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Erik of het klein insectenboek 昆虫の国のエリック

オランダ映画 (2004)

ヤスパ・オルデホフ(Jasper Oldenhof)主演の、ユニークな異世界旅行映画。CGをほとんど使わず、人間であることを意図的に分からせるような着ぐるみで、各種の昆虫を表現している。それが決して安っぽくなく、独特の世界を表現しているところが面白い。ハリウッド映画では『オズ/はじまりの戦い』(2013)が一番近い雰囲気だが、こちらはフルCGだ(当然、制作費も嵩む)。昆虫ごとの個性の出し方、舞台設定や小道具、台詞まわしもなかなか凝っていて、結構楽しむことができる。

小学校の授業の課題発表がなかなかできないエリックが、納屋の屋根裏に置いてあった古い「羊の草原」の絵の世界に入り込み、様々な体験をする物語。エリックを絵の世界に送り込んだのは、近くに放置されていた写真の中のエリックの高祖母。絵の世界の中で、スズメバチ、ハエ、マルハナバチ、カタツムリ、テントウムシ、ヤスデ、アカイエカ、バッタ、カブトムシ、キアゲハ、ガ、クモ、モンシデムシ、モグラ、ミミズ、アリ、キクイムシに会う。カタツムリ・ホテルで多くの昆虫と出会ってもてはやされ愚弄され、賢者のミミズからは死んだ父のメモ「人生は祭典だ」を受け取り、キクイムシが額縁に開けてくれた穴から元の世界に戻る。そして、課題発表は大成功でハッピーエンド。難しいメッセージは何もない。ただ、奇妙な世界での体験をエリックと一緒に楽しめばそれでいい。

ヤスパ・オルデホフは、如何にもオランダの少年。オランダ映画に登場する子役は多いが、どの子も個性的で、あまり可愛い子はいない。演技はそれなりに上手なので、これがオランダの標準なのかも。ヤスパは、昆虫の国にいる間中、裸足にパジャマだけの服装で通しているが、原作を踏襲したものとはいえ、寒くて大変だったのではないかと思う。


あらすじ

学校の授業で、自由課題の発表の時間。1人の発表が終わり、先生が「エリック、次は君」と指名する。「まだ、完全じゃないんです」。「完全じゃない? それ、どういう意味なの?」。「終わってないんです」。「終わってない? 3週間も経って?」。「エリック、発表は義務よ。もう2回も延期してる。いつ終わるの?」。返事がない。「そ、じゃあ、明日 発表なさい」。そして、「テーマは?」と訊かれ、たまたま窓に巣食っていた蜘蛛を見て「昆虫です」と答える。やる気が全くない態度。その夜は、祖父の家で泊まることになっていた。郊外の庭の広い家だ。一緒に庭を歩きながら、「昆虫はいつも忙しい。教わらなくても生きていける。本能でな」と教える祖父。「本能は、生れながらの常識だ。お前にもある」。「僕らは、昆虫より大きいし、賢いよ!」。「それは、お前の意見だ。虫はどう思っとるかな?」「蜂や、他の虫が会話できると知ってたか?」。「まさか」。「事実だ」。そして納屋の屋根裏へ連れて行く。
  
  

そして、棚から古い絵を取り出して、家具に立てかける。絵と一緒に置いてあった本を見るエリック。祖父は、「この本は、絵と一体だ」「絵にあるものは、すべて本に書かれておる」。最初のページに書かれていた署名を見て、「エリック・ピンストフロム。これ、僕?」。「いいや、お前のパパだ」「パパは、何時間もこの本を読んどった」「この、『羊の草原』の絵と見比べてな」。絵の下の方を指差して、エリックが「見て、虫だよ」。「それは、ミミズだ」「ただの虫じゃない」「天才ダーウィンの言葉に、『世界中の生き物の中で、ミミズほど重要な役割を果たしたモノは多くはない』というのがある」「見習うんだな」と祖父。祖父が夕食の準備に行っている間、エリックは居眠りしてしまい、寝る時間になっても課題は何もやってない。ベッドに入り、持ってきた本が気になり、そこに挟んであった紙切れを読む。「…奇妙な絵の」「…住んでいる さすらい人だ」「…偉大に生き」「…残りはただの昆虫だ」。紙は半分に引き裂かれ、右側しか残っていないので、意味不明だ。しかし、紙切れの下には、さらに書き込みがあり、「この紙の片割れは、虫のトンネルで見つかるだろう」とある。エリックは、「虫? ミミズのことだ! 羊の草原の絵だ!」と興奮し、パジャマにゴム長靴を履いた姿でこっそり納屋に行く。そこで、絵を見ていると…
  
  
  

くしゃみの音がし、エリックが懐中電灯を向けると、絵の中の人物が動いている。「わしはもう我慢できんのだ。ここは、実に埃っぽくてな」。「あなた、話せるの?」とエリック。「お前さんだけにな」。その絵は、エリックの高祖父だった。高祖父の絵に頼まれて、箱の中から高祖母の写真を出すと、今度は写真がガラスを割って出て来て、「かび臭い箱の中にいるのは、もう我慢の限界」「ねえ坊や。ご親戚かしら?」。絵の高祖父に比べ、写真なので非常に小さい(1枚目の写真で絵の前に座っているのが高祖母、その右が写真立て、さらにその右に高祖父の絵)。なぜ夜中に起きているのかと訊かれ、「学校で、昆虫について発表するの」とエリック。そして、「僕、本の中で、変なメモを見つけた」と話す。そして、「さすらい人って?」と訊く。「一つの国では、生きられない人よ」「それってミミズの哲学ね」。「哲学って?」。「人生で、一番大切なことを真剣に考えることじゃ」。「ミミズに聞いてみたい」。「会いたいの?」「叶えてあげるわ」。高祖母が、傘をくるくる回しながら歌うと(3枚目の写真)、突然エリックの姿が消え、パジャマとゴム長靴だけが床に落ちている(4枚目の写真)。「ヘンリエッタ、彼はどこじゃ?」。「この辺りにいるはずよ。どこなの、坊や?」。ゴム長靴の中から全裸で這い出してきた小さくなったエリック。「おばあちゃん、何とかしてよ」(5枚目の写真)。傘を1回開くと、今度はパジャマ姿に変身(6枚目の写真)。そして、「坊や、額縁の端に立って」。「ここ?」。「行きたいのね、エリック?」。「もち!」。今度も傘と歌。そして、エリックは、絵の中へと落ちて行った(7枚目の写真)。他には見られない独自の「入り方」なので、詳しく紹介した。
  
  
  
  
  
  
  

空から草の間に落ちてきたエリックは、葉の上に何度も落ちて減速し、茎を滑り降りて地面に到達。そこに、高祖母が投げ込んだ本が頭に落ちてきた。最初に遭ったのは、ゴルフをしているスズメバチ。そこに巨大な靴が向かってくる。必死で逃げるエリックたち。スズメバチは「高価なゴルフセットが、UWOに壊された」とカンカン。「それ何?」。「未確認歩行物体だ」(UFOのもじり)。「自然現象の一種で、災害だ」。そのまま家に無理矢理連れて行かれる。浴室に置いてあった頭ほどの透明な球体。エリックが突くとはじけてずぶ濡れになる。雨水の一滴も絵の中の世界では巨大なのだ。こうした小道具が面白い。スズメバチから、「君は、どこから来たんだ?」と訊かれ、「額縁を越えて、人間の世界から」と答える。「若いのに、ユニークな発想だな!」。その後、ベランダからミツバチの巣を見せられ、さっき襲われた物体について、「UWOは人間の足だ」「人々は蜂蜜を食べる。美味しいから」とうっかり言ってしまう。「ちょっと待てよ」「お前、人間の世界から来たとか言ってたな」。「今の僕は昆虫だよ。針だって持ってる」とさらに失言。「そうか? どこに?」と訊かれ「パンツの中」「外に出すと、しわくちゃになっちゃうんだ」。「じゃあ、見せてみろ!」。「そんなの、やだ」。「やっぱり、持ってないんだ。覚悟しろ!」と槍のような針を突きつけられ、しぶしぶパジャマから覗かせるエリック。「ちっこいな」。「そう、言っただろ」。これほどまでしたのに、疑り深いスズメバチは、「シロか、クロか…」「シロだとは思うが… すぐさま、追い払え!」と召使のハエに命じ、エリックは外に放り出される。
  
  
  

垂直に落ちた先は、ホコリタケの上。クッションにはなったが、全身粉まみれになる。そこにマルハナバチが登場。「僕、こんなに汚い。何とかしてよ」と頼むと、「いいか、息を止めて!」と言い、羽を高速でバタバタさせて、きれいに粉を吹き飛ばしてくれる。そして、「終わった」「お礼は、微笑で」。タクシーもやっているので、無料で乗せてくれる。背中に乗って草の上を飛ぶエリック。「おばあちゃん、僕、飛んでる!」と大喜び。そして、「でも、変だな」。「変って、何が?」。「これって、絵だったハズだけど。本物みたいだ」。「何、言っとる。これは本物だぞ」。エリックはさらに、「考えたこと、ないの?」「世界の果てはどこで、その向こうに何があるか」。夕方だったので、マルハナバチは、カタツムリ・ホテルの前で降ろしてくれた。
  
  
  

エリックはホテルに入り、「今日は。誰かいますか?」と呼びかける。すると、穴から目玉が伸びてくる。「お泊りですか?」。反対側からも目玉が伸びてきて、「そう、お泊まりで?」。「君たち、何かの一部なの?」。「そう、カタツムリの目。ここの主人です」。「どっちと、話せば?」。「私と。右目は少し近眼ですから」「ご用の向きは?」。「一泊、いくら?」。「お気持で結構です」「シャワー付きの部屋は、いかが?」。廊下には、客室のドアの横に光虫の照明が並び如何にもホテル風。部屋の番号が数字でなく、番号の数だけ棒が並んでいるのが可笑しい。部屋の中は広く、ベランダも付いている。エリックは、パジャマ姿なので、ゴム長靴だけ脱いでそのままベッドへ。光虫のお尻をひねって暗くして寝る。
  
  
  

朝。さっそくシャワーを浴びる。天井から下がっている棒を倒すと、スズメバチの家にあったような水球が転がってきて、潰れると、シャワーのように降り注ぐ仕組みだ。前にも書いたが、光虫の照明といい、シャワーといい、小道具が面白い。
  
  

テントウムシが、「朝ですよ」「起きて下さい」と朝刊を持ってくる。「ありがとう」。「すごいUWOでしたね?」「でも、人間のせいですって」「簡単に見分けられるとか」「変な物を履いてるんですって」。エリックは、あわてて履いていたゴム長靴を隠す。これ以後ずっとエリックは素足だ。朝食は、朝食ルームで。大勢の宿泊客が、朝刊を読みながら食事をしている。蚊のいるテーブルに座ったエリック。「新顔君。あんた、そうなの?」。「そう、新顔だよ」。さらに、「こんなに尖った鼻、見たことない」「刺されても、気付かれないよね」と言うものだから、「私を、知ってるの?」と聞かれ、本を取り出す。「ああ、ここだ。キュレックス・ピピエンス、アカイエカだ」。他の昆虫の名前を訊かれ、本を見て答えてやる。何度目かに、「俺は、誰だい?」と訊かれ、「あれ、ドイツの昆虫よ」「あんた、ドイツのカブトムシでしょ?」という会話から、「なら、フォルクスワーゲンだ」という返事も面白い。「君は、どんな種類の昆虫なんだ?」という質問には、「本の虫」と答える。部屋に戻って、上半身裸になった時にテントウムシが入ってきて、「あなた、皮を脱げるの?」と言って触られる。「この皮、他の皮よりずっと素敵ね」「滑らかで」「触っていい?」。「もう、十分だろ」と嫌がって追い出すエリック。
  
  
  

ノックの音がして、アカイエカが部屋に入ってくる。本の虫に教えてもらおうとやってきたのだ。「今から、池で産卵したいの。素敵な天気でしょ。で、知りたいの。問題ないかしら?」。「でも、君、昆虫だろ? 知ってないと。本能あるよね?」。「知ってると思ったわ。でも、その本 万能よね。失敗は困るの。本を、見て下さる?」。そこでエリックは、「産卵は夏でも秋でもいいって。だから、どうぞ」と読みながら言う。蚊は、「ありがとう、本の虫さん」とキスをするが、その後、エリックが頬をポリポリ掻くのがユーモラスだ。その後もエリックの部屋には昆虫が押しかけ、質問攻めに。カタツムリからの要請で、大広間で質問に答えることに。大人気に鼻高々のエリック。
  
  
  

帰りに、大広間に来なかった隣の部屋のヤスデに話しかける。「知りたいことは、ないの?」。さらに、ヤスデなので脚が一杯あり、たくさんの靴をせっせと磨いているので、「自動靴磨き機だね」と冷やかす。さらに、「楽しいよ。いろいろ訊かれるなんて」と続けるが、ヤスデは、「今は、みんなに好かれて親切にされてる。だが、そのうち逆襲に遭うぞ」。そして、アゴに靴を突きつけ、「奢れる者 久しからず」と諭す。エリックが朝起きると、外は大騒ぎ。昨夜質問に来た蚊の母親が、「警告したでしょ! 秋に、産卵しちゃダメだって! 私の意見を無視して! 経験者で母親なのに。代わりに、本の虫の意見なんかに従って! あの、はったり小僧のせいよ! 畜生!」。部屋に逃げ帰るエリック。本を読み返し、「冷涼で、雨の多い北の国を除いては」という小さな文字の注意書きを見落としていたのに気付く。しかし、今やエリックは詐欺師扱い。ヤスデ以外の全員が、とっちめようとホテル中を探し回っている。
  
  

一方、エリックは、昨夜、芋虫からサナギになった宿主の部屋を心配して訪ねていた。サナギの殻が破れ、何も残っていない。さっき見た蜘蛛に食べられてしまったに違いないと悲しんでいると、そこに蝶が姿を見せる。しかし、エリックを探していた一団も同時に部屋になだれ込んできて、「どの面下げて、謝る気だ!」と糾弾する。一団が蝶に気を取られている隙に、エリックは本のページを一部破いてばらまき、蝶と一緒に逃げ出すが、結局発見され、ヤスデの部屋から外に逃げ出す。蝶に乗ろうと、腕をバタバタさせて「こんな風に」と教えるが、蝶はなかなか飛べない。ヤスデの「蝶よ飛べ! 本能に従え!」の叫びで、ようやく飛ぶことができた蝶。エリックも蝶も、部屋代を踏み倒して逃げ出した。
  
  
  

蝶と一緒に赤いポピーの花園に来たエリック。「絶景だね!」。本を調べ、蝶はキアゲハだと分かった。その時、雌のキアゲハが現われ、さらにそれを狙う蛾も飛んでくる。雌に気はあるが、怖くて蛾に近づけない雄に代り、エリックは、草の羽根を背中に縛り付けて蛾をおびき寄せ、キアゲハ同士を合わせてやる。しかし、声をかける勇気がなくすごすごと戻ってきた雄に、「僕と会ってくれるか訊ねてくれよ、ね?」と頼まれ、再び羽根を付けて寄って行く。結構いい感じで雌と仲良くしていると、雄が寄って来て、今度は嫉妬する。最後は、雌を襲う蛾を、エリックの作戦で打ち破り、2匹のキアゲハは熱々になる。そして、ミミズの所まで連れて行くことは断られた。エリックは、仕方なく、葉っぱの舟を漕いで行くことになった。
  
  
  

漕いでいると、当然、白い糸が舟を襲い、陸に逃げたエリックにも白い糸が飛んでくる。それに触れたエリックは手が離せなくなる。上から襲いかかる蜘蛛。エリックは近くにあった枝の棘を何とか折り取り、蜘蛛を刺し殺すことができた。
  

蜘蛛の重みで気絶したエリックが目を覚ますと、土の穴に横たえられ、数匹の黒い虫が覗き込んでいる。「残念だ、てっきり、死んでるかと」。「残念だ? 僕は、生きてるよ」とエリック。虫たちは、「だが、気分 悪いんだろ?」「フラフラする?」と早くエリックに死んで欲しい様子だ。「君らは、何だい?」とエリックが訊くと、「モンシデムシさ」「死んだ虫を、数日埋めておいて腐らせる」「風味が増したら掘り出す」「熟成させるほど味が良くなる」と気持ち悪い話をする。エリックがミミズの所に行きたいと言っても、「お前は、どこにも行かないさ」「お前を見つけた俺たちのものだ」。エリックが振り切って行こうとしても、邪魔をし、「提案がある。ウチに来いよ」「もし、まだ元気だったら自由にしてやる」「違ったら、俺たちの夕食だ」。「そんなの一方的だ。僕には用がある」と抵抗するが、強制的に地下の家に落とされる。その時、ちょうど雌が夕食を持ってきた。ハエの脚の料理だ。食卓について、「さあ お前のだ」と言って出された腐ったハエの脚の煮込み。吐きそうになるエリック。「お腹、空いてないよ」。「きっと、気分が悪いんだな」「穴を掘ってくる」。「穴を掘るって?」「元気だってば! 本当だ! 元気なら、自由にするんだろ?」。「遅かれ早かれ、気分が悪くなるさ」「どんどん悪くな! 時間なら山ほどある」。「そんなの約束違反じゃないか!」。ここに救いのモグラ登場。振動で家が崩壊する。家具の陰で何とか埋まらずに済んだエリック。光虫を掲げて、洞穴へと入って行く。
  
  
  

洞穴を進むうち、幸いミミズに遭遇。最初はしっぽだったが、黒メガネの頭部も顔を出す。「君は誰なんだね?」。「僕はエリック・ピンストフロム」。「とうとう来たな」。待っていたのだ。エリックはいろいろ質問する。「死なないって、ほんとなの?」。「それは、何が生で、何が死かによる」。「もし パパが生きてたら…」。「でも、生きてるだろ、君の頭の中に」。そして、後ろの壁を指す。そこに、紙切れの左半分があった! 2枚の紙を合わせると、「我々は皆、奇妙な絵の」「額縁の中に住んでいる さすらい人だ」「このことを知る者は偉大に生き」「残りはただの昆虫だ」となった。すると一旦字が消え、「人生は祭典だ」という文字に変わった。父が、まさにこの場所にいたことを知って、喜ぶエリック。壁には、さらにハモニカも。エリックの吹くハモニカに合わせ、ミミズの黒メガネを通して、虫たちの大合唱が見える。「生は祭典だ!」。踊っていてミミズの胴体がからまってしまい、「アリの村へ行って救助依頼」をと頼まれる。
  
  
  

エリックが、地表を掘って頭を出すと、そこにアリの軍隊がいて、指令官の所まで連行される。指令官は、「君の話は、耳に入ってるぞ。とても賢いという話と、実に無知だという話だ」「どっちが 正しい?」。エリックは「難しいね。中間のどこかだから」。エリックは、ミミズの救出を依頼し、額縁の在りかを尋ねる。「未知の土地だ。どのアリも入ったことがない」「多分、世界の果てだろう」。そこは、真っ白な土地だった。「禁断の地だ!」と叫ぶアリに、「おいでよ」と誘うエリック。
  
  
  

エリックは、直線的に伸びる木の壁にぶつかった。額縁だ。トントン叩き、「キクイムシさん?」「いとこのミミズさんが、よろしくって」と言うと、いきなり中から鋸が出てきて、円形の穴が開いた。中から出てきたのはキクイムシ。「さあ 早く、エリック」「あっちじゃ、夜明けが近い」「急げ!」と穴に押し入れられる。
  
  

エリックが目覚めると、絵の横に寝ていた。今までのことは夢だったのか、本当に起こったことだったのか? 高祖母の写真立ての割れたガラスが残っている。本のページは一部裂かれ、2枚目の紙切れもある。実際にあったことなのだ。
  
  

学校での発表。エリックは、学校に絵を持って行き、絵の中での体験をそのまま演じてみせた。最後に額縁の自分の出てきた小さな穴を見せ、「今となっては、楽しい思い出です」と発表をしめくくる。「素晴らしかったわ!」「驚くべき 空想の世界ね!」と絶賛する先生。生徒達からも惜しみない拍手が。
  
  

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