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Antboy 2 アントボーイ 2

デンマーク映画 (2014)

アントボーイ』のヒットを受けて、1年後に公開された作品。第一作目がKenneth Bøgh Andersenの原作に基いていたのに対し、こちらは映画のみの内容〔アントボーイの書籍の続編は2011年に出版されているが、それとは無関係。しかし、脚本担当2名のうち1人は原作者〕。『アントボーイ』は、蟻に噛まれたペレがスーパーヒーローのアントボーイになり、吸血蚤を使ったゲムコーがスーパーヴィランのロプンになったが、ここでは、『アントボーイ』でも顔を見せた2人の不良が、クワガタムシに噛まれてスーパーヴィランになり、さらに、冴えない父親の失敗作が透明化することを発見した娘のマリアが、スーパーヴィランのフーリェ(激怒)になる。映画の正式の題名は、『Antboy II: Den Røde Furies hævn(アントボーイ Ⅱ: 赤いフーリェの復讐)』なので、この映画の主役はアントボーイに変わりはないが、重要な脇役として、ウィルヘルム、イーダにマリアが加わる。脚本の粗雑さは『アントボーイ』を上回り、よく見ていると納得のいかないことが多発するが、子供向きなので、楽しければいいということに… DVDはうっかり英語吹替え版を購入してしまい、デンマーク語の字幕とかなり違う部分があり、最終的にはデンマーク語の方を優先した。ただ、実際にデンマーク語の発音を聞いたわけではないので、字幕が正しい保証はなく、購入前に確かめるべきだったと悔やまれる〔例えば、イーダは英語風にアイダと発音している。『2』になって初めて登場した Furie は英語風にフューリーと発音しているが、『アントボーイ』のようにデンマーク語が入っていないので、https://www.pronouncekiwi.com/  に頼ることにした。デンマーク人の3人の発音では、フーリェが2人、フーリエが1人だったので、前者を採用〕〔海外のDVDで、吹替え版に出会ったのは これが初めての経験〕

アントボーイは、スーパーヒーローとしての “出動” に追われる毎日で、大好きなイーダとゆっくり話し合う暇もない。そんな “出動” の1つが、スケートリンクで2人組の不良に虐められていた孤独なマリアの救助。それまで、アントボーイの大ファンだったマリアは、翌夕の学校でのパーティに一緒に行ってくれるようにせがみ、イーダと行きたいペレは中途半端な返事をするが、マリアはそれをOKだと受け取ってしまう。一方、イーダには、自分勝手で自己顕示欲の強い南アジア移民の子で、ペレより年上のクリスチャンが熱心にアプローチし、自分の方が優れているので、平凡なペレは身を引けと迫る〔極めて不愉快な人物〕。学校でのパーティの際、ペレは、結果的にイーダを優先して、恥をかいてクリスチャンに負け、マリアからは怨まれる。マリアは、発明オタクの父が偶然に作り出した不可視のマントを使ってペレに復讐を始め、だんだんエスカレートし、自分のせいで父に重傷を負わせたのもペレの責任にして、ますます憎む。そして、ペレが1年前に刑務所に入れたロプンことゲムコーの空き家をアジトにして悪さをしている2人組の不良を仲間につけて、ペレを誘拐させる。ペレを助けに行く時、イーダが、くどくど迫るクリスチャンをきっぱり捨て去るところは、観ていてすっきりする。イーダとウィルヘルムは、ペレが監禁されているゲムコーの家に行き、助け出したペレを交えて、2人組の不良と不可視のマリアと対峙する…

ペレ・ノーマン役のオスカー・ディーツ(Oscar Dietz)は、『アントボーイ』の時より1歳年上の13歳になっているが、ほとんど差は感じられない。スーパーヒーローとは思えない雰囲気も同じ。

あらすじ

オープニング・クレジットの部分は、宝石店に侵入した2人組の強盗が、アントボーイによってこてんぱんにやっつけられる場面から始まる(1枚目の写真)。そして、ペレの悩みが、ナレーションとして流れる。「スーパーヒーローって何だろう? たいていの人にとって、それは、超能力の持ち主が かっこいいコスチュームを着て、犯罪者をノックアウトして窮地を救ってくれること。もしそうなら、自分で言うのもなんだけど、アントボーイはかなりうまくやってる。だけど、ミドルロンを守るのに専念しすぎると、ペレ・ノーマンでいるのが難しくなっちゃうんだ」。場面は変わり、映画館の前で、イーダが時計を見ながら ペレのやって来るのを待っている。すると、ペレが全速で走ってくるのが見える。アントボーイとして活躍し終ってすぐ駆け付けたので、マントを入れ忘れてしまっている(2枚目の写真、矢印)。ようやく映画館の前まで辿り着いたペレに、イーダは 「ペレ、急いで! ぎりぎり間に合うわ」と声を掛け、ペレは 「遅れてごめん」と謝る。イーダは、マントが見えていると注意する。映画館の中には、予告編が見たくてたまらないウィルヘルムが待ちきれずにもう入っていて、ペレとイーダがその隣に座る。早朝からの活躍で疲れてしまったペレは、うっかり眠ってしまい(3枚目の写真)、寝言まで言い、それに気付いて目が覚め、イーダに「ごめん」と謝る。イーダは、ペレが何をしてきたのか知っているので、「いいのよ」とほほ笑む。映画が終わると、ウィルヘルムはネットで見つけた稀少コミック本を買いにすぐに家に戻る。
  
  
  

2人きりになると、イーダは、「明日の学校のパーティ、来る?」と訊く。「決めてない」。「大したパーティじゃないけど、きっと楽しいわ」(1枚目の写真)。「僕たち一緒に行くの? 2人で?」。「そうよ。当たり前でしょ」。それを聞いたペレは、立ち止ると、笑顔になって 「イーダ、訊きたいことがあるんだけど」と(2枚目の写真)、自分のことが好きかどうか訊こうとするが、その時、何か悪いことが起きる気配を感じてしまい、「行かなくちゃ」と急に別れを告げる(3枚目の写真)〔これが、「ペレ・ノーマンでいるのが難しくなっちゃうんだ」の実例〕〔それにしても、問題が起きたと、どうして分かったのだろう? 『アントボーイ 3』では、腕に警察からの緊急通報をチャッチする装置を付けているが、この時点ではウィルヘルムからの通報すらない。蟻に遠くで起きた虐めまで感知する能力があるとは思えないので、とても不自然な展開〕
  
  
  

近くのスケートリンクでは、以前にも登場した2人のロクデナシが、アイスホッケーのスティックを持ち、周りで楽しく滑っている女子供の迷惑など考えず、我が物顔で滑っている。そんな中に、ペレと同年代の少女がいて、フラフラと ぎこちない滑り方で滑っている。2人組は、その少女を押し倒し、かけていたメガネが氷の上に落ちる。そして、2人は少女の周りをくるくる滑走して冷やかす(1枚目の写真、矢印)。こんな些細な虐めにも、アントボーイが登場して、2人に警告する。2人はスティックを持って襲い掛かるが、アントボーイは 最初の不良のスティックを噛み切り、不良は逃げ出す。2人目の不良は氷の上に倒し、そのまま最初の不良目がけて思い切り高速で滑らせる(2枚目の写真、矢印)。このあと、2人目は1人目にぶつかる。それを見ていた群集からは一斉に拍手が起きる。アントボーイは眼鏡を拾うと、倒れていた少女を起こし、眼鏡を渡す。そして、余分なことに 「君の名は?」と尋ねる。少女は 「マリア」と答える。「マリア、大丈夫だった?」。マリアは頷く。ペレは、さらに余分なことに、「君、バニラみたいな匂いだね」と笑顔で言う。そして、去ろうとするのだが、そんなことまで言われたマリアは、「明日、学校でパーティがあるんです。一緒に来てくれません?」と頼む(3枚目の写真)。イーダと行きたいペレは、「よく分からない」と答える。「私、あなたの大ファンなの。お願い」。答えに困ったペレ 「行けるかも〔Det kan jeg vel godt〕…」と曖昧に返事するが、マリアは、これを 「行くよ」と取っ てしまう〔DVDの英語吹替えは 「分かった、行くよ〔All right, I'll go〕」になっていて、マリアにとって約束されたに等しい〕〔このシーンの中で、2人の姿を見ているイーダが2度映る。イーダが、どうしてここに来たのか全く理解できない〕
  
  
  

マリアが嬉しさ一杯でアパートに帰り、父に最高のニュースを報告しようとすると、発明家の父は、完成したばかりの凄い発明を娘に自慢したくて、娘の話など聞かず、いきなり赤いLED灯と半導体基板がぶら下がった上着を見せ、上着を取って壁の向こうに行く。そして、「電気パルスは、光を吸収する生地の表面に光を向け、見えなくするんだ」とご機嫌に説明すると、胸の赤いLED灯が点灯した状態で、マリアの前に姿を現わす。そして、それまで上着を被せてあった枠を右手で持つと、如何にも枠だけが空中に舞い上がったかのように、動かして見せる(1枚目の写真、矢印は赤いLED灯)〔本人は、自分が透明で見えなくなっていると思い込んでいる〕。その他、本がバタバタと羽を広げて飛んでいる真似をしてみたり、イスを持ち上げたりするが、マリアが、「パパ、姿が見えるわ」と言うと、しょげてイスに座り込む〔如何にも、ダメな発明オタクといった設定〕。父に愛想がつきたマリアは、ビッグニュースを話す気にもなれず、自分の部屋に行く。部屋には、壁中にアントボーイのポスターが貼ってある(2枚目の写真)。そして、アントボーイの縫いぐるみを抱いてベッドに横になると、明日のパーティでアントボーイとダンスする自分の姿を思い浮かべる(3枚目の写真)。
  
  
  

そして、パーティの日の学校で。ウィルヘルムはアントボーイがスーパーヒーローの役目を一時放棄して夜のパーティに出るのに反対するが〔それなら、前日の3人での映画館行きはいいのか?〕、ペレは、パーティ行きを主張して譲らない。そして、ペレが学校に行くと、何と、イーダがケール〔上質の緑黄色野菜〕・チップを食べている非デンマーク人の生徒と話している。気に喰わないペレは、さっそく2人の間に割り込む。イーダは、「あら、ペレ、こちらクリスチャン」と紹介する。2歳年上のクリスチャンは「ナマステ」と言い、イーダは「仏教徒」と言うので、ネパール人(仏教徒の比率10%)かインド人(同1%)。クリスチャンが菜食主義やカルマについて話し始めたので、うんざりしたペレは、イーダに、「じゃあ、今夜ね?」と言って別れようとすると、イーダは 「あの子はどうするの?」と訊く。「どの子?」。「スケートリンクの子」。「忘れてた」。「いいわ。その前に私の家に来て、ダンスの選曲手伝って。6時でいい?」(1枚目の写真)。「6時ならいいよ」。ペレは、2人が仲良く一緒に歩いていくので、気が気でない。そして、6時近くになり、ペレが自転車でイーダの家に向かう途中、ウィルヘルムからヘッドホンに、銀行強盗だから出動しろとの連絡が入る(2枚目の写真)。ペレは連絡を入れずに現場に向かい、6時を過ぎてから、「行けない。ごめん。パーティで会おう。ペレ」とのメールをイーダに送る。一方、マリアは、手作りの真っ赤なドレスに花の飾りを付けた姿でパーティに出るが、アマンダに 「ホントにアントボーイが来ると思うの?」とバカにされ、手作りのドレスは 「ダサいドレス」と笑われる。その頃、ペレは、銀行での成敗が終わり、アントボーイの姿のままパーティ会場の入口〔中からはアントボーイの姿は見えない〕に現れる(3枚目の写真)。
  
  
  

ペレの目は、マリアと、クリスチャンと一緒にいるイーダの両方を見比べる。そして、どちらに会うべきか迷った末、強引なクリスチャンにイーダが奪われないようにするため、アントボーイのコスチュームを脱いで、ペレとして会場に入って行く。そして、会場の中央でダンス音楽の管理をしているイーダの前に行くと、「来たよ」と声をかける。「用ができたんでしょ?」。「ごめん、行けなくて」。「いいのよ、クリスチャンが助けてくれたから」。それを聞いたペレは、自分がいいと思って持って来た音楽を聴かせようと、みんなが踊っている途中でコードを引き抜き、一瞬、音楽が途絶え、会場は騒然となる。そして、ペレが流した曲に対してはブーイングの嵐。さっそく、クリスチャンが元に戻し(1枚目の写真、矢印)、ペレは恥を曝しただけ。ペレは、そのままイーダの前から去って行く。アントボーイが現われなくてがっかりしたマリアの目は(2枚目の写真)、辛そうに出口に向かうペレの顔(3枚目の写真)をチラと捉える。パーティが終わり、1人会場に残ったマリアの耳には、アントボーイとの会話や、アマンダから言われた皮肉が響く。
  
  
  

自分の部屋に戻ったマリアは、約束を守らなかったアントボーイに対してすべて憎しみをぶつけ、部屋中に貼ってあったポスターを破り捨てる(1枚目の写真、矢印)。そして、朝になり、キッチンに行くと、テーブルの上には父が作った役立たずの上着が畳んで置いてあり、その上には、1枚の紙が置いてあった。紙には、「大好きなマリア。このゴミを、私の代わりに捨てて欲しい。私には、どうしてもできない」と書いてあった。そこで、マリアは、上着を取ると、横にあったゴミ箱に投げ捨てる。すると、そのショックで赤いLED灯が点り、中でくるくると回り始める。それに気付いたマリアが見ていると(2枚目の写真、矢印)、一瞬、強く光ると、上着が消えて透明になる。そのあと、マリアが、この上着を使って、コスチュームを作っているシーンに変わるが、納得できないのは、透明になった上着を、彼女は、どうやって元に戻したのだろうという疑問〔それ以前の問題として、そもそも、①物理的に考えて、こうした装置は不可能、②百歩譲って可能だったにせよ、こんなお粗末な発明オタクに、それができるハズがない、③なぜ、ゴミ箱に投げ捨てたら急に動いたのか? など ツッコミどころは山ほどある〕。かくして、赤いLED灯を胸に付けたコスチュームが完成し(3枚目の写真)、Røde Furie(ホイル・フーリェ=赤い激怒)という名のダークヒロインが誕生する。
  
  
  

一方、いつも問題を起こす2人組の不良は、誰もいなくなったゲムコーの家に侵入する。2人は、ゲムコーが蚤のように飛び、血を吸うことを知っているので、ひょっとして戻って来ないかビクビクしながら室内を見て回る(1枚目の写真)。1人が居間に置いてあったアンティークな音楽キャビネットを触っていると、部屋の隠れたドアが開き、2人が中に入って行くと、室内は植物が伸び放題に繁茂し、正面にはロプンのコスチュームがガラスケースの中に飾ってある。手前の棚には密閉式のガラス瓶が置いてあり、「Lucanus Cervus〔ヨーロッパ・ミヤマクワガタ=クワガタムシの1種〕」と書かれている。1人が金属製の口金を外して指を中に突っ込むと、指を噛まれ慌てて指を容器から出す(2枚目の写真、矢印)〔ゲムコーが逮捕されてから1年。密閉容器の中で生きている可能性はゼロなのに(空気と水がない)…〕。噛まれた拍子にガラス瓶を落としたので、中からクワガタムシが逃げ出す。もう1人がそれを捕まえようとして、また噛まれる。しばらくすると、2人は、かつてペレが蟻に噛まれた時と同じように、気を失って床に倒れる。
  
  

ペレが、学校の廊下に座ってスーパーヒーローコミックを読んでいると、その前にクリスチャンがやって来て、「イーダに気持ちを伝えたか?」と訊く(1枚目の写真、矢印)。「どういう意味?」。「素敵な女の子はたくさんいるけど、イーダは特別だ。お前、彼女に 好きだって言ったか?」。「ううん、まだ」。「それでいい。お前は言うべきじゃない」。「言うべきじきない?」。「お前はいい奴だし、イーダもお前を好きだと思うけど、それはあくまで友だちとしてさ」。「イーダが、そう言ったの?」。「いいや。言う必要もない。イーダのような女の子は、お前みたいな男の子には恋なんかしない。お前は、ちょっと平凡すぎる」。「平凡?」。「そうさ、イーダには必要ななんだ、もっと…」。「君みたいな男の子?」。「その通り。よく分かってるじゃないか、ペレ」〔うぬぼれが強く、独りよがりで、身の程知らず〕。心配になったペレは、放課後、真っ先にアントボーイになると、イーダの部屋の前の大木に登り、部屋の様子を見てみるが(2枚目の写真)、中にいるのは幸いイーダだけ。そこで着替えて自転車で家に向かうと、途中で、2人の不良が、自動車をひっくり返して壊しているところに遭遇する(3枚目の写真、矢印)〔スケートリンクでは、同じ2人の不良の些細な女の子虐めを察知できたのに、同じ2人の悪事を現場に行くまで気付かなかったのはなぜ?〕。ペレは、さっそくアントボーイになって近づいて行くが、遺伝子操作されたクワガタムシに噛まれてスーパーヴィランになった不良に投げ飛ばされる。倒れて弱っているペレのところに、2人がやって来て、転がっていた “切断された大木の幹” を持ち上げてペレに投げつけようとしたところで、エネルギーが切れて重い幹を持てなくなって落とす。そして、アントボーイのことが怖くなって逃げ出す。すると、すぐ横に生えていた木の枝分かれした部分に赤いコスチュームをまとったマリアが姿を現わし、下にいるアントボーイを見て、それが、パーティで歩いていたペレだと気付く。パーティにいたのに、マリアを無視したことで、ますます怒りが募る。
  
  
  

翌日、学校に行ったペレは、さっそく、2人のダークヒーローが現われたことをウィルヘルムに話す。ウィルヘルムは、「ロプンと関係があると思うかい?」とペレに尋ねる。ペレが、「彼は刑務所だよ」と答えると、ウィルヘルムは 「ジョーカーは、刑務所に収監されてから 最も邪悪な計画を実行したんだぞ」と、オタクらしく、バットマンからの引用をしてみせる。そのあと、1階のロビーを見下ろしたぺレは(1枚目の写真)、「ロプンが僕の一番の敵かと思ってたら、そうじゃなかった。大敵はクリスチャンだ」と言い出す。「あいつには、僕のパワーも役に立たない」。ウィルヘルムは 「イーダに好きだと言えよ」と言うが(2枚目の写真)、ペレは 「イーダが、僕より、あいつの方が好きだったら?」と、懸念を打ち明ける(3枚目の写真)。「君はアントボーイ、ミドルロンの守護者だ。奴はギターを弾いてるけど、君はスーパーヒーローなんだぞ」と力づける。
  
  
  

ペレは、1人で1階のロビーに降りて行くと、2人の前まで行き、「やあ、イーダ。ちょっと話していい? 訊きたいことがあるんだ」と話しかける。すると、ズボンが下げられてパンツが剥き出しになり、あちこちから笑い声が起きる(1枚目の写真、矢印)。ペレは、恥ずかしくなって逃げ出す。家に帰ったペレが がっかりしてベッドに横になると、“前作でペレが遊んでいた縫いぐるみのクマ” が突然頭を上げると、ペレの方を向く。ペレは、あり得ないことなので、半分恐怖でびっくりする。すると、クマが、「どうして、遊んでくれないの?」と言うと、空中に浮かび上がる。それを見たペレがベッドから落ちると、「赤ちゃんね。テディベアと遊ぶには年を取り過ぎてない? あんたが誰か知ってるわよ、アントボーイ。醜いマスクで隠せると思ってるの?」。そう言うと、クマの左腕が吹き飛ぶ。「イーダには近付くんじゃない」。右足が吹き飛ぶ。「でないと、2人とも後悔させてやる。分かった? ペレ・ノーマン」。そう言うと、頭が吹き飛び(2枚目の写真、矢印は頭)、そのまま床に落下する。ペレは部屋から逃げ出し、まっすぐウィルヘルムのところに向かう。そして、「あの女、僕を追いかけてる!」と恐怖を語る(3枚目の写真)。「幽霊が?」。「ゲムコーの婆さん、僕を罰する気だ」。ウィルヘルムは、そんなことあり得ないと思っているので、つい顔が緩む。「だから、君のズボンを下げたのか?」。「笑い事じゃない! クマのプーさんを殺したんだぞ!」。ウィルヘルムは、もっと笑顔になる。「プーさん?」。そのあと、2人は、プーさん人形と、ウィルヘルムのスーパーヒーロー人形のどっちが子供っぽいかで言い争いなる(3枚目の写真)。
  
  
  

最後は、ウィルヘルムがパソコンをつけ、誰かがスマホで撮影したズボンが下がるシーンを再生して笑う。ウィルヘルムが笑いながらくり返し再生するので、ペレは不機嫌極まりないが、何度も見ているうちに、ウィルヘルムはペレの背後にうっすらと赤いものが映っているのに気付く(1枚目の写真、矢印)。そして、ペレを呼び寄せ、「信じられないよ、見たか?」と訊く(2枚目の写真)。「僕は、超常現象についても読んできたけど、ポルターガイストを見るなんて思いもしなかった。ましてや、フーリェを」。「フーリェって?」。「ラテン語から来た言葉で、“激怒” って意味なんだ。神話では、復讐の女神。超常現象では、冥界から戻った女性」。「確かに、イーダを傷つけるって言った」〔「後悔させてやる」と言っただけ〕。そこで、ウィルヘルムは、「幽霊狩りをする時には、いろんなものが必要だ」と言い、①EMFメーター〔電磁波計〕、②サーモグラフィー〔温度差の可視化〕双眼鏡、③電子音声現象〔幽霊や亡霊の声〕レコーダーを用意する〔①と③はペレ、②はウィルヘルムが持つ〕。ペレは、自分のベッドに入っても、①と③を構えて敵を待ち続ける(3枚目の写真)。
  
  
  

翌日、学校で、ウィルヘルムは3階まで吹き抜けの最上階でサーモグラフィー双眼鏡をつけて準備を済ませ、そこに、2階の入口からペレが、手にホットチョコレートのカップを持って吹き抜け空間に入って行く。すると、後から入って来たイーダが、「ペレ、ちょっと待って」と言って、ペレの前に回り込むと、「ロビーでは、ごめんね」と謝る。「イーダ、今は話せないんだ」。「どうかしちゃったの?」。「ほっといてよ」。その時の、ウィルヘルムがサーモグラフィーで見た映像が1枚目の写真。ウィルヘルムが双眼鏡を外すと、そこには2人しかいない(2枚目の写真)。ウィルヘルムは、すぐに双眼鏡を付けて見直すが、やはり3人いる。イーダは、「これって、クリスチャンのせい?」と訊く。ペレは、「ほっといてよと言ったろ」と言うと、コップが前に引っ張られて、ホットチョコレートがイーダにかかる(3枚目の写真、矢印)。イーダは、「ペレ、いったいどうしたの?!」と怒る。ウィルヘルムは、第3人の人物がコップを操作してのを見ている。そこで、イーダが呆れて去って行った後に、3階から双眼鏡のまま走って下りてくると、「フーリェじゃない、人間だ!」と叫ぶ。ウィルヘルムの目には、ペレから離れて逃げて行く姿が見えている。
  
  
  

2人は、その姿を追って、階段を降り、ロビーを横断し、玄関から外に出ても追い続ける(1枚目の写真、矢印はウィルヘルムの双眼鏡)。ウィルヘルムは途中で脱落し、ペレはEMFメーターを頼りに高層アパートの前まで来ると、正面にそびえるアパートの壁を、アントボーイになって這い上がって行く(2枚目の写真)。そして、反応の一番大きな部屋の窓まで行き、窓を押して開けると 中に入る。その部屋には、アントボーイの破かれたポスターが散乱していた(3枚目の写真)。ペレは、耳につけた無線を通じてウィルヘルムに到着したことを伝える。
  
  
  

ペレは、隣の部屋の方が感度が高いので、ドアを開けて居間に入って行く。部屋の片隅には、オタクの父の机が置いてあり、そこに置いてあったノートには、「光の働き: 不可視の秘密」(Rustam Musajev〔マリアの父の名前〕)と書いてあった(1枚目の写真)。ペレは、このノートの男が犯人だと勘違いする。ちょうどそこに、本人が帰ってくる。アントボーイは、父に迫ると、「なぜ、僕を追い回す?」と詰問する。「何かの間違いだよ」。「いいか、イーダを脅すのは止めるんだ!」。「イーダ?」。その時、後ろの本棚の横でマリアの赤い光が一瞬見え、大きな本棚が倒れかかり、父は、アントボーイを救って、自らが本棚の下敷きになる(2枚目の写真、矢印はマリアの父と倒れる本棚)。アントボーイは、無線で、ウィルヘルムに救急車の派遣を依頼する。すべては自分が悪いのに、マリアは、ますますペレを憎む。そして、透明になって刑務所に入って行き、ゲムコーの独房まで行くと姿を現わし(3枚目の写真)、それに感銘を受けたゲムコーに、アントボーイのことを、「彼は私に嘘をつき、私を辱めた。父は今入院している。全部アントボーイのせいだ。あいつなんか大嫌いだ!」と貶し、やっつける手段がないか訊く。この先のゲムコーの話は、脚本の最大のミス。❶ゲムコーには、2人の崇拝者(例の不良)がいる、❷2人は、アントボーイに何度もやられて彼を嫌っている、❸2人の突然変異の状態から見て Lucanus Cervusに噛まれたに違いない、というもの。ミスと断言できる理由は、❶先に2人がゲムコーの家に侵入した時には、ゲムコーの母を化け物呼ばわりするだけで、ゲムコーを崇拝している様子はゼロ以下。❷『アントボーイ』では、アントボーイが2人を制裁する場面はない。『アントボーイ 2』では、スケートリンクで制裁するが、刑務所に入っているゲムコーが知るハズがない。❸2人の突然変異の状態など、刑務所に入っているゲムコーが知るハズがない。以上、大きな問題はあるが、ゲムコーはマリアに、a)クワダタムシはアリより遥かに強い、b)2人の力の源泉は植物ジュース、アントボーイは砂糖だと教える。
  
  
  

一方のペレ。ウィルヘルムの考えと違い、マリアの父がフーリェだと思い込んでいる〔男が機械で女の子の声に変えていると勘違い〕。「じゃあ、なんで君を助けたんだ? 足を骨折してる」〔本棚の下敷きになるのを救った〕。ペレは、イーダの家の前に着いたので、「今は、話す時間がない。今からしないと」とウィルヘルムに言う。「何を?」。「何でもいいだろ。じゃあね」。ペレは、家の壁を登ってイーダの部屋の窓からこっそり覗くと、クリスチャンがイーダにギターを聴かせているのを見て、彼女に言おうとしていたことがすべてダメになり、悲しくなる(1枚目の写真)。家に戻ったペレは、ベッドに寝転がって、ウィルヘルムからの連絡にも応じようとしない。心配したウィルヘルムがやってきて、「どうしたんだ?」と訊くと、「僕に何のメリットが?」という返事が返ってくる。「何が言いたい?」。「僕は、この町のために尽くして来たのに、もらったものはアザだけ」(2枚目の写真)。「君は、ミドルロンを安全な町にしてるじゃないか」。「みんなにはね。でも、僕には違う」。「でも、それがスーパーヒーローなんだ」。「やったこともないくせに」。ウィルヘルムは、ペレを慰めようと ペレの横に座り、ペレじゃなくて自分が蟻に噛まれていれば良かったと思ったことが何度もあるが、アントボーイがこれまでやって来たことが自分にできたかと考えると自信がない。スーパーヒーローは、単に、パワーの問題ではなく、それが大変でも正しいことをしようとする心が伴わないといけない。それが君にはあると鼓舞する(3枚目の写真)。
  
  
  

一方、不良2人組は、ゲムコーの家を根城にしている。そこに、頭からすっぽり布を被ったフーリェがいきなり現われる。2人のうちの1人が、恐る恐る、「あんた誰だ? ここは俺たちの家だ」と言い、2人で近づいて行き(1枚目の写真)、一気に布を奪うと、中には誰もいない。2人がびっくりしていると、背後から、「いいや、ここはわしの家じゃ」という声が聞こえ、ゲムコーの母の肖像画が2人の前まで宙を動いて来る。2人は、「ゲムコーさん?」と恐怖にかられる。フーリェは、「お前たちは本当の恐怖を知らない。わしの言う通りにしなければ、それを思い知らせてやる」。「何をお望みで?」。「アントボーイを粉砕する。町の人々の前で笑い者にし、小さな虫けらのように叩き潰すのじゃ」。「どうやれば?」。「奴から力を奪い、お前たちに力を与えてやる。これを飲むのじゃ」。そう言うと、何もないところから、緑の液体の入った瓶が現われる(2枚目の写真、矢印)。2人が その液体を飲むと、体に力がみなぎる。そのあと、フーリェは、ペレの部屋の窓から中に入ると、糖分補給用のベルトからチョコレートを抜き取り、人工甘味料でできたチョコレートを代わりに入れる(3枚目の写真、矢印)。
  
  
  

翌朝、ペレは、アントボーイになると、ウィルヘルムの励ましの言葉など忘れて、イーダの家の前の大木に登り、イーダの姿を見ている(1枚目の写真)。そして、チョコレートを食べる。しかし、糖分が入っていないので、手の粘着力が失われ、木から車道の上に仰向けに落下し、意識が朦朧となる。すると、そこに、変身した不良2人がやってくる(2枚目の写真、矢印)。そして、しばらくして、ウィルヘルムのスマホに映像が届き、彼はびっくりする。その頃、クリスチャンは、菜食主義推進・肉食反対の演説を、大勢の賛同者の前に行っていて、その最前列にはイーダもいた。そこに、ウィルヘルムから電話がかかり、SMSで映像が送信されているので見るべきだとの連絡が入る。イーダがチェックすると、そこには、拘束されたアントボーイの映像があった(3枚目の写真、矢印)。それを見たイーダは、「何が起きたの?」と訊く。「分からない。さっき気付いたんだ。彼を助けないと。ゲムコーの家から送信されてる」。イーダが、さっきから自分を見ていないので、クリスチャンが寄って来て、「イーダ」と声をかける。イーダは 「行かないと」と言う。「どうして」。「ペレを助けないと」。そこに、ウィルヘルムが自転車で駆け付ける。クリスチャンは、「イーダ、君は僕より負け犬を選ぶのか?」と言って引き留めようとするが、イーダは、邪険に 「腕を放して!」と言う。「イーダ、僕は世界を救おうとしてるんだぞ! あのチビの負け犬が、これまで何をした?」。イーダは呆れたようにクリスチャンを見ると、ウィルヘルムと一緒に去って行く(4枚目の写真、矢印)〔実にスカッとする場面〕
  
  
  
  

ゲムコーが独房のTVで映像を見ている〔刑務所のTVがSMSを受信できるハズがないし、フーリェが公共電波に侵入できるハズもない〕。フーリェは視聴者に向かって、「みんなはアントボーイが町を守っていると思ってるけど、私はそれがホントじゃないって知ってる。彼は自分のことだけを気にする嘘つきの小さな弱虫よ。彼が誰であるか見せてあげる」と言い、アントボーイのマスクを外そうと引っ張る。すると、家の外に辿り着いたウィルヘルムが外壁の分電盤を壊し、アントボーイが拘束されていた部屋は真っ暗になる。中にいたフーリェと2人の不良には何も見えなくなる。そこに、サーモグラフィー双眼鏡を装着したウィルヘルムが突入し、熱反応で、床に横たわっているペレが判別できたので、すぐにドアを開けて救い出し〔本当なら、その瞬間に部屋の中が明るくなり、アントボーイが連れ出されるのが見えたハズ。しかも、ウィルヘルムガドアを閉める様子は映らないので、すぐに追われるハズだが、少し後のシーンでは ドアに鍵が掛けられたことになっている〕、ペレを居間まで連れて行く。そして、そこで後ろ手に縛られたロープを解く(1枚目の写真)。すると、そこにイーダが飛び込んでくる〔2人一緒にゲムコーの家に着いたのに、なぜこんなに遅れたのだろう?〕。すると、そこにフーリェが入ってきて〔もちろん、姿は見えない〕、イーダを押し倒して、両脚を持って植物が繁茂した部屋に引きずって行く(2枚目の写真)〔ここで、不思議なのは、不良2人がまだ部屋から出られないのに、どうやってフーリェは出て来られたのだろう、という疑問。「電気パルスが、光を吸収する生地の表面に光を向け、見えなくする」から透明にはなれるが、ドアを通り抜ける機能はない〕。イーダが中に入ってしまうと、植物が繁茂した部屋への入口が閉められ、力を失ったペレには入れない。そこで、ウィルヘルムに砂糖を探してくるように頼む。ウィルヘルムが砂糖を探しにキッチンに行くと、まだ居間に残っていたフーリェの 「どうしたの? 私が見えないの? 私には見えるわよ」という声がし、いきなり木の箱が開くと、「ア~ントボ~イ」と如何にもバカにした声がし、中から皿が1枚ずつ宙に浮かんで来ると、それが次から次へとペレに向かって投げつけられる(3枚目の写真、矢印は皿)。フーリェは、「あんたは、他の子と違って 私が好きだと思った! だけど、みんなと同じだった!」と怒鳴る。その時、彼女が投げた皿は “植物が繁茂した部屋” のドア(細いスリットのある鉄のドア)をなぜか貫通して、中に置いてあったフラスコに当たって、中の薬品が漏れ出す〔あり得ないことの連続!〕
  
  
  

一方、ウィルヘルムがキッチンで砂糖を探していると、さっきアントボーイを救い出したドアに、不良の1人が頭をぶつけて突き破る〔このことから、鍵がいつの間にか掛けられてたことが分かる〕。そして、次の瞬間にはドアを破ってキッチンに入って来る。その時には、ウィルヘルムは居間に逃げて もういない。一方、ペレは、「私を無視することも、逃げることもできないわよ、アントボーイ!」という声に追われて逃げて行く。声はさらに続く。「これで分かったでしょ、ペレ。ひとりぼっちになる感じが。誰にも助けてもらえない感じが」。その時、嗅覚が鋭くなっているペレがバニラの匂いを感じ取り、「マリアだね?」と訊く。「君の気持ち分かるよ。信じてもらえないかもしれないけど、僕も、かつては同じように感じてた。誰にとっても空気のような存在だと。君を傷つけるつもりはなかったんだ。ごめんね」(1枚目の写真)。その言葉を聞いたマリアは、自分が恥ずかしくなって2階に走って逃げて行き、洗面所に入って姿を現わすと、涙を流す(2枚目の写真)。1階では、ペレがいる部屋の壁を突き破ってもう1人の不良が現われ、力のないペレをあちこちに投げ飛ばす。キッチンでは、ウィルヘルムが最初の不良を自分の方に突進させ、冷蔵庫に頭を突っ込ませる。場面はもう一度、ペレがいる居間に戻り、不良に投げ飛ばされた時の衝撃音がマリアのいる洗面所まで伝わってきて、なぜか彼女は天井を見上げる〔マリアは居間のある1階から2階に上がってきたハズのに、なぜ、2階の天井から何かが落ちてきて、そちらの方を見上げるのだろう?〕〔多くの矛盾は無視するとして、マリアは、ペレを助けようと、以前奪ったチョコレートを手にして居間に向かう〕
  
  

不良がペレを壁に押し付けて、「アントボーイ、これでお前もオシマイだな」と言った瞬間、ウィルヘルムがバッドで不良の背中を叩く。不良はペレを手放すと、振り向き、ウィルヘルムを反対側の壁に突き飛ばす。そして、振り返ると、ペレの姿がどこにもない。ペレは、助けにきたマリアのマントの中に入っているので、不良からは見えない。そして、マントの中で本物のチョコレートを渡されてアントボーイに戻る。そして、用意ができると、マントから姿を現わし(1枚目の写真、矢印はマントの端)、全てのパワーを込めて不良の胸を殴る。不良は部屋の中を吹っ飛んで行き(2枚目の写真)、壁にぶつかって気を失う〔ゲムコーは、独房を訪れたフーリェに、(a)クワダタムシはアリより遥かに強い、と教えたが、アリの一発でクワダタムシがノックアウトされるのは、如何にも奇妙〕
  
  

2人の不良が成敗されたので、ペレは “植物が繁茂した部屋” に入って行って、イーダを救い出すが、彼女は、先に、“あり得ない状態で漏れ出した薬品” を吸って意識がない。ウィルヘルムと2人で、イーダをソファに寝かせると、ペレは必死になってイーダの目を開かせようとするが(1枚目の写真)、意識は戻らないし、呼吸も止まっている。そこで、イーダの鼻をつまんで口から息を吹き込もうとするが、口と口が触れ合う前にイーダの目が開く(2枚目の写真)。ペレが、隣の部屋にいるマリアの前まで行くと、マリアは 「あんなことして、ホントにごめんなさい。二度と このスーツは着ません」と謝る(3枚目の写真)。すると、ペレの後ろから、ウィルヘルムが 「かっこいいスーツだね」と笑顔で言う。それを聞いたペレは 「僕に、もっといい考えがあるよ」とマリアに言う。
  
  
  

ペレ、イーダ、ウィルヘルム、マリアがスケートリンクにいる。ペレとイーダは2人だけで、仲良くベンチに座っている。イーダは、ペレに、「あの2人がまた向かってきたらどうするの?」と尋ねる〔2人の不良は、1000時間の社会奉仕の処分にされただけ〕。ペレは、「植物ジュースがなければ無力だよ。監視は続けるから」と答える。2人の前を、ウィルヘルムとマリアが仲良く滑っている。それを見たペレとイーダは和やかに顔を見合わせる。そして、何度も言おうとしてその度に妨害されたペレが、「イーダ…」と話しかける。「なぁに?」(1枚目の写真)。「訊きたいことがあるんだ」(2枚目の写真)。ここで、何か問題が起きた音がする。イーダは 「あなた、行かないと」と言うが、ペレは 「ううん、僕 どこにも行かない」と答える。「どうして?」。「代わりの友だちがいるから」(3枚目の写真)。そして、マリアが頷く短いシーン。結局、ペレがイーダに何を訊いたのかは分からないし、イーダがそれに何と答えたのか分からない。しかし、『アントボーイ 3』の様子から推測すると、「君、僕のこと好き?」と訊き、「ええ、大好きよ」と答えたに違いない。因みに、リンクには退院してきたマリアの父もいるが、足を骨折したという設定なのに、左腕を骨折している。本当にいい加減な脚本だ。
  
  
  

映画の最後の場面は、長いトンネルの中を、黒い覆面を被った強盗が、盗んだバッグを持って走っている。すると、いきなり、見えない物に十数回殴られ、車道の上に倒れる(1枚目の写真)。すると、赤い光とともに、赤いコスチュームのスーパーヒーローが現われる。男が、「お前、誰だ?」と訊くと、「Røde Furie」と答え(2枚目の写真)、男の顔に一発お見舞いしたところで暗転して終わる〔それにしても、あんなに か弱かったマリアが、いつ どこでパンチの訓練を?〕
  
  

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