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One Small Hero 小さなヒーロー

アメリカ映画 (1999)

子供向きの小品で、1999年と格別に古いわけではないが、レビューを含め、WEB上でも情報がほとんど出て来ない珍しい映画。でも、主人公のジョーイは可愛いし、すごく頑張り屋だし、正義のために最大限の努力を払おうとしていて、観ていてすがすがしい。2013年8月にイギリスのアマゾンで僅か1138円という異例の安さで手に入れた正規のDVDで、字幕も付いておらず、WEB上にも字幕はなかったが、それでも観ていてすごく好きになった作品。どこが気に入ったかと言えば、か細く小さなジョーイのひたむきさ、あまりオーバーで不自然にならない(ハリウッド的でない)筋書きの2点に惚れ込んだから。割と最近になり、奇跡的に正確な英語字幕が公開されたので、喜んで利用させていただいた。くせのない教科書的な英語なので、ヒアリングでも可能だが、正確な字幕があればそれに越したことはない。ただ、今回紹介しようとして困ったのが、DVDの画質の悪さ。VHSからの転用ではないが、実に画質が荒く、修正の許容範囲を超えた数点の映像は、かなりぼやけてしまった。

ジョーイは、英雄的に死亡した消防士を父に持つ、裕福とはいえない家庭の一人っ子。年の割に小さく、体力も、筋力も低い。そのため、通っている小学校にある大自然クラブに入りたくて体力テストを過去3回受けたのに、すべて落ちてしまった。そして、父が亡くなった年、自分なりにトレーニングして4回目に挑戦したが、最下位に近い成績でまた落選。しかし、家に帰ってみると、母は、絶対に合格すると信じて、貧しい家計をやりくりして、立派なバッグパック一式を購入して待っていた。それを見たジョーイは、恥ずかしくて「また落ちた」とは、とても言えない。それから3週間が経ち、いよいよクラブの山歩きの出発の日、行く宛のないジョーイは、母の車での見送りを断り、歩いて家を出る。結局、向かった先は、クラブの団員が乗るミニバスの駐車している広場。様子を見ているうちに、こっそり乗り込めそうなのが分かると、ジョーイはミニバスの座席の下に潜り込む。ところが、この旅行は、順調な山旅にはならなかった。それは、兄もしくは弟が銀行強盗で刑務所に入れられたハッチという中年男性が、6歳下の若干知恵遅れ気味のベイビーという弟と一緒に、途中でミニバスを乗っ取ったから。ミニバスは山小屋に向かい、そこのクローゼットにコーチを閉じ込めてから、団員全員がバックパックを背負い、ハッチの先導で山奥に向かう。ジョーイも、何とか助けようとこっそり後を追う。ハッチは、その日の夕方近くにキャンプをはり、そこから、上院議員に電話を掛けて、人質にした一人娘のサラと交換に、刑務所に入れられた兄もしくは弟の釈放を求める。映画は、そこから、釈放要求期限の5日間の様子を描く。1日目の夜に、ジョーイはサラに会って希望を抱かせる。2日目はジョーイが様子を観察する日。3日目にジョーイは、サラ以外の5人の団員を、ベイビーを巧く騙してキャンプから離脱させる。4日目には、ジョーイの発案でハッチを捕まえようとするが、惜しくも失敗。5日目は、正午までにハッチの兄が釈放されてしまう日。ジョーイは、途中にある細い吊り橋で危険な作戦に出るが、ジョーイの熱意と、サラの協力で、元々悪人ではないベイビーが、ハッチのやり方に反旗を翻したため、一気に運が開ける。そして、ジョーイは 自由になったサラを連れて、釈放を中止させようと全力で山小屋に向かう。その後、不出来な脚本に一瞬閉口させられるが、ジョーイは “町のヒーロー” となって無事に終わる。

ジョーイ役は、ネイサン・カイリー(Nathan Kiley)。1988年9月9日生まれ。撮影が1998年の夏とすれば撮影時9歳。その後、『Ball in the House』(2001)に脇役で出演した以後、映画界を去っている。しかし、シカゴのステッペンウルフ(Steppenwolf)劇場で、『Purple Heart』(2002)に脇役で出演した他(下の左の写真)、同じ劇場で、高校3年生の時、別の作品に出演したとの記事はあるが(下の右の写真)、作品名はどこにも書いてなかった。
  

あらすじ

朝7時前、ジョーイが布団を被って懐中電灯でアメコミのスーパーヒーロー 『クールマン』を声を上げて読んでいると、ドアがノックされ、母が 「7時よ、ジョーイ」と声をかける。ベッドから起き上がったジョーイは、少しでも力を付けようと、その場で動かずにジョギング、そして、弱々しい腕立て伏せ、懸垂は2回でダウン(1枚目の写真)、最後は、数回しか続かない腹筋。そして鏡の前まで行くと、パジャマの上着を脱いで自分の体を見てから(2枚目の写真)、腕を曲げて筋肉を見てみるが、か細いまま。それでも、脇に置いてあった写真立ての “亡くなった父” に向かって、「見たよね、パパ、がんばってる」と誇らしげに言う。服を着て、リュックを背負ったジョーイが家から出て行こうとすると、母が玄関ドアの前に立ち塞がり、昼食の入った紙袋と、朝食のパン1個を渡した後で、大自然クラブ〔wilderness club〕への入団テストに対する許可書を渡す(3枚目の写真、矢印)。そして、「今度は受かるわよ。絶対。お父さんも 『やろうと思えば何でもできる』って、言ってらしたでしょ」と励ます。家の前では、冴えない友達ティミーが待っていて、「ホントにやるつもりなのか? 恥をかきたいのか? もう3回やって落ちてる。みんなに笑われるぞ。なんでそんなに入りたいんだ?」と訊く。「だってかっこいいんだもん。復活祭の休暇に バックパックを背負って山に行くんだぞ」。「絶対ムリだ。チビ過ぎる」。「チビじゃない。今度は成功する。トレーニングで強くなったから」。
  
  
  

2人は、Willow小学校〔ロケ地はカリフォルニア州Agoura Hills〕の前まで行くと、そこに上院議員の娘サラがリムジンに乗ってやって来て、後部座席から降りると、前を通りかかったジョーイに、「お早う、ジョーイ」と笑顔で声をかける(1枚目の写真)。ジョーイも、「お早う、サラ」と笑顔で応える。そこに、つかつかとリースが寄って来て、「でしゃばるな、クーパー。彼女はお前とは無縁の存在だ」と言って(2枚目の写真)、胸を押す。そして、サラを追いかけ、肩に手を掛けて仲良く学校に入って行く。放課後、大自然クラブへの入団希望者が校庭に集まる(3枚目の写真)。コーチは、「今日の入団テストは、君たちの技量を見て、他の子たちと一緒にやっていけるかをチェックするために行うんだ」と説明するが、すでにクラブに入っているメンバー4人はテストの対象ではない。4人の中には、サラと、意地悪なリースも入っている。そして、新規入団の余裕は僅か2人。ジョーイにとっては狭き門だ。
  
  
  

ジョーイがやらされたのは、①障害物(2列に並べられたタイヤ)の中を走るもの: OK。②雲梯(うんてい)にぶら下がって前に進むもの(1枚目の写真の左): 落下(1枚目の写真の右)。③結び目付きロープ登り(2枚目の写真の左): 落下(2枚目の写真の右)。④ロープ結び: 最優秀。⑤幅15㎝ほどの角棒上歩き(3枚目の写真の左): ほとんど先に進めず落下(3枚目の写真の右)。これだけ失敗すれば、13名の志望者のうちの2人に入ることは不可能で、ジョーイは4回連続の失格となった。ジョーイは、悲しそうに去って行くが、それを見たサラが、「コーチ、あなたが気付いてるかどう知りませんが、これはジョーイ・クーパーの4回目の入団テストでした。彼、この旅行にすごく行きたいんだと思います。もう1人分のスペースを作って、何とか連れて行ってあげられませんか?」と頼む。それを耳に挟んだ意地悪リースは、「ジョーイ・クーパー? 誰があいつなんか? あいつは弱虫で臆病だ。あいつが入ったら、スピードが遅くなるし、そもそも追いつけない」と貶す。コーチは、「悪いなサラ。でも、できないんだ。スペースがない。それにリースは正しい。ジョーイは小さ過ぎる。体力がないから、ウォーキングのスピードが落ちる」と、間違った判断を下し、サラの願いを却下する。

ジョーイは、がっかりして家路につく(1枚目の写真)。ジョーイが玄関から入ってリュックをすぐ脇のイスに置くと、背後で母が 「サプライズ」と言ったので振り向くと、母が新品のバックパックを持って笑顔で立っている(2枚目の写真)。「それ全部 何なの?」。「あなたの旅行用よ。クラブの。あんなに頑張ってたでしょ。今度は受かると思ったから、テントを含めて全部の装備を買ったのよ」。「でも ママ、そんなお金ないでしょ」。「心配しないで。ずっと節約してきたの。今度の旅行じゃ、きっと最高のバックパッカーになれるわ」。ジョーイは、こんな状況では、不合格だったとはとても言えない(3枚目の写真)。
  
  
  

夜になり、窓辺に座ったジョーイは、大切にとっておいた新聞の切り抜きを 箱から取り出して、「地元の消防士、3人を救い、ヒーローとして死ぬ」と口ずさむ。しかし、ジョーイが持っている新聞の記事の見出しは、「市の消防士 英雄的な救助で死亡(右端が隠れて見えない)」となっていて(1枚目の写真)、その下の文章にもジョーイが口にした文章はない。ジョーイが次に箱から取り出したのは、父と一緒に撮った写真(2枚目の写真)。そして、夜空を見上げると、「パパ、いなくて良かったかもね。僕のせいで、きまり悪くて恥ずかしい思いをしただろうから。僕はパパとは違う。ヒーローじゃなくて、ただの弱虫だ。なぜ、パパのようになれなかったんだろう?」と悲しむ(3枚目の写真)。
  
  
  

大自然クラブの出発の日、ティミーが2階の窓から入ってくる。ジョーイは、「どうしたらいいか分からないよ、ティミー。3週間ずっと考えてきたのに。何とかしないと」と窮状を訴える。ティミーは 「ホントのこと、言っちゃえよ」と言うが、ジョーイは 「できない。また失敗したなんて知られたくないんだ」と答える。ティミーは、自分の家に泊まりに来るよう勧めるが、ジョーイはすぐにバレるからと断る。「じゃあ、どこに行くんだ?」。「分かんない」(1枚目の写真)。その時、部屋のドアがノックされ、ティミーは急いで窓から出て行く。ジョーイはドアを開け、「何、ママ?」と訊く。「準備できた?」。「完ぺき」。「じゃあ、車を出しましょ」。「ううん、いいよママ。僕、歩いて行くから」。「ミニバスまでずっと?」。「サバイバルスキルを身に付けないと」(2枚目の写真)。母は、その言葉で納得し、1人では背負いにくい大きなバックパックをジョーイに背負わせる(3枚目の写真)〔あとで全身像が出てくるが、この下に同じくらいの大きさの丸めたテントが付くので、かなりの荷物だ〕
  
  
  

行き先などないので、ジョーイは大自然クラブの集合地点まで行き、建物の角に隠れて様子を窺う。ミニバス〔大型のバン〕の後ろの扉は開け放たれ、団員達が持ってきた荷物はすべて屋根の上の荷物置きに放り上げられている。そこに、上院議員のリムジンがやってきてサラが降りてくる(1枚目の写真、矢印)。ジョーイはみんなの目が荷物に向いているのを確かめると、建物の角から低姿勢で走り出し、より近くの高さ1mほどのゴミ箱の影に隠れる(2枚目の写真)。そして、全員が集合し、車の向かって右に集められてコーチが話し始めると、ゴミ箱の影から飛び出してミニバスに向かって走り(3枚目の写真、矢印)、開いた後部扉の前でバックパックを地面に置くと、座席の下に潜り込む(4枚目の写真)〔ミニバスなので、団員達は運転席の横の前方のドアから出入りし、一旦 後部扉を閉めればジョーイは後部扉との隙間で休むことができる〕。集会が終わると、団員達はミニバスに乗り込み、コーチは、ミニバスの後ろに残された2個の荷物を屋根に放り上げ、後部扉を閉める。そして、ジョーイは見つかることなく、コーチの運転でミニバスが動き出す。
  
  
  
  

ミニバスは山に向かって順調に走り、車の中では団員達が合唱したり、遊んだり、最後には疲れて眠ってしまうので、かなりの時間が経過したらしいことが分かる〔ジョーイも眠っている〕。ミニバスが 本道から分かれて山道を走っていると、突然、故障を知らせる警告音が鳴り出し、全員が目覚める。コーチがミニバスを道路脇に停めると、ボンネットの隙間から蒸気が漏れ出し、次第に激しくなる(1枚目の写真)。コーチは席を動かないように命じ、車から降りてボンネットを開ける。ジョーイは不安な顔で、何事かと心配する(2枚目の写真)。すると、まるで待ち合わせていたかのように、すぐに中年の男ハッチがやって来て〔実は、車で後を付けていた〕、「大丈夫か? 手を貸そうか?」と声をかける。車のことを良く知らないコーチは、手助けに感謝する。ハッチは、すぐに太いホースを取り出し、「これが壊れてる」と言った後で、ハンティングベストを開いて中にある拳銃を見せ、「お前が協力すれば、すべてはうまく行く」と脅すと、「ベイビー、ロープを持って来い。急げ」と6歳下の弟を呼ぶ。ベイビーは、コーチの両腕(後ろ手)をロープで縛る。コーチが 「何のつもりだ?」と抗議すると、ハッチは 「すぐ分かる。お前が言う通りにしてれば、誰も傷つかん」と言い、ベイビーにホースの修理をさせ、その間に、コーチをミニバスに乗せる(3枚目の写真)。ハッチはコーチに続いてミニバスに乗り込むと、2人いる少女に、「どっちがサラ・マンだ?」と訊く。返事がないと、コーチの耳をつかみ 「どっちがサラ・マンだ?」と改めて訊く。コーチが暴行を受けると心配したサラは 「私よ」と声を上げる。ハッチはサラをミニバスから出すと、ベイビーに命じてロープで両腕(後ろ手)を縛らせ、残りの団員達に、①ハッチとコーチとサラは(別の)車に乗り、②ミニバスはベイビーが運転して後に続く、と脅すように説明する。そして、ミニバスの後をつけてきた乗用車まで2人を連れて行って乗せる(4枚目の写真)。
  
  
  
  

一行は、森の中の山小屋の前に到着(1枚目の写真)。サラとコーチは男によって山小屋の中に連れて行かれ〔男は鍵でドアを開けるが、この山小屋が男の所有物なのか、放棄された山小屋に予め鍵を付けておいたのかは不明〕、ベイビーはミニバスの屋根に上り、積んであった荷物をすべて地面に投げ下ろし、団員達はそれを受け取る(2枚目の写真、矢印は落ちてくる荷物)。引き取り手のない荷物が3つ残るが、回収にきたベイビーが重そうなジョーイのバックパックを残しておいてくれたので、ジョーイはさっそく回収すると(3枚目の写真)、茂みに隠れる。戻ってきたベイビーは、荷物がなくなっているのに驚くが、知恵遅れ気味という設定なので、それ以上追及せずに山小屋に戻る〔ここら辺は、如何にも子供向きの映画〕
  
  
  

全員が山小屋に入ると、ジョーイは、窓からこっそり中の様子を窺う(1枚目の写真)。ハッチは、団員達に状況を説明する(2枚目の写真)。①1ヶ月前、兄(弟かも)が銀行強盗で間違って告訴され、有罪判決を受け、長期間刑務所に入れられることになった〔全くの嘘で、本物の銀行強盗だったに違いない〕、②彼を救うため、サラの上院議員の力を借りることにした、③山奥に入っていって、上院議員に電話をかける、④上院議員が協力して兄が釈放されれば、団員全員を解放する(それまでは、全員を山奥に連れて行き、監視下に置く)、というもの。そして、コーチがいると邪魔になるので、コーチは食料と水を与えてクローゼットに閉じ込め、残りの団員は、荷物を持ち、“山奥” に向かうため山小屋を出て行く(3枚目の写真)。
  
  
  

一行は、ハッチとサラを先頭、ベイビーを最後尾につけ、ハッチが目的とする場所に向かって出発する(1枚目の写真)。ジョーイは、ドアに鍵がかかっていては入れないので、窓越しにコーチに何かできないかと呼びかける(2枚目の写真)。コーチは、こんな所にジョーイがいることに驚くが、助けを求めに行くよう指示し、悪人は拳銃を持っていて危険なので、「今は、ヒーローになる時じゃない」と言って、後を追わないよう注意する。しかし、ジョーイはドアの前でしばらくどうするか考え、サラ達を助けることに決心し、後を追って行く(3枚目の写真)。
  
  
  

一行は、先頭を何も持たずに歩くハッチがゆっくりと歩くため、進行は遅いが、ジョーイは走って追いかけたため、恐らく最後尾のベイビーを視認できる所まで追い着いたに違いない〔映像にはない〕。ジョーイは、途中で、バックパックから赤いTシャツを取り出すと、それを手で細く割いて枝に結びつける(1枚目の写真)〔帰る時の目印だと思われるが、れっきとした登山道の途中に付ける意味があるのだろうか?〕。ハッチは、登山道の途中から、道なき斜面を登り始め、団員達もサラを先頭に後に続く(2枚目の写真)。あとでジョーイもこの斜面を登って行くが、普通なら気付かずに登山道を直進するハズなので、ベイビーの姿を捉えていたことは間違いない。斜面を登った先には、吊り橋があった。道なき道に吊り橋があるハズはないので、恐らく別の登山道があるに違いないのだが、映画では映されない。吊り橋の前で、ハッチは、「一度に一人渡れるだけの強度しかない」と言い、まず、ベイビーを先に渡らせる〔彼は、ハッチの分まで2個持たされている〕。ベイビーの次は団員達が続き、最後がサラとハッチの順で、1人ずつ吊り橋を渡る。そして、全員が対岸に着くと、また、ハッチ、サラ、その他の団員達、ベイビーの順で山奥に向かう(3枚目の写真)。ジョーイが吊り橋に着いた時、また赤い切れ端を枝に結ぶので、“他に本道があるから 斜面への降り口への表示が必要” なのだと分かる。ジョーイは、吊り橋を渡り終えると、吊り橋の入口に赤い切れ端を結ぶが、これには首を捻らざるを得ない。だって、吊り橋を渡って戻ることは自明の理なので。吊り橋を渡った一行は、山道の途中から また斜面を登り始める。以前の同じような場面ではサラは何もしなかったのに、今度は、髪の先端に巻いていたスカーフを手に取ると(4枚目の写真、矢印)、目印に地面に捨てて行く。なぜ、そんなことが必要なのか分からない〔誰も、探しに来る者などいない〕〔ベイビーはサラの行為になぜ気付かない?〕。一方、吊り橋を渡る際に怖くて手間取ったジョーイは、地面に落ちていたサラのスカーフを拾い、近くの枝にまた赤い切れ端を結ぶと、山道から逸れて斜面を登って行く。
  
  
  
  

一行が、森の中にできた広い空間まで来ると、リースが 「もうだいぶ遠くまで来たじゃないか。ずっと歩きっ放しで、もうくたくただ」とハッチに文句を言う。ハッチは、そこがちょうど広い場所なので、この場所にテントを張ってキャンプすることに決める。そして、コーディとムースに、「薪を取って来い。2分で戻らんと、こいつ(リース)をぶちのめすぞ」と命じ、他の団員には焚き火台〔fire pit〕を作るよう命じる。それが終わった後で、その横に各団員のテントをずらりと張らせる。その様子をジョーイが木の幹に隠れて見ている(1枚目の写真)。ハッチは、サラを団員達から離れた場所〔ジョーイの近くなので会話が聞こえる〕に連れて来ると、携帯を渡し、上院議員の父に電話をかけるよう脅す(2枚目の写真)。サラは、仕方なく、父の事務所に電話をかけ、電話に出た秘書に、「サラ・マンよ。父と話さないと。非常事態よ」と言う。父が出ると、「パパ、私よ、サ…」まで話したところで、携帯を取り上げられ、ハッチが話し始める。「マン上院議員。いいか、注意深く聞くんだ。俺の名前はハッチ・フリン、兄の名前はコンロイ・フリン。彼は、今、州の懲罰委員会の手厚いもてなしを受けているが、それも長くは続かない。あんたの娘、娘の先生、その他のガキども全員を捕まえて、追跡不可能な遠隔地に連れてきた。4日分の食料もある。今からちょうど4日後の正午までに兄が出所しないと、あんたは娘やガキどもと二度と会えなくなるからな」(3枚目の写真)。上院議員が何か言い始めると、ハッチは 「俺を失望させるなよ」と言って、一方的に電話を切る。キャンプの用意が整い、辺りが暗くなった頃、ハッチはベイビーに、「夕飯は何だ?」と訊く。「缶詰のトウモロコシ」。「他には?」。「缶詰のトウモロコシだけだよ、ハッチ」。「何だと?」。「調理しやすいものを買えと言ったろ。缶詰のトウモロコシは簡単だ。加熱するだけでいい」。怒ったハッチは、「この脳たりん!」とベイビーと頭を引っ叩く。「明日は、何だ?」。「缶詰のトウモロコシ」。「このバカ野郎!」。
  
  
  

トウモロコシだけの夕食が済んだ後、サラが一人でテントにいると、近くの木までやって来たジョーイがサラの落としたスカーフを振る(1枚目の写真、矢印)。それを見たサラは笑顔になる(2枚目の写真)。ジョーイは、指を口に当てて 「しーっ」と言う。翌朝、ベイビーの監視付きで近くの小川まで来たサラは、団員達に向かって 「あのねみんな、ここにいるの 私たちだけじゃないのよ。助けてくれる人がいるわ。みんなが知ってる誰か」と打ち明ける(3枚目の写真)。リース:「すごいや、誰?」。「ジョーイ・クーパー」。リース:「あの弱虫?」。ムース:「命がけで、助けられっこない」。もう1人の少女アメリア:「絶望的ね」。しかし、サラは、「彼は弱虫じゃないわ。きっと助けてくれる。それに、これが唯一のチャンスなのよ」と、ジョーイに対して信頼を寄せる。
  
  
  

同じ朝、ジョーイも自分のテントから出ると、頭にサラのスカーフを巻き付ける(1枚目の写真、矢印)。そして、「次にどうするか考えないと」と言うと、双眼鏡を持ってハッチのキャンプの様子を探りに行く。キャンプでは、ハッチがサラを連れ出して、上院議員とやり合っている。ハッチ:「あんた、努力が足りんのじゃないか!」。「フリンさん、あなたのお兄さんは服役中の重罪犯です。こうしたことには時間がかかるんです」。「そうか? 時間ってのは、あんたの小娘にはないものなんだ。時間がたてばたつほど、小娘のことなんか、俺にはどうでもよくなってくからな」。「いいですか、フリンさん、もし、娘に何か起きたら、あなたを殺しますよ」。ここで、サラが、「パパ、私たち山に…」と叫んだところで、ハッチは電話を切る。サラは、ハッチに向かって、敢然と 「パパは私たちを見つけるわ。絶対にあきらめないから。FBIを全部ここに寄こすわよ」とハッチに喰ってかかる。ハッチは、「この山は5万エーカー〔202㎢〕もあるんだぞ、小娘。誰にも、お前を見つけられん」と、平然と言い返す。それを聞いていたジョーイは、決意を新たにする(3枚目の写真)。
  
  
  

その夜、ハッチとベイビーが眠った後、サラは、テントから顔を出して、「ジョーイ、来て。どこにいるの?」と声を押さえて呼ぶ。ジョーイは走ってサラのテントに駆け込む。お互いに 「大丈夫?」と訊きあった後で、ジョーイは 「誰かが目を覚ます前に、君をここから連れ出さないと」と言うが(1枚目の写真)、サラは、他の団員全員がひどい目に遭わされるから、逃げられないと説明する。「じゃあ、どうしたら?」。「一人でやるのは無理よ。他の子の手助けがいるわ。何人かを自由にすれば、あなたを手助けできる」。サラから、団員達は 夜 逃げないように靴を脱がされていると教えられたジョーイは、「じゃあ明日やるよ。何人かを自由にし、僕を手伝ってもらう」と言う。「じゃあ、みんなには、あなたの指示に従うよう言っておくわ」(2枚目の写真)。去る前に、ジョーイは 「奴らに君を傷つけさせるもんか。タイムリミットまでに、ハッチとベイビーをやっつける方法を見つけるからね」と言い、サラは 「頼りにしてる」と応じる。
  
  

翌日、ベイビーは、サラ以外の団員達を連れて薪拾いに出かける。ジョーイは、その近くの木の太い枝の上に、ロープを持って座っている(1枚目の写真)〔ベイビーがここに来ると、どうして分かったのだろう? ベイビーが来てから、この木に登ることは不可能に近いので、予めここで待っていたとしか思えない〕。ジョーイは、鳥の鳴き声をしてみせ、それに気付いた団員達は、①アメリアがベイビーに話しかけて注意を逸らし、②その間に、ジョーイが結び目付きのロープを降ろし、③コーディがそのロープを登り(2枚目の写真、矢印)、枝の上でジョーイと並ぶ(3枚目の写真)〔こんなに剥き出しで、ベイビーに気付かれないものだろうか?〕
  
  
  

ベイビーが4人を連れて戻って来ると、ハッチは、団員の人数を数え始める。何度数えても、サラを入れて5人しかいない(1枚目の写真)〔最初は6人いた〕。ベイビーは、子供達との話に夢中になって見張り役を怠ったことが原因だとして、ハッチに頭を殴られ、さらに、下手な弁解をして殴られかけ(2枚目の写真)、「やめて、お願い」と弱音を吐き、「脳たりん」と罵られる。食事の時間になり、またトウモロコシの缶詰だと分かると、5人は口を揃えて 「トウモロシ、うんざり!」と連呼し始める(3枚目の写真)。ハッチは、怒鳴って黙らせるが、サラは、「ねえ、ハッチ、せめて小川で釣りをさせてくれない?」と言い出す。ハッチは、トウモロコシ缶しか買ってこなかったベイビーに 「脳たりん」と罵っていたので、この提案に惹かれる。そこで、「いいぞ、何が釣れると思う?」と訊く。リースは 「ナマズ、マス」と答え、5人は再び「トウモロシ、うんざり!」を連呼。ハッチは、釣りに行くことを認める。ただし、誰も逃がさないないよう、4人をロープで結ぶようベイビーに命じる。
  
  
  

ベイビーと4人は小川に釣りに行く。その様子を見ていたジョーイはコーディに、ロープの最後にいるムースを連れて来るようにとアーミーナイフを渡すが、ずるいコーディは、自分は背が高くて目立つからとジョーイに危険な任務を押し付ける。アメリアが、ベイビーに話しかけて注意を逸らしている間に、ジョーイは小川の中に入って最後尾のムースに近付き、ロープを切り離すことを 小声で伝える(1枚目の写真)。そして、川から上がると、背後に回り、ロープをナイフで切り(2枚目の写真、矢印は団員達をつないでいるロープ)、自由になったムースと一緒に逃げる(3枚目の写真)。
  
  
  

ベイビーが、5-6匹のマスを持って意気揚々とキャンプに戻って来ると、ハッチはまた人数を数え始めるが、サラを入れても4人しかおらず、最後のロープはナイフで切られていた(1枚目の写真、矢印)。ハッチは、「信じられん、お前、またガキを逃がしたな」とベイビーを怒鳴る。ハッチは、言い訳するベイビーから魚を取り上げると、頭をぶん殴る。その乱暴な行為に、怒ったサラが 睨みつけながらハッチに近付くと、「仲間をしっかり管理した方がいいぞ。さもないと次はお前だ」と、サラを強く牽制する(2枚目の写真)。
  
  

キャンプのすぐ近くまで行ったジョーイは、サラに、「彼の気をそらして」と囁く(1枚目の写真)。サラは、さっそくハッチの前に行くと、木の枝を削っているハッチに向かって、「ハッチ、カッコいい」と笑顔で声をかけ(2枚目の写真)、次いで、アメリアの耳に何か囁く。一方、ベイビーと一緒に焚き火で魚を焼いていたビリーは 「皿を取って来るね」と言い、リースも 「僕はフォークを」と言って立ち上がってテントに向かい、代わりにサラがベイビーの横に座る。アメリアがテントの前で見張る中、ビリーとリースが。テントの裏で枯葉に火を点ける。サラは、ベイビーに話しかけ、その隙に、3人はキャンプから走って逃げ出す。一方、テントの裏の火はどんどん大きくなり、テントに燃え移る(3枚目の写真)。それに気付いたハッチは、「火事だ!」と叫び、ベイビーと一緒に消し止めようと必死になる。そして、消し終わってみると、人質にしていた団員が一人もいなくなっているのに気付く〔一番の疑問は、なぜ、この時、サラも一緒に逃げなかったという点。逃げる時間は十分にあった〕。逃げ出した5人の団員はジョーイのテントまで行って話し合う。アメリア:「私たち自由になったけど、何したらいい?」。リース:「奴らは、まだサラを捕えてる」。コーディ:「サラを助け出すか、ハッチとベイビーをやっつける策を練らないと」。ビリー:「それも急いで。ハッチは あさってまでに兄を釈放しないとサラを殺すと言ってた」。ムース:「ジョーイ、君はどう思う? この救出作戦を始めたのは君だから」。ジョーイ:「まだ、分からない」。リースは 「すごい。優れたリーダーシップだな、クーパー」と嫌味を言う。ジョーイは 「でも何か考えるよ」と リースを無視して言う。アメリアが、「お腹空いた。あの魚、いい匂いがしてたわ」と言い出すと、ビリーが 「ジョーイ、何か食べ物ある?」と訊き、ジョーイは何もないと悲し気に白状する。そこで、少し早いが全員が寝ることにする。テントは1つしかないのでアメリアが使い、あとの少年達は ジョーイを含め 布を草の上に敷いて横になって眠る。
  
  
  

翌朝、5人を前にして、ジョーイは、「ねえ、みんな。僕たち 計画を立てないと。奴らをやっつける作戦だよ。誰かアイディアある?」と訊く。アメリア:「眠ってる時に、意表を突いて襲いかかったら?」。コーディ:「だけど、きっと誰かがケガするよ。ベイビーを捕まえてサラと交換したらどうかな」。ビリー:「ベイビーへのひどい扱い見てると、ハッチが交渉に応じるとは思えない」。リース:「ベイビーなんか必要ない。必要なのはハッチだ」〔生意気なリースの意見は間違っている。必要なのはサラ〕。ムース:「“出陣の道” でインディアンの叫び声をあげたら? 逃げるんじゃないかな?」。リース:「今どきインディアンかよ。奴らバカだけど、それほどバカじゃないぞ」。アメリア:「私たちに出来ることじゃないと。入団テストや訓練でやったような」。ジョーイは、「ちょっと待って、いいアイディアを思いついた。絶対いけると思うよ」(1枚目の写真)「来て。やることが一杯ある」と言い出す。それから5人は、ジョーイの指揮のもと、枯葉を集めたり、石を集めたり、色々なロープを用意したりする。すべてが終わった後で、ジョーイは5人を集め、「みんな、準備完了だ。それぞれの役割、理解した?」と訊く。「うん」。「何か質問は?」。「ううん」。「じゃあ、やろう」。出かけようとするジョーイに対し、リースが、「以前、君を誤解してたかもしれないな。結局、そんなに役立たずじゃないみたいだ。つまり、言いたいのは、いいアイディアだってことさ」と言い、このひどい褒め言葉にも、ジョーイは礼を言い、みんなからの声援に送られて1人でキャンプに向かう。一方、キャンプでは、ハッチが、サラに、団員たちの悪口を言っている。「あのガキどもは、何も考えずにお前を置き去りにして逃げた。黙々と働いてくれる弟の忠誠心とは大違いだな」。「私の友だちには忠誠心があるわ。しかも、自ら進んでね。あんたは、脅迫してベイビーに強制してるじゃない。そんなの忠誠心じゃなく、恐怖心よ」。「忠誠心、恐怖心、どこが違うんだ?」。その時、「違うぞ、ハッチ。僕は それを証明するために来た」と言いながら、ジョーイが堂々と姿を現わす(2枚目の写真)。初めて見る顔に驚いたハッチは、「お前いったい誰なんだ? ここで何しとる?」と訊く。「僕はクールマン〔映画の最初に出て来たアメコミのスーパーヒーロー〕、お前をやっつけに来た」(3枚目の写真)「サラのためにな。今すぐサラを解放すれば、警察には何も言わないでやる」。「断ったら?」。「報いを受けるだろう」。「ガキのくせに図太い奴だ」。ハッチは、そう言うと、ベイビーにサラの首根っ子を掴んで逃げないようにさせておき、自分はジョーイを捕まえようとする。
  
  
  

ジョーイは走って逃げ出し、ハッチが後を追う(1枚目の写真)。結構長い距離を走った末、ハッチは仕掛けのある場所までやってくる(2枚目の写真)。最初に地面に置いてあったロープが引っ張られ(3枚目の写真、矢印)、ハッチは足を引っかけて転倒して斜面を転がり落ちる。立ち上がったハッチがさらにジョーイを追いかけようとすると、木と木の間に張られた “木の葉で隠したロープ” に胸の部分が当たって、仰向けに転倒する(4枚目の写真)。
  
  
  
  

起き上がったハッチを襲ったのは直径5-6cmはありそうな石のつぶて(1枚目の写真、矢印)。これは結構痛い。その下には、丸い輪に結んだロープが隠してあり、ハッチの足が踏み入れるのを待っている。10数個の石がぶつけられ、ハッチの左足が輪に入った瞬間、ジョーイの合図でロープが引っ張られ、ハッチは枝から上下逆さまにぶら下げられる(2枚目の写真)。そして、ロープは、5人が持つ木の幹に縛り付けれていて、4人が力任せに引っ張ることで(3枚目の写真、矢印)、ハッチはどんどん高く吊り上げられて行く。十分高く吊り上がったところで、ジョーイは、「どうだ、ハッチ、参ったか」と自慢そうに言う(4枚目の写真)。しかし、ハッチが、ナイフを取り出して 足のロープを切り始めたので、ジョーイ達6人は慌てて逃げ出す。ハッチは落下した痛さでしばらく動けなかったので、捕まることはなかったが、作戦は失敗に終わった。
  
  
  
  

安全な所まで逃げたところで、リースは 「大失敗だった」と作戦を批判する。ムースは 「僕らは、出きる限りのことをした」とジョーイを擁護する。しかし、リースは侮慢の批判をやめない。「失敗したのは僕らのせいじゃない、そもそもが悪いんだ」。怒ったジョーイは、「何が言いたいんだ?」と強く訊く。「お前の障害物コースが最悪だったのさ。それに、この前言ったことは取り消す。お前は完全に役立たずだ」(1枚目の写真)。コーディも、「やめろよ、リース。彼はできる限りのことをしたんだ」と庇うが、それでもリースは、「明らかに十分じゃない」と言い分を変えない。ジョーイは、「君は、何も案を出さなかったじゃないか」と、強く反撥する(2枚目の写真)。「どのみち、あれほどダサくはない」。ここで、アメリアは、見かねて、「いい加減になさいよ。ケンカはやめて、団結しないと」と呼びかけ、ムースもそれに賛成する。コーディは、「朝、もう一度やり直そう」と言い、テントに戻って寝ることにする。一方、キャンプに戻ったハッチは、上院議員に不満をぶつけている。「俺はイラついてるんだ。今すぐ答えが欲しい。もし、コナーが明日釈放されなかったら、お前さんの娘っ子はケガするからな」と怒鳴る(3枚目の写真)。上院議員は、「今、知事から電話があって、お兄さんを釈放することに同意してくれました。明日の正午に釈放されます」と答える。それを聞いたハッチは、急に上機嫌になり、「あんたは賢い人だ、上院議員」と言って電話を切る。
  
  
  

翌朝、様子を探りに行っていたジョーイは、テントまで走って戻ると、「みんな、起きて」と、眠っていた5人を起こす(1枚目の写真)。そして、「あいつら、キャンプを片付けて山を下りる準備をしてる」と、新しい事態を報告する。そして、さらに、「新しい作戦を立てないと。筋肉を使うのは止めて、脳を使わなくちゃ」と言う(2枚目の写真)。ムース:「どういうこと?」。「ハッチは悪人で、意地悪だ。ベイビーは怖くて、虐めれているだけ。もし、ベイビーからハッチを離すことができたら、ベイビーを説得してサラを解放してくれるかも。ベイビーは、ハッチの命令に従ってるだけだから」。これに対し、ビリーは 「ジョーイは正しい。ベイビーはいつも親切だった」と言い、アメリアは 「私たちがすべきことは、ベイビーの説得なのね」と、理解を示す。リースは 「どうやってハッチとベイビーを引き離すんだ?」と疑問を投げかける。それを聞いたジョーイは 「ツタウルシ〔poison oak〕」と言うと、「付いて来て」と走り始める。一方、キャンプ地では、ハッチが、団員達が残していったテントやその他のゴミの片付けなど一切しないので、サラが批判する。ハッチは、「環境を大切にしない奴らには心が痛むな」と他人事のようにジョークを飛ばすと、キャンプ地から立ち去る(3枚目の写真)。
  
  
  

ジョーイは、手袋を持たずにテントから走り出したのに、次のシーンでは、手袋をはめて、「ツタウルシ。猛毒を持つ低木で、葉は三又で先端は赤い。ひどい発疹と痒みを起こすんだ。すべてのハイカーにとっての悪夢だよ」と言って、葉を見せる(1枚目の写真)〔WEB上の他の写真でも先端は赤くない〕〔問題は、その毒性が 「葉に触れた部分の皮膚に痒みを伴う発疹が生じる」だけで、ハッチとベイビーを離すほどの強い毒性など全くないこと→これは明らかにジョーイのミス〕。コーディ:「いい作戦だ。早くみたいな」。リース:「絶対うまくいかない」。ビリー:「そうだよ。うまくいかない」〔映画では、リースの意地悪だと思わせたいようだが、ここはリースが正しい〕。しかし、2人の否定的な意見を押し切り、ジョーイは、袋にツタウルシを集め、吊り橋に向かうルート上の枝の上に袋を結び付けて、引っ張れば中身が下に落ちるようにする。すると、ほとんど間を置かずに、ベイビー、サラ、ハッチの順に斜面を降りて来る。そして、ハッチが袋の下に来た瞬間にロープが引かれ(2枚目の写真、矢印)、大量のツタウルシがハッチに降りかかる(3枚目の写真、矢印)。それを確認した6人は、走って吊り橋に向かう。
  
  
  

ハッチは、確かに、体中が痒くて木の幹に体を擦りつけたりするものの、先頭をゆっくりと歩くベイビーからさほど遅れることなく付いて行く〔ジョーイの知識不足〕。一方、吊り橋に着いた6人は、1度に1人しか渡れないので〔荷物も持っていない子供なので、同時に2人渡っても構わないと思うが…〕、それなりに時間を浪費する(1枚目の写真)。吊り橋に近付いたサラ達は、ハッチがまだ痒がっているが、それほど遅れてはいない。吊り橋を最後に渡ったのはジョーイ。渡るのに手間取り、吊り橋の脇の茂みに隠れた5人の所に飛び込んだ時には、対岸のベイビーとサラが吊り橋の近くまで来ていた。その時は、ハッチの姿がなく、コーディは、「ベイビーは1人だ。ハッチは遅れてる」と喜ぶ。
  
  
  

ベイビーは、サラに待っているように言うと、2人分の荷物を持って吊り橋を渡り始める。そして、急いで渡り終えると、サラに渡って来るよう指示する。しかし、サラが渡り始めて数メートルも行かないうちにハッチが吊り橋に近づいて来る。サラが吊り橋の真ん中まで来て、ハッチが吊り橋の端まで着いた時、ジョーイは 「サラ、止まって!」と声を掛ける〔作戦は失敗したのに、なぜ?〕。ベイビーは、「お前、ここで何してる?」と訊く。ジョーイは 「ベイビー、サラをこのまま行かせるんだ」と頼む〔黙っていれば、サラは対岸に渡れたのに〕。それを聞いたハッチは、「ベイビー、そのガキを捕まえろ!」と叫ぶ。サラは 「ジョーイ、逃げて」と言うが、ジョーイは、作戦が失敗した責任もあってか、「ううん、もう逃げない」とサラに言うと、ベイビーに同じ頼みをくり返し、さらに、「サラを傷付けたくないでしょ。ハッチが言ってたように」と説得する(1枚目の写真、①ジョーイ、②サラ、③ベイビー、④ハッチ)。ハッチ:「ガキを捕まえろ!」。サラ:「ベイビー、ジョーイの言う通り。私たち、こんなこと、すぐに終わらせられるのよ。パパには、あなたが私を助けたって言うわ。そしたら、あなたはトラブルに巻き込まれない。約束する」。ハッチ:「ベイビー、奴らの言うことなんか無視しろ。早くガキを捕まえるんだ! お前が、言うことを聞かないと、俺がサラを捕まえに行くぞ」。ベイビー:「ハッチ、橋に乗っちゃダメだ。橋が揺れてサラが落ちちゃう」。ハッチ:「いいか、5つ数えて、お前が言う通りにしなけりゃ、そっちに行くからな」。そう言うと、ハッチは数えながら、吊り橋の上をサラに向かって歩いて行く。吊り橋が揺れる。ベイビー:「ハッチ、止めるんだ」。ハッチ:「ガキを捕まえろ!」。サラ:悲鳴。ジョーイ:「ベイビー、何とかしろよ!」。ベイビー:「ハッチ、止めろ!」。サラ:「ベイビー、ハッチを止めて!」。ベイビー:「ハッチ、本気だぞ! 戻れ!」。ハッチ:「バカは止めろ! 何しとるか分かっとらんな! お前が奴らの言う通りにしたら、コニーは刑務所から出られんのだぞ!」。ベイビー:「コニーは法律を破った。彼が悪いんだ!」。ハッチ:「言う通りにしないと、そっちに行って懲らしめてやるからな!」。ジョーイ:「ベイビー、考えるんだ。自立できる いいチャンスだよ!」(2枚目の写真)「ハッチにいつまでも虐めさせるつもりなの? それとも自分の力で生きて行きたい?」。この訴えを聞いたベイビーは、ハッチに反抗する決心を固め、「ハッチ、サラから離れるんだ!」と命じる。ハッチがバカにすると、ベイビーは吊り橋の中央手前まで走って行き、「あんたの言うことなんか、二度と聞くもんか。あんたは悪人だ、ハッチ!」と宣言する。その隙に、サラは、ベイビーの脇をくぐり(3枚目の写真)、ジョーイのところまで辿り着く。茂みに隠れていた5人は吊り橋のケーブルを掴むと、全力で揺らし始める。一番揺れる所まで来ていたハッチは、バランスを崩して吊り橋から転落し(4枚目の写真)、谷底の岩の上にうつ伏せに倒れて動かない。子供達はそれを見て大喜び。吊り橋を渡り終えたベイビーに、ジョーイは携帯を持っているかと訊くが、彼は持っていない。しかし、正午にはコニーが釈放されてしまう。サラは、帰り道も分からないので間に合わないと絶望するが、ジョーイは、目印を付けてきたから帰り道は分かると言い、サラはバックパックをムースに渡し、ジョーイと一緒に走って連絡に行くことにする。
  
  
  
  

2人は、仲良く手をつなぎ、全行程を走ってコーチが閉じ込められた山小屋に向かう(1枚目の写真)。そして、山小屋に着くと、なぜか玄関のドアに鍵が掛かっていなくて中に入れる。そして、コーチが閉じ込められたクローゼットのドアも開いたままになっている。サラが、「コーチ、どこにいるの?」と呼びかけると、2階から、「サラ、ジョーイ、助けを呼んでくれ!」という声が聞こえる。2人が、助けを呼びに行かずに、2階への階段を上りかけると、そこにハッチが現われる〔絶対におかしい。吊り橋の下に倒れていたのに、全力で走って来た2人より先に山小屋に着き、コーチを2階に閉じ込めてから、1階に潜む時間などあるハズがない。いくら子供向き映画でも、この部分はブーイング〕。ハッチは、「お前をバラバラに切り裂いてオオカミに喰わせてやる」と言うと(2枚目の写真)、階段を上がって行き、ジョーイの頭髪を握って首を後ろに傾けるが、ジョーイは登山靴でハッチのすねを蹴る(3枚目の写真)。ハッチがあまりの痛さにもだえ苦しんでいる間に、サラは、横をすり抜けて “コーチを閉じ込めていたクローゼット” の前まで行き、「ハッチ、あんたは絶対逃げられないわよ! 兄さんと一緒に、刑務所で朽ち果てるのね!」と挑発する。怒ったハッチが、向かって来ると、ジョーイと同じように登山靴ですねを蹴り、苦しんでいるハッチをクローゼットに膝蹴りで押し込み(4枚目の写真、矢印は掛け金)、ジョーイがドアを閉め、サラが掛け金を閉じて南京錠を掛ける。さらに、ドアが開かないよう、2人でドアノブの下にイスの背もたれを挟み込む。
  
  
  
  

2人は、コーチを2階に残して山小屋から飛び出し、さらに走って、一般道まで出ると、通りがかった車を停める。そして、出て来た男に、ジョーイが 「僕たちのコーチが、山小屋に閉じ込められてます」と言い(1枚目の写真)、サラは 「ハッチはクローゼットに閉じ込めました。私たち、あまり時間がないんです」と訴える。男は、「あんた、上院議員の娘さんじゃないの?」と訊き、サラは、「そうよ。助けが必要なんです。お昼までに父に電話しないと」と必死に話す。男:「車の中に無線があるから、森林警備隊を呼ぶといい」。2人は早速車に乗り込み、ジョーイが、「メーデー、メーデー、聞こえますか?」と呼びかける(2枚目の写真)。「了解、メーデー。どこですか? どうぞ」。「こちら、ジョーイ・クーパー、サラ・マンと一緒です。彼女のお父さんと至急話す必要があります」。「分かったジョーイ、上院議員に連絡します。どこにいますか? どうぞ」。「そうじゃなくて、ただちに上院議員と話す必要があります」。「そこにいて。すぐに無線電話に出てもらいます」。今度は、サラが話し始める。「パパ、サラよ。釈放を止めて。逃がさないで」。そして、状況を話す(3枚目の写真)。
  
  
  

車から降りたサラは、ジョーイに父から聞いたことを話す。「ぎりぎり間に合ったわ。FBIは釈放を停止するよう知事に電話したし、私たちを救助するため警察を出動させたって。すべて順調、あなたがやったのよ、ジョーイ。みんなを救ったの」(1枚目の写真)。「みんなでやったんだ」。「ううん、あなたよ。いつでも逃げられたのに、そうしなかった。捕まりそうになっても、一緒にいてくれた。あなたは、私たちのヒーローよ。ありがとう、ジョーイ」。そう言うと、サラはジョーイの頬にキスする。「他の子を連れに行こう」。「OK」。2人は車に乗り込む。その先、どうやってコーチや5人と一緒になったのかは分からないが、次のシーンでは、パトカーに先導されたミニバスの中で、サラとジョーイが一緒に座り、他の団員たちと一緒に嬉しさ一杯に合唱している(3枚目の写真)。
  
  
  

ミニバスが到着予定の場所には、上院議員夫妻、ジョーイの母とダメ友のティミー、コーチの妻と息子、他の団員達の両親、マスコミ関係者達が待ち構えている。それぞれ熱烈に迎えられるが、まず紹介するのはジョーイと母の場面。母はジョーイを抱き締めた後、「あなたが全員を救ったって聞いたわ。誘拐犯を罠にかけ、もう一人を説得して全員を解放させたんだって?」と訊く(1枚目の写真)。「だいたい、そんなトコ」。「ジョーイ、あなたを誇りに思うわ」。「パパがいつも言ってたように、僕はこうと決めたら何でもできるんだ」。そのあとのシーンで、サラは、パトカーに並んで乗せられたハッチとベイビーを見て、「パパ、ベイビーを刑務所に入れないでね。彼は私たちに何もしなかったし、自由にしてくれたんだから」と言い、父は、必ずそうすると誓う。次のシーンは、コーチが、「ジョーイ、誇りに思うぞ。本当にありがとう、相棒」と言って、クラブの制帽を頭に被せ(2枚目の写真、矢印)、「よくやった」と熱烈に握手する。リースは、クラブのTシャツをジョーイに渡す(3枚目の写真、矢印)〔イヤイヤといった感じ〕
  
  
  

最後に、サラが父にジョーイを紹介する。上院議員は、感謝を込めてジョーイと握手する。そして、マスコミの要請で、一緒に写真を撮る(1枚目の写真)。次のシーンは、その時の記事 「地元の少年が6人の子供を救い、町のヒーローに」の切り抜き(2枚目の写真)を、ジョーイがいつもの箱に入れ、夜空を見上げて 亡き父に話しかける。「パパ、今の見た? 僕、やったよ。パパみたいに」(3枚目の写真)「正確には違うけど、かなり近いよね。僕、やろうと思えば何でもできるんだ。もう誰にも止められない」。
  
  
  

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