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Penguin Bloom ペンギンが教えてくれたこと

オーストラリア映画 (2020)

下の写真は、https://sambloom.com.au/ という、サム・ブルームのサイトにあるサムとペンギンの写真。この映画は、実話に基づいて作られている。実在のサムがタイの旅行中に6m転落して脊椎損傷により半身不随になったのは2013年のこと。その3年後の2016年3月21日には、本人とBradley Trevor Greiveの共著の形で同じ題名の本が出版され、その3年後の2019年の夏には、この映画の撮影が始まっている。そして、2021年1月にオーストラリアの映画館で公開されると、興行収入1位を獲得する。このテーマが観客に非常に気に入られたことがよく分かる。映画では、長男のノアに焦点が当てられていて、それが事実と同じか違っているかについての情報はないが、映画の成功の要因の一つとなったことは確か。もう一つは、全部で10羽のカササギを使って撮影された、ごく自然な「ペンギン」の動き。CGで描かれたわざとらしい動物と違い、実に自然で、よく鳥にこれだけの演技をさせたものだと感心させられ、誰が観ても満足できる出来栄えになっている。

映画は、ブルーム家の長男ノアのナレーションで始まる。その中で、昨年の夏のバカンスで、ブルーム一家がタイに旅行し、展望台の柵が腐っていたため、母のサムが転落し、背骨を折ったため下半身麻痺となった経緯が説明される〔実際は、脊椎損傷〕。ノアは、その事故に責任を感じ、母から敬遠されていると思い、その孤独感から、浜辺で見つけた “巣から落ちてケガを負った” カササギに思いを寄せる。そして、羽の色が黒と白なので、ペンギンと名付け、母サムは反対したが、“巣立ちできるような大きさ” になるまで飼うことを許される。サムとペンギンは最初相性が合わなかったが、初めて2人だけになった時、気心が通じ合う。映画は、サムにとって断腸の思いの半身不随によるストレスが、ペンギンの初飛翔で、ある程度前向きに変わる。その後、ノアの祖母の家での食事会の際、一緒に付いてきたペンギンが、付近のカササギから縄張り侵入で攻撃されて姿を消したことが別の転機をもたらす。それは、ノアが抱いていた母の転落への罪悪感を母が知ってしまい、母はその誤解を解こうと心を開き、それがブルーム一家の再結集に結びついたこと。映画は、ペンギンが元気になって一旦戻って来て〔恐らく、感謝を込めて別れを告げるために〕、成鳥として飛び去っていくところで終わる。

ノア役は、グリフィン・マレー=ジョンストン(Griffin Murray-Johnston)。出演した映画はこれ1本だけ。情報は何もない。重要な役柄にぴったりのイメージ。

あらすじ

映画は、ブルーム一家〔両親と男の子3人〕の長男ノアが語り部となって始まる。海で泳ぐ母サムをバックに、「ママは海が好き。いつだって」と声が流れる。場面は、部屋の床に並べた写真入り額縁を、ノアが小型のビデオカメラで撮影している場面に変わる(1枚目の写真)。「ママとパパは、10代の頃ビーチで出逢った。それ以来、ずっと一緒」。ここで、額縁の写真の1枚が映るが、なぜかガラスは割れている(2枚目の写真)〔映画が始まって約1時間後に、この場面が再現される〕。次に3人兄弟の話になり、まず、自分が幼かった頃のビデオが入り、「これは、4歳の時の僕」。母と2人で遊ぶシーンが続き、映像を再生しているノアが微笑む(3枚目の写真)。そして、赤ちゃんの写真が2枚。「ルーベンは真ん中の弟。いつもうるさいんだ」。次いで 母に似た金髪の幼児の写真。「そして、オリ。ラッキーな末っ子」。そして、1年ほど前に撮影した一家5人の写真。「これが、僕たち。すべては、ほぼ完璧だった」。そして再び、ビデオカメラを見ながらノアが語りかける。「去年、あんなことが起きるまでは」。

ここで、バックの風景はタイのプーケット島に変わり、「僕らは、ディズニーランドに行きたかった。だけど、ママとパパは、そうしないでタイを選んだ」。そして、バスの一番前に立ったノアの映像のバックに(1枚目の写真)〔父が別のカメラで撮影している〕、「僕はタイが気に入った」。ホテルのプールで遊ぶ一家5人の映像。そして、プラチュアップキリカン(Prachuap Khiri Khan)〔バンコクの南南西約230キロ〕の繁華街で楽しそうに夜を過ごす一家。そして、母は展望台に上がって行く。父がカメラで風景を撮影し、ノアがコンクリートの手すりから海を眺めていると、突然何かが壊れる音がして、母の悲鳴が聞こえ、ノアが悲壮な顔で 「ママ!!」と叫ぶ(2枚目の写真)。そして、壊れた鉄パイプの柵が映る(3枚目の写真)。「去年なんか大嫌いだ」。そして、暗転。映画の題名が表示される。

ある日の朝、父キャメロンは、居間で遊んでいるルーベンとオリに学校に行く用意をさせそうと必死だ。誰も母サムを助けに行かないので、サムは、ベッドの窓側の横に設置された太くて円柱状の木の棒を両手で掴むと、それに捉まって体をベッドの淵に全力で近づける(1枚目の写真、下の矢印は木の棒、上の矢印は車椅子)。ここで、屋上で朝食(シリアル)を食べていたノアの語りが入る。「ママは病院でとっても怖がってた。だけど、そこじゃ、ベッドで身動きできないでいたのはママ一人じゃなかった」〔家に帰ると、動けなくて苦労するのはサム一人なので、孤立感が増す〕ママは、医者がT6(第6胸椎)と呼んでる部分で背骨を折った〔脊髄損傷がなければ、T6の骨折だけでは下半身マヒになる確率は低い〕。ママは、そこをブラジャーのヒモって呼んでた。そこから下は何の感覚もなかったんだ」。この頃には、キャメロンが部屋にやって来て、サムの上半身を起こし、両手で持ち上げて、真横に持って来た車椅子に移す〔サムは、木の棒で何をしようとしたのだろうか。窓辺にある車椅子には絶対に届かないので、ベッドから落ちるしかない→実際、45分くらい後のシーンでは、サムがベッドの下に落ちる〕。サムが車椅子に乗って部屋から出てきた頃には、子供たちは出発寸前で、サムがランチのサンドイッチを作ろうとして、円形の俎板からパンを全部落としてしまう(2枚目の写真、矢印)。それを見たノアは、「今日は、僕たちランチ買ってもいい? 金曜だし」と言う(3枚目の写真)。弟達は、「パイいいかな?」。「ソーセージ・ロールがいいや」と言い、サムは、全部落としてしまったので、 「いいわよ」と言うしかない。キャメロンは、「君は、家に帰ったばかりなんだ。そのうち良くなる。約束するよ」と慰め、子供達を車で送らないといけないので急いで出て行く。サムは、①何の助けにもなってやれない、②一人取り残された感じが強い、ことで将来に悲観する。そして、そのうっぷんを晴らしためか、テーブルの端に置いてあった自家製の蜂蜜入りのビンをワザと落として割る。そこに、同じ町に住んでいる母ジャンがやって来て、元気付けようとするが、不機嫌でやる気のないムードは変わらない。

週末、ノアは海で泳ぐ(1枚目の写真)〔泳ぐシーンはここだけ〕。そして、海岸で弟達と遊んでいると、鳥の鳴き声が近くで聞こえる。何だろうと思ったノアが、音のする方を見た場面が2枚目の写真(矢印は、カササギの幼鳥)。ノアは茂みに近づいて行き、中を覗き込み、カササギの幼鳥を見つけると、「やあ、今日は」と声をかけ(3枚目の写真、矢印)、手を伸ばしてカササギを撫でながら、「大丈夫かい?」と訊く。そして、真上を見上げると、そこに大きな木があったので、そこから落ちたに違いないと思う〔このあらすじをほぼ書き終った時、カササギについてネットで見ていたら、「国天然記念物「カササギ」(通称、カチガラス)の保護について」という、佐賀県白石町のホームページが目についた。国の天然記念物という点で、まず驚いた。次に、「佐賀県鳥として親しまれている「カササギ」のヒナは、4~6月が成長と巣立ちの時期ですが、巣から落下する例が毎年多く見られます」と書かれていた。この映画のように、巣から落下するのは良くあることなのかと、これも驚いた〕

幼鳥を編んだ籠に入れて家に持ち帰ったノアに対し、サムは 「そのままにした方が良かったかもね」と、否定的な意見を言うが、ノアは、「この子〔she〕、きっと死んでたよ、ママ。高くから落ちたから」と言って庇う(1枚目の写真、矢印)。キャメロンは 「水分補給をしたらどうだ」と言って、コップに水を持って来る。サムは、「獣医に診てもらった方がいいわね」と、あくまでも飼うことに反対する。ノアはコップに入ったスポイドで、嘴の中に水を入れ、弟達は、「男の子だと思う、女の子だと思う?」。「ここに、カササギの性別は1年経たないと確定しないと書いてある」と積極的に話す。しかし、最初から、「『she』と “三人称単数主格女性” 使っていたノアは、「女の子だよ」と断定する。キャメロンも、それに同調して、「この子〔she〕には、名前が要るな」と言うと、常に消極的なサムは、「ダメよ カム〔キャメロンの愛称〕。名前はやめて。ここには、心配することが山ほどあるんだから」と反対する。しかし、その直後に、ノアは 「ペンギン〔実際の発音はペングィン〕」と言う。カササギなのにペンギンと名付けるのは奇妙なので、キャメロンは、「ペンギン? なぜだ?」と訊く。「この子〔she〕、黒と白だから」。「そうか、分かった」。ここで、2人の弟が、シマウマ、スカンク、パンダ、魔術師の杖、チェス盤、サッカーボール、タキシードの名を挙げるが、ノアは、もう一度、「ペンギン」とくり返す(2枚目の写真)。カササギを見つけ、家に持ち込んだ 年上の兄の言うことなので、それで決定する。真夜中になると、ペンギンが、寂しそうに鳴いたので、ノアは懐中電灯を持って籠を取りに来ると、自分の部屋のベッドの下に置き、撫でてやる。「時々、何が起きたのか信じられないことがある」(3枚目の写真)「それは、僕たちからママが奪われたのと似ている。ママは僕たちと一緒にサーフしたり、スケートしたり、砂浜でサッカーしたりしてたのに」。

翌日の朝、ノアは、ペンギンの餌となる小さなミミズを捕りに行く(1枚目の写真)。しばらく経つと、屋上にペンギンを入れた籠を持ってきたノアの周りを、2人の弟がハンドル付きスケボーでぐるぐる回っている(2枚目の写真)。弟の1人が、ペンギンの白い液体状の糞がノアの手に付いているのを見て、「オムツが要るね」と言っても、ノアは、「構わないよ」と問題にしない。ペンギンがミミズを食べなかったので、キッチンに行ったノアは、虫の上から生卵を1個割り入れてフォークでかき混ぜる。それでも食べてくれなかったので、籠に入れて居間に連れて行く。すると、お腹が空いたペンギンが、鳴き声をあげて食べ物を要求する。ノアは、「ママ、ペンギンが話しかけてるよ。なぜ、この子が嫌いなの?」と訊く(3枚目の写真)。「その子は、野鳥よ。だから、ここにはずっといられない。でしょ?」。その返事が気に入らなかったノアは、ペンギンに向かって、「ほら、ペン、体力を取り戻さないと」と言って、指で小さなミミズを持って嘴の上に持って行く。でも、食べてくれない。ノアは、「ネットで見たように、虫なんかいれて作ったのに」と、ペンギンに向かって文句を言う〔ネットで見てみたら、カササギの幼鳥がカラ団子(ドイツやスイスで冬になるとスーパーやドラッグストアでもよく売っている 野鳥の餌/ラード、小麦粉、パン粉、砂糖、場合によりヒマワリの種等を混ぜて使ったボール状の丸い野鳥の餌)を食べている写真があった。ミミズや虫や玉子は間違い〕

そこに、カメラマンで生計を立てているらしいキャメロンが帰ってくる。そして、サムの頬にキスすると、「調子はどう〔How are you〕? 痛みはどう? 1から10で?」と尋ねる」。サムは、「大丈夫」と答える。その後、キャメロンは子供達に向かって、そして、夕食は フィッシュ・アンド・チップス〔イギリス料理〕をビーチで食べようと提案し、子供達は大喜びするが、サムは行きたくないと断る。まず、2人の弟と父が部屋を飛び出して行く(1枚目の写真、矢印はノア)。その時、ノアは、サムの消極的な態度をじっと見つめてから、3人の後を追う。次のシーンは、ビーチでの夕食が終わり、サムを車椅子からベッドに戻すためにキャメロンが準備していると、サムが、「あんな質問、子供たちの前で二度としないで」と責めるように言う。キャメロンは、とっくに忘れているので、「どんな質問?」と訊く。「調子はどう?」(3枚目の写真)「あの子たちに、嘘をつきたくないの」。「OK」。

弟たちを追って砂浜に出かけたノアは、ペンギンと遊びながら、頭の上の崖の木々を見上げる(1枚目の写真)。その木々に向かって飛んで行く親鳥を見て、ペンギンに向かって 「ママが恋しいかい?」と尋ねる(2枚目の写真)。そして、尖塔のように細い巻貝〔Turritella communis?〕を見つけると、「オリ、この貝 ママにあげて」と言って渡す。そして、夕方が近づくと、キャメロンと一緒に簡単な食事を丘の上で食べる。弟達は、海で拾った牡蠣も食べ、ペンギンにも食べさせようとする(3枚目の写真)。

その夜、サムは、ルーベンが 「パパ!」と呼ぶ声目が覚め、隣で眠っているキャメロンを起こす。キャメロンが、声のするトイレに駆け付けと、床の吐瀉物で足を滑らせる。そこでは、ルーベンとオリが床に座ったり膝をついていて、床一面に2人が吐いた物が流れ、ルーベンはまだ便器に向かって吐いている。キャメロンはその後始末に追われ、騒ぎを聞いてやってきたノアがそれを見ている(1枚目の写真、右端がノア)。キャメロンは寝室に戻って来ると、「牡蠣のせいに違いない」と言い、サムの寝ている向きを180度変える。サムは、「あの子たち、いつも私を呼んでたのに。ママにもなれない私って、いったい何なの? もう自分が嫌いになるわ!」と悲しがる(2枚目の写真)。その悲痛な声を、壁越しに聞いたノアは、平然と聞いているように見えるが〔監督の演技指導が悪い〕、内心は耐えられないハズだ(3枚目の写真、矢印はペンギン)。

なぜ、耐えられないかが次の “過去のシーン” でよく分かる。「毎年2,000万人以上がタイでバカンスを過ごす。だから、他の2000万人の誰かに これが起きたかも。つまり、このフェンスに触ることができた他の手は4000万本もある。柵はできてから15年。壊れた可能性は、5475日ある。でも、柵はママを待っていた」。そして、救急車で搬送されるサムが映る。そして、問題の展望台に、「こっちだよ、ママ。僕が見つけたんだ」と言いながら、ノアが階段を駆け上がり、サムがそれについていく(1枚目の写真)。「ママを あそこに連れて行ったのは僕だ〔この罪の意識が、ノアのトラウマになっている〕。父が、山側の柵にいるノアを映していると、反対の、サムがもたれた海側の柵が壊れ、サムが落ちていく(2枚目の写真)。ノアは、あらすじの2節目と同じように悲壮な顔で 「ママ!」と叫び、そのあと、柵から下を見た映像が初めて映る(3枚目に写真)。

翌朝、弟2人がキャメロンと一緒に車に向かうのを待っていたノアは(1枚目の写真)、サムの部屋に行き、「僕の代わりにペンギンの世話してくれる? まだ、ちゃんと食べてくれないんだ」と頼む(2枚目の写真)。サムが 「OK」と言ったので(3枚目の写真)、ノアは籠を居間に持って来ると、「バイ、ペン」と別れを告げ、待っている3人の車まで走って行く。

ノアがいなくなると、ペンギンは、寂しくなったのか、連続して鳴き声を出し始め、音量も次第に大きくなっていく。耐えられなくなったサムは、枕を頭から被るが効果はなく、鳴き声がヒステリックになり始めると(1枚目の写真)、ついに決意して、木の棒につかまって上半身を起こし、「お黙り!!」と叫ぶ。声の頻度は1秒に2回ほどになり、サムは木の板をベッドに引き寄せると、その上に乗って、車椅子に滑り乗る。次のシーンでは、車椅子に乗ったサムが居間に入って来て、ペンギンに、ノアがそのままにしておいたミミズを食べさせようとするが、当然食べない。サムが諦めて去って行くのを見ると、一時静かになっていたペンギンが鳴き声を頻発し始めたので、サムはTVを点けて音を最大にし、鳴き声を打ち消す。しばらくそうしていて、居間に戻ると、籠の中にいたペンギンの姿がない(2枚目の写真、矢印)。サムはTVを消すと、「鳥?」と呼ぶ。鳴き声がノアの部屋からする。サムがノアの部屋に行くと、今度は居間に戻り、棚に上がると、置いてあった壺を2つ落として割る。ペンギンが次に行ったのが、自家製の蜂蜜の瓶が数十個置いてある金属の棚の横。急に騒がしい声が聞こえたので、サムが言ってみると、ペンギンが床にこぼれた蜂蜜の上で、蜂蜜だらけになって暴れている〔また、瓶を割った?〕。サムは、ペンギンを床から拾い上げると(3枚目の写真、矢印)、横に置いてあったタオルを持ってキッチンに行き、テーブルの上に敷くと ティシュで蜂蜜を拭き取ってやる。このシーンで、サムとペンギンは仲良しになったように見える。その時、車の音がして、1人の女性が玄関まで来ると、「サミー!」と呼ぶが、サムは隠れて姿を見せない。女性は、持って来た花束と夕食の包みを玄関の外に置いて立ち去る。

その日の夕食は、さっきの女性が置いて行ったラザニア。子供達には大人気。キャメロンが、「新しいレシピ?」と訊くと、「ブロンが持ってきてくれたの」と答えざるをえなくなる。「彼女、どうだった?」。これには答えようがないので〔まさか、隠れていたとは言えない〕、サムは、「オリ、学校どうだった?」と訊いて誤魔化す。一方、ペンギンは、ノアの部屋から 彼の好きな縫いぐるみを引っ張って廊下に出て来る。それを見たノアは、「それ、僕のマーフィー君だよ」と言いながら立ち上がり(1枚目の写真)、ペンギンとマーフィーを籠の中に入れてやる(2枚目の写真)。そして、サムに向かって、「ペンギン、いていい?」と尋ねる(3枚目の写真)。他の2人も、それに賛成する。サムは、さっき仲直りしたので、「その子〔She〕が強くなるまで」と言ってくれる。その理由は、野生の鳥なので、「閉じ込められたくないでしょ」という常識的なもの。

ここから屋外でのペンギンとの交流シーン。「幼鳥は、母鳥が歌う夢を見るって、書いてあった。そうやって、歌い方を覚えるんだ。母鳥が飛び方を教える夢も見るんだろうか?」。ここで、ノアは、ペンギンの前で腕をバタバタして見せる(1枚目の写真)。それから 恐らく1~2週間後、「ペンギンは強く、大きくなったけど…」という言葉と同時に、もう幼鳥ではなくなったペンギンを前に、ノアがギターを弾く場面になる(2枚目の写真)。「…飛ぶことはできなかった」。窓辺で本を読むノアの膝の上から(3枚目の写真)、ノアを飛び越えて枕まで行くのが精一杯。「たぶん、僕たちが飛べなかったから」。その後も、ノア以外の家族と常に一緒のペンギンの様々な姿が映る。「翼があるのに飛べないというのは奇妙なことに違いない」。

ある日、家に、母のジャンと、妹のカイリーがやって来る。しばらく会話が続いた後、ジャンが、「あなたが最後に外出したの、いつ?」とサムに尋ねる。カイリーが、「お医者さんは除いて」と付け加える。サムは何も答えないが、表情は一度もないという感じ。そこで、ジャンとカイリーが結託して、サムを外でのランチに強く誘う。断りきれなくなったサムは、3人で、海岸近くのオープン・カフェに出かける。そこに病院の看護婦のブロンともう1人の女性がやってくる(1枚目の写真)〔サムがタイに行く前まで、サムとブロンは一緒に看護婦として働いていた〕。ブロンが、「この前〔1~2週間前〕、会いに行ったのよ」と言ったので、サムは、花とラザニアのお礼を言った後、理学療法に行っていたと嘘をつく。なぜ、サムがブロンを避けたがるのかは分からないが、2人に無理矢理外出させられて、しかも偶然ブロンと会ったことは、サムにとって大きな心理的負担となった。そして、家に戻った時、誰もいない居間で、壁に飾られた多くの額入り写真に映った “健康だった頃の自分” を見ると、急に悲しくなり、そのうちの1枚に向かってマグカップを投げつける(2枚目の写真、矢印)。そのあと、棚の上に写真立てはすべて床に叩き付け、次にデッキブラシの柄の先端で額を壁から外して床に落としたり、額のガラスを突いて割ったりする(3枚目の写真)〔中央の写真は、あらすじの最初の節の2枚目の写真〕

すべての破壊行為が終わった後に、父と3人が居間に入って来て、その惨状にびっくりする。父は、子供達をシャワーに行かせると、破壊された壁に近寄り、「私たちがやったことのすべて」と言ったあと、「そうか、分かった。君が望んでるのは… 君自身を消し去ること。君が誰だったかを。でも、君はまだ君だよ、サム」と優しく付け加える。しかし、サムは、「もう、私じゃない」と固執し、額の写真に映った過去の自分を、「それは他の誰かよ」と指摘する。夜になり、ノアは、自分の部屋でノートパソコンを立ち上げ(1枚目の写真)、自分がまだ小さかった頃に父が映したビデオを見る。そこには、母と手をつないで灯台に向かって歩いていく自分が映っていた(2枚目の写真)。ノアは、吸いつけられるように、その映像を見続ける(3枚目の写真)〔この灯台は、後でも出て来るが、シドニーのパームビーチの先端にあるバレンジョイ灯台(Barrenjoey、1881年に造られた歴史的建造物)〕

同じ日の夜かどうか分からないが、サムがベッドで横になっていると、ベッドの上にペンギンが乗ってきたので、手鏡で1人と1羽を入れて見てみる(1枚目の写真、矢印はペンギン)。そして、恐らく翌朝、家の中で、ペンギンが窓の前を歩き回っているのを見たサムは、「外に出たいの?」と訊く。そして、ドアを開け、一緒に外に出て行く。ペンギンは、すぐに木の枝の付け根に飛び移り、歩いて枝の上の方に登って行く。それを嬉しそうに見ている背後に、いつの間にか、カメラを持ったキャメロンがいる。サムは、「ほら、飛んで」と声をかけ、ペンギンは飛ぼうとするが(2枚目の写真)、そのまま地面に飛び降りてしまう。サムは、「次こそね」と笑顔で言い、その時、背後で、シャッターを押す音が聞こえる。サムが振り向くと、キャメロンがじゃがんでいた(3枚目の写真、矢印はカメラ)。キャメロンは立ち上がると、「違うことを試したらどうかな」と言って、1枚の紙を渡す。そこには、「試してみよう カヤック」と大きく書かれ、上の方には、「経験は問いません/フィットネスに最適/カヌー・ツアー/パドリング練習」と書かれ、下の方には、「初心者に最適な1時間の試乗コースをお試しください」とある。「本気なの?」。「水が好きだろ」。「分かってないわね」。

その時、子供達はノアの部屋にいて、部屋の中に戻ってきたペンギンがノアの膝に乗っている(1枚目の写真、矢印はペンギン)。そこに、カヤックが発端になった口論に火がつき、大声での喧嘩がノアの耳にもストレートに入ってくる(2枚目の写真、矢印はペンギンに食べさせていたリンゴ)。両親の口論が嫌いな2人の弟は、窓から逃げ出す。サムは、口論に終止符を打つため、寝室に入ってバタンとドアを閉める。すると、ペンギンは廊下の突き当りにある寝室までトコトコと歩いて行き、ドアの中に入りたがっているように、ドアの下をつついて何度も鳴く。ノアがドアが開けると、中では、車椅子から床に下りたサムが、ベッドに這い上がろうと必死になっている。ノアは、やったことがないので、サムが言う通りに努力するが(3枚目の写真、矢印はサムの左肩)、結局失敗し、サムは枕の上に頭を乗せた形で仰向けに床に横たわる。

その姿をじっと見ていたペンギンは、天井まで飛び立つと、そのままドアから飛び出し、廊下を飛んで行く(1枚目の写真、矢印)、開けっ放しになったキッチンの引き戸から そのまま空に舞い上がる(2枚目の写真、矢印)〔サムが言った 「次こそね」 の通りになった〕。それを見たキャメロンは、寝室まで走って行き、サムを助け起こして車椅子に乗せる。屋上では、さっき逃げ出した弟達が、飛び上がって喜んでいる。そして、最後には、キッチンの外にノアと母と父、その上の屋上に弟2人が並ぶ形でペンギンに声援を送る(3枚目の写真、矢印はノア)。

“やればできる” のを目の当たりにしたサムは、カヤックを試すことにする。そして、約束の場所で待っていた指導員の女性ガイと握手する(1枚目の写真)。ガイは、「キャメロンの話では、あなたは凄いサーファーだとか」と言う。「だったの」。「それに、看護婦。それに、ママ。この悪戯しそうな子供たちを見る限り、公園を散歩するような生易しいものじゃなかったわね」と言って笑わす。次のシーンでは、岸から1mほどの所に浮かんだカヤックにサムが乗り、カヤックが転覆しないようキャメロンが押え、ガイがやり方を指導する(2枚目の写真)。ガイが、最初にしたことは、パドルの動かし方。それができるようになると、少し沖に出て〔深さは20cmくらい〕、1人で漕ぐ練習をさせる。そして、ガイに言わせれば、「レッスンで一番大事なところ」にくる。それは何と、ひっくり返ること。サムは最初、嫌がって反対するが、多分、かなり離れているので声は聞こえないハズなので、一体何が起きているのかノアは心配そうに見ている(3枚目の写真)。しかし、結局、静止した状態でガイが手を放し、サムが体を傾けると、カヤックは一気に逆転する。そして、胸から下が動かなくても、手でバランスを取れば体はきれいに浮く。

そして、サムの誕生日。ノアは、最初のカヤックの夜に戻ってきていたペンギンと一緒に朝の歯磨きをしている(1枚目の写真)。キャメロンと3人の子供達は、「ハッピー・バースデー」と言ってサムが横になっている寝室に入って行く。もちろんペンギンも一緒だ(2枚目の写真)。ベッドの上でひとしきり暴れて遊んだ後、車椅子に乗って出てきたサムの身長を、ノアが柱にマークし、「かなり縮んだね、ママ」と言う(3枚目の写真)。ペンギンの高さも柱に付ける〔以前の倍になっている、以前がいつかは分からない(カササギは成長が早いので、数週間単位)〕

そうして、映画の冒頭と同じシーン。部屋の床に並べた写真入り額縁を、ノアが小型のビデオカメラで撮影している(1枚目の写真)。その中には、サムがデッキブラシの柄の先端で額のガラスを突いて割った写真もある(2枚目の写真、冒頭の写真と角度が僅かに違っている)。そして、その先が、冒頭にはなかった場面。ノアがサムの壊した昔の写真を、ビデオに収めているのを、そこにやって来たサムが見てしまったこと(3枚目の写真、矢印はサム)。サムは、「何してるの?」と訊き、ノアは、「何も。いつもやってること〔It's just a thing〕」と答える。「どんなこと?」。ノアは、「ちゃんとまとめておくから」と誤魔化す。

ノア達の祖母の家では、3人が入って祖母に抱き着き、父とペンギンもドアの所にいる〔サムは車椅子なので、その背後〕。そこには、当然、妹のカイリーもいる。ペンギンは、簡易シャデリアにとまり、テーブルに糞を落とすが、祖母は嫌がらずにきれいにする。最後の客は、カヤックのガイ。全員がテーブルに着き、誕生祝いの食事が始まる(2枚目の写真)。ペンギンが窓の所でじっと待っているのを見たノアは、席を立って、窓を開け(3枚目の写真、右の矢印は開いた窓の桟、左の矢印はノアの脚)、ペンギンを外に出してやる。

そのあと、サムと母の間で、母の攻撃的な会話が長々と続き、子供達はすぐにいなくなり、部外者のガイも何度か外そうとして止められる。その時、この場の主役の3人が映り、その中央に窓が見える。最初の、その窓から見たのはペンギン1羽だったが、そこに別のカササギが襲いかかって激しい争いになる(1枚目の写真、矢印)。その音に気付いたサムは、母の下らない言葉を止めさせ、隣のキャメロンに注意喚起する。そして、「あれ、ペンギン?」と訊く。さっそく、キャメロンとカイリーが席を立って外に出て行き、2階から下の芝生で争っている悪いカササギに向かって、「おい、ペンギンに構うな!」と怒鳴る。サムも窓ガラスを叩いて、「ペンギン!」と叫び、騒ぎに驚いて駆けつけたノアも、大声で叫ぶ。しかし、2階でいくら叫んでも、相手は人間ではないので、キャメロンは走って1階に駆け降りて行く。その間にも、悪いカササギはペンギンを突いて痛めつける(3枚目の写真)。争いの場まで駆け付けたキャメロンは、「このロクデナシ、ペンギンに構うな!」と怒鳴り、敵は逃げたが、困ったことにペンギンもいなくなってしまう。「ペンギン!」と、どれだけ呼んでも戻って来ない。辺りが暗くなり、雨が降り出しても、キャメロン、カイリーと3人の子供達はペンギンを探し回っていたが、ノアだけは、「あと5分だけお願い」と頼み込み(4枚目の写真)、ビーチまで探しに行く。その間に、オリが 「なぜ、あんなことしたの?」と訊くと、キャメロンは、「カササギは縄張り意識が強いんだ。そして、ここはペンギンの家じゃない。あいつらの縄張りなんだ」と教える。

ノアがいない間に、前回のビデオ撮影の件で気になっていたサムは、ノアのノートパソコンを開いて触ってみる(1枚目の写真)。すると、タイ旅行中に撮ったサムのビデオが流れ始め、ノアのナレーションが入る。「…(あの柵)他の日には壊れてればよかったのに」。そして、プラチュアップキリカンのホテルのパンフレットが映り、「でも、あの柵はママを待ってた。そして、ママをあそこに連れて行ったのは僕だった」。タイの病院での手術前と、後の写真(2枚目の写真)。「あの柵に寄りかかったのが僕だったらよかったのに」。そして、最後にノアが直接話しているビデオが流れる(3枚目の写真)。「背骨を折ったのが僕だったらよかったのに」。その言葉を聞いて、サムは強いショックを受ける。

翌朝になり、ノアは、最初にペンギンと出会った場所に行き、あの時、ペンギンが落ちてきたと思った大木を見上げる(1枚目の写真)。ひょっとしたら、そこにいるかもしれないと思って。キャメロンとルーベンが居間にいると、そこにノアがうつむいたまま入って来る(2枚目の写真)。あまりに悲観しているので、キャメロンが、「ノア、大丈夫か?」と声をかけても、窓の方を見たまま返事もしない。ルーベンが、「ペンギン、死んだと思う?」と訊くと、不適切な質問に、キャメロンは、「ルー、何を言い出す。ペンギンは怖がってるだけだ。ここまで帰る道をペンギンが見つけるのに、もう少し時間をあげよう」と言う。ノアの外を見つめる顔は、厳しいままだ(3枚目の写真)。

この映画でのクライマックス。そこに、サムが入って来て、心配して 「ノア?」と声をかける。キャメロンが 「彼は 大丈夫。彼は、ただ…」と言い始めるのを遮り、「ノア、あなたのせいじゃないのよ」と、ビデオを見たことによる発言をする。今回の件の話だと勘違いしたキャメロンは、「もちろん、君のせいじゃない」と言うが、サムは別の次元で話し続ける。「そんな考え方、止めるの。捨てないといけないわ。ペンギンはあなたのせいじゃないし、私の事故もあなたのせいじゃない」(1枚目の写真)。サムの事故を絡めた発言に、キャメロンは 「関係ない話を持ち出すのはやめたまえ」と批判するが、サムは、「ノアは、自分のせいだと思ってるの。そうでしょ、ノア?」と、質問をぶつける。ノアは、「どうして、その話をしないといけないの?」と言って立ち上がって、出て行こうとする。サムは、「そのことを話さないでいることに疲れちゃったからよ。お願いだから出て行かないで!」と、ノアを止める。ノアは、「ママは、僕のせいじゃないって言うけど、本気で言ってるんじゃないよね?」(2枚目の写真)。そこで、キャメロンが 「もちろん本気さ」と割り込むと、ノアは逆に、「パパは、何も知らないんだ!」と強く反発する。キャメロンがそれを、「なあ、もう十分だろ」と、何も知らずに抑えようとしたので、ノアはさらに逆上し、「パパは、ママが、どんな風に僕を見ているか知らないんだ!!」と怒鳴る。キャメロンが、「もっと穏やかに行こう」などと言ったので、今度はサムが、「黙ってて、カム!!」と怒鳴る。そして、ノアには優しく、「お願いノア、言いたいことがあったら、言ってちょうだい」と頼む。ノアは、ビデオで言っていたことを、遂に直接口に出す。「あの塔に登ったのは僕が悪いんだ。僕が考えたことだった。ママが背骨を折った原因は僕にある! ママ、幸せ?」。「いいえ、幸せじゃない。そして、時々、もう二度と幸せにはなれないと思うわ。でも、それはあなたのせいじゃない」。「じゃあ、どうして僕と話したがらないし、僕を避けてるの?」(3枚目の写真)。

サムは 「分からない。たくさん失敗してきたから」と言うが、それと重なるように、ノアが、「ママはいつもオリをハグしてる! 僕を見もしない!」と怒鳴る。「私、怖いの。怒りが一気に噴き出してしまうんじゃないかと、ただ怖いだけなの。あなただけじゃなく、全員によ。私自身、あなたカム。私、毎日、あの忌まわしい展望台に行ったことを後悔してるの! でも、行ってしまった。それは、私たちが決めたこと。あなたじゃない。あなたは何も悪くない。絶対に」(1枚目の写真)「悪いのは、古くなって腐った木よ〔コンクリートの柱の両脇に数センチの厚さの木の板が付けられ、そこに開けられた穴にステンレスのパイプが差し込まれていた(右の写真参照)。その木が築後15年で腐り、サムがもたれたことで、木が割れ、パイプが外れ、サムが転落した〕〔悪いのは木ではなく、そんなバカな構造にした業者〕「あなたに、そのことを理解させたり、乗り越えるのを助けられるほど、私が強くなかったの。ごめんなさいね」。それを聞いたノアは、涙を浮かべる(2枚目の写真)。「私は、あなたのママよ。同じママなの」。ノアはママを抱き締める。それを見て、泣いていた2人の弟と、反省したキャメロンがサムとノアを抱き締める(3枚目の写真)。

それからしばらくして、サムのカヤックはかなり上達している。ノアにとって残る心配は、祖母の家から姿を消したペンギンの行方だけ。サムが朝のインスタント紅茶を作って、それを飲んでいると、オリが、「バイ、ママ」と言って抱き着いてランチボックスをもらい、次にやってきたルーベンは、手だけパチンと合わせてランチボックスをもらう。サムが一番大きなランチボックスを用意していると、ノアがやってきてランチボックスを受け取り、顔の横にサムからキスしてもらい(2枚目の写真、矢印)、そのあと 抱き締められ、「よい一日を、ダーリン」と言われる。ノアは、「ママもね」と言うと、頬にキスする〔2人は一番の仲良しになっている〕。そして、再びカヤック(3枚目の写真)。ストップウオッチで速度を測ったガイは、サムの努力と熱意に満足した顔になる。

ある日、サムの頭にペリカンの換羽を拾っておいたものを帯状の紙に貼り付けた “王冠” を被せ、さらに、目にスカーフを巻き付けてから、外につれていってスカーフを外す。そこには、ガイと、彼女のピックアップトラックが停まっていて、屋根の上にはサムを運ぶための “開いたL字型” のマットレスが置いてある(1枚目の写真)。そして、キャメロンは、遠くに見えるバレンジョイ灯台を指して、「もし良ければ、あそこまで、フィッシュ・アンド・チップスを食べにいかないか?」と提案する。サムはOKする。次のシーンでは、車は現地に到着し、サムを乗せた “開いたL字型” のマットレスの四隅を、キャメロン、ガイ、カイリー、ブロンの4人で持って灯台に向かって歩いている。そそいて、灯台の近くの岩の上にマットレスを置き、海が見渡せる場所に座ったサムは幸福に満たされる(2枚目の写真、矢印)。横に座ったキャメロンに、サムは、「あの質問していいわ」と言う。「どの質問だい?」。「『二度としないで』 とあなたに言った質問よ」。そこで、キャメロンは 「調子はどう?」は訊く。返事は、「良くなったわ」(3枚目の写真)「ありがとう、カム」。2人はキスし合う。

暗くなりかけた頃、一家がガイの車で家に戻ってくると、ペンギンの鳴き声が聞こえる。キツツキの姿を見たノアは、「ペンギンだ」と言うと、弟たちも一緒に走って行く(1枚目の写真、矢印)。久し振りに家の中に戻ったペンギンに、その夜、一家は幸福に満たされる(2枚目の写真)〔1日に2回も〕。そして、翌早朝、ペンギンを頭に乗せたノアが映り(3枚目の写真)、最後の語りが入る。「ママはもう かつてのママじゃない。そして、それは、ママがなりたかった人じゃない。でも、僕にとって、ママはそんな次元を超えた存在なんだ」。

映画の最後。サムは、壁に飾る新しい額を多数用意し、最近の写真をはめ込んでいる。中には、当然、ペンギンの写真を入れた額もある(1枚目の写真)。サムはそのうちの3枚の額を手に持つと(2枚目の写真、矢印)、額用の壁の棚の上に置く。その中には、カヤックを漕ぐサムの写真、サムとガイが一緒に映っている写真、ペンギンの別の写真などもある。すると、ペンギンがノアの縫いぐるみを咥えて 廊下をトコトコと歩いてノアの部屋に入って行く。サムが、「ペン?」と言ってノアの部屋に行くと、ペンギンは縫いぐるみをノアの枕に寝かせると、そのまま開けっ放しの窓まで行き、外に飛び出す。サムがキッチンの引き戸から外に出て、「ペン?」と呼ぶと、ペンギンは庭の木の枝の上にとまってサムの方を見ている。そして、サムが近づくと、手の上に乗る。サムがペンギンの乗った手を上げて、「何なの?」「何がしたいの?」と声をかける。しばらくすると、ペンギンは飛び立ち、もう戻らない、独り立ちの飛翔を始める(3枚目の写真、矢印)。サムが、「ありがとう」と言い、一家の家があるパームビーチの全景に変わると、映画は終わる。暗転し、黒い画面に、「サム・ブルームは、世界カヤック選手権に出場し、その後、世界障がい者サーフィン選手権で2度優勝した」と表示される。その文字が消えると、「ペンギンはどこにいても、常にブルーム家の一員だ」。そして、「ブルーム家、ニューポート、2015年」という表示と一緒に、実際のブルーム家5人の写真が映る(4枚目の写真)。

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