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Vacation お!バカんす家族

アメリカ映画 (2015)

スティール・ステビンス(Steele Stebbins)が初めて重要な役をつかんだドタバタ喜劇。1983年の同名映画のリメイク。4人家族がシカゴから西海岸のテーマパーク(ディズニー・ワールドは配給会社の関係で使えなかったので、仮想的なワリー・ワールド)に辿り着くまでの珍道中を描いたもの。1983年の映画での父母役が、祖父母としてゲスト出演している。そういう意味では、リメイクというよりは続編に近いかもしれない。映画の中でも、「ワリー・ワールドへの旅は、子供の頃の最高の想い出だ」という言葉がある。楽しかった経験を、自分の子供たちにも味合わせたいから、もう一度同じ行程を辿るのだ。なかなか面白い設定でのリメイクだ。家族が違うので、家族構成も兄と妹から、兄弟に代わっても違和感はない。この変更がなければ、スティール・ステビンスの登場はなかった。彼が演じるケヴィンは、アメリカ映画の子役としては、“兄に対する軽蔑度とからかい度” が極端で、その口の悪さはあきれるほど。そこが笑いのつぼにはなっているのだが…

妻子と一緒にいる時間を確保したいがため、ローカル航空会社の副操縦士に甘んじている父、女子大生の時その過激かつ淫乱な行動でレジェンドにもなったが、今は欲求不満をかかえつつ真面目な主婦を演じている母、仮性半陰陽の兄ジェームズ、その兄をバカにすることに生きがいを感じている弟ケヴィンの4人家族の物語。父は、夏のバカンスに10年連続で丸太小屋に行っていたが、それが如何に家族に不評かを知って、自分の子供時代のベストな想い出の場所ワリー・ワールドへ車で4000キロの旅をすることに決める。乗る車は、5人目の主役でもあるアルバニア製の “とってもへんちくりん” な車プランサー。ワリー・ワールド同様、映画のために作られた車だ。7つのエピソードで構成される散々な体験を経てワリー・ワールドに到着した一家。家族には、夫妻、兄弟ともに大きな変化が起きていた。そこは、如何にもアメリカらしいハッピーエンドだ。

スティール・ステビンスは、あきれるほど小生意気で意地悪なのだが、顔立ちは可愛いので、そのギャップ、アンバランス感が面白い。今後伸びていくかどうかは、次回作で決まるだろう。


あらすじ

玄関で、兄が母に訴えている。「今月、3度目だよ」。手に持っているのは、『僕にはヴァギナがあるよ』とマジックで落書きされたギター。「何とかしてよ。いつも僕をいびるんだ」。「しょうがない子。悪いわねぇ」と母。弟がこんな行動をとる背景には、小さい頃にちゃんと躾けなかった両親の責任がある。詫びて当然だ。そこに父が帰宅。さっそく母が弟を呼びつける。階段を降りてきたケヴィンは、「ママとパパに告げ口か。ヴァギナのある奴は違うな」(2枚目の写真)。母:「黙って、お兄ちゃんをバカにしちゃダメでしょ」。父:「そうだぞ。他の人と違うからといって、からかうんじゃない」。兄:「僕、ヴァギナなんかないよ」。父:「ヴァギナがあっても、ネチネチやるのは良くないことだ」。兄:「僕にヴァギナがあるみたいに聞こえるよ」。父:「そういう意味で言ったんじゃない」。母:「ケヴィン、お兄ちゃんに謝りなさい」。ケヴィン:「分かったよ、ごめん」。母:「じゃ、部屋へ行って」。部屋に戻りながら、「クソっ、部屋にいたのに」と捨てぜりふ。
  
  

それを聞いた父がケヴィンを呼び戻して訓示を垂れる。「いいか、ヴァギナを持って生まれる男の子は多い」「辛いんだぞ」「ちょうどいい機会だから話すが、性の選択で悩むのは大変なことなんだ」。兄:「僕、悩んでないよ」。父:「悩んでも構わんぞ。ぶら下がってるものがなくても、お前を愛してるからな」。それを聞きながらニヤニヤしているケヴィン(1枚目の写真)。この父親にしてケヴィンあり、といったところか。呆れた母が、ケヴィンを部屋に再度戻すが、階段を登りながら、しっかり2度目のツッコミを入れる。「ジェームズ、僕に 変な性 うつすなよ」。一方、「ギター、どうなのるの?」と訊かれた父は、ギターを手に取り、「これでいいだろ」と言って返す。ギターには、『僕にはペニスがあるよ』とマジックで修正してあった。これでは とても使えない。父の いい加減さがよく分かる。
  
  

その後、父の友人が家族で食事に来宅。一緒に来た年頃のシーラに、恥かしがり屋の兄が何とか声をかける。「何?」。「学校 面白い?」。「まあまあ」。その時、会話を無視してタブレットしか見ていなかったケヴィンが、わざと口を歪めて「ガッコウ、オモシロイ?」と言い(1枚目の写真)、「何だい、そのキモい言い方。黙ってろ」。あまりの口の悪さに、シーラも困惑。その後は、相手の父親の下らない自慢話と、それに対抗して真似をするもっと下らない自分の父親の作り話。ただひたすら醒めた目でタブレットを見続けるケヴィン(2枚目の写真)。一方、夫人同士の会話では、片やパリでバカンス、こっちは、今年もきっと10年連続のミシガン州の丸太小屋に決まっている。その、うんざりした気持ちをぶつけていたら、それが偶然夫の耳に入った。
  
  

数日後の朝食時、父が、「すごい知らせがある」と言って3人の前に現れる。ケヴィンがすかさず、「ジュームズがエイズ?」と訊く。父:「何? 違う。ひどいこと言うな」。ケヴィン:「期待したのに」(1枚目の写真)。父:「4人でちょっとした旅行に行く」。期待を込めて母が「パリ?」と言うが、「違う。もっといい。ワリー・ワールドへドライブだ」。一気にしらける3人。当然最初に批判したのはケヴィン。「そんなの最低のクソだ!」(1枚目の写真)。「ケヴィン、言葉遣い」と母。穏やかな性格の兄は、「テーマパークなんかじゃなくて、ジャック・ケルアックや『陽気ないたずら者たち』みたいに、真のアメリカを見てみたい」(ジャック・ケルアックは放浪の小説家、陽気ないたずら者たちはサイケデリック革命集団)なんて言い出したので、即座にケヴィンのパンチを浴びせられる(2枚目の写真)。「イカれたクソ ほざくなよ」。口の方もすごい。父の注意は「ケヴィン、虐めるな!」だけ。その直後に、「ワリー・ワールドへの旅は、子供の頃の最高の想い出だ」の言葉が飛び出す。母:「30年前のバカンスをやり直すつもり?」。父:「やり直すんじゃない。全然違うんだ。例えば、前回は少年と少女、今回は2人とも少年だ。他にもいっぱい違うところがある」。まるで、リメイク版の宣伝をしているような内容だ。結局、「バカな丸太小屋より ヒドクなりようがないものね」と母がOK。ケヴィンは、「死にたい」(3枚目の写真)。ケヴィンの悪タレぶりが十分発揮された場面だ。
  
  
  

父は、借りてきたレンタカーを自慢げに見せる。「2015年型のタータン社のプランサー。いわばアルバニア製のホンダだな」。ためしにネット上で「Prancer Albania」と入れると、この仮想の車と、ホンダのオデッセイ(ツーリング・エリート)との対比なんかがあって面白いし、https://www.youtube.com/watch?v=99iAONlvpbwでは、ご丁寧にアルバニア語のプランサーのコマーシャルを見ることができる。念の入ったおふざけだ。2枚目の写真の車の全体像では、左が前部 右が後部だが、リアデザインはフロントを思わせ、キモい。家族が嫌がるのも分かる。
  
  

ここで、車の紹介第1部。プラグイン・ハイブリッドとプリウス並みだが、充電用のプラグが笑わせる(1枚目の写真)。父:「どうやるんだろう」。母:「見たことない形ね」。ケヴィンがドアのボタンを押すと、変なものがせり出してくる(2枚目の写真)。「カップホルダー?」。ここでは、ケヴィンの両側にあるミラーにも注目したい。なぜ後部に逆向きのミラーがあるのか? そして、3枚目の写真の多機能リモコン。後で出てくるダッシュボードのボタンよりは少ないが、意味不明のボタンが幾つもある。兄:「ボタンの意味は?」。父:「さあな。そのうち分かるさ」。これが、後で痛い目を見ることに。母:「あなた、それ かぎ十字?」。最後まで使われないが、押したらどうなるのだろう? 因みに左上の「マフィン」のマークは、自爆。よく見ると、爆発しているようにも見える。
  
  
  

いよいよ出発。カーナビを見ると、目的地まで2560マイル(4120キロ)。高速道路で青森~鹿児島間の最短距離が2049キロなので、その倍。アメリカは広い。走り始めてすぐにガス欠のランプ。因みにこの車には、給油口が2ヶ所並んで付いている。当然、意味不明。ガソリンを入れて再出発。すぐに大型トレーラが後方から近づいてくる(1枚目の写真)。そこで父が自慢げに取り出したのが標準装備の無線。後方のトレーラと話してみせる。しかし、相手のチャンネルも知らないのに、どうやってつながったのかは謎だ。父は、「いいか、業界用語で話すんだ」と言い、「1-9からゴムのアヒルちゃんへ」「あんたの調理場に州警はいるかね? どうぞ」とめちゃめちゃな質問。それでも、「この先20キロ、万事順調」と答えてくれる。ここで、ケヴィンが「僕もいい?」。そして、「こちら1-9。友だちのジェシーが、トラック運転手はみんな強姦魔だって言ってた。あなたもそう?」と訊いてしまう。父は、謝るだけでやめておけばいいのに、「小さな男の子が、いざ口を開くと…」と言い始め、あわてて、「あんたが、小さな男の子の口を開けるのが好きって意味じゃないよ。性犯罪者とか小児性愛症者という訳じゃ…」と深みにはまってしまう。
  
  

トイレ休憩後、高速に戻ると、今度は兄と同年輩の可愛い女性が乗った車が追い抜いていく。目が合い、にっこりする2人。そこにお邪魔虫登場。といっても過激だ。いきなり兄の頭にポリ袋をかぶせたのだ。息ができなくて苦しむ兄。何とか袋を破いて事なきを得た。「どうかしてるぞ!」。「失神するまで、どのくらい息がもつか知りたくて」。「もうやるな。死んでたかも」。「じゃあ死ねば」(2枚目の写真)。平然とした笑顔が怖い。そしてまたポリ袋責めをくり返す。
  
  

次が、車の紹介第2部。今度はナビだ。途中で高速を降りて、妻の母校を子供たちに見せようと思った父。ナビで、大学までのルート検索をした途端、急に女性の言葉が外国語に変わる。触っているうちに、それが怒った男の声に。母:「何なの?」。父:「何かな、朝鮮語?」。母:「何てひどいの。消してよ」。父:「表示が全部朝鮮語だから、どうしていいか分からない」。兄:「他の声と違って、なんでこんなに怒ってるの?」。あちこち押している間じゅう怒鳴り声が響く。父:「もう触らない方がいいよ。そっとしとけば、落ち着くかも」。ここでナビの画面が再び出て、1枚目の写真の右側の赤い丸がハー、ハーという息の音に合わせて大きさが変化するところが面白い。そして最後に怒鳴り声。さて、一家はそのまま母の母校へ。そこではビールを一気飲みした女子学生の障害物競走(「3π一気飲み競争」)が行われていた。そして、その発案者は何と女学生時代の母。おばさんになっても、できることを証明しようとチャレンジするが、飲んだビールをゲーゲー吐きっ放しの散々な結果。
  
  

車の紹介第3部。母校を出て再び高速に戻り、父がひんしゅくを買いながら一人で歌っていると、突然真後ろからクラクション。さっきのトレーラだ。復讐のために追いかけてきたに違いないと思った一家。必死に加速するが、スピードが出ないので、ダッシュボードのボタン(1枚目の写真)を見た母が、「ウサギのボタン押したら、加速するかも」と提案する。写真の左上端のボタンだ。絵はウサギのように見えるが、実は違っていた。押すと、リヤ・バンバーが落下した(2枚目の写真)。確かに図柄を見ると、そんな風にも見えるが、そもそも、リヤ・バンバーを落下させる機能など不要だ。次に試したのが「ロケット」。2段目の中央右にある。押すと、運転席が回転を始めた。完全に180度回転し(3枚目の写真)、幸い元に戻った。このボタンは、停車時に使うといいのかも。最後に父が考えたのが、以前、アクション俳優ヴィン・ディーゼルの映画で見たハンドルを左に切りながらハンドブレーキを引いて180度車を回転させるテク。「ヴィン・ディーゼルにできたなら、僕にもできる」。やってみた結果は、車そのものの回転(4枚面の写真)。車は5回転して、幸いタイヤを下にして止まった。でこぼこにはなったが、必死で逃げる。
  
  
  
  

その日の夜のモーテルのバスは、排水口にキノコが生え、壁に血痕がついたおぞましい場所。あまりにあり得ないので笑えない。そのためか、翌日は、途中で見つけた天然温泉に寄ることに。しかし、着いて見ると入口まで長蛇の車列。そこで、通りかかった地元の若者に抜け道を訊く。教えられた先にあった一見美しい「森の中の温泉」。誰もいない。つまり、先ほどみんなが並んでいた温泉とは別物なのだ。そこに気付くべきなのに、水着姿になって入ってしまう一家。ケヴィンが「どうして、腐った卵の臭いが?」と訊くが、「硫黄さ」で片付けてしまう父。しかし、実際には、ここは「危険 未処理下水」との看板が立っている恐ろしい場所だった。体や顔に糞の混じったヘドロをなすりつけ、あろうことかウガイまでしてしまう。その後、泥の中から廃棄された注射器(3枚目の写真でケヴィンが手にしている)などが出てきて、ようやく糞溜めに入っていたことに気付く。慌てて飛び出る4人。しかし、車に戻ると、中は荒らされ、ほとんど何も残っていなかった。水着のまま、クソまみれで車に乗って出発。
  
  
  
  

その夜の宿泊先は、父の妹の家。妹の夫役は『マイティ・ソー』で一躍有名になったクリス・ヘムズワース。田舎の豪邸に住んで、肉牛を飼っている天気レポーターだ。家の前に車を乗り付けるが、降りてみて初めてドアに大きなペニスの絵が落書きされているのに気付く。それを両親が手でこすって落とそうとする光景がみだらで、見ている兄も「やめた方がいいんじゃない」。この映画、全体に下ネタが多い。
  
  

その夜。父と母のいる客用寝室にワザと立ち寄った叔父は、パンツ1枚姿。巨大なペニスがパンツの中で盛り上がっているのを、義姉に見せ付けるようにポーズを取る。これも下ネタ。翌日早朝、父は、四輪バギーを初めて運転して、牛追いの手伝いをさせられる。しかし、飛行機の操縦はできても、四輪バギーは全然ダメ。最初はロールベーラーで丸められた干し草にぶつかりそうになり、結局は、1頭6000ドルの肉牛に真正面からぶつかり血まみれになる。牛も可哀想に。
  
  

翌日の夜のモーテル。父と母は、近くにフォー・コーナーズ(ユタ、コロラド、ニューメキシコ、アリゾナの4州の境界線が1点で交わっているアメリカ国内唯一の場所)でセックスをしようと、こっそり出かける。兄が、いなくなった父を探してモーテルの中庭に行くと、以前ポリ袋をかぶせられた時の女の子に出会う。話が合って、キス寸前までいくが、頭に石が飛んでくる。投げたのは当然ケヴィン。「ママとパパはどこだよ、間抜け」。「知らない、寝てろ」。「あんた、こんなアホタレとキスするワケ?」(1枚目の写真)。「黙れ、ケヴィン」。呆れた彼女が、「なぜ、やらせておくの?」と訊くと、「やり返すのかい? まだ子供だよ」。「クソガキよ。あんな乱暴許しちゃダメ」。「倫理的に正しいと思ってた」。「正論は そうかもね」(皮肉)。それでようやく開眼し、弟と対峙する兄。「そう、やる気なんだ? 来いよ、オンナ男」。しかし、ケヴィンは簡単に兄に押し倒される。驚いたのはケヴィン自身だろう。兄:「簡単だな。ただのチビ助だ」。この後、兄はケヴィンを地面に押さえ込むと(2枚目の写真)、プライドを傷付けるように頬、耳、おでこ、唇をいたぶり、遂に、「いたずらはやめるから、もうやめて」と言わせる。これは、兄弟関係にとって一大転機となる大きな出来事だった。その夜のベッドでの2人の寝方を見ればそれがよく分かる(3枚目の写真)。
  
  
  

あくる日は、いよいよグランド・キャニオン。父は、コロラド川のラフティング(川下り)の予約を入れていた。下手な冗談を連発する陽気なガイドだったが、ケヴィンは完全にしらけている(1枚目の写真)。その時、兄が「これから、アメリカの誇る水の遺産を漕ぎ下るんだ」と感激の辞。即座に父が、「ケヴィン、兄さんを叩くな」。今までだったら、即ケヴィンが応酬していたからだ。しかしケヴィンは、「やってないよ」。母:「今の、『水の遺産』って発言聞いてたわよね?」。「うん」。父:「でも、叩かないのか?」。こんなことを念を入れて訊く両親もどうかしているのだが… ケヴィンは、兄を一瞬見上げて、今までの自分を恥じるかのように首を振る。昨夜の逆転劇が効いているのだ。結構、キュートなので写真で連続紹介する。
  
  
  

その時、ガイドの携帯にフィアンセから電話が。その内容は、婚約破棄。絶望して泣き叫ぶガイド。それでも、一見平常に戻り出発する。「大丈夫かしら?」と不安がる母。父は能天気なので、「また冗談さ」。手漕ぎのラフトは、順調に流れ始める。しかし、後ろに座るガイドは気もそぞろだ。川が2つに分かれる場所まで来た時、ガイドはにやりと笑うと、禁じられた早瀬の方にラフトを進めてしまう(1枚目の写真)。お陰で激流に翻弄される一家(2枚面目の写真)。そんな危険な状態にありながら、ガイドはオールを投げ捨てコントロールを放棄してしまう。そして目の前に迫る落差100メートルを超える滝。一家は、一斉に川に飛び込み、必死で岸に到達できたが、一人ガイドを乗せたラフトは滝の中に消えていった。
  
  
  

最悪だったラフティングの後、今度は砂漠の横断が待っている。そして、当然のように起きるガス欠。携帯も圏外で、助けの呼びようもない。ここから車の紹介第4部。父は、懲りずにリモコンに頼ろうとする。「シルクハットはまだ試してない」。押すと、窓ガラスが一気に割れてる(2枚目の写真)。「シルクハットの意味が分かったな」「かぎ十字は嫌だから、残るのはマフィンだけだ」「いくぞ、マフィン」。今度は、エンジンがかかる。「予備のガソリンタンクがあるんだ」と自慢げな父。しかし、車が勝手に走り出してしまう。車を止めようと、もう一度「マフィン」を押すと、爆発。前にも書いたように、勝手にマフィンと思ったのが間違いだ。もっとも、車を爆発させるボタンなど無意味の極致だが。
  
  
  

自暴自棄になった父のもとに、例のトレーラがやってくる。走って逃げるが追いつかれ、観念して許しを請うが、車から降りてきた運転手は、「あんたの奥さんがミズーリで落とした」と結婚指輪を差し出しただけ。感謝感激する父。すかさずケヴィンが、「じゃあ、強姦魔じゃないの?」(2枚目の写真)。口の悪さは変わらない。だが、運転手は、親切にも サンフランシスコまで送ってやると言ってくれる。そして、祖父母の家の前で降ろしてもらった一家。迎えてくれたのは、1983年の映画で父母役を演じた2人だ(3枚目の写真)。
  
  
  

「旅は悪夢だった」と言ってワリー・ワールド行きはやめると言う父に、祖父は、「やめちゃダメだ」「大失敗だったからこそ、目的を果たした時の感激は大きい」と諭す。そして、ワリー・ワールドへの車を貸してやるが、その車こそ、1983年の映画で活躍した特別仕様のステーション・ワゴンだ(1枚目の写真)。そして、遂にワリー・ワールド到着。30年前と違い、ちゃんと営業している。喜び勇んで、目的の世界一のジェットコースター「ヴェロシラプター」に乗るための長い列に並ぶ。「待ち時間、ここから4時間」から始まり、3、2、1と減っていき、遂に乗ろうとすると、直前で別の家族に横入りされる。そして、係員は、「今日は、ここまでです」。頭にきた一家は、全員で横入り一家に襲いかかり、何とか「ヴェロシラプター」に乗り込むことに成功。台車は順調に坂を登り始め、4人は楽しそうに歌い始める。しかし、台車は2回目の360度回転の時、頂点で急停止。「すぐに動くさ」という父の楽観的な言葉の直後に、映画は夜のシーンに変わる(4-5枚目の写真)。つまり、何時間も逆さ吊りのまま放置された訳だ。結局、2回目のワリー・ワールド行きも、結末は最悪だった。
  
  
  
  
  

ラストは空港で。2人の息子を前に、「聞いてくれ。お前たちと一緒に過ごせて どれほど嬉しかったことか」と切り出す父。「世界中の誰よりも愛してる。できることなら、毎日でも一緒にいたい」。その直後に、「じゃあ、1週間後に会おう」。これには2人とも戸惑うばかり。これからシカゴに一緒に帰るはずなのに、飛行機に乗る前にさようならとは何事か? 航空券を渡されたケヴィンの不審げな顔(1枚目の写真)。実は、父は、シカゴ空港から母と2人でパリにバカンスに出かけることにしたのだ。とは言っても、「ファーストクラスとは言えないし、エコノミーでもないけど」というローコスト旅行だったが。パイロットのコネを利用した無料の席は、客室乗務員用のジャンプ・シート。エコノミーより狭く、リクライニングもなし、しかもトイレの横という最悪の席だが、2人はそれで大満足。映画はそこで終わるので、子供たちがどうなったのかは分からない。
  
  

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