デンマーク映画 (2014)
①。
②。
③。
あらすじ
オープニング・クレジットの部分は、宝石店に侵入した2人組の強盗が、アントボーイによってこてんぱんにやっつけられる場面から始まる(1枚目の写真)。そして、ペレの悩みが、独白として流れる。「スーパーヒーローって何だろう? たいていの人にとって、それは、超能力の持ち主が かっこいいコスチュームを着て、犯罪者をノックアウトして窮地を救ってくれること。もしそうなら、自分で言うのもなんだけど、アントボーイはかなりうまくやってる。だけど、ミドルロンの守るのに専念しすぎると、ペレ・ノーマンでいるのが難しくなっちゃうんだ」。場面は変わり、映画館の前で、イーダが時計を見ながら ペレのやって来るのを待っている。すると、ペレが全速で走ってくるのが見える。アントボーイと活躍し終ってすぐ駆け付けたので、マントを入れ忘れてしまっている(2枚目の写真、矢印)。ようやく映画館の前まで辿り着いたペレに、イーダは 「ペレ、急いで! ぎりぎり間に合うわ」と声を掛け、ペレは 「遅れてごめん」と謝る。イーダは、マントが見えていると注意する。映画館の中には、予告編が見たくてたまらないウィルヘルムが待ちきれずにもう入っていて、ペレとイーダがその隣に座る。早朝からの活躍で疲れてしまったペレは、うっかり眠ってしまい(3枚目の写真)、寝言を言ってしまい、それに気付いて目が覚めると、イーダに「ごめん」と謝る。イーダは、ペレが何をしてきたのか知っているので、「いいのよ」とほほ笑む。映画が終わると、ウィルヘルムはネットで見つけた稀少コミック本を買いにすぐに家に戻る。
2人きりになると、イーダは、「明日の学校のパーティ、来る?」と訊く。「決めてない」。「大したパーティじゃないけど、きっと楽しいわ」(1枚目の写真)。「僕たち一緒に行くの? 2人で?」。「そうよ。当たり前でしょ」。それを聞いたペレは、立ち止ると、笑顔になって、「イーダ、訊きたいことがあるんだけど」と(2枚目の写真)、自分のことが好きかどうか訊こうとするが、その時、何か悪いことが起きる気配を感じてしまい、「行かなくちゃ」と急に別れを告げる(3枚目の写真)〔これが、「ペレ・ノーマンでいるのが難しくなっちゃうんだ」の実例〕〔それにしても、問題が起きたと、どうして分かったのだろう? 『アントボーイ 3』では、腕に警察からの緊急通報をチャッチする装置を付けているが、この時点ではウィルヘルムからの通報すらない。蟻に遠くで起きた虐めまで感知する能力があるとは思えないので、とても不自然な展開〕。
近くのスケートリンクでは、以前にも登場した2人のロクデナシが、アイスホッケー格好で、スティックを持ち、周りで楽しく滑っている女子供の迷惑など考えず、我が物顔で滑っている。そんな中に、1人のペレと同年代の少女が、フラフラとしたぎこちない滑り方で、ゆっくりと滑っている。2人組は、その少女を押し倒し、かけていたメガネが氷の上に落ちる。そして、2人は少女の周りをくるくる滑走して冷やかす(1枚目の写真、矢印)。こんな些細な虐めにも、アントボーイが登場して、2人に警告する。2人はスティックを持って襲い掛かるが、最初の不良のスティックは噛み切り、不良は逃げ出す。2人目は、スティックを捕まえて氷の上に倒し、そのまま最初の不良目がけて思い切り高速で滑らせる(2枚目の写真、矢印)。このあと、2人目は1人目にぶつかる。それを見ていた群集からは一斉に拍手が起きる。アントボーイは眼鏡を拾うと、倒れていた少女を起こし、眼鏡を渡す。そして、余分なことに 「君の名は?」と尋ねる。少女は 「マリア」と答える。「マリア、大丈夫だった?」。マリアは頷く。ペレは、さらに余分なことに、「君、バニラみたいな匂いだね」と笑顔で言う。そして、去ろうとするのだが、そんなことまで言われたマリアは、「明日、学校でパーティがあるんです。一緒に来てくれませんか?」と頼む(3枚目の写真)。イーダと行きたいペレは、「よく分からない」と答える。「私、あなたの大ファンなの。お願い」。答えに困ったペレ 「行けるかも〔Det kan jeg vel godt…〕」と言ってしまう〔マリアは、これを 「行くよ」と とらえてしまう〕〔DVDの英語吹替えは 「分かった、行くよ〔All right, I'll go〕」になっていて、マリアにとって約束されたに等しい〕〔このシーンの中で、2人の姿を見ているイーダが2度映る。イーダが、どうしてここに来たのかは全く理解できない〕。
マリアが嬉しさ一杯でアパートに帰り、父に最高のニュースを報告しようとすると、発明家の父は、完成したばかりの凄い発明を娘に自慢したくて、娘の話など聞かず、いきなり赤いLED灯と半導体基板がぶら下がった上着を見せ、上着を取って壁の向こうに行く。そして、「電気パルスは、光を吸収する生地の表面に光を向け、見えなくするんだ」とご機嫌に説明すると、胸の赤いLED灯が点灯した状態で、マリアの前に姿を現わす。そして、それまで上着を被せてあった枠を右手で持つと、如何にも枠だけが空中に舞い上がったかのように、動かして見せる(1枚目の写真、矢印は赤いLED灯)〔本人は、自分が透明で見えなくなっていると思い込んでいる〕。その他、本がバタバタと羽を広げて飛んでいる真似をしてみたり、イスを持ち上げたりするが、マリアが、「パパ、姿が見えるわ」と言うと、しょげてイスに座り込む〔如何にも、ダメな発明オタクといった設定〕。父に愛想がつきたマリアは、ビッグニュースを話す気にもなれず、自分の部屋に行く。部屋には、壁中にアントボーイのポスターが貼ってある(2枚目の写真)。そして、アントボーイの縫いぐるみを抱いてベッドに横になると、明日のパーティでアントボーイとダンスする自分の姿を思い浮かべる(3枚目の写真)。
そして、パーティの日の学校で。ウィルヘルムはアントボーイがスーパーヒーローの役目を一時放棄して夜のパーティに出るのに反対するが〔それなら、前日の3人での映画館行きはいいのか?〕、ペレは、パーティ行きを主張して譲らない。そして、ペレが学校に行くと、何と、イーダがケール〔上質の緑黄色野菜〕・チップを食べている非デンマーク人の生徒と話している。気に喰わないペレは、さっそく2人の間に割り込む。イーダは、「あら、ペレ、こちらクリスチャン」と紹介する。2歳年上のクリスチャンは「ナマステ」と言い、イーダは「仏教徒」と言うので、ネパール人(10%)かインド人(1%)。クリスチャンが菜食主義やカルマについて話し始めたので、うんざりしたペレは、イーダに、「じゃあ、今夜ね?」と言って別れようとすると、イーダは 「あの子はどうするの?」と訊く。「どの子?」。「スケートリンクの子」。「忘れてた」。「いいわ。その前に私の家に来て、ダンスの選曲手伝って。6時でいい?」(1枚目の写真)。「6時ならいいよ」。ペレは、2人が仲良く一緒に歩いていくので、気が気でない。そして、6時近くになり、ペレが自転車でイーダの家に向かう途中、ウィルヘルムからヘッドホンに、銀行強盗だから出動しろとの連絡が入る(2枚目の写真)。ペレは連絡を入れずに現場に向かい、6時を過ぎてから、「行けない。ごめん。パーティで会おう。ペレ」とのメールをイーダに送る。一方、マリアは、手作りの真っ赤なドレスに花の飾りを付けた姿でパーティに行うが、アマンダに、「ホントにアントボーイが来ると思うの?」とバカにされ、手作りのドレスは、「ダサいドレス」と笑われる。その頃、ペレは、銀行での成敗が終わり、アントボーイの姿のまま、パーティ会場の入口〔中からはアントボーイの姿は見えない〕に現れる(3枚目の写真)。
ペレの目は、マリアと、クリスチャンと一緒にいるイーダの両方を見比べる。そして、どちらに会うべきか迷った末、強引なクリスチャンにイーダが奪われないようにするため、アントボーイのコスチュームを脱いで、ペレとして会場に入って行く。そして、会場の中央でダンス音楽の管理をしているイーダの前に行くと、「来たよ」と声をかける。「用ができたんでしょ?」。「ごめん、行けなくて」。「いいのよ、クリスチャンが助けてくれたから」。それを聞いたペレは、自分がいいと思って持って来た音楽を聴かせようと、みんなが踊っている途中でコードを引き抜き、一瞬、音楽が途絶え、会場は騒然となる。そして、ペレが流した曲に対してはブーイングの嵐。さっそく、クリスチャンが元に戻し(1枚目の写真、矢印)、ペレは恥を曝しただけ。ペレは、そのままイーダの前から去って行く。アントボーイが現われなくてがっかりしたマリアの目は(2枚目の写真)、辛そうに出口に向かうペレの顔(3枚目の写真)をチラと捉える。パーティが終わり、1人会場に残ったマリアの耳には、アントボーイとの会話や、アマンダから言われた皮肉が響く。
自分の部屋に戻ったマリアは、約束を守らなかったアントボーイに対してすべて憎しみをぶつけ、部屋中に貼ってあったポスターを破り捨てる(1枚目の写真、矢印)。そして、朝になり、キッチンに行くと、テーブルの上には父が作った役立たずの上着が畳んで置いてあり、その上には、1枚の紙がのっていた。そこには、「大好きなマリア。このゴミを、私の代わりに捨てて欲しい。私には、どうしてもできない」と書いてあった。そこで、マリアは、上着を取ると、横にあったゴミ箱に投げ捨てる。すると、そのショックで赤いLED灯が点り、中でくるくると回り始める。それに気付いたマリアが見ていると(2枚目の写真、矢印)、一瞬、強く光ると、上着が消えて透明になる。そのあと、マリアが、この上着を使って、コスチュームを作っているシーンに変わるが、納得できないのは、透明になった上着を、彼女は、どうやって元に戻したのだろうという疑問〔それ以前の問題として、そもそも、①物理的に考えて、こうした装置は不可能、②百歩譲って可能だったにせよ、こんなお粗末な発明オタクに、それができるハズがない、③なぜ、ゴミ箱に投げ捨てたら急に動いたのか? などツッコミどころは山ほどある〕。かくして、赤いLED灯を胸に付けたコスチュームが完成する。かくして、Røde Furie(ホイル・フーリェ=赤い激怒)という名のダークヒロインが誕生する。
一方、いつも問題を起こす2人組の不良は、誰もいなくなったゲムコーの家に侵入する。2人は、ゲムコーが蚤のように飛び、血を吸うことを知っているので、ひょっとして戻って来ないかビクビクしながら室内を見て回る(1枚目の写真)。1人が居間に置いてあったアンティークな音楽キャビネットを触っていると、部屋の隠れたドアが開き、2人が中に入って行くと、そこは伸び放題の植物は繁茂し、その正面にゲムコーのノミのコスチュームがガラスケースの中に置かれている。手前の棚には密閉式のガラス瓶が置かれていて、そこには、「Lucanus Cervus〔ヨーロッパ・ミヤマクワガタ=クワガタムシの1種〕」と書かれている。1人が金属製の口金を外して指を中に突っ込むと、指を噛まれ慌てて指を容器から出す(2枚目の写真、矢印)〔ゲムコーが逮捕されてから1年。密閉容器の中で生きている可能性はゼロ(空気と水がない)〕。噛まれた拍子にガラス瓶を落としたので、中からクワガタムシが逃げ出す。もう1人がそれを捕まえようとして、また噛まれる。しばらくすると、2人は、かつてペレが蟻に噛まれた時と同じように、気を失って床に倒れる。
ペレが、学校の廊下に座ってスーパーヒーローコミックを読んでいると、その前にクリスチャンがやって来て、「イーダに気持ちを伝えたか?」と訊く(1枚目の写真、矢印)。「どういう意味?」。「素敵な女の子はたくさんいるけど、イーダは特別だ。君、彼女に、好きだって言ったか?」。「ううん、まだ」。「それでいい。君は言うべきじゃない」。「言うべきじきない?」。「君はいい子だし、イーダも君を好きだと思うけど、それはあくまで友だちとしてさ」。「イーダが、そう言ったの?」。「いいや。言う必要もない。イーダの女の子は、君みたいな男の子には恋なんかしない。君は、ちょっと平凡すぎる」。「平凡?」。「そうさ、イーダには必要ななんだ、もっと…」。「君みたいな男の子?」。「その通り。よく分かってるじゃないか、ペレ」〔うぬぼれが強く、独りよがりで、身の程知らず〕。心配になったペレは、放課後、真っ先にアントボーイになると、イーダの部屋の前の大木に登り、部屋の様子を見てみるが(2枚目の写真)、中にいるのは幸いイーダだけ。そこで着替えて自転車で家に向かうと、途中で、2人の悪者が、自動車をひっくり返して壊しているところに遭遇する(3枚目の写真、矢印)〔スケートリンクでは、同じ2人の不良の些細な女の子虐めを察知できたのに、同じ2人の悪事を現場に車で気付かなかったのはなぜ?〕。ペレは、さっそくアントボーイになって近づいて行くが、遺伝子操作されたクワガタムシに噛まれてスーパーヴィランになった不良に投げ飛ばされる。倒れて弱っているペレのところに、2人がやって来て、転がっていた “切断された大木の幹” を持ち上げてペレに投げつけようとしたところで、エネルギーが切れて重い幹を持てなくなって落とす。そして、アントボーイが怖くなって逃げ出す。すると、すぐ横に生えていた木の枝分かれした部分に赤いコスチュームをまとったマリアが姿を現わし、下にいるアントボーイを見て、それが、パーティで歩いていたペレだと気付く。パーティにいたのに、マリアを無視したことで、ますます怒りが募る。
翌日、学校に行ったペレは、さっそく、2人のダークヒーローが現われたことをウィルヘルムに話す。ウィルヘルムは、「ロプンと関係があると思うかい?」とペレに訊く。ペレが、「彼は刑務所だよ」と答えると、ウィルヘルムは 「ジョーカーは、刑務所に収監されてから、最も邪悪な計画を実行したんだぞ」と、オタクらしく、バットマンからの引用をしてみせる。そのあと、1階のロビーを見下ろしたぺレは(1枚目の写真)、「ロプンが僕の一番の敵かと思ってたら、そうじゃなかった。大敵はクリスチャンだ」と言い出す。「あいつには、僕のパワーも役に立たない」。ウィルヘルムは 「イーダに好きだと言えよ」と言うが(2枚目の写真)、ペレは 「イーダが、僕より、あいつの方が好きだったら?」と、本心を打ち明ける(3枚目の写真)。「君はアントボーイ、ミドルロンの守護者だ。奴はギターを弾いてるけど、君はスーパーヒーローなんだぞ」と力づける。
ペレは、1人で1階のロビーに降りて行くと、2人の前まで行き、「やあ、イーダ。ちょっと話していい? 訊きたいことがあるんだ」と話しかける。すると、ズボンが下げられてパンツが剥き出しになり、あちこちから笑い声が起きる(1枚目の写真、矢印)。ペレは、恥ずかしくなって逃げ出す。家に帰ったペレが がっかりしてベッドに横になると、“前作でペレが遊んでいた縫いぐるみのクマ” が突然頭を上げると、ペレの方を向く。ペレは、あり得ないことなので、半分恐怖でびっくりする。すると、クマが、「どうして、遊んでくれないの?」と言うと、空中に浮かび上がる。それを見たペレがベッドから落ちると、「赤ちゃんね。テディベアと遊ぶには年を取り過ぎてない? あんたが誰か知ってるわよ、アントボーイ。醜いマスクで隠せると思ってるの?」。そう言うと、クマの左腕が吹き飛ぶ。「イーダには近付くんじゃない」。右足が吹き飛ぶ。「でないと、2人とも後悔させてやる。分かった? ペレ・ノーマン」。そう言うと、頭が吹き飛び(2枚目の写真、矢印は頭)、そのまま床に落下する。ペレは部屋から逃げ出し、まっすぐウィルヘルムのところに向かう。そして、「あの女、僕を追いかけてる!」と恐怖を語る(3枚目の写真)。「幽霊が?」。「ゲムコーの婆さん、僕を罰する気だ」。ウィルヘルムは、そんなことあり得ないと思っているので、つい顔が緩む。「だから、君のズボンを下げたのか?」。「笑い事じゃない! クマのプーさんを殺したんだぞ!」。ウィルヘルムは、もっと笑顔になる。「プーさん?」。そのあと、2人は、プーさん人形と、ウィルヘルムのスーパーヒーロー人形のどっちが子供っぽいかで言い争いなる。
最後は、ウィルヘルムがパソコンをつけ、誰かがスマホで撮影したズボンが下がるシーンを再生して笑う。ウィルヘルムが笑いながらくり返し再生するので、ペレは不機嫌極まりないが、何度も見ているうちに、ウィルヘルムはペレの背後にうっすらと赤いものが映っているのに気付く(1枚目の写真、矢印)。そして、ペレを呼び寄せ、「信じられないよ、見たか?」と訊く(2枚目の写真)。「僕は、超常現象についても読んできたけど、ポルターガイストを見るなんて思いもしなかった。ましてや、フーリェを」。「フーリェって?」。「ラテン語から来た言葉で、激怒って意味なんだ。神話では、復讐の女神。超常現象では、冥界から戻った女性」。「確かに、イーダを傷つけるって言った」〔「後悔させてやる」と言っただけ〕。そこで、ウィルヘルムは、「幽霊狩りをする時には、いろんなものが必要だ」と言い、①EMFメーター〔電磁波計〕、②サーモグラフィー〔温度差の可視化〕双眼鏡、③電子音声現象〔幽霊や亡霊の声〕レコーダーを用意する〔①と③はペレ、②はウィルヘルムが持つ〕。ペレは、自分のベッドに入っても、①と③を構えて敵を待ち続ける(3枚目の写真)。
翌日、学校で、ウィルヘルムは3階まで吹き抜けの最上階でサーモグラフィー双眼鏡をつけて準備を済ませ、そこに、2階の入口からペレが、手にホットチョコレートのカップを持って吹き抜け空間に入って行く。すると、後から入って来たイーダが、「ペレ、ちょっと待って」と言って、ペレの前に回り込むと、「ロビーでは、ごめんね」と謝る。「イーダ、今は話せないんだ」。「どうかしちゃったの?」。「ほっといてよ」。その時の、ウィルヘルムがサーモグラフィーで見た映像が1枚目の写真。ウィルヘルムが双眼鏡を外すと、そこには2人しかいない(2枚目の写真)。ウィルヘルムは、すぐに双眼鏡を付けて見直すが、やはり3人いる。イーダは、「これって、クリスチャンのせい?」と訊く。ペレは、「ほっといてよと言ったろ」と言うと、コップが前に引っ張られて、ホットチョコレートがイーダにかかる(3枚目の写真、矢印)。イーダは、「ペレ、いったいどうしたの?!」と怒る。ウィルヘルムは、第3人の人物がコップを操作してのを見ている。そこで、イーダが呆れて去って行った後に、3階から双眼鏡のまま走って下りてくると、「フーリェじゃない、人間だ!」と叫ぶ。ウィルヘルムの目には、ペレから離れて逃げて行く姿が見えている。
2人は、その姿を追って、階段を降り、ロビーを横断し、玄関から外に出ても追い続ける(1枚目の写真、矢印はウィルヘルムの双眼鏡)。ウィルヘルムは途中で脱落し、ペレはEMFメーターを頼りに高層アパートの前まで来ると、正面にそびえるアパートの壁を、アントボーイになって這い上がって行く(2枚目の写真)。そして、反応の一番大きな部屋の窓まで行き、窓を押して開けると 中に入る。その部屋には、アントボーイの破かれたポスターが散乱していた(3枚目の写真)。ペレは、耳につけた無線を通じてウィルヘルムに到着したことを伝える。
ペレは、隣の部屋の方が感度が高いので、ドアを開けて居間に入って行く。部屋の片隅には、オタクの父の机が置いてあり、そこに置いてあったノートには、「光の働き: 不可視の秘密」(Rustam Musajev〔マリアの父の名前〕)と書いてあった(1枚目の写真)。ペレは、このノートの男が犯人だと勘違いする。ちょうどそこに、本人が帰ってくる。アントボーイは、父に迫ると、「なぜ、僕を追い回す?」と詰問する。「何かの間違いだよ」。「いいか、イーダを脅すのは止めるんだ!」。「イーダ?」。その時、後ろの本棚の横でマリアの赤い光が一瞬見え、大きな本棚が倒れかかり、父は、アントボーイを救って、自らが本棚の下敷きになる(2枚目の写真、矢印はマリアの父と倒れる本棚)。アントボーイは、無線で、ウィルヘルムに救急車の派遣を依頼する。すべては自分が悪いのに、マリアは、ますますペレを憎む。そして、透明になって刑務所に入って行き、ゲムコーの独房まで行くと姿を現わし(3枚目の写真)、それに感銘を受けたゲムコーに、アントボーイのことを、「彼は私に嘘をつき、私を辱めた。父は今入院している。全部アントボーイのせいだ。あいつなんか大嫌いだ!」と貶し、やっつける手段がないか訊く。この先のゲムコーの話は、脚本の最大のミス。(1)ゲムコーには、2人の崇拝者(例の不良)がいる、(2)2人は、アントボーイに何度もやられて彼を嫌っている、(3)2人の突然変異の状態から見て Lucanus Cervusに噛まれたに違いない、というもの。(1)先に2人がゲムコーの家に侵入した時には、ゲムコーの母を化け物呼ばわりするだけで、ゲムコーを崇拝している様子はゼロ以下。(2)『アントボーイ』では、アントボーイが2人を制裁する場面はない。『アントボーイ 2では』、スケートリンクで制裁するが、刑務所に入っているゲムコーが知るハズがない。(3)2人の突然変異の状態など、刑務所に入っているゲムコーが知るハズがない。以上、大きな問題はあるが、ゲムコーはマリアに、(a)クワダタムシはアリより遥かに強い、(b)2人の力の源泉は植物ジュース、アントボーイは砂糖だと教える。
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