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Milo マイロ/多毛症の少年

オランダ・アイルランド映画 (2012)

最初はオランダ映画かと思っていた作品。それなのに、なぜ英語なのだろう? あちこち調べてみたが、この映画の作成にあたっては、アイルランドが密接に絡んでいることが分かった。オランダのサイトには、オランダ・アイルランド映画と書かれているし、アイルランドのサイトには逆のことが書かれている。撮影はダブリンと、そのすぐ南のウィックロー(Wicklow)。主演のマイロ役のローカンはアイルランド人。マイロの父もアイルランド人、母はルーマニア人。オランダ人の俳優は、マイロの祖父くらいだ。監督・脚本はオランダ人だが、作品はこれ1作のみ。オンライン上では、オランダ語での紹介が圧倒的に多いので、一応オランダを一番に、アイルランドを2番にしたが、俳優と言語からして、アイルランド映画と言った方が良さそうな感じもする。ただ、内容は、如何にもオランダ映画。いつもと違い、ここでは主な登場人物を紹介しておこう。マイロの父はブランド、母はナディア。マイロはおとなしい10歳の少年で、非常に稀な皮膚の病気・多毛症〔正確に言えば、先天性の局所性多毛症〕にかかっているが、このことはマイロには知らされておらず、毎日白い薬を上半身に塗ってこすること〔何を塗っているのだろう? 育毛遅延剤のエフロルニチンだろうか?〕が日課となっていて、学校の体育の授業の後、シャワーを浴びることを禁じられている。そのため、学校では、臭いからと虐めの対象にされる。マイロは突然の事故で今までの世界から切り離され、薬を塗れなかったことから発症し、今まで知らされていなかった秘密に怯える。マイロの父ブランドは、インターネット上で「風水」関連の商品を販売する成功した企業家。開発した商品をウェブキャストで販売している。そのため、自分や家族の体裁には非情に気を使っている。それが、彼を強迫観念に近い思考と、その結果としての無慈悲な行動に走らせる。彼にとって、息子の多毛症を知られることはビジネスへの危機でしかないのだ。マイロの母のナディアは、ルーマニアの出身で、時々息子とルーマニア語で話すが、夫はそれを極端に嫌っている。母は夫の権威に屈しているため、マイロの幸福は二の次になっていた。しかし、一旦、マイロが行方不明になると、彼女は、マイロの秘密を保つことよりも、息子の幸福を優先するようになる。これ以外の重要な登場人物は2人。マイロが会う順に言えば、中年の女性スター。社会の底辺で、次に述べるマイキーと一緒に暮らしている。隠れ住んでいる場所は、廃棄された建設工事現場にあるトレーラーハウス。マイロが犬に吠えられてスターの車にぶつかった後、彼女は隠れ家にマイロを連れて行く。スターには子供がいないので、マイロは母性本能を刺激し、母親のように彼を世話する。マイロが多毛症を発症しても、スターは気にせず受け入れる。マイキーは、スターの友達。元々は犯罪者の息子で、ずっと犯罪をくり返して老年の域に達している。最後の強盗に失敗してから、スターと隠れ家に住むが、ポルトガルに行きたい彼は、マイロを人質にして逃走資金にしようと考える。

10歳のマイロは、両親から皮膚の病気だと言われ、毎日クリームを顔と上半身の上部に塗り、3分待った後で、きれいに擦り取ることが日課になっていた。学校の体育の授業の後にみんなが浴びるシャワーも、クリームが取れてしまので、浴びられない。そのため、臭いという思い込みから、スカンクと呼ばれたりもする。マイロは、毎年、学校が主催するキャンプ旅行に不参加だったが、今年になり、隣にマイロと同じクラスに入った女の子が引っ越してきたことで、どうしてもキャンプに行きたくなる。父は、厳重に止めるが、優しい祖父が参加費用を渡してくれたことから、こっそり家を抜け出し、学校に向かう。しかし、バスは出てしまった後だった。マイロは、仕方なく、公共交通を使い、キャンプ地に最も近いと思った場所で降りるが、道に迷ってしまう。そして、暗くなりかけ 国道沿いに歩いている時、犬に吠えられ、後ずさったところを、通りかかった車にぶつかる。幸い大したケガではなかったが、一時気を失ったマイロは、運転していたスターという中年女性が不法に占拠しているトレーラーハウスに連れて行かれる。ただ、女性は、マイロが背負っていたリュックサックを一緒に持ってこなかったため、その中に入っていたクリームもなくなった。気が付いたマイロは、ハウスの中にあった女性用クリームを塗るが、彼は実は多毛症という稀な遺伝性の皮膚疾患で、単なる女性用のクルームを塗っても、発症を抑える効果はゼロだった。スターは、子供のいない女性で、これまで全く子育てとは縁がなかったが、マイロが可愛くて礼儀正しい少年だったせいもあり、母性本能が目覚める。マイロが、家に帰りたくないというので、そのままハウスの中で一緒に暮らす。スターの愛人であるマイキーもそこに加わる。しかし、効果のあるクリームを塗らなくなって4日ほどすると、顔一面にうっすらと産毛のようなものが生えてくる。生まれて初めての経験にマイロは戸惑い、クリームが合わないせいだと思い、スーパーに連れてってもらい全種類のクリームを買ってきて塗ってみるが、効果がない。そして、顔を見られたくないので、部屋に内側から鍵をかけて閉じ籠もる。しかし、顔面の毛がかなりの長さになったことに気付くと、窓から抜け出て、自宅にSOSの電話をかける。しかし、限りあるコインで折角かけた電話なのに、父は、マイロの健康を心配したり、居場所を訊いて助けに行くことよりも、誰にも知られるなと注意するだけ。父は、ネット上の会員制のサイトで、「風水」を看板に、ポッドキャストで商品を売り込む商売をしているため、マイロの奇病を隠すことしか頭にない。絶望してハウスに戻ったマイロだったが、ドアを破って入って来たスターとマイキーは、マイロの多毛症に何の偏見も持たず、以前と同じように可愛がってくれる。マイキーに、一緒にポルトガルに行くかと尋ねられ、心が動かされる。そんな時、祖父が雇った探偵が、遂に、マイロの居場所を突き止める。マイキーも、突き止められたことに気付く。そこで、3人は借り住まいを逃げ出し、最初に飛び込んだパブで、マイロにどうしたいか決めさせる。結果は、スターの期待を裏切り、やはり、母への思いの方が強かった。そこで、スターは、マイロを家まで行き、愛されているかいないかを確かめることに。しかし、母の愛は確かだった。スターは、すごすごと引き下がざるを得ない。しかし、折角戻って来たマイロに対し、父は残酷だった。秘密がバレるのを恐れ、マイロが嫌がるのを無視して顔の毛を剃り落とそうとし、ケガをさせる。怒った母は、離婚を決意し、すぐさま、マイロを連れて家を出る。向かった先は、スターとマイキーが向かったはずのポルトガルだった。

ローカン・ボナー(Lorcan Bonner)〔ローキャンの可能性もある〕は、1998年6月、アイルランド生まれ。彼がオランダではなく、アイルランドの生まれであることは、あちこちのサイトを見て、ようやく分かった。そして、その映画のニュース記事には、2011年5月から撮影が始まると書いてあった。ローカンが12歳だということも。ローカン・ボナーと調べると、日本語で1998年6月と出てくるが、このような情報は他では探しきれなかった。最初は間違いかと思ったが、撮影が2011年5月ならぎりぎり12歳という記事と合致するので、正しい情報だと確認できた。ただ、映画の中でのマイロは10歳の少年なので、それよりは2歳年上になる。映画初出演で初主演。素顔の頃は表情豊かだが、多毛症が発症すると、表情が分からなくなる。『猿の惑星』のリブート・シリーズで、シーザー役のアンディ・サーキスが如何に苦労したかがよく分かる。


あらすじ

タイトルが表示される前、マイロが鏡の前で真っ白なクリームを顔中に塗っているシーンが象徴的に示される(1枚目の写真)。母のルーマニア語が聞こえる。「3分間、そのままじっとしてるのよ。終わったら、手をきれいに洗ってね」。カメラが引くと、塗っている範囲は肩までなので、局所性の皮膚病の治療のためだと推測できる(2枚目の写真)。この後、「MIRO」と、題名が表示される。
 

マイロの父ブランドは、ウェブキャストで使う映像の撮影中。ホームページの上部には、「エコ・ブランドの生活にようこそ」と書かれ、左には、新製品として、100%、天然かつ有機素材の、「竹(エコ・スタイル社)」のロゴ、その下は、「風水(家庭の改革)」のロゴが見える(1枚目の写真)。ブランドは、妻のナディアに、「どんな感じだい、竹の生地は?」と質問する。「そうね、肌に優しいわ。絹やカシミアみたい。デザインもいいし」。「そりゃいい。2つの高級な生地と同じって訳だ。信じてもらっていい。ワイフは、両方とも知ってるから」。今度は、マイロの首筋をつかむ。「マイロは、1週間、ずっとそれを着てたな。で、どうだった?」。「最高」(2枚目の写真)。採録が済むと、マイロは、すぐに、着ていた竹生地のセーターを如何にも嫌そうに脱ぎ捨て(3枚目の写真)、いつもの服に着替える〔着心地が悪い?〕。マイロが、走って外に出ようとすると、母が、「家の中では走るなって、お父さんが言ってなかった?」と軽く叱り、マイロは、「ごめんなさい」と謝り、今度は父が、「ルーマニア語は使うな」と追い討ちをかけ、マイロは、「ごめん、パパ」と二度謝る。
  

マイロが裏庭から外に出ると、マイロの家の上の段にある家に、新しい “お隣” が引越し作業をしている最中だった。マイロがこっそり近づいていくと、女の子が、トランポリンで遊んでいるのが見える。マイロが、いつも持ち歩いているインスタントカメラでその姿を遠くから撮影すると、自動的に光ったストロボに気付いた女の子がマイロに向かって手を振る(1枚目の写真、矢印)。マイロが学校に行き、運動場の前に座っていると、先の女の子がマイロを見つけて寄ってくる。「あんた、お隣の子じゃない?」。マイロは頷く。女の子は、運動場にいる子供たちを指して、「あの子たち、知ってる?」と訊く。「もちろん。同じクラスの連中だ」。「なら、私も同じクラスね。紹介してくれる?」。マイロは、小型のデジカメで撮った画像を拡大し、「これは、トミー。お父さんはパン屋。こっちは、トミーの一番の友達パトリック。あだ名はファニー〔女性器〕。名前がファニガンだから」と、笑顔で説明する(2枚目の写真)。「来週、キャンプ旅行があるって聞いたんだけど、あんた行くの?」。マイロの顔は急に翳(かげ)る。「ううん」(3枚目の写真)。「なぜ?」。マイロは、病気のことは教えられていないので、父が極度に嫌がっているとしか答えられない。
  

学校から帰ると、マイロは、HAIKU(俳句)のブログに自分の作品を書き込む〔因みに、この書き込み日は2011年5月12日で、解説に書いた撮影時期と一致している〕。そこに書き込まれたマイロの俳句は、音節で区切って書くと、「bright col・oured pen・cils/mov・ing ev・er up and down/the sun・ny sky」(5・7・4)〔鮮やかな筆で、塗りたくったような、晴れた空〕となる(1枚目の写真、矢印)。マイロは、電気式の日光浴機に入って寛いでいる父を、装置から無理矢理引っ張り出し、俳句を見せる。父は、最初こそ、「夏の景色が頭に浮かぶな」と言って褒め、「どれが、kigo(季語)だ?」と訊く。「晴れた空」。ここから、欠陥の指摘が始まる。「何が悪いか分かるか? これは俳句だぞ。1行目は5音節、2行目は7音節、だが、3行目は4音節しかない」(2枚目の写真)「座れ。一緒に考えよう。父は、3行目を考え、結局、「The in・di・go sky」(5)〔真っ青な空〕に訂正する。マイロは、それにはお構いなく、「パパ、僕、どうしても、今年のキャンプ旅行、行きたいんだ」「お願い行かせて」とすがるように頼む(3枚目の写真)。返事は、「ダメだ」「このことは、前に話し合ったろ。カリキュラムに入ってない」。「たった1週間だよ。クリームだって、いつもみたいに塗るから」。「交渉の余地はない」。「なぜ? 賭けてもいい。お祖父ちゃんに訊いたら、絶対OKだよ」。「いいか、よく聞け。お祖父ちゃんは、お前に対して何の権限もない。あるのは私だ」。すごく強圧的だ。
  

翌日の終わりに、女性教師は、「今回の、素性紹介の課題について、もう一度言っておきます。先生は、発表を聞くことで、みなさんの個々のことがもっと知りたいのです。過去、現在、そして、未来のね」と念を押す。そして、マイロには、「先生は、あなたのお父さんについてじゃなく、あなた自身のことをもっと知りたいの。赤ちゃんの時の写真は本当にないの?」と注文をつける。「持ってましたけど、引越しの時にパパが失くしてしまいました」(1枚目の写真)〔先天性多毛症だったので、赤ちゃんの時の写真は父が廃棄した〕。生徒たちが笑う。「じゃあ、何か代わりになるものを持って来てちょうだい」。マイロのすぐ後に座っているトミーは、手を上げて、「先生、いい考えがあります。マイロは、カメラを持って動物園に行き、スカンクの赤ちゃんを撮ったらどうでしょう? マイロの赤ちゃんの写真になりますよ」と言い(2枚目の写真、矢印がトミー)、生徒たちからまた笑い声が。教師の叱り方は、弱い〔こうした根の深い常習的な虐めに対して、教師はもっと強烈に叱るべきだ〕。その結果、放課後、怒ったマイロがトミーに殴りかかり、教室に呼ばれたのはマイロとマイロの母だけ。愚かな教師は、開口一番、「このような暴力行為は、停学に値しますよ」と言う。母、「他の子はどうなんです? 停学にしないんですか? あの子たちは、毎日、マイロに こんな風に指を立てるんですよ〔ファックサイン〕」と訴える。「あの子たちは、毎日、息子をいびってるんですよ。今度は、スカンクって言った。あんなクソガキども…」(3枚目の写真)。「やめて下さい」。「何が やめてよ? 襲いかかる以外に、息子に何ができたと言うの?」。「悪事に悪事で仕返するのは間違っています〔two wrongs do not make a right〕〔常態化した虐めに対する最も間違った考え方⇒悪質な虐めの当事者と、それから何とか逃れようとする犠牲者を同列に置いている〕。そして、「問題は、マイロ君がグループに加わらず一人でいることにあります」と、責任をマイロに転嫁する。「もっと。溶け込むようにならないと。常にアウトサイダーでいる限り、虐めっ子は必ずどこかにいます。もっと暴力を受けるかもしれません。もっと勇気を持って臨まないと〔look this bee square in the eye〕」。そして、この愚かな教師は、キャンプ旅行への参加を強く促す。それが父親によって厳禁化されていることも知らずに。こういう教師がいては、虐めは永久に根絶できない。
  

帰宅したマイロは、木の茂みの中で、隣の女の子に、自分がインスタントカメラで撮った写真を見せている。中には、マイロが顔中にクリームを塗った写真もある。「それ、僕だ」。「何のクリーム?」。「秘密を守れる? 誰にも言わないって約束してくれる?」。「約束する」。「僕、皮膚疾患があるんだ」(1枚目の写真)「だから、体育の授業の後、シャワーを浴びられない」(2枚目の写真)。「それって、接触伝染する?」。「しないよ」。女の子は、マイロに近づいて顔の匂いを嗅ぐ。「赤ちゃんスカンクみたいな臭い、しないわ」。彼女は、マイロに好意を持っている。それが分かったマイロは、一緒にトランポリンに乗ってはしゃぐ。閉じ籠もりがちなマイロとしては、たぶん初めての楽しいひと時だ(3枚目の写真)。
  

そのうち、何を思ったか、女の子はトランポリンから降りると、庭のホースでマイロに笑いながら水をかけ始める(1枚目の写真)。ホースの水は、シャワーと同じで良くないのだが、マイロはびしょ濡れになりながら、トランポリンで嬉しそうに飛び続ける。すると、父が下の庭から自分を睨んでいることに気付き、笑顔が消える(2枚目の写真)。マイロは、すぐに父のところに戻って行く。自分の商売のことしか頭にない父は、「あんなことで印象付けようとしたのか? 答えろ」と、突き放すように訊く。「ケイトリンは、気にしてないよ」(3枚目の写真)。「そうか? ケイトリンは、トランポリンでお前をずぶ濡れにして笑い者にしたかったんじゃないのか? お前がバカをやってる間中、彼女は笑ってたぞ」。「違うよ」。「違っちゃいない。笑い声が家まで聞こえた」。「ケイトリンは、そんな子じゃない」。「彼女をどこまで知ってる? いいか… 他人は、常にお前の欠点を探そうとして、それでお前を判断する。誰もがだ。だから、我々は、振る舞いに常に気をつけなくてはならん。いつもだ。分かったか?」。これでは、“常にアウトサイダー” の子供にならざるを得ない。実に罪な父親だ。解説に書いたように、父親は、自分のウェブキャスト上の商売に、息子の多毛症が悪い影響を与えると不安視し、息子の人権は無視し、何が何でも隠し通そうとする。
  

マイロは、いつも通り鏡の前でクリームを塗り始めるが、そこに母が来て、「急ぎなさい」と声をかける。マイロは、父に言われたことで腹が立っていたので、手につけたクルームを鏡に塗りつけて鬱憤を晴らす(1枚目の写真)。マイロの一家が向かった先は、父親の祖父の家。祖父は、引退したビジネスマンだが、息子がやっているネット販売が気に入らないので、「インターネットでナンセンスを売りつけてる」と批判する。そして、息子のことを「carpet beggar(絨毯を体にまきつけて寝る乞食)」と揶揄する。息子との不毛の話に飽きた祖父は、マイロに、「写真はちゃんと撮ってるか?」と尋ねる。「撮ってないよ、お祖父ちゃん」(2枚目の写真)。「もう飽きたのか?」。「ううん、ただ…」。ここで父の顔を見る。「2週間前、カメラを没収されたから」。「そうなのか? じゃあ、わしの古い一眼レフを見つけ出さんとな。学校の方はどうだ?」。「今、中休みで、みんな学校のキャンプ旅行に行くんだよ。明日 出発なんだ。だけど、僕は行かせてもらえない」(3枚目の写真)。「もちろん、行くとも」。すかさず、父が、「行かない」と割り込む。「他に計画がある」〔嘘〕。「他の計画だ? この年代の子供とって、キャンプ以上に重要なものは何もない」。そう言うと、祖父は、昔経験したキャンプの楽しい思い出を語る。そして、マイロに、「幾らだ?」と訊く。「申込用紙には、400って書いてあったよ」〔2011年5月後半の相場で46000円〕。祖父は、500ユーロ渡し、余分は、「女の子に使え」「1つ条件がある、着いたら、ハガキを1枚送ってくれ」と言う。最高の祖父の後は、最低の父。祖父の家を出て車に乗り込むと、父は後部座席のドアをロックする。そして、「金を渡せ」と命令する。「僕のお金だ。お祖父ちゃんがくれた」。父は、手でマイロをつかむ。マイロが母に助けを求めると、「お父さんに言われた通りになさい」としか言わない。「不公平だよ」。「渡しなさい」。マイロは母にお金を渡すが、「大嫌いだ」と罵(ののし)る。
  

翌朝 早く目が覚めたマイロは、隣の女の子がキャンプ旅行に出かけるため、車に乗せてもらうのを羨ましそうにじっと見ている(1枚目の写真)。マイロは一大決心をし、大きなリュックサックに必要だと思われるものを片っ端から投げ入れ〔クリームも忘れない〕、キッチンに置いてあった財布から、祖父にもらったお金を抜き取ると、インスタントカメラを持って家から出て行く。付箋紙に「I’m going to camp/Milo(キャンプに行くよ/マイロ)」とだけ書き残して。マイロが、バスが待っているハズの学校目がけて全力で走る。しかし、学校に着くと、そこには何もなかった。怒ったマイロは、背負っていたリュックサックを地面に放り投げる(2枚目の写真)。マイロの家では、書置きを見た母が、すぐに学校に電話をかける。しかし、休校中なので留守録になっている。「…キャンプ行きのバスに乗ったと思います。この録音を聴かれた方は、すぐに連絡を下さい」。父の方は、食べるのに忙しく、心配しているようには とても見えない。母は、「留守録だわ。もうバスは出たみたい」と夫に話す。このロクデナシは食べるのを止めず、返事もしない。「一緒に行かせたら?」。「不服従を許すのか?」。母が反論を始めると、「いいか、今は食事中なんだ。そのあと 先週の売上高を入力する。それが終わったら、家に連れ戻しに行く」。ロクデナシは、何が起きようと、キャンプには絶対に行かせないつもりだ。「一緒に行くわ」〔息子を守るため〕。「君に任せる」。その頃、チャーターバスに乗り遅れたマイロは、路線バスに乗り、キャンプ場に一番近い所で降りる(3枚目の写真、矢印)。そこは、何もない原野の真っ只中だ。
  

マイロは、原野にある大きな岩の上に乗って、インスタントカメラで自撮りする。そして、感光したプリントに、「On my way to camp!(キャンプへの途中で!)」と書き込み、しばらく歩いて見つけたポストに投函する(1枚目の写真、矢印)。父母は、車でキャンプ場に行くが、マイロはどこにもいない。夜、自宅に向かう車に、教師から電話がかかってくる。「私達は、寝ないで待っています。マイロ君はここに来る途中でしょう。到着したら、すぐ お知らせします」〔キャンプ場のあるような場所を真っ暗になって10歳の子供が歩けるはずがない。野宿する可能性があるのなら、教師としてもっと真剣に対処すべき〕。一方、マイロは、片側1車線の道路沿いに歩いていた。すると、道路沿いの鉄柵の向こう側か突然犬に猛然と吠えられ、びっくりして後退したところで、ちょうど通りかかった車に接触する(2枚目の写真)。車は急停止したが、マイロは気を失って道路際に倒れる(3枚目の写真、矢印は倒れたマイロ、左にいるのが運転していた女性)。
  

マイロが目を開ける。真っ暗な中で知らない男女の話し声が聞こえる(1枚目の写真)。男性の声は、受話器の中からなのでほとんど聞こえない。内容は、ミックが何かに失敗し、腱を傷めて休んでいるので、昔の工場まで迎えに来て欲しいというもの。電話を終えた女性(スター)は、マイロに、「ちっちゃな子が、あたしの車をあばら骨で壊そうなんて、真夜中に一体何してたんだい?」と尋ねる。「ごめんなさい」。スターは、社会の底辺に暮らしてきた女性なので、こんな丁寧な謝罪の言葉は予期していなかった〔普通の人間なら、「ケガしなかった?」とでも訊く〕。相手が何も言わないので、マイロは、「今日は何曜?」と訊く。「火曜」〔キャンプ行きのバスがいつ出発したのか分からないので、観客には意味のない返事〕。「僕、ダンディ・ファース公園に行かないと。あと5日しかないんだ。お金なら払うから…」。「ほらほら、落ち着いて」。マイロは寝かせられる。辺りが明るくなると、スターは、外に出て車に覆いをかけている。つまり、マイロを連れていく意志はない。これを知ったマイロは、眠っている振りをする。スターが自分の部屋に入って行き、シャワーの音が聞こえると、マイロは立ち上がると、置いてあったインスタントカメラを首から下げ、こっそりとドアを開ける(2枚目の写真)。外に出ると、そこは、荒れ果てただだっ広い平らな土地で、壊れたようなトレーラーハウスが数棟置いてある。マイロは、車にぶつかったところが痛いので、よろよろと歩いていると、トレーラーハウスの前にいた犬と目が合う。マイロは、犬と相性が悪いらしく、犬に吠えられると痛いのを我慢して走り、手近にあるダストボックスに飛び込む。犬はボックスの上に乗って吠えるのを止めない。それを救ったのは、シャワーを途中で止めて助けにきたスターだった。犬を押し止め、蓋を開けると、マイロを外に出す(3枚目の写真、矢印はダストボックス)。そして、そのまま連れ戻す。
  

マイロからの写真を、郵便物として受け取った祖父は(1枚目の写真)、呼びつけた息子に、「この大バカ者。全部 お前のせいだぞ。わしは、許可しなかったか?」。「そうだけど、あの子は…」。「何だ? ちゃんとわしに倣(なら)って出かけたじゃないか」。母は、警察に通報したと話すが、祖父は、「警察も大バカ者だ」と言い、以前使ったことのある優秀な探偵に捜索を依頼する(2枚目の写真、矢印は探偵の名刺)。
 

マイロは、トレーラーハウスの前に、犬と一緒に座らされる(1枚目の写真)。「いいかい、この子〔犬のこと〕は、一度知り合えば、優しいんだ。だけど、もし挨拶もしないで縄張りを走り抜けようなんて考えると、お尻を噛まれちまうよ。名前を、その子に言う気になったかい?」。「マイロ」。「じゃあ、あたしたちに話しなよ、マイロ。何でそんなにダンディ・ファース公園に行きたいんだい?」。「学校のキャンプ旅行だよ。友達と約束したんだ。ケイトリンと。日曜までしかそこにいない」(2枚目の写真)。「輝く鎧を着た、ちっちゃな騎士だね。どこにでも連れてってあげる。なんてったって、車でぶつけたのあたしだからね。だけど、打ち明けちまうと、あたしと彼氏… 電話してたろ… は、へましちまって、あちこちから金を借りてて身動きできないのさ。マイキーが来れば、何とかなるかも」〔後で分かるが、マイロと接触事故を起こしたのは50キロも離れた場所だった。今になって『身動きできない』のは、今朝の電話で、『へま』したと知らされたから〕。そう言いながら、スターは33年前に撮った自分の写真を見せる。「この女(ひと)だれ?」。「あたしだよ、この抜け作。どう思う? キツネみたいだろ。今じゃ、ピューマさ」。そう言いながらマイロをドンを突くと、すごく痛がる。そこで、マイロのセーターとシャツをまくると、あばらの部分が赤黒く変色している(3枚目の写真、矢印)。典型的な打撲傷だ。こんな状態でキャンプは無理なので、「何とか、おウチに帰してあげるべきかもね」と言うと、マイロは、「家には、帰らない」と言う。
  

トレーラーハウスに入ったマイロは、時間なので、クリームを塗らないといけない。しかし、スターは、インスタントカメラは持ってきたが、リュックサックは持ってこなかった。そこで、マイロは、スターが使っている普通の美容クリームを塗り始める(1枚目の写真)。一方、スターは、マイロの着ていたセーターを洗っていると、襟まわりに「MILO MULDER」というタグが縫い付けてある〔普通は、セーターに名前のタグなど付けない〕。そこで、「おやじさん〔old man〕は、何してるんだい?」と訊く。「バランスの取れた生活の風水コンサルタントだよ」。これでは、通じない。「ウェブサイトを持ってて、ポッドキャストで紹介した商品をお客さんが買うと手数料が入るんだ」。「きっと山ほど稼いでるんだろうね?」。「うん、いっぱい売ってるから。加入者が2万人以上いるんだ」(2枚目の写真)。顔にクリームを塗ったマイロを見たスターは、「あたしのクリームで何してるのさ?」と言いながら、洗面室まで入って来る。「クリームのお坊っちゃんかい?」。「僕、クリームを塗らないと。皮膚疾患があるから」。「他には?」。「隅から隅まで塗らないと」。「全部?」。そう言いながら、スターはわざとマイロのあちこちを触り、マイロがくすぐったがって笑う(3枚目の写真)。
  

スターは、電話で頼まれたように、マイキーを迎えに車を走らせる。スターは、楽しい音楽をかなりの音量で流す。そんな経験のないマイロには、楽しい経験だ。「音楽は好きかい? よく聴く?」と訊かれ、「あんまり」と答える(1枚目の写真)。「嫌いなの? あたしは1日中だって聴いてるよ」。マイロはずっと嬉しそうなので、音楽に満足していることが分かる。約束の場所に着くと、スターはマイロを後部座席に行くよう指示する。マイロは、ドアを開けずに、座席の隙間から後ろに移る。「頭を出すんじゃないよ」。マイロは運転席のシートの後ろに張りつくように隠れる。それでも、スターがドアを開けて迎えに出て行くと、首を伸ばしてどうなっているか伺う(2枚目の写真)。工場のドアの所から、1人の老人がこっそり姿を現す。スターは、「迎えに来るの遅れちゃったけど、サツがあちこちいたから」と弁解し、マイキーは、「凍っちまうかと思ったぜ」と文句。「何があったの?」。マイキーがドアを開ける。「カウンターの後ろにクソ野郎が隠れていやがってよ」。助手席に座ってドアを閉める。その後は、強盗の失敗談。途中で、マイロが隠れているのを見つける。「この子、真夜中に車の前に飛び出て来た。あたしを震えあがらせたんよ〔scared the crap out of〕(3枚目の写真)「だけど、この子、とても可愛いでしょ。だから、根城に連れてったの」。「どうかしちまったのか? ぼんくら心じゃなくて、そのぼさぼさ頭で考えろ」。「いいこと、あたしゃ、あの子を手放す気はないからね。家には帰りたくなって言うし」。「俺たち、誘拐で捕まっちまうぞ」。
  

ここで、マイロは車から出る。スターは、運転席から出ると、「どこ行くの?」と訊く。「キャンプだよ!」(1枚目の写真)。「いいこと… マイクは口じゃ ああ言ってるけど、ホントは一緒にいて欲しいんだ。あんたが、あっちに着いた頃には、みんないなくなってるよ。おいで、マイロ、お願いだから」。こう頼まれれば、戻るしかない。一方、警察署を訪れたマイロの父と母は、どんなことでも追加の情報をと言われ、「私の父が雇った探偵が、道路に落ちていたマイロのリュックサックを見つけました」と言って女性警官に渡す〔そんなものも見つけていないとは、やはり祖父が言っていたように、警察は当てにならず、探偵の方が優れている?〕。「どこにありました?」。「ネース(Naas)です。国道7号沿いの」〔ダブリンの西南西30キロにある町。ダンディ・ファース公園は架空の場所なので、位置関係は分からない。それに、ネースの町を通るぐらいなら、そもそも、マイロはなぜ原野の真ん中でバスを降りたのだろう? ネースならダブリンから直行便がある⇒後で、道に迷ったことが分かる〕。母は、「あの子は、これまで1人で出歩いたことはありません。どうやって生き抜いていくかなど知りません。きっと、どこかの溝にはまって 死んでるのかも」と過剰に心配し、警官に諌められる。「マイロ君は、医薬治療を受けていますか?」。父は、すぐさま、「いいえ」と否定するが、母は、「はい」と肯定する。「あの子のクリームが、リュックサックに入ったままでした」。警官が中を調べると、壊れたクリームの箱が出てくる(2枚目の写真、矢印)。「これが、医薬品ですか?」。父:「いいえ、ただのスキン・クリームです」。「奥さんに聞いてるんです。どんな種類の医薬品なのです?」。「皮膚のためです。でも、あの子には、事実を話していません」。父は、「ナディア、これは医薬品なんかじゃないだろ」と割り込む。「部屋を出ていただけますか?」。父:「妻は、明らかに動揺しています。私は、ここに留まります」。「外に出て下さい」。父:「何も隠しちゃいないのに」。「なら、外に出ても構わないのでは?」。こうして、このロクデナシは廊下に追い出される。しばらくして、すべてを告白した母と警官が部屋から出てくる(3枚目の写真、矢印はロクデナシ)。「何を話した?」。「何もかも」。このロクデナシは、母からバッグを取り上げると〔タクシーに乗らせないためお金を取り上げた〕、「歩いて帰れ」と言い捨て、自分だけ車に乗って帰る。
  

スターとマイキーがセックスしている間、マイロは外に出され、犬と遊んでいる。トレーラーハウスの中では、事が済むと、マイキーが、「人生で一番大切な時をゴミの中で過したくない」と言い出す。スターは、「ずっと考えてた。ポルトガルじゃなくて、アムステルダムに行ったら? 簡単に大麻が手に入るでしょ」と提案する。しかし、マイキーは、「この膝には、暑くて乾燥した気候がいい。痛み止めならどこでも手に入る」と言った後で、「知っとるか。あの金持ちの坊主は、天が与えてくれた贈り物だ」と言い出す。「何が言いたいのさ?」。そこで、何が話し合われたのかは分からない。翌日、トレーラーハウスで大掛かりな大掃除が行われる。どうせ、不法占拠しているだけで自分の持ち物ではないので、邪魔なものは平気で捨てる(1枚目の写真)。ゴミが山のようになると、1つの部屋が完全にきれいになる(2枚目の写真)。今までリビングダイニングで寝ていたマイロの専用の部屋だ。マイロが部屋に入ると、マイキーはドアを閉め、外から鍵をかける。人質扱いだ。スターは、「あの子が、どこに行くと思ってんの?」と言い、鍵を外し、マイロを部屋の外に出すと、まるで母親のように愛しむ。一方、本当の母の方は、マイロの写真を載せたポスターを作り、街で訊いて回ったり、柱に貼ったりしているが、ロクデナシは何一つ助けようとしないので、徒歩と、公共交通機関を使っての作業だ。マイロの病気を知った警察だが、全く動いていないように見える。こっちも無能な役立たずだ〔日本なら、重い病気の児童の傷害・拉致事件として大々的なニュースになるのに〕
  

夜になり、ゴミの山にマイキーがガソリンをかけ、火を点ける。そして、「いいか坊主、常に “別の計画〔plan B〕” を用意しとけ」と、口癖の教訓を垂れる(1枚目の写真)。そして、スターが酒を持って来ると、パーティが始まる。マイロは、スターと楽しく踊る(2枚目の写真)。スターはマイキーと2人だけになると、「あの子は特別なの」と言い出す。「何が言いたい?」。「あたし、あの子に、家に帰してあげるって言ったのよ」。「それは、戦利品が手に入る前の話だ。いいか、ポルトガルに行けなきゃ、俺達はドブ板暮らしだ。坊主が何も知らなきゃ、あいつの心も痛まんだろ」。その時、マイロが、「もっとガソリン持ってこようか」と寄ってくる。「放火魔になったの?」。そう言って、スターは、マイロの頬を優しく撫ぜる(3枚目の写真)。そして、異常に気付く。「坊や、大丈夫? 肌がざらざらしてるわよ」。それを聞いたマイロは、恐怖にかられ 鏡を見に行く。
  

マイロは、何か異常が起きていないか、鏡の前に立って自分の顔を見ながら、頬を触る。一見して何でもないように見えるが(1枚目の写真)、頬がザラザラしている。カメラの焦点が、鏡に写った映像ではなく、手間に立っているマイロ本人の頬に合うと、その原因が分かる。顔全体に毛が生え始めているのだ(2枚目の写真、矢印)。両親が曖昧にしか教えてくれなかった “皮膚疾患” とは、このことだった! その時、マイロのことを心配したスターが来て、洗面室のドアの外から、「そんなトコに籠っちゃって大丈夫なの?」と尋ねる。「大丈夫」とは答えたものの内心はパニックだ。翌日朝、マイロは スーパーに連れて行ってもらう。セーターに付いたフードを被り、顔が見えないようにして、化粧品売り場にあるクリームを片っ端からカートに入れていく(3枚目の写真、矢印はたくさん入れた缶の上端)。スターは、「いったい幾つ買うつもり? 悪いんだけど、お金なんかほとんどない。1個が限界」と言うが、マイロは、「お金なら持ってる。全部払えるよ」と耳を貸さない。そして、自室に内側から鍵をかけると、買ってきたクリームを床にぶちまけ、急いで塗り始める。
  

マイロの部屋の外では、マイキーが皮算用。「TVは居間に1つきり。日焼けベッドはあるがジャグジーなし。普通サイズのBMW〔実際は740iなので大型サイズ〕。一戸建て。まあ、現金で5000ってとこだ。それに利益率15%をもらうと5785〔正しくは5750⇒計算もできない〕〔67万円⇒誘拐にしては少額⇒“誘拐” ではなく、“見つけ出してやったお礼” ということにしてある〕になるな。どう思う?」(1枚目の写真)。スターは、マイロが買ってきたクリームをつけた顔をマイキーに寄せ、「ほら、嗅いでみて。お金かかってるんよ」と言う。「どうかしてるぞ。今、盗むなんてヤバいじゃないか」。「違うよ。あの子が買ってくれたんだ。ほら、嗅いで」。「なんだと。あの坊主、驚かせやがって。あいつ、ポケットに幾ら持ってんだ?」。「あの子のお金よ」。「甘やかされたガキめ。欲しいもんは何でも買う気だ」。「そうじゃない。あの子、ヒステリックだった」。夜になり、スターが、マイロの部屋をノックし、「お腹減ってない?」と訊くが返事がない。ドアを開けようとすると、中から鍵がかけてある。一方、マイキーは、切り抜いた文字で、手紙を作るのにかかりきりだ。「WE FOUND YOUR SON FINDERS…(俺達は、あんたの息子を見つけた…)」。一方、マイロの自宅では、ロクデナシが、妻に、「警察では、君に済まないことをした。我々は、マイロを無事に帰らせるために あらゆる努力を尽くすべきだし、君は本当によくやってくれている」と白々しいことを言った後で、本音を付け加える。「だが、あの子の失踪と病気は分けて考えないと」。母:「戻ってきて欲しいだけ」。ロクデナシは、自分が修正した俳句を妻に読ませる。そして、「あの子が望んでいるのは、それだ。明るくて心配のない将来…」と言う。母:「あなたは、あの子がやりたいことに『ノー』としか言わなかった」〔ずばりその通り〕。「違う、違う。私達は、よく考えた上で、あの子を守ろうと決めたんだ。そうすれば、自信を持って大きくなれるし、虐めを受けたり劣等感を抱くこともない」〔私→私達にして、責任を転嫁〕。母:「あの子は、自信も持ててないし、虐めも受けてる」〔これも、ずばりその通り〕。そして、「戻ってきて欲しいだけ」と言う。「私もそうだ、ナディア。だが、あの子の病気をうかつに漏らして欲しくない。みんなに知られたら、どんなひどいことになるか考えてみろ」(2枚目の写真)〔自分の「風水」商売のマイナスになる⇒最後まで、ロクデナシのままで反省ゼロ〕
 

それから数日経っても、マイロは部屋に閉じ籠もったままだった。スターは、マイロのことを心配するが、マイキーは、「医者は呼べん」と言う。「もし、死んじゃったら?」。彼は、「お前さんが、子供のコトなんか心配するなんて信じられん」と言い置き、人質交換の適所を探しに出かける。スターは、フライドエッグの皿を持って マイロの部屋をノックする(1枚目の写真)。「マイロ? お聞き。マイキーは出かけた。あたしとあんただけ。2人だけで話しましょ。どうしたの? あんたの肌で何かが起きたことは分かってる。発疹でも何でもいい。出ておいで、マイロ。愛してるわ。助けてあげる」。返事がないので、スターは、「いい加減にしな〔For fucks sake〕! こっちにも考えがあるよあるよ〔Two can play at that game〕。永遠にそこに閉じ籠もってるなんてできないんだ!」と怒鳴ると、フライドエッグを流し台に放り込む。夕方遅く、マイロの部屋でストロボが光る。出来上がったインスタントカメラのプリントを見て、マイロは恐怖に怯える(2枚目の写真)。そして、意を決して窓から脱出する(3枚目の写真、矢印)。
  

マイロは、何とか最寄のパブまで歩いていくと〔1キロ以上〕、フードで顔を隠し、パブの電話から家に電話する。出たのはロクデナシ。「マイロか? どこにいる?」。「ママいる? ママと話したい」。「どこにいるんだ?」〔「大丈夫か?」の一言もない〕(1枚目の写真)。「知らないよ」。「どこなのか、言うんだ」。「パブにいる」。「分かった。拾いに言ってやる。どこのパブだ?」。「どこか変なんだ」。「誰かに見られたか?」。ここで、最初のコインの有効期限が迫り、次の(最後の)コインを入れる(2枚目の写真)。「ママと話さないと」。「ママはここにいない。いいか、聞くんだ、重要な話だ。どんなことがあっても、誰にも見られるな。分かったか?」。「僕、どうなったの?」。「いいか、マイロ」。「ママと話したい」。母が気付いて飛んできた時、電話は切れかかっていた。母が話そうとすると、「今、対処中だ」と電話に触らせない。そして、マイロは、悲しみと怒りに満ちてパブから出て行く。母は、「あの子、大丈夫だった」と聞く。ロクデナシは何も言わない。「あなた、何を話したの? 何を? 何て言ったの?」。「誰にも見られるな」。「息子が、せっかく電話してきたのに、誰にも見られるな、って言ったの? この自己中のクソッタレ! マイロのことなんかどうでもいいんだわ! 心配なのは、自分のことだけ!」(3枚目の写真)。
  

どこにも行き場所のないマイロは、窓から部屋に戻る。そこに、マイキーが戻って来て、スターの話を聞き、ドアをドンドン叩き、「ドアを開けないか!」と怒鳴る。返事がないので、マイキーはドアに体当たりしてドアを破る。そして、窓から逃げようとするマイロの顔をみて、思わずたじろぐ。その間に、マイロは部屋の隅に逃げる。スターは、意を決して泣いているマイロに近づいていくと、「心配しないで」と言って、両手でマイロの顔を押さえてじっくりと見る(1枚目の写真)。次のシーンは、ダイニングキッチンの中。マイロは、テーブルの前にちょこんと座り、マイキーの話を聞いている。「いいか、マイロ。お前さんの毛は、たぶん、テストステロン〔男性の性ホルモン〕がぶっちぎりに高いせいだ」(2枚目の写真)「俺の伯父にはすごい胸毛があったが、お前さんには負ける。それでも、奴さんには巨大なタマがあった。お前さんのはブランドン山〔ディングル半島最高峰の山〕と同じくらいデカいかもな」。ここまでは、マイキー流の慰め方。ここからがスター流。「両親は、なんで何も話さなかったんだろうね。恥知らずな連中だよ。いいかい、あんた、恥ずかしがることなんてないんだよ。この家じゃ、マイロであることに変わりないんだからね」。この温かい言葉に、マイロはニッコリする(3枚目の写真)。
  

トレーラーハウスの外の広い空間に出たマイキーは、マイロに拳銃の撃ち方を教える(1枚目の写真)。彼にも偏見はない。マイロは、「僕、戻らないから」と言う。「オヤジさんなしで大きくなりたいのか?」。「僕を嫌ってるんだ」。「嫌ってなんかいない」。「なら、なぜ、何も教えてくれなかったの?」。「分からんな。何か複雑な事情があるんだろ。だが、オヤジであることに変わりない。戻って欲しがってるさ」。「ううん。こんな僕は、要らないんだ」。「オフクロさんはどうだ? 絶対、戻って欲しがってるぞ」。マイキーは、さらに、「マイロ、お前さんは何も悪くない。大した坊主だ。なんせ、あのスターが、お前さんを好いとるんだぞ。お前さんがいい子だからだ」「俺達はポルトガルに行く」(2枚目の写真)「よければ、一緒に来てもいいぞ。少なくとも、“別の計画” に入れとくがいい」。マイロは、持っていたお金を、「これあげる」とマイキーに渡す。マイキーと別れたマイロは、放置されたトラックの残骸に、石をぶつけて鬱憤を晴らす。一方、トレーラーハウスに戻りかけたマイキーは、犯罪者の直感で異常を感じる。辺りを見回すと、空き地を取り巻く崖の上に光る物がある〔祖父が雇った探偵のカメラのレンズに太陽の光線が反射した〕。よく見ると、男が1人立っている(3枚目の写真)。マイキーは、銃に弾を込め直すと、「姿を現して手を見せろ」と言い、男が何もしないと、1発撃つ。男は逃げて行く。マイキーは、スターに、「すぐ、ここを出るぞ」とアラートを発する。
  

自分の持ち物などほとんど何もない2人は、マイロをすぐに車に乗せ(1枚目の写真)、居所を知られてしまった不法占有場所から逃げ去る。そして、場面は祖父の家に。ロクデナシが呼ばれ、探偵が撮影した写真を渡される。場所を訊かれた探偵は、ウィックロー(Wicklow)の1マイル郊外と答えるが、マイロがスターの車にぶつかったネースからは50キロも離れている〔ネースでマイロのリュックサックを見つけた探偵は、50キロも離れた隠れ家をどうやって見つけたのだろう?〕。探偵が600ミリの望遠レンズで撮影したマイロの写真(2枚目の写真)を見せられたロクデナシは、如何にもバカにしたような顔をし、平然と「これはマイロじゃない」と言うと(3枚目の写真)、それ以上何も言わずに家から出て行く。祖父にも、自分の息子の愚かさ加減が、ようやく分かってくる。
  

3人は、パブに入る。マイロにはゲームで遊ばせておいて(1枚目の写真、矢印は目出し帽を被ったマイロ)、2人だけで話し合う。マイキー:「356ユーロ〔4万円強〕ある。これでポルトガルまで行ける。堂々とじゃないがな〔ダブリン→リスボンへの直行便の片道最安値は、現在1人7200円〕。スター:「いいじゃないの」。「お前さんの考えとることぐらい分かっとる。だから、坊主には、もう訊いてみた」。「あんた、やってくれるじゃない。愛してるわ」。「あいつ、まだ決めちゃいないぞ」。「3人分のお金、あるんでしょ?」。「なんとかな」。「じゃあ、一緒ね」。「それは、坊主が決めるこった」。「あの子の両親にそんな価値あって?」〔スターが、多毛症のマイロを変わりなく愛していることが分かる〕。場面は変わり、ロクデナシが、父親の前では「これはマイロじゃない」と言ったくせに、夜、こっそりウィックローまで行く。そして、トレーラーハウスに侵入し、①誰もいなくなっていることを知り、②マイキーが作っていた “お金を請求する手紙” を見つける。すると車が近づく音がする。てっきり誘拐犯が戻って来たと思って身構えると、父親の声が聞こえる。「ブランドン、今すぐ出て来い」。ロクデナシが外に出て、「奴ら、彼を連れてったよ、パパ。身代金の手紙があった」と言う〔“息子” と言わず、“彼” としか言わない〕。マイロの祖父は、「こっちへ来るんだ」と呼びつけ、至近距離までくると、思い切り鼻を殴り、ロクデナシは地面に倒れる(2枚目の写真)。ロクデナシ:「私は息子を愛してる、聞いてるか?」。「嘘はやめろ、ブランド。あの子を見つけたら、電話してやる」。「私達のことは構わんでくれ。私にも、ナディアにも、マイロにも近付くんじゃない!」〔こんなバカ息子、勘当すればいいのに〕。場面は、もう一度パブに戻る。マイキーは、マイロに欲しい物、したいことのリストを書かせている。「体育の授業の後、シャワーを浴びられるようになりたい。トランポリンで遊びたい。自転車が欲しい。そうすれば、学校まで自分で行ける」。それを聞いて、スターは苛立つ。すべてが、ポルトガルではなく、ダブリンの自宅にいることを前提とした希望だからだ。スターは、マイロに向かって、「全部ナンセンスじゃない! なんで あんなトコに戻りたいの?!」と怒鳴る。「ママが恋しい」(3枚目の写真)。「ママが恋しい? そう? ママはいったい何してくれた? 今、どこにいる? いないじゃないの。それに、ずっと、あんたに嘘付いてきたのよ」。それでも、マイロは同じ言葉をくり返す。
  

2人は、マイロを残してパブの扉の前まで行く。スターは、「あたしたちと一緒にいたがってると思ってたのに」と、ショックを隠せない(1枚目の写真)。マイキーの方がずっと冷静で、「それが、奴の望みなんだ」と慰める。「まだ、10歳なんよ。自分の言ってることが分かってない」。「お前さん、坊主の両親とおんなじだぞ。あれこれ指図する気か?」。「家まで連れてきましょ。そんでもって、両親が変な態度を見せれば、あの子だって一緒に来る気になるわ」。そして、翌朝、2人はマイロを家まで乗せて行く(2枚目の写真、矢印は、分かりにくいが、目出し帽を被ったままのマイロ)。
 

家の中に入ったマイロは、「ママ」と呼ぶ。スターとマイキーも一緒に中に入って来る。声を聞きつけた母が、階段を駆け下りてくる。そして、マイロを抱きしめる。そして、目出し帽の上からいっぱいキスした後で、「顔を見せて」と言い、毛糸のキャップをめくり上げる。そして、一段と毛深くなった顔を見ると、「神様、ありがとう」と心から喜ぶ(1枚目の写真)。そして、2人に、「ありがとう」と全身で喜びを現わしながら、感謝する。賭けは、スターの負けだ。マイキーは、「いいんだ」と言って出て行こうとする。母は、お礼をしなければと、「お願い、待って」と引止める。そこに、ロクデナシが庭から入ってくる。マイロの顔を見ても、しばらく何も言わない〔予め、写真を見ているので、ショックはないはず〕。ワンテンポおき、感動の “か” の字もないような顔で、「おいで、マイロ」と呼び、外見上は如何にも喜んでいるようにマイロを抱く。そして、顔を直接見ながら、「お前にどう言っていいか分からない。私を許してくれるか?」と、心にもない言葉を口にする(2枚目の写真)。2人が引き揚げようとすると、マイロはスターに抱きつく(3枚目の写真)。ロクデナシは、すぐに本性を現わす。マイロがまだスターに抱き付いているのに、「マイロ、来るんだ。ママが風呂に入れてくれる。私は、この人たちと話がある」と割り込む。母は、2人に改めて「ありがとう」と笑顔で言い、マイロを連れて行く。3人だけになると、ロクデナシは、「私の息子に幾ら欲しい? 5000か?」と訊く。マイキーは、「プラス、875。必要経費だ」と言う。しかし、ロクデナシが持ち合わせていた現金は、わずか180ユーロ〔2万円、何てケチ〕。ロクデナシは、つけていた腕時計を外す。スターは、受け取りを拒んでさっさと出て行くが、マイキーは、「残りをもらいに来ないとな」と言ってみて、「出てけ」と追い払われる。
  

母は、お風呂でマイロを洗いながら、「二度と、一人で出歩かないって約束して」と頼む(1枚目の写真)。「約束する、ママ」。キッチンで、マイロは、「スターとマイキーは、毎日、ピザを食べさせてくれた」と嬉しそうに母に話す。「ホントに?」。「ビールも飲んだんだ。よかったよ」「マイキーは、強くなるんだって言ってた」(2枚目の写真)。ロクデナシ:「明日のポッドキャストの準備がある。お前は休め。1週間は眠るんじゃないかな。ママもだ」。出て行こうとするロクデナシを、マイロは、「パパ」と呼び止める。「素性紹介の課題、手伝ってくれる?」と尋ねる(3枚目の写真)。「もちろんだ。クラスで一番の発表になるぞ。明日から始めよう」。
  

翌朝、マイロは両親を前に、プレゼンを始める。貼り紙の一番上には、「HYPERTRICHOSIS(多毛症)」と書かれている。「この言葉、“多毛症” は、遺伝子疾患を意味します。生まれた時からのもので、僕には、顔と胴体の上部に毛がありました。とっても、稀な遺伝子疾患なんです。だから、僕の両親は、僕にそのことを話してくれませんでした。僕は、先週初めて知りました。だから、僕の赤ちゃんの写真がなかったんです。僕は、インターネットで調べ、このような有名な人たちの写真を手に入れました」。3枚の多毛症の人の写真を見たロクデナシは、いきなり「ダメだ」と言う(1枚目の写真)。そして、立ち上がると、「正気を失ったのか? これを見ろ」。ロクデナシは、マイロの顔を厭わしそうに真っ向から指差す。「私は、この家で、唯一のまともな人間なのか?」。母:「息子を悪く言うのはやめてちょうだい」。「今ですら、学校で問題があるんだろ? こんな姿、見られてみろ。ちびるほど笑われ、その先ずっと物笑いの種になるぞ。分からんのか?」。「やめて」。「マイロ、お前は、ホントにそんな姿、人前にさらしたいのか? 笑われたいのか?」。「スターとマイキーは笑わなかった」。「あのクソどものことなんか どうだっていい。私はお前が心配なんだ。そんなままで外に出ちゃいかん。みんなが何て…」。「僕は構わない!」(2枚目の写真)。「私が構うんだ!」(3枚目の写真)。母は、見るに見かねて、息子を守るように間に入る。「私達の子供なのよ!」。「黙れ、クソッタレのジプシー女!」。母は、ロクデナシの頬を思い切り引っ叩き、「下衆野郎!」と怒鳴る。
  

「マイロ、2階に行け。これから、その毛を処分する」。そう命令すると、ロクデナシは、庇い立てする母を投げ飛ばし、マイロを脇に抱えて階段を登る(1枚目の写真)。バスルームにマイロを押し込み、妻が入って来られないよう鍵をかけると、暴れるマイロの頬に剃刀を当てる。当然、肌を切ってしまう(2枚目の写真)。自分がしたことに茫然となったロクデナシを尻目に、マイロはロックを外してドアを開け、母の胸に逃げ込む(3枚目の写真)。
  

母は、自分の部屋に行くと、家を出て行くために必要なものを片っ端から鞄に詰め込む(1枚目の写真)。その間、マイロは窓の外を見ている(2枚目の写真、頬に剃刀の傷)。マイロは、「ママ、ケイトリンにさよなら言ってきていい?」と訊く(3枚目の写真)。「いいわよ。ママもすぐ終わるから」。
  

マイロが、赤いフードを立てて庭に立っていると、それを見つけたケイトリンが、「ハイ、マイロ」と言って、嬉しそうに手を振る(1枚目の写真)。そして、近付いてきて顔の毛に気が付くと、「わぉ」とびっくりするが、そのまますぐ脇に来て、頬を触ってみる(2枚目の写真)。「大丈夫?」。マイロは頷く。「行方不明になったって聞いたわ。クラス中で心配したのよ。どうしちゃったの?」。「キャンプに行く途中で迷子になったんだ」。「トランポリンする?」(3枚目の写真、彼女に差別意識はない)。母の呼び声が聞こえる。「行かないと。僕、しばらくいなくなる。ママと一緒だよ。だから、さよなら言いに来たんだ」。「戻ったら、また会える?」。マイロは、「じゃあね」とだけ言って別れる〔二度と戻らない〕。母とマイロは、ロクデナシのBMWに乗って家を出る〔離婚に関する財産分配や、マイロの養育費に関する法的措置は、恐らく、同情的な祖父が代行してくれるに違いない〕
  

2人はスター達がいるポルトガルに向かう〔方法としてはダブリンからフランスのシェルブールまでフェリーに乗り(18時間)、そこからフランスを南下し、スペインを南西に抜け、ポルトガルの国境に向かうしかない。運転距離は約1800キロ。しかも、スター達がどこにいるのか分からないので、捜すのは至難の業だ〕。埃で白くなったBMWが、とある田舎の村のGSの前で停まる(1枚目の写真)。マイロは、洗車をしている少女の方に歩いて行く。そして、英語で、「この人たち、見たことある?」と言って、スターとマイキーを撮ったインスタントカメラのプリントを見せる(2・3枚目の写真)。マイロの頬の傷が跡形もなく、写真が汚れていることから、かなり時間をかけて探し回ったらしいことが分かる。「あんたの友達?」。マイロは頷く。「パパに訊いてみる」。
  

店では、主人が、「ホリデー?」と訊き、母が「ええ、ホリデー」と笑顔で答える。そこに、マイロと少女が入って来て、少女が、「この人たち知ってる?」と尋ねる(1枚目の写真)。写真を見た主人は、「ちきしょう。こいつらガソリンを盗みやがった。2人から目を離すな。警察に電話する」と叫んで、奥の部屋に行く。少女は、「逃げて。すぐ」と こっそり教える。2人は、すぐに店を出て車に逃げ込む(2枚目の写真)。そして、店主が追いつく前に車を発進させる。スター達の手掛かりが初めてつかめた2人は、車の中で笑う。そして、マイロは、助手席から身を乗り出して「晴れた空」に身を任す(3枚目の写真)。
  

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