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Insidious インシディアス

アメリカ映画 (2010)

タイ・シンプキンス(Ty Simpkins)が8-9才の時に出演したホラー映画。幽鬼に取り憑かれて昏睡状態になる役なので、本来の姿を見ることができるのは、最初の10分と、最後の1分しかないが、これ以上小さい時の映画は、タイらしさがないので、そういう意味では貴重な映画。

映画は、アメリカ人が好きな「引っ越してきた一家が怪奇現象に襲われる」という映画。『インシディアス』では、遺伝性の幽体分離の傾向のあるダルトン少年が、分離した際に幽鬼の支配下に置かれ、肉体は昏睡状態に陥ってしまうという展開。私はオカルト映画はほとんど観ないので、語る資格はないが、結構斬新なアイディアではないかと思った。ただし、拘束されているダルトンの魂を救いに幽界に入っていく雰囲気は、何となく、前年に作られた『ザ・ホール』の最終場面を思わせた。

タイ・シンプキンスは、髪を暗く染めているので、光るような金髪は見られない。それと、まだ幼いので、タイらしい雰囲気があまり感じられない。以下のあらすじは、タイの登場場面に限定している。


あらすじ

大きな家に引っ越してきたばかりの一家。父母と、小さい兄弟と赤ん坊の5人家族だ。長男がタイ演じるダルトン。映画は、眠れなくて早朝起き出してきた母が、ダンボールの上に置いてあった5冊の本を本棚に入れるところから始まる。時間潰しに昔のアルバムを見始めると、そこに「ママ?」と声がかかり、ダルトンが、元気のない顔で姿を見せる。「こんな時間にどうしたの?」。「僕の部屋、嫌いなんだ」。「大丈夫、すぐに慣れるわ。ママも 眠れないの」。「何見てるの?」。「昔の写真。見たい? これ 誰だか分かる?」。「ううん」。「ママよ」。「別の人みたい」と言って笑う(1枚目の写真)。「そう、私なのよ。ママなの。昔は子供だったから。嘘みたいでしょ」。「年取っちゃったね」(2枚目の写真)。「いくつだと思う?」。「すごい年」。「当ててみて」。「多分、少なくても… 21かな?」。といって、また笑う。この辺り、タイらしくて可愛い。その後、「パパの子供の頃の写真は?」と訊く。1枚もないのだが、これが重要な伏線となる。
  
  

ようやく朝食の時間。父や弟もキッチンに揃う。バスケットに盛ったフルーツから緑のリンゴを取った父。食べようとして、「これ何だ? ロウ細工か?」。それを見上げるダルトンの嬉しそうな顔(1枚目の写真)。恐らく、この家を見に来る客用の飾りなのだろう。一方、先ほどの居間に戻った母は、さっき本棚に入れたハズの5冊の本が、床に散乱しているのに目を留める。非難はダルトンに向けられる。「本を見てもいいけど、床に放っておかないでね」。不当な非難なので、不満そうな顔のダルトン(2枚目の写真)。この落ちた本こそが、“怪しいモノが家にいる” 最初の兆候だった。
  
  

その日の夜、ダルトンは天井裏から聞こえてくる音に引き寄せられ、電気ランプを手に、1人で真っ暗な部屋に上がって行く(1枚目の写真)。そして、天井の裸電球を点けようと、ハシゴを登り始めるが、途中で段が折れて転落する。そして、上体を起こしたダルトンに、不気味な音が… ここで場面は、1階の居間に切り替わり、ダルトンの絶叫が聞こえてくる。落ちてから、時間が経っているので、痛みのためではない。前後関係から、この時点で、ダルトンに強制的な幽体離脱の第一段階が起こったものと推定できる。父に抱きかかえられてベッドに横になるダルトン。額に擦り傷ができている(2枚目の写真)。
  
  

翌朝、ちっとも起きてこないダルトンを起こしに来た父。近くで声をかけても起きない(1枚目の写真)。心配になり揺するが、こんこんと眠ったままだ。病院で検査を受け、医師から、「脳には損傷は見当たりません。症状としては、昏睡状態です。刺激には無反応で、睡眠覚醒循環もありませんから。しかし、脳の外傷や感染症もなく、検査結果はすべて正常です。正直に申しまして、このような症例は初めてです」(2枚目の写真)。この直後、映画は3ヶ月後に飛び、自宅療養になったダルトンに、看護師が、栄養チューブを鼻から食道へどうやって挿入するかを説明している。つまり、3ヶ月間、昏睡状態が続いていたことになる。
  
  

家では、いろいろと奇妙なことが起こり始める。ベビーベッドに置いたマイクから聞こえてくる男の乱暴な声。夜になって勝手に玄関の扉が開き、セキュリティ警報が響き渡ったこともあった。ダルトンに対する新しい検査でも結果はゼロ。看護師は、「もう少し様子を。もっと長く昏睡状態にあった患者が突然しゃべり始めた例もあります」と話すが、母は、「昏睡じゃないわ。病名も分からない。治療方法も分からないから、見放したのよ」。ダルトンの顔色は長期の昏睡状態にもかかわらず健康的だ(1枚目の写真)。映画なのでメイキャップはいくらでもできるので、この健康さは、持続する睡眠が病的なものではないことを示唆している。さて、この家そのものに強く不安を抱いた妻は、夫に転居を訴え、前よりはかなり小さな家に引っ越す。しかし、そこでも異常な現象は継続して起こる。追い詰められた妻は、夫に「あの家にいた何かが、一緒についてきた」と訴える。夫の母も、妻の肩を持つ。夫の母は、夢の中で、何かがダルトンの部屋にいた。そして、「誰?」と訊くと「訪問者」だと答え、「目的は何?」と訊くと「ダルトン」と答えたと打ち明ける。その時、夫の母が息子を見やると、すぐ背後に真っ赤な顔の化け物がいる。思わず叫ぶ母。そして、ダルトンの部屋からは凄い物音が。3人で駆けつけるがドアが開かない。体当たりで開けると、部屋の中はめちゃめちゃ。物が散乱し、ダルトンが床に横たわっている。駆け寄って、安否を確認する夫婦(2枚目の写真)。
  
  

この惨状に、妻は、「お願い、この子を助けて!」とすがる。夫の母は、「助けてくれる人を知ってるわ。頼みたいならだけど」と言い出す。その意見に従い、霊媒師のエリーズと2人の助手を招き入れる夫妻。エリーズは、ダルトンの状態は昏睡ではなく、幽体離脱だと説明する。つまり、肉体はここにあるが、魂は別の場所にあると。そして、前の家にいた “何か” がダルトンに取り憑いて、ここに移って来たとも。そして始まるエリーズとダルトンとの交信。最初は、ダルトンの魂との交信が続いたが〔助手が、ダルトンの言葉を紙に書く〕、突然、ダルトンの体が揺れ始め、ダルトンからの交信に「助けて!」の文字が続くようになると、交信は幽鬼に乗っ取られる。紙に並ぶ口汚い罵り言葉。そして、突然テーブルの前にダルトンが出現する。目は閉じたままだ。ダルトンが左手を伸ばし、手を広げ(1枚目の写真)、テーブルをドンと突くと、部屋にいた人々が吹っ飛ぶ。さらに、ダルトンは家具を投げ、他の幽霊を呼び寄せ、人々を襲わせる。エリーズはダルトンの頭をわしづかみにすると、「体から出ろ!」と何度も何度も叫ぶ(2枚目の写真)。そして、天井灯を助手が点けると、急にダルトンが崩れ落ちる(3枚面の写真)。幽鬼が逃げたのだ。
  
  
  

夫の母は、ダルトンの幽体離脱は、自分の息子〔ダルトンの父〕からの遺伝だと打ち明ける〔冒頭で、アルバムに1枚も子供の頃の写真がなかったのは、息子が8歳の時、エリーズを呼んで取り憑いていた寄生体を追い払い、記憶を遮断したため。息子に、記憶が戻らないよう、写真をすべて破棄したのだ〕。エリーズは、今ダルトンのいる異界から救い出せるのは、幽体離脱の能力のある父親しかないと主張する。息子を救うため、納得する父。エリーズによって催眠状態に置かれ、肉体から離脱し、ダルトンを救いに行く。向かった先は、数ヶ月前に住んでいた家の形をした異空間。その屋根裏にダルトンは捕まっていた。父が、泣き声に向かって進んで行くと、息子を見つけることができた(1枚目の写真)。父は、「これは現実じゃない。家に戻るんだ、いいな?」と勇気付ける。しかし、「大変、パパ、あいつが見てる」とダルトンが警告。目線の先には幽鬼が長い舌を出している。襲いかかる幽鬼から何とか逃れ、妻の呼び声に向かって真っ暗な中を進む父子。「パパ聞いて、あれママの声だよ」(2枚目の写真)。
  
  
  

ダルトンの体に魂が戻り、目が開く(1枚目の写真)。喜ぶ夫婦。次のシーンで、お腹が空いたダルトンは、母と祖母に挟まれてスパゲティをむさぼるように食べている(2枚目の写真)。映画は、しかし、無事に戻ったはずの父に、恐ろしいことが起きたところで終わる。
  
  

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