。いいわね?」。「でも… どうして?」。「マックス!」。「僕、食べられちゃう」。
マックスは、母が用意した大きな花束を持って、キリアンの部屋をノックする。キリアンはドアを開けると、「何の用だ?」と冷たく訊く。マックスは、どぎまぎして、「僕、これを…」と言って(1枚目の写真)、花束を持った手を差し出す。キリアンは、「チョコレートの方が良かった」と、迷惑そうに言う。そこに、ヴィエラが顔を見せると、「あら、マックス、それ私に? きれいね」と嬉しそうに言うと、花束を受け取り、「入って」と言い、キリアンの顔を “いいわよね” といった顔で見ると、花束を持ってすぐに消える。キリアンは、仕方なくマックスを部屋に入れる。そこは、老人ホームという名称とはかけ離れていて、ドアを入って最初の部屋には、元教授がジャングルで採取した昆虫、特にクモの標本が壁一面に飾ってある。そして、その先の部屋には、鉢植えの密林を思われる木の鉢植えと、資料展示の棚の間に、テーブルとイスとソファが置いてあり、そこにワイルド・セブンの3人が座って、入って来たマックスを見ている(2枚目の写真)。ヴィエラは、マックスに 「何か言いたいことがあるんじゃないの?」と優しく訊く。「僕… 僕、あやまりに来ました。ズボンのことで 〔Wegen dem Anzug(与格)〕。それを訊いたキリアンは 「ズボンのことを〔Wegen des Anzuges(属格)〕」と文法上の間違いを指摘すし、「それで?」と訊く。「外出禁止になったか?」。否定。「横っ面を張られたか〔Paar hinter die Löffel〕?」。否定。「残念だ」。マックスは、早くここから出たいので、「じゃあ、さよなら」と帰ろうとすると、ヴィエラが呼び止め、「謝罪は受け入れられたわ」と言う。キリアンは、すぐ、「わしは、受け入れん」と文句を言うが、ヴィエラは 「黙って」と遮り、マックスには笑顔で 「あなたって恥ずかしがり屋なのね」と言い、今度は、ホルストが 「そうだ。もっと勇気を出せ」と口を出す。そして、ヴィエラは、立ち上がると、「深く息を吸って吐く。背筋を伸ばし、地面に足をしっかり踏ん張って」と、勇気の見せ方を女優として教える〔伏線〕。結局、ヴィエラの提案で、最初からやり直すことになり、マックスは、花束を持ってもう一度ドアの外に立たされる。「3人とも正気じゃない」。そして、マックスはドアをノックし、キリアンがドアを開け、ヴィエラが花をもらって行き、マックスは、2枚目の写真と全く同じように3人の前に立たされる。そして、謝り始めるが、途中で言葉に詰まって、窓の外に目をやると、中庭をはさんだ反対側の建物の窓の中で懐中電灯が動いている(3枚目の写真)。じっと見ていると、怪しい人影が見えたので、「そこ、泥棒!」と叫ぶ。3人は急いで窓へ。ヴィエラは、そこが自分の部屋だったので真っ青。行動派のホルストはすぐヴィエラの部屋に向かうが、マックスは、それより早く部屋の前に着いていて、鍵の開いたドアから中に入って行き、入口にあった傘を万一の武器替わりに手に取ると、奥に入って行く。ここも広い部屋で、壁にはアフリカの木の面や民芸品や、彼女がスターだった頃の映画のポスターが飾ってある。マックスが、それらに見とれていると、肩に手がかかったので、振り返って傘で叩くと、それは遅れて入って来たホルストだった(4枚目の写真)。
しばらくすると、警察がやって来る。マックスが、ヴィエラの寝室に入って行くと、宝石を入れた多くの箱が散乱している。マックスの振る舞いに気付いたキリアンが、寝室の入口に来る。その時、マックスは、ベッドのカバーを取って、トランプのカード(♠のエース)が置いてあることに気付き、触ろうとする。すると、キリアンが「触るな!」と強く言い(1枚目の写真、矢印の先にトランプ)、寝室に入ってくると、ベッドまで来てカードを見ると、「なぜ、触れるなと言ったか、分っとるか?」と訊く。「指紋だよ。泥棒のが ぼやけちゃって、警察が調べられなくなるから」。「悪くない。犯罪小説が好きなのか?」。「探偵になりたい」。それを訊いたキリアンは、今まで相手にしてこなかったマックスに、「じゃあ、見てみよう… 泥棒がどう行動したか」と話しかけてくれる。マックスは、さっそく居間に戻ると、「泥棒は、窓から居間に侵入し、それから寝室に行ったんだ。彼が欲しかったのは宝石だけ」。「なぜ、そう思う?」。マックスは、それなりの理論を展開し〔あとから間違いだったと分かるが〕、それを聞いたキリアンは、「お前さんは、思ってたほどバカじゃなさそうだ」と評価を変える(2枚目の写真)。しかし、そこに入って来た警部は、「子供は、犯罪現場に入るな!」とマックスに命じ(3枚目の写真)、キリアンには、「あんたと孫は、アパートから出て行ってくれ」と乱暴に言う。怒ったキリアンは、「その子は、彼女より頭がいい」とマックスを援護。「あんた、自分がすごく賢いと思ってるんだろ?」、「そうとも。わしは教授だ」。「元教授だ」。生意気な警部の言い草に、キリアンは怒って出て行く。
翌朝、マックスが自転車に乗って城の近くにあるサッカー場の横を通ると、例の3人がいるので、自転車を停める。ヴィエラはバランス体操、ホルストはボール蹴りと健康的だが、キリアンはうつむいた時に、どこかを痛めている(1枚目の写真)。そのうち、ホルストとヴィエラは泥棒について話し始め、ヴィエラは 「彼はスリルが好きなのよ。真っ昼間に泥棒するのが その証拠。私、女優でしょ。キャラを演じる時、そのキャラがどう思ってるか、考えないといけないのよ」と話すが、それを、マックスは離れた木の小屋の角からこっそり見ていて、ホルストに見つかってしまう。「夏休みなのに、なんで こんなに早く起きた?」。マックスは、姿を見せると、泥棒のせいで眠れなかったとの趣旨の発言をし、キリアンから、また、属格を使ってないと叱られる。マックスは、ヴィエラに 「宝石のこと お気の毒」と、当日言えなかったことを言い、それに応えるように、ヴィエラは、「警察は、何の手掛かりもつかんでないの」と状況を教え、キリアンは 「脳ミソがない〔Holzkopf〕警部だから、当然だろ」と批判。その時、マックスが鉄パイプの柵に手をかけたことで、腕時計が見える。キリアンは 「その時計は、パパから?」と訊く。マックスは、手をさっと降ろして時計が見えないようにし、「うん」とだけ答える。なのに、キリアンは、くどくどと、「どこにいるんだ? 一度も見てないぞ」と訊く。マックスが気まずそうに黙っているので、ヴィエラが、「言わなくていいのよ」と優しく言う。それを聞いたマックスは、「彼… 彼は逃げ出した。3年前。どこにいるか、誰も知らない。なぜ逃げたのか、ママにも僕にも分からない」と辛そうに言い、3人は心から同情する。そして、あの厳しかったキリアンが、「おいで」と呼び寄せると、マックスの肩に両手を置き、「恥ずかしいことじゃない。わしも、父親なしで育った。君のせいじゃない。だから探偵になりたいのか? お父さんのために?」と、優しく話しかける。「パパを見つけるんだ」。「なら、すぐ練習ができるな。わしらは、泥棒の正体を突き止めたい。一緒にやるか?」。マックスは、初めて心からの笑顔を見せる(3枚目の写真)。
そして、いよいよ、日本語タイトルの「少年探偵マックスとハチャメチャ3人組」の誕生。4人が並んで歩き、ノリのいい曲が流れる。4人が向かったのは、ヴィエラの部屋の窓の真下のミニ庭園。マックスが探偵になる訓練なので、そこに着くと、キリアンが 「分かってることは何だ?」とマックスに訊く。「彼は、2回の泥棒とも窓から侵入した」。「違うな。分かってることは、2回とも窓が開いてたことだけだ。だから、窓から侵入したと思ったが、正しいかどうかは分からん。それは、大きな違いだ」と、“より論理的な考え方” を教える。そして、「マックス、その男は、どうやって窓まで辿り着いたと思う?」と問う(1枚目の写真)。マックスは、「ここからだと、あのパイプを登るしかないよ」と言って建物と塔がぶつかり合う “入隅(と呼ぶらしい)” に沿って真っ直ぐ上に伸びているパイプを指す。しかし、入隅の最下部のミニ庭園には、日本の枯山水のように白砂に砂紋がついていて、砂紋は乱れていない。マックスは、そこに足跡がついていないことにも注目し、「もし、泥棒が登ったのなら、ここを通らないといけない」と指摘する。キリアンが、泥棒が入ってから、ここの砂は触れられていないと言うと、アックスは 「開いた窓は ただの見せかけだ。彼は登ってなんかいない。僕らをダマしたんだ」と、考えをガラリと変える(2枚目の写真)。「凄いぞ、マックス!」。「ありがとう、教授」。「バカはやめろ。キリアンでいい」。そう言うと、キリアンは 満面笑顔のマックスと握手。ホルストが、「なら、どうやって部屋に入ったんだ?」と訊き、マックスが、「たぶん…」と言い始めると、キリアンは運動の時間だから、午後に再開をと言って、探求を切り上げる。そこで、ホルストは、一緒にプールに行こうとマックスを誘う。
プールに行ったマックスにすぐに声をかけたのはラウラ。お互い、すごく好き合っている。そこに、オーレが、「おい、お前! 俺が知らないとでも思うか? タイヤの空気を抜きやがったな!」とマックスに言うと同時に、「お前も共犯だ」と言うなり、ラウラをプールに突き落とす。オーレは、「おい、じいちゃん。今、何がしたい?」と言って、マックスの胸を押す(1枚目の写真)。そのあと起こったであろう、ひどい制裁を救ったのはホルスト。マックスが虐められていると直感したホルストは、プールから出ると、「おい、マックス、どうした?」と声をかける。オーレは、「あの、おいぼれのでぶっちょ、お前のダチなのか?」と、嘲るようにマックスに訊く。恥ずかしいと思ったマックスは、今や大事な仲間になったホルストを無視して、逃げ出す。マックスがロッカー・ルームに戻って鍵を開けていると、そこにホルストがやって来る。そして、「言えよ、俺が恥ずかしいのか?」と訊く。マックスは黙ったまま。ホルストは、「奴らに手出しされたくないんだろ? なら、奴らを心服させろ」(2枚目の写真)。「4対1だよ」。「戦いじゃない。心服させるには、他にも方法はある」。「どんな?」。「口を使え」。「どう言ったらいいか、分からない」。「ナンセンス。言おうとしないだけだ。さあ、今 考えてることを言ってみろ」。マックスは、何度か催促されて、ようやく口を開く。「その水着だと、太って たるんだオウム〔fetter Papagei mir Falten〕みたい」(3枚目の写真)。ホルストは、「やったな!」と褒めた直後、「ママがくれたんだぞ」と怒り、「このチビの “Furzknoten”〔直訳は “おならコブ”。https://www.sprachnudel.de/ によれば、「大腸を完全に制御できていない幼児に対する愛情表現」〕!」と蔑むように言って立ち去る。マックスには、その単語の意味が分からない。「何が言いたいんだ?」とブツブツ。
マックスがキリアンの部屋のドアをノックすると、現れたキリアンが腕時計を見せ、「遅い!」と叱る〔時計の針は17時31分〕。「たった1分じゃないか」。キリアンは、居間に置いた黒板に向かって説明を始めるが(1枚目の写真)、ヴィエラと一緒にソファに座っていたマックスが 「学校みたい」と言い、ヴィエラが過去の学校映画の話を囁き始めると、「黙って。集中だ!」と叱る。そして、問題を提起する。「泥棒は、どうやって部屋に入ったのか?」。マックスは、「簡単だよ。鍵を使ったんだ」と発言。キリアンはその意見に賛成。ホルスト:「じゃあ、誰が鍵を持っているか見つけないと」。ヴィエラ:「ナースステーションには、全部の部屋の鍵の入った箱があるわ」。マックス:「泥棒は、きっと鍵を盗んで、返したんだよ」。ヴィエラ:「あり得るけど、障害があるの。鍵にはすべて暗証番号が付いてる。だから、どの鍵がどの部屋のものなのか、誰にも分からない仕組みなの。その部屋を担当している看護婦だけが、番号を知ってる。コルドゥラ婦長だけが、どの番号がどの部屋のものかを書いたリストを持ってるわ」。彼女が、この話をしている時、マックスの腕に、放し飼いにしてあるタランチュラは這い上がって来る。それに気付いたマックスは、怯えて目を閉じるが(2枚目の写真)、飼い主のキリアンは、「可愛い子、ご主人様の方においで」と言い、両手でタランチュラを優しく捕まえ、「紹介しよう。この子は、アガータ。ギリシャ語〔Agathe→Αγαθε〕で「dear(かわいい)」という意味だ。ぴったりだろ」。「巨大なバケモノ・グモの方がぴったりだ」。本題に戻り、ヴィエラは、婦長に、リストが盗まれていないか訊けばいいと提案するが、キリアンは、教えるハズがないと言う。すると、ヴィエラは、意外な提案をする。「なら、忍び込めばいい。私、知ってるのよ。婦長が、リストを机の一番下の引き出しに入れてるのを。まだ、そこにあるか確かめましょ」。ホルスト:「誰がやる?」。「私。それに、マックス」(3枚目の写真)「小さくて、機敏… 急ぐ必要があるの。面白いわよ、いらっしゃい」。「ママに殺されちゃう」。
2人は婦長の部屋が見える所に隠れ、覗き穴から廊下の様子を窺う。ドアが開き、婦長は ラファエルに資料を持たせて自分の部屋まで行くと、鍵でドアを開け、中に入って行く。しばらくすると、ラファエルが部屋から出て来るが、その背中に向かって、「明日は、遅刻しないで。分かった?」と冷たい声で言う。ドアが閉まると、ラファエルは、「何て奴だ、あの ”Arschkröte”〔直訳は “お尻のヒキガエル”。https://www.insult.wiki/ によれば、「罵しり言葉として使われるドイツ語」〕め!」と言いながら、廊下から出て行く。ここで、打ち合わせ通り、ホルストが電話をかけて婦長を呼ぶ。その間に、2人は急いで婦長の部屋のドアまで行くが、当然、鍵が掛かっている。しかし、ヴィエラは、髪からヘアピンを抜き取ると、それを曲げ、鍵穴に突っ込んで見事に解錠する。「びっくりした?」。「カッコいい!」(1枚目の写真)。部屋に入ると、マックスは机の引き出しを開け、中からリストを取り出す。「くそ、盗まれてない。残念!」。しかし、マックスが紙を裏返すと、黄橙色の指跡が端に付いている。その時、廊下の外で、婦長の独り言が聞こえる〔ホルストとキリアンは、婦長を引き留められなかった〕。ヴィエラはリストを戻すよう、マックスに指示するが(2枚目の写真、矢印はリスト)、戻す前に婦長が入って来たので、マックスは右手で背中の後ろに隠す。婦長は鍵を掛けた部屋に2人がいることを問責しようとするが、元映画スターのヴィエラは、急に心臓発作が起きたフリをして、イスに崩れるように座り込み、苦しそうに、「お願い… コップ一杯の水を」と頼む〔マックスも、真剣に心配する〕。婦長は問責どころではないので、大急ぎで水を取りに出て行く。すると ヴィエラは急に元気になり、マックスを安心させ、リストを引き出しに戻させる。マックスは、リストを戻す際、今後のためにと、黄橙色の指跡が付いた部分を破って(3枚目の写真、矢印は指跡)ポケットに入れる。婦長がコップ1杯の水を持って戻って来ると、ヴィエラは一口飲んで、良くなったと言ってコップを返し、医者を呼ぶという婦長を無視し、「ありがとう」を何度もくり返して、マックスと一緒に部屋からさっさと逃げ出す〔鍵の掛かった部屋にいた理由を問い質すタイミングもない〕。
翌日、キリアンの部屋に4人が集まり、キリアンが手にタランチュラを乗せて遊んでいるのを、3人がうんざりした顔で見ている。キリアンは、リストのことを2人に訊く。マックスは、指跡の付いた紙片をキリアンに見せる。その時、ドアがノックされる。マックスがドアを開けに行くと、そこにいたのはラウラだった。挨拶を交わした後、ラウラは、「ここで、何してるの?」と訊く。すると、答える前にキリアンがタランチュラを手に乗せたままやってきて、「君は?」と訊く。「私、ラウラ。ヒルデ・ボッツの孫です」と言い、さらに、「それ、雄ですか?」と訊く。そんなことを訊いてくれる人はいないので、キリアンは、初対面にもかかわらず、「いや、いや、これは雌だ。雄はこんなに大きくならん」と言って、ラウラの目の前にタランチュラを差し出す。ラウラは怖がるどころか、「撫でてもいい?」と訊く。喜んだキリアンは、「もちろん。でも、背中はダメだ。この子は好きじゃない。脚がいい」と教える。ラウラは、脚を優しく撫でる(1枚目の写真)。ここで、マックスが、「キリアンに何か用?」と訊く。「そうそう、おばあちゃんは、何も思いつかない、泥棒が入る前に不審なことは何もなかったと、言ってました」。キリアン:「ありがとう、お嬢さん〔junges Fräulein〕」。ラウラ:「お嬢さんなんて、言っちゃだめよ。女性蔑視だわ。どの子だって知ってる」と言って、微笑む。マックスは、「じゃあ、さよなら」と言って、ドアを閉める。キリアンは、特殊な装置を持ち出してきて、黄橙色の指跡を、ディスプレイ画面に拡大して映す。そこで分かったことは、①汚れた手で紙を触った時に付いた、②黄橙色のものは塗料で、城の車庫にあるバスのロゴを最近塗り直した時に使われたもの(2枚目の写真)〔これを指摘したのはホルスト〕。マックスが、「誰が塗ったの?」と訊くと、「城の修理工。バスの運転手」と言う返事。ヴィエラは、「彼は、運行の準備のため、ナースステーションによくいるわ」と言い、それを受けて、ホルストが、「てことは、彼なら箱からたやすく鍵を盗めて、気付かれずに戻せるな」と、容疑者として扱う。その時、彼が口にしたヨハン・シュレーダーという姓にピンと来たアレックスが、「息子はいるの?」と訊くと、それは何とオーレだった。「オーレの父親か。完璧だ!」。ヨハンが泥棒だと確信したマックスは、「警部のトコにいかないと」と、走り始める。キリアンは、「止まれ! 戻れ!」と叫び、「疑惑はあるが証拠がない。大きな違いだ」ときっぱり言う。ヴィエラもホルストも、それに賛成する。それでも、オーレ憎しで、マックスは、「絶対に彼だよ!」と主張する(3枚目の写真)。キリアンは、「だが、証明できん」と強く言う。ホルストだけは、「ヨハンが本当に泥棒なら、俺たちで捕まえよう」と言ってくれ、キリアンもにっこり。
高揚した気分のマックスが自分の部屋に戻ると、母の勤務時間にもかかわらず、部屋のドアが開いている。泥棒に違いないと思い、手近にあった懐中電灯を武器に中に入って行くと、母が、荷造りをしている。そして、マックスをみると、驚くべきことを口にする。「私たち、引っ越さなくてはならないの。解雇されたから」(1枚目の写真)。「でも… どうして?」。「それは… 泥棒よ。みんな、私が共謀してると思ってる」。「そんなこと、あるわけないじゃん?」。母は、マックスと一緒にソファに座ると、具体的に説明する。それは、少し “脚本の欺瞞性” を感じさせる内容で、母が、“最初に泥棒に入られたラウラの祖母” と “次に泥棒に入られたヴィエラ” の双方の担当看護婦だったというもの〔そんな情報は、これまで一度も出て来なかったし、母の言動の中には、彼女がヴィエラを担当していたことを思わせるようなものは全くなかった〕。この両者の担当だったため、母は、鍵の件で泥棒を助けていると強く疑われて解雇されてしまったのだ。マックスは、さっきキリアンが言ったことを思い出し、「証拠がないよ! ただの疑惑じゃないか。証拠がなけりゃ、無実なんだ!」と憤るが(2枚目の写真)、「そうだけど、もう、誰もママを信用してないの」と悲しい返事。「そんなの不公平だ! 僕、ここにいたい!」。母は、それには答えず、「これから、どうしたらいいか分からない。みんなが私のことを犯罪者だと思ってるのに、どうやったら仕事にありつけるの?」と、一人嘆く。
切迫した危機感に慄いたマックスは、ワイルド・セブンの3人に助けを求めようと、3つの部屋をノックするが、誰もいない。そこで、以前3人が集っていたサッカー場まで自転車で急行する。そこでは、3人がベンチの所に固まって話し合っている。ヴィエラとホルストは、マックスの母の解雇について同情するが、万事理詰めのキリアンは、「彼女が共犯者である可能性は除外できん。可能性はある。事実、彼女は両方の部屋の世話をしていた。だから、両方の部屋の鍵を持っていた。そして、盗難事件は、彼女がマックスと一緒にここにやって来てから初めて起きた。彼女自身が泥棒なのかもしれん」と言い、マックスはそれを聞いてしまう。激怒したマックスは、いきなり3人の前に姿を見せるいと、「この裏切り者! ママは、何もしてない! 無実だ! 僕が証明してみせる!」と、キリアンに向かって怒鳴る。キリアンが、「マックス、その芝居じみた言動は何だ?!」と叱ると(1枚目の写真)、マックスは、「僕たちがいなくなっても平気なんだ。あんたたち、どうせ すぐに死ぬんだから!」と捨て台詞を残し(2枚目の写真)、自転車に乗って城に戻って行く。
マックスが城門まで登って来た時、城から出てきたラウラと出会う。マックスが好きなラウラは、「今まで お祖母ちゃんと一緒だった。みんなどうかしてる。あなたのママが、泥棒の共犯者のハズないわ」と言ってくれる。マックスは、「でも、みんなそう思ってるんだ! 僕は誰が泥棒か知ってる」と、確信的に話す。「ホント? 誰?」。マックスは、ラウラの耳に、「運転手のヨハンだよ。これから車庫に行くんだ」と囁く(1枚目の写真)。「車庫に?」。ラウラは、マックスに付き合い、一緒に車庫の扉に行くが、鍵が掛かっていて開かない。そこで裏に回ることにする。裏側の煉瓦造りの小窓からカーテンが外に出ているので、そこからは入れると分かる。そこからは、ラウラが主導権を握り、小窓に板を立て掛け、その上を平気で歩いて中に入る(2枚目の写真)。しかし、高度恐怖症のマックスは、板の上を恐る恐る這って窓に向かう(3枚目の写真)。窓は、厚さ50 cmはありそうな煉瓦の壁に開いた穴のようなもので、窓の反対側は、床までかなりの高さがある。マックスは怖くてたまらなかったが、「先に飛び降りたラウラから促され、思い切って飛び降りる。2人が車庫の入口の方に歩いて行くと、作業用の机の上に布が置いてあり、そこには、あの “黄橙色の塗料” が一面に付いている。その時、車庫の扉が開く音が聞こえ、2人は急いで物陰に隠れる。照明が点き、入って来たのは、何とオーレ。オーレは、作業用の机の引き出しからトランプの箱を取り出し、トランプを調べ始める(4枚目の写真、矢印は隠れているマックス)。オーレが出て行った後、机に行ってみるとトランプがなくなっていて、代わりに、黒い手袋が忘れてあった。
場面は、プールに変わる。高い飛び込み台のてっぺんにオーレが座っている。それを見たマックスは、勇気を奮い起こして階段を上がって行く。最上段に着くと、音で気付いたオーレが、「何しに来た?」と訊く。マックスは、オーレに対し、面と向かって 「君の父さんは泥棒だ」と、ずばり言う。「何だと?」。「今すぐ、一緒に警察に行くぞ」。「何だとクソッタレ!」。「ラウラと僕は見たぞ。昨日、車庫で、君はトランプを見ていた。そして、これが忘れてあった」。そう言って、黒い手袋を見せる。「それがどうした。俺のだぞ」。「黒のエースが2枚なかったろ?」。「盗まれたんだ」。「なんで、昨日、あそこにいた?」。「新聞でエースを見た。それが、車庫にある俺のカードに似てた。俺は父さんと時々車庫で遊んでる。見に行ったら、盗まれてた」。「嘘だ! 君の父さんがエースを取ったんだ! 君の父さんは泥棒で、君は共犯者だ! 今から警察に行く」。「行けよ。カードは全部燃やした。俺は何も言わない。お前には 何もない」。そう言うと、手袋を取り上げ、プールに飛び込む。そして、手袋を振って、「来いよ、じいちゃん」と言うが、マックスは、手すりにつかまってプールを見るだけで(2枚目の写真)、怖くてとても飛び込めない。
打つ手を失くしたマックスは、自分の部屋に戻ると、頭を抱えてベッドに座り込む(1枚目の写真)。ドアが開き、ヴィエラが 「入ってもいい?」と訊く。マックスが黙っていたので、ワイルド・セブンの3人が部屋に入って来る。ヴィエラが 「あなたと話したくて」と言うと、マックスは 「一緒にいたくない!」と拒否。それを聞いたキリアンは、「お前、脳ミソあるのか?」と侮辱する。「それは、そっちだ! ママを 泥棒だなんて」。「ナンセンス。脳のスイッチを入れろ。よく聞くんだ。わしは、可能性について話してだけだ」〔キリアンの下手な言い逃れ。実際は、可能性の枠を超えて推論を進めていた〕。ヴィエラは、この愚かな言い訳を補おうと 「だからといって、私たちが信じているわけじゃないのよ」と言い、ホルストも 「君を助けたいんだ」とサポート。ヴィエラは、さらに 「あなたには、ずっと一緒にいて欲しいの」と言い、最後にキリアンが 「何があっても」と締める(2枚目の写真)。それを聞いたマックスは、「すぐに死ぬだなんて言って ごめんなさい。まだ、数年は大丈夫だよね」と、変な謝り方をする。そこに、母が入って来て、3人がいるのを見てびっくりする。ヴィエラは、また心臓発作のフリを始め、それを止めさせようと、マックスがうっかりヴィエラの頬を叩いてしまい、それが、3人を円満に退場させる結果となる(3枚目の写真)。
次のシーンで、マックスと3人は、森の中の小道を歩いている。マックスは、車庫での一件を3人に話し、勇気は褒められるが、トランプが焼かれたため、証拠が消えてしまったと指摘される。「じゃあ、もう終わりだ」。ここで、ホルストが意外なことを言い出す。「ひとつ教えてやろう。サッカーの試合はいつ終わる?」。「90分後」。「違う。ホイッスルを吹いた時だ」。「僕たちどうすればいいの?」。「フェイント〔敵を惑わす一連の動作〕、シュートだ。泥棒に罠をかける」。ヴィエラ:「どんな?」。「俺の部屋に高価なトロフィーがあると、言いふらす」。場面は、すぐに、ヴィエラがみんなに噂をバラまいているシーンに変わる。その話は、老人たちだけではなく、バンから食材を降ろしている食堂係の男性や、それを手伝っているラファエルにも聞こえている。ここで、ホルストが先ほどヴィエラに追加で言った言葉が、バックグラウンドに流れる。「俺は、安全のため、全部のトロフィーを銀行に預ける気だとも話すんだ。そしたら、泥棒も焦るだろう」。ヴィエラが、その話を休憩室で話しているのを、運転手がこっそり聞いている。ホルストの言葉はさらに続く。「俺たち(ホルストとヴィエラ)は、城の前に座って絵を描くんだ。そしたら、泥棒の思うがままだ。一方、マックスとキリアンは隠れて待つんだ。俺のアパートは、最上階から良く見える。だが、この計画は誰にも漏らすな。泥棒が現われたら、俺の携帯でヴィエラにかけろ」。場面は、最初の森の中に戻る。マックスは、「どうして、警察に電話しないの?」と質問する。ホルスト:「警察が来た頃には、泥棒はいなくなってる」。キリアン:「ということは、泥棒を拘束しないといかんな」。ヴィエラ:「全員が力を合わせないと」。ホルスト:「誰にも内緒だぞ」。最後に、マックスは、「一人を除いて」と言って、ニコリとする(1枚目の写真)。夜、遅くなり、最上階に三脚付きの望遠鏡を持ち込んでじっと見続けるキリアンは、あくびを連発。「ぜんぜんだ。2日も経つのに」。特別参加したラウラは、手にタランチュラを乗せて、実に嬉しそうだ。そして、マックスに 「触りたい?」と訊く。「今日は やめとく」。キリアン:「怖いんだ」。「怖くない」。キリアン:「Angsthase, Pfeffernase〔直訳は “チキン(弱虫)、へなへなパンチ”。https://www.woxikon.co.uk/de/ によれば、「Hair-Raising Hare(ぞっとしてるウサギ)」〕。その時、ホルストの部屋で懐中電灯の明かりが動くのが見える。キリアンは、望遠鏡で確かめ、「何か見える!」と言い(2枚目の写真)、替わったマックスもそれを確認。キリアンは、「賢いな。みんな夕食でおらん」と感心する。マックスは、「すぐ電話して」と、キリアンに注意する。マックスは、ホルストの携帯を持って来るが、老齢のキリアンには使い方が分からない。「こりゃ何だ?」。ラウラ:「暗証番号よ! 急いで!」。キリアンがホルストから聞いた番号を入れると、拒否される。2回目も拒否。「奴め、間違った番号を教えた」。マックス:「間違って覚えたんじゃ?」(3枚目の写真)。その間にも、どんどん時間が過ぎて行く。3度目の誤入力でロックがかかってしまう。いい加減じりじりしていたマックスは、キリアンが止めるのも聞かず、ラウラと一緒にホルストの部屋に向かって走り出す。
2人はキリアンの部屋のある棟の玄関を出て、中庭を横断し、ホルストの部屋のある棟に入ると、そこは甲冑の展示室〔以前、甲冑の展示室が登場した時は、飼猫が高く登っていった先にあったと思っていたが、今回は、棟に入ってすぐの所にある。一体どうなっているのだろう?〕。そして、そこにいたのは、なぜか、頭に兜を被ったオーレ。オーレがマックスの悪口を言ったので、ラウラは、オーレの手に 持って来たタランチュラを乗せる。オーレは恐怖で身動きできなくなってしまう(1枚目の写真、矢印はタランチュラ)〔本来なら、彼が夕食の時間にこんな所にいるハズがない→オーレを罰するために、無理して入れたシーン〕。2人がホルストの部屋の手前まで来ると、ドアが開いて、黒ずくめの泥棒が出て来る(2枚目の写真、矢印はマックス)。2人は泥棒を追う。泥棒はナースステーションの戸棚を開けて鍵を戻すと、黒い頭巾を外す。2人は、隠れてそれをじっと見ている。現れた顔は、運転手ではなく、何とアルバイトのラファエルだった。ラファエルは、2人に顔を見られたことに気付く。2人は逃げ、ラファエルが追う。マックスは、以前、猫を探しに行った時の螺旋階段で下に降り、古びた木の扉を開け、つっかい棒で入れないようにしておいて、地下室に下りて行く〔以前、キリアンがいた場所〕。しかし、ラファエルは、つっかい棒など簡単に突破して地下室までやって来る。そこは行き止まりで、逃げる場所がない。ラファエルは、マックスの頬を引っ叩くと、「もし、俺のことをチクったら、殺してやる。分かったか?!」と脅す(3枚目の写真、矢印は殴られた頬を触っている手)。
ラファエルは、「お友だちはどこだ? おいぼれのワイルド・セブンは?」と、あざけるように言う。その時、マックスの頭に、ヴィエラが言った言葉が響く。「深く息を吸って吐く。背筋を伸ばし、地面に足をしっかり踏ん張って」。マックスは、怖れることなくラファエルに向かって、「警察に全部話す」と強く言う(1枚目の写真)。「信じるもんか」。次に、キリアンの言葉が頭を過ぎる。「その通りだ。頭を使え!」〔この台詞だけ、前になかった〕。マックスは、しばらく必死に考えると、ホルストの携帯を取り出し、カメラでラファエルを撮影し(2枚目の写真)、「警部に釈明できるかな?」と、皮肉っぽく言う。「携帯をよこせ! 今すぐ!」。ここで、ホルストの「フェイント、シュートだ!」の声が聞こえ、マックスは携帯を持ちながら、背後の檻の扉まで下がる〔部屋の奥は、檻のような鉄格子で仕切られていて、そこに扉が付いている〕。ラファエルが、「よこせ!」と言いながらマックスに突進して行くと、檻の少し中に入っていたマックスは、ラファエルが中に入ってきて携帯を奪うと、その隙に外に出て 扉を閉める。ラファエルが、必死に開けようとするのを全力で押さえながら、ラウラに鍵をかけさせる。これで、ラファエルは、携帯は奪えたが、監禁されてしまった。マックスとライラはハイタッチ。
警察が来て、ラファエルがマックス、ラウラ、ワイルド・セブンの35人を睨みながら連行されて行く(1枚目の写真、矢印はラファエル)。結局、何の役にも立たなかったダメ警部は、5人に向かって、「ラファエルは、すべて自供しました」と説明を始める(2枚目の写真)。「彼は鍵のリストを見つけて…」。「手でつかんだ」とマックス。「携帯で写真を撮った。だが…」。「その前にヨハンを手伝って塗装した」とホルストが言い、「だから指跡が」とマックス。「彼は、ここでずっと働いていたから…」。「鍵を盗めたし、それを簡単に戻せた」とキリアン。さらに、「みんな彼を知ってたから、誰も彼を怪しまない」とホルスト。最後に、「だから、知ってたんだ。入居者の貴重品を」とマックスが言うと、「黙ってろ! それにもちろん、彼は金が欲しかった…」。「4輪バギーを買うのに。ホントの目立ちたがり屋ね」とヴィエラ。自分が何も説明しなくても、4人が全部答えたので、警部は 「注意して聞いて下さい! 次回からは、口を挟まない。いいですね?」と念を押す。それにたいして、キリアンは 「保証するよ。次に あんたが担当したら、絶対口を挟むと」と言い、警部も 自分の不始末ぶりを十分認識したのか、あきらめて立ち去る。そこに、城の中から出て来たマックスの母が、息子を抱きしめる。それが、あまりにラブラブだったので、マックスは恥ずかしそうにラウラを見ている(3枚目の写真、矢印はマックスの目)。ラウラは、バツが悪そうな、何ともいえない笑顔でそれを見ている。
その夜のディナー・タイムでは、食堂に入ってきた5人を、老人達全員がスタンディングオベーションで拍手して迎える(1枚目の写真)。声援も一杯飛び、特に、マックスとラウラは嬉しそう(2枚目の写真)。このあと、2人でハイタッチ。マックスがいつものテーブルに向かおうとすると、ホルストが、「そっちじゃない」と言い、7番テーブルに連れて行って座らせる。それを見た婦長は、さっそく文句を言いに行くが、彼女が口を出す前に、ヴィエラが先手を打ち、「今日から、私たちのお友だちが同席しても構わないわよね?」と言ったので、婦長も、「もちろんです。マックスは、私たちのホームの一員ですから」と言った後、マックスに向かって、「みんな誇りに思ってるわ」と声をかけざるを得なくなる。4人のグラスに飲み物が注がれると、ヴィエラは、「皆さん、本日をもって、ワイルド・セブンに新しいメンバーが加わりました」と宣言する。キリアンが 「マックス、君は本当の名探偵だ」と言うと、ヴィエラが 「いつかきっと、お父さんを見つけ出せるわ」と、ホルストが 「でなきゃ、俺たちが手伝う」と言う。そして、4つのグラスが上がって乾杯する(3枚目の写真、矢印は7番テーブルの「7」)。映画は、半日経っても、タランチュラを手に持ったまま動けないオーレのシーンで終わる。