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Gotcha ざまあみろ

オーストラリア映画 (1991)

ダニエル・ダミーコ(Daniel D'Amico)が単独主演するコミカルなショートフィルム。全編でわずか24分しかないが、悪戯の数は多く、すべてを紹介はできなかった。少年が小さな悪戯をくり返す映画は、『ホーム・アローン』のような自宅防衛のように「理由」にあるものを除外すると、『わんぱく旋風』(1963)、『わんぱくデニス』(1993)くらいしか思い当たらない。『Gotcha』での悪戯の密度は、ショートだけあって秒単位で、このようなものは他に例がない。ただ、この映画をユニークにしているのは、開始15分20秒から始まる後半部分の存在。そこで主人公のマルコは失敗を犯してしまい、その結果 最悪の屈辱を味わう。そして、それが映画の題名にもなっている。短時間で、「因果応報」をこれほどまでに明確な形で見せてくれる演出はなかなかのもの〔罰の内容も笑える〕。ただ、購入したDVDはビデオ画質なので、画像をきれいに見せるためPhotoshopを駆使し、それでも足りないので、あらすじでは使用する画像のサイズを10%縮める必要に迫られた。映画には背景となるようなストーリーは何もないので、内容はあらすじの中で紹介する。そして、映画の中で会話は皆無に近いため、紹介は画像の前後の補足説明だけとなる。

ダニエル・ダミーコは、6歳の時にTVドラマ『A Country Practice』(1986)に出演したと書いてあったので、『Gotcha』(1991)への出演は11歳頃であろう。名前が示すようにイタリア系で、子役時代はTVシリーズ(3年間)とショート2本のみ。2000年からは大人の俳優として活躍している。可愛い顔立ちだが、悪戯っ子役は、可愛くないと勤まらない。最初から憎たらしい顔をしていたら、やっている行為が「子供のたわいもない悪戯」ではなくて「少年非行」になってしまうからだ。


あらすじ

恐らく日曜日、マルコの家で、姉が彼氏と仲良くTVを見ている。母が、買い物を頼もうと、2階に向かって「マルコ」と呼んでも返事がない。そこで、母は姉に呼びに行かせる。姉は階段を上がってマルコの部屋まで行くとドアをノックする。それでも返事がないのでドアを開けて中に入ると、中ではマルコがにこやかな顔をして姉を見ている(1枚目の写真)。その直後、姉の真上からネットが落ちてきて姉の全身を覆う(2枚目の写真)。同時に警報音が鳴り 点滅灯が光る〔重要な伏線〕。ベッドに倒れこんで笑い転げるマルコ。そこでタイトルが表示される。姉は怒って1階へ下りて行き、母の前を素通りして彼氏の元へ。マルコは1人で下りて来ると、「これ買ってきて」とリストとお金を渡される。「いいよ」。彼は 母の前では「いい子」ぶっている。マルコは、洗濯用に置いてあった姉のブラジャーをかすめ取ると、それをTシャツの上から付けて、姉と彼氏の前へ行って胸をブラブラさせるように踊ってみせる。姉への嫌がらせだ。怒った姉がクッションをぶつけると、それをキャッチしたマルコは投げ返す。受け損ねた姉が弾いたクッションは仕事中の父の机の上へ。姉に文句を言う父。一方、マルコは、背中にブラジャーを握り隠したまま父の前に言ってニッコリ笑う(3枚目の写真)。父のマルコへの好感度はさらにアップ。姉にとっては実に面白くない。
  
  
  

マルコは、さっそく母に頼まれた買い物に出かける。お隣の家では、ペンキ屋が来て、歩道に沿った庭の鉄柵に真っ白なペンキを塗っている〔伏線〕。「ペンキ塗りたて」の表示を見たマルコは、手のひらを拡げると、柵に沿って動かしていく(1枚目の写真)。庭仕事をしていた隣のおばあさんは、それを見て、「No!」と叫び、近付いて行き、「やめさない!」と注意する。マルコは止まって両手を上げてペンキなど付いていないと笑う。「手に負えない子だね」といった顔でマルコを見る夫人。マルコは楽しげに手を振って去って行く。夫人の小さな犬だけが吠えている〔これも伏線〕。マルコは歩きながら風船ガムをいっぱい口に入れる。よく噛んでよく膨らませ(2枚目の写真)、それを、横断歩道を渡った場所に貼り付ける。すると、携帯をかけながら歩いてきたサラリーマンが左足で踏んでしまい(3枚目の写真、矢印は歩道に残ったガム、靴底にもべったり付いている)、靴を脱いでうっかり足を下ろすと、今度は靴下にガムが張り付く。マルコは、素知らぬ顔で脇に立っている。
  
  
  

スーパーにやって来たマルコ。レジの出口に立っている店長と、レジ係りの若い女性に目をとめる。ショッピング・カートを出し、イタリア食材の棚へ行ってパスタを1袋入れると、次は、生鮮野菜のコーナへ。野菜がそのまま山積みにしてある。マルコはニンジンをポリ袋に入れると、すぐそばに赤ちゃんがいるのに気付く。そして、手にしたニンジンを、「おいしいよ」といった表情で赤ちゃんに見せると、赤ちゃんが手を出してニンジンをつかむ(1枚目の写真)。受け取ったニンジンを無心にしゃぶろうとする赤ちゃん(2枚目の写真)。母親がそれに気付き、慌てて奪うと、赤ちゃんが泣き出す。ニヤニヤ見ているマルコ。赤ちゃんの泣き声を聞いて店長が寄って来る。そして、母親に、「あの少年が何か悪さでも?」と訊く。素知らぬ野菜を選んでいるマルコを見て首を横に振る母親。店長はうさんくさそうな顔でマルコを見る。お互いに 要注意人物だ。
  
  

アボガド売り場では、マルコが取ろうとしたアボガドを、小太りの中年おばさんにタッチの差で取られてしまう(1枚目の写真、矢印はアボガド)。表面上は円満な顔で別れたが、マルコはさっそく復讐。ロール状になったポリ袋を、カートの前輪をつなぐバーにこっそり縛り付ける。おばさんは、それに気付かないままカートを後ろ手に引いて歩いていく(2枚目の写真)。店長がそれに気付いたのは、だいぶたってから。ロールはほとんど空になっていたかもしれない。犯人は特定できない。いら立つ店長。
  
  

一方、マルコは、ソーセージの試食コーナーに来ていた。真っ先に食べてみるマルコ(1枚目の写真、矢印はソーセージ)。この時は、ただ食べるのが目的だったが、周りの人が自分を見て一斉に手を出したのを見て、マルコは悪さを考える。食あたりで 気分が悪くなったフリをしたのだ。それを見た売り子は、急いで 置いてあった紙ナプキンを渡す。マルコは、ナプキンを口に当てると、うつむいて、ゲーッと吐く音を出す(2枚目の写真)。それを見た試食者は、口を止めると、一斉に食べかけのソーセージを皿に戻す。売り子は、ソーセージが腐っていないか臭いを嗅いでみる。
  
  

マルコは、置きっ放しのカートを見つけては(1枚目の写真)、棚にあったものを投げ込んでいく。被害者の1人は、先程ソーセージの試食をしていた白髪の老人。少し後のシーンになるが、老人がレジまで来てパンティが入っていて、びっくりするシーンがある(2枚目の写真)。このように、マルコの悪戯は実害を伴わないものがほとんどだ。
  
  

アイスクリーム・コーナーへ行ったマルコ。箱から出ていたチョコバーを見つけると、袋を破って食べ始める。普通は、何本かまとめて箱に入っているものなので、誰かが出したとしか思えない。だから、マルコに第一義的責任があるわけではない。マルコが食べていると、犯人捜しに躍起の店長が 自分の方にやって来るのが見える(1枚目の写真、矢印はチョコバー)。マルコは、偶然すぐそばにいたさっきの赤ちゃんを見つけると、食べかけのチョコバーを口元に差し出す(2枚目の写真、矢印はチョコバー)。マルコはさっと姿を消し、店長が見たのは、チョコバーを舐めている赤ちゃん。母親は、すぐにチョコバーを取り上げ、店長に決まり悪げに渡すが、赤ちゃんはまた「口にしているものを奪われた」ため泣き出した。店長の疑いの目が、ますます光る。
  
  

白髪の老人は、なぜか別の悪戯のターゲットにも利用される。マルコは、おもちゃを置いた簡単な金属棚と、老人のカートを、近くに並んでいた「ナスカン付きの布ベルト」で結んでしまう。老人がカートを引くと、当然、軽い棚はそのまま倒れる(1枚目の写真、矢印は布ベルト)。大きな音を聞きつけて店長が飛んで来る。その通路の向こうをマルコがカートを押して横切る(2枚目の写真、矢印はマルコ)。通路の先を横切れば、事件に関係ないという大胆な発想か、それとも様子見か?
  
  

レジまで来たマルコは、アボガドおばさんと再び鉢合わせ(1枚目の写真)。マルコは、店内に入った時に目を留めた可愛いお姉さんのいるレジに入れるよう、アボダドおばさんのカートの後輪に洗濯バサミを入れて進行を妨害。レジでは、好きな女性にニッコリ笑ってお金を渡し、お釣をもらう時もルンルン気分(2枚目の写真)。店長が目の前に立ってじっと見ているが、証拠はないし、ちゃんとお金を払っているので何も出来ない。
  
  

家に帰る途中で、海沿いの芝生でサーフボードの手入れをしているムキムキの若者がいる。マルコは寄っていくと、ポケットから携帯用の小型望遠鏡を取り出し、海を見て、いきなり、「サメだ! 見て、サメがいる!」と叫ぶ。若者はびっくりして、望遠鏡を受け取り、鮫を見ようとあちこち探してみる(1枚目の写真)。しかし、どこにもいない。望遠鏡のファインダー部分に黒い塗料が塗ってあったので、若者の右目の縁が黒くなっている(2枚目の写真、矢印)。若者は首を振って望遠鏡を返すと、「Crazy kid」と言って去って行く。それを見て、マルコはニヤッとするが(3枚目の写真)、一番性格が出ている。
  
  
  

ビーチ沿いの食堂の店頭に小さな水槽が置いてあり、金魚が売られている。小さな女の子を連れた母親が、買おうとしている。マルコはそれを見ると、スーパーで買ってきたニンジンの皮をナイフで削ぐ(1枚目の写真)。そして、それを手に隠し持ったまま水槽に近付くと、水槽に素早く手を突っ込み、金魚をすくったとみせかけ、ニンジンの皮をヒラヒラ動かしながら口に入れようとする(2枚目の写真)。そして、口を手でおおって、金魚を食べているように口を動かす。それを見た親子は仰天し(3枚目の写真)、大騒ぎとなる。マルコはとっくに姿を消している。
  
  
  

マルコは、スーパーで何度も泣かせた赤ちゃんが、ベビーカーに乗っているのに気付くと、寄って行き、パイプに縛られていた風船を拝借(1枚目の写真、矢印は風船)。赤ちゃんはまた泣き出す。マルコはバス停で待っている さっきの白髪の老人の後ろに近付くと、上着に風船を付ける。老人は風船を付けたまま、バスに乗らず、道路を渡り始めた(2枚目の写真、矢印は風船)。家に近付いたマルコ。隣のおばあさんのもう1軒隣では、野外パーティ用の楽器が持ち込まれている。今夜はうるさいかもと、嫌な顔でおばあさんが見ている〔これも伏線〕。マルコの家の前の階段には、姉と彼氏が仲睦まじく座っている。狭い階段なので、マルコを通すため姉が立って空ける。マルコは、そのまま家に入らず、ワザと後ろの段に座り、彼氏が帰るのを暗に促す。仕方なく去って行く彼氏。姉は、「ほんと、どうしようもない」といった感じで首を振りながら家に入って行く。
  
  

夜になり、両親がおしゃれをして出かける用意をしている。父は、窓のロックをしっかりとかける〔これも伏線〕。母は、マルコにキスすると、耳の後ろを見て、体が汚れていることに気付き、シャワーを浴びるよう指示する。そして、そのまま夫と車で出かける。姉が自分の服にアイロンをかけていると、入ってきたマルコは冷蔵庫を開け(1枚目の写真)、バターを取り出すと、フランスパンを切ってスナックを作ろうとする(2枚目の写真)。そして、マルコは、如何にもナイフで手を切ったような声を出し、ケチャップをかけた両手をキッチンのシンクで洗う。一見すると、手が血まみれになったように見える。姉は心配して手を差し伸べるが、慌てたため、アイロンは布の上に置かれたままだ。手を洗い終わったマルコは、両手を見せて何でもないと笑う(3枚目の写真)。姉がアイロンに気付いて大慌てで戻る。服に異常はなかったが、親切をアダにした罪は大きい。当然、マルコはすかさず逃げる。
  
  
  

マルコは、母に言われたようにシャワーを浴び始める(1枚目の写真)。一方、姉には彼氏が迎えにやって来る。連れ立って玄関を出て行く2人。その頃、マルコは全身にシャンプーをつけていた。姉は、玄関の脇にある水道の元栓を閉める。もちろん、マルコがシャワー中なのは百も承知だ。シャンプーまみれのまま突然お湯が止まってしまい、マルコは困惑する(2枚目の写真)。ひょっとしたらと、シャワー室を出て、窓から覗くと門の脇で2人がニコニコしている(3枚目の写真、矢印は水道の元栓)。
  
  
  

このままではいられないので、マルコは、バスタオルを腰に巻くと、階段を下り(1枚目の写真)、玄関を開けっ放しにして、門の脇の水道の元栓まで行き、栓を開ける。ホッとしていると、玄関が閉まったバタンという音が聞こえる。「No!」と言って、玄関を振り返るマルコ(2枚目の写真)。玄関まで駈けて行くが、自動ロックになっていて開かない。窓にはロックがかかっているし、掃き出し窓も鍵がかかっていて開かない(3枚目の写真)。マルコは、バスタオルを巻いた姿で、家から締め出されてしまった。
  
  
  

隣のおばあさんの家の隣家では、2階のベランダで大音響をかけ、数十人が踊っている。夫人は 騒音公害で警察に電話をかけて苦情を言うが、取り合ってもらえない。マルコは、2階の自分の部屋の窓が半開きになっていることに気付く。ガーデン・テーブルを窓の下に運んで行き、その上にイスも置くが、とても届かない。その時、隣の家に、ペンキ屋が残しておいた長いハシゴが立てかけてあるのに気付く。ハシゴを借りようとマルコが庭に入っていくと、突然 芝生用のスプリンクラーがタイマーで作動し始め、噴き出す水の勢いでバスタオルが取れてしまう(1枚目の写真)。しかも、侵入者があったので犬が吠え始め、何事かと、夫人も出てくる。マルコは茂みに潜む。夫人が家に入ったので、マルコはハシゴに直行(2枚目の写真、左上の矢印はハシゴの一部、横にある白いものは夫人の庭にたくさん置いてある子供の彫像)。マルコはハシゴを持って行こうとしたが、ハシゴの上に方にペンキ屋が残しておいたバケツが置いてあり、重くてなかなか動かない。無理に動かそうとした時、バケツが台から外れて逆さまに落下。マルコは白いペンキを頭からかぶってしまう。そして、ハシゴは倒れ、大きな音がする。マルコは、全身白くなって、壁に身を寄せて隠れる(3枚目の写真)。
  
  
  

夫人が、懐中電灯と点け、犬を抱いて出てきたのを見ると、マルコは壁際を離れ、彫像のマネをして立つ(1枚目の写真、マルコが光っているのは、懐中電灯で照らされたため)。他の映画で、マネキンのマネをするシーンはあるが(例えば、『Tobi(トビー)』)、庭の彫像というのは他に例がない。夫人は一旦家に入ってドアを閉めるが、すぐにまた出てくる。フイをつかれたマルコは、前の格好を忘れて別の格好をしてしまう(2枚目の写真)。映画の中で、一番の笑わせられるシーンだ。彫像が動いたと思った夫人は、再び警察に電話をする。今度は、来てくれることに。
  
  

夫人は、電話をかけて安心したのか、また家から出て懐中電灯で周りを照らすが、その時にはマルコは茂みの中に戻っていた。しかし、気がつくと様子がおかしい(1枚目の写真、瞳が右下を向いている)。それもそのはず、子犬がマルコのお尻を舐めていたのだ(2枚目の写真)〔子犬の標準的行動パターン〕。マルコは、「あっちへ行け」と犬を追い払って動き出すが、それがまた夫人に見られてしまい、警察への督促電話となる。
  
  

自宅までハシゴを運んできたマルコは、自分の部屋の下に立てかけて登り始める。マルコが1階の庇の上に辿り着き 2階の窓脇に手をかけた時(1枚目の写真)、力を入れ過ぎて足を滑らせてしまい、足に蹴られたハシゴは 地面にバタンと倒れてしまう。もう下に降りる方法はない。どうしても部屋に入らないといけない。その時、パトカーが到着。警察官は夫人に連れられて「動いた」彫像を見に行った。その隙に、マルコは右手で窓枠につかまり、左手を目いっぱい伸ばす(2枚目の写真、矢印は伸ばした左手の先端)。
  
  

そして、手に触れたロープを引くと、自分で作った警報装置が作動し、警報音が鳴り 点滅灯が光り始める。何事だろうとみんながやってくる。警官も隣の夫人も、バルコニーで騒いでいた大勢の若者も。そして、全員が、屋根の庇で釘付けになった「全裸でペンキまみれのマルコ」を見て笑う(1・2枚目も写真)。全くのさらし者だ。屈辱にまみれたマルコの顔は悲しみに沈む(3枚目の写真)。
  
  
  

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