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Alexander アレキサンダー

アメリカ映画 (2004)

古代史を描いた超大作『アレキサンダー』で、アレキサンダーの少年時代を演じたのがコナー・パオロ(Connor Paolo)。長尺の映画なので(4種類あり175~215分)、14分弱しかない少年時代は全体の8%以下でしかない。それでも、コナーの存在感は大きい。アレキサンダー大王の少年時の有名な逸話、愛馬ブケファロスとの出会いの場面があるからだ。

『アレキサンダー』の少年時代は4場面。レスリングの練習(1分半)、アリストテレスの講話(3分半)、ブケファロス(5分)、半神の壁画(3分半)の4つで、すべのシーンに、王としての資質を高めるような言葉、未来のアレキサンダーを彷彿とさせるような言動が散りばめられている。大人になってからの本編に冗長な場面が多いのと比較して、短い分、密度は濃い。それに何といっても、大人になったからのアレキサンダー(Colin Farrell)に比べて遥かにハンサムな少年アレキサンダーを見ているだけで楽しい。

コナー・パオロは、信じられないほど、気品のあるりりしい美少年だ。前作の『ミスティック・リバー(Mystic River)』でケヴィン・ベーコンの子供時代を演じていたのとは別人のようだ。本人は黒っぽい髪なので、きれいな金髪はカツラ。しかし、髪の色だけでこうも違うとは思えないので、下町のガキと王子との役柄の違いをきちんと演じ分けているせいであろう。


あらすじ(該当部分のみ)

如何にもギリシャらしい列柱で囲まれた場所で、5組ほどの少年たちがレスリングをしている。師範が、順番に声をかけて奮闘を促す。アレキサンダーの相手はヘファイスティオン。生涯の友となる人物だが、この頃のアレキサンダーはどうやっても彼に勝てない。この日も背負い投げの後、組み伏せられ腕を取られて身動きができない。師範が、「王に期待されるものは、血筋ではない。戦場で兵たちに命じることを、自ら できるか。その一点だ」と諭す。勝ったヘファイスティオンを褒め、食い下がるアレキサンダーには「よくやったが、負けだ」。そして、互いに相手を讃えさせる。ヘファイスティオン:「勝たせて欲しかった?」。アレキサンダー:「そうとも。でも約束する。いつか勝ってみせる」。
  
  
  

世界地図のモザイク床の上で、あの有名なアリストテレスが少年たちに講話を。「劣った民族にもかかわらず、ペルシア人は知られた世界の5分の4を支配している…」。云々。アレキサンダーが質問する。「もし我々の方が優れているのなら、なぜ彼らを統治できないのですか?」「東方は、我々ギリシャ人の夢なのに」。この、アレキサンダーが将来実現させる “夢”に対し、アリストテレスは「東方とは、男たちの命や夢を吸い尽くす所なのだ」と、これも将来のアレキサンダーの苦悩を的確に予言している。この講話では、もう一つ重要な話題が取り上げられる。古代ギリシャでは普通に行われていた男同士の愛についてだ。アリストテレスは、「男同士が共に暮らし、知識と美徳を交わせるのなら、それは純粋で卓越している」「互いに競って長所を引き出せるのなら、その愛は、都市国家を築き、この沈滞から引き上げてくれる」と賞賛する。それを聞いて微笑むアレキサンダー。彼とヘファイスティオンの、死に至るまで続く “愛” を予見させる。
  
  
  

アレキサンダーと愛馬ブケファロスとの逸話のシーン。大勢の群集の前で、一頭の黒い馬が暴れている。王の近衛隊長のクレイトスでも振り落とされる。「方陣に戻ったらどうだ。わしが乗ってやる」と王。「陛下、けだものには誰も乗れません」とクレイトス。この顛末を見ようと、アレキサンダーが母の隣の席に飛び込んでくる。王は馬に寄っていくが、棒立ちになった馬に、「神経質すぎて戦(いくさ)に使えん、食肉にしろ」と宣告。すかさずアレキサンダーが、「私に買って下さい、父上。私が乗ります」と声を上げる。「乗れなかったら」。「私が払います」。「この馬は 誰にも乗れん。気が狂っとるぞ」。「乗れます… 私なら」。
  
  

馬に寄っていくアレキサンダー。諭すように馬に話しかける。「自分の影が嫌いんだろ?」「悪霊に憑かれるみたいで」「見てごらん、私たちの影だ」「アポロンの策略だよ」「神なんだ… 太陽の神」「だしぬいてやろう… お前と私で」。
  
  

そして、馬を優しくなでる。手綱をつかんで一気に馬の背に乗ると、「しーっ」と宥める。さらに、囁くように、「ブケファロス」「そう呼ぶことにしよう」「“力強く頑固”」「ブケファロスとアレキサンダーだ」「さあ」「一緒に行こう」。
  
  

彼方の丘に向けて走り出すブケファロス。歓声を上げる群衆。臣下に自慢する父王。喜びに溢れるアレキサンダー。
  
  

丘まで行き着き、彼方の群集を振り返る。「さあ、ブケファロス、見せてやれ」。そして、再び駆ける。一心同体になって。再び大歓声に迎えられる
  
  

父が「わしの息子!」と叫んで、高々と持ち上げてくれる。喜びにひたるアレキサンダー。
  
  

半神の壁画の描かれた洞窟を、父王に見せてもらうアレキサンダー。アキレスを見たアレキサンダーは、一番好きだと話す。「若くして死に、栄光を残しました」。「別の生き方は?」。「長生きはできたでしょうが、栄光はありません」。そして、「いつか、僕は壁画になるでしょう」とも。ヘラクレスの絵まで来た所で、父王が真剣な表情で、こう語る。「アレキサンダー、生まれながらの王などいない。王になるのだ、奪い取ることで」「王は、愛する者を傷付けることも 知らねばならん」「孤独だ。ヘラクレスに訊くがいい。運命は酷いものだ」「如何に男が強く、女が美しくとも、凶事からは逃れられん」「高みに登り過ぎると、築き上げたすべてが砕かれる」「神々は、一旦は栄光を与えるが、最後には奪い去る」「我々は神々の奴隷でしかない」。父王の手を労わるように握るアレキサンダー。
  
  
  

最後に、成人になってからのアレキサンダーとブケファロスの写真を2枚。ともに、史上最大とされるガウガメラの戦いでのカット。紀元前331年10月1日に行われた、4万7000人のマケドニア軍と、20-25万人と推定されるペルシャ軍の一大決戦だ。その様子は、3枚目の写真でよく分かる。右側に線上に並ぶのがマケドニア軍の長槍の密集方陣の歩兵、左側の左上隅まで密集しているのがペルシャ軍の本体、その前方を疾走しているのが戦車や騎兵だ。空を飛ぶのは、最高神ゼウスのシンボルの鷲(アレキサンダーはゼウスの子と言われていた)。
  
  
  

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