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Amelia アメリア/永遠の翼

アメリカ映画 (2009)

今でもアメリカで人気のある アメリア・イアハート(1897-1937)の伝記映画。そのごく一部に、美少年ウィリアム・カディ(William Cuddy)が登場する。この映画での役どころは、主人公のアメリア・イアハートの支援を受けてアメリカ初の航空通商局長となったユージーン・ルーザー・“ジーン”・ヴィダルの長男ユージーン・ルーザー・“ゴア”・ヴィダル。ゴアというのは、妻のニナ・ゴアから受け継いだ由緒あるゴア家の名前。アメリカの系譜サイト(https://www.ancestry.com)では、ニナ・ゴアの父親の7代前まで遡ることができる(17世紀後半)。因みに、2000年の大統領選でブッシュ氏と最後まで争ったゴア元副大統領は、同じゴア姓でも接点はない。しかし、こちらの方も、17世紀中葉まで遡ることができる名家だ。本題のアメリア・イアハートだが、有名なリンドバーグは、1927年5月20日7時52分にロングアイランドのルーズベルト飛行場を離陸、33時間30分の飛行後パリのル・ブルジェ空港に着陸し、初の大西洋横断飛行を成し遂げた。それに遅れること5年、1932年5月19日、イアハートはテターボロを2人で出発、途中カナダのセント・ジョンで休憩し、ニューファンドランド島のグレース湾でトマト・スープを飲むと、リンドバーグの出発日と同じ5月20日の18時に離陸した〔ここからは単独行〕。イアハートのLockheed Vega 5B機は、14時間56分後に、北アイルランドのデリー北方のカルモアの牧場に降り立った。パリまではまだ1000キロ弱残していたが、大西洋を横断したことには変わりなく、女性初の大西洋横断飛行として高く評価された。イアハートを「忘れがたい人」にしたのは、最後の挑戦となった赤道上世界一周飛行。1937年6月1日、イアハートは航空士のノーマンを伴い、大型のLockheed Electra 10E機でマイアミを離陸、その後は、下の地図に示すようなルートで各地を転々としながら6月29日にニューギニアのラエに到着。そこから太平洋を越えてハワイに達するためには、どうしても途中の小さな無人島ハウランドで給油するしかなかった。機体を軽くして7月2日10時頃にラエを離陸し、島に向かったが、現地時間(ハウランド島)の朝8時43分の無線連絡を最後に連絡が途絶えてしまう。その後の捜索には400万ドル(現代換算で約75億円)が投じられ、大日本帝国海軍も協力したが行方不明のままだった。1988年から開始されたThe International Group for Historic Aircraft Recovery(TIGHAR)の調査により、イアハート機がニクマロロ島(地図参照)付近に着水し、イアハート自身は島で1-2年生存していたらしいことがほぼ証明され、2016年11月2日に一斉に報じられた〔例えば、CNN:http://edition.cnn.com/2016/11/01/world/history-rewritten-amelia-earhart-trnd/〕。ニクマロロ島はハウランド島の南南東650キロにあり、ラエからの距離は4124キロと4267キロ。飛行距離はほぼ同じでも、飛行方向が9度も南にズレていたのでは島に着くはずがない。航空士ノーマンは、ハウランド島への誘導だけのために乗っていたようなものなので、彼の致命的なミスだった。
  

ウィリアム・カディは、主としてTVで活躍した子役。この映画では、名家の嫡男らしい上品さが際立っている。映画出演は3本で、カナダ映画『Breakfast with Scot(スコットと朝食を)』(2007)では、映画の最初に、人気のアイスホッケー選手のトムが引退する契機となった場面でチラと登場する。好きだった選手に無視され、大嫌いになったファンの役なので、上品さとはほど遠い。彼が一番主役に近かったのは『The Dogfather』(2010)だが、犬の主人公の映画は趣味ではないので、この作品をもって代表作としたい。
  


あらすじ

イアハートが女性初の大西洋横断飛行に成功した後、次の冒険飛行のための資金集めの講演会で、父と一緒にボックス席に来ていたゴア少年がサインをねだる。「ミス・イアハート?」。上(ボックス席)の方から差し出された紙なので、イアハートも丁寧に答える。「お名前は?」。「ゴアです」(1枚目の写真)。「立派なお名前ね」。「ええ、でも あまり好きではありません」。その時、一緒にいた父が声をかけてくる。「母親のせいでね。家名を大事にしてる。植民地時代から続いてるから」(2枚目の写真)。アメリアが「よろしく」と微笑む。会場から外に出る階段は、イアハートを一目見ようとする女性たちでぎっしり。「まあ、ここを通り抜けるの?」。「2人のヴィダルが守りますよ。安心なさい」〔ヴィダルが父と子の姓〕(3枚目の写真、ゴアの憧れるような顔が印象的)。これが、イアハートとヴィダルの〔映画上の〕初顔合わせ。ヴィダルは、先に述べたようにアメリカ初の航空通商局長となり、「冒険家の乗り物」だった飛行機を、「民間人が乗れる空の足」にした人物だ。映画とは関係ないが、ゴアは後年、有名な小説家となる。
  
  
  

イアハートは、出版社のオーナー、パットナムと1931年に結婚していたが、その家に、親しくなったヴィダル親子が招かれる。車が止まり、飛び出してきたゴアを抱きとめるアメリア(1枚目の写真)。ゴアが如何にアメリアにお熱かがよく分かる。アメリアも、「週末の訪問、待ちきれなかったのよ」と大歓迎〔アメリアはゴアの父親に惚れている〕。食事が済み、一足先に寝室に行ったゴアから悲鳴が上がる。「助けて! 虎だよ!」。これは、寝室の壁紙が「ジャングルに潜む虎」の絵になっていたため。すぐにアメリアが駆けつける。そして、「大丈夫よ」と安心させると、「この部屋に、どうしてこんな壁紙貼ったか分かる?」と尋ねる。「いいえ、でも 貼らない方がよかった」。アメリアは、ゴアの頬に手を触れ、「私は、ジャングルがとっても怖いの。だから、この部屋に来て勇気を試すのよ、アメリカの奥地にいるつもりになって」と説明する(2枚目の写真)。ベッドに横になったゴアは、アメリアが部屋を出て行こうとすると、「ミス・イアハート」と呼び止める。」そして、「お父さんと結婚してもらえません?」と頼む(3枚目の写真)。「そしたら、二度と怖がらなくてすむから」。「私は、パットナムさんと結婚してるの」。「なぜ、パットナムさんとお父さんの両方と結婚できないの?」。ヴィダル親子が去った後、パットナムは、「私が家にいる時、ジーンがいるのは構わんが、家にいない時は… そんなことは受け入れられん(I can't have it)」と強くアメリアを牽制する〔ジーンは、ゴアの父親〕。
  
  
  

ウィリアム・カディにとって、短いが最後の出番。アメリアが赤道上世界一周飛行に出発してから、ゴアはずっとラジオで動向をフォローしている(1枚目の写真)。放送が、アメリアのことになると、「父様! ニュースだよ!」と呼ぶ。アナウンサーの声が入る。「…しかし、大雨で足止めされています。彼女は最後の目的地カリフォルニアに向かう前に、バンコク、そして、パプアニューギニアを経由します」(2枚目の写真)。
  
  

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