ベルギー映画 (2024)
『Young Hearts』は、Rotten tomatoesの批評家90%、視聴者97%がトマト・マークを付けている。そんな中で、GuardianのPeter Bradshawという批評家は、①同じベルギー映画、『クロース』(2022)と比べ、この映画は、「若いクィアの愛という人間関係に対する問題提起を描くことを根本的に拒否している」「『若い恋』の映画は、『失恋から立ち直ること』を描くべきなのに、この映画はそれをしていない」として、批判している。『若い恋』が『失恋から立ち直ること』が大切? そうしたマンネリの映画群を超越したところに、この映画の素晴らしさがあるのに。『クロース』のように、悲観したクイアの自殺といった「衝撃的な事件」がないと、面白くないと考えるとは、何と言う浅はかで、一方的に見方しかできない三流の評論家だろう。私は『クロース』ももちろん観たが、観ているだけで不愉快で、最悪の映画の一つだと確信した(IMDbでは10点中1を付けた)。別のもっと優れた批評家は、「今日では、こうした『若い恋』は、真剣かつ知的に描かれることは稀」「『Young Hearts』は、大きなどんでん返しやドラマチックな展開を前面に出さない映画」「繊細な思考や感情を大切に描いており、昨今の映画には珍しい作品」と高く評価している。こうした評論家よりも、『Young Hearts』は、世界中の多くの若者から最大限の称賛を受け入れられた。「この映画は、α世代(2010年から2024年頃までに生まれた世代)、それ以前のZ世代(1990年代後半から2000年代前半生まれ)、ミレニアル世代(1980年代前半から1990年代前半生まれ)、そしてそれ以前の世代にも深く共感される 『感情の抑圧、自己の認識、恋愛の問題』 といった、しばしば見過ごされがちな葛藤を見事に描いている」「筋書きには大きなドラマや衝撃的な展開はないが、ささやだが率直な瞬間、『視線、触れ合い、会話』 に焦点を当てている。感情には真実味があって親しみやすく、年少者の性的描写もなければ、大人の世界への過激な参入もない」。実に的確なコメントだ。
2025年8月22日に行われたインタビュー(https://tresamagazine.com/2025/08/22 /lou-goossens/)で、「『Young Hearts』で、あなたが演じたキャラクター、エリアスをどう思いますか?」という質問に対し、エリアス役のルー・フーセンス(Lou Goossens)は、「脚本を読んだ時、エリアスにはある種の『強さ』を体験する必要があったと強く感じました… 彼のトレードマーク(個性)、振る舞い方、彼がきっとするであろうことを見つけるために。プロットにも同じことが言えます。アレクサンダーと知り合うことで、エリアスも自分の新しい一面を知るようになります。でも、僕 思うんですが、エリアスにとって、自分自身を見つけるための幾つかの気まずい試みを体験することは、重要なことだったに違いありません。例えば、あるシーンで、エリアスは 彼にしてはとても不自然な行動を取っていました。それは、新しい個性を手に入れる上で用心すべきことを探ろうとしていたからで、なぜなら、そういうことが実際に起きるからなんです。映画全体を通して、『本気で自分自身を探してる』のがエリアスだと思います。アレクサンダーと知り合ったことで、彼は自分の性的指向を探求し、模索する中で成功を収めていますが、それは同時に非常に怖いことです。なぜならそれは新しいものであり、変化だから。これは僕らが自分自身の中にあるそうした部分を初めて垣間見た瞬間なんです。だから、彼がほとんどいつも悩んでいるのも、それが新しく、彼が成長を強いられているからだと思います」と、自分の役を正しく理解している。
エリアス役のルー・フーセンス(Lou Goossens)は、2009年2月24日生まれ。映画の撮影は2023年8~9月なので14歳。最近ますます大人っぽくなった中学生とは思えないほど若く(年下に)見えるが、映画の中での表情は千差万別で、演技も素晴らしい。この映画に出演する前は、『Alleen Ik』(2023)というショート・ムービー(16分)で神経発達障害の少年を演じたのが唯一の経験。左下に、その時の一場面の写真を示す。ついでに、2024年6月3日に英語で受けたインタビューの際の写真も右下に示す。一方、アレクサンダー役のマリウス・デ・サーカー(Marius De Saeger)の生年月日は不明だが、出演時14歳というのは同じ(こちらの方が年上に見える)。映画はこれが初出演。

あらすじ
映画は、エリアスの父、シンガーソングライターのルーク・モンテロの新曲のコンサートが開かれている、ベルギーのフラマン語圏にある田舎町の大食堂から始まる。新曲の題目は『初恋』。「♪初恋って最高に気持ちいい。とても優しくて、蜂蜜のように甘い」から始まる歌詞を歌い始めると、曲が気に入った観客が両手を挙げ、曲に合わせて左右に揺らす(1枚目の写真)。母のナタリーも、人気ぶりを笑みを浮かべて見ている。歌が終わると、一番後ろのテーブルに座っていたエリアスと、仲良しの同級生ヴァレリーも、観客の喝采に合わせて大喜びで拍手する(2枚目の写真)。


演奏会が終わると、エリアスとヴァレリーはエリアスの部屋に行き、エリアスが額に「Da Vinci」、ヴァレリーが「M.Courtois」〔校長の姓〕と書いた紙を巻き付け、演劇のように会話を進める。ヴァレリー:「私、臭い?」。エリアス:「臭くはないけど、いい匂いとは言えないね。強烈なんだ。とっても」。「アドバイスもらえる?」。「君、禁煙の部屋で喫煙してる」(1枚目の写真)。「私はクルトワ校長。どこでもタバコ吸うわ」。すると、そこに父が入って来て、ヴァレリーに 『初恋』の最初の節を、自分と交互に歌わせる。それが済むと、父は、「そっちは売れたか?」とエリアスに訊く〔最初の節の2枚目の写真の背後に写っているTシャツのこと〕。「うん、たくさん。大きいサイズは完売」。そこに現れた母は、「月曜日に届くわ」と夫に説明すると、エリアスに、「私もう寝るわ。あなた達もね」と言ってキスし、ヴァレリーに 「お休みなさい」と告げる。14歳の少年少女を1つのベッドに寝かせたままなので、父は、「ドアは開けたままでいいな?」と声をかけて出て行く(2枚目の写真)。翌朝、エリアスが目を覚ますと、ヴァレリーはとっくに起きていなくなっていた(3枚目の写真)。



エリアスが着替えて1階に降りて行くと、そこでは父とヴァレリーが朝食をもう終えている(1枚目の写真)。母は、「おじいちゃんに会いに行く時、このパンケーキ渡して」と言って、薄いパンケーキをロール状に巻いたものをエリアスに渡す。一方、父は朝刊を見ながら至極ご満悦。それは、昨日のコンサートの記事が、一面に、大きなカラー写真付きで載っていたから(2枚目の写真)。写真の上の見出しは、「ルーク・モンテロの新曲『初恋』、大ヒット」。写真の左下に、父をはさんでエリアスとヴァレリーが立っている小さな写真も添えられている。それを見たエリアスは、「これ僕らだ。クールだね」と喜び、父はヴァレリーに、「切り取ってあげようか? お母さんに見せてあげて」と言い、ヴァレリーも喜ぶ。そして、父はさらに、ヴァレリーに、「ちょっと読んでもらえないか」と記事の本文を読み上げてもらう。「長い間待っていた『フランドルのスーパースター』誕生。ルーク・モンテロは、今夏の大注目のスター。彼は大ヒット間違いなしの曲を披露した。『初恋』は、初めて恋をした時のことを思い出させる」。父は、それを聴き、「1ページまるごとだ。誰もできるわけじゃない」と、妻に向かって自慢する。そこに、ヴァレリーの母が迎えに来たので、彼女はエリアスに「また明日ね」と言って出て行く〔この日は日曜日〕。


シーンが変わり、1階の窓から、表の道路を挟んで向かいに建っている煉瓦造りの家に 引っ越しトラックが停車していて、そこから一家3人だけで荷物を運び込んでいる姿が映る(1枚目の写真)。それを窓から見ながら、父は、一緒に見ているエリアスに向かって、「ブリュッセルから来たらしい。奥さんはいない。子供たちだけだ。彼、お前と同じくらいだな」と説明する(2枚目の写真)。


次のシーンでは、如何にも低地フランドル地方の田園地帯を、自転車を漕いで祖父の農場に向かうエリアスの姿が映り(1枚目の写真)、この直後にメイン・タイトルが表示される。エリアスは大きな牛小屋を通り抜け、その先の空き地でトラクターを修理している祖父を見つけると、「まだ直らないの? パンケーキ持ってきた」と言って、母から託された物をトラクターの上に置く。その後の時間的経過は分からないが、エリアスがトラクターに乗り、「やってみるよ」と祖父に声をかけ、「ああ」と言われたのでエンジンをかけようとするが、かからない。しかし、二度目では上手く行き、2人でトラクターを走らせる。祖父は、途中で運転を交代し、孫にハンドルを握らせる(2枚目の写真)。祖父の家に戻ったエリアスは、スケッチを描くのが好きなので、「おばあちゃんの色鉛筆、どこにあるの?」と訊いてみる。「知らんな。もう、あそこには行かんから」。エリアスは、昔、祖父が、祖母と一緒に何日もハイキングに行った時に使ったキャンピング・カーまで連れて行ってもらい、「見つけたよ」と言って、中から色鉛筆を持って出て来る(3枚目の写真)。



翌月曜の朝、エリアスが母に起こされてベッドから出ると、最初にしたことは窓のカーテンを開けること。すると、昨日引っ越してきた少年が2階の窓から外を見ていて、エリアスに気付くと右手を上げて挨拶する(1枚目の写真)。起きたばかりで上半身裸のエリアスも、笑顔で右手を上げて応える(2枚目の写真)。


次のシーンは、中学校での風変わりな授業。歴史の授業か国語の授業かは分からないが、テーマは「hoofse liefde(宮廷恋愛)」〔12~15世紀に上流階級で行われていた、既婚の貴族女性に、騎士が競技会で勝利し、手の届かない女性に捧げたもの〕〔あとで、ヴァレリーが自宅の誕生会で、「bekende duo(有名なコンビ)」を競うが、その際、ヴァレリーが天使、エリアスが騎士になる〕。教師は、「誰か『宮廷恋愛』について聞いたことある?」と訊き、誰も答えないので、「君たち、恋をした経験は?」と尋ねる。それでも誰も何も言わないので、「ミーケ〔女生徒〕がハリー・スタイルズ〔英国の歌手〕に恋をしているって聞いたぞ。現代の『宮廷恋愛』の好例だな。手の届かないものだから」と言って、生徒に理解させる(1枚目の写真)。その時、教室のドアが開き、校長のクルトワ〔冒頭で、ヴァレリーが喫煙魔を演じていた〕が、エリアスの向かいに引っ越してきた少年を連れて入ってくる(2枚目の写真)。そして、「転校生のアレクサンダー君です」と紹介する。教師は全員を起立させ、「アレクサンダー、来てくれて嬉しいよ。君たち、新しいクラスメイトだ。初めての日だから、みんなで助けて」と指示する。


昼休みの時間。アレクサンダーが狭い校庭に1人で立っていると、ヴァレリーやエリアスの入っているグループの1人が 「新入りは一人ぼっちだ」と指摘する。すると、黒人混血の少女ゾーイが、「じゃあ、私、連れて来るわ」と言ってアレクサンダーに寄っていく(1枚目の写真)。それを見たグループの子が、「すごい。彼女はいつも新入りと打ち解ける」。「人と接するのが得意なのよ」。「2人がこっちへ来るよ」などの声が上がる。ゾーイは、「みんな、アレクサンダーよ。これからは私たちのグループ」と言って紹介すると、そこにいたメンバーを紹介する。「ヴァレリー、エリアス、マテオ、そしてルーカス」〔マテオは黒人の男の子、ルーカスはエリアスと仲のいい太った男の子〕。すると、アレクサンダーがエリアスを見て 「僕たち、もう知ってる」と言ったので(2枚目の写真)、エリアスも 「彼は隣に住んでる… 通りの向かいにね」と言わざるを得なくなる。ヴァレリー:「どうして、先に言わなかったの?」。「何となく」(3枚目の写真)。マテオ:「前はどこに住んでたんだ?」。「ブリュッセル」。ゾーイ:「フランス語は話せる?」。「うん」。ルーカス:「何か言ってみて」。「ボンジュール」。よりによって、誰でも知っている単語を言ったので、「面白い子」と評価される。マテオ:「なぜこんなトコに引っ越したんだ?」。ルーカス:「『こんな』?」。「田舎だろ」。「父がここで新しい仕事に就いたから」。「お母さんは?」。「数年前に死んだ」。「かわいそう」。



午後の授業はスポーツ。学校は3時に終わり、エリアスが自転車を漕いでいると、後ろからアレクサンダーが接近してきて、「やあ」と声をかける(1枚目の写真)。2人は仲良く並んで走る。「ここ、いいトコだね」。「そんなに違う?」。「ここには畑がいっぱい。ブリュッセルには ないだろ」。すると、路端で果物を売っているおばさんがいる。「あれってイチゴ?」。「うん。イチゴとチェリー。食べたい?」。結局2人は、チェリーを1箱買って、水辺の草の上で食べながら話し合う。「今日はどうだった?」。「まあまあ。ちょっと怖かった」(2枚目の写真)「新しい学校だから、友達がいない」。「ママが死んだのって昔?」。「うん、9歳の時。今は パパと妹と僕だけ。でも大丈夫。転校生を受け入れるって難しいと思う。でも、ゾーイは本当にいい子だ」。「優しいから。マテオとゾーイが ラブラブなのに気づいた?」。2人でニコニコした後、重要な会話に移っていく。エリアス:「恋をしたことある?」。「うん」。「それで? どんな感じ?」。「最高の気分」(3枚目の写真)。アレクサンダー:「君は まだ?」。「ないと思うよ」。「ヴァレリーと付き合ってるんだよね?」。「うん」。「それなら、どんな感じか分かるだろ?」(4枚目の写真)。「分からない」〔ヴァレリーと一緒にベッドで寝ていても、恋人だとは思っていない〕。「君は誰かいるの?」。「ううん。去年はいたけど」。「彼女の名前は?」。「女の子じゃなくて男の子だよ。アルテュール」(5枚目の写真)〔なんだゲイか、という複雑な表情〕。ここで2人は別れ、アレクサンダーは家に、エリアスは祖父の農場に向かう。





エリアスが祖父の農場から帰ってくると、自宅の庭にテーブルが置かれ、そこに一家3人と、引っ越して来た隣人3人が座っていて、エリアスに気付いた母が、「ハニー、帰ってきたのね」と笑顔で話しかける(1枚目の写真)。そして、「うちの末っ子です」と相手に紹介する。エリアスは、「アレクサンダーは僕と同じクラスだよ」と母に言うと、母は 「よかったわね」と笑顔になる。父は、妻の横に座っている長男のマキシムに、「電話 貸してくれ。私の歌を聴かせたい」と声をかける。「自分の使えば?」。「充電中だ」(2枚目の写真)。父は、マキシムのスマホを手に歌い始める。「♪ある日曜の のんびりした時、あなたのことを ふと思い出した」〔『初恋』とは違う〕。マキシム以外は楽しんで聴いていたが、マキシムは急に席を立つと、「バカげてる」と言ってスマホを取り上げる。次に父が、「シャンパンのボトル、持って来てくれないか?」と言うと、マキシムは 「自分でやれよ」と拒否。客の前で恥ずかしいので、夫がボトルを取りに行っている間、妻は立ち上がって、自家菜園製のデザートをアレキサンダーの父マルクに勧める。戻って来てボトルを開けた父は、「新曲と、新しい お隣さんに。健康を祈って」と言って全員で乾杯する〔子供3人は、もちろんジュース〕。歓迎会が終わると、エリアス、アレクサンダー、妹のエラの3人は、アレクサンダーの家に行く。夕方なので、エラがパジャマに着替えるのをアレクサンダーが見に行っている間、一人になったエリアスは、1階の部屋を見回していて写真立てを見つける。戻って来たアレクサンダーに、「これ、君のママ?」と訊く。「そう」(3枚目の写真)。そのあと、アレクサンダーが、エリアスを横に座らせて、ピアノをほどほどに弾く場面がある。ピアノに触ったことのないエリアスは、感心して弾くのを見ていて、自宅の戻ると、鍵盤と指の絵を鉛筆で描く〔エリアスは、それなりに絵が上手〕。



翌火曜日、エリアスが学校に行くと、グループ4人が集まり、ヴァレリーが、何かを手にしながら、「ホントに悪辣ね。こんなエゲツないことするなんて。サイテーだわ」と批判している。エリアスの姿を見ると、ヴァレリーは手に持っていたものを、裏返す。エリアスが、「何なの? それ何?」と訊くが、「別に何も」としか言わないので、手に持っていた紙を取り上げて見てみると、それは雑誌の表紙。全面の7割にエリアスの一家の写真が掲載され、下には、「独占インタビュー/『初恋』」と印刷されている。問題なのは、写真に手書きで書き込まれた文字と絵。一番上に「最低(SUCK)」、父の額に「ペニス(LUL)」、母の目に眼鏡、マキシムの目に独眼帯、エリアスに向かって大きなペニスが描かれ、先端から精子が頬に飛んでいる(1枚目の写真)。エリアスが 「どこに?」と訊くと、「自販機の上」。そして、「フォン・ダーレ先生に話すべきじゃ?」との声も出る。そこに、アレクサンダーがやって来て、エリアスに 「どうしたの?」と訊く。すべてアレクサンダーのせいだと思ったエリアスは、口もきかずに、一人でトイレに向かい、個室に閉じ籠ると、もう一度、雑誌の表紙をじっくりと見て、衝撃を新たにする(2枚目の写真)〔この映画で、唯一の疑問点。エリアスとアレクサンダーが一緒だったのは田舎道での一度だけで、その時には何も起きなかったのに、なぜ、このような過激な絵が描かれたのかが、全く理解できない。映画のもっと後に回すべきだった〕。エリアスを心配して後を追って来たアレクサンダーは、エリアスが個室から出て来ると、「前の学校でも、僕、2人の生徒から虐められてた。だから柔道を1年習った」と打ち明け、「奴らが誰だか分かったら、ぶっ飛ばしてやる」と慰める。それを聞いても、エリアスは 「奴ら 最終学年だ、とても敵わないよ」と諦めたように言う〔最終学年の「奴ら」と2人が遭遇する場面は、この時点ではゼロなので、何度も書くが 合点が行かない〕。



あんなことがあった直後なのに〔ちょっと不自然〕、2人は自転車で仲良く野道を走り、祖父の農場に向かう(1枚目の写真)。農場に着くと、アレクサンダーは、「農場に来たこと一度もない」と打ち明ける。「一度も?」。「うん」。その言葉に、エリアスは、祖父に 「ちょっと見せていい?」と断り、アレクサンダーを納屋に連れて行く。そこには、敷き詰められたワラの上に7匹の子豚がいた。エリアスは、さっそく、「抱いてみる?」と訊く。「いいの?」。「もちろん」。エリアスは、おとなしそうな子豚を選んでアレクサンダーに渡す(2枚目の写真)。そして、顔を見せた祖父に、「おじいちゃん、彼 アレクサンダー。新しい隣人だよ」と紹介する。農場からの帰りも2人は一緒だが、家に近づくと、最終学年の悪ガキどもが道路で遊んでいたので、エリアスは、急にスピードを上げると、一人になって悪ガキどもの前を通過し(3枚目の写真)、家の敷地に入って行く。



その日の夜、エリアスの部屋に父が入って来ると、「ちょっと話したいことがある」と言ってベッドに腰かけ、机に向いてイスに座っているエリアスと目線を合わせる。「お前の兄貴は真剣に交際してる。そして、お前はヴァレリーだ。まだ若すぎるんだが、ママに頼まれてな。もし何かする場合は…」(1枚目の写真)「私の知ったことじゃないが、気をつけるんだぞ」(2枚目の写真)〔父は、ヴァレリーとの早過ぎるセックスを心配している〕。エリアスは、「パパ、そんなんじゃない」と、明確に否定する。


翌日、学校の昼休みの時間。グループのミーケがアレクサンダーと楽しそうに話しているのを、エリアスがじっと見つめている。エリアスは芝生の上に足を投げ出して座り、腰の上にヴァレリーが頭を乗せて寝転がっている。本来なら甘い男女の関係にも見えるが、エリアスにはその気が全くない。ヴァレリーが 「願い事して」と言って、親指と人差し指を「何かつまんだ」ような形にして、エリアスの口の前に差し出しても、彼女の手を持ってフッと吹いた後は、またじっとヴァレリーを見ている(2枚目の写真)。


学校が終わって、前日のように、エリアスとアレクサンダーが並んで自転車を漕いでいると、途中で会った4人組の悪ガキが、「おい、ゲイ・カップル(gaylords)、気を付けて帰れ」と笑う。怒ったアレクサンダーは、20mほど離れた所に置いてあった4人組の自転車の前を通った時、足で蹴って自転車を倒す(1枚目の写真)。怒った年上の連中が走って追いかけて来たので、全力で自転車を漕いで振り切る。エリアスは、昔、祖母と一緒に絵を描きに来た 「誰も住んでいない館」に アレクサンダーを連れて行く(2枚目の写真)。「まだ誰か住んでるの?」。「ううん」。「すごいでしょ?」。「うん」。興味を持ったアレクサンダーは、城にあるような巨大な煉瓦の門柱の真ん中にある鉄の門扉まで行き、鍵がかかっていないので門扉を開けてしまう。「入っちゃダメだよ」。「ちょっとだけ見るだけ」。「もし誰か来たら?」。エリアスの心配は無視し、アレクサンダーは勝手に中に入って行く。エリアスも、仕方なく後についていく。アレクサンダーは、館の窓まで行くと、押して開けようとするが開かない。しかし、その隣の大木の枝の陰にある窓は簡単に開いてしまう。「入ろう」。「アレックス、やりすぎだ。行こうよ」。結局、2人は中に入って行く。しばらくして決闘ごっこを始めるが、外から 「ここだぞ」という声がする。4人組が追ってきたのだ。それを聞いた2人は、テーブルの下に潜り込んで隠れる。テーブル・クロスが床まで下りているので、外から2人は見えない。エリアスは 「僕たち、見つかっちゃうよ。絶対」と心配するが、アレクサンダーは 「しーっ」と黙らせる(3枚目の写真)。幸い、館に侵入した4人組は2階に上って行ったので、1階にいた2人は大急ぎで逃げ出す。



2人は、そのまま池のほとりまで行く。そして、シャツとズボンを脱いでパンツ1枚だけになると、池に飛び出た倒木の先端まで行く(1枚目の写真)。アレクサンダーは、振り向いて 「準備はいい?」と訊くと(1枚目の写真)、いきなりパンツを降ろし、全裸になって飛び込む(2枚目の写真)。エリアスは、アレクサンダーにようにはできないので、そのまま飛び込む。水の中で2人はじゃれ合うように遊ぶ(3枚目の写真)。



次のシーンでは、土砂降りの中を、2人は自転車を漕いで近くの倉庫のような所に逃げ込む。服がべとべとなので、震えているようなエリアスを見て、アレクサンダーが 「寒いか?」と訊く。「少し」(1枚目の写真)。「待って、いい手を知ってる」。そう言うと、アレクサンダーはエリアスに後ろを向かせ、背中に両手を袋状に宛て、そこに息を吹き込む(2枚目の写真)〔息で暖める〕。「良くなった?」。「うん」。2人はじっと向き合う(3枚目の写真)。すると、アレクサンダーは、いきなりエリアスの口にキスする(4枚目の写真)。エリアスは抵抗せずに、笑みまで浮かべたので、アレクサンダーは受け入れられたと思う。




しかし、実際はそうではなく、自転車を自宅の物置に置いたエリアスの顔には、恐怖と後悔が見て取れる(1枚目の写真)〔「アレクサンダーは好きだ。でも、愚かにも、一線を越えてしまった。恥ずかしい。これから、どうしたらいいんだろう」とでもいった、複雑な感情〕。エリアスは、自分の部屋に行き、鉛筆でアレクサンダーの顔を描いている。その時、母が部屋を覗き、「お腹空いてない?」と訊く。「ううん」。母は、元気のない息子が心配になり、部屋に入って来て、スケッチを見て 「上手ね」と褒めると、隣に座り 「大丈夫?」と訊く〔フランス語の Ça va を使っているので、このあまりにも有名なフランス語の表現は、フラマン語圏でも普通に使われている〕。「うん」。「ホントに?」。「うん」。「なぜ何も話さないの?」。「返事してるじゃん」(2枚目の写真)。「ハニー、返事してるけど、何も話さないじゃない」「何か食べなさい。空腹のまま寝ちゃダメ」。「うん」〔結局、ショックは大きく、何も話せなかった〕。


週末。グループは、プールのあるヴァレリーの家に集まっている。エリアスがルーカスと車の話をしていると(1枚目の写真)、ヴァレリーが、アレクサンダーがやって来たのを見て立ち上がる。マテオ:「彼も呼んだの? いいね」。女の子:「彼って すごくカッコいい」。ヴァレリーに連れて来られたアレクサンダーは、エリアスの隣に座る。すると、ヴァレリーが全員に向かって話しかける。「数週間後に私の誕生日があるんだけど、いいアイデアがあるの。最高のパーティーにしたいのよ。テーマは 「有名なコンビ」(2枚目の写真)〔2人の表情に、キスした時の甘さは微塵もない〕。ゾーイ:「クールね」。「誰の仮装にしようかな?」。マテオ:「コショウと塩とか?」。ゾーイが笑う。マテオ:「ホントのコンビだろ?」。「優勝は無理ね」。ヴァレリー:「一番上手なコンビには賞品があるわ」。ゾーイ:「クールね」。ヴァレリー:「泳ぎましょうか?」。アレクサンダー:「いいよ」。女の子1:「その賞 ホントに勝ち取りたい」。女の子2:「最高にカッコいいパーティーね」。ゾーイ:「ねえ、彼ってすごくハンサムね」。マテオ:「何、言っているんだい?」。ゾーイ:「なぜ、言っちゃダメなの?」。マテオ:「認めるよ。彼はハンサムだ。でも、そんなこと言ったら変だよね」。「どうして?」。「男同士だろ」 (3枚目の写真)〔この言葉に、エリアスは敏感に反応する〕。ゾーイ:「あんたって時々ホントにバカね。そんなこと言うなんて」〔男同士を許容したジーイの発言に、エリアスは一層悩む〕。



夕方が近づき、辺りが暗くなり始める。ミーケが、ビールの小瓶を取り出し、みんなに見せる。ヴァレリーが 「それビール?」と訊くと、「おばあちゃんのガレージから」という返事。女の子1:「ビールもお酒も飲んだことないわ」。ヴァレリー:「ママに見つからないようにしないと」。ビンを最初にもらったのは、ヴァレリー。ミーケは、次々とビールの栓を開ける。しかし、アレクサンダーに渡そうとすると、「行かなきゃ」と断られる。ヴァレリー:「どういう意味? 今夜は泊まらないの?」。「ううん、パパが待ってる」。その会話を、複雑な思いでエリアスが聞いている(1枚目の写真)〔ヴァレリーがアレクサンダーに気がありそうなのも気になるし、アレクサンダーが帰ってしまうのも残念だし…〕。アレクサンダーは、「月曜に会おう」と言って、一人去って行く。そのあと、みんなはビールを飲み、エリアスも恐らく初めてのビールを大量に飲む(2枚目の写真)〔やけっぱち?〕。


その夜、エリアスはヴァレリーと枕を並べてベッドに横になる。ヴァレリーは、スマホを見ながら、「決まりね。私は天使で、あなたは騎士」と言い、スマホをエリアスにも見せて、「私が観た映画から撮ったんだけど、どう思う?」と訊く(1枚目の写真)〔そこに映っていたのは、後で出て来るが、レオナルド・ディカプリオとクレア・デインズの『ロミオ+ジュリエット(1996)』。映画の中のパーティで、ロミオは甲冑、ジュリエットは天使に仮装する〕。エリアスは 「いいね」という気のない返事。ヴァレリー:「今日は楽しかった?」。エリアスは頷く。ヴァレリーは、「ぐっすり眠ってね」と言うと、エリアスの頬にキスし(2枚目の写真)、電気を消す。


エリアスは眠らずに、ヴァレリーが寝るのをじっと待っている。そして、ヴァレリーが寝てしまうと、ベッドから抜け出し、真夜中の町を自転車で疾走し、アレクサンダーの家に向かう。そして、2階の窓の下まで来ると、「アレックス」と略称で2回呼びかける(1枚目の写真)〔窓は閉まっておらず、カーテンだけかかっている〕。しかし、起きてこないので、今度は小さな石を拾って窓か壁に向かって投げる。2回目でカーテンが開き、アレクサンダーが顔を見せ 「待ってて、今行く」と小声で言う。そして、下着姿のアレクアンダーがエリアスの前に現われ、「何の用?」と訊く(2枚目の写真)。エリアスは、アレクサンダーにキスしようとするが、彼は両手でエリアスの胸を押え、キスさせない(3枚目の写真)。その時、アレクサンダーの父が、「アレックス?」と呼ぶ声がしたので、エリアスはすぐにいなくなる〔この重要なシーンの解釈は難しい。アレクサンダーがエリアスのキスを拒否したのは、最も直接的には、①エリアスが酔っ払っていたため、そして、②パーティの最中、エリアスがアレクサンダーを避けていたことも根底にある。すなわち、③エリアスのアレクサンダーに対する感情がまだ不安定で、もしここでキスを受けてしまったら、そしてエリアスの酔いが覚めたら、エリアスはきっと後悔し、2人の間に新たな障壁が生まれるかもしれない。アレクサンダーはその可能性を怖れたから。それくらい、アレクサンダーはエリアスが好きだった〕。エリアスは、家に帰るとキッチンに行き、まず水を飲み、そのあと何度も吐く〔そのくらい酔っていた〕。



翌月曜の朝。寝過ごしたエリアスが教室に入って行く(1枚目の写真)。1回目の無断遅刻の対応は緩やかで、「すみません」。「いいよ。座りなさい。340ページ、夢についての課題だ」で終わり。席に着いたエリアスに、ヴァレリーが 「なぜ出てったの?」と訊く〔夜の間に勝手にベッドから出て行ったので、問い詰められて当然〕。「気持ち悪くて」(2枚目の写真)。みんなでビールを飲んだので、この言葉で許してもらえた。


授業が終わってから、グループが集まって遊んでいる。しかし、エリアスだけは遊びに参加せず、つまらなさそうに孤立している(1枚目の写真)。そして、立ち上がると、みんなから離れて近くのガレージ(?)に入って行き、壁にもたれて考え込む(2枚目の写真)。すると、エリアスの様子に気付いていたアレクサンダーが入口に現われ、エリアスの前までやって来る。エリアスは、じっとアレクサンダーの目を見つめる(3枚目の写真)。その間、2度、アレクサンダーの唇を一瞬チラと見てキスしようかと考えるが(4枚目の写真)〔3枚目とほとんど同じ映像。映画を観ているだけでは気付きにくい〕、結局キスはやめて、アレクサンダーの肩に顔をぴったりと付け、「君と一緒にいたい」と囁く(4枚目の写真)〔エリアスは、昨夜の愚行を反省し、アレックスが快く受け入れてくれるまでキスはしまいと決断した〕〔この姿勢は、相手を信頼している、心を許しているというサイン〕。





2人ともいなくなったので、それに気付いたヴァレリーがガレージの入口に現われ、「何してるの?」と詰問する。2人はびっくりしてヴァレリーの方を見る(1枚目の写真)。何も言わずに黙っている2人を見て、現実を悟ったヴァレリーは愕然として立ち去る。ヴァレリーに申し訳ないと思ったエリアスは後を追う。しかし、それまで好きだったエリアスに裏切られて絶望したヴァレリーは、リュックを背負うと自転車に乗ろうとする。エリアスは、その前に立って止めようとするが(2枚目の写真)、ヴァレリーは何も言わずに自転車の向きを変え、去って行く。何が起きたのか分からないグループのメンバーからは、「どうしたの?」との声が上がるが、エリアスは、それには応えず、リュックを背負うと自転車に乗り、アレクサンダーにも何も言わずに(3枚目の写真)、去って行く〔ヴァレリーの後を追うわけではない〕。



エリアスが一人になって、これからどうすべきか真剣に考えていると(1枚目の写真)、そこに、アレクサンダーがやってきて、いきなり、「ブー」と言って驚かす〔アレクサンダーは、①日曜の夜の一方的な拒絶に対する反省、②エリアスとの関係を大事にしたいという切望から、後を追ってきた〕。そして、すぐ横に座るが、エリアスの表情がより自棄的なものに変わっただけ。それを見たアレクサンダーは、「僕、明日ブリュッセルに行くんだ。もしよかったら、一緒に来てもいいよ」と声をかける(2枚目の写真)。それでもエリアスの表情が冴えないので、「ねえ」とエリアスをつつく。エリアスは 「やめて」と体を避けるが、必ずしも嫌な顔ではない。そこで、もう一度 「ねえ」とつつき、エリアスは 「やめてよ」と言いながら、笑顔になる。うまくいきそうだったのに、そこに、エリアスの父からスマホに電話がかかり、「エリアス、どこにいる? 始めるぞ。お前とヴァレリーは、ここにいるハズだった」と叱られる(3枚目の写真)。



場面は、父のコンサートに変わり、熱狂的な拍手の後、司会が出て来て 「親愛なる皆さん、よろしいですか。今日、皆さんは、この素晴らしい瞬間に立ち会うことができます」と前置きすると、「親愛なるルーク、『初恋』が ゴールドディスクを獲得しました!」と言って、大きなプレートを出して見せる(1枚目の写真)。大事なところを邪魔されたエリアスは、ヴァレリーは当然いないので、一人で憮然として受賞を見ている(2枚目の写真)。スマホに着信音があったので見てみると、ヴァレリーからのメールで、「もう私を放っておいて!」という冷たいものだった(3枚目の写真)。今まで一番の友達だったので、何とかならないかと電話をかけてみるが、留守録になっていて取り付く島もない。そこで、頭を切り替え、アレクサンダーに電話をかける。「アレックス? 僕、明日 行くよ」(4枚目の写真)。満面の笑顔だ。




映画の中で、ここは架空の町なのだが、この映画には熱心な若いファンが山ほどいて、撮影箇所をすべて探して紹介しているファンがいた。それによれば、アレクサンダーの家があるのはウェッテレン(Wetteren)という町(1枚目の写真がアレクサンダーの家)で、ブリュッセルの37km西北西にある〔ヘントのすぐ近く〕。ブリュッセルまでの乗車時間は41分。2人は仲良く電車に乗ってブリュッセルに向かう(2枚目の写真)。アレクサンダーが最初に連れて行ったのが、小便小僧(3枚目の写真)。世界的に有名な割に、あまりに小さいので、エリアスの印象は 「これだけ?」(4枚目の写真)〔ある日本のサイトで、「世界三大がっかり名所」として、小便小僧とコペンハーゲンの人魚姫が挙げられていた。両方とも私は見たことがあるが、確かにがっかりした〕。




そのあと、世界遺産に登録されているグラン=プラス(Grand-Place)の上部がずっと映され(1枚目の写真)、生まれて初めて見る華麗な広場にエリアスが見とれていると、記念写真の撮影をアルバイトにしている禿のおじさんが寄って来て、「どうだい、写真を撮ろうか?」と声をかける(青字はフランス語)。アレクサンダーはすぐにOKし、エリアスの肩を抱いて笑顔になる(2枚目の写真)。インスタントカメラでできあがった写真を買うと、アレクサンダーは 「君にあげる」と言って、エリアスに渡す。「いいの?」。「うん」(3枚目の写真)。「ありがとう」。



エリアス向けの観光が終わると、アレクサンダーは本来の目的だった伯父と伯母に会うため、2人が経営しているキャバレーに向かう。久し振りの突然の訪問に、伯父と伯母は大喜び。2人に抱きしめられたあとで、アレクサンダーは、「一緒に来た子がいるんだ。僕のボーイフレンド(petit ami)だよ」と言って、エリアスを紹介する(1・2枚目の写真)。ベルギーのフラマン語圏の中学ではフランス語が必須なので、エリアスは会話の内容は理解できるが、肝心な単語が理解できなかったので、「プティ・アミ(petit ami)ってどういう意味?」と訊く(3枚目の写真)。しかし、従姉がアレクサンダーに話しかけてきたので、返事はもらえなかった。



そのあと、キャバレー内の本格的な舞台の上で、アレクサンダーは旧知の歌手レディ・ラナと会う(1枚目の写真)。そして、リハーサルが始まる。「♪私は諦めた人々を見る。人生が全くの無意味であるかのように」。エリアスの父の歌とは真逆の暗さだ。歌はこちらの方が上手。歌が終わり、キャバレーから出て行く時、エリアスは 「ちょっと待って」と、アレクサンダーの手を取って振り向かせる。2人は、向かい合う。アレクサンダーが 「何だい?」と訊くと、エリアスは笑顔のまま、アレクサンダーの唇にキスする(2枚目の写真)。そして、「君のプティ・アミだろ」と言って微笑む(3枚目の写真)〔プティ・アミの意味をどうやって知ったのかは不明だが、このキスは、お互いが相手と継続的な関係を築く意思があることを示すという意味で重要〕。



2人が大幅に遅刻して教室に入って行くと(1枚目の写真)、教師は、「やっと来たか? とっくに始まってるから、席に着きなさい。エリアスは これで2回目だ。3回目は校長室だな」と、以前より遥かに厳しい。そして、ヴァレリーは他の女生徒と一緒に座り、エリアスなど見ようともしない(2枚目の写真)。


次は、体育館の中でのバスケットの試合のシーン。アレクサンダーの活躍で(1枚目の写真)、このボールはゴールネットに入る。アレクサンダーは、笑顔で 「見てたか?」とエリアスに訊き、エリアスを抱き締める。しかし、公然と男の子に抱かれているのを恥かしいと思ったエリアスは(2枚目の写真)、突き放すようにアレクサンダーから別れると、他の生徒達と一緒になって勝利を祝う。アレクサンダーは、プティ・アミを表明したエリアスの態度にがっかりする(3枚目の写真)。



試合の後、トイレで向かい合った2人の重要な会話。アレクサンダー:「僕のこと好き?」(1枚目の写真)。「もちろん。ただ、僕たちのこと 誰にも話題にされたくない」。アレクサンダーは、「そんなこと どうだっていい!」と怒る(2枚目の写真)。すると、エリアスは黙ってしまう。「何か言えよ」。「ここには、男の子に恋する男の子なんていない」(3枚目の写真)。「僕のせいで、恥かしい思いをさせたくない」。「僕、一体どうしたら? ヴァレリーは、僕を見ようともしない」。「どうして急に そんなコトを?」〔アレクサンダーは、エリアスが自分のボーイフレンドになった段階で、昔のガールフレンドのことなど忘れたと思っていた〕。エリアスが黙っていると、アレクサンダーは 「僕は、辛い体験をしてきたんだ」と言って立ち去る〔アレクサンダーには、エリアスの悩みが100%できていない。自分が辛い体験をしたのなら、エリアスの不安を理解し、そうした体験をさせないようにするのが、努めだと思うのだが〕。



ここで、シーンはがらりと変わる。エリアスが家に帰ると、母が 「ハニー、帰ったのね。もうすぐ終わるから」と、ヴァレリーの誕生会用のコスチュームをミシンで縫いながら言う。それに対し、エリアスは 「行かないよ」と答える。「どうして?」。「別に」。「楽しみにしてたじゃない。どうしたの?」。「何でもない」。「ヴァレリーとケンカしたの?」。「ううん」〔明らかな嘘〕。「ねえ、ハニー。最近、どこか変よ」。そう言われた時のエリアスの顔を見た母は、「そんな悲しそうな顔してるの、見るの辛いわ」と告げる。エリアスは、悲しそうな顔をやめて母をじっと見る(1枚目の写真)。「せめて試着してみて。午後ずっと作ってたのよ」。その言葉に負けて、エリアスは騎士の甲冑を着てみる(2枚目の写真)。「とっても素敵よ。行って、楽しんでらっしゃい。お友達もみんな来るんでしょ?」。


結局、エリアスはヴァレリーの家に行くことにする。そして、ドアを開けたヴァレリーに、笑顔を見せる(1枚目の写真)。天使の格好をしたヴァレリーは、自分がかって言った「私は天使で、あなたは騎士」の言葉通りの姿で現れたエリアスを見て、笑顔になる(2枚目の写真)。そして、にこにこしながらドアから外に出て来る。それを見たエリアスは、ヴァレリーの唇にキスし(3枚目の写真)、キスが終わると、最高の笑顔を見せる(4枚目の写真)。ヴァレリーは、エリアスが元に戻ったと喜び、手をつないで中に入って行く。




しかし、ヴァレリーによって、グループのメンバーのいる庭に連れて来られて一人になると、エリアスの笑顔は消える(1枚目の写真)。何と言っても、ジョーカー(?)に扮したアレクサンダー(2枚目の写真)がいたから。そのすぐあと、キッチンでの2人の会話になる。アレクサンダー:「君は騎士だ」。エリアス:「『ロミオ+ジュリエット』のレオナルド・ディカプリオだよ。観たことないんだ」。「僕もだ。ところで、君はヴァレリーと ここにいる」(2枚目の写真)。こう不満をぶつけると、アレクサンダーはキッチンから出て行く〔二股をかけたように見える態度を批判した〕



夜になり、パーティの参加者は、ボトルゲームを始める。ネットの簡潔な説明を引用しよう。①全員で輪になる。②輪の中央に寝かしたビンを、順番に回転させる。③瓶を回した人は、回転が停止した時、瓶の口が向いている人とキスをする。最初のシーンでは、どちらがビン回したのかは分からなかったが、結果として男女がキスすることになった(1枚目の写真)。次にビンを回したのはアレクサンダー。そして、ビンの口はトーマスを向く(2枚目の写真)。ヴァレリーは 「もう一回 廻して」と安全策を取るが、アレクサンダーは 「構わないよ」と言い、トーマスも 「そうか」と言い、2人はキスする。女の子達からは、「とっても可愛いわ」。「本当にやったんだ。クールね」という声が上がる。しかし、それを見たエリアスの顔は凍り付き、何も言わずに立ち上がると、さっさと出て行く〔エリアスは、アレクサンダーが他の男の子と平気でキスしたのを見て激怒した。①アレクサンダーが、最初にエリアスにキスした時も、こんな軽い気持ちなのかと疑った。②そんなアレクサンダーに、ブリュッセルで、心を込めてキスした自分に腹が立った。③アレクサンダーとつき合う中で信頼関係が生まれたのに、今後それをどうしていいか分からなくなった。④自分はゲイと思われる危険性を覚悟して付き合っているのに、何と軽率なんだという軽蔑。⑤自分のことは、みんなにバレないだろうかという心配、など様々な要因が重なった末の行動〕。



全員が立ち上がってエリアスの後を追うが、エリアスは照明もない暗闇の中に逃げて行く(1枚目の写真)。「エリアス、待って」の声に振り向いたエリアスは、涙を浮かべながら、「僕は彼とは違う。ゲイじゃない」と言うが(2枚目の写真)、ヴァレリーは 「バカな真似はやめて。アレクサンダーも私たちの友達よ」と擁護する。エリアスは、アレクサンダーに向かって、「君がブリュッセルから来なけりゃ、こんなコト起きなかった」と叫び(3枚目の写真)、それを来たアレクサンダーは、猛然と立ち上がると、「くたばれ、エリアス!」と怒鳴る。エリアスの行動に呆れたヴァレリーは、さっといなくなる〔こうしたエリアスの行動について、AIは、「①キスとそれに続く注目により、エリアスは自分がゲイだと暴露されることを恐れ、パニックに陥り、本当の気持ちを否定するよう行動した、②彼はアレクサンダーに友情を抱いていたが、一方で、自分の感情に基づいて行動すれば彼の友情を失う可能性があり、その間で板挟みになっていると感じていた、③これらの強い感情(魅力、混乱、恐怖、潜在的な嫉妬)の組み合わせにより、圧倒されてしまい、それが怒りや立ち去りたいという願望として現れた」と分析している〕。



ヴァレリーの家から逃げ出したエリアスは、夜の町を全速で走り、祖父の農場の納屋に行き、ワラの山を背にして座り込む。何かがいることに気付いた祖父が様子を見に来てエリアスを発見し、「まさか」と驚くと、「ここで何してる?」と訊く。しかし、見つめられるだけで、ヴァレリーの家から逃げ出したエリアスは、夜の町を全速で走り、祖父の農場の納屋に行き、ワラの山を背にして座り込んだ。何かがいることに気付いた祖父が様子を見に来てエリアスを発見し、「まさか」と驚くと、「ここで何してる?」と訊く。しかし、エリアスは見つめるだけで何も言わないので、祖父は孫の横に座り込むと優しく抱きしめ(1枚目の写真)、エリアスは泣き出す(2枚目の写真)。朝になり、エリアスは、祖父によって いつの間にかベッドに寝かされていた。目が覚めたエリアスは、スマホを手に取ると、「アレックス、ごめん」とメールを送る(3枚目の写真)。



母の声が聞こえたので、エリアスが窓から覗くと(1枚目の写真)、祖父が、母に向かって、「大丈夫だよ、誓う。大丈夫だよ、ナタリー。心配するな」と言い、荷物を受け取って家に入って行く(2枚目の写真)。


「みんな怒ってる?」。「いいや。誰も怒ってなんかおらん。数日間ここにいると言っただけだ」。「消えてしまいたい」(1枚目の写真)。「そうだな。わしもそうしたい。2人だけで、アルデンヌ〔ベルギー南東部(フランス語圏)〕に行かないか?」。「学校は?」。祖父は、エリアスの額を手で触る。「こんな高熱じゃ学校には行けん」〔学校を休むための嘘〕。そして、次のシーンでは、2人はアルデンヌに向かう旧式の客車に乗っている(2枚目の写真)。エリアスは、スマホを取り出すと、アレクサンダーに 「また会いたいよ」とメールを送る(3枚目の写真)。



祖父は、昔、祖母とハイキングに来た時に泊ったホテルに行き、女性のオーナーと感激の再会。「ほら、これが わしの孫だ」とエリアスを紹介すると、オ-ナーは 「やっと会えたわね、エリアス。 おばあちゃんのレオニーによく似てるわ」と言いながら両手でエリアスの頬に触れながら(1枚目の写真)、「彼女があなたのこと、とても好きだったって知ってた? 当然よね。あなたすごく可愛いし、目が素敵だもの」と歓迎する。祖父と会話が弾んでいる間、エリウスは一人であちこち見て回るが、壁に何枚も貼ってある写真の額縁の一つに、祖母が祖父に甘えるように頭をくっつけている写真を見つけてほほ笑む(2枚目の写真) 。


部屋に行って、ベッドに横になってスマホを見ようとしたエリアスは、祖父に、「食前酒はどうだ?」と訊かれる(1枚目の写真)。「いらない」。「じゃあ、何がしたい?」。「死にたい」(2枚目の写真)。この悲壮な言葉に対する祖父の返事が素晴らしい。「そうか。死んだ後で わしと会いたかったら、テラスにいるからな」(3枚目の写真)。



食事が済むと、2人はさっそくハイキングに出かける。祖父は、歩きながら、「おばあちゃんに会った頃は、週末に よく車でここに来たな」と言うが、若いから選んだようなハードなコースだ(1・2枚目の写真)。登り切って、何の変哲もない場所の木のベンチに座ると、祖父は、「彼女の お気に入りの場所だった。彼女が亡くなると… ここに来る勇気がなくてな」と、思い出を語る(3枚目の写真)。「いなくなって寂しい?」。「ずっとだ」。



映画の終盤の第一のピークの場面。エリアスは祖父に悩みを吐露する。「アレクサンダーは、恋に落ちることは この上ない最高の感情だって」「僕、寝る時、朝起きたら… 何もかも元に戻っているといいなって、時々思うんだ… アレクサンダーが いなかった時に」(1枚目の写真)「ヴァレリーを好きになろうとしたんだ。彼女と恋に落ちたいなって」「僕、愛する人を みな傷つけてきた」。祖父は、「心配せんでいい。誰にでも間違いはある」と言うと、自分が一番楽しかった時の思い出を見せる。それは、座っているベンチの背に彫られた文字。「L+F 1963」。エリアスは、「レオニーとフレデリックだね」と言う。「ああ」と言うと、祖父は、重要なアドバイスを口にする。「今 君がすべきことは、感じていることを楽しむことだ。アレクサンダーに対する感情が、わしが祖母に対して抱いていた感情に似てるなら…」(2枚目の写真)「それは 人生で二度と出会うことのないものだ」〔素晴らしいアドバイスだと、どこにでも書いてあるが、「祖父が祖母に対して抱いていた感情」がどんなものなのか、エリアスに分かるとは思えない。そういう意味では、「孫の希望」を叶えさせるべくした(ある意味、無責任な)発言とも言える〕。エリアスが、グラン=プラスで撮った記念写真を見せると、祖父は 「すごくハンサムだな。君はそうした感情を喜ぶべきだ」(3枚目の写真)「わしが人生で学んだことが一つあるとすれば、それは常に自分の心に従うべきだということだ。頭の中で あまり考え過ぎないようにな」と付け加える〔LGBTQ+として、孫が受けるであろう苦労は無視している〕。エリアスは笑顔になる(4枚目の写真)。




2人の乗った列車がホームに着き、ドアが開いてホームに降り立つと、母が待っている(1枚目の写真)。母は、エリアスを抱き締める(2枚目の写真)。


母は、エリアスと祖父を乗せて、車で自宅に向かう。エリアスは、どうしようかと悩んでいたが、遂に決心して 「ママ、ちょっと停めてくれる?」と頼む(1枚目の写真)。「ここで?」。「うん」。助手席に座っていた兄が 「ママ、僕 バスケに行かなきゃ」と反対するが、母は邪魔にならない場所を見つけて車を停める(2枚目の写真)。


映画の終盤の第二のピークの場面。母:「ハニー、どうしたの?」。エリアス:「話さなきゃいけないことがある。僕… 恋してる… アレクサンダーを」(1枚目の写真)「みんなに どう思われるか分からない。それに、やめようとしたんだ」。「ハニー、やめなくていいのよ。それって、いつから?」。「彼がここに引っ越して来た時」〔もう少し後だと思うのだが…〕。母は運転席を降りて後部のドアを開け、直接対話する。「エリアス、私を見て。ハニー、ママはあなたを愛してる。知ってるでしょ」と言うと、両手で頬を抱く(2枚目の写真)。そして、「あなたが誰に恋をしようと構わない。泣かないで、ハニー。きっと すべてうまくいくわ」と言うと、エリアスを抱き締める。抱擁を解くと、顔を見ながら話しかける。「あなたをとっても誇りに思うわ。私たち みんな、あなたをサポートするから」(3枚目の写真)「なぜもっと早く言ってくれなかったの?」。「怖かったから」(4枚目の写真)。母はもう一度抱きしめる。「あなたのことが大好き。私の可愛い坊や」。そして、エリアスの目から溢れた涙を指で拭いながら(5枚目の写真)、「私はあなたの味方よ」と言う。「家に帰りましょ?」。「うん」。そして、母は出て行く(6枚目の写真)〔これだけの涙を自然に流し、表情もそれに合わせて変化させるのは、子役として実に名演技〕。






エリアスは、まだ涙の溜った目で、横に座った祖父を見上げるが(1枚目の写真)、祖父が笑顔で応えたので(2枚目の写真)、涙を拭き取り笑顔が戻る(3枚目の写真)。



エリアスが車から降りて2階に上がって行くと、父が部屋から出て来て、「おお、帰ってきたな。おじいちゃんの家はどうだった?」と訊く〔妻から、まだエリアスの話は聞いていない〕。「最高」。そして、「出かけるぞ」と言う。「行かない」。「何だと? 収穫祭だぞ。みんな来る」。「パパ、話が…」。「私のCD発売会だから、来なきゃダメだ」。「僕のこと 分かってるの?」。「何言ってる? さあ、準備しろ。すぐ出発だ」。「僕、行かない。今夜は頑張って」。エリアスは、そう言うと、自分の部屋に入って行く。エリアスが、何もすることなく部屋でボーッとしていると、スマホに電話がかかってくる。それは、ルーカスからだった(1枚目の写真、上がルーカス、下がエリアス)。エリアス:「やあ」。ルーカス:「どこにいるんだ?」。「君は?」。「君んちの前。ローレにキスしたい」。「何だって? 今 行く」。友達は、父より大事なので、エリアスは、至急、収穫祭の服装に着替え、ルーカスと一緒に出かける。グループのいる場所まで来ると、エリアスのことを心配していたゾーイが、「本当に心配したわ」と言って(2枚目の写真)、抱き着く。右にいるのは、マテオ。エリアスは、早く声掛けするようルーカスを唆すが、ルーカスは勇気が出なくてなかなか動かない。そのうちに、アレクサンダーの父と妹がやって来るのが見える。そこで、さっそく出て行って 「今日は」と挨拶する。「やあ」。妹は、エリアスに抱き着く。「会えて嬉しいよ」。「アレクサンダーはいないの?」。「一家で一緒に来たんだが、気分が悪くなったみたいで」(3枚目の写真)。お互いに、「また後で」で分かれる。そのあと、グループの全員が二人乗りのバンパーカーに乗って、ぶつかり合って遊ぶ。すると、エリアスは、アレクサンダーが露店が並んでいる前を歩いて行くのを見たので、動いている最中のバンパーカーから無理矢理降り、ヴァレリーのバンパーカーにぶつかって倒れ、助け起こされる。エリアスが 「アレクサンダー 見たんだ」と言うと、エリアスを許したヴァレリーは、「行きなさいよ」と笑顔でバックアップする。しかし、エリアスがどれだけ捜しても、アレクサンダーは見つからない。失望落胆して地面に座り込んでいると(4枚目の写真)、兄が 「エリアス。ここで何してるんだ?」と声をかける。「アレクサンダーを見たと思ったけど、気のせいだった」。「そんなことない。アレクサンダーはここにいる」。「ホント?」。「ああ、バーにいる」。




エリアスは、さっそくバーに入って行く。すると、テーブルの上に置かれた大量の飲み物の前に立っているアレクサンダーを見つけ、アレクサンダーもエリアスに気付く(1・2枚目の写真)。エリアスは、アレクサンダーに近づいていくと、じっと目を見つめる。アレクサンダーが笑顔になったので、エリアスはアレクサンダーの唇にキスする(3枚目の写真)。長いキスが終わると、今度は、アレクサンダーの方が長いキスを返す(4枚目の写真)。これで、2人の愛情は完璧につながったことになる。




バーで歌い終えた父は、2人に気付き、寄って行くと、エリアスの頬に祝福のキスをし(1枚目の写真)、抱きしめる。それを見た母と祖父も喜びに浸る(2枚目の写真)。エリアスは、アレクサンダーの肩に頭を乗せる(3枚目の写真)〔アレクサンダーを信頼し、心を許しているというサイン〕。



エリアスの家の庭での食事会。父が、イチゴを皿に取りながら、マキシムに 「恥ずかしがることない。初めてのキスはどこでやった?」と訊く。恋人のラインが 「覚えてる?」と訊くと、マキシムは 「もちろんだよ」と答えるが、いつだとは言わない〔忘れた?〕。父:「軽々しく聞いてるわけじゃない。新しい曲のアイデアが浮かんだんだ。初めてのキスの歌さ」。それを聞いた祖父とエリアスも笑顔になる(1枚目の写真)。母:「ホイップクリーム忘れたわ」。祖父:「わしが取ってくる」。祖父が席を立つと、エリアスも追って行き、リボンをかけた箱を差し出し、「おじいちゃん、あげる物が」と声をかける。振り向いた祖父は、「わしに?」と訊く。「うん」。「今日はわしの誕生日じゃなかろう? 嬉しいね」。箱の中に入っていたのは、エリアスがアルデンヌのホテルで見た、祖父と祖母の写真をデッザンしたもの(2枚目の写真)。「おまえさんが描いたのか?」。「そう」。エリアスが 「気に入ってもらえた?」と訊くと、「今までもらった中で 一番素敵な贈り物だ」と言ってもらえる。そして、祖父はエリアスを抱き締める(3枚目の写真)。



すると、庭の方から、「今日は」という声が聞こえる。アレクサンダーの姿を見た祖父は、「ほら、会いに行って来い」と、エリアスを行かせる。エリアスが庭に出て行くと、アレクサンダーに、「行こうか」と声をかける。エリアスは、母にキスすると、父に、「後でね」と声をかけ、2人で走って出て行く。2人が向かった先にいたのは、グループの6人。全部で自転車4台、スケボー2台にキックボード1台という構成。それだと8人に足りないが、エリアスはアレクサンダーの自転車の後ろに乗るので問題はない。最後の歌が流れる。「♪私は道に迷い、あなたは靴を。だから裸足で踊ってる。2人の目が合い。唇をこんなに感じるなんて。目を閉じてたって。あなたの顔は目に浮かぶ…」。映画のラストシ-ンは、アレクサンダーに抱き着いて自転車に乗っているエリアス(3枚目の写真)。


