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¡Salta! ジャンプ!

スペイン映画 (2023)

少年が主役級で活躍する手持ちのタイムトラベル映画には、『Time Bandits(バンデットQ)』(1981)、『Back to the Future(バック・トゥ・ザ・フューチャー)』(1985-90)、『An Angel for May(タイムトラベラー/戦場に舞い降りた少年)』(2002)、『The Butterfly Effect(バタフライ・エフェクト)』(2004)、『Minutemen(タイムマシン大作戦)』(2008)、『Miss Peregrine's Home for Peculiar Children(ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち)』(2016)、『Dark(ダーク)』(2017-2020)、『The Adam Project(アダム&アダム)』(2022)があり、本作は、日本未公開で、かつ、最新作。これらの中で、タイムトラベルによるバタフライ効果を積極的に取り上げたのは、『An Angel for May』以降。それらすべてが、過去を変えることで未来が良くなる結果となっている〔誰でも、逆は観たくない〕。時間移動の方法は様々だが、本作では量子力学の発達によりワームホールの実在可能性が証明されたのを受け、特殊な才能とか、偶然の現象、意味不明の装置ではなく、時間移動にワームホールが使われたのは、上記の中では『Dark』以降。

1989年のスペインの地方都市に祖母と兄オスカルと3人で暮らしている小学生のテオ。母は、テオがまだ小さい頃に行方不明になり、兄のオスカルは、母がワームホールを見つけて時空に迷い込んだと確信し、行方を見つけようと、母の書斎に残っている研究記録の入った資料箱を順に調べている。その兄は、近くの行きつけの小さな店の娘のエレナに憧れていたが、声をかけられずにいる。テオは、兄が、全部で26個もある箱を1から順に調べているのに閉口し、兄に内緒で最後の26番の箱の中から①母の映った写真と、②重要そうなメモを見つけると、①は胸ポケットに、②は10巻ある百科事典の中に急いで挟んで隠す。そして、①の写真の場所まで行くと、その場所(屋上)の下にはワームホールが存在した。そのことを兄に話しても信じてくれないので、テオは1人でこっそりでかけ、屋上から飛び降りてワームホールに入り、2022年の屋上直下の地面に現れる。そこには、中年になったオスカルがいて、①の写真を見せ、現場の屋上に連れて行くが、そこにあったのは、1989年→2022年に行くワームホールなので、戻ることはできない。オスカルは、大学で物理を教える科学者になっていて、テオが、重要そうな資料を百科事典に隠したと知ると、祖母が邪魔だと思って渡した相手〔“近くの行きつけの小さな店” の主人〕に、会いに行く。そこで出会ったのは、久し振りに会った、今はマドリードの大学で数学の教鞭を取っているエレナ。彼女は、2人の子供(姉と弟)を連れて、夏のバカンスで里帰りしていた。オスカルとテオはさっそく店主の家にエレナと一緒に行き、オスカルは②を見つけ出し、さっそくそこに書いてあった座標まで行くが、そこにはワームホールはなかった。一方、エレナは、ふとしたことから、テオが、33年前のテオ本人だと気付き、その後は、オスカルと一緒になって②の正しい解読法について研究する。研究は実り、多くのワームホールの座標が明らかになる。早く1989年に戻りたいテオは、夜、こっそり書斎に入り込み、最初に見つけた座標を紙に写し、翌日、エレナの2人の子供に頼んで、一緒に座標の位置まで連れていってもらう。そこは、海に面したダムの上だった。テオが、ここには1989年に通じるワームホールがあると言ってダムから海に飛び込むと、溺れてはいけないと思い、まず姉が、そして、1人取り残されまいと弟が後を追って飛び込む。そこは、1949年の海の中だった。3人は、半世紀以上前の町に戻ると、食い扶持を稼ぐために、2022年のワイヤレス・ヘッドホンを使って読心術師のマネをするが、警官がやってきたので、口笛で警告し、それがたまたま、当時の反フランコ政権派のゲリラの個人暗号だったため、町のパン屋で芸を見ていた男によって、山の中のゲリラの隠れ家まで連れて行かれ、そこでテオは、まだ若い頃の祖母に会う。一方、2022年では、オスカルとエレナが、いなくなった3人を探そうと、2022年→1989年へのワームホールを使って1989年に行くが、3人は当然そこにいなかった。しかし、どこにも戻れなくなったテオが、祖母と一緒に撮った写真に1949年と書き込み、若い祖母に、将来、必ず、その写真をよく見える場所に飾るよう約束したことで、オスカルの目の前で、壁に掛けられた写真が変貌し、3人は1949年にいることが分かる。そこで、オスカルとエレナは、1989年→2022年のワームホールで2022年に戻り、2022年→1949年のワームホールで1949年に行き、3人を助け出すと、2022年に戻る。そして、テオと2人だけになると、2022年→1989年のワームホールまで行き、永久の別れを告げる。1989年では、テオの失踪によって人生が狂いかけたオスカルの前にテオが出現し、2人は感激の再会を喜び、オスカルが、変人の科学者になることはなくなる。オスカルとテオは仲良く年を取って行き、2022年以後、エレナが離婚すると、オスカルとエレナは(多分)結婚する。しかし、時空に迷い込んだ母がどうなったのかは分からない。映画の本編が終わった段階では、続編は、若い2人による母の探索かと思っていたら、エンドクレジットの内容は、33年間も何もしなかったらしき兄弟に変わってしまい、拍子抜けしてしまった。プロデュサーには、続編を作る気はなかったに違いない。

映画では、3つの時代を行き来するので、写真の左側に、現在(1989年)は白色の縦帯、未来(2022年)は空色の縦帯、過去(1949年)は山吹色の縦帯を付けることで区別する。また、本編とエンドクレジットの冒頭部が終わった後の短いシーンは中世を思わせるので、3倍の幅の山吹色の縦帯にしておいた。最後の空色の縦帯はすべてのエンドクレジットが終わった後の「エピローグブリッジ」。時代にまたがって同じ登場人物が登場する場合は、名前を掲示しておいた。なお、字幕の翻訳には、正確なスペイン語字幕(95%)と意訳気味の英語字幕(5%)を使用した。

テオ役は、マリオ・サントス(Mario Santos)。生年月日不明。映画での設定は10歳。この映画に出演する前に、5つのTVドラマに出演している(すべて端役)。他に情報はない。

あらすじ

映画の冒頭、テオの住んでいるアパート群の広場で子供達がサッカーをして遊んでいる。中央には、ガリシア語で「ア・コルーニャ 1989年」と表示されている(1枚目の写真)。ア・コルーニャはガリシア州ア・コルーニャ県の県都。正方形に近い形のスペインの左上角、大西洋に突き出た先端にある人口25万人ほどの港町だ。ガリシア語は中世のレオン王国に由来するロマンス語。レオン王国の解体後は、現在のガルシア州とポルトガルに分かれたので、ガルシア語は、スペイン語よりはポルトガル語に近い。この映画の中でも時々使われている。この短いシーンのあと1番の主役の名と一緒に映るのが、レオのアパートにある母の書斎から、5番目の研究資料箱を取ろうとする “テオの兄オスカル” の手(2枚目の写真)。場面は再び広場に戻り、テオが、口癖の、「マラドーナ、右に蹴った! 素晴らしいシュート 勝利のゴール! ゴール、ゴール、ゴール…!」と叫びながらゴールを決め(3枚目の写真)、「ディエゴ・アルマンド・マラドーナ、ゴールを決めた!」と、みんなで喜ぶシーン(4枚目の写真)〔伏線〕。テオは、「じゃ、またね」と言うと、広場の隅で代わりに宿題をやってくれていた友達のとこまで走って行く。「最後の2つがまだできてない」。テオは 「十分だよ、サンティ」と言うと、宿題ノートの代わりに何かを渡し、急いで走り去る。

そして、アパートにいる兄に見つかるといけないので、アパートの外壁を登り(1枚目の写真)、2階の窓まで行くと、窓の桟の上を落ちないように這って進み(2枚目の写真)、そこから隣のベランダに登る。彼のアパートが何階にあるのかは最後まで分からないが、最後は自室の窓から室内に入り込む。しかし、登って来る時に両脚の膝を擦り剥いたので、洗いに行こうとドアを開けると、昼食(?)のサイドイッチを持って来た兄と真正面から向き合うことに。「何してた?」。「遊んでた」。足の傷を見た兄は、原因を推測し、「なんで そうなった? いつか死んじまうぞ」と言うと、宿題ノートとサンドイッチを交換し、宿題がほぼやってあったので、テオをトイレの便座に座らせ、オキシフルで消毒しながら(3枚目の写真、矢印は脱脂綿)、「お祖母ちゃんに叱られるぞ」と言う。

そのあと、母の書斎に閉じ籠って調査に没頭する兄に、テオが 「映画、観に行こうよ」と誘うが、「できない。忙しい」と断られる(1枚目の写真)。「夏休みじゃないか」。「小遣い使い果たしたから、僕を誘うんだろ?」。「今、どれやってるの?」。「5番目」。「こんなたくさんあるのに。最後からやるべきだ」。兄に無視されたので、「この前、お隣さんが何て言ったか知ってる?」と訊く(2枚目の写真)。「ママは、職場の人と逃げたんだって。その人、奥さんがいるとか。ホントかな?」。「なんてこと言うんだ。お前、バカか? ホントのハズないだろ。ママはワームホール〔時空の歪み〕を見つけて、時空に迷い込んだんだ。僕はママみたいな科学者になって、ママを見つけるんだ」(3枚目の写真)。「タイムトラベルなんかできないよ」。「そうか? 誰がそんなこと言った?」。「TVでやってたよ」(4枚目の写真)。「お前は何も分かっちゃいない。これは、誰かに宿題を頼むみたいに簡単なことじゃないんだ」。

暗くなって、兄がベッドに座っていると、祖母マリアが入って来てレジスタンス時代の口笛を吹くと(1枚目の写真、矢印)〔伏線〕、兄は、それとは知らずに吹き返す。祖母は孫が不満そうな顔をしているので、「何があったの?」と訊く。「もう我慢できないんだ」。「オスカル、あなたの弟でしょ」(2枚目の写真)。そこにテオがやって来たので、祖母が立ち、代わりにテオが座る。テオは、ヌイグルミを抱きながら、「一緒に寝ていい?」と訊くと(3枚目の写真)、兄が 「殴るぞ」と言ったので、2段ベッドの上の段に梯子で登る。

翌日、オスカルが、近くの行付けの店に行き、店の主人マヌエルから耳にタコができる昔話を聞かされていると、そこに、彼が密かに好意を抱いているエレナ〔マヌエルの娘〕がやって来て、「来ない? 人手が必要なの」と声をかける(1枚目の写真)。「何するの?」。「教区のお祭りよ。みんなでダンスをするの」(1枚目の写真)。他の女の子が迎えに来て、オスカルにはその気がなさそうなので、エレナは 「じゃあ、気が変わったら…」と言って2人ででかけ、父は 「楽しんで来いよ」と声をかける。かなり時間が経ってから、オスカルが通路を歩いていると、ダンスを終えた男女5人が向かい側からやってきて、エレナが 「ダンス最高だったわ。映画 観に行かない?」と誘う。しかし、その中にはテオがいて(2枚目の写真、矢印はテオ)、昨日同じように誘って 「できない。忙しい」と断られたので、「すっごく忙しいんだよね?」と声をかけ、それを聞いたエレナ達は 「さよなら」と言って去って行く。

別の日、兄が出掛けていないので、テオは母の書斎の扉をそっと開け(1枚目の写真)、中に入ると、前に言っていたように、一番最後の「26」と書かれた研究資料箱を取り出す(2枚目の写真)。そして、してやったりとほほ笑むと(3枚目の写真)、居間に持って行き、箱を床に置いて蓋を外し、中から文字がいっぱい書かれた “大事そうなメモ” を取り出すと、近くのガラステーブルの上に置く。そして、母が映った1枚のカラープリントがあったので(4枚目の写真、右の矢印が “大事そうなメモ”、左の矢印が “カラープリント”)、胸ポケットに入れる。残りの紙の一部は、紙飛行機にして遊ぶ。

すると、玄関のドアが開く音がしたので、テオは大急ぎで床に放り出した紙を箱に入れ(1枚目の写真、矢印は “大事そうなメモ”)、紙飛行機は手で握り、箱と一緒に持って左の廊下〔さらに左に曲がる〕に逃げ、兄が右側の廊下から居間に入って来る。そして、点いていたTVを消す。そして、辺りを見回してから、左の廊下から右に曲がる。すると、左の廊下の左にいたテオが居間に走り込み、手前右の端にある母の書斎に入って、「26」の箱を机の上に置くと〔棚に戻している時間はない〕、右の廊下に行き、兄は左の廊下から居間に入ってくる(2枚目の写真、矢印)。そこで、テオは、右手にあるドアの中に隠れる。兄が、母の書斎で何かしている音がしたので、テオはドアを開けて右の廊下に出ると、居間に入り、うっかり置き忘れた “大事そうなメモ” を手に入れる(3枚目の写真、矢印)。すると、兄は書斎を出て、右の廊下に入る。テオは、兄が来ると万事休すなので、棚にある百科事典集から1冊取り出す。その時、左の廊下の右側から兄が現われる。テオは大急ぎで、“大事そうなメモ” を膝の上に置き、その上に事典を乗せて隠す。その時点で、兄は、テオがアパートにいることに初めて気付き、「お前、いたんか? 何してる?」と声をかける。「何に見える? 勉強だろ」。兄が居間から出て行くと、テオは “大事そうなメモ” を開けていたページに挟み(4枚目の写真、矢印)、本を棚に戻す。

テオは、上にさっそく上着を羽織ると、アパートの周辺を歩き回り、母の写真に映っていた場所を見つけ出す(1枚目の写真、黄色の□)。そして、母が立っていた場所に座り込むと、バナナを食べ始める(2枚目の写真)。食べ終わったバナナの皮を屋上から外に放り投げると、変な音が聞こえる(3枚目の写真、矢印はバナナ)。そこで、すぐに立ち上がって下を見てみるがバナナの皮はどこにもない。そこで、屋上に放置してあった4輪のローラーシューズを拾うと、屋上から落としてみると、白い光の周りで空間が歪み、ローラーシューズが消えていく(4枚目の写真、矢印)。テオは、石や 羽織って来た上着まで落としてみて、すべてが消えることを確かめると、これこそ “ワームホール” に違いないと確信する。

テオは走ってアパートに戻ると、兄が、母の書斎の机の前で、出しっ放しになった「26」の箱を見て立っている(1枚目の写真)。兄が、箱を開けようとしたので、テオは、「開けない方がいいよ」と声をかける。兄は、それに構わず箱を開け、床に数個の紙飛行機が落とされる。テオは、「お願い、怒らないで」と言うが、振り向いた兄は、箱を投げ付ける〔外れる〕。そして、床に落ちた紙飛行機を拾い、拡げ始めるが、テオは、「そんなの放っておいて、すごいことが…」と止めようとするが(2枚目の写真)、兄に腕で押されて柱に叩きつけられただけ。そこで、今度は、テオが兄に襲いかかると、「ワームホール見つけたんだ!」と言うと、兄が拾った紙を掴むと、居間にいた祖母の後ろに逃げ込み、2人とも外出禁止を言い渡される。

それから何日後かは分からないが、夜になり、テオはバッグに必要なものを詰めると、ワームホールのある屋上に行く(1枚目の写真)。そして、思い切ってジャンプする(2枚目の写真、矢印の方向)。テオはそのまま落下し、ワームホールに入る(3枚目の写真、矢印の方向)。そして、33年後の屋上下の空間に出現し(4枚目の写真、矢印の方向)、そのまま舗石の上に落ちる(5枚目の写真)。矢印はローラーシューズだが、この時点では、観客にも33年後だとは分からないので〔数日後かもしれない〕違和感はないが、33年も落ちた所にそのまま残っているとは、いくらなんでもおかしい。

テオは、そのままアパートの窓から寝室に侵入する。2段ベッドの下段ではイビキが聞こえ、それに安心したテオは、上段に上がると安心して眠ってしまう(1枚目の写真)。翌朝、8時30分にスマホのアラームが鳴り、兄の指がスマホを取り(2枚目の写真)、アラームを消すと、そのままベッドから出て、部屋から出て行く。

そして、アパートの玄関を開けて外に出て来たのは、中年になった兄オスカル(1枚目の写真)。そのまま向かったのが、老いたマヌエルの店。マヌエルは、アスカルの祖母マリアから頼まれた野菜入りのダンボールを渡す。すると、その時、中年になったエレナがやって来て、「お久しぶり」と言い、老マヌエルは、「エレナを覚えてるかね?」と訊く(2枚目の写真)。驚いたオスカルは言葉も出ない。エレナから 「お祖母ちゃまは?」と訊かれ、「元気だよ」と、初めて言葉が出る。「それを聞けて嬉しいわ。私たち、夏を過ごすために着いたところなの」。オスカルは、「お帰り」と言い、マヌエルは 「こうして見ると、ほとんど数学の教授じゃな」と言う。「パパ、まだ教授じゃないわ」。「誰が、思いつくじゃろう。2人とも大学の先生になるとはな」。ここで、オスカルが 「私は休職中です」と言って、早々に別れる。老マヌエルは、彼の背中を見ながら、娘に、「あの子は人生に運がなかったんじゃ。祖母の世話をしているのを見たなら、いい人間だと分かるんじゃがな」と言う。

一方、アパートで目を覚ましたテオは、兄を探してTVの音が聞こえる方に廊下を歩いていくと、信じられないほど年取った女性がいたので、「祖母ちゃん?」と声をかける。その頃、アパートに戻ったオスカルは、キッチンに行き、冷蔵庫に野菜を入れている。すると、祖母の 「誰がいるか見てごらん」という楽しげな声に、レタスを持ったまま冷蔵庫から体を起こして祖母を見る(1枚目の写真)。そして、横に立っている33年前のテオに気付くと、そのまま気を失って倒れる。長椅子に横になったオスカルの意識が戻ると、テオが祖母に、「祖母ちゃん、マジで、これ誰? それに、どうしてそんなに老けてるの?」と訊いている(2枚目の写真)。さらに、「僕、色の幻覚を見てるんだ。これてTV? どこにボタンがあるの? 今は何年?」〔カラーTVの放送開始は、日本では1960年。1989年で、カラーTVを知らない方が変??〕。それを聞いたオスカルは、「テオ、今は2022年だ」と言うが、よく理解できないテオは、「よく分かんない。マジで、あんた誰?」と訊く(3枚目の写真、矢印はカラーTV)。「オスカルだ。君の兄さんだ」(4枚目の写真)。「僕、タイムトラベルしたの?」。「その通り」。

オスカルは、大学での専門がその分野なので、「すべてを話してくれ。どこにあり、どう機能するのか、すべてだ」とテオに頼む。テオは、いつもポケットに入れているカラープリントを兄に見せる(1枚目の写真、矢印)。兄は、その写真を見たことがあったが、調べるのを後廻しにしてしまったことを悔やんだ後で、「最近、僕は量子力学の多世界解釈に傾いており、君を見つけるのは不可能ではないにしても、非常に困難だと考えてた。正直言うと、君は分解したんだと思ってた。ありがたいことに、すべて間違ってた」と話す。テオは、「僕が分解しなかったことが分かったみたいだから、出てくよ」。「何だって? どこへ?」。「元の家へ。ここにいると、お祖母ちゃんに殺されちゃう」。そう言うと、テオは兄の制止を振り切って屋上のワームホールに向かう。しかし、兄が落としたボールは、跳ね返ってしまう。「まさか。ちゃんと動かないよ。どうしてかな?」(2枚目の写真)。「理にかなってる。出口からは後戻りできないんだ」。「どういうこと?」。「1989年に戻るには、別のワームホールを見つけないと」。

兄は、さっそくアパートに戻ると、母の書斎に入って行くが、テオがそこを覗くと、昔とは全く違い、壁面全体が黒板になっていて、オスカルの研究室に変貌していた(1枚目の写真)。兄は、「一つあれば、もっとあるはずだ」と確信を持ち、黒板にいろいろと式を書き始める。テオは、「ママのメモは、兄さんが探してものには役立たないの?」と質問する(2枚目の写真)。「メモって?」。「僕が、動かしたんだった」。居間にいったテオは、「ラルース百科事典はどこ?」と訊く。「もう誰も使わない。今じゃ、ウィキペディアがある」〔嘘のウィキペディアを信じるとは、いい加減な大学教員〕。「ラルースが要るんだ」。そこに、祖母のマリアが入ってくる。「何を探してるの?」。「ラルースだよ、お祖母ちゃん」。「マヌエルにあげたわ」(3枚目の写真)。オスカルは、さっそくマヌエルに会いに行こうとするが、祖母は、もう午後11時を過ぎているから、非常識な訪問はやめて寝るように説得する。

オスカルは、さっそくラルースを探しに行くが、テオに未来を見せたくなかったので、ベッドで仰向きになって眠っていたテオの真上に顔を出して、テオに 「ここから動くんじゃないぞ」と声をかけて、驚かせる。テオは、唇の上に指でバツ印を作る(1枚目の写真、矢印)〔“約束する” のサイン? スペインの手のサインのサイトを色々見たが、見つからなかった〕。オスカルは出掛けるが、途中でエレナがやって来るのが見えたので、180度向きを変えて引き返す。一方、テオは、約束など最初から守る気などないので、すぐにショッピング・モールに行き、33年前とは全く違う おもちゃ売り場に目を輝かせる(2枚目の写真)。テオが目を付けたのは、「一体型のバーチャルリアリティ・ヘッドセット」と表示されたMeta Quest 2。テオはVRヘッドセットを装着し、両手にTouchコントローラー2機を持ち、生まれて初めて見るリアルで、画面上の両手で好きなことができる世界に夢中になる。そして、ラケットでボールを打っていたのか、銃を撃ちまくっていたのかは分からないが、激しい動きをした挙句、横に置いてあったMeta Quest 2の箱を何個も突き飛ばして壊してしまう(3枚目の写真)。テオは、係員に 「両親は?」と厳しく問われる。次のシーンでは、レジにオスカルがいる〔説明が全くないが、結局、オスカルはエレナを見てアパートに引き返し、そこに、店から呼び出しがあったので駆けつけたのだろうか?〕。オスカルは、係員から、「子供が悪いのではなく、子供を放置していた人に責任があります」と言われ、壊れた3台のMeta Quest 2の代金を原価で請求され、その金額は1123.42ユーロ〔2022年の換算レートで約15万円〕(4枚目の写真、矢印はオスカルのクレジットカード)。

オスカルは、外の歩道を歩きながら、「家から出るなって言わなかったか? 出歩いてたら、もっと大きなトラブルに巻き込まれるぞ」とテオに文句を言う。「未来を見てみたかったんだ」。「送り返されるまで、茹でたジャガイモだけ見てるんだな」(1枚目の写真)。ところが、しばらくして、オスカルは、テオが自分の後ろにいないことに気付く。テオは、ショーウィンドーを笑顔で見ている。オスカルが戻ると、テオは、「デポル〔ア・コルーニャを本拠地としたサッカー・チーム〕がリーグ優勝? いつなの」と訊く(2枚目の写真)。そこは、スポーツ用品店の前で、ショーウィンドーのデポルのユニフォームの横には、「RC〔レアル・クラブ(王国杯で優勝したことのあるクラブ)〕DEPORTIVO〔デポルの正式名称〕/1999★2000〔スペインのサッカー・シーズンは、8月~翌年の5月〕」と、はっきり書いてある〔なぜ、「いつ」と訊いたのだろう?〕。結局、オスカルは、その店でデポルのチームカラーのスカーフを買ってやり、一緒にマヌエルの店まで行く。そして、店の前で、「やり方を変える。君は店の外で待ってろ。誰にも話しかけるな。何よりも、動くんじゃないぞ」と強く言い聞かせる。

オスカルが店に入って行くと、何も耳に入っていないテオも店に入って行く。オスカルは、さっそく、「あのね… お祖母ちゃんが、ウチにあったラルースをあなたに渡したの覚えてます?」と質問する(1枚目の写真、矢印はテオ)。「ああ、ずいぶん昔のことじゃな。彼女がどうしてもと言うんで もらったんじゃ。そのまま置いてあるよ」。「見せてもらえます?」。その時、マヌエルは、オスカルの後ろまでやって来たテオを見つけ、「何と、カッコいいスカーフじゃないか」と言ったので、テオは、オスカルの前に出ると、笑顔で、「リーグ優勝した時のなんだ」と 誇らしげに言う。「そうだ、坊や。その意気じゃ。今は、2部B〔セグンダ・ベー: トップが「1部」の20チーム、その次が「2部A」の22チーム、その下に「2部B」の80チームがある)〕のどん底じゃが、また戻ってくじゃろうて」。その、あまりになさけない言葉に、テオは、「2部Bって、どういうこと?」と驚く〔1977-79頃のデポルは2部Aだった〕。その表情を見て、マヌエルは、「何てこった! この子を見とると、思い出しちまう…」と言い始めたので、すかさず オスカルは、「El Cebreiro〔ア・コルーニャの東南東約130キロにある寒村〕の いとこの息子です」と嘘をつく。そこに、エレナが現われ、オスカルに 「今日は、元気?」と声をかけたので、テオは 「誰にも話しかけるな」の命令をまた破り、「エレナさんなの? 美人だね」と余分なことを言う(2枚目の写真、矢印はスカーフ)。エレナは、「どうして、私のこと知ってるの?」と笑顔で尋ねる(3枚目の写真)。「オスカルから聞いたから」。オスカルは、「それは僕じゃなく、君のパパじゃないのか?」と、墓穴を掘る〔そんな人物が、エレナのことを知っているハズがない〕。「あなたのパパは誰?」。マヌエルが、「El Cebreiroに親戚がおるそうじゃ」と言う。これ以上話すとヤバくなるので、オスカルは 「それで、ラルースは?」と尋ねる。

オスカルとテオは、エレナと2人の子供達が夏の間暮らすことになったマヌエルの家に連れて行かれる。エレナは、居間にいる2人を、「娘のアルバ、息子のパブロよ」と紹介し、ラルースの置いてある場所をオスカルに教える。オスカルは、直接訊けないので、「お祖母ちゃんは レシピをどこに挟んだって言ってたか、覚えてる?」と、別の物を探してしるフリをしてテオに訊くが、その時触った肩が、オスカルに “腕で押されて柱に叩きつけられた” 時に傷めた箇所だったので、テオはすごく痛がり、「オーバーだな」と言われると、「この前、僕を押したから、こんなに痛いんじゃないか、このバカ」と口汚く文句を言う。それを聞いたパブロは、「自分の父さんをバカって呼ぶの?」と訊き、アルバは、逆に、「自分の子供を殴るの?」と訊く。オスカルは 「殴ってない」、テオは 「パパじゃない」と言い、さらに、「彼はいとこだ」〔マヌエルには、“いとこの息子” と言った〕、「El Cebreiroから来た」と順に言う。パブロが 「それ、どこ?」と訊くと、答えに困ったオスカルは、テオに、「どこから見始めればいい?」と訊き、テオは、「Dから」と答える」〔テオは、百科事典全10巻の真ん中の辺りから適当に取り出した〕。これで、話が途切れたので、テオはパブロの横に座り、彼が手に持っているマイクラを見て、「それ、ゲーム機?」と訊く。「マイクラ〔3Dブロックで構成された仮想空間の中で、ものづくりや冒険が楽しめるゲーム〕知らないの?」。「すぐ覚えるから、やらせてくれる?」。それを耳に挟んだオスカルは、「ダメだ。やめとけ、ディエゴ・アルマンド」と言う。その時、居間に入って来たエレナは、「マラドーナみたいな名前ね」と言い〔マラドーナのフルネームは、ディエゴ・アルマンド・マラドーナ〕、食事していって、寿司を取るわ」と勧める。そして、テオに、「寿司好き?」と尋ねる。「それってなあに?」(2枚目の写真)。「寿司食べたことないの? あり得ないわ」〔FOOBALというサイトの2023年の記事によれば、「スペイン消費財企業協会が1000人以上のスペイン人を対象に調査したところ、スペイン人の45%が月に1回以上、寿司を食べていることがわかりました」と書かれている〕。オスカルは、母が書いたメモが挟んであるのを見つけると、話がこれ以上こじれる前に、「行くぞ」とテオに声をかける(3枚目の写真、矢印はメモ)。しかし、エレナは、“ディエゴ・アルマンド” には、しばらくパブロと一緒に遊ばせておき、オスカルに1人で出て行かせる〔その前に、連絡が取れるように、自分のスマホにオスカルの電話番号を入れてもらう/映画には映らないが、オスカルのスマホにも自分の電話番号を入れたに違いない〕。テオとパブロが遊んでいると、オスカルからエレナに電話が入り、それを聞いたエレナは、テオに、「あなたのいとこは、すぐ来いって言ってるわ」と伝える。すると、アルバが、「アレクサ、いま何時?」と訊き、「午後6時半です」という女性の人工的な声が聞こえ、テオはびっくりする。その顔を見たアルバは、「何なの? あんたアレクサ〔クラウドベースの音声サービス〕も知らないの?」とバカにしたように訊き、エレナにたしなめられる。エレナは、田舎から出てきた子が、ちゃんとアパートまで行けるか心配なのでテオを車でアパートの前まで送って行く。

テオがチャイムを鳴らすと、オスカルはすぐにドアを開け、「びっくりするぞ、信じられないことに、カシミール効果〔量子物理学の用語で、“真空の力の差” を意味し、負のエネルギーを発生させ、安定したワームホールの維持を可能にする〕が使われてるんだ。もしかしたら、ママも見つかるかもしれん。すごいことだ」と、嬉しそうに話すが、テオには難しい用語などに興味ゼロで、「すごいのは、今のビデオゲームだ。ツイッチはクールだし、ユーチューブも大好きだ」。オスカルも、テオの話は無視し、「物理学によれば、過去に戻ることは不可能だって知ってたか?」〔古典物理学では負のエネルギーは存在しないので不可能だが、量子物理学では負のエネルギーが存在するので可能〕と、“訊いても無意味な質問” をし、さらに、「2つのホールが連動し、一方のホールの入口が、君を未来に送るべく加速したんだ」と、何が起きたのかを説明した上で、「誰かが意図的にやったはずで、それを見つける方法も残されている」と付け加える(1枚目の写真、矢印はメモ)。最後の部分はテオにも理解できたので、「ママのメモは有効? 家に戻れる?」と訊く(2枚目の写真)。オスカルは、試すための球を渡し、2人はオスカルが探し出した “過去へのワームホール” に向かう。

オスカルがテオを連れて行った先は、片側3車線の広幅員道路に架かる横断歩道橋の上(1枚目の写真)。テオはさっそく球を落とすが(2枚目の写真、矢印)、球は中央分離帯の上に落ちただけ。橋の上に座り込んだテオは、同じく座り込んだオスカルに、「別の橋じゃないの?」と訊くが、オスカルはメモを見ながら、「これらはGPS座標〔緯度と経度〕で、ここを示してる」と言う。アパートに戻ったオスカルは、黒板の半分ほどを消してしまい、新たな式を書き始める。それを見ながら、テオは、「ねえ、オスカル。友だちいる?」と訊く。「大学の同僚かな」。「ホントの友だちって感じしないね。彼女もいないの?」。「僕には、やるべきもっと重要なことがあるって分からないのか? 家に帰りたいか、帰りたくないか?」。「エレナとは、もう友だちじゃないの?」。「僕が、いつエレナの友だちだった? エレナは君の友だちだった、他のみんなと同じように」。その話を聞いたテオは、オスカルが黒板に夢中になって書いている隙に、スモホからエレナに、オスカルの名でメールを入れる。

その結果、オスカルがドアを開けると、予期せぬ来客が玄関に勢ぞろいしていた(1枚目の写真)。オスカルの、“来客を迎えるには相応しくない服装” を見たマヌエルは、「早く来過ぎたかな」と言い、エレナは、「今でしょ? コーヒーのこと」と訊く。それでもオスカルが戸惑っていると、背後からテオが、パブロに 「ゲーム持って来た?」と訊く。「君が選べるように、幾つか持って来たよ」。この街には友だちがいないパブロにとって。テオはちょうど良い遊び仲間だ。その後、2人がゲームで遊び、その背後のソファにマヌエル家の3人が座り、一人用のイスにはオスカルの祖母が座る。祖母が、手土産にマヌエルが持って来たクッキーの箱から何個も自分の皿に撮ったので、オスカルは、「お祖母ちゃん、そんなに取らないで」と注意する。祖母が 「あたしを飢えさせたいのよ」と、マヌエルに不満を言うと、エレナは 「あなたのお孫さんは、砂糖の取り過ぎを心配してるのよ」と、オスカルを庇う。すると、祖母は、「あれは孫じゃない。あたしの孫はあっちのテオじゃよ」と言う(2枚目の写真)。困った発言に、オスカルは、「ディエゴ・アルマンドだよ、お祖母ちゃん」と注意して、その場を繕う。しかし、今度はマヌエルが、「狂気の沙汰なんだが、実は、あの子を見れば見るほど、思い出させるんだ…」と言い始め、エレナに制される。一番端に座ったアルバが ルービックキューブを触っていると、それを見たテオが、「オスカルは、小さい頃、それ上手だったんだ」と、うっかり言ってしまい(3枚目の写真)、オスカルは、「君のお父さんがそう言ったんだろ?」と、再度失言を繕う。

つまらないコーヒーの会に、アルバは我慢できなくなり、出て行きたいと言い出す。エレナは、アルバをバーゲンセールに連れて行く約束をしていたので、テオも一緒に連れて行く。親切なエレナは、テオにもバーゲンの服を買おうと、数枚の半袖シャツとスボンを選び(1枚目の写真)、一緒に試着室に行く。最初の1枚を試した後で、2枚目を試着させていると、カーテンの向こうから、「マラドーナ、右に蹴った! 素晴らしいシュート 勝利のゴール! ゴール、ゴール、ゴール…! ディエゴ・アルマンド・マラドーナ、ゴールを決めた!」という、懐かしい叫び声が聞こえてくる(2枚目の写真、黄色の文章はスペイン語の叫び声)。こんなことができるのは、テオしかいないので、「テオ?」と声をかける。「どうかしたの?」。その様子は、子供頃のテオそのものだったので、「まあ、テオじゃないの」と言い、「こんなこと、ありえない!」と言いながら、イスに座らせ、「なぜこんなことが可能なの?」と言いながら、抱き締める(3枚目の写真)。テオは、「母さんが調べていたワームホールに入ったんだ」と言い、エレナは 「まさか、そんな」と驚く。そして、「大丈夫なの?」と訊く。「あんたよりマシだよ。だって、すごく年取ってるだろ」。「私たち、2歳しか違わないのよ、このガキ」。

エレナは、オスカルに会いに行き、オスカルはテオも連れて、屋上のワームホールに連れて行く。エレナは、「他に知っている人いる?」と訊く。オスカルは首を横に振る。「私、ただの理論上の推論だと思ってたわ」。「本当のトコは、他の奴らと同じように、僕が狂ってると思ってたんだろ?」(1枚目の写真)。エレナは、照れくさそうに 「正気の沙汰じゃないって」と言う。そして、「どうして他に誰も見つけなかったのかしら? 足場を組んでる時にでも…」と言うが、オスカルは、「きっと、そこを通過する際に、質量の最小加速度が要求されるんだ。高い所にあるのは、偶然じゃない」と言うと、球を取り出し、「ここにあるのはホールの出口だけ」と言って、屋上から球を落とすと、球は歪んだ空間に跳ね飛ばされる(2枚目の写真、矢印は球の向き)。「入口は?」。「1989年」。その先の説明は、恐らく映画の創作。「ソーン〔Kip S. Thorne〕は、2つのリンクされた量子ホールについて論じている〔不明〕。そのうちの一つが、戻ることを可能にするんだ」。オスカルは、なぜこうしたことが分かったかについて、「僕の母は、絡み合った多数のホールの一覧をメモに書いておいた」と説明する。「だから、できたのね。でも、うまくいかない」。「考えられるシナリオは3つ。普通のやつ、悪いやつ、最悪のやつ。普通のやつでは、ホールが移動してる。どのくらい、そして、どうしてかを調べないと。悪いやつは、もう一度ゼロからやり直さないといけない」。「最悪のやつは?」。「戻るホールなんかない」。2人は、アパートのオスカルの書斎に行き、オスカルは横断歩道橋の上のホールの位置を計算した時の式をエレナに見せる。数学の准教授をしているエレナは、式の中の「マイナス」記号を指し、「プラス」じゃないとおかしいと指摘する。結局、シナリオは4つで、“良いやつ” があり、それだと、正しい場所に行けば、ちゃんと戻ることができると分かり、オスカルは笑顔になる。一方、2段ベッドの寝室では、テオが、オスカルが子供の頃からクローゼットに入れて保管しておいたダンボール箱を出して、エレナについて来ていたパブロに見せる。その時、パブロは、時々話に出てきたテオについて、「テオって誰?」とテオに訊く。アルバはすかさず 「死んだ人」と言う。テオは、「死んだんじゃない。消えたんだ」(3枚目の写真)と本当のことを言うと、生意気で、常に自分はクールだと思っているアルバは、「どうでもいいけど、だから、オタクはバカなのね」と、テオを誹謗する。

オスカルとエレナは、夕方になるまで書斎で話し合う。その中で、テオを返す時の手順になり、エレナが、「ホールの場所をチェックしたら、すぐにテオを送り返すのね」と言うと、オスカルは、ホールを念を入れて確かめたいと言い、それを聞いたエレナは、「あなた、彼に戻って欲しくないのね」と、変わった視点を投げかける。「そういうことじゃないんだ。僕が望まないのは、急ぐことだ。急ぐ必要もない」と、否定してみせるが、「じゃあ、もし僕が彼に戻って欲しくなかったら? 僕にだって、もう少し楽しむ権利があるよね?」と訊いてみる(1枚目の写真)。エレナの返事は簡単で、「ここは彼の居場所じゃないわ。日が経つごとに、彼には危険が増していく。もしホールが動いたら? それとも閉じたら? それに、彼が戻ったら、あなたの過去のすべてが変わるでしょ」。その重要な言葉を受けて、オスカルは、「もちろん、あなたは知らないし、想像もできないだろうが、一体何度思ったことか… もしテオが姿を消していなかったら、あるいは、もし母親がいたら、僕の人生はどうなっていただろうかと。少なくとも、すべてのことに罪悪感を覚えながら成長することはなかっただろう。きっと、もう少し楽になっていただろう。そして、運が良ければ、好きだった女の子に、声をかけていたかもしれない」と、テオが戻れば、エレナと結婚する可能性を示唆する。エレナは、「そうね。現在は変わるかも」と言い(2枚目の写真)、この言葉に、オスカルは、「変わるとも」と力強く言うが、エレナの想いは全く違っていた。「本当のところ、私の人生が変わるとは思わないわ… すべて知った上で、もう一度生きたとしても」(3枚目の写真)。これには、オスカルもがっかりする〔この映画で、タイムパラドックに言及される唯一の場面〕

その夜、オスカルの書斎に侵入したテオは、計算用紙に書かれていた座標を内緒で転記する(1枚目の写真、矢印)。そして、翌日、アルバとパブロを呼び出すと、座標を書いた紙を見せ、「ここに行かないと」と言う(2枚目の写真、矢印は座標を書いた紙)。「GPS座標ね」。「そんなの分かってるよ、でも、どう行けばいいか知ってる?」。「もちろん」。「僕が正しいと分かったら、オスカルに謝れよ。オスカルは正しいし、オタクでもない」。「あんたが間違ってたら?」。「僕たち、3日間、あんたの奴隷になるよ」。ここで、いきなり “僕たち” と言われたパブロが、「なんで僕を入れるの?」と反対するが、「僕ら、チームだろ」の一言で終わり(2枚目の写真)。アルバは、「1週間よ。あんたたちは、1週間、私の奴隷になること」(3枚目の写真)。3人は街の中心近くの海沿いの道を、郊外に向かって歩き始める。

そして、3人は、テオが紙に書いたGPS座標に到達する(1枚目の写真)。映画はちゃんとア・コルーニャで撮影されていて、2枚目のGoogle mapの航空斜め映像の矢印のダムのような場所が、3人が座っている場所。どちらかと言えば、かなり危険な場所だ。テオは、そこから、いろいろな角度に持って来た石を投げ始める。すると、何個目かに投げた石が、ホールに入って行く。テオは、「そこだ、見つけた」と喜ぶ。パブロが、「何 見つけたの?」と訊くと、テオは 「そこに、1989年につながるワームホールがある。僕、そこから来たんだ」と言い、それを聞いたアルバは、「あんた、オタク以下ね。あんたたち、1週間、私にへつらうのよ、奴隷として」と笑顔で言う。テオは、「僕はジャンプするぞ。1989年に来いよ。どっちが賢いか分かるぞ」。そう言って飛び込む〔ここで奇妙なのは、海に飛び込んだ時の音が聞こえること。それにどうやら、姿も消えてないらしいこと。テオは1989年の海に着水したので、2022年にいる2人には聞こえなし、姿も消えたハズ。姿が消えてしまえば、怖くなって後に続かないので、敢えてこうしたのかも?〕。アルバは、テオが溺れないように飛び込み、パブロは、最後まで悩んでいて飛び込む。いち早く砂浜に辿り着いたパブロが、2人を振り返ると、海の対岸には それまで見えていたビル群がなくなり、何もない丘が広がっている(3枚目の写真)。テオは、誇らしげに、「1989年にようこそ」と言う(4枚目の写真)。

アルバとパブロが出掛けたまま帰ってこないので、エレナからオスカルの電話がかかってくる。「オスカル、子供たちと一緒?」。「いいや。君と一緒じゃないのか?」(1枚目の写真)。「ううん、探したけど どこにもいないの。アルバのスマホもつながらない。あなた、どこにいるの?」。「ホール〔1989年に戻る〕が機能するか、確認しにいくところ」。「ホール? ホテルにあるやつ? まさか、テオ、その情報つかんでないわよね? 今、そっちに行くわ」。やがて、エレナの車がやって来て、「どのホテル?」と訊く。「ホテルになる予定だった」。一方、テオの方でも問題が起きていた。1989年よりは遥かに昔だった。きっとテオが訊いたのだろうが、そこは1949年だった。「フランコに対する武力でのレジスタンス: 1939-1965」(https://libcom.org/)によれば、1939年はスペイン内戦が終了し、フランコの独裁政権が樹立された年。そして、反フランコゲリラの全盛期は1946年から1947年。その後は、フランコ政権との親善回復を目指した国際的な枠組みの中で、ゲリラ活動は徐々に衰退し、1952年に終焉を迎える。ということは、1949年は、全盛から終焉の中間期にあたる。アルバは、テオに、「あんた1989年だって言わなかった?」と責める。テオは、「座標がいっぱい書いてあり、真っ暗で、オスカルに捕まりそうになった。誰だって間違えるさ」と弁解。パブロ:「なら、家に戻ればいいじゃん」。テオ:「それが…」。アルバ:「どうやって戻るか知らないんだ。こいつバカタレね」。アルバはスマホを取り出すが、当然、反応しない。アルバは警察に行こうとしたので、テオは、「ET観てないの? モルモットになりたいの?」と止める〔『ET』は1982年の映画なので、1989年のテオが真っ先に例として挙げてもおかしくはない〕。「なら、どうするの?」。「ちょっと考えさせてよ」。

すると、パブロがパニックを起こし、おまけに、「お腹が空いた」と言い出すが、この時代のお金もない。そこで、取り敢えず、テオは、アルバのヘッドホンが動くことを確かめると〔彼女の長い髪に隠れて、ヘッドホンは外から見えない〕、「紳士淑女の皆さん、男の子も女の子も、読心術のプリンセス・マラドーナの類いまれなショーをご覧あれ!」と言って走り回る(1枚目の写真)。ある程度観衆が集まると、アルバの脇に立ち、彼女からは見えないように、地名を書いた木の板を観衆に見せる(2枚目の写真、矢印は盗んだ服を着たアルバ)。アルバは、如何にも徐々に感じ取っていったように見せかけて、「セビリヤ」と正解を言う〔木の板に書いた文字が見える場所に座ったパブロが、アルバのワイヤレス・ヘッドホンに、マイクを使って小声で正解を教える〕。40人ほどの観衆から拍手が起きる(3枚目の写真、矢印は木の板)。木の板に地名を書くのは、観衆の役目。だから、アルバが次々と当てていくと、拍手はますます大きくなる。

ショーが終わると、テオがお金を集めて回る(1枚目の写真、右の矢印はテオ、左の矢印は、この先重要になる人物)。すると、アルバは、通りの向こうから警官が2名やって来るのが見える(2枚目の写真)。それを見たアルバは、口笛で警告する(3枚目の写真、矢印)〔ここが、一番の謎。①そもそも、なぜ、アルバは口笛を吹いたのか? ②一番の問題は、特殊なゲリラの暗号の口笛をなぜ知っていたのか〕。それを聞いたテオは、アルバと一緒に逃げ出す〔なぜ、テオは、それが警告を意味すると知っていたのか?〕。観衆の中に混じってショーを楽しんでいた男は、実はゲリラの一員で、警告の口笛が吹かれたので、子供たちがゲリラと関係があると思い、追いかける。

一方、工事途中で放棄されたホテルに行ったオスカルとエレナは、中央の吹き抜け空間の真上まで行き、オスカルが玉を落とすと、ホールが出現する(1枚目の写真、矢印)。2人は、手をつないで吹き抜けの縁に立つと(2枚目の写真)、覚悟を決めて飛び降りる〔今までで一番高いので、ホールがなければ確実に墜落死〕。2人は、懐かしい空間に辿り着いたが、建物の柱には、テオの顔写真のついたポスターが一杯貼ってある(3枚目の写真、矢印)〔写真の上部には、「捜索にご協力ください」、下部には、「行方不明」と、いずれも赤い字で書かれている〕。これで、このホールが確実に1989年に2人を導いたことが分かる。

テオたち3人は、先ほどのゲリラの一員に捉まり、バンに乗せられて山岳地帯に連れて行かれる。アルバが、「どこに行くの?」と訊いても無視される(1枚目の写真)。そのあと、車から降ろされ、道なき道を歩かされていると、テオは、「僕たち、どこに連れて行かれるのかな? 怖いよ」と言い出す。アルバが、「あいつに従うしかないでしょ」と言うと、「君たちを 連れてくるんじゃなかった。めちゃくちゃにしてるだけなんだ」と反省する。すると、パブロが、「1人だけでいるより、僕たち3人でいる方がいいよ」と慰め、意地悪だったアルバも、「もちろんよ。私たちチームでしょ?」と笑顔で力づける(2枚目の写真)。そのうち、3人は、ゲリラの小グループが隠れている岩場に辿り着く。先導してきた男は、仲間に 「マリアはどこにいる?」と尋ね、「奥の右手」と教えられ、岩の隙間に入って行く〔ここで大きな疑問。マリアというのは、テオの祖母なのだが、テオは祖母の名前など男に言わなかったのに、男はなぜマリアだと特定したのだろう? テオが祖母と遊んでいる時に何度も聞いた祖母の口笛が、マリアを示す暗号だとしても、映画の中で、1949年に来てから、口笛を吹いたのはアルバだけ。これも後から分かることだが、3人をここに連れて来た男は、実はオスカルとテオの祖父。あまりに偶然すぎる点はさておき、エレナやマヌエルの一族はゲリラとは無関係。なぜアルバがマリアの暗号を知っていたのかは永遠の謎〕。3人を連れて奥に入って行った男に対し、このグループの隊長は、「なぜ、その子たちを連れて来たんだ?」と詰問する。「暗号を知っていて、町で使ったから」。「ゲリラの子供たちか?」。パブロ:「いいえ、エレナとホセです」〔2022年のパブロの両親〕。「だけど、彼に子供なんかいたか?」〔一般的な名前なので、1949年にも同じ名前の別人がいた〕。「いいえ」。「誰から暗号を聞いた?」。テオ:「暗号って?」。「口笛」。テオ:「お祖母ちゃんとの遊びだよ」。「これが遊びに見えるか? 君たちはここにはいられない」。アルバ:「いいわね、私だってこんなトコいたくない」。

そこに、「何が起きてるの? この子たちは?」と言って、若い女性が洞窟から出て来る。それを見たテオは、マリアだと思い、抱き着く。まだ、出産したこともないマリアは、誰だろうと思いつつ、まんざらでもない顔をしている(1枚目の写真)〔1989年で60歳、2022年で90歳くらいだったので、1949年では20歳くらい〕。このシーンはすぐに終わり、次のシーンでは、アルバがテオに、「お祖母ちゃんが、ゲリラとして戦ったこと、どうして知らなかったの?」と質問している(2枚目の写真)。「一度も話さなかったから」。「お祖母ちゃんに、あんたはあんたで、私たちを助けてくれって、どうして言わないの?」。「バタフライ効果知らないの?」(3枚目の写真)〔映画『バタフライ・エフェクト』は、2004年の公開なので1989年のテオが観ているハズはないので、ここでは、学術用語としてのバタフライ効果を指しているのだろう。「非常に小さな出来事が、最終的に予想もしていなかったような大きな出来事につながる」ことを意味する言葉。この言葉は、気象学者エドワード・ローレンツが1972年に行った講演 『ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスでトルネードを引き起こすか』に由来している。でも、彼がなぜそんな専門用語を知っているのかという点は、疑問として残る〕。「それが、どうかしたの?」。「僕、母さんのトコに帰りたいから。オスカルは必ず僕らを見つけてくれる。彼は頭が超いいんだ」。

その頃、“頭が超いい” オスカルは、エレナと一緒に33年前のアパートに入って行く。てっきり、3人ともアパートにいると思ったエレナは、「アルバ? パブロ?」と呼ぶが、返事は全くない。オスカルは2段ベッドの寝室に行き、クローゼットを開けてテオの服を懐かしそうに触っていると、そこに、「みんな、ここにはいないわ」と言いながらエレナが入って来る。その時、玄関のドアが開く音がする。オスカルは、エレナを引っ張ってクローゼットに隠れる(1枚目の写真)。すると、そこに入って来たのは、若い頃のオスカル。下段のベッドに横になると、泣き始める(2枚目の写真)。それを見た未来のオスカルは、かつての悲惨だった頃の自分を思い出し、クローゼットの中でも泣いてしまう。若い頃のオスカルがベッドで眠ってしまうと、クローゼットから出た未来のオスカルは、ベッドの近くまで行き(3枚目の写真)、「すべてうまくいくよ。約束する」と囁く。

その頃、オスカルより “頭が超いい” テオは、マリアに写真を撮ってくれるよう、すがるように頼む。結果的に、マリアはイングラムM6という短機関銃〔1949~52年に生産されアメリカ国内、キューバ海軍、ペルー陸軍で使われたとあるので、スペインのゲリラは持っているのはおかしい〕を持って格好つけ、その下に3人の子供を座らせ、記念写真を撮ってもらう(1枚目の写真)。テオは、出来上がった写真の一番下に、「1949年7月」とペンで書くと(2枚目の写真、矢印)、マリアに 「この写真をあなたの家に飾るって約束してもらえる? そこか、よく見える場所に」と頼む。「いいわよ。戦いに勝った後でね」。「誓って」(3枚目の写真、矢印はHoughtons社のEnsign Rangerカメラ)。アンナは誓う。

その頃、アパートを出ようとしていたオスカルは、壁に掛けられた若い頃の祖母マリアの写真が、だんだんと白くなっていくのに気付く(1枚目の写真)。額の中に何もなくなると、今度は別のものが現われ始め、その時、エレナも何事か見に来る。2人の目の前で、額の中には、1949年7月とサインの入ったマリアと3人の子供達の写真が出現する。オスカルは、年号の部分を指し、「話してないけど、僕の弟は天才だ」と称える(2枚目の写真)〔これは、観客を狙った上手な演出。バタフライ効果により、未来Aから未来Bに変わる瞬間を描いている〕

オスカルとマリアは、映画では映らないが、屋上のワームホールから2022年に行き、海岸のダムのワームホールから1949年に行く。予め、テオが教えておいたので、2人が1949年の海から現れると、そこには、機関銃を構えたゲリラが待っていた。オスカルは、ゲリラの口笛に対して、祖母の口笛で応え(1枚目の写真、矢印)、これで身元保証が完了する。2人は、さっそく山岳地帯に連れて行かれ、子供たちと感激の再開を果たす。夕方、2人だけになると、オスカルはテオを、「家に帰りたくてたまらなかったから、さよならも言わなかった」と責める。「何も考えずにやっちゃった」。「少しは考えないと。そして、他の人の意見にも耳を傾ける」。「『他の人』って、オスカルのこと?」。オスカルがそうだと頷くと、テオは、「ごめん、オスカル。もう二度と離れない」と言うが、オスカルは、逆に、「いいや、来た所に帰るんだ」とはっきり言う。「帰りたくない。パブロとアルバが好きなんだ」。「2人とも、すぐマドリードに帰っちゃうぞ」。「ワッツアップがある。それに、僕たちママを探さなきゃいけないよね?」。「2022年には、君は存在しないんだ。学校にも行けないぞ」。「代わりに教えてよ」。「医者にもかかれない」。「書類の偽造はお祖母ちゃんがやってくれるよ」。「クラスでスポンジ・ボブが何なのか知らないのは君だけ、なんて嫌だろ?」(2枚目の写真)。「面倒くさがらないで。オスカルを二度と一人にはしないから」(3枚目の写真)。「1989年の僕を一人にしないで欲しい。君が必要なんだ」。「どういう意味? いつも僕を無視してたじゃない」。

子供達3人と、オスカルとエレナはバンに乗せられて、ゲリラの隠れ家に別れを告げる。その時、マリアがやって来て、テオに、「お祖母ちゃんの面倒をよく見てね」と言い、テオは、唇の上に指でバツ印を作る(1枚目の写真、矢印)〔以前は、すぐに約束を破ったが、今度は、本当に誓ったのであろう〕。すると、運転席にいた “最初に3人をここに連れて来た男” が、「マリア」と声をかける。「何?」。男は、丸いパンが幾つか入った籠を見せ、「これ、君の好物だよな?」と訊く(2枚目の写真、矢印)。マリアは、1個手に取ると、「私を甘やかすつもり?」と尋ねる。「願わくば」。手を振って美味しそうにパンを食べているマリアを見たテオは、「ねえ、パン屋さん、何て名前?」と訊く。「俺か? お隣さん〔兄のオスカル〕と同じ、オスカルさ」。バンの後ろでは、パンがいっぱい入った籠の向こうで、アルバが、「どうなってるの?」と訊くと、エレナが 「あの人、2人のお祖父ちゃんなの」と教える(3枚目の写真)〔名前が同じだと、なぜ祖父になる?〕。オスカル〔兄〕は、パン屋に、「オスカル、あのパンはまだ残ってる?」と訊く。「もちろん。それなら、2、3個持っていけばいい。だけど、一度食べてみれば、二度と食べたくなくなるぞ」。5人が、どこのホールを使って1949年から2022年に戻ったかは分からない。次のシーンは、いきなり、パン屋から分けてもらったパンを、祖母に渡す場面から。包み紙を解いた祖母マリアは、中にあったパンを見ると、半世紀ぶりの再会に大喜び(4枚目の写真)。「私を甘やかすつもり〔Me vas a malacostumbrar〕?」と、以前と同じ言葉を言って、クリームパンを食べ始める。

オスカルは、テオを、工事途中で放棄されたホテルに連れて行き、「君が去ってから数週間経っているかもしれん。一度に全部を話すんじゃないぞ、少しずつだ。一番大事なことを言うのを忘れるな」と注意する。「分かってるって」。「寂しくなるな」。そう言うと、オスカルは、「大好きだぞ、ちっちゃな弟」と言うと、二度と会えないと思ったテオが抱き着く(2枚目の写真)。2人の抱擁は長く続き、オスカルは、「もう行くんだ」と悲しい別れを告げる(3枚目の写真)。

1989年の夏、オスカルが、暗い顔をしてアパートの前の広場を歩いていると、突然、歩みを止め、笑顔に変わる(1枚目の写真)。オスカルの正面にいたのは、同じように笑みを浮かべたテオだった(2枚目の写真)。2人は走り寄りと、渾身の力で抱き合う(3枚目の写真)〔オスカルの喜びの方が遥かに大きいに違いない。バタフライ効果で、これ以後のオスカルの人生は、2022年にテオが出会った時の “世捨て人”、“はみ出し者” 的なものとは全く違ったものとなるであろう〕

アパートに戻ったテオは、祖母に、“突然いなくなった理由” を、兄が大切に飼っていた亀が連れ去られたから、追いかけていったら、麻薬中毒の男に捉まったと嘘を話し、祖母に叱られる。そのあとで、母の書斎の前に行くと、兄が研究資料箱を床に放り出している。大事な資料なので、テオは、「何をしているの? バカじゃない? やめなよ!」と止めるが、やめないので、「箱は大事なんだ、オスカル!」と名前を呼んで制止する。オスカルは、「みんな嘘だ! 亀は出て行きたいから去ったんだ。お前は、そう感じたから去ったし、ママも僕たちを捨てたんだ」(1枚目の写真)。それに対し、テオは、「ママは僕らを捨てたんじゃない」と間違いを訂正する。「何も聞きたくない」。ここまで来て、テオは初めて真実を口にする。「オスカル、僕は未来に行って来たんだ」。「ふざけるな」。「信じないんだろ? 待ってて」。テオは、未来から持ち帰ったカバンからスマホを取り出し、「見てよ、これは未来のオスカルから盗んだんだ」と言って兄に渡す。「これは、電話、カメラ、レコード・コレクションなんだ。今じゃ、それがうまく機能しているとは思わない。インターネットがないからね。だから、ママの箱はそのままにしておくんだ。ママは僕らを見捨てなかった。単なる数学の間違いのせいなんだ。もし捨てちゃったら、ママは絶対見つからない」(2枚目の写真、矢印はスマホ)。「じゃあ、ママは見つかると思う?」。「いい? そう簡単じゃないんだ、ワームホールがいっぱいあるから。だけど、オスカルは凄い科学者になるんだ。それに、僕が女の子との話し方を教えてあげる。でも、エレナのことは忘れた方がいいからね」(3枚目の写真)「なぜかって、バタフライ効果のせいなんだ。未来のオスカルがそう言ってた。僕らは親だちになるんだ、オスカルと僕だよ。そして、デポルがリーグを制するのを一緒に見に行くんだ」。「おかしなこと言うなよ」。「きっと夢中になるよ」。

「だけどそれは、バタフライ効果のせいなんだ。未来のオスカルがそう言ってた。僕らは親だちになるんだ、オスカルと僕だよ。そして、デポルがリーグを制するのを一緒に見に行くんだ」。「おかしなこと言うなよ」(1枚目の写真)。「きっと夢中になるよ」。そして、2人は再び抱き合う(2枚目の写真)。ここで本編は終わり、エンドクレジットが始まる。

配役一覧が始まる前のエンドクレジットに、順番に写真が提示される。写真だけ、切り取って紹介すると、1枚目の左側は、1982年のママとオスカルとテオ〔このことは、1982年に母が消えたことを示唆している。赤いレザージャケットに着目〕。1枚目の右側は、1989年、ちょうど映画の時点でのテオとオスカル。2枚目の写真は、テオが 「僕が女の子との話し方を教えてあげる」 の約束に従って、オスカルにも彼女を与えた時の1990年の写真で、オスカル、彼女のピリ、エレナ、1人おいて、テオ。3枚目の写真の左側は、同じ1990年の祖母とテオとオスカル。3枚目の右側は、1994年のオスカルとエレナとピリ。4枚目の左側は、1999年の大人になったオスカルとテオ。4枚目の右側は、2000年のオスカルとピリとテオ。このあと、デポルがリーグ優勝した時の写真が、写真集の最後として提示される。

その直後の10秒弱のシーン。1982年の写真と同じ赤いレザージャケット〔襟の3つの金色のボタンが同じ〕を着た母が、突然、中世の僧院の3人の修道僧の前に出現する(大過去で唯一の写真)。母は 「おっと、間違えちゃった」と言う。そして、配役リストからエンドクレジットの最後までが表示される。

ここから、「エピローグブリッジ」としては異例の長さ(1分40秒)の2022年以降の映像が流れる。テオとオスカルはTVゲームに熱中している〔オスカルは科学者になるのを止めた?〕。ゲームに負けたテオは、「なんてこった、僕のゲームで、やられるなんて信じられん」と悔しがり、オスカルは 「もう一回どうだい?」と言うと、そこに現れたテオの息子〔恐らく、テオはピリと結婚した〕に、「君のパパは低調だ」と言い(1枚目の写真)、テオは、「おい、お祖母ちゃんを手伝わなくていいのか?」と追い払う。祖母は、「オスカル、タッパーはどこ? 食べ物、まだいっぱい残ってるわよ」と注意すると(2枚目の写真)、「私が山の中でゲリラだった時、無駄にする物など何もなかった」とブツブツ文句を言う。その時、玄関のチャイムが鳴る。テオは、「エレナに違いない。さっき店に行ったとき、彼女を見たから、コーヒーに招いたんだ。僕はディエゴ〔息子〕を彼女の子供たち〔アルバとパブロ〕に会わせたかったし、僕自身も2人に会いたかったから。彼女は離婚したばかりなんだ、言ったっけ?」。「君からじゃないが、どこかで聞いた」。オスカルが開けに行かないので、テオが 「どうした? 僕がやろうか?」と言うと、オスカルが立ち上がって玄関のドアを開ける。すると、そこにはエレナがいて、「オスカル、久しぶりね」と笑顔で言う(3枚目の写真)〔オスカルは、離婚したエレナと結婚するのだろうか? それにしても、母親の捜索は全くやっていないようだが、どうしてなのだろう?〕

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