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Cobweb 

アメリカ映画 (2023)

『Cobweb』の第一の訳は「くもの巣」だが、映画とは全く関係がないので、第二の訳「罠」を仮題とした。こちらの方が、映画の内容により近いから。映画の内容は、アメリカ映画界が好きで好きでたまらないホラー。どうして、こんなにホラーが好きなのかと不思議に思えるほどホラー映画を量産している。この映画は、その中でも、可もなく不可もないごく平凡な作品。唯一の特徴は、正真正銘、子供が主役であるという点。そして、その子供を、私が「異次元の卓越さで輝いている」と称えるウッディ・ノーマンが演じているという点。ただし、監督が悪いのか、ウッディの表情は前作同様に多様だが、それが、固定されている。すなわち、長く演じる中で自然と多様な表情を見せる前作と違い、監督の指示通りに表情を作り、その場面は一瞬で終わってしまう。つまり、「カメラに向かって演技してないという点」が素晴らしいとされたウッディが、監督に言われてそれをさせられている。これでは、「大人の指示通りに動く」普通の子役と同じだ。ホラーだから仕方ないのかもしれないが、彼には、もっと他のタイプの映画に出て欲しかった。

一見平和そうに見える家族。母は元教師。小学生の息子ピーターは、虐められっ子だが、素直でいい子だ。しかし、ハロウィーンが近づいたある晩、ピーターの部屋で異変が起きる。壁の向こう側でトントンと叩く音がしたのだ。それは翌晩も続き、ピーターを呼ぶ声まで聞こえるが、父はネズミのせいだと考え、シナモンの香りのする殺鼠剤をまく。それから数日後、ピーターがクラスでハロウィーンかぼちゃに顔の絵を描くと、いつもの虐めっ子がそのかぼちゃを蹴って壊す事件が起きる。壁からの声は、復讐を強く求める。翌日、その生徒が、お詫びに別のカボチャに絵を描いてピーターに詫びたが、ピーターは声に従い、その子を階段から突き落とし、足を骨折させ、退学処分になる。腹を立てた父は、ピーターを生まれて初めて、隠された地下室に一昼夜監禁する。ピーターが翌晩解放されて自分の部屋に行くと、声は、壁紙の下に穴が開いていることを教え、そこで、初めてピーターは相手の目を見、子供の声なのに野獣のような怖い目に慄く。声はさらに、自分がピーターの姉で、ピーターが2階にある大きな置時計を動かせるくらい大きくなるまで、話しかけるのを待っていたとも伝える。なぜなら、姉は、その時計の裏にある秘密のドアの中に監禁されていて、極悪人の両親を倒して姉を救い出すのが弟としての役割だとも。そして、ハリーウィンの日の夜、惨事が起きる。ピーターは、姉にそそのかされ、殺鼠剤を夕食のスープに混ぜ、両親を殺害する。そこに、足を折られた虐め子の兄と友達の計4人がトリック・オア・トリートで侵入し、家の中をめちゃめちゃにして復讐をしていると、自由になった姉に全員が惨殺される。ピーターは、心配して助けに来た元担任によって、奇跡的に救われる。

『C’mon C’mon(カモン カモン)』で十分長く触れたので、ウッディに関するコメントは、ここでは省略する。

あらすじ

ハロウィーンの1週間前、ホールデンフィールドという架空の田舎町。ピーターの両親の3人の一家は、カボチャの実で占領された裏庭のある薄気味悪い家に住んでいる。真夜中、ピーターは壁を叩く音で目が覚める。時計は午前1時45分を表示している(1枚目の写真)。夢かと思って、もう一度眠ろうとしたピーターは、もっと大きな音がしたので、ベッドサイドのスタンドを点ける(2枚目の写真)。そして、ドアまで走って行くと天井灯を付ける。そして、ベッドの後方にある窓から外を見てみるが、そこからは家の前のかぼちゃ畑が見えるだけ〔ピーターの部屋は、家の正面の2階にある〕。次に、ピーターは後ろを振り向き、“かぼちゃの柄の壁紙” の他には何もない反対側の壁を見る。音はどうやら、壁の中から聞こえてくるようだ。ピーターは壁に耳を当てるが何も聞こえない。そこで、指でトントンと叩いでみる(3枚目の写真)。すると、壁の裏側から、同じように、トントンと叩き返す音が聞こえたので、びっくりして壁から離れる。

ピーターは、同じ2階にある両親の寝室に入って行くと、母を揺すって起こし、「音がするんだ」と言う。「何が聞こえたの?」。結局、ピーターは自分の部屋に母を連れて行く。母は、ピーターが示した壁を拳骨で何度かノックしてから壁に耳を当てる(1枚目の写真)。しかし、何も聞こえない。母、「ここは、古い家だから、夜になるといろんな音がするわ」と言い、ピーターをベッドに横にならせると、「あなたには素敵で、大きくて、美しい想像力があるの。そうした怖いもの全部は、あなたの頭の中にあるだけなのよ」と言い聞かせる(2枚目の写真)。

次のシーンでは、ピーターが玄関のドアを開けて家の外に出て来る。すると、映画の題名が表示される。そして、スクールバスがやってくる(1枚目の写真)。バスの後部座席に行こうとしたピーターは、虐めっ子のブライアンが出した脚につまずいて床に倒れてしまい(2枚目の写真、矢印は脚)、それを他の子が笑い、ブライアンは 「休み時間には、もっとおみまいしてやる」と脅す。ピーターは、バスの最後尾近くに、浮かない顔で乗って行く。クラスに入ると、担任が来るまでの間、生徒達は物を投げ合って騒ぐが、ピーターだけは一人疎外されてじっと座ってい(3枚目の写真)。

そこに校長が入って来て、全員がすぐに席に着く。数秒してから部屋に1人の女性が笑みを浮かべて入ってくる。校長は、「こちらは、ディヴァイン先生。ビドラー先生が復帰されるまで、代理の先生になられます」とだけ言うと、さっさと教室を出て行く。ディヴァインは、生徒達に簡単に自己紹介の挨拶をする。授業が終わりに近づくと、最後列のブライアンが何かをピーターに投げつけ、「もうすぐ休み時間だな」と嬉しそうに言う。それを聞いたピーターは、真っ直ぐ前をじっと見つめる(1枚目の写真)。そして、11時45分にお昼休みを知らせるベルが鳴り響く。生徒達が出て行ったと思った代理教師が、窓際の柱にカボチャの絵を貼り付けていて、ふと振り向くと、1人だけピータが席に座ったままなのに気付き、びっくりする(2枚目の写真)〔教室から出て行くと虐められるから〕。教師が、「まあ、ピーター、休み時間じゃないの?」と訊くと、「嫌いなんです」と答える。「友だちと遊ばないの?」。ピーターは何も言わずに下を向く。それを見た教師は、「OK。居てもいいわ。飾りつけを手伝って。私、ハロウィーン大好きなの」と言う(3枚目の写真)「あなたは、何になるの?」。ピーターは首を横に振る。「何に扮するか、考える時間はたっぷりあるわ」。

その日の夕食の時間。何となく、暗いムードだ。ピーターが、「僕、ハロウィーンで何に扮するの? 面白い格好して、トリック・オア・トリートしたいな。学校の他の子たちも、みんなやるんだ」と発言すると(1枚目の写真)、母は 「私たちは、その子たちの両親じゃないのよ」と言う。次に、父が、「なあ、ピート、通りの奥に板張りの窓のある古い家があるだろ?」と話すと、今度は妻に向かって、「彼も知っておいた方がいい」と言う。ピーターが 「何?」と尋ねると、「何年か前、お前が生まれる前、その家に住んでいた小さな女の子が、ハロウィーンの最中に消えたんだ」。「何が起きたの?」。「誰も知らない。トリック・オア・トリートに出かけ、忽然と消えた」。母:「衝撃的な事件だったの。この近所の人たちにとって。私個人としては、そのことを思い出すのも嫌ね」。「僕も消えちゃうの?」。「まさか、ピーター」(2枚目の写真)。「もちろん違うわよ。あなたには、トリック・オア・トリートは絶対させないから」。

その夜、ピーターは、怖いので、昨夜音の聞こえた壁にライトを当てて寝ている(1枚目の写真)。すると、昨夜よりは早い午後11時34分、まだピーターが眠れずに起きている時、少女の声で 「ピーター」と囁く声が聞こえる。それを聞くや否や、ピーターは飛び起き、「パパ!」と叫ぶ。「だめ、ピーター、彼には言わないで」と囁きは続くが、ピーターは、もう一度、「パパ!」と叫ぶ。ドアが開き、父が現われる、「どうした?」と訊く。「また、聞こえたんだ」。「そうか、どこからだ?」。ピーターは、声のした方を指差す(2枚目の写真)。父は、壁に耳を当てる(3枚目の写真)。当然、何も聞こえない。父は、「これは、きっとネズミだ。ネズミ対策なら、ちょうどいいものがある」と言う。

そして、翌朝、父はピーターを裏庭の奥にある物置小屋に連れて行き、壁に置いてあった殺鼠剤の袋を取らせる(1枚目の写真、矢印)。ピーターは、封の開いた中を覗き、「シナモンの匂いがするね」と言う(2枚目の写真)〔シナモンの匂いのする殺鼠剤はあり得ない。いろいろなサイトに、「ネズミはシナモンの刺激臭に耐えられない」という趣旨のことが書かれている。つまり、シナモンはネズミ避けにはなっても、もし殺鼠剤に入っていたら、ネズミは食べずに逃げるから殺鼠効果はゼロ。だから、この設定は、脚本家がちゃんと調べずに勝手に作り上げた嘘〕〔この映画の後の展開から考えると、この殺鼠剤の主成分は、「テトラメチレンジスルホテトラミン」という有機化合物の可能性が高い。これは最も危険な殺虫剤の 1 つで、無味無臭、人間の致死量は僅か7~10mgで、解毒剤はない〕。父は、「気を付けろよ。見かけとは違って危険だからな」と注意する。そして、家の中に戻ると、壁と床の接する場所に、粒状の薬を少しずつまいて行く(3枚目の写真)。

学校の教室では、女性教師のディヴァインが、ハロウィーンの魔女帽子をかぶって、生徒たちにエドガー・アラン・ポーの有名な詩 『大鴉(おおがらす)』(1845年)の最後の部分を読んでいる。「…その影を床に投げかけている。床を揺らめくその影から、私の魂が抜け出すことはないだろう、もう二度と!」。すると、ピーターが描いている異常な絵を見て心配になる(1枚目の写真、矢印)。授業後、全員の絵を回収した後、ピーターの絵をもう一度よく見てみる(対比しやすいように、右に示す)。これは、ピーターが真夜中に、壁の中から聞いた声を絵にしたもの。だから、「HELP ME」の白地の右上は、壁から聞こえて来たように、右上に向かって少しだけ伸びている。しかし、昨夜の出来事を知らずにこの絵を見ると、ピーターが精神的に閉ざされた闇の世界から 「助けて!」と救いを求めているように見えてしまう〔この絵の問題は、壁の中から聞こえてきた言葉は、「Peter」「No, Peter. Don't tell him」なのに、教師が誤解しやすいように、「HELP ME」に変えてしまっている点。これはあまりにズルい〕。ディヴァインは、さっそくピーターの家に行き、玄関のチャイムを鳴らすと、ピーターの母が出てくる。ディヴァインが、「ピーター君の様子を直接確かめたくて寄ってみました」と言うと、母は、「私も母親になる前は、教師だったのよ」と、“なぜ来たの?” という言外の意味を込めて答える。「彼、大丈夫ですか?」。「ええ!」。そこで、ディヴァインはピーターが描いた絵を見せる。母は、「何て恥ずべきことを。ピーターは想像力過多なの。今でも、ちょっとした空想で、真夜中に彼の父や私を起こしてる、それがこの絵のすべてなのよ。でも、心配して下さってありがとう」と言うと、家にも入れずに、バタンとドアを閉める。そして、すぐにピーターの部屋に行くと、絵を見せ、「これは何なの?」と問い詰める(2枚目の写真、矢印)。「絵だよ」(3枚目の写真)。「何の絵? これはあなたの部屋でしょ〔上の絵の、ベッドと窓の位置から〕。なぜ、助けを求めてるの?」。「求めてないよ」。「どうして、他人に助けを求めたの?」。「求めてないって。ただの怖い絵だよ、ママ」。

その日の夜、12時51分、「起きて、ピーター」の声でも目が覚めなかったので、壁がドンドンと叩かれ、ピーターも目覚めてスタンドを点ける(1枚目の写真)。壁の中の声は、「ピーター、怖がらないで。話したいだけなの」と言う。ピーターは、「お願い、静かにしてよ。君のことを考えたけど、君は現実じゃない」と話しかける。「そうかもしれないね。でも、君には友だちが必要みたいに見えるけど。私にならできる。でも、友だちが要らないなら、いなくなるわ」(2枚目の写真)。それを聞いた友だちが一人もいないピーターは、「待って、行かないで。ごめんね。ここにいて」と頼む。「ホントに?」。「うん、話そうよ」。

ここで、場面は、再び学校。ピーターのクラスでは、机とイスを壁際に片付け、広いスペースに生徒たちが思い思いに座り込み、新聞紙の上に置いたカボチャに顔の絵を描いている。泣き顔を描いているピーターに、ディヴァイン教師が、「ピーター、素敵ね。何て名前なの?」と尋ねる。ピーターは少し考え(1枚目の写真)、「ヘクター」と答える。2人の仲の良さを、ブライアンは嫌な顔で見ている。休憩時間に、ピーターが1人離れてカボチャと一緒にベンチに座っている。始業ベルが鳴り、ピーターがカボチャを抱いて教室に向かっていると、いつの間にかブライアンが後ろから近づき、背中を押してピーターを地面に倒す。そのショックで転がり落ちたカボチャは2つに割れ、その半分をブライアンが靴で押し潰している。ピーターは、「止めろ!」と叫ぶが(2枚目の写真)、ブライアンは構わず砕き続ける(3枚目の写真)。

その夜、壁の声が、「ピーター大丈夫? なぜ泣いてるの? 誰かが君を虐めた?」と訊く。「うん、ブライアン。毎日僕を乱暴に押すんだ」。「そうじゃないかと心配してた。でも、君を信じてるよ、ピーター。君は自分のために立ち上がれるくらい強い。試してみろよ」。そして、翌朝、ブライアンが、“ピーターが描いていた泣き顔の簡略版” のカボチャを持って、母親とディヴァイン教師と一緒に教室に入って来る(1枚目の写真)。そこから先は、母親にプッシュされ、面白くない顔でピーターの前まで来ると、カボチャを机の上に置き、「ごめんね、ピーター」と謝る(2枚目の写真)。ディヴァインは、「ブライアンはとっても親切ね、ピーター?」と声をかける。ピーターが振り向いてブライアンを見た時、昨夜の声が頭の中で響く。「君が、もうこれを恐れていないことを示すんだ」。そして、午後3時の終業のベルが鳴る。肩にカバンを掛けながら、ピーターの頭の中には、「彼を怖がらせるんだ」という声が響く。ブライアンともう1人の男子生徒が廊下を歩いて行くと、「彼を押し返すんだ」の指示を受けたピーターが跡を付けて行く(3枚目の写真、矢印)。

そして、2人が階段まで行くと、ピーターが走り寄る、ブライアンから突き落とす。ブライアンは、踊り場まで転落し、脚を折って痛くて悲鳴を上げる(1枚目の写真)。ブライアンと一緒にいた生徒が先生に知らせようと走って行く。階段の最上部からブライアンを見たピーターは、“声” に従って自分のしてしまった愚かな行為の結果を見てびっくりする(2枚目の写真)。次のシーンは、校長室の前のイスで座らさせているピーター。中では、ピーターの母が息子を擁護している声だけが聞こえてくる。「どうしてこんなことになってしまったのか理解できません。ピーターは今までこんなことしたことはありません。彼は暴力的な性格ではないんです。きっと事故だったんです」。そして、場面はその日の夜。食卓の中央に座らされたピーターに、その向かい側に立った父が、「退学だと?」と、妻から知らされた最悪のニュースを聞いて驚き、ピーターは悲惨な顔でそれを見ている(3枚目の写真)。

父は 「何か弁明はあるか、ピーター?」と訊く。「階段から落とすつもりなんかなかった」。「ウチは暴力で問題を解決する家族じゃないんだ、ピーター。なんでこんなことになったのか理解できん」。ここで、母が申し訳なさそうに口を挟む。「ピーターが学校で絵を描いたの。もっと早く あなたに話すべきだったわ」。「どんな絵なんだ、キャロル?」。「助けを求める子供」。父は、「ピーター、なぜそんな絵を描いたんだ?!」と、怖い顔で尋ねる(1枚目の写真)。ピーターは、「ホントに彼女の声が聞こえたから!」と答えるが、そんな話など信じない父は、「監禁だ!」と叫ぶ。母は、「ピーター、自分の部屋に行って」と指示するが、容赦のない父は、「ダメだ、ダメだ、監禁だ。地下室行きだ!」と非情なことを命じる。

そして、すぐ後ろにある冷蔵庫を力まかせに回転させると(1枚目の写真)、何と冷蔵庫の裏には地下室へのドアが隠されていて、ドアには南京錠までかかっている(2枚目の写真、中央下の矢印は南京錠、中央上の矢印は冷蔵庫の裏面)。それを見たピーターは悲しくて涙を流す(3枚目の写真)。

母が、腰につけた鍵束を使って南京錠を解除し、階段を下りて行くと、天井からぶら下がった電球を点ける。そこに、ピーターを前に歩かせて、父が降りてくる。そして、「座れ」と命じる。ピーターは、木の板が敷かれた手前に座り込む(1枚目の写真)。母は、「私たちがこんなことするのは、あなたを愛しているからよ」と、児童虐待の言い訳をし、すぐに階段を上がって行く。妻がドアから出て行く、父は何も言わずに天井の電球を消し、真っ暗な中にピーターを置き去りにして階段を上がって行き、ドアをバタンと荒っぽく閉める。ピーターは、真っ暗な地下室に、水も尿瓶もなく放置される(2枚目の写真)〔この映画は、真っ暗な場面が多いので、写真はすべてAdobe BridgeとPhotoshopを使って不自然でない程度に明るく処理してある〕。ピーターは、「ねえ、君、そこにいる? お願い、話しかけてよ」と言うが、壁の中の声は聞こえて来ない。ピーターは顔を膝に埋めて泣き始める。

翌朝、僅かに壁の換気口から洩れる光で、ピーターは、横になって床に寝てしまった目の前に鎖があるのに気付く(1枚目の写真、矢印)。そこで、床に膝をついて座ると、鎖をたぐり寄せる。すると、鎖は、床に置かれた木の台の下にある鉄の突起に連結されていることが分かる(2枚目の写真、矢印)。そこで、ピーターは、木の台が動かないように載せてある袋をどけ、木の台を持ち上げて反対側に倒す。すると、そこには、10センチくらいの正方形の格子で出来た蓋が現われる(3枚目の写真、矢印)。ピーターが下を覗いてみると、その下には、深さ10メートルほどのコンクリートで固められた溝のようなものがある。

一方、教師のディヴァインは、校長と話していて、何年も前にピーターの家の近くで子供がいなくなったことを聞き、スマホで調べてみる。すると、1枚目の写真のような記事が見つかった。それは、「ホールデンフィールド・ヘラルド」という新聞の記事を転載したもので、「ホラー! ハロウィーンにホールデンフィールドの子供が行方不明に!」という標題の下に、「当局は、ホールデンフィールド行政区に住む11歳のレベッカ・ホルブルックちゃんの捜索に住民の協力を求めている。彼女は土曜日の午前2時15分、友達とハロウィーンのトリック・オア・トリート中に行方不明となり、アンバーアラート〔児童の行方不明事件の発生時に出される緊急速報〕が発令された。彼女はレイア姫〔スター・ウォーズ〕のコスチュームを着ていたと伝えられている。レベッカちゃんの居場所について情報をお持ちの方は、直ちに911に通報して下さい」と書かれている。カメラが引くと、ディヴァインがこの記事を読んでいるのが、生徒達が描いたカボチャの顔の並んだ教室内であることが分かる(2枚目の写真、矢印)。

その後、教室内で、ディヴァインが最後に課したテストの採点を行っていると、中にピーターの答案があることに気付く。出来は85%でBプラスなので、カボチャのシールも笑顔ではなく、少し顔が歪んでいる。ディヴァインに、これでピーターと連絡を取れるかもしれないと思い、答案用紙の一番上に自分の携帯電話番号を書き入れる(1枚目の写真、矢印)。そして、再度、ピーターの家を訪れる。ドラム式洗濯機の中で洗濯物が上下に落ちながら大きな音を立てて回っていると玄関のチャイムが鳴る。出て来た母親は、またディヴァインなので、うんざりした顔になる。ディヴァインは、ピーターの最後の数学のテストを持って来たと言って渡す(2枚目の写真、矢印)。母親が、「わざわざどうも」と素っ気なく言い、中に戻ろうとすると、そこに父親が出て来て、妻から事情を聞くと、妻ほど非礼ではなく、「それは素晴らしい。冷蔵庫に貼ることができる」と言い、さらに、笑顔で、「どうぞ入って。コーヒーを入れたところです」と勧める。そこで、ディヴァインは、不愛想な母親の横を通って初めて家の中に入って行くが、先導する父親が手にネイルハンマー〔ハンマーヘッドが槌面・釘抜きの組み合わせになっている工具〕を持っているので、不気味な感覚に襲われ、何となく落ち着けない。父親は、ハンマーを持ったまま食卓のイスを引き、教師を座らせる。その横では、教師の方を不審そうな顔で見ながら、ピーターの答案を冷蔵庫に貼っている(3枚目の写真、矢印)〔地下室のドアは、完全に隠されている〕

ディヴァインが、ピーターが退学になったことを残念だと言うと、父親は謝罪の必要はないと言い、妻は最高の教師なので、ピーターを自宅学習させることに問題は全くないと自慢する。ディヴァインが、さようならを言いたいので会いたいと言うと、自室で外出禁止にしてあるので会わせないと断る。母親は、「あなたは、もうあの子の担任じゃない。なのに、私たちの家になぜ来られるのか、不思議でなりません」と、不快感を顕わにする。ディヴァインは、「私は、ただ、ピーターの無事を確かめたかっただけです」と答え、邪悪な母親から 「『無事を』ですって? ピーターが危険にさらされてるとでも? 私が子供を傷つけるような母親だと思ってるの?」と、強く批判される。こうした会話は、地下室に監禁されているピーターにも聞こえる(1枚目の写真)。ピーターは、ディヴァイン先生なら助けてくれると期待し、階段を上がって冷蔵庫の背後のドアまで行くと、ドアを叩いたり、足で蹴ったり、「助けて」と叫んだりして “自分はここにいる“ と知らせようとするが(2枚目の写真)、ドラム式洗濯機のドスンドスンという音と重なってしまい、ディヴァインは、どこかおかしいと思いながら、確信を持てずにいる。母親のディヴァインに対する誹謗中傷は加速度的に強烈となり、夫が世間に知られたくないことまで口走り始める。「ピーターを産む前、医者はピーターは奇跡だと言ったわ」「私は決してあの子を手放さない。絶対に。ピーターは奇跡よ。何のための研究所?」。ディヴァインに聞かれては不味いと思った父親は、ディヴァインに帰るよう勧める。ディヴァインが、洗濯機の前を通って玄関に向かうと、その時、一瞬、洗濯機の回転が止まる。すると、ピーターがドアを蹴る音がはっきり聞こえる。それに気付いたディヴァインが、音のする方に戻ろうとすると、そこにハンマーを持った父親が立ち塞がる。「あの音は何?」(3枚目の写真)。しかし、すぐに洗濯機が逆回転を始め、音は打ち消され、ディヴァインは丁寧に追い出される。

その日の夜、母は、スマイリーフェイスをチョコで描いた円形のマドレーヌをケースに入れて3×4個焼くと、ロウソクを2本立て、階段を下りて地下室に持って行く(1枚目の写真)〔顔が化け物のよう〕。そのあと、ピーターは、浴室に連れて行かれて、体の汚れを母に洗われるが、彼に向かって父は、「反省する時間はあったか?」と高飛車に訊く(2枚目の写真)。ピーターは、何も言わずに ただ頷く。直接の返事がないので、父は、するどい目で、「何を反省した?」と訊く。ピーターは、「僕の成長の仕方について。演じるフリをしたり、嘘をつくのは止める」と言う。母が 「もう悪夢は見ない」と言うと、「もう見ない」と言う。それを聞いた父は、「お前を誇りに思うぞ、ピーター」と、すべてを許す。2人はピーターを部屋まで連れて行き、ベッドに寝かせる(3枚目の写真)〔影が印象的〕

両親が、自分たちの寝室に入った音を確認すると、ピーターはすぐにベッドから出て壁まで行くと、頬を壁につけ、指でトントンと叩く。いつものように返事がないので、「話しかけてよ」と囁く。すると、「ピーター、君のことを心配してたよ」と、声が戻ってくる(1枚目の写真)〔これで、この声が何であれ、地下室には行けないことが分かる〕。「ママとパパは、僕を地下室に閉じ込めたんだ」。「彼らには、気を付けないといけないよ。見かけとは違うんだ」。「僕、君に会いたいよ」。「ダメだよ。私は、ここに長く居すぎたから、私の容姿が気に入らないだろう。君が悲鳴を上げれば、2人とも捕まってしまう」。「悲鳴なんか上げない。約束するよ」。「OK。壁紙の一番下の裏に穴が開いてるんだ。見える?」。ピーターが、壁紙の継ぎ目を開くと、木の壁の荒っぽく削って丸い穴が奥の空間まで貫通していた(2枚目の写真)。ピーターが、中を覗くと、怪物のような鋭い目が一瞬見え、ピーターは恐ろしくなって後ずるさと(3枚目の写真)、「君は何者なの?」と恐る恐る訊く。「私は、君のお姉さんよ。ずっと待ってたんだ、ピーター。君が大きくなるまで待たないといけなかった」。「大きくなるって、何のために?」。「秘密のドアを隠してるホールクロック〔大型の置時計〕を動かせるだけの大きさ。私を暗闇から逃がすことのできる大きさだよ」。そのあと、“ピーターの姉” は、さらに過激なことを話す。「君のパパとママ、2人とも極悪人だよ、ピーター。これで分かっただろう。君の活躍する時が来たんだ」。恐ろしくなったピーターは、ベッドの中に潜り込む。翌朝、ピーターは悪夢にうなされているところを、駆け付けた母に抱かれて目が覚める。

次の夜も、ピーターと “姉” は話を続ける。ピーター:「パパとママが、君を部屋に閉じ込めたのなら、どうやって僕と話してるの?」。「逃げ出したんだ。引っ掻き、引き裂いて、君の部屋まで」〔厚い壁は破れないので、壁の裏の空間を移動した〕。ママとパパは、私を嫌悪してる。2人が我慢の限界に達したら、私は終わり。私は殺されてしまう。そして、君を壁の中に閉じ込めるわ」(1枚目の写真)。ピーターは、「そんなことしないよ。誰も殺さない」と反論するが、“姉”は、「違うのよ、ピーター。2人は、もう殺してる。庭に埋まってるものを見ないと。場所は教えるわ」。翌朝、ピーターは裏庭のカボチャ畑をシャベルで掘り始める。その頃、母は、ホールクロックをずらして元に戻し、ガラスの容器を持って部屋を出て行く(2枚目の写真)〔母は、ホールクロックの後ろの壁に閉じ込めた “ピーターの姉” に、定期的に水だけ補給しているのだろうか?〕。一方、カボチャ畑で掘っていたピーターのシャベルは(3枚目の写真)、骸骨にぶつかる〔この骸骨は、行方不明になった少女なのだろうか?〕。しかし、2階の窓から母が 「ピーター」と呼んだことで、ピーターは急いで骸骨を埋め戻す。そして、母が裏口のドアを開けて、「何してるの?」と厳しく訊いた時には、カボチャを1つ手に持って、「トリック・オア・トリートには行けないけど、カボチャを彫ろうと思ったから」と弁解する。

部屋に戻ったピーターに、“姉” は話し続ける。要意すると、ハロウィーンの日。両親が “姉” 壁に封じ込める前、トリック・オア・トリートの少女が1人でやって来たので、“姉” は助けてと言い、少女は “姉” を見てしまった。両親は少女を殺した、というもの〔行方不明になった少女の殺害者は、やはりピーターの両親だった。①“姉” を見ただけで殺す。②“姉” を壁の中に封殺するということは、彼女が余程恐ろしい化け物であったことを意味する。だが、ピーターはそこまで頭が回らない〕。“姉” は、「あの女の子ようになりたくない。君をここから連れ出さないと。一緒に逃げましょ。私たち家族になるの。ホントの」と、甘い言葉を囁く。ピーターは、“姉” の示唆に従い、冷蔵庫から答案を外すと、両親の寝室にこっそり入って行き、ベッドサイドに置いてある固定電話から、ディヴァインのスマホに電話する〔最大の問題点は、壁の中から出られない “姉” が、答案用紙に携帯の電話番号が書いてあることを知っているハズがないという矛盾〕。ピーターは、番号を押すと、誰もいない教室で朝食代わりにサンドイッチを食べているディヴァインのスマホが鳴り出す。取り出すと、知らない番号なので、「もしもし」と答えると、ピーターが 「ディヴァイン先生?」と囁く。「ピーター?」。「助けて欲しいの」(2枚目の写真)。「今、何て言ったの?」。「助けて欲しいの」。音がしたので、ピーターは急いで受話器を戻す。そして、振り向くと、いつの間にか、母が鬼のような顔で寝室の中に立っている(3枚目の写真)。そこに、電話がかかってくる。さっき、いきなり電話が切られたからだ。すぐに、母が電話を取る。そして、ディヴァインから問われると、「ピーターは先生がいなくて寂しいと話していたので、『ピーター、先生に電話したら〔give her a ring〕。自分で話しなさい』 と言ったんです。でも、あいにく、彼の内気さが逆に悪影響を及ぼしてしまった〔have gotten the best of〕ようで」と、意味不明の弁解をして電話を切る。

そして、「何てことしたの、ピーター」と叱ると、文句を言いながら部屋まで連れて行くと、突き飛ばして部屋に入れ、「とっても失望したわ!」と詰(なじ)る。その時、母は、壁に張り付いているピーター(1枚目の写真)の足元の剥がれた壁紙に気付く。母は、「それ、何なの?」と言うと、ピーターを押し退けて、床に跪いて壁紙を開け、中に穴が開いていることに気付く。これは、母にとって、例えようもない大きなショックで、顔からはそれまでの生意気な厳しさが消え、恐怖が溢れ出る(2枚目の写真)。母は、「そんな」と言いながら壁伝いに歩き、廊下に出ても、ずっと壁に触れ続ける。置時計の部屋の壁の中に閉じ込めたハズなのに、いつのまにか、廊下の壁の後ろを通り、ピーターの部屋まで行っていたとは、完全な想定外だった〔この時、時計は9時59分を指している〕。母は、恐怖に震えた声で 「彼女、何て言ったの?」とピーターに訊き、返事がないので、二度目は、同じ言葉を激しく叫ぶが、それと同時に、置時計が鳴り出したので〔偶然10時になった〕、母は、関連性を確信し、怖れ慄きながら、ピーターに向かって、「これから何が起きようと、みんなお前のせいだからね。お父さんが帰ってくるまで、そこで待ってなさい」と言い、ドアを閉める。ピーターが泣いていると、“姉” が 「ピーター」と呼びかける。「話は聞いたわ。2人は、私たちを殺すつもりよ。ピーター、何とかしないといけないわ」。夜になり、父が帰宅する。ピーターはこっそり階段の途中まで降りて行き、両親が話し合っているのを見ている(3枚目の写真)〔ここでも、影が印象的〕

次の翌日の朝のシーンが最大の謎。その日の夜の恐ろしい事態を説明する何かがあるべきなのに、父がピーターに命じたのは、黒ぐされ病が大量発生したので、父が掘った穴に腐ったカボチャを至急埋めろという農作業(1・2枚目の写真)。しかし、昨日、ピーターがカボチャ畑を掘って骸骨を見つけた時にはカボチャは元気だったのに、僅か1日で、こんなになるハズがない。それに、こんな事件は、映画とは全く関係がない〔最悪の脚本〕。その頃、家の表の道路に、ブライアンと、恐らく、その兄貴と仲間3人が、バンに乗ってやって来て、家の下見をする短いシーンが入る(3枚目の写真)。こちらは、このあとの展開と関連しているので、伏線として意味がある。

そして、夜になり、夕食の時間。出されたメニューは、ドロドロしたスープ。ピーターはスプーンでスープをこね回しながら、父の様子をそっとうかがっている(1枚目の写真)。父は 「食べ物で遊ぶんじゃない」と注意し、玄関からは、「トリック・オア・トリート」と子供たちが叫ぶ声が聞こえる。母は、乱暴に 「消えて!」と言って追い払うと、戻って来て食べ始める。初めからどんどん食べている父は、8割方(がた)食べたところで、妻に、「今夜のスープ、いつもと違うことしたか?」と尋ねる。「いいえ」。「つまり旨いんだ。最高だな。違うか? ちょっと味が違う」。母は 調べるように食べてみて 「そうね、匂いが…」と呟き、父は 「シナモンのような香りだな」と言い、母も 「そうね」と賛成する。その時、父は、はたと気づく。殺鼠剤もシナモンの香りがしたのだ。そして、横に座っているピーターを見ると、スープには一切手をつけていない(2枚目の写真)。そこで、「ピーター、何かしたのか?」と訊くが、ピーターは黙ったまま。「ピーター、こっちを見ろ。正直に言うんだ。お前、何をした?」。この間も、母は食べ続ける。返事がないので、父は立ち上がると、ピーターにつかみかかり、「何をした? 言わんか」と強く問いただす。ピーターは、「僕の姉さんを虐待した」と答える(3枚目の写真)。その言葉に、母は衝撃を受け、「今、何て言った?」と訊き、父は、「なんてこった」と言うと、妻に 「911に電話しろ」と命じる。「何が起きてるの?」。「電話するんだ!」。

母が立ち上がると、父は、急に腹を押えて苦しみ出し、ピーターは、キッチンの端まで逃げる。母はキッチンの壁の固定電話まで行くが、コードが切断されていて使えない。父は、我慢しきれなくなり、黒い液体を大量に食卓の上に吐き始める。食卓に黒い液体が広がっていくと(1枚目の写真、矢印は吐いている黒い液体)、父は、そのまま液体の上に顔をつけ、そのまま床に崩れ落ちて絶命する。それを見た母は、キッチンの包丁を手に取ると、隣の部屋に逃げていたピーターを追いかける。ピーターは階段を駆け上がるが、2階の少し手前まで来たところで、母に足を掴まれる。しかし、そこで、母も黒い液体を吐き始める。それでも、襲いかかろうとしたので、ピーターが突き飛ばすと、階段を転がり落ちていき(2枚目の写真、矢印の方向)、一番下まで落ちると、包丁が腹に刺さった状態で仰向けに倒れて、傷口からは血が広がっている。ピーターは泣きながら下りて行くと、母の腰から鍵束を取り上げる(3枚目の写真、矢印は鍵束)。その時、急に目を開けた母が、最期の言葉を言い残す。「彼女を外に出さないで」〔それにしても、昨日の朝、母が “姉” の行動範囲の広さに気付き、夜に父と話し合ってから1日しか経っていないのに、いくら “姉” の指示とはいえ、自分の両親を毒殺するようなことができるとは、到底思えない〕

ピーターが置時計の部屋に行くと、「ピーター、君なの?」と囁く声が聞こえる。さらに、「やったの? 2人ともいなくなった?」と訊く。ピーターは、「よく分かんない。そう思うよ」と答える。「鍵は持ってる?」。「うん」。「時計… 気を付けて… すごく重い」。ピーターは、やっとの思いですこしずらすが、このまま動かし続けることは無理だと思い、倒すことに専念する(1枚目の写真、矢印の方向)。置時計が倒れてバラバラに壊れると、壁に作られた小さなドアと、それを開かないようにするための大きな鉄板が見える。ピーターは持ってきた鍵束の中から合う鍵を選び、鉄板に付いた鍵穴に差し込む(2枚目の写真、矢印)。鍵を回して解錠すると、大きな音がしたので、ピーターは部屋の真ん中まで逃げるように後退する(3枚目の写真、中央の矢印はドア。ドアが如何に小さいかがよく分かる、左の矢印は壊れた置時計の背板)。このあと、ゆっくりとドアが開き、ピーターは、それをじっと見つめている。すると、今までのような子供らしい声ではなく、悪だくみに成功した大人の女性のひねくれた笑い声が響き渡り、ピーターは自分の部屋に逃げ込む。時計の部屋の小さなドアからは、長く伸びた爪のある細い手と、何メートルもある一度も切ったことのない髪の毛が這い出してくる。そして、ピーターが必死で押さえている自室のドアの前で、「いい子だ、ピーター。2人が死んでいくのを見て どんな気持がした?」と意地悪く尋ねる。その時、チャイムの音がして、「トリック・オア・トリート」という声が聞こえる。

「トリック・オア・トリート」に現れたのは、前日下見に来た4人組。一人だけ小さなブライアン、あとの3人は手にバットやスティックを持ち、バレないようにアニマルマスクを被っている(1枚目の写真)。すると、誰もいないのにドアが自然に開いたので、3人はさっさと中に入って行き、取り残されたブライアンは、松葉杖を使って一歩一歩ゆっくり歩いて行く。「おい、ピーター、いるのか?」という声を聞いたピーターは、急いでベッドの下に隠れる。ピーターを探しに2階に上がってきたのは、猫マスク。一方、1階の豚マスクは、バットで棚の上に置かれた写真立てを順番に砕いていく(2枚目の写真、矢印はバット)。もう1人の兎マスクは、バールを持ってキッチンに入って行くと、汚れた食卓に驚くが、ピーターの父の死体は “姉” が隠したので、そこにはない。次に豚マスクは、ピアノの前まで行くと、バットで鍵盤を叩き壊す(3枚目の写真、矢印はバット)。こうして見ると、豚マスクが一番暴力的だが、きっと彼がブライアンの兄なのだろう。物を壊す音で騒々しい家の中に、猿マスクのブライアンが入って来るが、床にこぼれた “両親のどちらかが吐いた黒い液体” に松葉杖の先端が滑り、その場で、仰向けにひっくり返る。ピーターの部屋に入った猫マスクは、ベッドの上に飛び乗ると、何度もジャンプして暴れる。そして、ベッドの下に隠れていたピーターを見つけ、中に手を突っ込んで捕まえようとする。猿マスクを外したブライアンは、両手が血で赤く染まっているのでびっくりする。

豚マスクが、ピアノを何度も叩いていると、背後の壁面を異様な格好の黒い影が動いて行く(1枚目の写真、矢印)。しばらくして、ピアノがバンとなったので、一旦はピアノから離れた豚マスクがピアノを振り向くと、ピアノの上に白髪の混じった長い毛が後ろに消えていったので、よく調べてみようと近づくと、ピアノの下から瞬間的に現れた2本の上が豚マスクの両脚を掴み(2枚目の写真、2つの矢印)、一気にピアノの下に引きずり込む。そして、すぐに、悲鳴と共に、ピアノの下から血が飛び散る(3枚目の写真)。凄まじい悲鳴にびっくりした3人が、そのあと、どうなったかについて、写真での紹介は行わない。①ブライアンが倒れたすぐ横の棚が開き、中からピーターの母の死体が入っている。②兎マスクが悲鳴をあげてブライアンの前に現れると、「助けて!」と叫びながら、引き込まれて消える。③天井を長い髪が笑いながら左右に動き、ブライアンが気付かぬうちに背後に垂れ下がり、上を見たブライアンが悲鳴を上げる。④ピーターを捕まえるのを止めて部屋から出てきた猫マスクを外した男は、ブライアンの悲鳴を聞き、彼のいた1階を階段の上から見ていると、髪の毛の化け物に襲われる。かくして、家の中で生きているのはピーター1人になった。“姉” はピーターが隠れているベッドの下の前に現れると、「お前が生まれた時、2人はすごく喜んだ。あたしが生まれた時、2人は悲鳴を上げた。だからパパはあたしに穴を作り、それから監獄を作った。お前が この暖かいベッドで泣いている間、あたしはクモの巣とネズミに苦しみながら、登り方や噛みつき方を学び、お前をあたしの思い通りにするやり方を学んだ」と話すと、「離して、お願い!」と嘆願するピーターを置時計の背後の小さなドアまで連れて行き、「ここなら安全だよ」と言って押し込み、鍵をかけてしまう。

それから何時間経ったのかは分からないが、昨日の電話で心配になったディヴァインが家の前までやって来る。チャイムを鳴らしても反応がないので、少し開いていたドアを押して中に入ってみると、玄関にも松葉杖やガラスの破片が落ちている(1枚目の写真)。ディヴァインが 「今晩は」と言うと、キッチンの方から泣き声が聞こえる。ディヴァインは、「ピーター?」と声をかけ、キッチンに入って行くと、嘔吐物が散らばっていたので、スマホを取り出して911にかけようとすると、物音がして、髪の毛が床の上を冷蔵庫の向こうに消えて行く。そこで、ゆっくりと冷蔵庫の前まで行くと、鋭い爪が延びた手が脚に向かって伸びてきて(2枚目の写真)、次の瞬間には腕が引っ込み、ディヴァインの脚には3ヶ所、爪で切った深い傷ができ、彼女は痛さのあまり床に倒れる。そして、そのまま這って逃げて行くと、両側には、兎マスクの上半身と下半身が切断されて横になっていた(3枚目の写真)。

音がしたので振り返ると、長い髪をした化け物が、床を這って向かってくるのが見えたので、横に並んでいた暖炉の火かき棒を1本取ると、何とか立ち上がり、逃げようとするが、ドアが開かない。その時、2階から、ピーターが 「ディヴァイン先生!」と叫ぶ声が聞こえる。「先生、逃げて!」。勇敢なディヴァインは、階段を上がり、2階に行く。廊下には、首のない “元・猫マスク” の死体が転がっている。そして、正面にはドアが開いたままのピーターの部屋が見える。3度目の 「先生、逃げて!」が聞こえた後、ディヴァインが部屋に入ると、床に近い壁の隙間から指が出ているのが見える。ディヴァインは、「ピーター、何てこと!」と叫んで駆け寄ると、指に触れる〔ピーターは置時計の裏から、“姉” が作った “道” を通って自分の部屋まで来ていた〕。ピーター:「走って逃げて」。「こんなトコに、放っておくもんですか」。その時、怪物が走ってくる音が聞こえたので、ディヴァインは急いでドアを閉めると、すぐ横に置いてあった棚を倒してドアが開かないようにする。「あれ、何なの?」。「僕の “姉” です」。ピーターは、そう言うと、ドアが開けようとする音が聞こえなくなったので、“姉” が置時計の裏のドアから入って自分を殺しにくると思い、「彼女がこっちに来る!」と叫ぶ。ディヴァインは、「下がってて」と言うと、火かき棒で壁を何度も叩き、遂に壁に大きな穴を開け、そこからピーターを救い出す(1枚目の写真、上の矢印は破壊された壁、下の矢印は火かき棒)。部屋から逃げ出したピーターは、冷静に、置時計の部屋に行き、鍵束を取り上げてから1階に降り、玄関の鍵を開け、ディヴァインを最初に外に出す。しかし、ピーターは追いかけてきた “姉” に捕まり、連れ去られる(2枚目の写真)。そして、ドアがバタンと閉まる。

気を失っていたピーターが気付くと、そこは、地下室で見つけた、鉄格子の下の深い垂直なコンクリートの溝の端だった〔鉄格子は外してある〕。床に落ちていた熊のぬいぐるみを手に取って見ると、裏に「サラ」と書いてある。これが “姉” の名らしい。すると、地下室の電球が点き。上の方に光が見える。そして、長い髪の毛が溝の中に降りてくる(1枚目の写真、矢印)。そして、サラが両腕と両脚で左右の壁に踏ん張りながら、腕と脚を交互に動かして下まで降りてくる。ピーターは、向き合ったサラに、「なぜ、こんなことするの?」と訊くと、サラは、「すべての子どもが、お前みたいに完璧になれるわけじゃない」(2枚目の写真)「あたしはこんな体で生まれたんだ。怪物を愛するものなど、誰もいない」と言い、人間とは言えない恐ろしい顔を初めてはっきりと見せる(3枚目の写真)。

その時、上で、「ピーター」と呼ぶ声がする。ピーターが、「ディヴァ…」と叫び始めると、サラがピーターの口に手を当てて声を止める。ディヴァインは、火かき棒を振り上げて、地下室の階段を下りながら、「あんたが何者かは知らないけど、ピーターを傷つけたら殺してやる!」と一語一語はっきりと警告する。すると、深い垂直なコンクリートの溝を駆け上がったサラが、髪を流しながら飛びかかってきて、あと1段で床のところまで来たディヴァインを転倒させる。ピーターは、「ディヴァイン先生!」と叫ぶが、サラは、ジャンプして、溝の近くまで来てディヴァインと対峙するが、その時、長い髪溝の中に垂れ下がる。上では、サラが、ディヴァインに近づき、長い爪を顔の前に近づける。しかし、ピーターが髪をつかんで登り始めたことで、サラは溝まで引き戻される。ピーターは髪をつかんで登り切り、溝から地下室まで上がることができた(2枚目の写真、2つの矢印はサラの髪)。ピーターは、地下室に来てもサラの髪を放さず、後退しながら引っ張り続ける。それを見たディヴァインは、火かき棒を拾うと、それでサラの体を何度も叩き(3枚目の写真、矢印は火かき棒の先端)、溝に落とすことに成功する。ピーターは 鉄格子を持ち上げていた鎖を解き、溝に蓋をする。

サラは、溝の上まで登る、鉄格子の隙間から腕を出しながら、以前の子供の声で、「ピーター」と呼ぶ(1枚目の写真)。「お願いだ。君は、私の弟だろ」(2枚目の写真)「分からないのかい、ピーター? 同じ血が流れてるんだ。君は、ママとパパを殺した。私と同じなんだ」。それを聞いたピーターは、「違う!!」と怒鳴る。「僕は、君とは違うんだ」。サラは、元通りの怖う声に変わり、「これで、あたしを閉じ込めたとホントに思ってるのかい? お前は、毎晩ベッドに横になる時、ドアに鍵をかけたか、影が動くのを見たか心配するだろう。きしむ音、うめき声、壁を叩く音がする度に、あたしを思い出すだろう。あたしたちは家族なんだ、ピーター。決して離れないかね」と言う。3枚目の写真は、引き取られた先〔ひょっとしたら、ディヴァインの家〕で、夜、サラを見た時のピーターの顔〔このような終わり方は、ホラー映画の常套手段で、実際には、サラは、多重殺人で精神病院に監禁され、ピーターは幸せな一生を送るであろう〕

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