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Sidekicks サイドキックス

アメリカ映画 (1992)

ジョナサン・ブランディス(Jonathan Brandis)が、チャック・ノリスと手を組んで闘うカラテ映画。しかし、闘いのほとんどは、ジョナサン演じる中学生のバリーの白昼夢の中で行われる。しかも、最初の闘いはカラテの一種だったが、それ以後は、ベトナム戦争から、西部のガンマン、ナチスからギャングに至るまで多様だ。それでは、なぜカラテ映画化と言えば、喘息持ちで虚弱なバリーを少しでも鍛え、バリーが憧れるチャック・ノリスに一歩でも近付こうと、カラテを習おうとするからだ(最後に、空手大会もある)。因みに、チャック・ノリスは、アメリカの初代空手のスーパー・スター。ただし、彼の華々しい活躍はUSKA(全米空手連盟)や、空手とキックボクシングを対象にしたアメリカのPKA(プロフェッショナル空手連盟)といったアメリカ国内でのもの。チャック・ノリスは、俳優としても大成功を収め、1989年に殿堂入りを果たしている。バリーにカラテを教えるのは、日本人として数多くのアメリカ映画やTVに出演したマコ〔惜しくも2006年に他界。殿堂入りは1994年。1960年の早川雪洲に次いで2人目。因みに3人目は2016年の三船敏郎〕。マコに個人指導を受けたバリーはどんどん強くなり、最後には、憧れのチャック・ノリスと組んで、テキサス州の空手大会で優勝する。そうは言っても、パット・モリタが指南役だった『ベスト・キッド(The Karate Kid)』(1984)とは異なり、ジョナサンとマコは、コミカルな演技が多く、中学校でのコミカルな描写も多いので、カラテ少年の映画というよりは、カラテを通してリハビリを目指す少年の学園映画といった趣が強い〔「空手」→日本の空手、「カラテ」→マーシャルアーツ的空手〕

バリーは喘息持ちの中学生。時を構わず白昼夢に入ってしまい、そこで当時のスーパー・スター、チャック・ノリスの「相棒(Sidekicks)」となって活躍する〔ダメな自分を解放する自己救済の一環なのか?〕。しかし、その奇癖のためクラスの全員は、ローレンを除き、バリーを軽蔑している〔そのローレンも、愛情ではなく同情〕。しかも、成績は、もう1人の空手名人の乱暴者チェリーニと最下位を競っている有様。絶望的な中学生活だ。その状況に変化が現れる。バリーのクラスの受け持ちの教師チェンの伯父リーが家業〔中華料理店〕の手伝いにやってくることになり、そのリーがバリーにマーシャルアーツを教えてくれることになったのだ。喘息の吸入器を手放せないバリーにとって、ごく簡単なトレーニングも大変で、特に、ローレンの好意が「哀れみ」によるものだと悟った時には、ショックのあまり緊急入院したほどだった。しかし、検査でも胸の機能に異常はまったく見られない。そんなバリーに、リーはプラセボかどうかは不明だが、秘薬を塗ってやり、勇気付ける。退院後、再開した訓練で、バリーは徐々にいろいろな技を身に着けていく。これまで見学専門だった体育の授業にも積極的に参加する。そして、ある時、体育館でチェリーニに虐められたバリーは、猛然と反撃する。その力量に誰しも驚いたが、最も感心したのがローレン。これまでの同情が愛情に変わる兆しを見せる。クラスで2人が一緒に座っていると、そこにチェリーニが現れ、州の空手の団体戦大会のパンフを渡し、勇気があるなら出てみろと煽る〔自分の方が強いと固く信じている〕。リーはチェンとも相談し、バリーと3人でチームを作ってこの大会に挑戦することに決める。最初は怖気づいたバリーだったが、決心すると一段と練習に熱が入った。しかし、大会当日、受付に行ったリーとチェンは、1チーム4人だと指摘され愕然とする。その窮地を救ったのは、偶然大会を観に訪れたチャック・ノリス本人だった。チェンの懇願にOKしたチャック・ノリスは、バリーのためにチームに加わる。かくして、チェリーニのいる「強者至上主義」のストーン道場と、バリーのチームとの一大決戦が始まる。

ジョナサン・ブランディスは、映画『Childstar(チャイルドスター)』を地で行ったような子役だ。特に、TVで絶大な人気を誇ったものの、大人になって次第に売れなくなり、再興を期待して出演した(脇役)戦争映画『ジャスティス』(2002)で、出演部分をすべてカットされたことにショックを受け(…と推測されている)、2003年11月11日、遺書を残さず、首を吊って自殺した。ジョナサンは、コミカルな役が巧く、女装して女子サッカー・チームに入団した少年の活躍を描いた『恋のレディ&レディ?』が当たり役。この映画でも、メインテーマは空手だが、学園物として笑わせてくれる。


あらすじ

映画は、アメリカ人が連想する奇妙な日本の「忍者」のエピソードから始まる。鳥居の前に整列して跪座の姿勢をとる40名ほどの「悪い忍者」。鳥居には「姫君」がY字型に綱で縛られている〔笑ってしまう〕。そこに、鬼の仮面をつけた首領〔笑ってしまう〕が現れ、「姫君」を刀で切ろうとする。そこに、全身白装束の「正義の味方」が登場。忍者とはほど遠い、奇妙な服装だ〔笑ってしまう→3度目〕。ここまで、三流映画を観始めてしまったかと思う。白装束の男が1人で多数の黒忍者と戦う。多勢に無勢とはならないが、勝つまでには至らない。そこに、全く同じ白装束の2人目が加勢に現れ、敵全員を追い払うことに成功。最初の白装束が覆面を取ると、チャック・ノリスの顔が現れる。チャックは、「ありがとう、バリー、また助けてくれたな」と言う。2人目の白装束が覆面を取ると、「いいんだ、チャック、相棒なんだから」(1枚目の写真、写真の左下に★印のあるものは、白昼夢の中のシーン)〔「相棒」の原語“sidekicks”は映画の原題でもある〕。そして、格好つけて言う。「僕が、どこにいて何をしていても、呼んでくれるだけでいい、チャック」。この独り言のどこから生徒に聞こえていたのかは分からないが、言い終わると、教室中の生徒がバリーを見て笑っている。中でも、空手の巧いチェリーニが、「仲良しのチャックおじさんと一緒だもんな」とからかう(2枚目の写真)。女生徒からは、「バリっちって、キモいわ」との声も〔“Barry Warry” は、生徒たちがバリーを呼ぶ時の蔑称。「アホのバリー」というような意味だが、あだ名としては変なので、「バリっち」とした〕。「バカじゃないの?」。1人だけバリーに好意的なローレンが、「放っといてあげなさいよ」と庇う。ここで、教師のチェンが「もう十分でしょ」と止めに入る〔演じているのは、シンガポール生まれで英/中国ハーフのJulia Nickson〕。チェンは、喘息で咳き込んでいるバリーに近付いていくと、「肩の力を抜いて〔Let it happen〕、リラックスなさい。無理して抑えないの」と助言する(3枚目の写真)。空手映画にしては、「幻想癖があって喘息持ち」という意外な主人公の設定だ。
  
  
  

チェン先生は授業後にバリーの父を呼んで、空想癖について相談する。父は、喘息で体が弱いので、空想の中でアスリートやクォーターバックになっていると擁護する。そして、チャック・ノリスとは相棒なのだとも。しかし、先生から、父と子の関係も相棒なのかと訊かれると、「忙しいから」と言い逃れ、「彼の生き方を変えないと。ご自身も含めて」と注意されてしまう。その後、親子はヒュートン1のストーン空手道場に行ってみる。「靴は更衣室で脱いで下さい」と書いてあるのに、うっかり者の父がマットの上に靴履きのまま上がってしまって叱られ、幸先は良くない。道場主のストーンから、「君は空手を習いたいのか?」と訊かれたバリーは、「うん」と答え、これまた、「イエス・サー」と言うべきだと注意される(1枚目の写真)。そこまでは、親子のミス。バリーは、ずらりと並んだトロフィーを見て「これだけ勝つなんで凄いですね」と言い、さらに、「チャック・ノリスくらい強いんだ」と嬉しそうに言う。ところが、それを聞いたストーンは、「チャック・ノリスだと? 奴が試合に出ない最大に理由は、俺がいるからだ! 俺にやられると分かってるからな」とムキになって威張る。それを聞いて笑った父は、早々に「さあ、行こう」と腰を上げる。出て行きながら、バリーが、「他を当たろうよ」と父に小声で話しかける。それを聞いたストーンは、「初めてまともなことを言ったな。ここには強い者しか要らん」。これに対し、バリーは反論する。「空手は 修養と自制と型のスポーツだ。お互いも尊重する」(2枚目の写真)。「お前は イースター・バニー〔イースター・エッグを運んでくるウサギ〕も信じてるのか?」〔ストーンの勝利至上主義の正体がよく現れている〕。それを聞いたバリーは、呆れて出て行く。家に戻ったバリーは、TVでチャック・ノリス主演の『地獄のヒーロー(Missing in Action)』(1984)を観ている。白昼夢の中では、悪役はストーン、囚われの女性はチェン先生になり、それを救い出すのは、チャック・ノリスと、その相棒の自分自身だ。2人とも、M60機関銃を撃ちまくる(3枚目の写真)。バリーは、父に「寝る時間だぞ」と言われ、現実に引き戻される。
  
  
  

授業が終わり、校内でチェンが 文学の教師メイプスと話している。チェンの伯父〔日本人のマコが中国人役〕が 今日この町に到着すること。チェンに気のあるメイプスは、仕事を紹介してやると言うが、チェンは家族の中華料理店で働くことになっていると断る。そして、これから面談があるから忙しいとも。面談の相手がバリーだと告げると、メイプスは「あいつは、鈍くて、どこか変で、お手上げな生徒ですな」と評価する。チェンは「彼は、夢想家なんです。歴史的にも〔チェンは歴史の教師〕、夢想家は功績を残していますわ」。教室に1人残されてチェンを待っているバリー。「ナショナルジオグラフィック」を読んでいると、白昼夢が始まり、校舎の上からヘリコプターが現れる。場面は戦場となり、縄はしごつかまったチャック・ノリスが登場、バリーに何事か叫ぶが、プロペラの騒音で聞こえない。ハタと気付いてバリーが振り向くと、教室の壁が爆破されて穴が開き、そこから灰色装束の男が侵入し、刀を振り回しながらバリーに向かってくる(1枚目の写真)。思わず、腕で顔を庇うバリー。すると、その手を誰かがつかむ(2枚目の写真)。それは、チェンだった。「いったい、何だったの?」。「こむら返り〔charley horse〕を治してたんです。もう治りました」。チェンは、「あなたとお父さんに会わせたい人がいるの。気に入られれば、マーシャル・アーツを教えてもらえるわ」。「僕を気に入る人なんかいませんよ」。「さあ、どうかな。彼、ちょっとあなたに似てるから」。
  
  

チェンの中華料理店で。伯父は中華饅頭の生地をこねている。拳大の大きさに丸めたものを、後ろ向きのまま〔悟られないよう〕、離れた所に座っているバリーの額目がけて投げる。バリーは、何も回避動作を取らないため、額にもろにぶつかる。「もう9回目だぞ」。「ごめんなさい。準備できてなくて」。「それが、この練習の要なんだぞ。いつも、準備してなくちゃいかん」。そう言うと。「マーシャルアーティストになりたいなら、どんな名前がいいか」と訊く。「バリー・ザ・レパード(豹)」「バリー・ザ・タイガー(虎)」。どれも雰囲気に合わない。伯父が「これだ」と言って口にしたのが、「ミスター・ダンプリング(団子)」。その理由は、「唯一の戦い方が相手の拳を顔で受けること」「準備ができてないからと負けを認めること」。この指摘に、バリーは、決まり悪げに「要が何か分かったよ、リーさん」と納得(1枚目の写真)。リーは、「君の知りたがってることを教えてやろう。だが、一度やめたら、もう教えないからな」。そして、酒ビンを取り出し、「これが盗っ人だとする。君は、盗っ人とは妥協できない。ただし、譲ってやることにすれば話は別だ。紛らわしいと思うだろ? これが最初のレッスンだ」(2枚目の写真)。リーは、家と学校との距離を尋ね、「5分か10分」と聞き、「時間じゃなく距離だ」と訊き直す。「2マイル〔3.2キロ〕」。「どうやって通ってる?」。リーは、車だと聞き、「これからは、学校まで歩くんだ。来週までな。その後は、走れ」。そこにチェンがやってきて、食堂に無頼漢が入り込んで絡んでいるとSOS。リーは、コミカルな酔拳で成敗する。リーは、店の外に行き、ほうほうの体で去って行くグループを見ながら、バリーに、「あの諸君は、私の外観しか見なかった。レッスン、ナンバー2。見た目に囚われず、本質を見抜け〔Believe what is, not what you think〕」(3枚目の写真)。このナンバー2は微妙な表現だ。実は、道教に関するサイトで、「Do they incorporate the teaching “Believe what is, not what you think” in their philosophy?」という質問に対し、「Yes」ではなく、「No. See and understand what is by not thinking about it.〔いいえ。考えるのではなく、よく見て理解するのです〕」との問答が書かれている。
  
  
  

翌朝、さっそく歩いて登校するバリー。しかし、歩きながら、「油断するな。警戒を怠るな。疑いの目で見るんだ。ジャングルにいるチャックのように。敵を用心しろ」と独り言を呟いていると、すぐに白昼夢に突入する。そこは、もう戦場。バリーは迷彩服にフェイスペイント。敵から隠れて伏せていると、いきなり木の上から銃撃。転がってよけると、そこは家のそばの芝生の上(1枚目の写真)。バリーがローレンの家の前にさしかかると、ちょうど車に乗ろうと家から出てきたところだった。ローレンに気を取られて吸入器を落としてしまう。それを見たローレンが、「バリー、大丈夫?」と心配そうに寄って来る。「どうかしたの? パパはどこ?」。「歩くことにしたんだ」(2枚目の写真)。「それは、とっても健康的ね。でも、急がないと、10分で授業始まるわよ」。一旦は、車に乗ったローレン。窓を開けて、「ホントに乗らなくていいの?」。「いいんだ。心臓を鍛えないとね」。バリーをバカにしているローレンの弟が、横から「そう。サヨナラー」と口を出す。
  
  

先日バリーのことを絶望的だと言っていたメイプス先生の授業。階段教室で複数のクラスが合同で聞いている。メイプスは、授業でシェイクスピアについて教えてきたらしく、「名言は生涯の糧となるだろう」と言った上で、私語に励んでいるチェリーニ〔冒頭で、バリーに雑言を浴びせたワル〕に、「to thine own self be true(おのれに忠実であれ)」の出典を訊く。『ハムレット』で、ポローニアスが息子のレアティーズに与える注意の中の一言だが、この部分だけが特に知られている。だが、チェリーニには答えられる訳がない。代わりに、ローレンが手を上げて答える。メイプスは、さらに、「Alas, poor Yorick! I knew him(ああ、哀れ、ヨリック! あいつなら、よく知っている)」〔定番ではこの後に”Horatio”が入るが、そこまで言ってしまうとバレるので、ここで彼は止めた〕、と2つ目の質問。「ええと、聖書かな?」。「それは、君が唯一読んだ本だろ」。その時、ローレンから内緒で教えてもらったバリーが手を上げ、「ええと、『ハムレット』です」と言う(1枚目の写真)〔ハムレットが、道化師ヨリックの頭蓋骨を手に、ホレイショーに言う台詞〕。メイプスは、「心臓が止まりかけた」と驚いてみせ、さらに「チェリーニ君。脳タリン競争で最下位になるぞ」と皮肉を言う〔いい教師とは言えない〕。この屈辱に対するチェリーニの報復は速やかだった。バリーは廊下で後ろから突き飛ばされ(2枚目の写真)、倒れたところを仰向けにされて胸を靴で踏みつけられる。「出かける時は、注意しな。いつ事故が起きるか分からんぞ」。そして、「そうそう、ローレンはお前が好きなんじゃない。哀れんでるだけだ」とダメ押し。
  
  

バリーとリーによる最初の訓練シーン。ゆっくりと基本動作から始めるが、すぐに喘息発作を起こしてしまい、吸入スプレーが手放せない。先行ききわめて不透明だ。次が、体育館で行われている学校の体育の授業。生徒たちが腕立て伏せをしている。松葉杖を持った骨折者や頚椎固定装具を付けたむちうち症患者を除くと、一見健康そうな見学者はバリーただ1人(1枚目の写真)。そんな状況でバリーが入り込んだのは、西部劇の世界。西部の町の酒場のスイングドアが開き、2人のガンマンが入ってくる。チャック・ノリスとバリーだ。客の1人から、「ローン・ウルフとリトル・ウルフだ」の声が上がる〔通常、“lone wolf”は普通名詞の「一匹狼」だが、ここでは名前〕。酒場での悪役は、またストーン。「これは、これは、2人の怖い狼さんのお越しじゃねぇか」。バーテンに何を飲むかと訊かれ、バリーが「ミルク」と答え、大笑いが起こる。しかし、チャック・ノリスが拳銃をちらと見せると、笑いは直ちにやむ。ストーンが酒場の給仕役のチェンが嫌がるのに絡み始めると、バリーが「放してやれ」と命じる。そこで、バリーとストーンの決闘。しかし、白昼夢の中なので、何度やってもバリーの方が早い〔撃つ代わりに、一発顔を殴る〕。2枚目の写真は、2回殴った後の3回目の勝負でバリーが拳銃を突きつけたところ。4回目に殴られた後、後ろを向いたバリーにストーンが空の酒ビンを投げつける。しかし、頭にぶつかったのは、体育教師の投げたバレーボールだった。教師は、バリーが寝ていると思って投げたのだ。だから、超大声で、「起きろ~!!!」と怒鳴る。その時の顔が、あまりにすごいので敬意を表して3枚目の写真にした。
  
  
  

そして、バリーは、罰として、全生徒の前で、ロープクライミングをさせられる。しかし、バリーの腕力ではとても登れない。「やれるなんて思うなよ、お嬢ちゃん」。その時、隣のロープからチャックが「おい、バリー」と呼びかけてくる(1枚目の写真)。「上まで競争しよう」。「できないよ」。チャックは、両足をクロスさせてロープを挟み、そこに体重を載せて腕の力を抜いて休ませ、そこから、手と足を交互に使って登らせるコツを伝授する。ほとんどはチャックがしゃべっているが、チャックの姿も声も空想上のもので、教師や他の生徒には見えも聞こえもしない。バリーは、ゆっくりと、しかし着実に登っていき(2枚目の写真)、最後には頂上に達し、チェリーニ以外の全員の生徒から拍手が起こる。学校からの帰り道。バリーはローレンと一緒に歩いている。「今日のホーン先生、意地悪だったわ。パパに言うべきよ」。「パパ? 何もしてくれないよ」。「私のパパなら、撃ち殺して詰め物をして剥製にしちゃう」〔怖い父親だ〕。そうこうするうち、ローレンの家の前に着く。「私、ここで別れるわ」。その時、バリーは、思い切って胸の内を明かす。「ええと、ローレン… あのね… 僕、君のことが好きだ」。「私も好きよ、バリー」。「すごいや。僕は君が好き、君も僕が好き。なら、デート〔go out〕しようよ」(3枚目の写真)。ところが、ローレンの反応は予想とは違っていた。「デート?」。「うん」。「バリー… あなたのこと好きだけど、そんなんじゃないの。あなたのことが心配なの。みんなが意地悪だから。だから私…」。「気の毒ってか? チェリーニは正しかった。哀れんでるだけなんだ」。「違うわ!」。「よく分かった〔I get it〕」。そう叫ぶように言うと、傷心のバリーは走って去って行った。
  
  
  

悲しさのあまり、喘息がぶり返し、バリーは やっとの思いで家に辿り着く。そして、ポーチのベンチにへたり込むように腰掛けると、吸入器を吸おうとするが、手がうまく動かなくて、頭に来たバリーは地面に投げつける。「負けないぞ〔I will beat you〕!」と悔しがるが、涙は止まらない(1枚目の写真)。その先は、悪夢だった。バリーは、板に鎖で何重にも縛り付けられ、その鎖がぎりぎり巻かれ、胸を強く締め付けていく。拷問装置を動かしているのは、ドクロ襟章を付けたナチスの将校で、「知っていることを話せ」と言い、バリーは「話すもんか」と応酬。いつものチャックも捉えられているので、助けにはならない。息ができないほど締め上げられるバリー(2枚目の写真)。朦朧とした意識で気付くと、そこは救急車の中だった。父が付き添っている。しかし、ICUの医師の診断は機能障害ゼロ。発作自体が起きるハズがないので器質障害を疑っている〔実際には、確信的恋愛の失恋ショック〕。チェンとリーも、夜にもかかわらず見舞いに訪れる。1人で病室に入っていったリーは、「いいものを持ってきた」というと、バリーの胸をはだけ、持ってきた軟膏をすり込む(3枚目の写真)。「ひどい臭いよ」。「秘密の成分を入れた昔からの治療薬だ」。
  
  
  

緊急入院から恐らく数日後の朝、バリーとリーは、ヒューストンの中心にあるトランクィリティー(Tranquility)公園にいた。「簡単な動きから始めよう」と言い、4つの動作を見せる。動きは、空手の下段払い、上段受け、突き、蹴りだが、そこで使われる英語は、空手のものではなくボディコンバットの用語〔low block、high block〕。リーは中国人だし、マーシャルアーツを教える約束なので、空手を教えているわけではない。リーは、「目的は他人を傷つけることではない。傷付けられるのを止めるためだ」と教える(1枚目の写真)。また、板割り(3枚)の実演をして見せる。その後は、軽いダンベル〔3キロくらい?〕を持ち、腕を振り上げながらのランニング(2枚目の写真)。最後は、板割り(1枚)に挑戦し、見事に失敗する(3枚目の写真)。4枚目の写真は、バリーがランニングし、リーが後ろから自転車でぴったり後を付ける。不思議な光景だが、ここはヒューストンの名所ウィリアムズ滝(Williams Waterwall)。1985年に作られた高20mの半円形の滝だ(https://www.youtube.com/watch?v=N8fdujMUxmU では、ドローンによる面白い空撮が楽しめる)。
  
  
  
  

中華料理店の厨房では、クッション材を巻いた天井の梁で懸垂をした後、喘息に効く何かの液体を飲まされる。それはひどい味だったが、リーは緑の液体の入ったビンを渡して、「1日4回、日曜は2回飲め」と言う(1枚目の写真)。家に帰ったバリーが、さっそく薬をマグカップに注いで飲もうとする。すさまじい臭いだ。バリーがキッチンのテーブルで我慢して飲んでいるところに父が入って来る。異臭に気付き、「このひどい臭い 何だ?」と効く。「さあ」。「下水でも詰まったかな?」と窓を開けて外の臭いを嗅ぐ〔そんなに臭いとは?〕。バリーは、吸入器を片手に、走って学校に向かう。そして、体育の授業。いつもの手荒な教師は、「ここで何してる? さっさとベンチに行かんか」と命じるが、バリー、「大丈夫です。ホーン先生。今日は授業 受けます」。しかし、教師は、喘息発作を恐れて受けさせない。それでも、バリーはその場を動かず、「何にでもサインしますから」と言って許可を得る(3枚目の写真)。
  
  
  

バリーは、リーから「いいものをやる」と、ヌンチャクを渡される〔日本流の空手とは無縁の存在〕。「毎日、1時間練習するんだ。ミスすると痛いが、操れるようになるよう手伝ってやる」(1枚目の写真)。「危なそうだ」。「もちろん。武器だからな。だが、身につけるべき最大の武器は、自制心だということを忘れるな」。いつもの公園で練習を始めたバリー。さっそく、股間を強打して絶句(2枚目の写真)。しかし、何度も練習しているうちに上手になり、師と一緒にレールの上で自由に回せるようになる(3枚目の写真)。
  
  
  

リーは、厨房で中華饅頭の生地をこねながら、時々、バリーに投げてよこす。バリーは悩みを打ち明ける。「リーさん。夢を見たことは?」。「あるとも」。「そうじゃなくて、夜以外の時に」。「白昼夢のことか?」。「そう。どこか違う場所に行ったり、冒険したりするんだ…」。「彼とだな」。そして、「夢はいいことだ」と言う。「学校の廊下を歩いてる時や、教室に座ってる時でも? 彼と一緒なのは嬉しいけど、普通じゃないよね?」(1枚目の写真)。「夢をコントロールするんだ。もし、それができれば、夢は減るだろうが、より豊かになるだろう」。「それが あるべき道なの〔Is that the way it’s supposed to be〕?」(2枚 目の写真)。「子供は夢の世界に生きている。もし、それがなければ、大きくなっても賢くはならないだろう」。
  
  

公園での訓練は次第に本格的になってきた。バリーの「突き」をつかんだリーが、体ごと投げ飛ばして芝生に押さえつける(1枚目の写真)。「常に、不測の事態を予測しろ〔expect the unexpected〕」。そして、近くのウォータム・センター(Wortham Center)に場所を移し、カスケード〔階段状の滝〕の中央に建つ8角パビリオンで キックミットを使った「飛び蹴り」の練習。蹴る力が強くなってきたので、リーもヘルメットを被ることに。それが終わると、カスケードの流れを3.つに仕切る2つの「分離帯」の上に、それぞれ手と足を置き、腕立て伏せの練習をする。お腹の下は急流なので、失敗したら怪我をする危険な練習だ。それに、もう吸入器は要らなくなっていた。
  
  

体育館で。チェリーニを中心とする悪ガキが、チアガールの練習を見ている。そこにサッカーボールの収納ネットをかついだバリーが入ってくる。さっそく、チェリーニから「バリっちじゃねぇか」と声がかかる。そして、「息ができねぇ」と喘息発作の真似をする。それを見たバリーは、「くそ食らえ〔Up yours〕、チェリーニ」と、これまでなら信じられない悪態をつく。チェリーニは、バリーの背中から〔卑怯にも〕肩を ど突く。バリーを空中を飛んで、床に投げ出される(1枚目の写真)。以前と同じように、バリーの胸を靴で踏むチェリーニ。「おい、バリー、いつも同じだな」と軽蔑したように言い、「さっき何て言った?」と訊く。もし、悪態をくり返したら、もっと虐める口実ができる。しかし、今日のバリーは違う。「今度は、簡単にいかないぞ、って言ったんだ」と言うが早いか、両手でチェリーニの足を押えて固定すると、左足で胸を蹴り上げて床に叩きつける(2枚目の写真)。心配になったローレンが走って教師を呼びに行く。バリーは「やめよう」と言うが、チェリーニが胸を叩くので、その力を利用して大外刈りで倒す。素早く立ち上がったチェリーニは、「空手を教えて欲しいのか? タダで教えてやる」と言うと、左足、右足、左足と3連続でバリーの胸から腹を強打するが、バリーは倒れない。逆に、右足の回し蹴りでチェリーニの胸を強打(3枚目の写真)、相手は吹っ飛ぶ。バリーは、再度、「もうやめよう」と言って背中を向けるが、卑怯なチェリーニは、右足の回し蹴りでバリー顔を強打。それでも、バリーは倒れない。かくして、2人は戦闘開始。互角の勝負だ。そこに、教師が止めに入る。教師は2人を厳しく叱ったが、チェリーニがいなくなると、バリーに、こっそり「結構いけるな〔Not bad at all〕」と褒め言葉をかける。
  
  
  

ローレンは、教師が去ると、すぐに寄ってきて、「あなただなんて、信じられない」と話しかける。「みんな驚いてると思うよ」。「あいつ、最低のゴロツキね」。ローレンは、話題を変え、「週末は 何するの?」と尋ねる。「動物園に行くけど」。「一緒に行っていい?」。「いいよ、もちろん。嬉しいな」(1枚目の写真)。帰宅したバリーは、夜になっても懸垂で鍛えている。すると、また白昼夢が始まる。今度は、現代。チャックがバリーに銃を渡す。2人は倉庫に駈けていく。中では、ストーンがギャングのボスを演じ、囚われのチェンもいる。チャックとバリーは二手に別れて爆破・侵入することにする(2枚目の写真)。襲撃は成功、ストーンはやっつけられるが、お約束のチェンは急にいなくなり、代わりに助けを求めていたのはローレン。変な顔をするチャックに、「これは 僕の夢だろ」と言って、ローレンの登場を正当化する。夢をコントロールし始めたのだ。助けてもらったローレンは、「私のヒーロー」と言って、バリーに熱烈なキス(3枚目の写真、片足を曲げるのはコメディの定番姿勢)。コントロールされた夢は、リーが言っていたように、より強烈だ。夢から覚めたバリーは、満足そうに懸垂を続ける。
  
  
  

翌日、文学の授業の始まる前、ローレンはバリーの横にやってきた。仲良く挨拶を交わす2人(1枚目の写真)。そこに、チェリーニがやってきて、バリーの机にパンフを置くと、「おい、俺と本気で勝負したいか? びびり屋にはムリだろうが、チャンスだぞ」。バリーが、パンフを見て、「空手競技大会?」と読み上げる。「そうさ。フェアな試合だ」(2枚目の写真)。昨日のチェリーニのやり方を見ていたローレンは、「フェア? 笑わせないで〔That'll be the day.〕」と辛辣だ。一方のチェリーニ。「ローレン、お前 利口なんだろ。なら、俺様がいるのに、なんで、こんなヤボと引っついてんだ?」とバカを曝す。「ヘドが出るわ」。これだけ罵られてもチェリーニは懲りない。やはり真性のバカだ。教師が登場すると、ローレンは席を離れて行く〔席が決まっているのとは思えないのに、なぜだろう? ローレンは学業第一なのか?〕。場面は週末に飛ぶ。ローレンもいるが、メインは リーの最後のレッスンだ。「君には、この団体戦に出てもらおうと思う」とリーが言うが、バリーは乗り気ではない。「ウキウキすべきなのに、そうじゃない」。「自然な反応、自然な不安だ」。「まだ 気構えが」。そこは、動物園ななおで、リーは、目の前をゆっくり歩いていく大きな亀に気付き、「バリー、亀を見ろ。亀はのろくて、およそ音楽的じゃない。だが、言い伝えがある… 私も信じているがね。すべてが順調に進み、夢が実現し、不可能が成し遂げられる時、亀は踊り出す」。バリーは、「亀は踊れないよ」と笑う。「それは、できないと思ってるからだ。できると信じれば 踊る」(3枚目の写真)。
  
  
  

いよいよ、「TEXAS OPEN TEAM KARATE CHAMPIONSHIPS」の当日。受付に並ぶ3人の姿があった。リーとチェンとバリーだ。デモンストレーションが行われているとのアナウンスがあり、チェンはバリー、「見てきなさい」と勧める(1枚目の写真)。しかし、バリーがいなくなり、2人が受付に行くと、応募用紙を見た男性が、「4人目は誰です?」と尋ねる。「3人のチームで参加します」。「ダメですね、これは団体戦です。1チームに4人必要です。だから、あと1人見つけていただかないと」と断られてしまう。チェンは、「バリーはがっかりするわ」と意気消沈する。しかし、その時、会場が沸き、チャック・ノリスが登場する。それを見たリーは、「いい考えがある」と言って、チェンの手を引いてチャックの方に人ごみを掻き分けて行く。2人が近付く前にチャックに声をかけたのは、ストーン。「おやおや、これは驚いた、チャック・ノリスとはな。試合に出ないとは残念だ。ぶっ飛ばしてやったのに」。「夢の中でだろ、ストーン」。「お前には悪夢だろうな、チャック」。実に失礼な人間だ。一方、リーの提案を聞いたチェンは、「気は確か? 彼はスターよ。チームになんか入らないわ」。「あの子のヒーローなんだ。頼んでみろよ」。かくして、チェンは思い切ってチャックに声をかける。「お話しできますか?」。快くOKしてくれたチャック(2枚目の写真)。2人の間で何が話されたのかは分からないが、画面は、デモンストレーションを通路の階段に座って熱心に見ているバリーに切り替わる。バリーの後ろから近付き、すぐ横の席に誰かが座る。演武が終わりバリーが拍手しながら、周りを見ようと振り向くと、何とチャックがいる! また、白昼夢かと思い、茫然とチャックの顔を見ていると、チャックが、バリーに微笑みかけ、「やあ、私はチャック・ノリスだ」と声をかける。有頂天になったバリー(3枚目の写真)。「君は…」と訊かれ、「え、僕? あの… バリーです」。「やあ、バリー、よろしくな」。そして、「出場する?」と尋ねる。「ええ」。「緊張してる?」。「わぉ、そうなんです。こんなに緊張したの 生まれて初めてです」。「緊張するのはいいことだ。ウォーミングアップになる」。そう言うと、チャックは顔を近づけ、「いいかい、君と私で優勝しようじゃないか〔Why don’t you and I go win this thing.〕」と思わぬことを話しかける。びっくりしたビリーが、「どういうこと?」と訊くと、「つまりな、君達には4人目が必要で、私がその4人目になるんだ。それに、ここには、謙虚さを教えてやらないといけない武芸家が1人いる」〔ストーンのこと〕。チャックの名前を書き加えた応募用紙を見た受付は、「これ、冗談でしょ?」と言う。その時、チャック本人が顔を覗かせ、「何か問題でも?」と訊く(4枚目の写真)〔架空の競技大会なので規則は分からないが、こんな実力者に出場の資格はあるのだろうか?〕。10番目の新参チーム名は、「Frying Dragon(飛龍)」と決まった。
  
  
  
  

競技の最初は、女性の「形競技」から。飛龍チームは、チェンが太極拳のような「形競技」を披露。2位につける(8点)。ストーン道場が1位で10点。次の種目は「煉瓦割り」(使用するのは薄いコンクリート板)。ストーン道場はチェリーニが出てきて8枚割に成功。その後で出てきたリーは、9枚に成功(1枚目の写真)。この時点で、ともに18点となるが、映画では司会者が「That brings the frying dragon within two points」と言っている。明らかな脚本のミス。3種目目は武器を使った「演武競技」。アメリカでの空手事情はとんと知らないが、日本だったら、「演武競技」で剣やヌンチャクを使うなどあり得ない。ここでは、ストーン道場が剣を使った演武で1位の10点、バリーがヌンチャクを見事に使いこなして2位の8点(2枚目の写真)。映画では、バリーの演武に対する拍手が多くててっきり1位だと思っていたが、4種目の最後のグローブ空手でチャックがストーンに完全勝利を収めた(3枚目の写真)結果が36点対36点なので、バリーが2位でないとこの点数にならない。あと、試合のシーンを見ていて変に思えるのが、飛龍チームの中にいつもチャックがいないこと。バリーの父とローレンはいるのだが、肝心のチャックが姿を見せるのはストーンとの対戦の時のみ。これでは、バリーに「君と私で優勝しようじゃないか」と話したことと矛盾している。
  
  
  

タイブレークになったので、優勝を決めるための対戦が行われる。この時の、脚本も奇妙だ。手の甲に隠し置いたコインの表裏を当てたリーが、出場選手を決める権利を得る。リーは、チームに戻ると、「バリーにしよう」と言い、バリーは、「なぜ僕が」と及び腰。チェンは「あなたならできる」と励まし、ローレンも「あなたには誰も敵わないわ」と賞賛、リーは「自分を証明してみせろ」と言うが、父は「もう十分に証明した」とバリーを擁護するようなことを言う。そこまではいいとして、次に司会者が、タイブレークの競技者として、いきなり、バリーとチェリーニの名前を挙げる。しかも、ストーンに対戦競技を選らばせる。では、コイントスでリーが勝ったのは一体何だったのか? 負けたストーンも自分で選手を選び、しかも、種目まで決めている。はっきり言って支離滅裂だ。チェリーニは「煉瓦割り」を選ぶ。ここでも、脚本の奇妙なミスが。2回戦でチェリーニは8枚割に成功している。しかし、なぜか大切なタイブレークでは6枚割をする。なぜ?? バリーは、7枚に挑戦せざるをえなくなるが、これまで成功したのは、1枚だけ。いきなり7枚とは無理だと思うが、そこは映画なので、7枚割に成功〔あり得ないが、「脚本ミス」とは言えない〕。手が痛いというバリーに、リーは、「ハンマーの要領だ。頭部が手、柄が腕だ」と教える。チェリーニは、次は8枚でいいのに、1枚足して9枚にする。そして失敗。次のバリーは同じ9枚に挑戦する。これを割れば優勝だ。バリーが、舞台上に上がると、なぜかチェリーニが寄ってきて、「バリっち、お前が手を折ったら、ローレンのキスをもらうのは俺だからな」と下らないことを言う。そもそも、チェリーニはこの場に上がって来られないハズだ。いくら話を面白くするためとはいえ、ありえない行動は見ていて不愉快だ〔チェリーニではなく、脚本に対して〕。バリーはチェリーニに、「彼女に構うな」と詰め寄るが、リーは、「怒りを納めろ。対決すべきは板だ。あのバカじゃない。集中しろ」と的確にアドバイス(1枚目の写真)。ダメ脚本の最後は、リーが9枚のコンクリート板の上から燃料をかけ、火を点ける。バカバカしい状況下で、バリーは9枚の「煉瓦割り」に成功する(2枚目の写真)。大歓声を上げる観衆。チームと一緒に大喜びするバリー。しかし、そこにもチャックの姿はない〔ありえない〕。映画の最後は、夕方、競技会のあった建物の外のベンチに座っているバリーとチャック。「僕、ずっとあなたに会いたいと思ってた」。「それは光栄だな〔It's been my pleasure.〕」。「夢が叶ったような気がする」。「夢は叶うものだ… どうしてもと願うなら〔if you want them bad enough.〕」。父とチェンが優勝カップを持ってやって来る。バリーがベンチを立って、振り返ると、そこにはチャックの姿はなかった。最後の会話も白昼夢だった。ラストは悪くないのだが、試合のシーンは、お粗末な脚本に観ていても興が削がれた。
  
  
  

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