アメリカ映画 (2017)
母を交通事故で亡くし、それ以来、無気力な状態が続く父と、キリスト教一辺倒で、息子や孫のことなど一顧だにしない祖母に挟まれて2年間を我慢してきた12歳のケイレブは、夏休みに入る1日前に、一つだけいいことがあった。それは、好きだけれど声のかけられなかったローズと、偶然だけどハイタッチできたこと。ケイレブには、1年生の時からの大親友ブレイクがいたが、学校の帰りに、彼が店に行っていなくなった時、別の店からカートに紙袋を4つ入れて出て来た中年の女性が、車のバックドアを開けたまま、店に財布を探しに行った時、昔、母がやっていた “簡単な親切” をやってみようと、紙袋を車に入れる。このことと、ダメ父が、2年間の無気力から解放されようと、勝手に、アトランタに引っ越すと宣言したことで、この町に留まりたいケイレブは、ブレイクと話し合い、幾つかの “叶うよう努力すること” をお互い出し合う。その時、ケイレブが挙げた主たる努力目標は3つ。①父が再び幸せになれるよう、新しい女性を見つけること、②ローズに好かれること、③母が誇りに思うようなことを始めること。そして、さっそく取り掛かったのが、③で、ケイレブはブレイクに助けてもらって、「THANK YOU CREW〔ありがとう・チーム〕」というチラシを町中に配り、参加者の募集を始めるが、ずっと待っていて訪れたのは、激励に来た2人… 父と、最初からその企画に好意的だったジェナ〔町に戻って来たシンガーソングライター〕だけ。しかし、最後になってやって来た、あこがれのローズが、親切運動を率先して始める。3人だったチームは、翌日、ローズが3人を連れてきたことで6人となり、その後も増え続ける。②と③が順調に進んだので、ケイレブは①の相手にジェナがいいと思い、ジェナが企画した “ありがとう・チームの全員にTシャツを贈るための募金集めコンサート” に父を無理矢理連れてくる。ヴィンテージ・カーが趣味の父は、ジェナの車に惚れこみ、2人は仲良くなり、ケイレブはホッとする。しかし、ケイレブの密かな企みに気付いた父はジェナに引っ越しの話をし、さらに悪いことに、クラスでケイレブの敵だった生徒が、「THANK YOU CREW」を否定する落書きをしたことで、①と③を失ったケイレブは、ローズに引っ越しのことを白状し、②も失う。そんな崖っぷちのケイレブを励ましたのはジェナ。ケイレブの “母の事故死に対する自責思考” を知った父は、妻の死後の2年間の自分の無作為と、それから逃げ出すための引っ越し願望を反省し、町に留まることにし、ジェナと友だちになり、ケイレブとローズの仲も元に戻って、ハッピーエンドで映画は終わる。映画の欠点は、キリスト教徒でない私にとって、キリスト教との接点が多過ぎること。あらすじでは、くどくなるので、出来る限りキリスト教に言及する部分の台詞はカットした。
主演の12歳のケイレブ役は、ニコ・クリストゥ(Nico Christou)。2003年5月22日生まれなので、2016年の5月以前の撮影とすれば〔公開は2017年6月1日〕、撮影時13歳。映画はこれで2作目。最初の出演は『Run the Tide』(2016)の準主役。演技はかなり巧い。
あらすじ
映画は、主人公のケイレブの 「すべては、僕のお祖母ちゃんの農場で、ママの誕生日に始まったんだ」のナレーションからスタートする。“農場” と言うには立派な館で、誕生会のパーティを開催する納屋も、簡単な作りだが規模は館より大きい。さしずめ、大農場とでも行った方がいいのかも。そして、誕生日のケーキを持って館から納屋に向かう祖母が映り、「これが僕のお祖母ちゃん、ライラ・バーンズ。僕は “ばっちゃん〔Gram(あまり一般的でない呼び方)〕“ って呼んでるけど、パパは “やっかい〔complicated〕” って(こっそり)呼んでる」。そして、広くてがらんどうの納屋でパーティが始まる。「チャーリーおじさんがいる。ホントの叔父さんじゃないけど、パパの一番の親友なんだ。パパはママと踊ってる」。“ママ” のマリアは 「あなたの可哀想なお母さん」と夫に言い、“パパ” のスコットは 「ああ、嫌々楽しんでる」と妻に言う。この短い会話と、通称の “やっかい” から、ライラがどんな女性か想像が付く。そして、ケイレブは、父の指示を受けて、「ケーキの時間だよ!」と叫ぶ。そして、集まった参加者〔なぜ、こんなに子供が多い?〕を前にして、スコットが長々と “妻と会えたことがどんなに幸せだったか” を語る〔少し異様/ライラのキツイ目が印象的〕。それが終わると、ケーキカットの場面はカット。10人ほどがイスで円座を作り、1人の女性が歌うのを聴いている、その際もライラの視線は冷たい。そして、誰もいなくなると、スコットはマリアを連れて作業場に行くと、リボンを付けた1969年型のシボレー・コルベット・スティングレー〔Chevrolet Corvette Stingray〕が置いてある。「外装が完成しただけ」と言うので、まだ動くわけではない。そして、その後に言ったスコットの言葉がよく分からない。「一文無しになって、ライラのゲストハウスに住む」「あとはライラに、冴えなかった仕事を辞めて、整備士になるって話す」。要するに、スコット夫妻とケイレブが住んでいるのは、ライラのゲストハウス? “一文無し”、“冴えなかった仕事” というのは、スコットが一家を養う能力のないダメ人間だということ? 映画は、この最も重要な部分を曖昧なまま放置して、観客にはっきりと伝えない〔この問題については、後で詳しく述べる〕。映画に戻り、スコットが妻に対し、「マリア、君は僕が愛するに値しない人間だった時、僕を愛してくれた。僕は、これからずっと、何をするにも君にありがとうと言うよ」と言うと、ケイレブが 「クールだね、パパ、気に入ったよ」と口を挟み(2枚目の写真)、父は息子に聴かれていたことに気付く。ケイレブが 「ばっちゃんの寝いす、すっごく硬いのに眠っちゃった」と言うと、遅れて入って来たライラが 「姿勢がよくなるんだよ。あんたが “せむし” になりたいなら別だけどね」と皮肉っぽく言うが、ケイレブは 「ばっちゃんって、面白いね」と笑う(3枚目の写真)。最後に、マリアがパーティのお礼を言うと、ライラは、「精神的な支え〔ちゃとした信仰心(それとも、愛情も…)〕なしに息子を育てたことを考えると、あれが私にできるせめてものことだった」と話す。
翌朝、ケイレブと父が家の前の芝生でアメリカン・フットボールをして遊んでいると、父が何度も悪送球する。そして、その理由として、父は 「お前のママと一晩中踊ってたからな」と言う。ケイレブ:「でも、その価値はあった、よね?」。父:「そうとも、あの素敵な女性のためなら、チームのWR〔アメリカン・フットボールのポジション〕に悪送球したっていい」(1枚目の写真)。その時、母がやってきて、「タイミングが悪いのは分かってるけど、ちょっと用事を頼める? パケットの店に行くだけなの」と訊く(2枚目の写真)。父は、「今かい?」と、不満そうに訊く。そこに、1人の黒人の少年が自転車でやって来る。「あれが、僕の大の仲よしのブレイクだ」〔しかし、実際には、「今かい?」とブレイクが来るまでの間に重要な会話があり、それが後で紹介される〕。ケイレブは母に 「ママ、最高だよ」と言って抱き着き、母は 「私があなたに夢中でラッキーだったわね」と言うと、1人で車に乗って出かける。
3人でアメリカン・フットボールをしていると、母が出かけて10分もしないうちに、パトカーと一緒にライラとチャーリーがやって来て、マリアの事故死を告げる(1枚目の写真)。ケイレブは、複雑な心境でそれを見ている(2枚目の写真)〔その理由も後で紹介される〕。
「二年後」と表示される。その先が、学校にいるケイレブの唯一のシーン。「ママがいないのはすごく大変だったけど、いいことも一つあった。ローズ・ホランドだ」。授業中、ケイレブの目線は 教師とは全然違った方を向いている。その先にあったのは、バラの花の髪飾りを付けた可愛い少女ローズ(2枚目の写真)。「だけど、ローズが好きだったのは僕だけじゃなかった」。そして、頑強そうな少年(カイル)が映る。教師は、これが夏休み前の最後の授業なので、夏休み中に何をするかを生徒に尋ねる。2人目に訊かれたカイルは 「筋トレ」と答える。「夏の間ずっと?」。カイルは、“gun show” という言葉を使って、ボディビルへの挑戦を示唆する。4人目がケイレブ。彼は、授業を聴いてなかったので、「何か いいことがしたい。うんといいこと」と自信なげに答える(3枚目の写真)。教師は、全員に向かって、「夏休みはとても特別な時間です。連続して74日間も自由にできるなんて、他にいつあるでしょう? 最高の夏にしましょうね」と言って授業を終える。
ケイレブとブレイクが廊下に出ると、さっそくカイルが、「さっき、彼女を見つめてたな。今度やったら、目玉を引っこ抜いてやる。痛いぞ」と脅す。ケイレブが 「ローズは君のガールフレンドじゃない」と反論すると、「時間の問題さ」と言う。そこに、ローズがやって来て、「やあ、みんな」と声をかける(1枚目の写真)。ケイレブは、すぐに振り向き、「やあ、ローズ」と笑顔になると、「ハイファイブ」と手を挙げ、ローズも、「OK、ハイファイブ」と言って、ハイタッチする(2枚目の写真)。
ケイレブが、店に入って行ったブレイクを待っていると、別の店からカートに紙袋を4つ入れて出て来た中年の女性が、SUVのバックドアに紙袋を1個入れた時、バッグに財布のないことに気付き、助手席に座っているケイレブより2歳くらい年上の少年に向かって、「ザック、財布を店に置いてきたみたい」と声をかける。しかしザックが耳にイヤホンをはめていたので、「すぐ戻る」と言って店に入って行く。それを見ていたケイレブは、カートに置いてあった3個の紙袋を車に運び(1枚目の写真、矢印)、バックドアを閉める。その、バタンという音でザックが気付き、「おい、何してる?」と訊く。ケイレブは、「君がすべきこと」と答える。その、少し生意気な返事に、車を降りたザックを見て、ブレイクが飛んできて仲介に入るが〔口だけで役立たず〕、そこにザックの母が戻って来て、「ザック、食料品を車に入れたの?」と訊き、ザックは 「そうさ」と答え(2枚目の写真)、すべては円満に解決する。
ケイレブとブレイクは、祖母ライラの家に向かう。「去年、パパと僕は、ばっちゃんのところに引っ越した」。2人が思い存分自然の中で遊んで戻ってくると、父が、話があると真面目な顔で言う。そこで、ケイレブは父と一緒に作業場に入って行き、向き合ってイスに座る。父は、いきなり衝撃的なことを告げる。「9月にアトランタへの転勤の提案があったから、受けるつもりだ」〔この父、どこかの会社に勤めていたようには見えなかったが…〕。この町を離れたくないケイレブは、父がこれまで嫌ってきた、渋滞、スモッグ、ファルコンズ〔アトランタのフットボール・チーム〕を挙げて反対するが、父は、「ケイレブ、頼むよ相棒、辛いのは分かるが、それがベストだと思う」と、行くと決めたら反対は受け付けない(1枚目の写真)。「そんなの、どこかベストなの? あっちじゃ誰一人知らない。こっちじゃ、みんな知ってる」(2枚目の写真)。「そう、それなんだ。私には、新たなスタートが必要なんだ」〔息子のことなんかどうだっていい〕「みんなから前に進めと言われ続け、過去 2 年間ずっとそうしようとしてきた。だが、(同じ所を)走ってるだけ。何とか抜け出さないと」〔やる気がない〕。ケイレブは、「ママは大きな決断をする時は、祈りなさいといつも言ってたし、この町を愛してた、だから、きっと僕たちにも…」と必死になって考えを変えさせようとするが、父は 「ケイレブ、もう決めたんだ。ごめんな」と、一歩も引かない(3枚目の写真)。
その晩、ベッドに横になったケイレブは、生前の母を交えて4人で撮った写真を見ながら、昔の母を思い出す(1枚目の写真)。映画に映る過去のシーンは、全体に青白い映像になっているが、ここでは判別し易いように、写真の左下に紺色の星印を付けておいた。そこでは、それまで3人で歩いていた母が、老人夫婦が家に入って行くのを見て、走り寄ると(2枚目の写真)、「お手伝いしましょうか」と話しかけ、脚の不自由な老夫人の助けて戻って来ると、「あれが、私にできるせめてものことよ。あなたたちも、いつか試してみるといいわ」と話す。それを聞いた夫は、その場では 「やってみるよ」と言うが、結局それ以後一度もやらなかった。
翌日、ケイレブは、さっそくブレイクを呼び出し、2人で、夏休みにやりたいことのリストを作ることにする。ブレイクが3つ希望を言った後で、ケイレブが話し始める。①母が死んでから、再び無神論者のようになった父を、ちゃんと教会に行かせる、②父が再び幸せになれるよう、新しい女性を見つける(1枚目の写真)、③ローズ・ホランドに好かれること(2枚目の写真)、④父と祖母が仲良くなって欲しい、そして、最大の希望が、⑤母が誇りに思うようなことを始める。これについて、ケイレブは、「歩き回って人々のために良い行いをするクラブみたいなもの」と説明する。ブレイクに、「良い行いって?」と訊かれ、「手始めに、女の人が食料品を車に入れるのを手伝ったり、お年寄りのために芝を刈ったり、赤ちゃんをあやすとか」と、自分が昨日やったことや、母が昔やっていたことを挙げる。それを聞いたブレイクは、「賛成! Tシャツもらえる?」と訊く。「必要ないよ」。「Tシャツは絶対必要だし、名前もいるぞ。親切部隊〔The Legion of Good〕とか!」。「僕たち2人だ。部隊じゃない」。「なら、広告を出して 部隊の人数を増やせばいい」。「いいアイディアだね。まずチラシを作って町中に貼り、派手にオープンしよう。軽食なんか用意して」(3枚目の写真)。
一方、ライラの家で定期的(?)に開催されている10名ほどの集会に、常連の夫人が、都会に行っていた娘ジェナを連れて訪れる。そして、他のメンバーに、「ナッシュビル〔カントリーミュージックの聖地〕のスター、ジェナ・サザーランド」と紹介する。ジェナを見たケイレブは、さっそく、祖母のプリンターで一緒にチラシを作っていたブレイクを呼び、2人でジェナを見る(1枚目の写真、矢印はジェナ)。集会が終わると、2人はさっそくジェナに会いに行く。ケイレブは、ジェナの手を取ると、家の中を案内すると言って強引に引っ張っていく。ジェナは、部屋に置いてあったチラシに興味を惹かれる。そこには、「THANK YOU CREW〔ありがとう・チーム〕」と大きく書いてあった〔チラシの下半分には詳細事項も〕。「これ何なの?」と訊かれたケイレブは、「僕らの夏のプロジェクトだよ。一日中町の中を回って、人々のために良いことをするチームなんだ」と言う。名前の由来を訊かれると、かつて、父が母に言った言葉 『何をするにも君にありがとうと言うよ』 から来ていると話す(2枚目の写真)〔すなわち、神と町にありがとうと言うためのチーム〕。この話に感動したジェナは、さっそく母にチラシを見せて感心させるが、一緒にチラシを見たライラは、これまで、息子(スコット)と孫(ケイレブ)がすることに対し、常に冷ややかに接してきた態度をここでも顕わにし、「よく分からないわね」と疑問を投げかけ、「幾ら請求するの?」と訊く。その態度に腹を立てたジェナは、「報酬を受け取ったら、善行とは言えないでしょ。そんなのは仕事よ」と言うと(3枚目の写真、矢印はチラシ)、ライラは 「仕事のどこが悪いの」と反論し、ケイレブに対しては、「ケイレブ、素晴らしいアイデアだし、その創造性は称賛に値するけど、無料でやらなければならない理由はないのよ。聖書にも、『神は自ら助くる者を助く』とあるでしょ」という。この間違った言葉に、ジェナの母は、「聖書にはそんな言葉はないわ」と注意する〔『Got Questions』にとれば、この言葉は、①1698年にAlgernon Sydneyが「Discourses Concerning Government(政府に関する談話」という記事の中で書いたもの、②聖書には反対のことが書いてある: その例として『イザヤ書』の25:4にある「まことに、あなたは弱い者の砦/苦難に遭う貧しい者の砦/豪雨を逃れる避け所/暑さを避ける陰となられる」が例としてあげてある。よく意味のわからない記述なので、『金沢キリスト教会』の解説を見ると、「このような死の力に対して、人間は無力でした。肉体が死ぬときだけでなく、人生の中で何度も死の力に脅かされていましたし、罪の誘惑に晒され続けていました。そんな人間にとって、安心できる砦、また避け所となったのは神様でした」と書かれている〕。ライラは、この恥ずべき無知と誤解に対する指摘など無視し、「無料でやってもらうことを望んでいるような場所に、自分の子を付き添いなしで行かせることを喜ぶような親なんかいない」と言い、ケイレブの方針に賛成できないとはっきり申し渡す。ジェナは 「この子たちは、ただ人々を助けたいだけなのに、何が問題なの?」と、その傲慢で独りよがりの発言を批判する。ライラの “決め” の発言は、「私が彼の父親に教えようとしてきたように、彼には現実を生きてほしい。もし私がいなかったら、彼らは一文無しで彼の父親の車の中で暮らしていたでしょう」〔これで、妻が死んでからのスコットの愚かさが分かるが、この言葉からも、スコットには定職がなかったように受け取れる。そんなダメ息子を、農場に住まわせ、何か仕事を与えたのだろうか? いずれにせよ、「アトランタへの転勤の提案」の意味が分からない〕。映画の中に登場するいろいろな祖母の中でもワースト10に入るライラが去った後で、ジェナは 「私が手伝うわ」と2人に言う。それでも祖母の発言を心配するケイレブに対し、今度は、チャーリーが、「ちょっとは強引にやらないと。ライラのことは僕らに任せて、君たちはチームを集めるんだ」と後押しする。
そして、翌朝、2人は、歩道にテーブルとイス2脚を置き、飲み物とお菓子を用意して 「THANK YOU CREW」のチーム参加者の受付けを始める(1枚目の写真)。しかし、どれだけ待っていても、誰も現れない。「誰も来ない」と悲観するブレイクに、ケイレブは、「チラシを300枚配って ピーナッツ・ブリトルを用意したんだ、誰か来るよ」と言う。しかし、待った末に現れたのは、車で乗り付けた父。「素晴らしいことだ。多くの子供たちが参加するだろう。名前も気に入った」と元気付け、ケレウブは 「ありがとう」と言い(2枚目の写真)、名称が父の言葉から来たと話す。父は、「仕事に遅れるから行かなきゃ」と言って去るので、定職かどうかは別として、何かの仕事には就いているようだ。次に、テーブルの前を通ったのは意地悪なカイルで、2人のことを 「キリスト教の道化師」と言って侮辱する〔ジョージア州にあるAsbury記念教会では、教会のロゴにピエロの絵を使っている。理由は、道化師がキリスト教のシンボルだったから。だから、カイルの侮辱は、知識不足の露呈〕。そこに、ジェナがやってきて、ロクデナシを追い払う。状況を訊かれたケイレブが、「来てくれたのは、あなたと父だけ」と寂しそうに話すと、ジェナは 「諦めないで。この町には、思いやりのある子供たちがたくさんいるわ」と慰める(3枚目の写真)。
時間がさらに経過し、持って来た飲み物とお菓子を自分たちで食べていると、そこに、ローズがやって来て、「ミーティング、ここでやるの?」と訊く。ミーティングのことなど考えもしてなかったケイレブは、食べかけの袋からピーナッツ・ブリトルを取り出しローズに渡す(1枚目の写真)。「で、みんなはどこにいるの?」。ケイレブは下を向き、ブレイクが 「君がそうさ」と言う。「そうなの…」。その時、なぜかまたやって来たカイルが、「やあ、ローズ、来ないか?」と誘う(2枚目の写真)。ローズは 「ううん、結構」と、ぶっきらぼうに断る。そして、それを聞いて笑顔になったケイレブに、ローズは 「何から始めるの?」と積極的に尋ねる(3枚目の写真)。何をするかなど 全く考えていなかったケイレブが迷っていると、ローズは 「行きましょ」と言って歩き始める。
3人は、さっそく近くの家で、老人が電動芝刈機を使っているところに行くと、ケイレブが 「すみません」と声をかける。先に、歩道のテーブルに座っていた2人の前を通った老人は、「クッキーとかキャンディーなんか買わないぞ。君たちのクラブとつき合っとったら、破産しちまうからな」と、極端な言い方で会話を遮断する。ローズは、「違います。私たちは “THANK YOU CREW”、ただ手伝いたいだけなんです」と言う。「『手伝う』 って何を?」(1枚目の写真)。今度はブレイクが、「芝刈りを手伝えます」と言うと、用心深い老人は、何を誤解したのか、「これを機に雑誌が送られてきて、その代金を払わされるなんて御免だ」と激しく断る〔大人のセールスマンに対してならまだしも、子供に対してこんな口をきくとは、最低の老人〕。それでも、ケイレブは 「僕たち、何も欲しくないし、何も売ってません。僕たちは、親切したいだけなんです」と説明する。「じゃあ、ホントに、ただ単に、私の庭の草刈りをしたいだけなのか?」。ローズ:「他にも、何かご希望があれば。奥さんがみえるなら」。ようやく笑顔になった老人は、3人を家に連れて行く。夫人は、2年前に夫がヘルニアの手術を受けてから部屋の中に放置してあるダンボール箱の片づけを希望し、ケイレブがたくさんの箱の移動を引き受ける(2枚目の写真)。ローズは下着の整理、ブレイクは猫の糞の始末。それが終わると、ケイレブとローズは庭木の刈込み、ブレイクは芝刈りの続き(3枚目の写真)。仕事を終えた3人は、老夫婦に見送られて家から出て行く〔普通なら、いくらタダと言われても、真夏なので、飲み物くらい出してもいいと思うのだが〕。
家に戻ったケイレブは、父に 「子供たちは大勢来たか?」と訊かれ、「一人だけだけど、ベストの子」と答える。「女の子かな?」。「ローズ・ホランドだよ、パパ。すごくきれいだし、クールなんだ」。しかし、父は、ケイレブの恋心を逆なでするようなことを言う。「お前が いい一日を過ごせたのは嬉しいが、その子にあまり熱を入れないで欲しい。すぐ引っ越すから、傷付いて欲しくないんだ」(1枚目の写真)。「でも、たとえうまくいかなくても、心は尽くさないと、だよね、パパ? ママはいつも言ってた、愛は止まらないって。愛は決して裏切らない〔Love never fails〕」(2枚目の写真)。
翌日、ローズは、援軍を連れてやってくる(1枚目の写真)。1人は、いとこのザック〔ケイレブの最初の手伝いの時、車に乗っていて何もしなかった青年〕。あとの2人についての説明はなぜかない。そこに、ジェナがやって来る。黒人の少女は、インスタグラム用に、6人を入れて自撮りする(2枚目の写真、全員を入れようとすると、両端の女の子の顔が半分ずつになってしまった)。ジェナがいなくなると、ローズがお目当ての家に全員を連れて行き、庭の整備を行い、終わった後でも、インスタグラム用に写真を撮る(3枚目の写真)。
何日後かは分からないが、次のシーンでは、チームメンバーの数が一気に増えている(1枚目の写真、矢印は犬)〔インスタグラムが効いた?〕。この平和なシーンの後、両端でホースを持っているザックともう一人がホースで水を掛け合い、全員が水浸しになって楽しむ。その後は、別の日の、家の壁のペンキ塗り(2枚目の写真)。そして、最後は、“THANK YOU CREW” のテーブルの周りに集まった大勢のチームメンバー(3枚目の写真)。
このあと、ケイレブとブレイクは、チームメンバーの一部と一緒に喫茶店に行き、かねてブレイクが夏休み中にやりたと言っていた3つのうちの1つ、キッチンシンク・サンデー〔例えば、ディズニーのキッチンシンク・サンデーは28 種類の材料を使った、家族向けの豪華なデザートの山〕を、ケイレブと競争して早食いする。それは、30cm×30cm、深さ8cmくらいのスチールの更に一杯に盛られたアイスクリームなや生クリームなどの山。ブレイクが僅差で勝つが、ケイレブも完食したので、ポスターの前で記念写真。そのあと、ブレイクから 「女の子をゲットして」と言われ、ケイレブはローズを含むチームメンバーの前でラップ風に歌い始める。「ローズ、君はすごくクールだ。君は、僕をホントのバカにさせちゃう。学校じゃ、君のそばに座りたい」(1枚目の写真、矢印はローズ)。これは、はっきり言ってプロポーズなので、途中で詰まって歌えなくなる。帰りは、ジェナに車で送ってもらうが、途中ずっと、さっきの歌の失敗で暗い顔のまま。ケイレブの部屋のある作業場の前で車を停めたジェナは、ケイレブを勇気づけようと、「彼女の心をつかむためには、あなたらしくしてるだけで、特に何もする必要はないと思うの」と話す。「オタクになれってこと?」。「いいえ、カレブ〔エジプトを出てから2年目に、カナンの地を探るためにモーセによって遣わされた者の一人。カレブとヨシュアだけがカナンの地について真実の報告をした〕になれということ、特異な精神の持ち主のね。それが(聖書の)カレブ〔Caleb、Kalév〕を特別な人にしたの。そして、まさにそれが(横に座っている)ケイレブ〔Caleb〕を特別なものにしているのよ」。それを聞いたケイレブは笑顔になる。そして、この聖書にまつわる会話は、昔、母から聞いた話をケイレブに思い出させる。映画は過去のシーンになり、母が 『民数記』 の14:24を読み上げている。「ただし、私の僕(しもべ)カレブは違った心を持っていて、私に完全に従ったので、私は彼が行ってきた地に彼を導き入れるであろう」(3枚目の写真)。そして、「それが、あなたなのよ。私の可愛い坊や、あなたは素晴らしいことを成し遂げるでしょう」〔それが、ケイレブと名付けた理由〕。
その夜、ケイレブはブレイクに電話をかけ、引っ越しを止めさせるもう一つの重要なプラン、父とジェナをくっつける件が、全然進んでいない点を指摘し、計画を練る。そして、翌朝、“THANK YOU CREW” に出かける前に、ワザと自転車のタイヤをパンクさせ、父に送ってくれるよう頼む。しかし、父の車も故障していたので、祖母のピックアップ・トラックで送ってもらうことに。車が、チーム活動中の家の前に着くと、車を降りたスコットに、ブレイクが もっと中に入るよう勧め(1枚目の写真、矢印は父スコット、左がケイレブ、右がブレイク)、その先にいるジェナに初めて会わせる。ブレイクは、スコットとジェナの共通点を挙げて2人の接近を図るが、スコットは 「ケイレブにしてくれたことすべてに感謝します」と言っただけで、「行かなきゃ。お会いできて良かった」と言って去り、計画は失敗に終わる〔しかし、このプランにはすごく無理がある。スコット役の俳優は1971年11月11日生まれ、ジェナ役の俳優は1985年8月27日。年齢差は14歳もある。そして、スコットは禿初めていて中年太りの冴えない男性、ジェナはまだ30歳になったばかりのピチピチ美人。どう見ても、2人をくっつけるようとするのは不自然だ〕。そのあと、ブレイクが ジェナに、「チームへの募金活動のために演奏するの?」と質問し、ジェナは、「募金活動かどうかよく分からないけど、演奏の後で缶を回して、みんなのために少しお金を集め、Tシャツが買えるようにしたいわね」と答える。Tシャツと聞いたブレイクは、初めから希望していただけに大喜び。ローズも大賛成(2枚目の写真)。ジェナのコンサートに、ケイレブの父や祖母が来なかったら、募金活動に支障が生じるので、ケイレブは何とか “双方出席実現” に向けて頑張ろうと家に戻る〔この時、自転車に乗って帰るので、朝のパンクと矛盾している〕。そして、援護してくれるチャーリーも加えた食事の席で、ケイレブは 「土曜日のジェナのコンサートには みんな来てよ。彼女は、チームのために募金活動をするから、僕の家族が全員いなくちゃ困るんだ。全員だよ。これってすごく重要なんだ。お互い助け合わなくちゃ」と発言する。それに対し、チャーリーが真っ先に、「もちろん行くとも。みんなで行くだろ、スコット? ライラ?」と言うが、父は 「彼女は、私のことをあまりよく思っていないようだから、私なんかいない方がいいと思う」と否定的。祖母も 「私も、行かない。キリスト教徒には、ナイトクラブに出入りする習慣なんかないから」と、明らかに断るためのでっち上げの言い訳。それを聞いたチャーリーは、「あんたたちを縛ってトラックの後ろに引きずって行かなくちゃいけなくたって、土曜日には連れて行くからな」「行くんだ。いいかい! 今、ケイブルは2人を必要としてるんだ。だから、立ち上がらなきゃ」と激しく応援演説をする(3枚目の写真)。これで、非常識で、息子のことなど何も考えない2人のバカな大人も、渋々参加することに合意する。
演奏会では、ジェナが “素晴らしい子供たちとの出会い” の喜びを語った後で(1枚目の写真)、“久し振りに書いた曲” を歌う。歌の前半は、冒頭の 「♪ 私は壊れてしまった」から分かるように、ジェナが歌うのをやめてしまった心境について語ったものだが、最後の2節は、“THANK YOU CREW” による、その心境からの立ち直りを暗示している。「♪予想もしなかったその瞬きが、一瞬で世界を永久(とわ)に変えられる」。歌が終わると 満員の聴衆から一斉に拍手が起こるが、拍手しなかったのは、凍り付いた心の持ち主ライラだけ。コンサートが終わって外に出た父に、ケイレブは、「彼女、素晴らしかったでしょ?」と訊き(2枚目の写真)、父は本人が前にいるので、当然 「ああ」と答える。そして、ジェナが 「やあ」と声をかけ、スコットも 「やあ」とお互い声をかける。ジェナ:「来たんだ」。スコット:「来たよ」。そこで、ブレイクは、スコットに、「ジェナの車、見た?」と “一番重要な言葉” をかける。振り向いたスコットは、「まさか、あれって、'72 カトラス〔オールズモビルの1972製のカトラス・コンバーチブル(Cutlass Convertible、350 CI V8)〕?」と驚く。そして、さっそく車のところまで見に行く(3枚目の写真)。
チャーリーが運転する車の後部座席で、ブレイクが 「おい! ローズ・ホランド、君のこと好きだよ!」と言うと、ケイレブは 「うん。分かってるって」と笑顔になる(1枚目の写真)。「そして僕のパパは。本物の女性と一緒に車に乗ってる」。それを聞いたチャーリーは、クラクションを鳴らし、「そうだ!」と叫ぶ。不愉快な顔をしているのは祖母だけ。家に戻って2人だけになると、祖母は 「あんたが何をしようとしているのか、あんたのパパがなぜ車に戻って来なかったか分からない。だけど、いいこと、私には事実を突き止めるやり方があるの。だから、ちゃんと話した方がいいわよ」と冷たく言い放つ。それに対し、ケイレブも反論する。「これは、ばっちゃんにとって大変なことだと分かってるけど、僕たちパパを支えてあげないと。彼女はパパの助けになってくれるんだ。彼女はすごいよ、ばっちゃん」。祖母は、からめ手で攻める。「そうだね、ジェナは凄い。私たちには意見の相違もあるが、彼女は本物だよ。だからこそ、私たちは こう問いかけなくちゃいけない。こんなに才能があり成功してる人が、あんたのパパなんかに興味を持つだろうかって」。この、すべてを否定する発言は、ケイレブを怒らせ、祖母の “親として完全に失格な態度” に対し、厳しい意見を言わせるきっかけとなる。「よくそんなこと言えるね! 彼、ばっちゃんの息子なんだよ! 自分の子供に対して、そんなことを言う人なんかいない。分かるかな、ばっちゃん? 自問自答してみたらどう? 例えば、ママが亡くなった時、なぜパパは死にそうになったのか」(2枚目の写真)「それは、ママだけがパパを信じてたからなんだ。そして、それこそ、今、僕たちがしなくちゃいけないことだ。僕は、それをやってる」(3枚目の写真)「ばっちゃんは、なぜしないの?」。祖母は、この孫の直言に衝撃を受ける。2人のこの会話以前にも、スコットとジェナの間で長い会話が交わされるが、あまり意味がないのですべてカットしてきた。しかし、ケイレブと祖母との厳しいやりとりの後の、スコットとジェナの会話だけは、重要なので紹介しておこう。その会話の中で、ジェナは、初めてケイレブを話題にする。そして 「ケイレブは すべての人に責任を感じてるみたい」と、感想を述べる。スコットが 「それは、彼が善行を行う会を持っているからかね?」と尋ねると、ジェナは 「あの子には、何か他のもの、彼を突き動かすような、もっと大きな何かが…」と口にし、スコットが 「それは何かな?」と訊くと、「分からない。でも、なぜ あなた知らないの?」と、スコットの父親としてのあり方に疑問を呈する。話題を変えようと、スコットは 「私たちは3週間後にアトランタに引っ越す」と、初めてこの重要事項をジェナに伝える。そして 「あなたは彼に会いに行くと言って、結局行かずじまいになるだろう。そして、ケイレブは また置き去りにされる」と、ある意味、ジェナに失礼なことを言う。それを聞いたジェナは、「置き去り。彼を突き動かしてるのは、きっとそれね!」と 皮肉る。
翌朝、ケイレブは作業場にいる父に会いに行く〔スコットの職業は一体何なんだろう。とても会社勤めの人間とは思えない。それなら、なぜ転勤があるのだろう? それとも、転勤ではなく ただの引っ越しなのか?〕。ケイレブを見た父は、「お前が何をしようとしたのかは分かってるし、感謝してる」と言う(1枚目の写真)。それを聞いたケイレブは、昨夜はうまくいったんだと誤解し、「ジェナとは今度いつ会うの?」と訊く。父の返事は、「ジェナは素敵だ。本当に。だが、二度と会うことはないだろう」というもの。「なんで?」。「引っ越すからだ。彼女も知ってる」。「でも、それは3週間以上も先のことだろ。何が起きるか分からないじゃないか」。「いいや、何も起きん。なぜなら、パパには、心の準備ができてないからだ」。「じゃあ、いつになったら心の準備ができるの?!」(2枚目の写真)「僕たち、2人を合わせようと あんなに頑張ったのに、どうして会わないの?」。「お前の責任じゃない。言ってることが分かるか? この問題を解決すべきなのは、パパ自身なんだ」。「じゃあ、誰がパパを助けるの? パパは一人ぼっちじゃないか!」。そう怒って言うと、ケイレブは作業場を飛び出して行く。
ケイレブが町に行くと、以前ペンキを塗った家の前にパトカーが停まり、家の壁には、「NO THANK YOU “LOSER CREW”〔“負け犬チーム” なんかいらない〕と、黒ペンキで書かれている(1枚目の写真)。これまでチームに参加していた子供たちは、心配した両親によって次々と連れ戻される。ローズは 「(やめるのは)数週間だけよ、多分。(夏休みが終わっても)放課後に再開できるわ」と言う。それを聞いたケイレブは、「ううん、ダメなんだ」と言わざるを得ない。「どうして?」。「僕たち、アトランタに引っ越すから」。「引っ越すの? いつ?」。「3週間後くらい」(2枚目の写真)。「でも、わからない。なぜ、黙ってたの? いなくなると知ってて、なぜ あなたを好きになるよう、あんなことしたの?」。「ローズ、僕、君が好きだったから、あとのことまで よく考えてなかったんだ。ごめんね」。失望したローズは、「もう行くわ。さよなら」と言って去って行く。一方、ダメ父のスコットは一番の親友のチャーリーと引っ越しについて話している。「この引っ越しが新たなスタートとなり、光が見えてくると思った。しかし、ケイレブは今、すごく困っている。そんな彼を見ると、心が痛むんだ」。それに対し、チャーリーは、「それが、過去2年間、ケイレブが君に対して抱いてきた思いなんだ」と、気が付くのが遅すぎると批判する。スコット:「なあ、引っ越しは役に立つと思うか?」。チャーリー:「正直言って、アトランタが君の問題を解決するとは思えんな」。場面は、落書きの壁に戻り、ケイレブが、ジェナに、「僕はチームのみんなを失望させた。ローズを失望させた。パパを失望させた。でも、誰よりママを失望させた」と悲しむ。そんなケイレブを、優しいジェナは慰める。「いいえ、それは違うわ」(3枚目の写真)「ケイレブ、あなたは母の思い出を称えるためにこのチームを始めた。そして、それを成し遂げた。素晴らしいことよ。あなたのママは きっと誇りに思ってるわ」。
ここで、場面は、三度目で最後に過去に戻る。今度は、冒頭から2節目のシーンで、母が 「タイミングが悪いのは分かってるけど、ちょっと用事を頼める? パケットの店に行くだけなの」と訊き、父が 「今かい?」と言った後に、どんな会話が交わされたかを再現した場面。母:「タイミングが悪いのは分かってるけど、ちょっと用事を頼める? パケットの店に行くだけなの」(1枚目の写真)。父:「今かい?」と如何にも嫌そうに言った後、「悪かった。今、行くよ」と謝る。しかし、ケイレブは 「パパ、ダメだよ」と、ボール遊びを続けたがる。父:「何だと? お前のママを手伝うだけだぞ。すぐ戻ってくるから」。ケイレブ:「ママ、自分で行けないの?」(2枚目の写真)。母:「今、ランチを作ってる最中なの」。ケイレブ:「ママ、僕 お腹なんか空いてないよ。それに、すぐブレイクも来るし」。このケイレブの言葉を聞いた母は、「分かったわ」と言って、車で出かけ、事故に遭って死んでしまった〔つまり、母を行かせて死なせた間接的な責任はケイレブにある〕。
“悪意の壁ペンキ事件” を聞いて駆け付けた父が、落ち込んだケイレブに、「どうしたんだ?」と訊くと、過去2年間、ケイレブの心の重荷となってきた “辛い記憶” を打ち明ける。「ママは助けが必要だった。簡単なことだったのに、僕はママに行かせ、そのせいでママは死んじゃった」(1枚目の写真)。それを聞いた父は、「ダメダメ、違う、そんなじゃない。パパが悪かった。お前がそんな風に考えていたとは気付かなかった。お前のママは 自分の命より お前のことを愛してたんだ。もしママが生きていたら、今、お前にこう言うだろう(2枚目の写真)。『あなたにできる最善のことは、他人を赦し、自分自身を赦し、恐れではなく自由な立場から他人に与え、助けることよ』」と、諭すように話す。そして、2人は抱き合う(3枚目の写真)。
“THANK YOU CREW” の活動停止期間は、恐らく落書きの犯人が判明した時点で解除されたため、3週間も続くことはなかった。そして、父が、妻のマリアの死の前日に外装だけ完成した1969年型のシボレー・コルベット・スティングレーが動くようになり〔死んでから2年間は何もしなかったろうから、前節のケイレブとの話し合いの以後、作業を開始したハズ。そんなに早く完成するものなのか?〕、ケレイブを助手席に乗せて、初ドライブ(1枚目の写真、ケイレブは両手を挙げてバンザイしている)。その後、祖母ライラの納屋で、「THANK YOU CREW/募金活動コンサート」が、「ホームレスのための慈善避難所」の建設開始も祝って行われることに(2枚目の写真)。歌うのは、もちろんジェナ。ここでは、“THANK YOU CREW” のメンバーが主役なので、歌が終わった時には一番前で拍手している(3枚目の写真)。
歌い終ったジェナは、“THANK YOU CREW” の創設や、「ホームレスのための慈善避難所」の建設も、「ケイレブが 彼の母親の例に倣って行動で示さなかったら、これらの何れもできなかったでしょう」と述べ、ケイレブを称賛する(1枚目の写真)。挨拶が終わったジェナに、スコットは、アトランタに引っ越すのはやめ、ここで自分の店を開くことにしたと話し、ケイレブを呼んで、「パパは、この町に残る。アトランタには行かない」と告げる(2枚目の写真)。それを聞いたケイレブは、すぐにローズのところに行き、「僕たち、どこにも行かないよ」と言い、喜んだローズと抱き合う(3枚目の写真、矢印はケイレブ)。そして、2曲目が始まり、映画はそこで終わる。
エンドクレジットの途中、「CAST」の一覧が始まったところで、“その後” が簡単に示される。チームの真っ赤なTシャツを着たケイレブが、落書きの犯人のカイルに寄って行き(1枚目の写真)〔後ろに、監視の警官〕〔写真は「CAST」の左側に、縦横半分の大きさで表示されるので、ここでは、倍の大きさに拡大し、他の写真と同じサイズにして示した〕、カイルにもTシャツを渡す。カイルはTシャツを着て作業を続ける。そこに、Tシャツを着た父とジェナ、チャーリーは当然としても、驚きは祖母までTシャツを着て現われ、ケイレブ、ローズ、ブレイクの3人の両脇に付いたところで(2枚目の写真)、短い事後談は終わる。